小説
人体模型曰く。 孤独の嫌いな女もいるんだわ。死ぬのさえ独りじゃ我慢できない、そんな女もいるんだわ。 中島らも『人体模型の夜』(集英社 1995年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 一人の少年が「首屋敷」と呼ばれる薄気味悪い空屋に忍び込み、地下室で…
あ、読むなら今だし、多分今・・・、逃したら私はこの本を二度と読まないだろうと思った。 中島たい子『この人と結婚するかも』(集英社 2010年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 気になる男性と出会うたび、「この人と結婚するかも」って直感する。けど…
・・・抱きしめる。 小川洋子『いつも彼らはどこかに』(新潮社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 たっぷりとたてがみをたたえ、じっとディープインパクトに寄り添う帯同馬のように。 深い森の中、小さな派手大木と格闘するビーバーのように。 絶…
ちぎってやるよ。 ちぎり散らしてやる。 曽根圭介『鼻』(KADOKAWA 2007年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 人間たちは「テング」と「ブタ」に二分されていた。鼻を持つテングはブタに迫害され、特別区に送られている。外科医の「私」は、テングたちを救…
12の月には12の怪談が相応しい。 福澤徹三『怪談歳時記 12か月の悪夢』(角川書店 2011年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 初詣の夜に妻を見失った男。帰ってきた妻は、以前とはなにかがちがっていた。老人の語りが戦慄を呼ぶ「鬼がくる家」。 女子大生…
別に怖くもなんともないさ。 なんでもない、話さ。 遠藤周作『なんでもない話』(講談社 1985年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 心臓の凍るような恐怖と、絶妙のユーモアを織り交ぜた十編の小説世界。何気ない平凡な日常生活のかげに、人知れぬ秘密を隠…
【ホラー好きあるある】ビビり 遠藤周作『新装版 怪奇小説集「恐」の巻』(講談社 2000年)の話をさせて下さい。 【概要】 ルーアン、リヨン、熱海で起きた怪異現象御綴った「三つの幽霊」をはじめ、とっておきの怖い話が九編。人一倍怖がり屋だった作者の恐…
ねぇ。死にたい。 僕は僕のままで生きていけなさそうだし、 大人が言う「正常」に陥るくらいだったら 僕は僕のままがいい。 僕は、僕のままで死にたい。 このまま朽ちていく身体と、ますます離れていく「正常」「普通」、お薬を飲んで調整した僕はねぇそれは…
家に来られたらもうないんですよ。 逃げ場が。 朝宮運河編『家が呼ぶ 物件ホラー傑作選』(筑摩書房 2020年)の話をさせて下さい。 - 【あらすじ】 おそろしい家、奇妙な家、住みたくない家、不思議と惹かれてしまう家ーーー 「家」にまつわるホラー作品は古…
無事に帰れると思うな。 朝宮運河編『宿で死ぬ 旅泊ホラー傑作選』(筑摩書房 2021年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ひっそりとたたずむ老舗の旅館や、どこか懐かしいグランド・ホテルーーー。 非日常に飛び込む旅の疲れを癒し、心やすらぐべき「宿」…
2021年8月某日、私、まぐろどん(28歳地方在住フリーター)は、本書を発端として、令和・ホラー宣言を発表致しました。 朝宮運河『再生 角川ホラー文庫セレクション』(KADOKAWA 2021年)の話をさせて下さい。 【概要】 1993年4月の創刊以来、わが九人緒ホラ…
2021年最後に読んだ本が、多分これだった。 吉本ばなな『哀しい予感』(角川書店 1991年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 弥生はいくつもの啓示をうけるようにしてここに来た。 それは、おばである、ゆきのの家。 濃い緑の匂い立ち込めるその古い一軒家…
お人形、すきですか。 梨木香歩『りかさん』(新潮社 2020年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 リカちゃんが欲しいとたのんだようこに、おばあちゃんから送られたのは黒髪の市松人形で名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わ…
短編小説、よりかは、 どこかの世界のどこかの人物の随筆、に近いものかもしれない。 綿矢りさ『意識のリボン』(集英社 2020年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「私は絶対長生きするからね」母を亡くした20代半ばの真彩は、父にそう誓ってすぐ交通事故…
2か月延滞してる。(読むと辛くなるので) 山白朝子『私の頭が正常であったなら』(角川書店 2018年)の話をさせて下さい。 【概要】 例えば、この世に生を受けずにそのままふっと消えてしまった子、とか。 例えば、当時は無力で助けることが出来なかった幼…
人生は分岐する。 人生は一つしかない。 角田光代『平凡』(新潮社 2019年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。 人気料理研究家になったかkつての親友・春花が、訪れた火災現…
何も起こりません。 簡単に言えば、幽霊屋敷のプロによる同人誌。 だから本当に、何も起こりません。 恩田陸『私の家では何も起こらない』(KADOKAWA 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 小さな丘に佇む古い洋館。 この家でひっそりと暮らす女主人の…
教室の10分休みの空気は、 寝たふりをして机に臥せって、 ただ過ぎるのを待つしかない。 さびしさは鳴る。p.7 綿矢りさ『蹴りたい背中』(河出書房新社 2007年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ”この、もの悲しく丸まった無防備な背中を蹴りたい” 長谷川…
「たすけて」 主人公は時々だれもいないところで、そのように呟いたり、思ったりする。 そしてその度に、僕は、震えるのだった。 ああ、彼女は僕だ。 その瞬間だけ僕は野崎泉なのだ。 角田光代『あしたはうんと遠くへ行こう』(角川書店 2005年)の話をさせ…
うおおおおおおおおお!!!!!!!!! くだばれくたばれPTA!!!!!!!!!!!!! くたばれくたばれPTA!!!!!!!!!!!!!!! 筒井康隆『くたばれPTA』(新潮社 1986年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 マスコミ、主婦連から俗悪の烙印…
10の物語。 静謐に幸福静謐に不幸。 小川洋子『不時着する流星たち』(KADOKAWA 2019年)の話をさせて下さい。 ヘンリーダーガーを意識した表紙の絵。 【あらすじ】 盲目の祖父の足音と歩数のつぶやきがひとつに溶け合い、音楽のようになって僕の耳に届くー…
まぁ若干SFチックになるのはしゃーない。 あとブラックジョークになるのもしゃーない。 筒井康隆『自選短編集 鍵』(角川書店 1994年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 かつての住居で、放置された机から見つかった古い鍵束。 その中に、見覚えはあるが何…
キリコ。 小川洋子『偶然の祝福』(角川書店 2004年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。 それも息も荒らげず、恩着せがましくもなくすっとー。 伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前…
ロマンティックじゃないラブストーリー。 この後どうなるのかしら。 私のことどう思っているのかしら。 恋には常に恐怖がつきまとうもの。 島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ』(新潮社 2010年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 きっかけは本当につ…
江戸から明治へ変わる激動の時代を、 若者達は生きていく。 いや、生きていかねば。 畠中恵『アイスクリン強し』(講談社 2011年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 お江戸が東京へと変わり、ビスキット、アイスクリン、チョコレイトなど西洋菓子が次々お…
そこは最果て。 貴方の心の最果て。 僕の心の最果て。 小川洋子『最果てアーケード』(講談社 2015年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 使用済みの絵葉書、義眼、微章、発条、玩具の楽器、人形専用の防止、ドアノブ、化石・・・・・・。 「一体こんなもの…
彼女の生命力の爆発を思い描くとき、 瞼の裏で彗星爆発。 輝き煌めき光。 光。 その光は海の水面を反射する、同じ光。 吉本ばなな『TUGUMI つぐみ』(中央公論社 1992年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 病弱で生意気な少女つぐみ。 彼女と育った海辺の…
現代性聖書。 小説じゃない。 中村文則『教団X』(集英社 2017年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 突然自分の前から姿を消した女性を探し、 楢崎が辿り着いたのは、 奇妙な老人を中心とした宗教団体、 そして彼らと敵対する、 性の解放を謳う謎のカルト…
はえ~怖いンゴ。 小野不由美『鬼談百景』(角川文庫 2015年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 学校に建つ男女の生徒を象った銅像。 その切り落とされた指先が指し示す先は・・・(「未来へ」) 真夜中の旧校舎の怪談は”増える”。 子供たちはそれを確かめ…
なんだろうな。 ファンなのはわかるんだけど、多分アマチュアに書かせたほうが「ぽい」もの書けるんじゃないかな。 ていうか、こんなもんしか書けないのか・・・軽く失望なんだが。 朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』(講談社 2018年)の話をさせてください。…