小さなツナの缶詰。齧る。

小説・漫画・雑誌の感想が主です。

小説

朝宮運河編『家が呼ぶ 物件ホラー傑作選』-頼む毎年続いてくれ・・・!!!!-

家に来られたらもうないんですよ。 逃げ場が。 朝宮運河編『家が呼ぶ 物件ホラー傑作選』(筑摩書房 2020年)の話をさせて下さい。 - 【あらすじ】 おそろしい家、奇妙な家、住みたくない家、不思議と惹かれてしまう家ーーー 「家」にまつわるホラー作品は古…

朝宮運河編『宿で死ぬ 旅泊ホラー傑作選』-今このホテルがアツい!令和最恐☆ホテルガイド!!!-

無事に帰れると思うな。 朝宮運河編『宿で死ぬ 旅泊ホラー傑作選』(筑摩書房 2021年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ひっそりとたたずむ老舗の旅館や、どこか懐かしいグランド・ホテルーーー。 非日常に飛び込む旅の疲れを癒し、心やすらぐべき「宿」…

朝宮運河『再生 角川ホラー文庫セレクション』-ホラーは、何度でも再生する。-

2021年8月某日、私、まぐろどん(28歳地方在住フリーター)は、本書を発端として、令和・ホラー宣言を発表致しました。 朝宮運河『再生 角川ホラー文庫セレクション』(KADOKAWA 2021年)の話をさせて下さい。 【概要】 1993年4月の創刊以来、わが九人緒ホラ…

吉本ばなな『哀しい予感』-重度の希死観念により曲がったスプーンは、砂漠の夢を見、哀しい予感に閉口。-

2021年最後に読んだ本が、多分これだった。 吉本ばなな『哀しい予感』(角川書店 1991年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 弥生はいくつもの啓示をうけるようにしてここに来た。 それは、おばである、ゆきのの家。 濃い緑の匂い立ち込めるその古い一軒家…

梨木香歩『りかさん』-いつだってお人形は、優しいんだ。-

お人形、すきですか。 梨木香歩『りかさん』(新潮社 2020年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 リカちゃんが欲しいとたのんだようこに、おばあちゃんから送られたのは黒髪の市松人形で名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わ…

綿矢りさ『意識のリボン』-傷だらけの脚を抱きしめ眠る。-

短編小説、よりかは、 どこかの世界のどこかの人物の随筆、に近いものかもしれない。 綿矢りさ『意識のリボン』(集英社 2020年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「私は絶対長生きするからね」母を亡くした20代半ばの真彩は、父にそう誓ってすぐ交通事故…

山白朝子『私の頭が正常であったなら』-それでも、僕は眠れない時があるんです。朝子先生。-

2か月延滞してる。(読むと辛くなるので) 山白朝子『私の頭が正常であったなら』(角川書店 2018年)の話をさせて下さい。 【概要】 例えば、この世に生を受けずにそのままふっと消えてしまった子、とか。 例えば、当時は無力で助けることが出来なかった幼…

角田光代『平凡』-「もし」なんていうのは、超リアルな御伽噺にすぎない。-

人生は分岐する。 人生は一つしかない。 角田光代『平凡』(新潮社 2019年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。 人気料理研究家になったかkつての親友・春花が、訪れた火災現…

恩田陸『私の家では何も起こらない』-うるせえその屋敷俺がぶっ壊してやろうか!!-

何も起こりません。 簡単に言えば、幽霊屋敷のプロによる同人誌。 だから本当に、何も起こりません。 恩田陸『私の家では何も起こらない』(KADOKAWA 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 小さな丘に佇む古い洋館。 この家でひっそりと暮らす女主人の…

綿矢りさ『蹴りたい背中』-さびしさは鳴る。-

教室の10分休みの空気は、 寝たふりをして机に臥せって、 ただ過ぎるのを待つしかない。 さびしさは鳴る。p.7 綿矢りさ『蹴りたい背中』(河出書房新社 2007年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ”この、もの悲しく丸まった無防備な背中を蹴りたい” 長谷川…

角田光代『あしたはうんと遠くへ行こう』-たすけて。-

「たすけて」 主人公は時々だれもいないところで、そのように呟いたり、思ったりする。 そしてその度に、僕は、震えるのだった。 ああ、彼女は僕だ。 その瞬間だけ僕は野崎泉なのだ。 角田光代『あしたはうんと遠くへ行こう』(角川書店 2005年)の話をさせ…

筒井康隆「くたばれPTA」-童貞(メス)の僕は今日も夜明けのワンルームで喘ぐ。「ア」「ア」「ア」「ア」-

うおおおおおおおおお!!!!!!!!! くだばれくたばれPTA!!!!!!!!!!!!! くたばれくたばれPTA!!!!!!!!!!!!!!! 筒井康隆『くたばれPTA』(新潮社 1986年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 マスコミ、主婦連から俗悪の烙印…

小川洋子『不時着する流星たち』-ロマンチックに狂う。-

10の物語。 静謐に幸福静謐に不幸。 小川洋子『不時着する流星たち』(KADOKAWA 2019年)の話をさせて下さい。 ヘンリーダーガーを意識した表紙の絵。 【あらすじ】 盲目の祖父の足音と歩数のつぶやきがひとつに溶け合い、音楽のようになって僕の耳に届くー…

筒井康隆『自選短編集 鍵』-あけるな。-

まぁ若干SFチックになるのはしゃーない。 あとブラックジョークになるのもしゃーない。 筒井康隆『自選短編集 鍵』(角川書店 1994年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 かつての住居で、放置された机から見つかった古い鍵束。 その中に、見覚えはあるが何…

小川洋子『偶然の祝福』-小児科のにおい。-

キリコ。 小川洋子『偶然の祝福』(角川書店 2004年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。 それも息も荒らげず、恩着せがましくもなくすっとー。 伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前…

島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ』-ロマンティックじゃない。-

ロマンティックじゃないラブストーリー。 この後どうなるのかしら。 私のことどう思っているのかしら。 恋には常に恐怖がつきまとうもの。 島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ』(新潮社 2010年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 きっかけは本当につ…

畠中恵『アイスクリン強し』-明治を舞台にした、「少女向け」キャラクター小説。-

江戸から明治へ変わる激動の時代を、 若者達は生きていく。 いや、生きていかねば。 畠中恵『アイスクリン強し』(講談社 2011年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 お江戸が東京へと変わり、ビスキット、アイスクリン、チョコレイトなど西洋菓子が次々お…

小川洋子『最果てアーケード』-そこはどこでもない。いつでもない。心の最果て。-

そこは最果て。 貴方の心の最果て。 僕の心の最果て。 小川洋子『最果てアーケード』(講談社 2015年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 使用済みの絵葉書、義眼、微章、発条、玩具の楽器、人形専用の防止、ドアノブ、化石・・・・・・。 「一体こんなもの…

吉本ばなな『TUGUMI つぐみ』-ページをめくれば広がる夏で笑う、君が。-

彼女の生命力の爆発を思い描くとき、 瞼の裏で彗星爆発。 輝き煌めき光。 光。 その光は海の水面を反射する、同じ光。 吉本ばなな『TUGUMI つぐみ』(中央公論社 1992年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 病弱で生意気な少女つぐみ。 彼女と育った海辺の…

中村文則『教団x』-せいしょ。-

現代性聖書。 小説じゃない。 中村文則『教団X』(集英社 2017年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 突然自分の前から姿を消した女性を探し、 楢崎が辿り着いたのは、 奇妙な老人を中心とした宗教団体、 そして彼らと敵対する、 性の解放を謳う謎のカルト…

小野不由美『鬼談百景』-切ない、胸に迫るような。切ない。-

はえ~怖いンゴ。 小野不由美『鬼談百景』(角川文庫 2015年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 学校に建つ男女の生徒を象った銅像。 その切り落とされた指先が指し示す先は・・・(「未来へ」) 真夜中の旧校舎の怪談は”増える”。 子供たちはそれを確かめ…

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』-何がえ?何があ?何がえ?何があ?拙僧おこなる一遍也-

なんだろうな。 ファンなのはわかるんだけど、多分アマチュアに書かせたほうが「ぽい」もの書けるんじゃないかな。 ていうか、こんなもんしか書けないのか・・・軽く失望なんだが。 朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』(講談社 2018年)の話をさせてください。…

貫井徳郎『慟哭』-悲痛。-

仰天はしない。 悲痛。 貫井徳郎『慟哭』(東京創元社 1999年)の話をさせてください。 【あらすじ】 連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判を受けて懊悩する。 異例の昇進をした若手キャリアの社長をめぐり、 警察内に…

三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』-ある程度草むしりしながら天海祐希を嗜みませう。-

女達の日常は、 本人も気づかないくらい濃いのだ。 三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社 2018年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ここは杉並の古びた旅館。 父の行方を知らない刺繍作家佐知(さち)と気ままな母・鶴代、 佐知の友人の雪…

瀬尾まいこ『強運の持ち主』- いい占い師≠必ず当たる占い師。-

いい占い師≠必ず当たる占い師。 瀬尾まいこ『強運の持ち主』(文藝春秋 2009年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、 ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。 ショッピングセンターの片隅で、 悩みを抱える人の背中…

梶山季之『せどり男爵数奇譚』-古書の上で踊る踊るせどれ。-

「せどり」って、そんな昔からいたんだ。 梶山季之『せどり男爵数奇譚』(筑摩書房 2000年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ”せどり”(背取、競取)とは、 古書業界の用語で、 掘り出し物を探しては安く買ったその本をほかの古書店に高く転売することを…

小説トリッパー編集部編『20の短編小説』-二十人二十色。-

短編がつまらない作家の作品が、必ずしもつまらないとは言えないが、 短編がおもしろい作家の作品は、約束しよう。必ず面白い。 小説トリッパー編集部編『20の短編小説』(朝日新聞出版 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 人気作家20人が「20」をテ…

羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』-ゾンビから見る人生観-

あなた、まだ、自分が生きていると思っているんですか?p.013 冒頭、 筆者編集者が 読者売れない作家に 向けた言葉。 羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』(講談社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 全世界でゾンビが発生した。 作家・Kは…

筒井康隆『ロートレック荘殺人事件』-叙述せよ。-

犯人は誰だ。 筒井康隆『ロートレック荘殺人事件』(新潮社 1995年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘達が集まった。 ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったか…

綾辻行人『十角館の殺人』-はえ〜トリックびっくりくりっくりとしか言えない。-

小6の僕にこれを手渡しても、 「分厚いよ。あと絵がかわいくない」 すぐ突き返しただろうね。 綾辻行人『十角館の殺人』(講談社 2017年※読んだ限定愛蔵版の発行年数)の話をさせて下さい 【あらすじ】 エラリイ、ポウ、ヴァン、アガサ、オルツィ、ルルウ、…