小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

櫻井まゆ『トランス・トランス・フォーエバー』-僕達の心の表面温度は灼熱で、絶え間なく爆発音が響いてる。-

 

 

ねぇ。死にたい。

僕は僕のままで生きていけなさそうだし、

大人が言う「正常」に陥るくらいだったら

僕は僕のままがいい。

僕は、僕のままで死にたい。

このまま朽ちていく身体と、ますます離れていく「正常」「普通」、お薬を飲んで調整した僕はねぇそれは僕なの、本当に僕なのかな。

死にたい。

死にたいね。

 

 

僕だってさぁ、まゆちゃん、飲みたくてさぁ、こんなさぁ、薬飲んでるわけじゃないんだよ。本当ならさぁ、何も飲まずにさぁ、みんなとさぁ、明るいさぁ、社会生活をさぁ、営んでさぁ、普通のさぁ、人間にさぁ、なりたかったよ。

 

櫻井まゆ『トランス・トランス・フォーエバー』(新風舎 2005年)の話をさせて下さい。

 

 

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【あらすじ】

紘美は自分がいなくなる感覚だけを紙幅と感じ、ある瞬間を待ち望んでいた・・・・・・。

表題作「トランス・トランス・フォーエバー」を初め、未発表作を加えた全11篇。

小説家を志すも、18歳で命を絶った少女が残した作品は、「生」を渇望しながらも破滅へ向かう少女たちの儚い心情がつづkられる。

掻くことにしがみついて生きた先生な想いを感じさせる遺稿集。

裏表紙より

 

【読むべき人】

希死念慮に悩む人

・「死にたい」人

・かつて、思春期に死にたかった私達へ。

※どちらもプレミアになっている現在、単行本より文庫を勧めます。単行本観光後に発見された「ALIVE」という一篇が単行本では未収録となっているようなので。

 

希死念慮とは

「死にたい」と願うこと。疾病や人間関係など解決しがたい問題から詩を選択しようとする状態を「自殺願望」具体的な理由はないが漠然と死を願う状態を「希死念慮」と使い分けることがある

コトバンクより

 

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【感想】

死にたい。ここ一か月僕がひたすらに思い続けて生きたことだ。死にたい。

嘘。死にたくはない。別に僕はこの世界に希望を捨てきっていないし、まだまだしたいことだってたくさんあるし、生きてやる!って思う。でもやっぱ基本はずっと死にたい。死にたいって思う。

仕事がある程度できるようになれば、死にたいと思うことはなくなるのかなと思っていた。

どうやら違ったようだった。人間関係だ。

あの人があの人に僕のことをこう言ってたらどうしよう。嫌われてたらどうしよう。やっぱり僕だけが仕事できないから役割与えられないんだ。僕なんていなくてもどっちでもいいんだ。きっとみんなみんな裏で悪口言っている。もしくは冷めた気持ちになっている。僕がいることでみんな冷めた気持ちになっている。

僕がいることで悪影響!

母親が肺癌、を患ってから僕はもうずっと不安定だ。

よくある話である。がん患者、もしくはその家族が鬱病になるというのは本当によくある話である。三島での長泉町のがんセンターの医者が講演会で言っていた。心のケアも大変重要であること。患者と、その家族も。

よくある話だ。本当によくある話だけれども、こういって困って悩んで泣きたくなる時、僕は総て母親に相談していた。

その母親に、気軽に相談が出来なくなった。

心配や迷惑をかけることでストレスになって癌を悪化させたらどうしよう。

普段から心配性な僕は本当に本当に、心配で心配でたまらんくなりどうしたらいいのか分からなくなる。

ただでさえADHD?的な感じで仕事もコミュニケーションもうまくいかないのに。

大抵、そういう時って普通の女は男に媚びる能力が自然と身についてて、28にもなれば同棲・無職でも食べさせてもらえる身になっていることが多いが、僕は恋愛にも大変不器用で28歳現在も見事童貞(メス)記録更新中である。

痛いよ。

痛い。

せめて仕事か恋愛どっちかをうまくやっていける能がああればいいのに、僕は両方ともない。し、母親がたとえば、いつか、とか思うだけでもう息が出来なくなる。ぜえぜえになる。死にたくなる。生きていけないよ。しんどいよ。死にたい。

死にたい。

 

2022年の冬の記録的寒さも相まって、僕はずっとずっと、死にたいで死にたいだった。外出ることすら怖い時があった。

店長から「ううーん・・・私は今までベッドから起き上がれないという時が無かったからなぁ」と言われた時僕は滅茶苦茶恐ろしかった。そんなことが無い健全たる一生というものがあるのかと衝撃を受けた。離婚を決意した夜もですか・・・?とはさすがに聞けなかった。

というかそれが普通なのか?

みんな起き上がれない日ってないものなのか?

みんな「死にたい」って思う時ってないのか?

それが、普通、マジョリティーなのか?

彼女もそれなりにハードに人生を歩んでいるはずなのだ。幼い子供を抱えながら離婚をし育児と店長の二足の草鞋。片親でそれはとても大変だと思うし、転職も知る限り一回はしている。

でも起き上がれない日はなかったと言うのだ、えええ!って思った。ええ!!!って思った。衝撃だった。

てかそれが普通なのか?

・・・健全な人々に囲まれて僕みたいなのがいることが大変申し訳なくなってきた。

そうか、みんな起き上がれない日って今までないのか。

健康で健全な人々の中に僕みたいな不健康で情緒不安定な人間がいることが大変申し訳なくなってきた。

・・・死にたい。死にたくなってくる。

僕という存在自体がなくなってしまえばいいのに。

そしたら全部全部全部解決なのに。

・・・・生きていてごめんなさい。ここにいてごめんなさい。

何なら奨学金なしで私立まで出してもらったのに今フリーターの身になっていることについて、親にも大変申し訳なくなってくる。

・・・・生きて居てごめんなさい。生まれてきてしまいごめんなさい。

いとこもいない長女である。先祖代々に申し訳ない。恐らく先祖に28年間童貞はいなかっただろうと思う。

・・・・生まれてしまいごめんなさい。

 

僕「・・・あ~しにたい~」

 

そんななかずっと探していたのが本書『トランス・トランス・フォーエバー』である。

出版社が潰れたため新品ではまず買えないし、中古でも結構なプレミアがつくことが多い。けど、「死にたい」「死にたい」と口走りながら毎度開いたブックオフオンラインになんと本書が「在庫あり」と表示されていて僕はこれは、と思い購入した。

在庫があるのが尚更、表紙が可愛い文庫版でとってもラッキーって思った。

 

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本書作者である櫻井まゆ先生はもうこの世にはいない。

18歳で自殺した。もともと高校から不登校気味になり高校2年から休学・退学、小説家を志して書いたり書かなかったり病んだり病まなかったり大検とったり万引きしたりして、2002年、この世を絶つ。

 

死の前夜、悟り切ったような済んだ瞳で遠くを見つめ、母が部屋に入ろうとすると入室を拒んだ。すべては終わったと目が語っていた。

p.251 櫻井まゆの歩みより(恐らく作者の母親が書いたものと思われる年表のようなもの)

 

その彼女が生前遺した短編小説・未完小説を集めたものがこの1冊である。

どうなんだろう、どんなんだろうって思う。

小説家を志したあくまで普通の少女の文章である。小説家志望だから文章は多少うまいとはいえプロには到底かなわない。でも死と間際思春期ならではの閃きのような輝きを帯、例えばそれは綿矢りさの「蹴りたい背中」に繋がるような、凝り固まった青木鬱屈が結晶化して煌めく。

そうだ、僕は高校時代も「死にたい」と思うことがあった。

数学で三角比と出会いテストで23点をたたき出した時、明日テストなのに古典の勉強を一切しておらずそでにたまらなく焦った時、部活と塾の両立がスケジューリングできなくて混乱した時、「なんでみんな普通なのにあんただけ出来ないの」と度重ねて母に言われるとき、死にたい、死にたいと思った。その時の青き一瞬を思い出す。そうだ、別にこれは今に始まったことじゃない。

読んで良かったと思う、読んで、間違いなく良かった、けれどこの文章は櫻井まゆが死ななければ間違いなく僕の手元に届かなかった。読んで良かった、思春期の自殺した少女の手記としても大変貴重で読んで良かった、でもやっぱり死なないで欲しかった死なないでほしかったと思うアンビバレントが思春期のごとく揺れて僕の中で小爆発を起こす。

フレア。中3の時理科で習った、絶えず太陽の表面(コロナ)で起きているという高熱灼熱爆発。

 

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広げると絵になってる。

 

また、僕を穿ったのは「あとがき」(となった著者が書いた文章)だった。

 

私を「こちら側」にかろうじてつなぎとめているのは文章表現だった。一度目のトランス状態から抜け出す手立てとなったものは、「考えていることを書かなければ」という思いだった。「書かなければ忘れる、忘れることが恐い」という強迫観念。p.247あとがき

 

結局僕がこうやって軽薄なる「死にたい」「死にたい」に悩まされながら且つ、仕事を休みながらベッドに横になりながら部屋を片付けたいとかいろいろやりたいと思いながらも且つここでこうやって文章を書いて打っている・・・動機。が、そこには書かれていた。

忘れたくない。忘れたくはない。

今ここで死にたいと思ったこと。死にたいと思いながらも読んだ本にどのように心動かされたか。なるべく覚えていたい。

でも僕は、忘れちゃうから。

いくら記憶力いいねーって言われる方でも、忘れちゃうから。

昔から頭大きいねー多分脳味噌もまぁまぁおおきいんだろうけど、忘れちゃうから。

ありとあらゆる先祖の期待を背負って母親の産道を通るとき無理で帝王切開にしてしまったくらい頭大きいんだけど、忘れちゃうから。

覚えておきたい。残しておきたい。

今僕がこう思っていること。感じていること。

書いておきたい。伝えておきたい。

今僕がこう考えていること。願っていること。

僕「あ・・・う・・・」

年々口下手になっているんだ。

助けてくれ。助けてくれ。助けてくれよ。

軽く死にたい。死にたいんだけどそれをどうすればいいのか分からないし誰にも相談できないしでもそれを相談したら、君はきっと離れちゃうんだろう?年々何から話したらいいのか分からなくなっているんだ。大変なんだ。大変なんだよ。だからここで書いて君とテレパシー、共有してたい。

この僕のコロナを。

・・・ねぇ見て、僕のコロナ。

凄く温度高いしずっとフレア・・・爆発してる。ずっと、ずっとなんだ。

爆発を続けることで太陽が維持されるように、これが絶えたら僕は僕じゃなくなっちゃうのかなぁ。

だから僕は書くしかないのかなぁ。

 

ねぇでもね、まゆちゃんはぁ、この小爆発が鎮まってしまうくらいなら死んだ方がいい!ってなったと思うんだけどね、それは分かる。

鎮まってほしいよな。こんなコロナ。朝から夜まで絶えず絶えず爆発しているんだ。思春期だけじゃないよ。28になっても頻度は下がれど規模は小さくなれど爆発は常に起きてる。

だから薬もたくさんたくさん、5錠も飲んでいるんだし。

普通になって、会社で会社員として働いて、結婚して、普通に家庭と仕事両立して、ってなりたいよ。みんなみたくさ。

でもさぁ、でもねぇ、もうねぇ、薬を飲んでもねぇ、ダメみたいなんだ。

僕のコロナでは、規模は小さくなれど常に爆発がおこってる。

???「私にはあなたの気持ちが分からない」

否定されるとますます爆発が増えてコロナ、灼熱高熱大爆発・・・大フレアが起きる、僕のコロナ、パンデミック

僕「大丈夫です、ちゃんと、殺しておきました。私が、私を」

まぐろどんは、大パニック!パンデミック!!

SOSSOSSOSSOS!!!!助けて下さい!!!助けて下さい!!!

 

でもさぁ誰もさ、こんなさぁ、こんな・・・僕達のコロナ事情なんてさ知らないだろうしさぁ分かってもらえないだろうしさぁだからさぁ・・・僕はさぁ・・・そうやって総てを諦めた時死にたい。

たまらなく死にたい。今日も死にたい。

 

まゆ先生のコロナの爆発は多分、僕のより幾度かさらに灼熱でいくどかさらに大規模だったんだと思う。もうどうすることも出来ない程、彼女のコロナは灼熱。

だからそのはちきれそうな硝子のような、コロナ、を抱えてそのまま、身体もろとも散り散りになるような大爆発を、起こしたんでしょう・・・?

 

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「ミチル」

私は言葉を失った。音声として発せられる言葉をである。そして代替的に文章表現を授かった。私は自己の思考を文章を通してのみ表現することができ、またそうしなければいいけないという強迫観念にとらわれている。 真森の文章より p.20

普通の学校生活を送っていた少女が、不登校の少女に対する過度な自己投身により、統合失調症を発症した瞬間を描いた作品である。

マイノリティーの少女達が抱く、「誰にもわかってもらえない」孤独感がフォーカスされた短編なんだと思う。

でも大丈夫です。まゆ先生。その「誰にもわかってもらえない」は一生一生ついてくるものです。28歳になった僕でも未だに誰からもわかってもらえません。だから僕達は真森のように思考を文章化することで、傷つかないように離れないように「まもり」に入るんですね。与えられた文章表現で私は私を守らなくてはならない。

ミチルが満たされることは、ないよ。

 

「CIRCUS」

別れを考え始めてしまうのは知りつくしてしまったときだ。男と女が付き合うというのは、おたがいをどこまで受け入れられるかということだ。別れの香りが漂い始めるときは二つある。相手を受け入れられなくなったとき。または、受け入れるべき事柄がなくなったとき。p.47

どうでもいいけど、「ミチル」では終盤少女同士の統合を目指す結末であるのに対して、本作では男女は「受け入れるべき事柄がなくなったとき」p.47に別れると書かれている。対象的だ。

まゆ先生ってもしかして、まぁバイセクシャルか、百合っけがあったんじゃないかなぁて思う。2002年だと確かに偏見もまだ根強そうだしね、ねぇ、先生、先生、2002年に生まれていれば良かったのに。そうすればそこまで苦しむこともなかったかもよ。ここ20年でかなり寛容になったの。

ヒロくん「サーカスの綱渡りは一歩踏み出す度『次は落ちるかもしれない』っていう不安感と闘っているんだ。同じことさ。俺たちはいわば、その一歩一歩の積み重ねを生きてる」p.45

ねぇでもさぁ、ヒロくん。その積み重ねの先に何があるって言うの。綱渡りの先に何があるって言うの。私は少なくとも君より10年長く生きてもう28、だけどさぁ、綱渡りの先っていうのはないんだよ。永遠に僕達は綱渡りをしているだから、それが苦しくて苦しくて自分から堕ちちゃう演者を誰が責められる?

 

「ALIVE」

でも、本当に何もかも崩れちゃったんだよ。まず、中西が死んだ。南柏山で殺されてたんだって。それから、両親の離婚が決まって、それとほとんど同時に母さんが肺ガンだってことがわかったんだ。もってあと一年老いの血だって、担当の医者が行ってた。p.100

ねぇここは本当に現実ですか。僕の母親は肺癌で僕は28歳になっても社会に上手く馴染むことが出来なくてむしろドンドン疎外感を感じ始めてる。違う。自分を殺せばいい殺せばいいんだって思ってかs場歌を無限に捲るんだけれども血が出るだけで僕は生きています、ハァー。頑張って大学まで行ったのにアルバイトでお金も全然なくてねぇ猛毎日が厭になった湯根あれもほしいしこれもほしいしねぇでもそれを得るためには私は凄くならなくてはならない。社会をさぁもうさぁ上から圧迫させるようなさぁ権力を持たなくてはならない。でもそれはやっぱり難しそうだからなさぁこういう状況に差ぁ甘えている訳でさぁ、えねぇこの生活跡何年続くんだと思う?僕ね、童貞なんです。童貞(メス)なんですよ。え?なんで処女を名乗らないのかって?悲壮感があるから。処女なんていう純潔な言葉ではこのワンルームの悪夢は言い表せないでしょう?ねぇ、もう一度聞きますねここは本当に現実なんですか、夢なら早く醒めろよ!!!!なぁ!!!!!おい!!!!きいてんのか!!!!夢と言って現実逃避してるんじゃねぇよ!!!!しねしねしねしねしねしねしね!!!!!!!死ね!!!!!

 

「糸」

ああ、なんだろうこの涙。何?兄?気持ち悪いなぁ、泣くのって。ああでも私、何やってるんだろう?p.114

僕には過食症拒食症の経験もないから分からないが、時々全部何やってるんだろうとなくことはある。寝て忘れても、数時間もすれば「死にたーい」、要するに不意にこういう爆発は僕のコロナにおいても頻繁に発生している。

「・・・・・・もしもし」

私は、新しい声で言った。p.117

けれど主人公が最後希望ある方へ舵切っていく終わり方をしている。それは、まゆ先生の心にわずかに残る「生きたい」が反映された終わり方ではなかろうか。晩年には大検とってるわけだし。

 

「満月」

人間なんて音の変化の副産物に過ぎないのかもしれない。人間やその他の総ての動物は心臓の音を世界に響かせるために産みだされたのだ。CDやラジカセは音楽を鳴らすためにあるが、あたしたちはそのラジカセに過ぎないのだ。世界を支配しているのは音楽だ。p.127

僕達はスピーカーだったのか。成程!!成程!!

では、地面から湧き亜上がるこの音楽をみんなで大きな声で歌いましょう!!!

「私は健康です!私は幸せです!私は健康です!私は幸せです!」

・・・え?

違う?

何が違うって言うの?

じゃあさ、君の音楽ってやつをさ、聞かせてよ(笑)

この世に存在するすべての言葉が僕達の救いになりえないようにこの世に鳴り響くすべての音楽は僕達を導く讃美歌になりえない。

ので、トロロアオイの花束を。これが・僕の・気持ちです。

 

「空気感染」

車の中の空気すごいよさそう。それだけでもうあたしは、あの車に乗りたいという衝動を、振り返った瞬間からもう抑えられなくなっていたんだ。p.161

あたしがどーていすてるときもこーいう感じなのかな。

 

「たった二人の大人」

「いや、誰一人として本当のことなんて若茶いなかったんだ。大人たちはみんな、『知らないのは自分だけだ』と思い込んでたんだよ。それがバレるのが恐かったんだ」p.178

例えば確定申告の仕方であるとか社会への対応方法とか愛のはぐくみ方であるとかミルクティ作るのイ絶妙な牛乳と紅茶の量の比率とか市政とか戦争とか、どうして今私と言う存在はここで私として存在し明日も私であり続けるのだろうとか。

私達は何も知らないけれど、私ももう28ちゃいになったので、立派に知らないふりが出来ます。

 

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

もしも心がこわれた時は

あたしはさけぶ さけんでこわす 

でも こわしたら 

もっと悲しくなって

もっと こわれる こわれてめちゃくちゃpp.192-293

凄く分かるねぇ、僕達は一回壊れてしまったんだよだからもう再生することは叶わないし健全に生きることは叶わないしもうどうしようもないっていう絶望を知ってしまったからにはもう僕達はダメなんだよ。ダメ。

壊れちゃったものはどうしたら、なおるんだろ。

耳から溢れ出る苺ジャム。

眼と口から溢れるブルーベリージャム。

こわれちゃったからね。仕方ないです。

ずっとブルーベリージャム吐いてますがまぁ顔より下は通常と同じ何で気にしないでください。多少甘い匂いがするかもしれませんが。これが通常なので。

 

「愛してる・愛してない」

俺たちは今日も恩恵をうけて生きている。俺たちを結びつけている、白いちいさな粒の。p.201

2022年の錠剤にはSNSって刻まれてます。

 

「サクラ」

「罪深いな」とサクラは呟いた。p.205

男性にとってのSEX、女性にとってのSEXが如何様なモノであるのかをまゆ先生が懸命に考えた文章のように思うのです。

男性にとってはそれは睡眠欲・食欲の延長線上にしか過ぎない。だからサクラは罪悪感を感じるんですね。

女性にとってはそれは解放。城塞から解き放たれた凧は空高くたなびくでしょう。だから主人公はこんなにもサクラを愛することが出来るんですね。

愛は自由の口実になるから。

 

「トランス・トランス・フォーエバー」

あたしこのままぜんぶえきじょうかしてせかいにかくさんできるのかなぁー。p.242

ねぇ私が死ぬことで私が粒子化し、あの時の先輩やあの時の君や今いる日本ン全国の人々が呼吸する時に口に入ることが出来るのであれば、それは悪くない気がする。フォーエバー、愛は永遠に。

 

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以上である。

結論なんか思春期(鬱気味)がぎゅって詰まっていて読者よ、その重さに耐えられるのか?!ていう本だった。

確かに稚拙な部分はあるけれど危うげな思春期のきらめきが凝縮された文章。

憂鬱な人には是非おすすめしたい。

 

 

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でさ、読み終わったらさ、

あのさ、僕と、櫻井まゆちゃんと、一緒に手をさ、繋いでさ、

フェンスを乗り越えてさ、

青春時代にさ、飛び降りようよ。

 

 

***

 

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