小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

小説

貫井徳郎『慟哭』-悲痛。-

仰天はしない。 悲痛。 貫井徳郎『慟哭』(東京創元社 1999年)の話をさせてください。 【あらすじ】 連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判を受けて懊悩する。 異例の昇進をした若手キャリアの社長をめぐり、 警察内に…

三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』-ある程度草むしりしながら天海祐希を嗜みませう。-

女達の日常は、 本人も気づかないくらい濃いのだ。 三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社 2018年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ここは杉並の古びた旅館。 父の行方を知らない刺繍作家佐知(さち)と気ままな母・鶴代、 佐知の友人の雪…

瀬尾まいこ『強運の持ち主』- いい占い師≠必ず当たる占い師。-

いい占い師≠必ず当たる占い師。 瀬尾まいこ『強運の持ち主』(文藝春秋 2009年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、 ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。 ショッピングセンターの片隅で、 悩みを抱える人の背中…

梶山季之『せどり男爵数奇譚』-古書の上で踊る踊るせどれ。-

「せどり」って、そんな昔からいたんだ。 梶山季之『せどり男爵数奇譚』(筑摩書房 2000年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ”せどり”(背取、競取)とは、 古書業界の用語で、 掘り出し物を探しては安く買ったその本をほかの古書店に高く転売することを…

小説トリッパー編集部編『20の短編小説』-二十人二十色。-

短編がつまらない作家の作品が、必ずしもつまらないとは言えないが、 短編がおもしろい作家の作品は、約束しよう。必ず面白い。 小説トリッパー編集部編『20の短編小説』(朝日新聞出版 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 人気作家20人が「20」をテ…

羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』-ゾンビから見る人生観-

あなた、まだ、自分が生きていると思っているんですか?p.013 冒頭、 筆者編集者が 読者売れない作家に 向けた言葉。 羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』(講談社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 全世界でゾンビが発生した。 作家・Kは…

筒井康隆『ロートレック荘殺人事件』-叙述せよ。-

犯人は誰だ。 筒井康隆『ロートレック荘殺人事件』(新潮社 1995年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘達が集まった。 ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったか…

綾辻行人『十角館の殺人』-はえ〜トリックびっくりくりっくりとしか言えない。-

小6の僕にこれを手渡しても、 「分厚いよ。あと絵がかわいくない」 すぐ突き返しただろうね。 綾辻行人『十角館の殺人』(講談社 2017年※読んだ限定愛蔵版の発行年数)の話をさせて下さい 【あらすじ】 エラリイ、ポウ、ヴァン、アガサ、オルツィ、ルルウ、…

鹿島田巻希『冥土めぐり』-女が女を描いた小説っていいよね。-

回顧。 過去はいつまでも色褪せない。 すべてすべてしんだんだ。 鹿島田巻希『冥土めぐり』(河出書房新社 2015年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 ●「冥土巡り」 子どもの頃、家族で行った海に臨むホテル。 そこは母親にとって、一族の映画を象徴する特…

原田宗則『劇場の神様』-因縁の小説-

因縁の小説。 僕はこの小説をどうしても好きになれない。 原田宗則『劇場の神様』(新潮社 2002年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 もともと、手癖が悪かった一郎は 中高時代から母親を何度も泣かせていた。 高校卒業とともに追い出されるようにして東京…

森見登美彦『夜行』-図書館で借りて良かった、そう思える一冊。-

なんだろうなぁ・・・この人の小説は世界観が命であって、 そこが揺らぐと駄目だと思うんですよ。 駄作になっちゃうと思うんですよ。 森見登美彦『夜行』(小学館 2016年)の話をさせて下さい。 表紙は、いいんだよなあ。 ※酷評記事になります。 本作が好き…

櫻井秀勲『「適職」に出会う5つのルール 自分に会う仕事に就くことで人生は開ける!』

川柳読みますね。 適職 ああ適職 適職 まぐろどん 櫻井秀勲『「適職」に出会う5つのルール 自分に会う仕事に就くことで人生は開ける!』(きずな出版 2017年)の話をさせて下さい。 【概要】 文芸書を数多く手がけ『女性自身』の編集長も務めたことのある筆…

窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』-僕等は「母親」「父親」になれない気がして、-

家庭をもったばっかの僕らのささくれは。 窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』(KADOKAWA 2014年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 幼稚園を出て小学校に通い中学受験をし大学までストレート。 マンションで専業主婦をする主人公だったが、 息子・有君の…

福澤徹三『盛り塩のある家』-後味悪き実話怪談-

福澤徹三『盛り塩のある家』(メディアファクトリー 2012年)の話をさせて下さい。 【あらすじもしくは概要】 『幽』に連載していた、 実話怪談集を単行本化。 家の中で・・・会社で・・・心霊スポットで・・・ 近所で・・・公園で・・・ あらゆるところに恐…

小山田浩子『穴』-嫁ぐ。-

嫁ぐ。 小山田浩子『穴』(新潮社 2013年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 夫の実家の隣の一軒家に、 引っ越すことになった私。 人の好い姑、 呆けているが優しい養祖父、 良い関係性を築いている夫、 そして派遣社員からの専業主婦、 コンビニまで歩い…

倉狩聡『かにみそ』-現代版カニ小説。-

かにが嫌いな人はいない。 倉狩聡『かにみそ』(KADOKAWA 2013年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 職に就いていない青年である私は、 流星群の翌朝、ごみと海藻が産卵する浜辺で蟹を見つけた。p.7 砂から始まり、野菜、魚、肉と食べる蟹に 私はあること…

京極夏彦『虚談』-小説上に虚ろな話を成立させる必要性はあるのか。-

虚の話をしようか。 京極夏彦『虚談』(KADOKAWA 2018年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 私は高校の同級生大垣に呼ばれ、 久々に居酒屋に足を運んだ。 彼が口にしたのは、卒業直前に火事で亡くなった清美の話で・・・(「レシピ」) 「幽談」「冥談」「…

群ようこ『働かないの れんげ荘物語』-月10万円でも、くらせる。-

働かなくても、幸せは見つけられる。 群ようこ『働かないの れんげ荘物語』(角川春樹事務所 2013年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 大手広告会社に勤めていたキョウコ(四十代中盤 独身)は、 会社を辞め仕事にも就かず、 月10万円の生活費でれんげ荘…

藤野可織『パトロネ』-澱んだ空間を練り込む-

空間を読む。 藤野可織『パトロネ』(集英社 2012年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「妹が大学に上がる年になった。私と同じ大学に入学することになり、綿足の澄んでいるワンルームマンションに引っ越してきた。」p.7 そこで私は五畳もある、お気に入…

倉橋由美子『大人のための怪奇掌編』-大人のための幻想譚-

ホラー?好き!! 短編?好き!! 倉橋由美子『大人のための怪奇掌編』(宝島社 2006年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 海を見渡せるレストランで嗜む赤いワインは・・・ 第一夜 ヴァンピールの会 家宝であるお面をつけると、女は・・・ 第一〇夜 鬼女…

京極夏彦『厭な小説』-ああ厭だ。-

―――――厭だ。 京極夏彦『厭な小説』(いやなしょうせつ) 祥伝社 2009年の話をさせて下さい。 【あらすじ】 厭な上司と折り合いをつけ付き合えば同僚・深谷(ふかたに)から愚痴愚痴聞かされ 会社まで2時間かかつ郊外の家に帰れば、 流産以降うまくいかない妻…

村上龍『新装版 コインロッカー・ベイビーズ』-近未来の狂った東京は色褪せない。-

この腐敗した世界に俺達は。 村上龍『新装版 コインロッカー・ベイビーズ』(講談社 2009年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 一九七二年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。 母親を探して九州の孤島から消えたハシを負い、東京へとやって来たキ…

村田沙耶香『コンビニ人間』-幸福論にいらないよ。お前なんか。-

幸福に、他者の視線は必要か。 村田沙耶香『コンビニ人間』(文藝春秋 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 大学入学と同時にはじめたコンビニ、スマイルマート日色町駅前店のアルバイトを、 18年間続けて来た私。 働き始めてから「店長」は八代目。 …

山田詠美『放課後の音符』-甘酸っぱい恋の瞬間を、聞いた僕等は-

女の子には、 女の子たらしめる理由があるの。 山田詠美『放課後の音符(キイノート)』(新潮社 1995年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 初恋、失恋、セックス、性・・・ ハイヒール、香水、長い髪、シャネルの口紅、ジントニック、ベッドの上で揺れる…

河崎秋子『肉弾』-もう一度僕等は生まれる。-

生き残らねば。 河崎秋子『肉弾』(KADOKAWA 2017年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 大学中退後ニートをしていたキミヤは、 建築会社を経営する父親に連れられ、北海道に降り立った。 狩猟に来たのだった。 いつものように鹿を狩るものかと思っ…

沼田真佑『影裏』-遠い。-

うーん。 難解。 沼田真佑『影裏』(文藝春秋 2017年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 東北地方。 わたしは釣りを趣味にしており、 よく友人の日浅と出掛けた。 だがある日釣り場所に向かっていると・・・ 「水楢(みずなら)だ、今野。水楢」 通学路上…

恒川幸太郎『夜市』-怖さより、切なさ哀切極まるラスト-

悲しくて、切ない。 右手には本を、左手にはハンカチを。 恒川光太郎『夜市』(角川書店 2005年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「夜市が開かれるそうなんだ」p.9 大学二年生のいずみは、 高校時代バイトを共にした裕司に誘われ、足を運ぶが・・・(表…

中野京子『中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇』

「怖い絵」シリーズを読破したのだ。 このシリーズだって、読破したい。 中野京子『中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇』(文藝春秋 2013年)の話をさせて下さい。 【概要】 「怖い絵」シリーズで知られる中野京子が、 歴史の1シーンを切り取った歴史…

村田沙耶香『殺人出産』-僕等の『正常』は常に殺され常に産まれる。-

ディストピアか、ユートピアか。 近未来、パラレルワールドを舞台にするが、 そこは現代。現代なのです。 村田沙耶香『殺人出産』(講談社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 10人産んだら、1人殺せる。 命を奪うものが命を造る「殺人出産システム…

三津田信三『のぞきめ』-集落を舞台にしたホラーミステリ。-

隙間が怖い。 三津田信三『のぞきめ』(角川書店 2012年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「首無の如き祟るもの」等ホラー×ミステリーの文筆業で生業をたてている僕は、 ミステリ評論家の千街晶之からライター、南雲桂喜を紹介される。 「四十澤想一(あ…