小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』-何がえ?何があ?何がえ?何があ?拙僧おこなる一遍也-

 

なんだろうな。

ファンなのはわかるんだけど、多分アマチュアに書かせたほうが「ぽい」もの書けるんじゃないかな。

ていうか、こんなもんしか書けないのか・・・軽く失望なんだが。

 

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』(講談社 2018年)の話をさせてください。

 

 

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【あらすじ】

異様な世界観。複数の伏線。先の読めない展開。

想像を超えた結末と、それに続く恐怖。

もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。

待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。

各話読み味は異なりますが、決して最後まで気を抜かずにーーー

では始めましょう。

朝井版「世にも奇妙な物語」。

 

裏表紙より

 

【読むべき人】

いない。

【読まないべき人】

世にも奇妙な物語のファン

朝井リョウのファン

・読書好きで本作が気になっている人。やめとけ。

 

【感想】

がっかりである。

本当につまらないし、鼻につく1冊。

 

まず裏表紙のあらすじから僕はもう気に食わない。

何が「---では始めましょう」だよ。こんなんなら始めなくてよかった。

てかなんだその言い回し

口語的表現を一般小説の裏表紙でがーがー書いていいものか。

こんなくっせえ日本語書くんだったら、初めの一遍のあらすじ書いてくれたほうがよっぽどまだマシだわ。

そもそも、ここを書くのは編集者だと聞く。

だとしたらもう僕はそいつの鼻面をぐしゅっと潰したい。

この文章を書いた人物(=編集者)があまりにも前に出てきすぎている。

あくまで主役は作家。

その作家が活躍できる場を整えるのが編集じゃないのか。

裏方こそが編集者の立場じゃないのか。

それをこんな陳腐な文章で埋めてしまってしょうもない。

よく読むと前半も体言止めばかりで、稚拙な文章だとわかる。編集者とは思えない。

よく上司も校正も朝井もこれにオッケーだしたものである。

これ書いた編集は今、今すぐ一刻も早くクビにしてほしい。向いてないよ。お前。

 

そんな編集が見守った本なんだから、

まぁ面白いはずもないよね?

 

まず筆者が「世にも奇妙な物語」好きということで本作を書いたというのだけれども、

ほんとうですかぁ?と言いたくなる。

 

まず世にも妙な物語というのは5話(近年では4話)で番組が成立している。

ハッピーエンド、どっちともとれるエンド、バッドエンドの比率も2:1:2(もしくは1:2:1)程度。とにかく1話はハッピーエンドが入っている。

ところが今作は違う。

全てがどちらともとれるエンド、バッドエンドで終わっている。ハッピーエンド、ゼロ!!wwwww

え、ほんとうにみてるんですかぁ?

正直そこだけだったらここまで煽らない。

ただ第二話と第三話、この2つの話はハッピーエンドでも十分成立した話である。

というかハッピーエンドになるべくしてなるところを無理やり後味悪くしている節がある。

本当に世にも奇妙な物語が好きだったら、ここはハッピーエンドで普通にしめるべきってわかったんじゃないですかぁ?

え、ほんとうにすきなんですぁ?

何がえ?何があ?何がえ?何があ???

東海地方住民の僕としてはそう煽りたくなる短編。

多分無能編集者が世にも奇妙な物語ならここはバッドエンドにしたほうがいいんじゃないっすかねー」とかタリーズ当たりで朝井に吹き込んだんだろう。あああああ!お前お飲んでるそのコーヒー頭からばしゃああ!!ばしゃああしたい!!!!

 

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以下各話の感想を述べる。

しいて言うなら好きなのは4話。

おおいにネタバレを含む。

 

第1話 シェアハウさない:取材のためにシェアハウスに住み始めたライターの浩子は?

本筋が、最後までスムーズにいったので読みやすかった。

ただ不必要な情報が多いわりに、情報の欠如が目立つ。粗がある。

過多。例えば友人のれいなのケーキの設定。そこまで作りこむ必要あるか?普通にカフェでよくないか?編集者が一丁前に使っている(であろう)チェーン店のカフェでよくないか?

欠如。例えば真須美の設定。この人物は「四十代くらいだろうか、おそらく化粧もしていない女性」p.13 とあるが、最後にするっと「老婆にしか欲情しない」p.71と出てくる。

え?なんで?

40代の女性がなんで老婆にしか欲情しないの?

そこ描くべきじゃね?

気になる事実のみつきつけて終わるから質が悪い。

というかこんな凡庸なサスペンスで終わるならば、40代女性が老婆に欲情に至る経緯を描いた純文学のほうが面白そうである。知らんけど。

まぁ無理やりその場でつけくわえた設定性癖感満載なんですけどね。

 

第2話 リア充裁判:「コミュニケーション能力促進法」が施行され、本当に身についているかどうかを確かめる「リア充裁判」に召集された知子だったが・・・

「全部漫画でした~」所謂夢オチに近い話。

ただ今時読書をする人って「コミュ障」側の人が多くて、

読者の共感を最後まで得て得て得て得て最後の最後の最後の最後にバッドエンドたち悪い。

ましてや一話目絞殺エンドで終わってるのに二話でこれって。

逆に現実に最後に引き戻すことで、筆者の主張を強める効果をねらったのかもしれないがどうもその主張部分もいまひとつぼんやりしている、気がする。

そもそも漫画家デビューでも志さない限りこんな細かいところまで描けないでしょ。

てか描いててもギャルが今時漫画なんて読まないでしょ。

これじゃあただただ知子がカワイソウカアイソウ・・・。

 

第3話 立て!金次郎:金次郎が保育士として勤務する保育園の運動会が近づいてきて・・・

金次郎が四苦八苦して、園児(とその家族)の一大イベント運動会を成功させるまでを描いた話である。

なのに最後のブラックな結末・・・いるか?え、いる?

実際こんなママ会してる人達なんていないでしょ。スカッとジャパンくらいにしかいないよ。

こういった結末を「先の読めない展開。想像を超えた結末、それに続く恐怖」馬鹿のように手をたたいて称賛しているとしたらそんなん高校生と知能同レベル。文芸部の同人誌を読みたいんじゃない。

確かに想像は越えたよ。

まさか朝井がこんな結末書こうものとは・・・。

 

第4話 13・5文字しか集中して読めな:ニュースサイト運営会社で働くワーキングママ、香織は憧れの須永に追いつくため四苦八苦するが・・・。

まあせいぜいこれが世にも奇妙な物語「良作」といったところか。第1話も悪くはなかったが「老婆に欲情」が全てもってったため凡作カウント。

芸能ニュース記者を潔く切る一遍。

まぁ香織がかわいそうなこともなくないが・・・。

 

第5話 脇役バトルロワイヤル:俳優、溝淵淳平がやってきたのは新作部隊主役オーディション

実在する俳優をパロったもので、その掛け合いを楽しむ小説である。

欠点としてはまぁ、長い。長く感じる。こういう作品ってキレっ、キレである程度「うほおまだまだ読んでいたいンゴ~」ってなるくらいの長さがちょうどいいと思ってるんだけど・・・まぁ長い。

というのとパロディにおいて不可欠な観察眼の鋭さが微妙。鈍い。なんか新しさがないというか、ドラマをあまり見ない僕でも書けそうなことしか書いてないというかなんつうか。

そもそも溝淵君、ゆうて君、脇役か?

もっと言えば本家の世にも奇妙な物語にこういう展開ありましたか?オーバーする展開ありましたか?え?ほんとにみてるんですかぁ?

こんな中途半端な中編書くのだったら、ちゃんと世にも奇妙な物語を意識した潔い短編で終わってほしかったです。

 

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まぁそもそも世にも妙な物語×朝井リョウというコンセプトが悪かったのかもしれぬ。

世にも奇妙な物語といえば、奇抜な展開で見せる作品が多いように思う。最近で言えば杉咲花ちゃん主役「蓋」とか。

朝井リョウは一方で、主人公の気持ちを的確な日本語で描写してきたから人気なんじゃないのか?

純文学のようにくどくなく、シンプルな日本語で共感を得る。

だから多くの人がぶち当たる就活を題材にした「何者」が人気になったんじゃないのか。

展開で読ませる作家に書かせたら本作は傑作になりえたのではないか。まぁ百田先生とか。ブックオフの100円コーナーに安易に並ばない作品になると思うよ。

 

以上である。

なんかすごく鼻につくのと煽らずにはいられなくなる一冊。 
普段からアンアンの誌面ラジオのコーナーはチェックしている、しているだけあってその分出来にがっかり。

長くなった。批判記事が長くなるのもなかなか考えものである。

 

20の小説の時の朝井先生はよかったんだがなぁ・・・。

 

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