小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

小説

吉本ばなな『キッチン』-あわい感情を、きらきらと、ふちどる。-

辛い時・疲れた時、僕はこの作家の本を読む。 吉本ばなな『キッチン』(新潮社 2002年)の話をさせて下さい。 ※改名前なので苗字が漢字表記です。 朝焼けは案外暗かった。 【あらすじ】 唯一の家族であった祖母を亡くした大学生・桜井みかげは、 青年・田辺…

小池真理子『怪談』-死者の想い、生死のあわい-

ホラー・ミステリ好きの僕にとってこのタイトルは見逃せなかった。 小池真理子『怪談』(集英社 2017年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 20年前、友人が身を投げた岬。 その近くの、彼がこの世で最後に宿泊したペンションを訪れるが・・・・(「岬へ」)…

阿刀田高『心の旅路』-美しい女性の甘やかなホラー-

阿刀田高先生。 おそらく日本国民ほぼ全員がこの名前を目にしたことがあるんだろうけれども、 多分読んだことある人はあんまいないと思うんだ。 断言しよう。 読んだ方がいーよ。ほぼ確実にブックオフの100円コーナーで買えるので。 阿刀田高『自選恐怖小説…

本谷有希子『嵐のピクニック』−現代日本メルヘンの13-

奇妙で、独創的で、鋭利で、チャーミングで、ロマンチックで、5gのガーリー。 1編1編そんな魅力的な世界がぎっしり詰まった短編集。 本谷有希子『嵐のピクニック』(講談社 2015年)の話をさせて下さい。 【ストーリー】※一番初めの短編「アウトサイド」 向…

綿矢りさ『憤死』-著者随一の駄作-

読んだ僕が憤死しそうになった。 綿矢りさ『憤死』(河出書房新社 2015年)の話をさせて下さい。 【ストーリー】(表題作) 小中の頃に仲良くしていた、醜い親友が自殺未遂をしたという。 見舞いに行った私は、理由を聞いたとき、ある言葉を思い出す。 「憤…

藤野可織『爪と目』-「あなた」との、はなし-

ホラー・オカルト好きである僕は、 かの有名な「芥川賞」を受賞したホラーがあると聞いて ずっとずっと、読みたいと思っていた。 爪を噛みながら。 藤野可織『爪と目』(新潮社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】※表題作 母がベランダで事故死した…

群ようこ『働く女』-働いたところで彼氏ができるわけがない-

にー・・・転職活動中の僕は、いやい・・・、喜々としてこの本を手に取った。 群ようこ『働く女』(集英社 2002年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 百貨店、事務職、コンビニパート、元総合職、フリーライター、 女優、エステティシャン、呉服店店主、元…

J.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』-某芸人よりクセが強い-

「レモネードはいるかしら?」 女は男に話しかけた。女はミンクのコートを着ており、柑橘系のコロンをきつく匂わせていた。 赤毛(・・それはヘルメットの着用により薄くなっていたが)を震わせ、男は笑った。 「いらないよ、その代わり僕の靴下を脱がせてく…

殊能将之『ハサミ男』-理論派ミステリ掲げるアンチテーゼ-

2ちゃんねるのまとめサイトに 「おもしろい小説」「すごい小説」をあげる記事があると それを毎回貪るように読む僕。 そういう記事でほぼ毎回上がる小説があった。 ずっと「よみたいよみたいな」と気になっていたわけだけど、 その本の読書会をやると聞いた…

佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』ーばあさんのおもしろ「近頃は」ー

「昔はああだ」 「私の時代はこうこうだった」 「今の人たちはああがこうでそうだからだめだ」 耳に障るそんな年寄りの言葉群もこれだけ面白ければ、誰も文句は言うまい。 佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』(小学館 2016年)の話をさせてください。 【あら…

貫井徳郎『愚行録』−頂上に君臨する女について−

己の愚行を思い当れ。 貫井徳郎『愚行録』(東京創元社 2009年)の話をさせてください。 【あらすじ】 閑静な住宅街でおきた一家四人殺人事件。 真相をさぐるべく、五人の人物にインタビューを行うが・・・。 誰が、何のために、彼等を殺したのか。彼等は何…

小川洋子『夜明けの縁をさ迷う人々』−繊細な小川ホラーー

誰にだって好きな作家はいるもので、 その作家の短編集を読むときは珠玉のひと時なのは当たり前でしかも好きなジャンルとくればもうそれは「ちゃっわおっしゃー」 つまりなんだ。 控え目に言って、文庫を見つけた地点で超サイコー!!!だったわけだ。 小川…

町田康『夫婦茶碗』−クズが止まらないぜ!!−

クズ人間というものは、 周囲の人間から見れば困るが、 一歩下がってみるとなんとも滑稽で、面白い。 町田康『夫婦茶碗』(新潮社 2001年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】※2編収録の中編集 ●夫婦茶碗 金がない、仕事もない、家庭に潤いもないわたしは、メ…

国実マヤコ『明日も、アスペルガーで生きていく。』ー生きにくい僕等はー

「アスペには理解できないコピペ」 全部理解できたから、 多少仕事が出来なくとも自分に違和感しようとも、 僕は無縁だと思っていた。 国実マヤコ 西脇俊二監修『明日も、アスペルガーで生きていく。』(ワニブックス 2017年) の話をさせてください。 【読…

よしもとばなな『ハゴロモ』ー苦しい人を、優しくしかし力強く肯定するー

羽衣を、天女が掛けたという松が僕の故郷に残っている。 もしかしたら僕の町が出てくるかもしれないな、とか軽い気持ちで僕はこの本を手に取った。 あと表紙、かわいいなって。 よしもとばなな『ハゴロモ』(新潮社 2006年)について話をさせて下さい。 【あ…

田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』−30年前も女性は、恋をするー

ジョゼ、って何だよ。 何の、名前だよ。 僕はそう思ってこの本を、手に取った。 田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』の話をさせてください。 田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』(角川書店 1987年) 【あらすじ】(※表題作) 足の悪い「ジョゼ」は、祖母と静かに暮…

高橋克彦 京極夏彦 夢枕獏他『さむけ』ー「良作」ホラー短編集ー

僕は短編集が好きだ。 特に不気味・不思議系の話が好き。 だからタイトルを見た刹那、脊髄反射でこの本を手に取っていた。 高橋克彦 京極夏彦 夢枕獏他『さむけ』と、最後に僕が思う名作ホラーの条件の話をさせてください。 高橋克彦 京極夏彦 夢枕獏他『さ…

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』−干からびてるOL達へー

皆さんは元気ないときどうします? 小説読みます、それとも小説読みます??あ、やっぱり??わかるー。 誰の小説読みます? 僕は山崎ナオコーラ先生の本を読むとついさっき決めました。 山崎ナオコーラ『浮世でランチ』の話をさせてください。 山崎ナオコー…