小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

小説

立原透耶『ひとり百物語 怪談実話集 闇より深い闇』-実話怪談という、娯楽-

実体験系というものは、 怖い、というより、面白い。 立原透耶『ひとり百物語 怪談実話集 闇より深い闇(幽BOOKS)』メディアファクトリー 2011年 の話をさせて下さい。 【あらすじ】 霊感のある作者・立原が、 知人・学生・作家・親族・そして立原自身の 体…

太宰治『人間失格』-多分僕だけじゃない。この世に生きるみぃーんな、ははっ-

僕も失格だよね、はは。 太宰治『人間失格』(集英社 1990年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 私の元に、三枚の写真と手記が届く。 そこには一人の男・大庭葉蔵の半生が描かれていた。 女、酒、薬、自殺、そして自らの憎むべき性質。 作品感性の1か月後…

森絵都『つきのふね』-青春地獄は此の世。飢餓は僕。-

疾走する中学生小説。 犯罪小説。 森絵都『つきのふね』(角川書店 2005年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 1998年冬。ノストラダムスの大予言まであと1年。 女子中学生・さくらは、親友・梨利を裏切ってしまった。 寂しさを埋めるかのように、24歳の智さ…

山白朝子『山白朝子短編集 死者のための音楽』-音楽のように美しく、-

透明感あふれるホラー。 山白朝子『山白朝子短編集 死者のための音楽』(メディアファクトリー 2007年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 「婆ちゃん、どこ行くの」p.124 孫の阻止を振り切り、川へ向かう老婆。 あの子の名前を呼ぶために。 人と鬼の物語。…

初野晴『初恋ソムリエ』-クラリネットはさ、リアルでもクセ強い人多いよね-

青春×ミステリ×エンタメ。 初野晴『初恋ソムリエ』(角川書店 2011年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 進学と同時にフルートを始めた高校生・チカは、 幼馴染のホルン奏者・ハルタと幼馴染。 二人は吹奏楽部(部員10名p.128)に所属している。 顧問の新…

岡部えつ『枯骨の恋』-独身中年女性の憂鬱を綴る。-

しおれた恋愛談。 岡部えつ『枯骨の恋』(メディアファクトリー 2009年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 男との関係が長続きしない、 独身の中年女・真千子。 彼女の部屋に、背の高い骸骨がぶら下がっている。 それは、かつて若かりし日に体を交わし、愛…

立原透耶『ひとり百物語 怪談実話集 悪夢の連鎖 』-日常に潜むひそやかな不思議-

人から聞いた怪談は、 面白い。 立原透耶『ひとり百物語 怪談実話集 悪夢の連鎖(幽ブックス) 』(メディアファクトリー 2012年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 霊感のある作者・立原が、 知人・学生・作家・親族・そして立原自身の 体験した、 百の実話…

ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳『朗読者』-傷は癒えない。-

真面目なオネショタ オバショタ ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳『朗読者』(新潮社 2000年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 黄疸で倒れた15歳のミヒャエルを乱暴に世話見たのは、 ほぼ母親と年齢が変わらない女性・ハンナであった。 そのうち彼女…

初野晴『退出ゲーム』-ユーフォニアムは響かない。-

響け!!ユーフォニアム、 というけれど、 響かなくても面白い吹奏楽小説はある。 初野晴『退出ゲーム』(KADOKAWA 2010年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 進学と同時にフルートを始めた高校生・チカは、 幼馴染のホルン奏者・ハルタと幼馴染。 二人は…

トーン・テレヘン 長山さき訳『きげんのいいリス』-疲れた心に、広がる森。-

機嫌がいいことにこしたことはない。 トーン・テレヘン 長山さき訳『きげんのいいリス』(新潮社 2018年)の話をさせて下さい。 表紙可愛いんだよなぁ。 【あらすじ】 きげんのいいリス、引っ込み思案のアリ、 夢見がちなゾウ、考えることの多いカブトムシ、…

田中慎弥『共喰い』-血は流れ続ける。ずっと。-

芥川賞をニートが受賞した。 っていうのは、うっすら覚えている。 ニートの僕は、躊躇いなく、手に取った。 田中慎弥『共喰い』(集英社 2013年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 大きい川が流れる下町で育った遠馬は、 同じくその町で育った幼馴染の千種…

フランソワーズ・サガン 河野万里子訳『悲しみよ こんにちは』-20世紀の傑作少女小説-

うーん。 20世紀の傑作。 フランソワーズ・サガン 河野万里子訳『悲しみよ こんにちは』(新潮社 2009年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 もうすぐ18を迎えるセシルは、 プレイボーイ気質の父親とその愛人のエルザと 南仏の海岸へヴァカンスへ出掛ける。…

よしもとばなな『デッドエンドの思い出』-死と過去の匂いが漂う-

バッドエンドじゃない。 デッドエンド。 よしもとばなな『デッドエンドの思い出』(文藝春秋 2006年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 仲良い家族でお金にも困ることのなかった、ミミ。 しかし彼女は遠距離恋愛中の婚約者に、酷くフラれてしまう。 ショッ…

紅玉いづき『ミミズクと夜の王』-あなたがいい。-

あなたがいい。 紅玉いづき『ミミズクと夜の王』(アスキー・メディアワークス 2007年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 夜の王が鎮座する、魔物がはびこる夜の森に、 一人の少女が現れる。 「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」 愛の物語。 第13回電…

梨木香歩『西の魔女が死んだ』-再読してわかったこと、わからなかったこと.-

初めて読んだのは、12年前。 梨木香歩『西の魔女が死んだ』(新潮社 2001年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 中学生・まいは学校に行けなくなってしまう。 今まで順調に優等生だった彼女にとって、それは初めてのことだった。 そんな彼女に、日英ハーフ…

西加奈子『うつくしい人』-綺麗なだけではダメだ。-

癒やしの小説。 西加奈子『うつくしい人』(2011年 幻冬舎)の話をさせて下さい。 表紙は姉と百合と思われーる。 【あらすじ】 他人の目を気にしすぎてしまうアラサー・百合は、 ちょっとしたミスで仕事をやめ、 ふさぎ込んでしまう。 奮起し、雑誌で見た瀬…

入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん11 ××の彼方は愛』-史上最悪の続編-

あーもう台無しだよ。 僕の高校時代最も夢中に読んだラノベを蹂躙されるとは思わなかった。 筆者に。 嘘じゃない。 入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん11 ××の彼方は愛』(KADOKAWA 2017年)の話をさせて下さい。 左さんのイラストの美しさがいまだ…

はやみねかおる『虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』

日本中にはびこる趣味読書野郎を生み出した、戦犯。 はやみねかおる『虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』(講談社 2009年)の話をさせて下さい。 文庫本より大きいけど単行本より小さい。 【あらすじ】 虹北恭助が日本をたってから早三年半。 お盆にも帰国…

東野圭吾『虚ろな十字架』-罪と向き合うことで、初めて君の十字架は。-

刑に服せば、罪は償えるのか。 東野圭吾『虚ろな十字架』(光文社 2017年)の話をさせて下さい。 何気なくこの表紙はほどよく真面目でほどよくデザインチックでほどよく内容を表していて 素晴らしい表紙だと思う。 【あらすじ】 中原道正・小夜子夫妻は一人…

ミヒャエル・エンデ 大島かおり訳『モモ』-小説の形をとった自己啓発書-

これは小説の皮をかぶった自己啓発書だ。 だから僕はあんま好かないな。 素晴らしい小説だとは思うけどね。 ミヒャエル・エンデ 大島かおり訳『モモ』(岩波書店 2005年)の話をさせて下さい。 岩波少年文庫は、大人も子供も同じくらい楽しめて読める優れた…

柴田よしき『紫のアリス』-おいていかないで、アリス。-

アリスはとうとう読者から離れ、 鏡の国へと入っていく。 おいてかれる。 透明な不思議の国に。 「アリスって、誰?」 柴田よしき『紫のアリス』(文藝春秋 2017年※新装版 本編293ページ)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 仕事をやめ、不倫を清算し終えた…

湊かなえ『贖罪』-女が背負う罪-

罪を贖え。 君だよ、君。 そう、女で生まれた、君。 まぁ・・・僕もなんだけどね。 湊かなえ『贖罪』(双葉社 2012年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 15年前、空気が綺麗な田舎町で美少女小学生・足立エミリが殺された。犯人は逃亡中。 その男の顔を見…

池井戸潤『空飛ぶタイヤ』-タイヤは現実を穿つ-

タイヤは、 外れて、 空飛んで、 上空で、弧を描き・・・・ 現実に、落下する。 強打。 池井戸潤『空飛ぶタイヤ』(実業之日本社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 赤松運送が所持するトラックのタイヤが、 走行中いきなり空を飛んだ。 タイヤは歩…

貫井徳郎『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』-ストレスを読む。-

女を書かせたら一流の作家。 男だけど。 貫井徳郎『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』(角川書店 2011年)の話をさせて下さい。 角川文庫のラノベチックな分かりやすい表紙は、嫌いじゃないです。 【あらすじ】(表題作「崩れる」) 売れないイラストレータ…

越谷オサム『陽だまりの彼女』-現代日本版ほのぼのいちゃいちゃパラダイス-

僕は犬派なんですけどね。 越谷オサム『陽だまりの彼女』(新潮社 2011年 本編:335ページ)の話をさせて下さい。 何気にこの表紙デザインも優秀だと思う。 覚えやすいし適度に可愛い。 【あらすじ】 広告会社に勤める僕・奥野浩介は、取引先との打ち合わせで…

村上龍『五分後の世界』-地上も地下も変わらぬ。生きねば-

生き残ってみせろ。 村上龍『五分後の世界』(幻冬舎 1997年 本編:293ページ)の話をさせて下さい。 よく見ると宗教画が描かれている表紙。 【あらすじ】 ランニングをしていた、はずだった。 気がつくと小田桐は暗いぬかるみの中を一列に、混血の男達と歩…

西加奈子『白いしるし』-身が爆ぜるような恋愛を-

恋愛は、爆発だ。 西加奈子『白いしるし』(新潮社 2013年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 バイトで食い扶持を繋ぎながら絵を描き続ける32歳の女・夏目。 訪れたギャラリーで見た、白い富士山の絵。 その絵の作者『間島昭史』を見た瞬間心が、掴まれた…

鷺沢萠『F 落第生』-人生は苦痛。それでも-

ガソリンスタンドの話だったことは覚えている。タイトルは思い出せない。 国語の教科書に載っていた小説を何気なく読み、そして最後ふと著者プロフィールを見る。 「さぎさわ めぐむ」と読むのかへぇ・・・・ あ。 亡くなっている。 若くして。 鷺沢萠『F 落…

千早茜『からまる』-二度と読むものか、こんな●●小説-

僕はこの作家、嫌いだな。 もう二度と読まない。 千早茜『からまる』(KADOKAWA 2014年)の話をさせて下さい。 表紙買いでした。 【あらすじ】 地方公務員の武生の家にふらりとやってくる、女。 転送から光が差し込むロフトで、彼女は蝸牛(かたつむり)の話…

筒井康隆『旅のラゴス』-僕等は旅の×××-

僕等はみんな旅の×××。 僕は旅のまぐろどんだし、君も・・・・。 筒井康隆『旅のラゴス』(新潮社 1994年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 北から南へ旅を続けるラゴス。 集団転移、顔を変える男、壁を抜ける芸人、卵を埋めている道、奴隷を集めてひたす…