小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

国実マヤコ『明日も、アスペルガーで生きていく。』ー生きにくい僕等はー

「アスペには理解できないコピペ」
全部理解できたから、
多少仕事が出来なくとも自分に違和感しようとも、
僕は無縁だと思っていた。

国実マヤコ 西脇俊二監修『明日も、アスペルガーで生きていく。』(ワニブックス 2017年)

の話をさせてください。



【読むべき人】
発達障害アスペルガーに関心がある人
アスペルガーと診断された人
・ちょっとうまくいかない人

【感想風】

三月。チェーン店の居酒屋。時計は鉄片を優に超えていて、空気はまだまだひんやり冷たい。
栗原類の本を渡された。
発達障害、だと思うんだ」
前職の人が僕をふざけて思ってるんじゃなくて真摯に思ってるって瞬時に分かったから、
「ああそうかもと思ってたんですよ、自分でも」
と浮ついた笑みを浮かべ心療内科に向かった。
待合室で渡された数々の□にチェックした紙、を見て、
アスペルガーの可能性が高いですね」
医者の目は真っ直ぐだ。

てなわけで、僕はまぁめっちゃ落ち込んだんですけど、
その日以来「アスペルガー」の文字を見ると瞬時に手がもう本に伸びているわけだ。
今回の本もそうだった。
・・・新刊で小説を買うなんてめったにないんだけど。

アスペルガーの人々を主人公にした短編集。8編収録。
17歳の高校生から、42歳のサラリーマンまで。
様々な男女の日々の違和感・苦しみを描いている。

思い当たる節は多々ある。
例えば
□自分のテリトリーを侵されるのが苦手
□極端にマイペース
□目を見て話せない
□他人に体を触られるのが嫌・そばに来られるだけで嫌
etcetc

各章最後にチェックボックスがあって、少なくて3つ多くて6つどんどんペケがついていく。ペケペケ。
ここで終われば精神メタメタざけんなやー、となるところだが、
必ず。
必ず各章ごとに書かれた巻末の、西脇先生の解説を読んでほしい
最後に一気では薄れる。小説の方の、内容が。忘れる。

解説に西脇先生は、丁寧にアドバイスを書いている。
ストレスを減らすため、具体的に何をどうすればいいか行動まで触れていて実用的。
短編も「引きこもり」「婚活がうまくいかない」等ちょっとうまくいかない人の話・アドバイスが収録されているので、そういった人達も読めば少し前向きになれるのではないかと思う。
西脇先生は僕等を否定しない。

短編も非常に読みやすく、後味の悪いものは基本的にはない。
むしろ普段の行動を顧みさせるようなエピソードも盛り込まれていて魅力的。ところどころ入る絵も、愛らしく優しい。
しいて言うならば、作者の本業が作家でないため若干内容が薄く感じるのが難点か。変な日本語はなく情景描写も取り入れており読むには十分なレベルだが。
一読して、僕は特に「CASE4 婚活の終わらない男」「CASE7 捨てられない女」が心に残った。
境遇が似てるというのもあるが、嵐。共感の嵐だった。

アスペルガーと診断されるのは100人に1人の割合で、もっと多い可能性もあるそうだ。
僕は思う。
そこまでの割合に来れば、病気ではなくただの「強い個性」ではないかと。
そう思わせてくれたのは、西脇先生の著書のおかげ。
特に本著のラストのページは悩んでる人、絶対に読むべきだ。
むしろこのラストのページの西脇先生の言葉のためにこの本を買ったといっても過言じゃない。



西脇先生監修の、この本も良かった。
西脇俊二 アベナオミ:イラスト『コミックエッセイ アスペルガー症候群との上手なつきあい方入門』(宝島社 2017年)
コミックと文章が交互の本。
コミックに出てくる夫のキャラがおもしろくて、同時にその夫に振り回される人々の心情もありありと書かれていて非常に興味深かった。僕もこうやって振り回していたのかもしれない。
「立派な変わった人を目指しましょう」
解説が心にしみる。文字がうるうるゆがむ。・・・先生、ちょっとこれ以上もう読めないっす。

発達障害言われる僕らは、まず僕らの性質を理解すれば自身のストレスも周囲のストレスも減らせるのではないか。
実は、僕の親もアスペルガーに近い傾向にあって、けど今管理職で出世している。働いている。
アスペルガーという自覚はないだろうけれども、自分の性質・性格は貫くというかうんまあ理解はしていると思う。
あんんだかんだ自己分析なのだ。就活なのだ。リクルートスーツ、面談面談。

閑話休題、結論。
僕は通った心療内科は途中忙しいのと、月3000円の治療費が痛手になって、通うのをやめてしまった。失職中の今もなおさら。
本当は、公式な診断を受けていない。診断を受けることが怖くて、僕は通うのをやめたのかもしれない。わからない。
金と時間が許せば、また行ってみようと思う。
僕が僕を理解するために。僕の明るい未来のために。