小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』−干からびてるOL達へー

皆さんは元気ないときどうします?
小説読みます、それとも小説読みます??あ、やっぱり??わかるー。

誰の小説読みます?
僕は山崎ナオコーラ先生の本を読むとついさっき決めました。

 

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』の話をさせてください。

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』(2009年 河出書房新社

【あらすじ】
中学2年生に上がった幼馴染の私と犬井。私はクラスに馴染めず、犬井は一年生の終わりごろから不登校になっていた。
その鬱屈を晴らすように、ある「遊び」を始めるが・・・。
11年後、OLになった私は、会社をやめて、旅に出る計画を立てていた。

【読むべき人】
・落ち込んでいる人
・転職する人
・干からびてるOL

【感想】※ネタバレない・・・・はず。
非常に繊細な小説。
10代半ば行き場のない独特な感情の表現が素晴らしい。
例えば、p.37-38におけ学校行くときの所作とか部活に関する記述とか、一つ一つ行動や癖が安易な表現で細かく書かれている。
非常に共感しやすい。
下手したらスポーツや吹奏楽といった熱い部活ものより、こっちの方が僕等が過ごしたリアルな青春に繋がるのではないかと思う。リマインド、リマインド。
「若くなくなった」「若者についてけない」とか言っているなんか干からびてるOLに読んでもらいたい。あの時の気持ちを思い出せるはず。

それと、キャラクター
女言葉を使うミャンマーとのハーフの「犬井」や、浮世離れした容姿を持つ「タカソウ」、委員長タイプの女子「新田」や小さいことを気にするであろう野球部の少年「鈴木くん」、そして教室で浮く「私」。 
強い個性と同時に「どこかにいそう」と思わせるような彼等は恐らくナオコーラ先生の前述した、繊細な表現をする力があったからなんだろう。
特に私は委員長系女子「新田」が気に入った。クラスメイトに向けられた彼女の気配りに、恐らく誰もが心当たりがあるはずだ。p.171における本心なんて、鮮烈で目を背けられない

読後感もよかった。
特に(7)なんてものは、干からびてるOL、読め。何度でも読め。もちろんそれまでのところ読んだうえで、何度でも読め。
僕等が過ごす日常は確かに重苦しいかもしれないが、日向は暖かいのだ。
何言ってるかわかんないけど、エーエム・ピーエムでエビドリアを買ってベンチで食べたくなる、はず。
ちなみに転職をして就活中のぼくはこのページは「ドッグイヤー」している。働き口見つからないし、6畳間に引きこもっているし、お金は減るし、僕も旅に出ようかな。



もう一冊、僕は山崎ナオコーラさんの本を読んでいる。
『カツラ美容室別室』。簡単に言うと、失恋小説。
ずっと好きだった人が友達と付き合って僕の内面エネルギーちゅどーーーん原子爆発〜の時に、読んだもので。
不思議なことにこれ読んだ後は、少し前向きになったんだな。
ナオコーラ先生の作品は、こうやって人の心に寄り添って寄り添って、少し前向きにするようなものが多い、、のかもしれない。まだ2作品しか読んでないけど。
次は有名なから始まる作品読もうかな。。


ちなみにこの『浮世でランチ』は「私」と犬井の話、と見せかけて、違う。違うんだな。これが。
それは是非本編を読んで確かめてもらいたい。
200ページにも足らず、深く読めばいくらでも読める純文学に属するが、文面においての難しい心情表現は少ないので、純文学になじみがない人達もぜひ読んでもらいたい。