小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

田口翔太郎『裏バイト 逃亡禁止3』-超えてこい。-

 

 

世の中金稼いでナンボ!!!

 

 

 

田口翔太郎『裏バイト 逃亡禁止3』(小学館 2021年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

【概要】

黒嶺ユメと白浜和美の2人は、各々の目標のために今日も裏バイトに従事する。

行きつく先に、是が非でもてにしたいものがあるのなら、人は皆、命を賭することに躊躇はないのだろうか。

生命をもてあそぶもの達が垂涎する。

 

※本作品は心身に多大な影響を及ぼす可能性がございます。閲覧は自己の責任において、十分に注意して行ってください。

これによって生じるいかなる損害について、一切の責任を負いかねます。

 

裏表紙より

 

【読むべき人】

・ホラーが好きな人

世にも奇妙な物語(怖い系)が好きな人

 

 

 

 

【感想】

やってきました裏バイト。僕が今唯一新品で買う漫画ですね。

意外と、僕が大好き丸善ジュンク堂新静岡セノバ店ではあんまり大きく展開してないです。そのまま背表紙で並んでます。反対でにでかでか並べられているのは「僕が死ぬだけの百物語」。さすがオカルト大好き丸善熟同新静岡店・・・尖っているぜ。

なので毎回買う時はあるかないかハラハラです。基本店頭に1冊しかないから。ハラハラハラミ。ひやひやおひや。

文芸コーナーには、オカルト大好き奇書を読む○○さんがいるのは把握しているのですが、恐らく漫画コーナーにはいないのかなぁ・・・。でもその割には「光が死んだ夏」でっかでかと展開しているしなぁ・・・。

あれ展開するなら裏バイトも展開してほしいや。多分数年以内には連続ドラマ化(※テレビ東京系のサブカル臭いあの枠)すると思うので・・・。

 

本巻は、多分本作品で一番有名な「学校用務員」が収録されています。出てくる怪異の姿がなかなかで一時期凄い騒がれていたやつです。

ただ、他「探偵助手」「温泉宿スタッフ」「ラジオ局AD」は比較的地味な印象。「学校用務員」があまりにもインパクトあったからというのもあるんですが・・・うーん、もうちょっとド派手なことやっててもいいのかなぁと思います。起きる現象も地味なイメージ。否、やっているんですよ。「探偵助手」で結構大々的に。作者的に予想を超える展開を読者にたたきつけたと思うんですけど、いや、結構なんか予想ついてたかな、といった印象。

正直2巻、4巻の方が面白いです。決して3巻、本書がつまらないということはないのですが・・・。

 

 

 

 

以下簡単に感想等述べていきます。言わずもがな一番好きな仕事は「学校用務員」ですね。実話怪談でも学校用務員モノは傑作が多いよね。

 

 

学校用務員(第25-27話)

勤務期間1週間 賃金630000円

和美「今回の仕事・・・今までと何か違う・・・」p.26

明里「・・・二人は・・・・辞めないよね?この学校・・・」p.27

安居さん「・・・でも・・・・・・もし、危ないと感じたら・・・いつでも辞めてくださって結構です」p.32

生徒「やめなよ。」p.46

怪異のビジュアルが圧倒的一作。これ何で描いているんだろう。コラージュ?「裏バイト」シリーズ怪物グランプリやったら間違いなくベスト3には入るでしょうね。

ただそれを取り巻く話が結構が多く、描写も足りていない部分がそこそこあるように思う。

謎。まぁ「いちょうさん」ですよね。謎が多い、と書きましたがもうそういうモノ。口裂け女、花子さん、いちょうさん。子供達の間でも、花子さん並みに噂になっているそういう存在。

だとしても、うーん・・・。なんか読んでて物足りない感じがすごいあるんですよね。痒いところに手が届かない、みたいな。

それは描写不足、必要な場面をページ数の都合でカットしたからだと思うんですよ。

冒頭、まず間違いなく生徒1人●される描写は必要だったと思います。おっさんの表情の変化に1ページ割くのであれば、そこで生徒の誰かが陰惨に死んでいる描写がないと、後編で出てくる噂の説得力がないんですよね。なんかよくわかんないうちにオッサン死んだけど、え?え?みたいな。描写不足を「考察要素」という言い訳でまかり通すな。

あと先生の描写。本作は先生が安居さん以外誰も出てきません。だから明里に「うちの学校の先生なんか変なんだよね・・・」とか打ち明けられても、ハァ・・・?と言った感じ。いきなり終盤変な格好して襲来されても、普段の顔を知らないからなんかいまいち怖さがぴんとこない。ただ

生徒が死ぬシーンと、先生たちの昼の顔のシーン。この2つは必須だったように思います。

間違いなく「先生」という設定を活かすのであれば、ギャップで恐怖感を煽るために必須だったのではないでしょうか。でもそれだと3話じゃあ足りないんですよね。絶対4話は必要だった。

あと本作は冬の中学校・・・東北や北海道の北国の雪積中学校の描写、雰囲気にこだわりたかったんだろうなぁ、とも思います。そこにスペースを割くならば、普段の中学校で働く先生の姿を見ておきたかったかなぁ・・・。

でもそういうぴーちくぱーちく垂れてる不満を全て「超えてくる」いちょうさんの存在・・・。

もう少し話がまとまってページ数があれば、もっともっと「超えられる」と思ったんですけどどうでしょうかね。創作と現実の境界とか、さ。

 

 

探偵助手(第28-30話)

賃金1000000円

緑澤「はあーあ、ほんと嫌になる・・・私、なんでこんななのって・・・うまれた時までさかのぼって考えたんです

きっと凶星の下に生まれついたんです。だってね、私が生まれた年、冥王星が・・・」p.57

緑澤「や・・・やっぱり甘くないですよねヤギさんは楽ショーなんて言ってたんですけど、わ、私なんかが才能なんてあるわけないし」p.72

白浜「裏バイトなんかしてる時点で、ここにいる人間皆どうしようもないから。仲間なんだよ。私達」p.78

結構ド派手な現象が起きているんですけどね・・・。特に多数の死者が出る数秒前のpp.92-93の描写なんかは圧巻。名シーンだと思います。

ただなんかやっぱ地味なんですよね。血しぶきシーンもあるし、競馬大好き八木さんの本格的登場回もあるんですけど・・・。

多分、多分なんですけど、緑澤由紀の死、ありきで作られた話だからかなあ、とも思ったり。

4巻まで読んでるんですが、彼女の死は白浜にとってかなりの衝撃で結構引きずるんですよね。恐らく「裏バイト」全体を見通した時に、彼女の死は不可欠な要素だった。

でも、正直登場した時から

僕「くっさ!!」

彼女からは死臭がぷんぷんしていた訳ですよ。キャラクター・ビジュアルがユメちゃんとちょっと似てるし、どんどん心開いていく様はまさしく死亡フラグだし。

だから死んでも正直驚きはなかった。

もっとドン引きする程グロテスクに残虐に死んでほしかったです。

読者に衝撃を与えるには、死にざまが綺麗すぎる。

吾妻史郎の存在は、彼女の死を引き起こすためのツールにしか見えなかったんですよね。

多分、1-2巻で彼の名前がメディアで取り上げられているような描写があれば、また印象は違ったと思うんですけど、うーん・・・というのが正直なところ。依頼がくる過程もなんか不自然だし。いやいや、普通競馬大好きクソ野郎の探偵事務所に依頼する前に本人のお宅訪問するでしょう。

それでもやっぱり先程の街中61名即死シーンや、吾妻史郎のお風呂場のシーン、苗字から名前呼びに変わるリアルな人間関係描写等見どころはあるんで、つまらなくはないです。ただまぁ物足りない。これに尽きる。

 

 

 

 

 

 

意味や意義なんてない・・・・ましてや意思なんて。そういったものは超越している。

難の話しって?名前の由来を聞いたり?

だから、意超さんって言うのさ。p.51

裏バイト全般に徹底されている矜持です。

現象に理由なんてない。

ただそこに現象はあるだけだ。

自然は世界は地球は幽霊は魂は僕達をありとあらゆる面で、超えている。

 

 

 

 

 

 

温泉宿スタッフ(第31話-第33話)

労働期間1ヵ月 賃金2500000円

武藤さん「頼みますよ。高いお金だって払ってるんですから。なんとか、あの温泉の謎を解き明かしてください」p.123

白浜「ああ、何度もこの宿に足を運んで会員になって、ようやくこの夢ノ湯に入れる。商売上手だよな。」p.116

八木「なんだい、まだ聞いてなかったのかい?「夢ノ湯」には若返りの効能があると言われてるんだ」p.134

若返る温泉宿編です。

これは真相は結構意外で面白かったですね。えそういう角度からくる?みたいな。

ただ、これもちょっと配分間違えているかなぁという印象。

八木さん出てきてるんですけどいらなかったんじゃないかな。白浜とユメちゃんで無理矢理真相に気付けたのではないか。結構八木さんにページを割いてますが・・・。

じゃあその八木さんに使っていたページで何を描いてほしかったか、というとまぁ・・・現在の武藤さんの息子さんですよね。

絶対いい息子なはずなんですよ。人格も完璧だし容姿も良い。武藤さんにも優しい。

息子の存在感が薄いので、この現象によってもたらされた悲劇の深刻さがあまり伝わってこない。

別に水自体が、意思があったって呪われてたって全く怖くないんですよ。悲しくもないしああそういう水なんだね、で終わる。すごい。Z世代の水って意思があってうg組んだ!で終わる。

その水によってもたらされた絶望後悔悲痛が恐怖へと変わるのであって、水自体が恐怖の対象ではない。

じゃあ、絶対息子を出すべきだったと思うんですよ。

台詞上だけで説明されても実感がわかないんです。小説じゃないんだから。

そこが非常に惜しく感じられた。

あと、現象の背景もほしかったですね。イチョウさんはルックスからもうそういう「モノ」、吾妻吾郎は人々が思い描く虚像イメージ、そしてこの後に続く地方ラジオ篇は女ストーカーの執着。

ただ本編は水がこぽこぽ動いているだけなんですよね・・・それが古来続く温泉由来なのか何なのか。現象自体が地味であるため、その分背景厚くしてほしかったな・・・。個人的には水型異星人説を推したい。

でも、この温泉宿篇の最後の炎燃え上がるクライマックスは、最高でしたね。

昂る。

震える。

あと、ユメちゃんのヌードがくっそエロかった。エッロ!!!!!!!

 

 

ラジオ局AD(第34-36話)

労働期間1ヵ月 賃金1000000円

三上「仕事だ、白浜。小竹の代わりにパーソナリティーやってこい。」p.174

三上「しィッ。その名を出すな!今もきいてるかもしれない。」p.183

繝ヲ繝。縺。繧?s「自分が、どうしようもない位孤独だって事。」p.194

感想を書く際に再読をするのですが・・・改めて読むと凄く良くまとまってて読み易い。いい作品だなと思います。一回目の時はなんか別に・・・だったんですが。

多分、僕がラジオを聞くようになったからでしょうね。

三四郎オールナイトニッポン0」「マヂカルラブリーオールナイトニッポン0」「アルコ&ピースd.c.garage」「ハライチのターン!」「空気階段の踊り場」を聴いているんですよ。超聴いてんじゃん。

だから、この怪異自体が結構身近に感じられた・・・から怖くなった、っていうのも少なからずあると思います。

でも、ラジオ×怪異・・・まぁ聴かない話ではない組み合わせだけれども、そこからここまで描けるかね!?ってくらいしっかり話が出来ていて凄く良かったです。特にクライマックスにかけての演出は本当にすごかった。そして結構ダイレクトに来るんだ、っていうね。

足立さんは、三上の行動を優しさと捉えていたようですが、あれどうなんですかね?僕は凄く卑怯な人間の行動だなと思いました。そもそも自分が原因なんだからパーソナリティとしてケリをつけるのが筋なんじゃないかと。

一方で、和美の過去にもぐっと迫っていく展開がありましたね。

絶対、ユメちゃんはなんか、隠してるんですよね。シックス・センス的展開・・・要するに存在しないもしくは死んでいるのではないか?とも思うんですけど、にしてはちゃんと人間として他者も知覚してる。ユメちゃんを。

でも、あの和美のピンチを嗅ぎ分ける能力は明らか人間離れしすぎているようにも思うんです。彼女は一体何なのか。

最後の方、不穏な形で終わるのも良かったです。彼女達は借金を返し終えた時、いったいどこへ向かうのか。

あと、うぃんた~ず。あれにはちょっと笑っちゃいました。一回目読んだ時は気づかなかったんですけど、さまぁ~ずのパロディコンビだったんですね。ああ確かに~って思った。ててかよく考えたらさまぁ~ずのさまぁ~ってサマーって意味だったんだね!ていう発見ね。これも縺輔∪縺?ス槭★で、よくよく考えたらそもそも繧ウ繝ウ繝灘錐縺ッ驕輔▲縺ヲ縺?◆險ウ縺ァえ、でも前縺ョ蜷榊燕菴輔□縺」縺托シ滓?昴>蜃コ縺帙↑縺?↑?縺ィ縺?≧縺九%縺ョ繧ウ繝槭?螟門?縺ォ縺ゅk譁?ュ怜喧縺代b螟画鋤縺励◆繧峨≠繧狗ィ句コヲ隱ュ繧√k譁?ォ?縺ォ縺ェ縺」縺ヲ縺?k縺ョ縺九↑縲譁?ュ怜喧縺代?荳?菴薙←縺?@縺ヲ縺薙s縺ェ縺ォ繧ゆココ髢薙?蠢?r諠ケ縺阪▽縺代k縺ョ縺九?∬ス「縺阪▽縺代k縺ョ縺狗吏謾」縲縺オ??スゑス悶§繧?>?具ス鯉ス?ス九s繧鯉ス?ス具ス厄ス鯉ス具ス奇ス具ス?s??°繧難ス奇ス?∪縺翫∴?奇ス鯉ス搾シ幢ス薙§繧?シ帙♂繧鯉ス?ス後l繧難ス具ス具ス後&繧難ス?°縺サ縺医o?具ス?ス茨ス奇ス?ス医$縺ッ縺オ縺?≧縺ゑス?ス?ス?§繧?ス具ス?s?奇ス?ス縺後∪縺壹∩。遘√r蠢倥l縺ェ縺?〒縲

 

ユメちゃん「ハマちゃんは昔からそうだったよ。

大丈夫だよ、ハマちゃん。

私はずっと側にいるから・・・

ずっと・・・」p.156

 

迢ャ繧翫↓縺励↑縺?縺昴?縺ォ縺?※

 

 

 

 

以上である。

なんだか結構不満をたらたら述べてしまったが、総じていえば今回も普通に滅茶苦茶面白かった。ぐいぐい読んだ。だからその分不満点が出てきた、といった具合。実際つまらない漫画だったら無理くりしていいところをとりあげることで自分を後悔させない、ようにするわけだし。面白いが故の減点方式。

ただまぁ、うーん。八木さん出てくるとつまんなくなっちゃうな。便利なキャラクターだろうし、キャラとしても悪くないんだけど・・・介入し過ぎちゃうというかなんというか。緑澤連れてごくたまに出てくるなんちゃってゲストキャラくらいがちょうどよかったんじゃないでしょうか。

そういった意味でも緑澤さんの死は悔やまれる。

 

で、うかうかしてたら9巻まで出ち繧?>縺セしたね。買縺?∪縺吶?ゅ◎縺励※隱ュ縺ソ
ます。

 

 

 

 

***

 

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この紹介本コラム書いている人が推してたことで知ったよのリンク。

 

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オフィスJ.B編『私たちが震えた少女ホラー漫画』-あんずちゃんの心の闇。-

 

 

読んで体調を崩した漫画っていうのが一冊だけある。

わたなべまさこ『聖ロザリンド』である。

ストーリーはまあ明快単純で外国の金髪碧眼の美少女が実は超絶サイコパスで息をするように周りの人々を殺していく・・・っていう話で、母親が買ってきた文庫版を読んだ当時中学生だった僕は「なんのこれしき」と鼻で笑っていたのですが、終盤辺りからなんか体調崩しました。原因は分かりませんがなんかめちゃくちゃ気持ち悪くなってしまい、それ以来トラウマです。3-4年前にヴィレッジヴァンガードがとち狂ったのか大判印刷したものをどの店舗も平積みしていた時期がありましたがまじであれなんだったの。なんかむかついてきたな。

 

 

 

オフィスJ.B編『私たちが震えた少女ホラー漫画』(辰巳出版 2020年)の話をさせて下さい。

 

 

 

【概要】

少女たちを恐怖のどん底に・・・

 

懐かしホラー大行進

わたなべまさこ

あしべゆうほ

イケスミチエコ

曽祢まさこ

高階良子

ささやななえ

関よしみ

篠原千絵

まつざきあけみ

吉川うたた

今市子

表紙より

 

●掲載読み切り

犬木加奈子「三途の川」

葉月シモン「一枚の絵」

石上愛実「シャボン玉幸子さん」

 

※「ホラーM」「なかよし」「ひばり書房」「ハロウィン」「花とゆめ」等

70年代~00年代が中心

 

【読むべき人】

・少女ホラー漫画、と聞いてビンビン来る人

・懐かしのホラー漫画が好きな人

・上記にかつて大好きだった漫画家がいる人

・夕刊に「あんずちゃん」が掲載されている新聞購読者、要するに静岡新聞などを読んでいる人

 

 

 

 

【感想】

ぶっちゃけよう。本書の存在はメルカリで知った。

メルカリって商品買うと「これもおすすめやで~」って勧めてくるじゃないですか。それで本書の存在を知り、「ホラー!!??」「少女漫画!!!???」と聞きビンビンにアンテナ建った僕は即座にメルカリで検索をかけて800円くらいで購入。

少女ホラー漫画、といったら僕(1993年生まれ、だから2000年代前半)の時代の少女漫画はどこもこぞって、年に一回夏になるとホラースペシャル号をだしていた。特に「ちゃお」は昔から掲載していた覚えがあって、1回か2回買って貰ったことがある。

単行本も持っていた。2冊。あらいきよこ他『今夜も一人で眠れない』あらいきよこ他『眠れぬ夜の物語』である。この頃ちゃおは「チャオホラーコミックス」というニッチなレーベルを作っていて、そこで年に一回様々な作家のアンソロジー+作者単著(ただし作者は毎年変わる)の計2冊のペースで刊行していた・・・と思う。今もあるのかな。そのなかの2冊である。

どちらも読んでどちらも怖くてうわぁ、部屋に置いておきたくないと思った僕は本棚の奥にしまったのだった。今も実家帰ればあるはずである。

ちなみにその中で一番好きなのは清水真澄「ラビリンス」

「私はもうすぐ15歳 本条紅美という名前らしい」

・・・だったと思う。当時の僕には衝撃的結末で、そのフレーズが今でも頭から離れない。結果、あらゆるバッドエンドの中で僕は【永遠】が一番怖い体質になってしまった。

例えば、怪談レストラン名作として名高い「リプレイ」とか。谷川流学校を出よう!の2巻の永遠にループするナイフであるとか。

でもまぁこの2つよりよっぽどこの「ラビリンス」のがトラウマですよ。トラウマ。

永遠に続くってのが怖い。

永遠は恐怖。

 

閑話休題

まぁそんなこんなでホラー好き+漫画好き+少女ホラー漫画てトラウマを受けた経験がある、のぼくにはびっしばしだったわけですな。

これが・・・序の口だった・・・。

 

 

よく見るとケーキもなかなか物騒なのが分かりますね。

 

おかげさまでこの本を読んでからホラー漫画に手を染めてしまっている。何ならこの本の編集に関わっている緑の五寸釘*1さんのTwitterを見て漫画を捜す始末である。いやぁ・・・ダメでしょ。アラサー童貞(メス)がホラーにハマったら。ましてやフリーターだし。色々限界である。誰か僕を救出してくれ。

特に呪みちる先生の存在を思い出してしまい、単行本を今必死で集めている。ポストカードも買った。女の子がめっちゃこわかわいいんだよ・・・仕方がないんだ(おどろおどろ)呪みちる先生とは・・・、ほら。一時期黒髪から作るコーラの話がネットで出回っていたことあったじゃないですか。あれの作者である。宝島社が出したコンビニ本「このホラー漫画が怖い!」で改めて全部読んで知ったまま捨ててそれから長らく忘れてたんだけどね・・・人間の業って深いね・・・。

他にもすでに1-2巻きの感想を挙げているが「裏バイト」とか「僕が死ぬだけの百物語」とか諸々。読んだのもいっぱいあるし積んでいるのもいっぱいある。怖いかどうかはともかく、面白い漫画が多いのは助かる。

 

1冊目2冊目は本書で紹介されている。
2冊目は水曜文庫で購入。値札が付いておらず、言い値の300円で購入。

 

本書に触れたことで購入した、古い少女漫画群。

美内先生と言ったらガラスの仮面ガラスの仮面と言ったら美内先生なのですが、まさかホラー作品があったなんて・・・。

曽祢まさこ先生・・・これは本書で存在を知った先生なのですが、絵柄が性癖ピンズド。めっちゃ可愛い。

もともとアイドル・ドール・アニメ等々可愛い女の子大好きなので、もうダメですよね。大抵怖さとの落差をつけるため(だと思う)にホラー漫画のヒロインって可愛い女の子が多いから。そっからずぶずぶ入っていくとはね、思わなかったよね・・・影法師もさ表紙買いだしさ・・・。呪みちる先生のも要するに恐ろしいヒロインがばちくそ可愛くて買っている訳だしさ・・・裏バイトのユメちゃんも可愛いしいいキャラしてるしさ・・・僕が死ぬだけの百物語のショタだって・・・あー。

あー!!!!!

 

 

内容「聖ロザリンド」「海の闇、月の影等著名な作品を中心に紹介。作家自身のイラスト、名シーン、解説等々。

インタビュー自体はあまり充実していない。関よしみ先生の書き下ろしの表紙ではあるが彼女のインタビューは掲載されていない。

有田景先生、きもとのりこ先生、白井幸子先生のインタビューのみ。ミニ・インタビュー掲載分を加えても、かずはしとも先生、(漫画が掲載された)犬木加奈子先生、葉月シモン先生、石上愛実先生のみ。

作者自身への取材はあまりなされていない。

あくまで初心者向けの少女ホラー漫画入門書。

そこさえ注意すれば、非常に良い一冊だと思う。

良書。

 

 

 

ただまぁ、値段が高いのが難点か。新品だと1600円(税抜き)もする。カラーイラストを大きく掲載したいがためのお値段と鑑みるがいやいくらそれを踏まえても高い。と僕は思う。ここはイラストを削るかもしくはムック本にするかどうにかして値段を下げてほしい所ではあるかなぁ・・・どうなんだろ。って思って「Amazon」の評価見たら意外とそこはみんな寛容なんだ。金持ってんなぁ・・・。

それでも、名前だけは聞いたことあるような・・・的な漫画や、「少女ホラー漫画」を語るうえで欠かせない漫画などが、ぎゅっと簡潔に数多く紹介されているのはとても捗る。でも1600円かぁ・・・うーむ。

 

 

この短編集はブローニィ家の悲劇のヒロインが表紙。おかおがきゃわきゃわ。

 

多く紹介されている中で、僕が気になったのは以下の3作品。

 

●曽祢まさこ「ブローニィ家の悲劇」

女の子の顔面がめちゃくちゃ可愛い。すっごい可愛い。え!!??って思った。びっくりするくらい可愛い。数文字で昇華されているあらすじもいかにも昔の少女漫画のメルヘンチック、って感じでたまらない。

他のも曽根先生の作品は「曽祢まさこホラー漫画のキーワード」pp.74-77で紹介されているのですが、「わたしが死んだ夜」「七年目の数え歌」これまた表紙が可愛いんですよね。中身の絵もかわいい。うひゃ~ってなる。うひゃ~。残念ながら地元の古本屋では見つけられなかったけど・・・、「地獄でメスが光る」を読み終えたらいつか読んでみたい・・・かも。

篠原千絵海の闇、月の影

作者の名前は聞いたことあるけど作品の名前は初めて知った、かも。でも18巻も出てるんですね。

でもその内容が、いかにもホラーアクション!!って感じでこれまたなかなか面白そう。一方で、最後に2ページ紹介されているカラーイラストはこれまた不気味でいい味出していてなかなか良い。

長いから手を出すのにためらいがあるが、結構気になる作品ではある。

●池田悦子原作 あしべゆうほ作画「悪魔の花嫁」

これも17冊と長いので結構ためらいがあるのだが、でも内容がどうやらどろどろ男女人間悪魔関係をベースとしながらも、1話完結の形式、をとっているらしい。

小学校高学年はこれでも「×××Holic」の初期of初期のホラー読み切り形式に魅せられていたまぐろどん、俄然興味あるわね。猿の手という概念をあの作品で知った。

あとイラストがこれまたTHE少女漫画って感じでキラキラしていて、いいですね。でも長いんだよ。長いんだよなぁ・・・。長いんだよぉ・・・・。

 

 

 

簡単にその他の内容をば。

ホラー漫画愛好家「緑の五寸釘」さんによるコラム「おすすめだけど単行本未収録」の3作品が掲載されている。

コラムはなかなか面白い。はぇ~ってなる。てかシンプルに文章上手いな。導入と締めがジャンキーであるが、中盤とても分かりやすくホラー漫画史についてざっくりざっぱり書かれている。確かに、昔「ほんとにあった怖い話」とか「ホラーM」とは少女漫画コーナーに平積みされていたよな~なつかし~になった。やっぱホラー漫画マニアとか頭おかしい人って絶対脳内面白いはずだから文章も自然とこう、面白くなるんだろうな。

 

その狂人がセレクトした3作品、無論最高です。個人的には、29ちゃい女性の僕であるので、世代的にもイラスト的にもやはり3作目の石上愛実「シャボン玉幸子さん」がめちゃくちゃ好み。サブカルっぽいほっそい線の絵が、この世代には突き刺さる・・・。

ただ静岡県民として一番衝撃を受けたのは葉月シモン「一枚の絵」。ふぁ!!???になる。ふぁ!!???!!!

一番圧倒的に有名なはずの犬木加奈子先生の作品が一番かすむってどういう事やねん。(かすんでないけど)

 

犬木加奈子「三途の川」:私、死んじゃったよ~

犬木加奈子先生の漫画はトラウマである。まぁ世代で言えば僕より2010歳年上・・・多分アラフォーくらいが一番ぶっ刺さる作家なんじゃなかろうか。

でも、その所謂「世代じゃない」僕にも多大なトラウマを及ぼした。

一つは「なかよし」付録ホラー単行本。今は知らないが、当時のなかよし・りぼん・ちゃおは「とっておきホラーコミックス★」みたいなテンションで、3-4作品くらいのホラー読み切りを掲載した冊子を夏の号につける時があった。

そこに犬木加奈子先生の作品が一作収録されていたのである。

内容はごめん、全く思い出せないのだが、目玉ぎょろぎょろぶっとい線・グロテスクグログロッといった感じで強烈なインパクトを残した。一通りワクテカして読んだものの、その絵が怖すぎて、もう二度と触ろうとしなかったくらい。それくらい犬木加奈子先生の絵はインパクトがデカかった。

もう一つは「たたりちゃん」の存在。今見ると所謂「こわかわいい」で僕に琴線ブチブチに触れるんだけど、当時はめっちゃ怖かった。大きい本屋でこの漫画の表紙を見たときびっくびくで目をそらした。しばらくは「たたり」という言葉自体がトラウマだった。

そんな先生の読み切りであるが、掌編さながらの切れ味で、怖いというよりかはなんか、「さすが」

三途の川という概念自体をここまで恐ろしいものに落とし込めるのかとびっくりした。さすが。さすがの川。いや~わたりたくない三途の川ナンバーワンですねこれ。たまんねぇよ。やめてくれよ。こういう死後系に僕は一番弱いんだよ馬鹿。

 

 

●葉月シモン「一枚の絵」:貧乏な絵描きが浮気したら報復が半端ねぇよ~

THE昼ドラみたいな典型的な男女のどろどろした関係の上に、最後のおどろおどろしい怪奇現象・・・THE王道、されど王道、なかなかいい映画を見た・・・。

絵が上手い。女の子がめちゃくちゃ可愛い。のに比例して、最後の1ページがめちゃくちゃ怖い。というか現象が起きている最中の、ラスト3ページ目も見えないながらも逼迫した雰囲気がビシビシに伝わってきてとても漫画力を感じる。

なんだぁ・・・・こいつぁ・・・とんでもねぇ才能だぜぇ・・・今何してるんだぁ・・・?と思ったら、

田中しょう(葉月シモン)先生からメッセージが届きました!p.140

はああああああああ!!!!?????????になった。はあああああ?!?!!!田中しょうって、あの!!??あの田中しょう!!!???静岡新聞四コマ漫画「あんずちゃん」を長年連載している田中しょう!!???びっくりした。えこんな絵うまかったんかぁあああああい!!!!こんなすごい作品描いてた時期があったんかああああいいいいいいっ!!!!!!!!

「あんずちゃん」って言うのは所謂「コボちゃん」みたいな漫画。静岡新聞の夕刊で長らく連載されていた。静岡新聞も朝は「コボちゃん」であるが、ただ僕はこう見えて朝激よわ、あと学校から帰ってくるとテーブルの上には当然夕刊がある日の方が圧倒的に多く、僕の中ではコボちゃんより圧倒的に存在感でかい小学生女児・それがあんずちゃんだった。だから僕の中で、実質コボちゃん

なのであのあんずちゃんの作者がこんな作品描いていたとは・・・ってところでもう全部吹っ飛んだね。というかこれ読むためだけでいいから静雄アッ県民はこの単行本を書いて日々「あんずちゃん」を描いてる田中しょう先生の本当は恐ろしい心の闇をとくと知るべきだと思ったね。どういう気持ちであんずちゃん描いてたんだよ一体!!!

でもどうやらインタビューを読むと、ホラー中心のこの「葉月シモン」活動、シモ活は初めは積極的ではなかったとのこと。本当はラブコメ描きたかったんだそうな。でもまぁまぁホラーも面白くなってきて・・・とのこと。本作品は40年くらい前の作品なんだそうな。

いやそれでも・・・このホラーはなかなか凄いよ。

そして改めて読むと昔の少女漫画の顔の向こうにわずかにあんずちゃんの輪郭が見えてくるの本当・・・本当・・・もう僕は純粋な気持ちであんずちゃんを見れないよ・・・。

ホラー漫画読み切り一作、とまでは言わないまでも、当時の画風で一枚絵描いたら今どんな感じなんだろ。おい、静岡新聞てめぇがやんだよ・・・。

ちなみに「あんずちゃん」、発端が「長野新聞」であることも本作品で初めて知りました。へぇ。

 

●石上愛実「シャボン玉幸子さん」:幸子さんが来る!!!!!

絵柄がぐう好み。多分葉月かなえ山川あいじ辺りが好きな人は絶対好きだと思う。マーガレットのサブカル枠にいてもおかしくない絵柄。多分ひよどり祥子先生から影響受けているのかな。

ところがどっこい展開はこれまたおどろおどろしく恐ろしい。幸子さん怖すぎるやろ。単体生殖万歳じゃねえんだぞ。

この人の単行本欲しいなぁと思って検索したけど、どうやら電子書籍しかないみたいだね・・・残念だよ僕ぁ・・・同人誌でもいいから出していただけないでしょうか・・・紙で・・それか誰か僕にipadをくれ。誰か僕にipadをくれ!!!!

 

 

 

以上である。

めっちゃ勉強になったし、めっちゃ面白かった。これに尽きる。

あと久々に漫画熱結構火がついた。

連続する形でラノベ熱にも久々に火が付いた。

それを継続させる、って意味でも末永く大切にしたいですね。

 

***

 

LINKS

この単行本読んで熱がついて買ったホラー漫画の感想。

 

tunabook03.hatenablog.com

tunabook03.hatenablog.com

 

雪国の狂人・緑の五寸釘氏が同じくエッセイを寄せている同人誌の感想。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

20221221

と、この記事を編集し終えたのは今日だけれども、本文書いたのは去年末。

この本読んで結構ホラー漫画買ったんだけど積んでいるのも多い。

ので、まぁちまちまでも消化していきながら、オカルト・ホラー漫画文化は今後も末永く嗜んでいきたい。

 

20230131

ようやっと写真を撮って、あげた。

かなり昔の文章である上に、加筆を繰り返しているため結構文章破綻気味だなぁと思わないこともないけれども、でもあげちゃう。本書は間違いなく良書。その気持ちは変わんないのと、ホラーブーム。まだ終わってない。「裏バイト」は引き続きスローペースながらも集めているし、「僕が死ぬだけの百物語」もバリバリ集めているし、「ようきなやつら」「死角」等も入手。熱心なコレクター、蒐集家とは言わずとも、めっちゃ読んでて楽しいし面白い。漫画好きでよかった~って思う。

ホラー熱のトリガーになった本書に感謝を。

*1:ついでに今はブロックされてしまった。女性アイドルに対する価値観の違いにより・・・まぁしゃーない。切り替えていけ。

アボガド6『空っぽのやつでいっぱい』-空っぽの直方体を毎日頭からこぼしながら生きている私たちに。-

 

 

 

誰かの絶望は救済につながる、とか。

 

 

 

 

アボガド6『空っぽのやつでいっぱい』(KADOKAWA 2017年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

【あらすじ】

アボガド6

「あぼがどろく」と読む。映像作家。ボーカロイド曲を中心に、ニコニコ動画で映像を提供してきた。個人の映像作品集に「おばけフィルム」「おばけカタログ」がある。独特の世界観んを持った映像がユーザーに評価されてきたが、Twitterやpixivに投稿した鮮烈な一コママンガ、短編マンガが大きな反響を呼び、Twitterフォロワーは17万を超える。SNSに投稿された作品んは日々何前何万とシェアがされている。本書が著者初の単行本となる。

p.144 著者プロフィールより

 

【読むべき人】

・絶望している人

・空虚な気持ちの人

・空っぽの人

 

 

【感想】

誰かの絶望は、救済だ。

絶望しているのが私だけではないと思えるから。

いや絶望している人が他にいるからと言って、別に自分の絶望が絶望が心から消えることは無い。

けれども、絶望しているのは自分だけでない。

それだけで、ちょっと、救われた気持ちになる。

 

「大丈夫?」

「お話きくよ」

直接的な優しさも嬉しい。

でも私は思うのだ。

「絶望している私に(君が)絶望したらどうしよう」

だからやっぱり、絶望に向き合うには一人じゃないといけない。

私の絶望が、私と君の脆き尊き関係を壊さないように。

 

TwitterTwitter、どこかで誰かが絶望していませんか?

その時私は、誰かの絶望をSNSで血眼で探す。

誰かが絶望していませんか?

顔も知らない他人であれば、絶望している私に絶望されたとしても、ノーダメージ。だってインターネット上の関係でしょう?ブロックミュートさようならで、すむ。

傷が浅くて済む。

絶望しているのは私だけではない。

顔も知らない何しているかも知らないが他にも絶望している人はいる。

そうやってTwitterで間接的に誰かを救い続けてきたのが、アボガド6先生の作品なんだと思う。

 

だって一人で絶望し続けるのはやっぱつらい死。爆散。

 



 

 

「なにもわからない なにもできない なにもない」

別に家族が事故に巻き込まれたわけではないけれども、私の毎日はだいたいこんな感じで合っている。

本当にダメだとコンビニで何が欲しいのかわからなくてずっとぽかんと立っている。

ずっと、ぽかんと、立っている。

 

「君の名前でいっぱい」

時々、「まぐろどんちゃんは誰からも好かれていいよね」「まぐろどんちゃんは面白いね」と言われることがあるけれども、彼女達は、府民の避難先:早朝4時のコンビニで突っ立ってぽかんと口を開けている私を見たことがない。

見せることもない。

 

「神様が落ちて来た日」

一日中眠っていると夢が現実を超越することがある。何があって誰がいて何が起きたか遥かに現実より濃度があり充実していて私はそこでひとり喜怒哀楽する。

けれど夢には、重みがない。

重みがないから、すぐ、忘れてしまう。

まぁ現実も、忘れてしまうという点では、変わらないか。

僕達は忘れる。忘却する。

神様が落ちてきたあの日も。

自分が神様だったあの日々も。

 

「マザー」

感情が泣ければこんなに苦しくて悲しくて寂しくなる必要がないのに。

何時かもわからないコンビニの真ん中で突っ立っている必要もないのに。

なんで人間は進化する過程で、感情を捨てなかったのか。

AI、ロボット、「人間の厚み」・・・等々、感情を是とする風潮は、感情を持つ人間が自己肯定の為にしている偽善にすぎないのではないでしょうか。

感情を肯定することで私達を肯定しましょう。感情万歳。感情万歳。

感情を持つ母親こそが正しい「母親像」なのです。感情万歳。感情万歳。

 

「命を削る仕事」

短くなろうとも人生における幸福を確約するこの仕事は、削るだけでなくて、削ってなくなったその空白たる空間に、こぽこぽこぽこぽ幸福を注ぎ込む仕事でもあると思う。

そこにやりがいを感じられるか否か。

残される側にしか感情を寄せられない人は、神様失格です。

 

 

 

 

 

「青写真」

■年払えば、パート労働せず文章だけで暮らせる身分になれます。

■年払えば、あの人と両想いになり交際結婚まで順調にことが運びます。

■■年払えば、あなたの母親の病気が治ります。

■年払えば、あなたの持病も全部治ります。

■年払えば、虫歯ゼロ。

■年払えば■年払えばと思うけれども実際は1年も売る気はない。

電話ボックスは、私の元に現れない。

 

「正夢」

信じることで、明日を信じることで、不必要に肥大化した重い脳味噌をを僕達は抱えながら二本脚で歩いていく・・・、ああ、二足歩行の為に備わった機能による行動なのかもしれないな、信じるって。

私達は歩くために、前に歩くために、信じるのだ。信じるしかないのだ。

・・・だから某教会よろしく新興宗教は生まれ続けるのかもしれないな。自分を信じるより存在が確証されない「神様」的存在を信じる方が楽だからね。

 

「春よ来い」

春は死の季節であると定義づけた人は誰なのか。

それはせめて温かいうららかな季節に死にたいというその人の我儘じゃない?

冬の死はあまりにも痛ましいから。

夏の死はあまりにもおどろおどろしいから。

秋の死はあまりにも苦しいから。

春の死よ、せめて幸福であれ。

っていう、我儘。

可哀相に。抱きしめてあげたい。

 

「空想」

人の数だけ文化があって、人の数だけ宇宙がある。

だから人間ってこんなに愛おしいし時には殺したくもなるのでしょう。

人間と人間の接触は、宇宙と宇宙の接触ビッグ・バン。

 

「ねぇ、私は君の宇宙は分からないことが多くてでもとても興味深いと思っているよ。

君は私の宇宙についてどう思う?」

 

「命拾い」

僕も入学式、あとリクルートスーツは洋服の青山で買いました。

 

「後日談」

今空っぽのことで私の頭がいっぱいいっぱいであることを、知っている人はどこにいません。ええどこにも。

 

 

 

 

以上である。

正直漫画としては拙いところは多々ある。画力であるとか、コマ割りであるとか。描き訳が出来て居なくてどれが同一人物か分からなかったり。

あと最後にあらゆる話が繋がっていることが判明するけれども、そのしくみの意味がいまいち分かりづらかったり・・・それでも。

とある日常ふとした時に訪れる絶望にとても似ている。

人間が油断した時に襲ってくる絶望にとても似ている。

だから多分、どうしても辛くなった時。絶望に負けそうになった時。

私はこの本を開くのでしょう。

 

まぁ数年前大ヒットした作品と言うことで、ブックオフで108円で購入したわけだけれども・・・買って良かったと心から思う。当時乗り切れなかった波が突如として私を覆うぜ・・・。

中身は別に時代性全く関係ないんで、落ち込んでいる人絶望している人はブックオフの100円棚で本書を探すことをお勧めします。

その絶望の輪郭がはっきりすることで、あとこういう絶望って抱えてるのって自分だけじゃないんだって、分かることで、救われることもあるでしょう。

救われないこともあるでしょう。

(なぜならアボガド6先生は神様ではなく人間なので)

 

 

***

LINKS

これはまた別角度から、絶望を描いた漫画ですね。両方おススメ。ただこっちはブックオフではあまり見ませんが・・・出版数も恐らくすくな略

tunabook03.hatenablog.com

 

2022秋のはなし。-2年たっても未だにその奥歯を、握りしめ続けてる。・・・36.4度の歯痛。-

 

 

 

2022年9月26日。

めでたく29歳になった。

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

「2022秋のはなし。-おめでとう!!!まぐろどん29周年!!!-」の話をさせて下さい。

 

 

 

 

 

【概要】

 

20歳から29歳。

否、正確には18歳の大学入学から29歳。

まぁともかく20代のこの10年は、

私が私でい続けることを確認し、それでもずっと生きていかなければならない、私は私のままでずっとずっと果てしなく遠く、生きていかなければならない。

ということを、実感するための10年で、あったように思う。

 

花屋。看護婦さん。ウエートレス。漫画家。

幼稚園から小学生の時、思い描いた将来の「はたらく自分」はどれもきちんと仕事をしていてメンタルも安定していてしっかりしていて親にも誰も怒られなくて、スタイルも良くて美人で、キラキラしていて、何より私自身と別人であった。

どうやら、「はたらく自分」≒私、ということに気付いたのはおおよそ10年弱前。就職活動が始まった時。自己分析自己分析SPI、一般常識時事問題。自己分析自己分析SPI、時事問題一般常識。手あたり次第に手をのばしてもがくようにしておぼおぼしていた自分の何たる愛おしいことか。

若いね。かわいーね。

JDだもんね。

 

しかし恐らくそれがどうやら本当に・・・「私は私のままで(はたらく)大人になると」ということを、マジのマジだぞ。と実感持って理解出来たのは割と最近な気がする。

大学卒業後様々な職業に就いた。1年半は塾講師、そのあと1年ニートして1年スーパーの試食のお姉さんをして、2年くらい輸入食材販売店にいていまはレンタルビデオ店にいる。数えれば5職目だぞと思うとなかなか感慨深い。

そのだいたいが、うまくいかず、一時期本当死のうかと思った。

塾講師時代に渡された栗原類の本と先輩講師の発達障害だと思う」(深刻め、お前のことを思ってのことやぞ、を背負って。居酒屋の庄屋にて。)という言葉を皮切りに、ずっとそれと向き合ってきた。そうなのかな。そうなのかもね、というところから、実際病院に行って月一度の通院が始まったのは、だいたい2年半くらい前か。27の時である。23歳から27歳。そこまで4年もかかってしまった。

加えて厄介なのが、「私は発達障害だ」ということが分かって生きていくのが楽になる、という訳ではないことだ。自覚した、通院している薬も貰っている。だけどそれじゃあ足りないと言う事ですな。いやはや。だから薬貰っているというのもあるんですけれども。

まず社員労働は諦めた。塾講師時代、小売店時代(初めの1年)合わせて2年半正社員の経験をしたが、そこで求められる能力が低い。皆が出来ることが出来ない。皆が分かることが分からない。皆に何を求められているのかが分からない。

勉強と違っていくら努力しても磨き上げられる・・・という訳ではないらしい、というのも2年半にわたって実感した。経験則が通用しない。

塾講師時代の科目の内容・・・「基本的人権とはおおよそ4つの権利に分けられます。それは何と何と何と何か」、社内検定用に勉強して培った知識・・・「輸入されてくるコーヒーの名前と味わいと合う食べ物」といったものはどんどん蓄積されて、一度覚えれば忘れなかった。

研究職やら専門職だったら活かせたかもしれないが・・・。

自身の能力の異質さを感じた。

そして「正社員労働」の必要条件を満たしてないということも感じた。

怖いなと思った。

怖いよと思った。

じゃあ私は社会でどう生きて行けばいいの。

 

という訳で、週5のパート労働が始まる。

輸入小売店では1年の社員労働後1年半くらいやったけれども、結局新しい店長とうまくいかずやめた。

レンタルビデオ店での労働がハジマタけれどもこの前店長にブチ切れてしまった。客前で。

どうやら私は週5のパート労働すら厳しいのかもしれない。

 

じゃあどうやって生きてくのか。いやまじで。

女は結婚すればいいだろ、と思う人もいるかもしれないが、こんな不器用な私に彼氏が出来たことなど一切なく、30年目に突入した。魔法少女まっしぐらである。あと結婚できたとしてもいまは3組に1組が離婚する時代であって、それは社会全般にも通用しない。

性別関係なく私達は、ひとりでどうにか生きて行かなければならない。

正社員×。週5パート労働△。とくればもうそれは私は、「此処」に懸けるしかない。

文章に、懸けるしかない。

書きなさい。書きなさい。書きなさい。

それが私の存在意義。

書きなさい。書きなさい。書きなさい。

それが私の存在証明。

小学校高学年の時に掲げた夢。作家。になっている「将来の私」に自分を少しでも近づけていかなければならない。たとえそれが歪であっても。たとえそれがノロノロとても遅くとも。たとえそれが29歳大卒フリーター(そんなにかわいくない)がなんとかして生きるために考えているぐにゃあんぐにゃんに歪んだ醜い幻影であると自覚しようとも。

 

 

 

と思う一方で、私は最近書いていない。ブログの更新がこれだけ空いたのはなかなか稀有で、恐らく数年ぶりであろう。

別に職業変わった訳じゃない。今年の明けからレンタルビデオ屋でカード売ってる。ポケカとか。

別に鬱になっているわけじゃない。一時期まじで死のうかと思ったけれども今はそんなに死にたくない。

恋をしたからだ。久々に。

好きな人が出来てしまった。ァー。

しかもそれが常連さんで、カードゲームを教えてもらう所謂師匠的立ち位置で私は教えていただいている側である。

だから家でもカードの動画を見る時間が増えた。

同時に、何せ私は清廉潔白魔法少女一直線の人間であるため、恋に恋をしてしまう。

だから自分を保つため、自分の好きなものをなるべく多くとろうと努めてきた。動画と同じ時間分だけ、櫻坂46のことを考えて、オカルトのことを考えて、引き続き西洋美術を初めに関心が少しでもひっかっかった美術展は東京であろうと遠征を前提に考える。2023年の国立新美術館のルーヴル展、楽しみすぎやしませんか。

頑張って私を私たらしめるモノを少しでも多く摂取する。ことで自我を保ち、100%恋愛に振り回されてはならない。常に意識している。

・・・私であること第一で、ぶつかんないといけないだろうし。

でもそれでも、私が・・・「私が足りない」と思う時がある。いくら心霊動画見たって実話怪談本読んだって、アイドルの番組見たって音楽番組見たってMV見たって、一人でも多くの画家の名前と画風をさあ覚えましょうはいマム、「ブクローは耽美主義」「キスリングはポーランドの画家です」・・・足りない。

でも、この感覚を文章に表している現在こそが、一番今私が私である、気がする。私が私で満たされている気がする。

カードゲームも大事であるが、その他は書くことを第一に2022年の残りは駆け抜けたい。

出来れば恋人だってほしい。その人じゃなくてもいい。私が幸福であるためにする恋愛の対象となりうる他者がほしい。

ひとりでも生きていけるけど、ひとりでは埋められない寂しさがある。

 

思えば、20代は2回しか異性にハグされていない。一人はホルンの先生。もう一人は塾講師退職直後のニート時代に通っていたコーヒー店の店主である。

どちらも骨ばっていてそして確かに温かかった。

あとどちらも当時多分65は越えてますわね・・・。

ひとりでも生きていけるし、死にたいって思ってもひとりで泣いて解決するけれど、それでも誰かにハグされたいし私もハグしたい。

となるとやはり今年中には・・・というお話になってくるのである。

生々しいなと思う。

いやたったこれだけで生々しいもクソもないだろと思うが、これが29歳喪女の現実!!!

 

 

 

30が本格的に見えるにつれ、一気に人生が押し寄せてくるなと感じる。

結婚恋愛問題はまだいい。30までには結婚した~い。これは想像ついてた。学生時代のきちんとした子から結婚していくということ。これも想像ついてた。

仕事問題もまだいい。出来るやつできない奴の差が本格的に開いていく。年収に差が出る。人生が分かれていく。これもネットのまとめスレで予習済みである。

ただ、親の健康寿命。これが盲点だった。

まぐろどん20代の大きいエピソードに母親の肺癌、っていうのは外せない。

衝撃だった。ショックだった。

祖父母・叔父に癌患者はおらず家系ではない。どちらかというと高血圧を10年以上継続していて最近腎臓もヤバイ父親の方が短命かと思っていた。

怖かった。

今まで癌、というのは、日本人の死因第一位であっても、どこか遠い話のように感じていた。大変だなぁ、一刻も早く一人でも多くどうか治ってほしい。良くも悪くも他人事だった。

しかしそれが自分の親に、となると一気に目の前が真っ暗になってクラクラした。

当時、スーパーで試食を売りながら就職活動をしていた私は結構死亡度高めの企業の最終面接を受けようとしていたが、とても新しい場所でとても新しいことを出来る心境ではなくなってしまった。

特段仲が良いという訳ではないし一度母親の自殺未遂に巻き込まれているしいい母親だったかと言われると微妙な部分が多く見受けられるし一緒にいるととてもストレスがかかる。けれど何かあると相談するのはまず母親だった。

やっとつかんだ、ほとんど合格が確約されたような面接をおざなりにし、結局私はもう半年、試食のお姉さんを続けてその後輸入食品小売店に一度就職する。

あの時、もし受け止められる体力があって就職していたら。

そのまま正社員労働を続けて今より高収入で、何より今より「普通の人生」に近づけていただろうか。

と思わないこともないが、でもいつ思い返しても、やはり当時就職は出来なかったと思う。

やはり私は私なのだ。

 

そして20代中頃もしくは後半にかけてにそれを理解すると言う事は、恐らく当時同年代であったミュージシャン達の「私以外私じゃないの」「白日」の歌詞にあるように、一般的なことなんだろうと思う。

私が私でい続けることを確認し、それでもずっと生きていかなければならない、私は私のままでずっとずっと果てしなく遠く、生きていかなければならない。

そこを知って絶望したうえで、どうするのか。どう生きていくのか。どうなっていくのか。

多分そこから人生って始まるんじゃないだろうか。

 

そのスタートラインの存在に気付くころに、ADHDやらASDやら足に枷がついたものだから、一時期本当に死にたかった。

母親は大病。

自分はどうやら一般企業に正社員は無理。

このまま生きづらいを抱えてずっと生きていくのか。

過去に希望はあれど未来に希望はない。

ああ。神様。

「あー死にたい」

何度呟いたか分からない。

もはや口の中で転がしても味がしない。

けれど飛び降り、オーバードーズ、ガス、飛び込みする勇気はなかった。怖かった。でもそのラインは、とても頼りない存在感で、いつでも越えられそうな気がした。し、実際そこを越えられた人々は山ほどいるわけで。ああ、二階堂家の奥歯ちゃん。

だからその分、搔きむしった。脚を。手を。

常にカサブタが出来ていて、其処を剥がすと血が出る。みるみるでる。どんどん出る。というのを見るのに一時期ハマっていた。というか今年の春くらいまでずっとやってた。

ティッシュで押さえると、じわりと赤い染みが広がって、それが大きければ大きいほど謎の高揚感を私にもたらした。

脚はどんどん痒くなる。

たまに、血の「具」みたいなのも付随することがあってそれを見ると、あー生きてるって思うし、何か赦される気がした。

カサブタを捲る時のひりりとした痛みと高揚。興奮。

硬くなった身体の一部を離すという行為は、脱皮を思わせる。

嫌いな自分が変わりますように。

嫌いな自分から少しでも離れられますように。

びりびり、ビリィ。

 

 

 

 

けど、最近はなんだかそれも収まって来た。

初夏頃、唐突に「飽きた」のである。飽きた。

だって捲ったところでどうにもならないし。

ホモサピエンスなので脱皮しないし。

跡は残るし。

見ると母親はつべこべ言うし。

鏡で見ると確かに本当になかなかグロくてうわぁだし。

でもそれらを優に超えるあの興奮は、不意に、私から去った。

 

原因は分からないが、思い当りはいくつかある。

2年くらい飲み続けている抗うつ剤がようやく効果を発揮し始めた。

職場が変わった。昔程余計なストレスはなくなった気がする。

発汗。私以上の汗っかきを見たことがないくらい私は汗っかきである。汗と共になんかいろいろ流れて行ったのではないか。

諦めた。

・・・でも結局はそこに行きつく気がする。

諦めた。

どこまでいってもどこまで生きても私は私なのだし、社会不適合者なのだし、理性より感情が圧倒的優位に立つことがあるし、どうしようもない時があるけれども、どこまでいってもどこまで生きても私は私なのである。

けれど文章になればまぁまぁ書けるし記憶力には自信があるし、どうやら一定の人を虜にする愛嬌もあるようで、そしてとんでもなく真面目、だけど笑顔がどうやら好評で鋭い角度からのジョークも合わせてとんでもなくチャーミングな瞬間がある。

「私以外私じゃないの」って本当にまさしくそうで、私以外私ではない。

残念ながら、人間社会と言うモノには弱い傾向にあるが、だからといって価値がないわけではないし魅力がないわけではない。

私は私なのである。

どこまでいっても。

どこまで生きても。

私が私でい続けることを確認し、それでもずっと生きていかなければならない、私は私のままでずっとずっと果てしなく遠く、生きていかなければならない。

 

と、そんなある日、真夜中、職場から家へ寝ながら歩いて帰ってたら、思いっきりつまづいて顔を打ち、まぁまぁ大きなカサブタを顔に作ったのであった。ちなみに脛も打った。

なので誕生日は皮膚科で過ごした。

いやなんでだよ。

と思う以上に、「顔に傷が残るかもしれない」というのがたまらなく怖かった。恐ろしかった。

そこで初めて自分は、「自分の顔が好きである」と言うことに気付いた。

圧倒的に可愛い顔はしていないが、まぁまぁ普通の顔である。中の上くらいか。

父親に似ているところが欠点だが、父親遺伝による美肌で、且つ童顔のために基本的にとても若く見られる。大学生?って聞かれるのはもう慣れたもの。

でもこの顔は嫌いじゃない。

むしろ・・・というとナルシスト話になって来るのでやめておくが、本当吃驚、したのだった。

自分の顔が自分は比較的好きである、ということをなんだか思いっきり理解させられた。確かにJD時代は今振り返ると自信をもってかわいいと思えるしな。

 

じゃあそんな面さげてこれからどうすんだか。

私は私以外にはなれないだから、その先は。

 

 

ちなみに画像は「なんで誕生日なのに皮膚科行かなきゃいけねぇんだよおおいいい!!!!!」となって一人で行ったさわやかの写真です。
生きてる!!!って味がする。さわやかは。中身がなまに略

 

以上である。

概ね最近はこんな感じである。

自分自身がいつまでも続くことに改めて気づかされ、あと最近思ったより私は私のことが嫌いではない。ということに気づいた。あと思ったより自分の顔好きです。

 

母親の病状は良くならないし、非正規雇用を続ける以上未来は全く見えない。

けれども、このブログを始め引き続き書くことをやめなければ私は私を見失わない気がする。

「君はきっといつまでも少女性をもったまま大人になっていくんだろうね」

というのは教職の授業をもっていた大学教授の言葉である。自分の欠点を考える時常に出てくる言葉である。あらゆる欠点を全て包み込む無敵の言葉だと最近になってつくづく思う。まぁこの教授の授業かなりつまらなかったですが・・・寝てたし。

あと最近齧ったネット知識で恐縮だが、どうやら発達障害も10人1人の割合らしい。

なんだよ。AB型と一緒じゃん。

 

とにかく私は私を背負って、29年のという重みを背負って、30歳を迎えようと思う。

足取りは重いが、多分大丈夫・・・多分。

いける。

私以外私ではないのだから。

 

***

LINKS

 

tunabook03.hatenablog.com

 

と、格好いいことを言っていますがこのまえ住民税未払いによる財産差し押さえの通告書が長年未開封だったポストから開封されて震えています発達障害だからでしょうか厭まぁそこは関係ないですねああ電話をせずに今週も終わりまちた誰か助けて!!!

 

櫻坂46「W-KEYAKI FES.2022」振替公演前夜。-セトリ予想図。-

 

 

 

セトリを予想するぞ!!!!

 

 

W-KEYAKIFES 振替公演一日目前夜(というかもう当日の朝)、セトリ予想の話をさせて下さい。

 

 



 

 

【概要】

じ「KEYAKI」から始まった、櫻坂46と日向坂46が年に一回藤久に集まってライブをやるフェス!!!それこそW-KEYAKIFES2022、略してケヤフェス!!!

去年は全部配信で見ていたけれどもなんと今回はまぐろどん、席が用意されたってばよ!!!

高まる!!!

これはもうセトリやら当日の髪型やラ予想するしかない!!!!

 

有美子ーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!

 

【読むべき人】

・ケヤフェスに関心がありよっぽど暇な人

 

【まぐろどん】

・28歳、喪女、限界フリーター

・死んだ目をしている

・下を向いて歩く

・櫻坂現地参戦歴は1sttour愛知初日のみ。

・今回もソロ参加。ちなみに本来の日程の前日は健康診断で、行きの電車で中止の発表を知った。施設の人にことあるごとに顔色大丈夫ですか?」とめちゃくちゃ聞かれた。結果は体重4キロも増えてて結局大丈夫ではない。

・好きなポケモンノコッチチョンチー

・大園玲さんについて考えている時だけ目に光が宿る

・大沼晶ぽのパフォを思い返した時もたまに目に光が宿る

 

 

衣装は多分ローソンフェスのこれを初披露の予定だったと思うんだよなぁ・・・どうだろ

 

 

【所見】

ケヤフェス。遊び半分で応募したケヤフェス。昨年「櫻坂」単独公演の日のみ応募したんだれども見事落選で今年もまぁ無理だろと思ったらまさかの当選&結構いい席ケヤフェス。

が、なんと今日!!今日なんですよ。これは大変なことですよ。

夜1時帰宅後MV解説回を視聴し、ずるずる準備をし、終え、微妙に余っているこの時間!!を使って、せっかくなのでセトリやら何やらを予想して、心の準備もして、メンタル万全の体制で行きたい。帰宅後一睡もしてないまま行くのでフィジカルは万全不可なので・・・。

というわけで、いろいろずるずる書いて予想とかしちゃおうかなと思う。セトリとか。髪型とか。あとまぁ、なんかいろいろ。

 

去年のケヤフェスの通販のアクリルスタンドこれだっけ・・・?
この衣装はライブ映えする本当にいい衣装だった。
今年のは既に鞄に入れてます。

 

●セトリ

今回のネックはアルバム。本来の日程(7月22日)から振替公演当日、までの間に1stアルバム「As you know?」が発売されたんですよ。表題曲の「摩擦係数」含め5曲の新曲が出た訳です。「摩擦係数」は7月中旬に公開されているので、必ずやると思うのですが、問題は残り4曲をやるのか、やらないのか。

僕は、「条件反射で泣けてくる」「摩擦係数」のみ、やると思います。

4th「五月雨よ」の収録曲を発表するライブがなかったからです。

理佐の卒業ライブがありましたが、あくまで卒業ライブであり、理佐を送り出すのがメインのセトリでした。欅の曲入ってたり。逆に「BAN」「流れ弾」等入っていなかったり。

あと、確か秋からの全国ツアーがアルバム引っ提げてのツアーでしたよね?じゃあここでは他のアルバム収録の新曲はやらないのではないでしょうか。

なので、五月雨よ」収録曲をメインに組んでくるのではないかと予想。

 

また、日向坂が欅坂の「語るなら未来を・・・」をやったように、櫻坂も日向坂の曲を1曲やると思うんですよね。

予想は「キュン」。これ一択。

理由は、「語るなら未来を・・・」は日向1期生が初めてけやき坂として制作に参加した時の表題曲で、憧れというか自分たちの未熟さを改めて痛感というか、すごい色々な思いがあった時期の曲だと思うんですよ。握手会に人は来ないし。

逆に「キュン」で日向坂がデビューした時、欅坂も「黒い羊」を出してたものの9thのリリースに至らずいろいろ思い悩んだ時期だったと思うんですよね。平手ちゃんの脱退後グループとしてこれからどうしていくのか問題。

欅(櫻)が調子いい時は、けやき(日向)が調子悪くて、

日向(けやき)が調子いい時は、櫻(欅)が調子悪かった時期があったんですよ。

でもそのなかで(少なからず現メンバーは)腐らずふてくされず、ともにグループとして認めあって、そして昨年ようやっと2つのグループ同時開催のケヤフェスが・・・という経緯がある訳ですね。

話が脱線しかけてますが、なので日向枠は「キュン」一択とします。

他の曲でも勿論万々歳です。「キツネ」「アザトカワイイ」「ドレミソラシド」「君しか勝たん」「ソンナコトナイヨ」とかやられちゃったらもうね。もうね。あかんですよ。

 

 

 

ではまず、本命の方の「五月雨よ」中心のセトリ予想案です。

曲数とか時間とかそこまで考える余裕もないので(なぜなら今日だから)、そこらへんは甘く見てほしい。

 

案A:「五月雨よ」中心、且つアルバム曲をやらない

1.流れ弾

2.車間距離

3.Microscope

(MC)

4.五月雨よ

5.摩擦係数

6.断絶

7.I'm in

8.制服の人魚

9.Dead end

10.思ったよりも寂しくない

11.ジャマイカビール

(MC)

12.これが愛なのね

13.条件反射で泣けてくる

14.なぜ恋をしてこなかったんだろう?

15. Nobody's fault

16.BAN

(MC)

16.Buddies

17.僕のジレンマ(尾関&原田のWセンター)

Encore(原田登場)

1.コンセントレーション:尾関センター

2.制服と太陽:原田センター

3.バレエと少年:+小池、上村で披露

4.世界には愛しかない

WEncore

1.キュン

2.櫻坂の唄

「流れ弾」、これめちゃくちゃ水どっかんどっかんできそうなんでトップに出てきそうだなと思い、予想。「Dead end」も水映えしそうだけど、1sttourのトップでやったから、まぁ中盤か終盤に出てくるのではないか。

「Buddies」、「君に会いたかったよ」という歌詞から始まる。恐らく一番メンバーが届けたい歌なのではないか。なので、ライブ本筋の終盤に持ってくると予想。

「僕のジレンマ」、これは卒業していくメンバーがどんどんセンターになっていくシステムだと思ってたんですけど、違うんですかね。どうなんだろ。

終盤のアンコール枠で、2人の1期生セレクトの曲をやるのではないか。原田は受験による休業云々の時に語っていた「制服と太陽」を選びそう。

また、2人が同時に所属していたユニット156の「バレエと少年」もやるんじゃなかろうか。

てか、曲数多い気がする。もしかしたら「条件反射」「ジャマイカビール」とかはやんなそう。

「I’m in」はやりそう。水を出しやすそうなので。すると逆説的に「断絶」もやると思うが、これで「S**t kingz」枠*1が確保、ということで「ジャマイカビール」はやらないかもしれない。ただ、1周年ライブでの披露が非常に評判が良かったことからやりそうな気もする。

「Microsocope」は大穴をついてやるのではないか。水を出しやすそうなので。

要するにセトリは水を出しやすいかどうかで決まる。と思う。

 

案B:「五月雨よ」中心、且つアルバム曲をやらない

1.Buddies:全員参加解放

2.流れ弾

3.五月雨よ

(MC)

4.摩擦係数

5.条件反射で泣けてくる

6.制服の人魚

7.断絶

8.I’m in

9.恋が絶滅した日

(MC)

10.美しきNarvous

11.車間距離

12.On my way

13.なぜ恋をしてこなかったんだろう?

14.BAN

15.Nobody’s fault

(MC)

16.僕のジレンマ(原田&尾関のWセンター)

Encore

17.バレエと少年

18.音楽室で片想い(小池、尾関)

19.制服と太陽

20.サイレントマジョリティ

W Encore

21.キュン

22.櫻坂の詩

メンバーが今一番ファン・・・バディーズに届けたい曲、ということで「Buddies」を冒頭。且つ、全員参加の曲になるのではないか。というのも、櫻坂46としての曲も増えてきたため選抜制にする必要性が薄くなってきているとは思うので。あと大園さん初め参加していないメンバーも普通にファンに届けたいと思うので。この曲を。

「恋が絶滅した日」は今、ライブで披露しとかないと、なかなかしないような気もする。あと水が出しやす以下略。

「美しきNarvous」も水略。花火とか出してくれると嬉しい。

「On my way」ふたりな曲も入れてみた。番組で松田の歌唱力をとりあげるくだりがあったばかりなので、其処にも注目という意をこめて。

欅曲も予想を少し変えてみる。

「音楽室で片想い」は、尾関が大抜擢されたユニットなので、尾関個人に思い入れがありセレクトしてもおかしくないと予想。

サイレントマジョリティー」は芸能界引退、そしてまぁうん多分?アナウンサー?と今までとは全く違う道を歩む2人に対して背中を押す曲であり、且つ1stシングルということで原点。「ケヤフェス」・・・けや、を冠するこのライブで解禁する可能性も泣きにしはあらずだと思う。でも本命は「世界には愛しかない」かなぁ・・・やっぱ。

 

だいたい僕の予想はこの2つ。

ただ、アルバム曲を積極的に披露する可能性も考慮したい。

もしかして12月とかに5thを出してそれを解禁してくのが、秋からのツアーのメインなのかもしれない。

というわけで、3つ目!!!

「As you know?」中心パターン!!!

 

案C:アルバム曲中心、「五月雨よ」収録曲もやる

1.Buddies

2.摩擦係数

3.BAN

4.流れ弾

(MC)

5.五月雨よ

6.One-way stairs

7.ずっと春だったらなぁ

8.タイムマシーンでYeah!

(MC)

9.思ったよりも寂しくない

10、無言の宇宙

11.君と僕の洗濯物

12.なぜ恋をしてこなかったんだろう?

13.車間距離

(MC)

14.断絶

15.I’m in

16.Nobody’s fault

17.僕のジレンマ(尾関と原田のWセンター)

Encore

18.世界には愛しかない

19.バレエと少年

20.二人セゾン

W Encore

21.キュン

22.櫻坂の詩

アルバムメインならば、手始めに2曲目に「摩擦係数」持ってくるのではないかと予想。

「Dead end」はどっかで入ると思うんだけれども、卒業するメンバーがいるなかで終盤やる曲ではないから、せいぜい中盤あたりかなぁ。

というか、中盤が全く読めない。もしかしたら中盤に欅曲やるのかもしれないし・・・。

 

うーん。どうでしょう。どうなんでしょうか。

ていうか日向坂は「語るなら未来を・・・」そもそもいつやったんだ?(不勉強)

どちらにしろ、僕はもう現地で水1滴でもかかれば大満足です。

天気も今のところいい感じだし、楽しみてかフツーに時間がヤバイ。

 

 

参考に。大園さんもなんかこういう感じでまとめてきそう。

 

●推しの髪型

大園玲さん:ポニテ&まき、もしくはシニヨン

大沼晶ぽ:三つ編み

フェスということで、普段のライブと違って大胆な髪型が多い印象のケヤフェス。

大園さんの髪型が本当に楽しみ。無論ストレートでも嬉しい。

あきぽは全く読めないけど、浴衣のアクリルスタンドの三つ編みが似合っているのでこれだったらいいなぁと思い、予想。無論そのままでも嬉しい。

 

 

●代打予想

この前、櫻エイトに全曲入りしていた理佐が卒業した。

ということで、その枠を誰が埋めるのか。ざっくり予想。

・ノバフォ:井上

・なぜ恋:大園玲さん

・Buddies:ちゅけ

・BAN:齋藤、梨加枠にちゅけ

・偶然の答え:有美子会長→代打で齋藤(歌唱メンバーではなく、且つ振りの覚えが早そうなので。)

・思ったよりも寂しくない:幸阪、大穴で尾関

・流れ弾:大沼、梨加枠で齋藤

・無言の宇宙:れなぁ(もしかしたら曲自体やらない可能性も?また、卒業する原田も大穴で予想しておきたい)

・Dead end:ちゅけ

・五月雨よ:菅井

・車間距離:菅井、もしくは土生

ダンスがうまい齋藤が結構穴埋めてくれるんじゃなかろうか。本人も卒業後はそういう道に進みたい旨を言ってたから、その意図を組んで色んな曲の色んな振りを吸収するという意味でも。

「無言の宇宙」はセンターなられなぁの可能性があるかなぁ、と。バックスライブ両方でセンターバチバチに勤め上げたので。

「車間距離」は安易に菅井と見せかけてひねってきそう。

 

画像の加工ううぬん差し引いてもめっちゃ晴れてるやんけ。



 

以上である。

とにかくめちゃくちゃ楽しみ!!!!

というわけで僕は今から歯を磨いて服を着替えて外出ます!!!

単四電池買うの忘れないようにしなきゃ(ペンライトの電池がきれている)!!!

 

有美子ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

ガイシホールで待ってるぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 

***

LINK

去年のツアー(愛知初日参戦)のレポ。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

***

 

20220911

 

ケヤフェス終わってもうそろそろ1ヵ月・・・。

答え合わせやるわよ!!!!

 

●セトリ

現地参加した初日は、しいて言うならやはり案Bが一番近かった。

でもまさかいっちばんはじめ「太陽は見上げる人を選ばない」は予想できなかった・・・!!!

でも「Nobody’s fault」「BAN」の連続披露を当てたところは褒めてほしいですね

そして2日目はリモート配信で見たのですが、まさかあんなにセトリ変えてくるとは思わなかったよね。「バスルームトラベル」までやってくれるんかい!!!

あとブルームーンキス」が見られるとは本当思わなかった。いつもこの曲だとでけぇミラーボール、ブルームーンが天井から降りてくるんですが、野外だから出来ない訳じゃないですか。だからやんないだろうと思ったけど・・・いやいや、まさか噴水に投影して見せてくるとは・・・。

逆に「Dead end」を2日にわたってやらなかったのは意外。やっぱ卒業するメンバーがいるなかでさすがにタイトルがふさわしくないからか。でもちょっとケヤフェスならでは、野外の花火バチバチで見たかった気も。

あと「僕のジレンマ」やらなかったのも意外だった。理佐曲なのかな。

そしてまさかの日向曲は「NO WAR in the future」という。こんなん誰が予想できるかよ!!!!時勢を加味して、と菅井が言っていましたが・・・。卒業発表した彼女のことを考えると、「おひさま」「Buddies」の一部の不毛な争いを諫める意もあったのではないでしょうか。

 

●推しの髪型(初日)

大園玲さん:ハーフアップ

あきぽ:三つ編み

あきぽの髪型見事に当たって自分でもスゲェなと思った。

生三つ編み、かわいかった!!!ありがとうあきぽ!!!

無論大園玲さんのハーフアップもふつくしかった!!!!最近見る巻き巻きヘアーは2日目でしたね。

 

●代打

おいおい・・・「無言の宇宙」の原田センターを大穴で予想したの、自分でも凄いなと思った。尾関は2番のAメロで上村とのペアの可愛い振り付けがあるから、センターやるなら原田かなぁと思ったけれども!!!凄いな!!??誰か100万円くれよ!!!!!!!

まぁ本命はれなぁで予想してたけど・・・。

「偶然の答え」、大園玲さんはこれは嬉しい誤算でしたね。去年のツアーでは小林のポジを務めていたんですよ。雰囲気表現ばちこいで最高だった。だから今回はないかなぁ、と思ってたけど。さすが大園さん。さすぞの。

あと全部は調べないと分かんないんですけど・・・「Nobody’s fault」はやっぱ井上来ましたね。

 

答え合わせ、以上!!!!

ただケヤフェス後、まさか自分がコロナにかかるのは本当予想できなかった。

大園さんと同じタイミングって言うのが唯一の救い。まぁかかるならね、同じタイミングがいいよね。かからないにこしたことはないですが。

まさしく大園さんが生放送欠席した26日ジャストに僕も病院行ってまして、

医者「心当たりはある?」

僕「じ・・・じじじじじ、じゆうくにちにら、らららららららら、らいぶぅにい、きました!!!」

医者「19日?じゃあ違いますね」

違うんかい!!!!

オミクロン株は発症まで3日と非常に早いのが特徴らしくて、19と26じゃあ感覚空きすぎとのことで違うだろうと。

じゃあ原因逆になんだよ!!!!!!

レンタルビデオ店で働いているので多分そこか、まぁ休日出かけたりしたのでそこ、だとは思うんですが・・・。

 

え。

じゃあ、

 

じゃあさ、

大園さんとタイミング●案る被ったのはもしかして・・・・

 

え、

これって・・・運命・・・ってコト!!!???

 

*1:振付師。櫻坂の曲は基本TAKAHIRO氏が担当しているのですが、「ジャマイカビール」「断絶」のみ「s**t kingz」のshojiさんが担当して話題になった

平山夢明ほか『瞬殺怪談 鬼幽』-ちなみにまぐろどんハウスはワンルームのユニットバスなので心配ございません。-

 

 

みんな大好き瞬怪談最新刊イェア!!!

 

 

ヒィハァ!!!!!!!

 

 

 

 

 

平山夢明ほか『瞬殺怪談 鬼幽』(竹書房 2022年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

【概要】

眠れぬ暑い夜、移動の時や待ち時間ーーーそんな日常の隙間に読尾目る短い実話怪談を集めた人気シリーズ第9弾。ルポ会談の名手・吉田悠軌と新鋭・蛙坂須美が初参加。

いつも身近にいる人がけがをするのはなぜ「いらない才能」小田イ輔)、

肝試し先で起きたのは・・・「罠」黒史郎)、

取り壊しになる小学校に大人になった同級生が集まるが・・・「時効なし」神薫)、

シロアリ駆除の業者が床下を調べたら・・・「したにしたに」黒木あるじ)、

再会した友人の顔が・・・「予兆」我妻俊樹)ほか、

鷲羽大介、つくね乱蔵、平山夢明による書き下ろし149編を収録。

裏表紙より

 

【読むべき人】

・夏に手軽に怪談を読みたい人

・怪談本を読みたいけど怪談が苦手な人(つべこべ言ってる間に怖い目に遭うのでおススメです)

 

 

 

 

【感想】

まさかまさかの最新刊である。うれぴー。

と言うのもこのシリーズ、過去のを見る限り年1で出ているんですよ。で、2022年は既に8巻が出ているから9巻は来年だろうなぁと思ったらまさかの今月発売。うれぴー。

7月の朱雀門出「第七脳釘怪談」に引き続きそのまま、8月、本書を発売日に新品で買いました。

やべぇな。

思えば、実話怪談本を読もう!と思ったのは去年の夏。瞬殺怪談4,5巻から入り、まぁ夏だけにしようと思いながらももともとのおばけ好き・オカルト好きが祟ってずるずる竹書房怪談文庫買っては読んで買っては読んで早一年。とうとう発売日に新品に買うまでに立派に成長してしまったよ。

もともと実話怪談本は大好きだったんですけど、ほら、買っちゃうといつか捨てる時呪われそうじゃないですか。だからずっと買わなかったんですけど、なんなんですかね。28歳になってから全然なんか気になんなくなってきて。ホラー映画とかも絶対無理!だったんだけれども、「ミッドサマー」皮切りにバリバリ見たいし見れるし。これが大人の女ってやつなんでしょうか。

 

あとアマゾンで知ったんですが、10月か9月に我らが我妻俊樹大先生の実話怪談本が数年ぶりに出るんだってよ!!!めっちゃアツいまじでアツい!!!!発売日にジュンク堂に駆け込むのは無論もうね、もうその場で読んで売り場の前に立ってキャンペーンガールをしたい。スーパーの試食のお姉さんで培ったスキルを全ツッパしたい。輸入食材半版点で培ったPOP力全ツッパしたい。というかもう金払うから書かせてくれ!!5万円くらいまでなら竹書房に送金する!!最近よく分からん短歌・創作短編ばっか書いていたのでもう、実話怪談本シリーズくらいでしか書かないのかなぁ・・・って思っていた。我妻先生の独特な感性は実話という事実ベースだからこそキラリと独特な輝きを放つというのに・・・。竹書房怪談文庫、ありがとう・・・ありがとう・・・・!!!好き。ちょー好き。めっちゃ期待してる。

 

あと、最近じゃあ竹書房が出すアイドル雑誌「トップエールネオ」あれも推しの大園玲さんを最近2回取り扱ってくださってるから無論読んでいる訳で・・・あと守屋麗奈ことれなぁの写真集竹書房から出ますね!!欅・けやき・櫻おってきた身としては竹書房は初体験だったのでドキドキですがまぁ意外としっかり広告番宣ばちばちにやってくれてるっていうね!!!見習え白夜書房!!!TSUTAYA版の表紙が最高だったのでTSUTAYAで予約した。

あと僕的ナンバーワンロリ漫画、柚木涼太「お姉さんは女子小学生に興味があります」竹書房からだし・・・。

最近竹書房とめっちゃ・・・「密です♡」て感じ。

れなぁの写真集、タイトル表紙共に最高なのでめっちゃくちゃ頼むで・・・!!!

文字の配置がおしゃれ。8巻からお?デザイン性もたせてきたな???とは思ってたよ。

 

そして年2という例外なる短いスパンにもかかわらず今回も気になる話いっぱいあったので簡単に各話感想を書いておく。なるべく本筋に関わるネタバレは避けているが、そこらへん気にせず書いていくので注意。

特に怖かったのは「机上の奈落」「薔薇のアーチ」「赤ちゃんを飼う」「ハイハイヨロシク~」「地獄絵」「ジャベリンの男」「一周忌」「金縛りの理由」「自宅の風呂にて」「神仏は大切に」「老人会」

ベスト3を決めるなら・・・「机上の奈落」「一周忌」「自宅の風呂にて」

 

 

 

小田イ輔「いらない才能」pp.14-15:

K氏は、同級生などによく怪我をさせる子供だった。p.14

裏表紙のあらすじにも書かれている表題作の一つですね。

終盤まではあーはいはいって感じなんだけれども、最後の一文はちょっとぞっとしたね。絶対地獄いきやん。何度も言ってますがこういう地獄系怪談が一番クる。

のを、2篇目にためらいなく持ってきちゃう潔さも良い。

 

 

平山夢明「アシさん」pp.24-25:有名マンガ作家のアシスタント時代、連続徹夜が当たり前だった。その中でも一人飄々としている先輩がいて・・・。

「おまえ干支は?」p.24

怖い、というよりかは非常に面白い・興味深い一篇。干支、特に外国の干支が絡む話。ていうかそもそも日本以外にも干支ある国があるんだ、っていうそこに驚き。で、その外国の干支が日本の現代社会にぬぅるりと絡むんだからなかなか面白い。

いいですね。外国人の方がどんどん増えつつある中で、いろんな種類の怪異が僕達の生活に絡んでいくんでしょうか。キリスト教の「悪魔」という概念、ピラミッド、UFO、あと東南アジアの独特の信仰・・・。なんかワクワクしてくる。ムーと実話怪談の世界は、50年後100年後には密接に絡まってもはや一体となっているのかもしれない。

今のうちに色んな映画見て予習しておいた方がいいかなぁ・・・。「へレディタリー」「オーメンとか。エクソシストとか。あー、あと、あれ「女神の継承」あれは絶対見に行く。

 

先輩「お前干支は?」

まぐろどん「酉年です・・・」

先輩「ファミチキでも食っとけ」

まぐろどん「ふぁい・・・」

 

 

 

鷲羽大介「机上の奈落」p.28:印鑑を朱肉につけようとしたら・・・。

素晴らしい一篇。これこそ瞬殺怪談って感じ。

前半の日常生活に近いぬるめの怪異現象からの、後半のバッサリ切るえっぐい展開の落差がいい。

 

 

吉田悠軌「ソフビ人形」pp.32-33:

「その家、少し前にお母さんが心を壊しちゃてね。泣いていやがる息子を道連れにして、無理やり自殺しちゃったんですよ」p.33

胸がきゅっとなる一篇。切ない。悲しい。

こういう話は昔からよく耳にするけれども・・・彼等の当時の気持ちを思うと胸が苦しい。ほら、子供時代って親≒唯一神だから・・・。

何故、彼等は子供を連れて行くんでしょうね。心理学的関心もちょっと傾く一篇。春日武彦先生オナシャス。

あとソフビはぼかぁ全然興味ないし一生手を出すこともないと思ってたんですが、LDD、入手して分かったんですが素材がソフビなんですよね。どうりで髪の毛うまくとかせない訳だよ。

 

 

蛙坂須美「薔薇のアーチ」p.35:

すると一軒の家の前に、手の込んだ薔薇のアーチがかけられているのを見かけた。p.35

これが井戸だったり廃車だったり鏡台だったり、所謂「ひゅ~どろどろ」直結アイテムだったらこの一篇、僕は何とも思わなかったでしょう。

薔薇のアーチ。

怪異とはほとんど無関係のメルヘンの塊が、そこにあるというだけでなんか色んな感情がまざりにまざって胸がざわつく。怖い切ない怖い寂しい彼女は一体何を思って。

 

 

神薫「赤ちゃんを飼う」pp.36-37:エアコンのなかにいたものは・・・。

読むまでエアコンのあの隙間にいたら厭なモノ第一位は圧倒的Gだったんですけれども、これを読んでから考えを改めました。第一位は、赤ちゃんです。

・・・思わず部屋のエアコンを見る。

暗闇には虫の気配も人の気配も感じられない。

 

 

 

 

つくね乱蔵「つまずく部屋」pp.38-39:

痛えっ p.39

「ITEE]、この音を絶妙な3文字に落とし込む技量と、怪異現象を凌ぐヒトコワオチ、つくね氏かな?と思ったら、やっぱつくね氏だったでござるの巻。

 

 

我妻俊樹「テレビ塔」p.40:

「折れた首、折れた首、くちなわの寿命のようにつながる」p.40

ぬるぬると読める日本語にぽっかりと開く怪異の穴、何とも言えない後味、あーこれは平山教祖か我妻氏どっちかな?と思ったら我妻先生だったでござるの巻。

平山夢明教祖に並んだグロテスクを描写できる人は、他にもいると思う。綾辻行人先生とか。漫画になるけど「闇金ウシジマくん」の真鍋昌平先生とか。

でも、平山夢明に並んだ虚無を描ける人を、僕は我妻俊樹氏以外に知らない。

硬質な虚無。純文学の締めった虚無とはまた違う、あの、心に、正方形の、穴を、あけられた、ような・・・。

 

 

つくね乱蔵「うるさかった話」p.41:

「うるさい」p.41

多分めっちゃくちゃうるさかったんだと思う。そりゃそうなるわよ。

ちなこの前まぐろどんハウスの隣の部屋でセッが行われてて、うるせえし、まじの虚無だった。100夢明くらい。

 

 

蛙坂須美「鯛地蔵」pp.44-45:

白檀のようだった。p.44

鷲羽大介氏の「机上の奈落」と並んで、前半と後半の落差が楽しい一篇。

また、白檀(びゃくだん)とか、「閉口」の正しい意味を伴った使い方とか、日本語の勉強にもなるので、中学生の国語の教科書にぬるっと収録して度肝を抜かせたい一篇。国語の教科書、まぁ塾講師やってたんで4-5年前までは携わっていたんですけれども、春は井上ひさし「握手」瀬尾まいこ「花曇りの向こう」、秋は魯迅「故郷」ヘッセ「少年の日の思い出」インパクト残る短編が多いのに夏、なんか存在感薄いんですよね。なのであえての怪談を収録することで生徒たちの心にトラウマを植え付ける。そして将来の有望たる実話怪談作家を何人も育成することで誇るべき日本文学の一つとしてかつてJホラー映画がそうだったように世界を席巻させて「うるさい」p.41

 

 

黒木あるじ「いきさき」p.47:

どう思う?p.47

2行に満たない瞬殺怪談。幼児の可愛らしさ・愛らしさと、後味の悪さ・えぐさ。少ない文字数で落差をぎゅいんと急角度で付けていて良作。

どう思う?って聞かれても・・・そういうのは弱いって、何度も言ってるじゃあないですかぁ・・・。

 

 

神薫「結婚の挨拶」pp.48-49:

ちょっと出来過ぎかなぁ・・・嘘クサいというかなんというか。

神氏は傑作の数だけ駄作も多い、稀有なる蒐集家だと思います。

はよあらゆるアンソロジーに書いてきた「当たり」だけ集めた傑作選単著出して。

 

 

つくね乱蔵「永遠の恋人」p.50:

そんな嫉妬深い所も大好きだそうだ。p.50

いい話や。こういうブラックジョーク的話も多く収録されるのが「瞬殺怪談」シリーズの特徴の一つなんだけれども、そのなかでも分かりやすく面白い、ブラックジョーク。ジャパニーズジョーク。HAHAHA。

 

 

吉田悠軌「ハイハイヨロシク~」pp.54-55:

父親が獣になった。p.54

お稲荷さん関係の話。

やっぱり神社って敬意持って参拝した方がいいねんなぁ、と思う一篇。

お稲荷さん、といえば4年くらい前、人と会う約束をしてたんだけどどうしても会いたくなくて、でも約束しちゃったからまぁ無理矢理行って、でも早くついちゃったから近くの神社行って、ついでにその近くにあったお稲荷さんに「今日が楽しい一日なりますように」と願掛けしようと心に決めながら賽銭箱に10円玉投げたら、入らなかったんですよね。

賽銭が入らないというのも初体験だったし、その日はやっぱり途中で気持ちがふさがって全然楽しくなかったし、その人と対面で会ったのもその日が最後ですね・・・。めっちゃくちゃ世話になった先輩なんだけれども・・・。本当世話になった先輩なんですけれども・・・でも・・・なんか会いたくないんですよね・・・。

 

 

蛙坂須美「地獄絵」pp.58-59:高校時代の友人のYが、描いたものというのが・・・。

ええ・・・になる一篇。うわぁ・・・になる一篇。

描かれている対象だけでなく、描いた本人も恐ろしい顛末を辿っているのが、なんともいえない余韻を残す。ドン引きというか・・・うわぁ・・・になる。

令和版「地獄変」といったところか。

地獄絵といったら、「てのひら怪談」のどれかの巻の最後に収録されている、女性が体液振り絞って絵を描く掌編もあるのですが、あれも傑作。作者もタイトルも収録されている巻がどの巻かも覚えていないのですが・・・。

 

 

黒史郎「ごはん」p.61:

「おかえり、ご飯いるー?」p.61

これ問いかけてくる側が・・・という話はよく読んできたのですが、その反対側が・・・っていうのは結構珍しいんじゃないでしょうか。

 

 

鷲羽大介「ジャベリンの男」p.64:

やり投げの選手が走ってきている。屈強な白人の男だった。p.64

怪異の多国籍化も楽しみだという話をしたのですが、まさしくそれ!な一篇。

白人のやり投げ選手が走って来るとかもうそれだけで怖いし今まで聞いたことないし結末陰惨だし。

キャラクター小説と言う言葉がありますが、本編はまさしくキャラクター実話怪談。

 

 

小田イ輔「ライト小僧とその友達」p.66:

「ピカーっって、ものすごく光っているんですよ、その子の顔、それだけは覚えてるんです」p.66

職場からの帰り道(夕暮れ前)、団地、そしてライト小僧・・・SF的存在。3つが緻密に組み合わさった見事な一篇。同時に・・・いつこういう存在に遭遇するか分からない。読者の現実に肉薄する団地と言う舞台設定が趣深い。僕の通勤路にもあります、団地。多分其処が「公園」だったらこんなに怖くなかった。

 

 

つくね乱蔵「過保護」p.68:過保護の父が死んだ後、常に真横に浮かぶようになり・・・。

やっぱ過保護な親にロクなのはいないなぁと思ってしまう一篇。

あーでも、28年間かれぴっぴなし童貞(メス)の僕にはやっぱりこれくらい過保護な存在あったほうが丁度いいのか!?逆に!?人生充実!?・・・いやいやふざけるなよ。僕もまだあきらめてない・・・です・・・。

ちなみに僕の父親は放任主義です。死んだら即成仏輪廻転生しちゃうと思うわ。

 

 

黒木あるじ「雛記」pp.73-75:ある母親の日記。

ううん・・・微妙。ひな人形って怖い、じゃないですか。そこに安易に付け込んだ3ページって感じ。自分の本ならまだしも瞬殺って程怖くもないしなぁ。

「日本で一番売れているハーフの小5の女の子の人形」とか、「惑星よりも大きいという飛んでも設定を持つメルヘンなキャラクター」とか、そういうギャップあるものが題材であればよかったのに。まぁ実話なんでしょうがないんですが。特に前者は3本脚で有名だし。

あとこういうタイプは凄くうさんくさいので、別の形で書いてほしかった。プロなら日記を安易に実話怪談に持ち込むなよ。一昔前のしょーもないレベルのネット怪談じゃないんだからさぁ・・・。

 

 

 

 

 

鷲羽大介「口コミの女」pp.76-77:隣の部屋が民泊として貸し出される。夜な夜な話し声が聞こえるが・・・。

あ~はいはいこれはもうあれね、その日は予約なしで無人のはずですがパターンね。はいはいはい。おっけーおっけー、からのガツンと予想外の角度からやられる。強い。

ただタイトルが惜しい。「の女」いらない。「口コミ」だけでよかったのではないか。

 

 

我妻俊樹「ワンピース」p.79:

夢に祖母が現れて「あたしはまだ死んでないよ」と言う。p.79

こちらは逆にタイトルが秀逸な一篇。

体験者がの気持ちがぐっと伝わる素晴らしいタイトルだと思う。

内容はまぁ普通ですが・・・タイトルが、まぁ「夢」「夢枕に立つ」とかだったら数分後には忘れていたと思う。タイトルの影響力の凄さを感じる一篇。

 

 

鷲羽大介「草野球の女」pp.86-87:

ポニーテールに、白いTシャツを着てグレーのショートパンツをはいた、いかにも快活そうな女の子である。p.87

これはまさしく「の女」つけて・・・正解。な一篇。

また、容貌の良さも思わせるような明るい女の子の生気溢れる姿とは真反対の、不穏な匂いを漂わせる結末も見事。どういうことだ・・・どういうことなの・・・。

 

 

神薫「誘蛾灯」pp.90-91:幼馴染が、歳の離れたある宗教の教祖と結婚した。

面白いですね。最後、恐怖を感じたのが相手ではなく自分自身、というのが特に。

あと思い出したのは、ジョジョの作者。あと谷原章介。あの2人って、もしかして・・・。

 

 

我妻俊樹「一周忌」p.93:

友人の一周忌で集まった仲間達と飲んでいたら、急に店内が真っ暗になって読経の音が十秒間くらい流れた。p.93

うへぇ・・・。お経フィーバータイムがなかった、までなら分かるんだけれども、その後続く何とも言えない怪異がたまらなく厭だ。怖い。

またその怪異が、創作ヨロシクド派手なものではなく、ちょっとした事象なのも怖い。まさしく「実話怪談」。 

 

 

黒木あるじ「投書」p.101:

【以下、原文ママ/掲載了承済み】p.101

「雛記」は変化球が祟って微妙な結果に終わりましたが、こちらは変化球が見事にダイレクトアタック。日記風の怖い話というのは「ナポリタン」「良栄丸事件」よろしく、結構何度も目にしてきましたが、多分ネットの投書という媒体が今まで読んだことなかったからでしょうね。既刊では会話だったりと、実話怪談の新しい伝達媒体を黒木氏は探している印象を受けるのですが、でもどうなんだろうね。他にあんのかな。

 

 

鷲羽大介「腹に一物」pp.108-109:真昼間に露出狂に遭遇したが・・・。

序盤の「お?ヒトコワか?」からの、中盤のグロテスクからの、終盤の「ええ・・・」と不穏な謎を残した結末。2ページと言う短さながら、序盤中盤終盤全て味わいが違う贅沢な一篇。あと本作が今回の鷲羽氏の「エロ実話怪談」枠でおk?

 

 

我妻俊樹「両側」p.115:

住み慣れた町なのに駅から自宅までの道に迷ってしまう。p.115

住宅街で道に迷う時のあの独特な不安感、何なんだろうね。怖いとも違うあの・・・なんともいえない・・・鳥肌が立つようなもう帰れなくなるんじゃないか、とも思うような、僕が日常生活を送っているのと並行してココで誰かの日常生活が営まれているんだということをふと思い出して、いや当たり前だろと思い直す、パラレルパラレル。あの感覚を実感できる一篇。まぁ、向こうは「そう」だろうと僕も思う。

 

 

神薫「金縛りの理由」pp.118-119:引っ越したワンルームのアパートで、毎晩金縛りにあう。

ありそうで今までなかった展開の実話怪談。なんで逆に今までこういう話がなかったんだろう?というくらい隙間をぬった怪異。これは絶対平山夢明教祖だわ・・・と思ったら神薫氏だったでござるの巻。

時々こういうホームランうつから侮れないんだよな・・・。今んところ本シリーズ1冊に1回は打ってる。

 

 

つくね乱蔵「七日の間」p.120:

「利美ぃ、あきらめて行けやぁ」p.120

ある約束事を体験者はするのだけれどもそれを破った際に起こる怪異が怖いですね。本当にありそうで。いやまあ実話怪談なんであるんですけれども。多分これはマジだと思う。いやまぁ実話怪談だから全部マジなんですけれども。

 

 

我妻俊樹「老婆」p.124:

まって。最後シュールすぎない???

 

 

黒木あるじ「腕神社」p.130:

まって。最後シュールすぎない??????

 

 

じじい枠はそういやなかったね!!



 

 

つくね乱蔵「薄情」pp.134-135:ドライブ中、休憩に寄った小屋。仲間2人が入って行ったが、出てこない。

SFか?と思ったら予想外のSFだった。スピード感がえげつない。

どうなんだろうね。でも残りの2人の存在が、この世から抹消されたとも思えない。多分普通に生きて居ると思うのだ。体験者同様に、なくして、そのまま。

 

 

鷲羽大介「緊急ボタン」pp.136-137:

私は返答に困り、「押しやすいんじゃないですかね」とだけ答えておいた。p.137

乳首みたいに言うなよ。

でも、面白いですね。ふつう安全のために着ける装置が、つけることでその逆になるというなんたる皮肉。哲学。シュレディンガーくりぃむナントカ(違う)

 

 

小田イ輔「自宅の風呂にて」pp.140-141:

「そしたらさぁ『追い焚きを始めます』って音声が流れるわけ」p.140

めちゃくちゃ怖い。小田イ輔氏の単著に今年中に手を染めることを決意したくらいには怖い。

パラレルワールドもの、だと僕は思う。

話はそれるが、僕が初めて「パラレルワールド」という概念に遭ったのは、小4の時だったと思う。筒井康隆時をかける少女に収録されている短編だった。タイトルは覚えていないが主人公のヒロインの名前は覚えている。信子。

些細なきっかけのいつまでもどこまでもパラレルワールドを異動し続ける、って話だったと思う。んだけれども、元の世界に帰ってこれないという結末が怖かったし、同時に僕が何万何億いて・・・という概念自体もとても怖かった。

その時の感覚を思い出した。

知らず知らずのうち僕達は、異動し続けているのかもしれない。というか、パラレルワールの異動をし続けること、それが生きると言う事なのかもしれない。

本当は人間が気づかないような仕組みで異動し続けているのだけれども今回はたまたまほころびが生じてしまった・・・ピカチュウの尻尾の恋部分は付け根か先端か?千と千尋のエンディングは?キットカットのロゴの合間にハイフンは存在したか?お前の風呂の呼びだし音は本当に電子音だったのか?

 

 

吉田悠軌「生き別れ」pp.144-145:

「うちのドーベルマンが散歩中、オタクの犬に襲い掛かり殺してしまいました」p.145

一番怖いのは、自分の家の犬が他人の家の犬を殺したにもかかわらず、菓子折り一つで解決しちゃおうとするおじさんのぶっといぶっとい神経ですね・・・。

 

 

黒木あるじ「殺す気か」p.146:祖父の家の仏壇ん位、従兄がそなえたものは・・・。

タイトル秀逸。タカアンドトシのトシの声で再現された。不謹慎すぎるだろ。まで頭の中のトシが言うてる。

てか死んでからもアレって効果持続するもんなの?

 

 

つくね乱蔵「盆栽」p.149:

それもまた一興と楽しんでいるようだ。p.149

美人なら・・・まぁ・・・。

黒髪なら・・・まぁ・・・。

でも茶髪のソバージュとか、メイクが派手とかそういうのは嫌だな。

あと若い女の自殺程、コンテンツ化するのにうってつけの現実はない。

 

 

鷲羽大介「時間厳守」p.150:パスタゆでゆで。

面白いですね。こういう、実話怪談でとりあげるほどではない些細な怪異を描くのに、「瞬殺怪談」という媒体は丁度良い。

あと意外とパスタゆでゆでしている実話怪談は読んだことがないかもしれない。

 

 

黒史郎「四十二」pp.154-155:

彼とは年に一度か二度、高三の頃に自殺したクラスメートの女子の話になる。p.154

僕は、小中高12年間、自殺したクラスメートは僕はいませんでしたね。

(本当に?)

同じクラス、だけでなく同じ学年でもいなかった。

小2だか小3の時に「自殺してやる」宣言をして教室のベランダに出て行った少年はいましたが。でも隣のクラスだったし今思うとあれは一種のかまってちゃん行動だったんだと思う。

(本当に?)

事故や病気で亡くなった児童・生徒もいなかった。

(本当に?)

恵まれていた。

恵まれていたんだと・・・思う。

本当に?

 

 

鷲羽大介「神仏は大切に」pp.160-161:

木でできたお社は古く、誰も手入れしていないようでかなり汚れていた。p.160

あのさあ・・・いやいやいやいや・・・・あのさあ・・・あの・・・もうさぁほんとさぁ・・・こういう系いっちばん弱いんだよ。義務教育、いやもしかして義務教育に至る前から「神様仏様は素晴らしい存在なんだ」って刷り込まれちゃってるからさぁ・・・もうさぁ・・・勘弁してくれクレメンス。

 

 

小田イ輔「点滅」p.164:

空間そのものからショベルカーがまるごと一瞬消え、すぐにまた出てくる。p.164

ショベルカーだけじゃなく車でも建物でも人間でも動物でも家族でも自分自身の自我という存在でも何でも点滅しています。お前が知らないだけです。

 

 

蛙坂須美「火事のホテル」p.168:

「・・・えッ?」p.169

の最後の一行で終わるんですが読んだ僕自身もまさしく「えッ?」

実話怪談で既に読んだことのある「型」ではあるものの、大抵それは長編のパターンが多い。掌編の実話怪談ではまず見ない「型」である。のでその分強く印象に残った。

 

 

我妻俊樹「知らない女」p.176:新幹線で知らない女に声を掛けられる。

展開が予想外すぎてぎょえ~になる一篇。ぎょえ~。

ファミチキ食べたケンタッキー食べたとか鳥貴族だったとか実は僕と同じ酉年でしたこけっこーとかそうだろ?そうと言ってくれよ!!

 

まぐろどん「お前干支は?」

知らない女「うさぎです🐇」

まぐろどん「マ?うわ来年年女じゃん」

 

 

 

吉田悠軌「予防策」p.177:

「もう京子~。俺が帰ったら必要ないから破り捨ててね・・・・・って最初に言ったじゃ~ん」p.177

どうですかね。これ。僕だったらまぁ・・・いいかな・・・ってなるんですけど。なんかつよそーだし。だってなんか占いとかお祓いとかそういうの無料でやってくれそうだし。詳しそうだし。

でもアンチ占い派とかの人だったらやっぱきっついのかなぁ・・・。

 

 

つくね乱蔵「老人会」pp.184-185:

百メートルほど先にある山の中腹に、沢山の人がいる。p.184

ド・正統派ホラー。思わぬ最後にぞっとする。

あとなんとなく全員爺さんかなぁと思ったんですけど、どうですかね。

あと実話怪談って女性のお年寄りだと老婆という言い方をするから無意識に全部オスかなぁ、と思ってたことに再読して気付いた。

 

 

黒史郎「とまって~」pp.188-189:

■■■■の前を通った時のことだという。p.189

だいたいこういう現象が起きた場所って、匿名のことが多いんですけれども、本作は最後の一行でハッキリと書かれていたものですから嗚呼この話は本当なんだなぁ実話なんだなぁになった。

 

 

黒史郎「罠」pp.202-203:心霊スポットには思わぬ罠が・・・。

巧妙すぎんだろ!!幽霊にしては頭使いすぎだろこっわ!!何!?メンサ入ってる!?東大王の幽霊!?てかよく考えたらあらかじめ見られていた、ってこと!?

携帯電話、だったら怖くなかったですね。スマホ、のカタカナ3文字だから怖さ倍増。時代が移り変わるにつれて消えていく怪異を嘆く声が多いが、その分新しい怪異が続々と生まれ続けていることに僕は注目したいね。

 

 

吉田悠軌「ねじれ」pp.212-213:ドアが激しくノックされている。

これも多分誰かのまじの実話なんじゃないかなぁ・・・それを物語調に書いてる実話怪談。

物語調にすると文章長くなりがちだから、あまり瞬殺怪談では見られない語り口なんだけれども、今回は逆にその口調がとてもいい味出していると思う。

 

 

集計(敬称略)

つくね乱蔵:8篇

鷲羽大介:8篇

我妻俊樹:6篇

吉田悠軌:5篇

小田イ輔:4篇

蛙坂須美:4篇

黒木あるじ:4篇

黒史郎:4篇

神薫:3篇

平山夢明:1篇

 

 

 

 

 

 

以上である。

つくね氏、我妻氏に並んで、7巻から参戦の鷲羽氏が僕の中で存在感をバチバチはなちはじめた。調べると11月末に初の単著が出るらしい。おいおい・・・年に5冊もこの僕に新品で本を買わせる気か?献金か?5万じゃ足りないのか???さすが指定暴力団竹書房爆破不可避だぜ・・・。

いつもと比べてスパンが短かったからクオリティがちょっと心配だったけれどもまじ杞憂~。9巻なだけに。

 

ちなみに、これで1~9巻すべて読んできたわけだけれども、一番面白いのは・・・まぁ7巻かなぁ。ド派手で華やかなんですよね。

ただまぁどの巻も面白いです。強いて言うならば、黎明であった1巻、あとちょっと地味なリアル寄りの怪談ばかりが集まった6巻、が若干劣るかなぁと言った印象。ただまぁそこは個人の好みの範疇で考えていいと思います。

 

そして・・・次はついに10巻。

今回参加しなかった、丸山政也氏、川奈まり子氏、夜馬裕氏、あと松村進吉氏も欲しいし、小原猛氏で脇も固めたい。あと伊計翼氏も迎えて黎明期の雰囲気をも須古井振り返りたい。

執筆陣出来るだけ多く集めてほしい。

あと9巻も出てるということはそれなりに人気と言う事である。鈴木呂亜氏、小原猛氏を筆頭として妖怪・ロア中心のファンタジーや都市伝説中心の新シリーズとかもあってもいい。鈴木呂亜氏の蒐集する話は性質上どうしても実話怪談を集めた本書にそぐわないものが多いと僕は思うので・・・。でもロアのライトノベル作家っていないからなぁ。朝里樹氏はちょっと違うイメージだし。

 

あと実話怪談の小野Ⅾこと、小田イ輔氏。これは本当勉強しないとなと思った。

まっがーれ!!!!

 

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LINKS

今まで書いてきた瞬殺怪談の感想記事。

1-3巻、6巻は書いてはいるのですが編集面倒でまだうpしてない。

 

tunabook03.hatenablog.com

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竹書房が出している最高の百合漫画。といいながらまだ続き買ってない。

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朱雀門出『第五脳釘怪談』-超個人的竹書房怪談文庫フェス前半④!!呪いは虫歯。-

 

 

「あなたのお勧めの、竹書房怪談文庫は何ですか?」と訊かれたら、僕も間違いなく本作の名前を挙げるでしょう。

 

 

 

朱雀門出『第五脳釘怪談』(竹書房 2020年)の話をさせて下さい。

 

 



 

 

【概要】

伝説の実話怪談〈脳釘怪談〉のシリーズ最新刊が満を持して登場!

キャンプ中に突如体験した戦慄の出来事とその顛末「呼ばれる」、

恐ろしい夢を見てしまう禁忌の部屋では過去何が・・・「食人の間」

関が原古戦場で不気味な風袋のものたちに出遭う「欠けた人」

怖い話を綴る業なのか、怪談作家や家族の身に起きたりある恐怖譚「ある怪談作家の家」

無人の部屋で勝手に憑いたモニター、映し出された恐怖とは・・・「窒息オーディション」などファン待望の恐怖満載、60話を収録。

裏表紙より

 

【読むべき人】

竹書房怪談文庫のフェアはじまったけど何読んだらいいのか分かんないぴえんの人:僕も20冊全部読んだわけではないですが、本書は間違いなく上位に来る良書です。断言してもいい。まじ。

・夏だし怖い本でも読むか~の人:実話怪談本は何巻から読んでも大丈夫!第六第七もいいけどとりあえず現在脳釘シリーズで最も手に入りやすいのは本書です。なぜならキャンペーンをやっているから。また、キャンペーンをやっていないような規模の本屋には第六、第七もある可能性が低い為。

・我妻俊樹氏の怪談が好きな人:系統は違いますが両者共に不思議要素が絡んでいるので。

 

 

 

 

【感想】

知人「すざくもんいづる先生の、のうてい怪談、ってやつおもろいですよ(関西弁)」

実話怪談等が好きでどうやら占い等も嗜んでいるらしいTwitterの知り合いの方がおススメしてくださったのが本シリーズである。そういう知り合いは絶対リアルでは出会えないからね。大切にしたい。

1-2巻も出ているのだが入手がなかなか困難で、5-6巻しか本屋で入手できないとのことだったので、とりあえず5巻がいいんでは?となり、数日間粘って、2巻と5巻と6巻の在庫が出揃うのを見計らってブックオフオンラインで購入した次第である。1巻はさらにメルカリにへばりついて後日入手した。

結論やっぱうわあこの人怪談好きとは聞いてたけどやっぱ同胞が勧めるのはおもしろいわね!!といった具合である。そういう知り合いは絶対リアルでは出会えないからね。大切にしたいね。「ところでさ、実話怪談とか好き?オバケとか好き?」聞いたらカルト疑惑まっしぐらだからね。あれ?もしかしてまぐろどん統一されてる?みたいな。リアルの知り合いも大切にしたいね。

閑話休題

とにかく一通り読んでの感想は、6巻は新刊で買えばよかった!!!もうこれに尽きる。

2022年7月末日現在は7巻まで出ているのだけれども実際僕はこのシリーズの7巻で、人生で初めて竹書房怪談文庫を新品で買う体験を致しました。

そして今私は竹書房文庫が今これでもか!!ってくらい頑張っているフェアで新品でこの後も複数冊買おうと思っている所存でございます・・・要するに一つの人生のきっかけを与えてくれたシリーズなのでございます。

 

そしてやはりこの本を面白い、と思ったのは僕だけではないみたいで、2022年7月末から始まった竹書房怪談文庫の「怪談作家推薦!ガチで恐い最恐タイトル10選!」選ばれたのでございますわーーーーーい!!!!わかるーーー!!!僕もおススメの竹書房文庫は?と言われたらこれ挙げるーーーーー!!!!

そう、今までの何倍もの「第五脳釘怪談」が新刊書店に流通するこのタイミング・・・!!是非よい子のみんなには・・・よい子のみんなには・・・!!!本作、買ってもらいたい・・・!!!ということで、他にもいろいろ感想残してない実話怪談本が山ほどあるのだけれどもこのタイミングで本書のことを残しておきたいと思った次第。

その・・・まぁ僕はブックオフオンラインで買ってしまいましたが・・・でもブックオフも中高大そして現在ずっと僕の心のオアシスであって絶対なくなってほしくない日本のチェーン店ベスト3には入るからね・・・ブックオフも大切にしたいからね・・・近くにブックオフが無い今ブックオフオンラインで買うしかないんだね・・・ブックオフ・・・中高時代わざわざ遠回りしてまで寄ってたなぁ・・・大学時代に読書の幅を広げてくれたのも立川駅北にあるブックオフと多摩センターのブックオフだった・・・多摩センターの今はないけど・・・ブックオフオンライン・・・たいせつに、したい・・・。

 

 

 

 

以下簡単に印象に残った話の大まかなあらすじと感想を書いておく。ネタバレ注意。

てかこんなチラシの裏の落書き読まないでとっととお前らの近くの大型書店で平積みされている本書を!!このタイミングで買え!!買え!!!買いなさい!!!

 

 

「二 ノイズ」pp.13-16:

が、座っているだんっ生徒は大きな声で、ガーピー言っている。しかし、会話は枻率している感じだった。p.13

え・・・!?ええ・・・!?になる一篇。

ガーピー言っている生徒と言うのが意味わかんなすぎて凄く印象に残ったし、そいつが死ぬんじゃないんかい!!!という予想外の呆気ない展開で、切れ味鋭く、ひらりと恐怖心が花開く。

なんとなく、日日日ちーちゃんは悠久の向こうを思い出した。ああいう世界の裏側って学校とか身近なところにマジで存在するのかもな。まぁ読んだのも高校時代だし買ったのもブックオフでしたが・・・。

類似するような現象はないんですかね。気になるけど、気にならない。気にしない。気にしたら死んでしまいそうなので。僕が。

 

 

「四 送り先」pp.21-25:知人の電話に起こされる。飲み会帰り、車で家まで送ってほしいとの旨。行くとそこは・・・。

「お前の家は墓なん?」p.24

シチュエーション的には、実話怪談読んだ者ならもう色々浮かぶ感じではある。

・知人が途中で消えており、シートがぐっしょりパターン

・知人は既に死んでいてそこの墓に埋葬されており「ありがとう・・・」と言ってくれるパターン

・墓と思ったら、実際は崖で九死に一生を得るパターン

・そもそもそんな知人などいなかったパターン 

等々・・・。

どれも違う!!!!

シーツは濡れてないし、知人は死んでないし、崖もなかったし、実在している。

それでも、あの一瞬・・・一瞬に思わずゾッとしたのと、上記のようなことが起こらなかった・・・ことがまさしく人智を越えた現象であって、実話性を高めている感じがして、とても怖かった。絶対創作じゃ思いつかないって。

 

 

「五 呼ばれる」pp.26-29:卒業間近。みんなでキャンプに行ったよ。

普段は空をちゃんと眺めていなかっただけで、家のそばでもこうなのかもしれないけど、その場の夜空に見とれていた。p.26

ええ・・・になる話。現れるモノ自体もええ・・・なんだけれども、更にその後の怪異の後遺症にもええええ・・・・となりそれに対処市内体験者たちにもええええええ・・・・になる。

普通の実話怪談だったら、もうここは絶対お祓い展開。寺神社、今回の場合は教会も絡んできそうな案件なんだけれども、それほど生活に差し支えないからかそのまんまにしておく、というのがとても生々しい。し、実際僕もそのメンバーの中にいたらそうしていたと思う。

でもその「後遺症」が今も延々続いている・・・っていうのがね。呪いと言う程でもないが・・・ないからか、そのままにしておいてしまう。でも絶対どうにかした方がいいんだけどね。

今の僕の両奥歯(上)の虫歯に似てますね・・・。

 

 

「六 心の神」pp.30-35:昼過ぎまで寝ていた休日の訪問者は、チャイムを鳴らさずドアをノックする。

「私にはあなたの”心の神”が聞こえます」p.32

中盤まさかのバトル展開からの、終盤のまさかの解決方法!!6ページにもわたり展開を裏切り続ける・・・!!

「なん・・・だと・・・?」チャンスが何度もある実話怪談界のBLEACH!!!!アニメ化めでたいね!!!!

でもこの女、本当何なんでしょうね。実在しているのか生きて居るのか。

意外と普通の人なんじゃないかな。幽霊でもない。奇怪な存在でもな・・・コンコン!あれ・・・・?今ドアがノックされ以下略

 

 

「八 あゆいの男」pp.39-45:

この坂田くんは優しくて面白い子で、小山さんとは仲が良かった。ただ、残念なことに”めっちゃアホ”だった。小五なのに九九がわからない。七の段などは壊滅状態でありシチサンくらいから怪しかったそうだ。p.39

アホの坂田の話である。アホの坂田くん≠あゆいの男、なんだけれども彼のキャラクターが誌面越しにも「面白い子」で、とても印象に残っている。

後半はまさかの結末。実話怪談本では稀に聞く結末ではあるが、そこに「あゆいの男」のような人間もどきが絡んでいるケースは非常にレアなように思う。たいていが廃墟で置いてかれて・・・、みたいなパターンが多い中で、明らか「連れてかれて」というのは強い。

その強さとは裏腹に呆気なく現在その場所は・・・、というのも不思議な感じがしてああでもやっぱり、まぁそうだよなって思った。

 

 

「十 墓を指さす」pp.49-50:

墓石に裸の人が腰掛けているのを長男は必ず見る、というのだ。p.49

以前、つくね乱蔵氏の実話怪談の記事の副題にも書きましたが、「時代は全裸」。白ワンピに黒髪はもう擦られ過ぎてちょっと時代遅れです。令和は全裸。全裸がいっちばん怖い。

 

 

「十一 ギガ雛」pp.51-52:

船場家には不思議なひな人形が代々伝わっているのだという。お内裏様とお雛様が非常に大きい。幼児位の大きさがある。p.51

それくらい大きいお雛様イズシンプルに怖い。

けれど最後の一行が最高だった。

船場さんのお祖母さんの冗談だったのかもしれないしそうじゃないのかもしれない。その曖昧さが実話性せり上がって面白いのと、そこに「ギガ雛」というタイトルが組み合わさって絶妙にくすり、とくる。実話怪談本の幕間にちょうどいい、面白い一話。

 

 

「十二 奇祭 おさおさん」pp.53-54:

(言ったらあかんという言葉を尊重して、祭りの名前と内容は、着た時の不気味さを損なわない程度に少し変えて書いています。)p.54

ってことはこの話をした人は大丈夫なの!?え!?になる一話。

名前、内容ともに不気味なんだけれどもこの一行にクラクラしてくる。・・いや、こういう言葉で締めるのは一度は思いつく、と思う。実話怪談蒐集家ならば。でも一度使ったら、もう二度と同じ手法は使えないからか今まで避けられてきたこの技法を鮮やかに、中盤の2ページにも足らない実話怪談で使ってしまう潔さが良い。

ちなみにまとめサイトとか見るとそういう理解を越えたような奇祭って田舎ではまだまだやっているみたいなんですけど、どうなんですかね。地方都市にバリバリ育った僕には無縁の話なんですけれども・・・。

 

 

「十三 おそうしき」pp.55-57:徹夜で学校で研究している院生。夜、エナドリを買いに学内の自販機に向かうと・・・。

「葬式でふざけんな」p.56

こっわ!!!になった。葬式も何も関係ないようなところで葬式、と言う声を聞く。たまらなく怖い。思いあたりがないのにそういう不吉な言葉に、痺れたように動けなくなる。

いや。思い当たりがあっても突然そんな怒声が聞こえたら怖いか。

とキーボードで売っている現在でも不意に、そういう怒声が聞こえたらどうしよう、と思わずにはいられなくなる。

 

 

「十四 車を数える」pp.58-61:葬儀場で退屈している小学一年生は、外に出て車を眺めて時間を潰していたがそこでお姉さんと出会う。

そのお姉さんは千葉さんに駐車場の車を順に指さして、「何だいあるか数えてみたらいい。ちゃんと数えられないから」と言う。p.59

葬儀場に現れる謎のお姉さん(だけど優しげ)というキャラクターもなんか良いし、さらにはその行為自体が西洋のならわしと絡んでいるという行為なのもなんか良い。

あと、取材してそういう真相に辿り着く、アカデミックに実話怪談に取り組む作者の姿勢にも頭が下がる。

なんだろうな。

なんかそのお姉さんは、いる。いそうな気がする。けれども多分色んな葬儀場に現れるんじゃないかな。そこだけではない気がする。

 

 

「十五 誰かが乗っている」pp.62-64:

「でも、この前に読んだ中国の怪談で、飼っている老犬が夜な夜な人間の姿になって、飼っている馬に乗って遠くまで出かけているという話しがあったの。馬がげっそりと痩せてしまうので気付くのよね。似てない?」pp.62-65

「十四 車を数える」同様に様々な怪談を、学問として取り組んでいる作者のスタンス。凄い好きですね。蒐集する話自体も面白いのは無論、多分本書・脳釘シリーズが好きな人は、それらを蒐集する筆者の学者的姿勢も好きと言う人も多いんじゃないでしょうか。僕もそのタイプです。ということを確信させられる一話。

また、この話は猫チャーンが出てくるんですけれども、めちゃくちゃかわゆい。

 

 

「十六 臆病な小鬼」pp.66-67:彼女の部屋に泊っていると、小鬼を見つけた。

しかし本当に怖いのは小鬼ではなく・・・!?といった話。2ページと言う短さながらも鮮やかに軽やかにスパッとまとまっていて、非常に良質な掌編実話怪談だと思う。

序盤は小鬼の可愛さ。うちの実家の飼い犬も若い時はテレビ台に映る自分の姿にビビっていたっけ・・・。

からの、中盤におお!?となり、後半はいやぁ・・・となる後味。序破急、全部味わいが異なっている。

のと、「十一 ギガ雛」もとい、タイトルセンスが素晴らしい。多分僕だったらタイトルでネタバラシしちゃう。

 

 

「十七  巨人が黙って座っている」pp.68-71:

記憶にある、あの巨人に出遭ったことを話しても信じてもらえなかった。そもそエリアエリアにそんな変なものがでるという話は誰も聞いたことがなかった。また、未だにあんな大きな男の話は聞かない。p.71

タイトル通り、巨人が黙って座っている話である。でも巨人って意外とそんな聞かないし、黙って座っているって意味わかんないし、その目撃した後に起きた事象もさらに意味わかんなくて印象に残った。

ダイレクトメールの配達・・・ポスティングは、大学時代部活動の一環でよくやったけれども、凄く好き。知っていると思っていても一歩いつも違う道を歩けば、そこはもう知らない町。猫が横切り知らないおばさんが自転車で駆け抜けていく。初めて見るスーパーには沢山に人がにぎわっていて私の知らないスーパーで私の知らない誰かの生活が毎日営まれていることについて。そこに多少巨人が一人座っていてもまぁ、そういうものなのかもしれない。

また秋になったらポスティングのバイトはじめようかなぁ・・・。

 

 

「十八 ■■の怒り」pp.72-74:妖怪の「■■」という名前が入った土地の頭首である男性が、占い師のもとに来た。曰く、一族橙収めている者の短命である故、どうやったら長生きできるかという相談で・・・。

妖怪!?そんなことってある!?あるんだろうなぁ。

実話怪談界ではまぁまぁメジャーなジャンルであるが、その多くが微笑ましいものであったり時代が戦前戦後だったりするものが多い。今回は全然微笑ましくないし舞台は現代。

あとマンションとかこういう家でやってる占い師ってそれて経営が成り立っているのだから、結構な腕前だったりするんですよね。

その人が体験したっていうんだから・・・一層怖い。

 

 

「十九 五階の地下室」pp.76-79:鍵っこの少年のもとに訪れたのは。

屈まないと天井に顔が突くくらいに背の高い女と、子供ぐらいの身長をした小さな男の異様な二人組なのだ。p.77

子供が主人公。意味不明な展開が続く。カオスを越えるカオスが次々と起こる。怖い。現実じゃない。ありえない。夢だ。やっぱり現実じゃないと思っても想像以上の恐ろしいことが淡々と続いていく。

目が覚める。ああよかった夢だったんだ。

その後は特に何事もなく過ぎていくが、最後の最後にそれらは総て現実だったんだよニチャア・・・という顛末で終わる。

こういうの、僕は本当に弱い。後味が悪くなく、あっさりそのまま、ていうのが現実性があって厭だ。

我妻俊樹氏が蒐集する怪談にこの種類は多くてだから僕は我妻氏の怪談が好きなんだけれども、本作や「四 送り先」「十三 おそうしき」朱雀門氏の怪談にもこの類が多いので要するに朱雀門氏の怪談も、好きです。

新耳袋」シリーズほどあっさりしているのとはまたちょっと違うんだよな。こういうジャンルなんて言えばいいんだろ。きらら系?

 

 

一緒に暮らして2年くらいたつはずなのですが未だに見分けがつかない

 

「二十一 馬超さん」pp.83-85:吹奏楽部の演奏会に、馬の帽子をかぶったイケメンが客としてくるが・・・。

ただ、誰もその人が誰なのかは知らなかった。p.83

定期演奏会。僕も中学高校大学でオーケストラやっていたので分かるんですが、中規模のホールだと意外とお客さんの顔って見えるんですよ。

でもそこに、何かいても演奏はしなくてはならないし曲を止めることもできないしどうしようもない。要するに逃げ場はない。

・・・ステージの木製の床を照り付けるスポットライトの眩しさ。じりじりとうなじを照り付けて暑い。でも見てる。見てるよ。ほら。あんな凛々しい顔で。真剣に。なんであんな帽子かぶってるの。え。よく考えたら分かんない。怖い。うわじっと見てる。あ。もうすぐ出番だ・・・唇を舐め、マウスピースをそっとあてる。ひやりとする金属の冷たさと、また一筋、汗がうなじを伝っていく。

自身の個人的経験からあまりにも生々しく感じられた一篇。

 

 

「二十二 火の玉が飛び出す話」pp.86-88:

安土桃山時代の末期に成立したとされる会談奇談集『義残後覚』に、こんな面白い話がある。p.86

現代日本でもバチバチ起こっていますよという話である。

「十五 誰かが乗っている」でも書いたが、朱雀門氏は実話怪談を蒐集するにあたりアカデミック。けれど内容は難解ではなく、軽妙な語り口だからすらすら読めるし、分かりやすく書かれている。どれも興味深いものばかりである。

西洋美術について明るい文学者の中野京子ちゃんにそのスタンスは似ていると思う。専門家ではない・・・からこそ、面白く読めちゃう。朱雀門氏の専門知らんけど。

怪談自体、よりもそういう点において非常に興味深かった一篇。

 

 

「二十三 鶏妖」pp.89-90:五十年くらい前、男が鶏を捌いていると・・・。

面白いですね。これも民俗学的にほひがする一話。

ファミチキのあの手が汚れないように囲っている袋、あるじゃないですか。紙袋みたいな要領の、あれ。あそこに書いてほしい実話怪談ナンバーワンですね。値上げするならこれを書け!!値上げするならこれを書け!!売上爆上必至!!!

 

 

「二十六 箪笥から降りる人形の話」pp.96-97:

人形はギョッとした表情をしていた。その表情のまま、魂でもぬけたかのように動きを止め、人形はすとんと畳に落ちた。p.97

僕(ドールオーナー)「は?めちゃくちゃかわいいなおい。」

 

 

「二十八 ちょう、穴掘って」pp.101-102:

お祖父さん「子孫のためにお金を埋めておきたい」p.101

面白い。現代まで脈々と続いているということか。

今のところ母型の祖父からも父方の祖父からもそういったことは伺いませんねぇ・・・。

 

 

「二十九 食人の間」pp.103-105:その座敷で寝ると、ある夢を見る。

その夢がまぁ何ともリアルで禍々しくて怖い。

まぁ、タイトル通り人を食べる夢なんだけども。二回目はしっかりと料理されているって言うのが地味に厭でしたね。何らかの意思を感じるので。

あと、ALIPROJECT「人生美味礼賛」を思い出した。あとボカロの「悪食娘コンチータ」。中高時代にハマった曲は今でもサビからAメロBメロ克明に思い出せるのは、何なんだろうね。

「さあ。ご先祖様人間食ってた人がいるんじゃないの」p.105

頼む。その「ご先祖様」は女性であってくれ。可能なら美人であってくれ。

 

 

「三十 毒殺指南」pp.106-107:

「夢の中ですからね、殺人にはなりません」p.106

どっかの誰かが「他人の夢の話程面白くない話はない」と言いましたが、あれは嘘だ!!!

あと最後「今度はお前だ」とか「ばれたか」とか、まではいかなくても舌打ちくらいしてくれれば、怖くなかったのに。そんな・・・そんな風にしないでよ。

 

 

「三十一 修学旅行の夜」pp.108-111:

「お母さんの旧姓は?」

「三村」「中島」「山口」pp.109-110一部省略有

夢怪談なら「三十 毒殺指南」もとい色々読んだことがある。ネット怪談だと「猿夢」が有名か。

でも、寝言怪談は前代未聞。

寝言に答えると死ぬ、という言説もあるが、そう安直には人は死にませんねんな。

妙にSFチック、UFOチックなところもあって怖い一篇。

彼等はもともと、そういう存在だったのか。

それともその日、そういう存在になったのか。

 

 

「三十二 象さんみたいな子の青いマメ」pp.112-114:ある幼稚園で手段食中毒事件が起きた。それから逃れた子たちが言うには・・・。

タイトルど下ネタ。謎が多い一篇。似たような話も読んだことがない、意味がわからない。そいつが救ったということなのだろうか。それとも。姿も意味がわからなければ目的も意味がわからない。

可能であるならば、その豆を食べた子達の現在を知りたい。死んでいるのか生きているのか金持ちなのか貧しいのか共通点は何かないものか、それとも何もないのか。

 

 

「三十四 オンナの顔」pp.117-119:母の顔を楽しそうにケータイで撮影していると、一枚だけ奇妙な写真が撮れた。

そっちかい!!ぜってぇ父親の不貞が原因かと思っていたらそっちかい!!これは裏切られた気分ですわ。

そのオンナの顔が脳裏にはっきりと浮かんでくる・・・ような気がする1話。目付きの悪い細眉の免許写真に写った女を僕はイメージしました。その1枚だけ背景青。

 

 

待って。今見たら2巻ないんだけど。部屋の中にはあるはず・・・ま・・・まじかよ

 

 

「三十五 おじいさんとすれ違う」pp.120-123:

なぜあのお祖父さんを好ましく思ったり、見えない犬を気持ち悪く感じなかったのかと自分を訝しんだという。p.123

結構面白い一話。へえそういうのあるんだみたいな。

現れる怪異の容姿がなかなかファンキーなので、だいたいの蒐集家が目撃した地点でこの話は完結させると思うんですよ。

ところがどっこい今回は後日譚ががっつりついてくる。初めて聞くような話でこちらも興味深い。

前半は怪異のファンキー、後半は話の展開。それぞれ真新しさがあって新鮮なじじい実話怪談。

 

 

「三十六 ぬりかべ」pp.124-126:

「前に進めなくするものは全部ぬりかべちゃうんかいな」p.125

最後の一行が最悪です。その一行で終わるなよ、その一行で終わるなよ・・・本当に終わるんかよぉ!!て感じ。

あとまぁマーベル知らないけど、アベンジャーズあれを思い出しました。みんなでやってくる!!

 

 

「三十八 老火」pp.129-130:マンションの管理人が受けた電話。屋上で火を起こしている老人がいるという。

不思議な話。結局老人はいい奴だったのか悪い奴だったのか。悪い奴な気がする。にしても、え、なんでそこにそんなものを?いや、そもそも悪い奴という仮定が間違っている気がする。だって最終的には助かっている訳だし。にしても、え、なんでそこにそんなものを?なんでそこにそんなものを?

 

 

「三十九 エレベーターの乗客」pp.129-135:

だから、こんなにたくさんの人がエレベーターに乗っているのに住民がいないのはかなり違和感があった。p.132

マンションのエレベーターの話である。あるよね。マンションのエレベーターとかにモニター。ついつい見ちゃうのも分かるわぁ。そこでこんなの起きたらたまんないよ。

結局彼等は何だったのか。生きているのか死んでいるのかそもそも自殺は本当に起こったことだった?

リアリティーのある恐怖と、「三十八 老火」同様畳みかけてくる謎。

マンション怪談は、実話怪談まぁまぁ読んでると結構目にしてきたんですけれども、その数あるなかでもぶっちぎり一位。これを越えるマンション実話怪談ってもうない気がする。

 

 

「四十 お経を書いた服」pp.136-137:数いる参拝客の中に一人、お経を書いた服を着た人がいる。

うへえ、となる一話。

あとあれを思い出した。ネットで出回っている画像なんですけど、精神病蓮に入院している早杉さん、の画像。早杉さん自身まぁ目がイッちゃっていますが、まぁまぁなイケメンなんですよ。でも周りに結構物騒なものが映っているんですよ。多分あれニュース番組のフォトショだと思うんだけれども・・・。検索してみて。あれを思い出した。

 

 

「四十一 逆天冠のモノ」pp.138-141:林間学校のカレー作り中、3人の男子は抜け出して・・・。

なかなか味わい深い一話。まずこの話の主人公は朱雀門氏とタメ、1967年生まれ。今年・・・2022年で数え年で55歳である。その人が小学校の時の林間学校ってどんなんだったんだろう。今とは全然違うんだろうな、でもカレーづくりは1993年生まれの僕もやったな。飯盒炊爨で炊いた米はうまかった、覚えがある。・・・ああ、55と言うと丁度ちびまる子ちゃんさくらももこ氏の同世代くらいか。

後半、え、なんでそんなことが起きるんだろう。でも手を振っているお祖父さんは楽しそうだし何とも全てが和やかに感じられる。恐らく天候は晴天。

今もその能力は現存してるんですかね。してるんなら凄すぎない?

あと3人中2人が高熱を出し、1人が無事。というのは、僕の小学校時代のシチュー事件を思い出した。欠席した子が多くて、余ったシチューのおかわりメンバーを担任が募ると僕、男子①、男子②が手を上げた。3人は皿に並々に注がれたシチューにとりかかったが、②がリタイア。間食したのは男子①と僕のみ。しかし午後の授業、顔色真っ白の男子①はトイレに駆け込み嘔吐。結局生き残ったのは僕だけって言う・・・。「まぐろどんちゃん女子なのにすごい!!」照。まぁこれは小3の話で野外学習も幽霊もクソもない話ではあるのですが。なんかすっごい個人的にノスタルジーなところをくすぐられました。

ちなみにルー系で一番好きなのはハヤシライス、その次はバターチキンカレー。

 

 

「四十三 自己対局」pp.147-149:「四十二歳差の自分と将棋を指す」夢を見る。

面白い話ですね。だいたいこういうのは当たっていて、将来の自分が過去の自分と将棋を指す番になるところまでくるのがオチ(感動)と思っていたんですが、まぁ違ったね。

じゃあお前は誰やねんって言う。どういうことなんでしょうね。逆に興味あるわ。ある意味同一人物オチ、といったところか。

 

「四十四 アオカン」pp.150-151:山のなかで性交している若い男女を見かけた。

えええ!?という話。まじ!?まじであってくれよ!!!

よく読むと、「木に身体を預けているのは女性」p.151だから、後ろから、ってなわけでしっかり其処も辻褄合う。でもせっかくなら前からいけやとも思うけど、わかんないんだろうな。

 

 

「四十五 石塔」pp.152-157:

だいたい、僕は実話怪談の本の感想を書くときは、気になった話のページを折って一通り読む。まぁすぐ書けばいいんだろうけれども放置。そして書くときに改めて折ったところを読む。

実話怪談本は凄い好きなんだけれども一冊にたくさんの話が入っていて、また、好きだからついついハイスピードで読んでしまう。だからしばらくたつと話の内容を忘れがちで、それを思い出すために、また、忘れないためにこうやって、書いている。

だいたい読み返すとああこんな話あったあった!!そう、ここが刺さったから、ここが怖かったから、ここが気に入ったから!!と思い出すのだけれども、この話については特段怖いとも思わなかったし別に気に入った訳でもないのに、でもページが折られている。それが一番怖かった。

 

 

「四十六 欠けた人」pp.158-161:異動先近所の、関ヶ原に現れる人々。

その男には、右腕がなかった。p.159

怖い、よりかは気持ち悪い一話。正直、舞台が「関ヶ原」と訊いた地点であーはいはい落ち武者ね、と期待薄だったのだけれども、そこを裏切るキモ実話。

特にそれが田んぼにいるp.149景色があまりにもキモい。まだ道路の片隅とかに立ってこっちを睨んでくれればよかったんだけれども、田んぼて。いやいや田んぼて。

その後に続く話も気持ちが悪い。

正体が分からない。意図も分からない。

落ち武者だったら、まだよかったのに。

 

 

「五十五 角の生えたお姉さん」pp.188-190:

「大丈夫。まだまだ晩御飯の時間じゃないでしょ」p.189(脳内音声:種崎敦美 ※「魔法使いの嫁」主演のさらにちょっと低くしたちょっとウェッティな声で)

エッッッ・・・!!!!!!

 

 

「五十七 やめろよぉ」pp.195-198:駅のホームで友達とふざけ合っている。軽い力で蹴ると友達がバランスを崩して・・・。

「次、おまえ、押したろか」p.198

こわぁ!てなる話である。現実かと思ったら夢でした!パターンはまぁあるにはあるんだけれども、この話のように主催者がドロン!っと出てくるのはなかなかレアですね。いや、主催者、じゃなく救世主(メ・シ・ア)なのか・・・?

 

 

「五十八 ナンダローネー」pp.199-202:出席した国際シンポジウムである日突然時間が止まる。そして現れたのは・・・。

それは、関節が一つたりないような、脚の短い馬に乗った、西洋の貴族風の衣装を着けた男だった。p.200

ビジュアルが鮮烈。時間が止まって現れるのがそれって・・・ええ・・・。ファンタジー?この現実にファンタジーを期待してもええんか・・・!?小人で馬に乗っている、となるなんとなく、ポケモンのバトレックスを思い出す。

からの、後遺症もとてもユニーク。日本語が分からないから、変なイントネーションp.202になったんでしょうね。

あとフランス語と僕は睨んでる。

 

 

「六十 有機臭」p.211-219:シンナーのような、有機臭が鼻をつく。

なぜそちらを見たのか覚えていないが、網棚を見上げた。

そこには山盛りの男茎が載っていた。pp.216-217

祟りの話である。祟りの話は、もれなく、怖い。

本作もその例外に漏れない。特に上記の部分は意味がわからな過ぎて怖かった。そんなものを電車の網棚に盛るんじゃない。

こういう話を聞くと、ああスピリチュアルとかって多少なりともあるんだなぁ、と不思議な気持ちになると同時にちょっと前向きにもなる。

だから本書のメインディッシュの一つとなる本編を、最後に収録したのは英断。

あと「第七脳釘怪談」の「ヤミクラさん」もとい、この作者の長尺の実話は当たり率高い。当然短い実話怪談も非情に面白いんだけれども。

 

 

 

以上である。

で60篇収録に対して、気に入った・刺さった怪談が30を超えた。

50%越えることなんて、まぁない、まずない。

多分本気で僕の脳に釘がぶっ刺さっちゃったんだと思うよ。

あと比較的掌編が多いのも嬉しかった。長尺のも好きには好きなんですが、短い方がやっぱ切れ味いいので・・・。

 

第九第十とはいわず第五十第百とまで続いてほしいシリーズである。

 

 

 

・・・あと、4冊も一気に記事あげたので、フェス前半終了!!!!

後半は逆に20冊の中で気になって読んだ本の感想を書こうと思うよ!!!!でも気力湧くかな!?!?

あったらいいね、後半!!!

 

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今年の7月に出た最新刊の感想。

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超個人的竹書房フェス、他の書籍。

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