小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ4』-アイドルは常に「今」しかない。だから彼女達は、-

 

ああ~~~。

 

 

 

 

 

 

今回も最高でしたね。

 

 

 

平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ 4』(徳間書店 2018年)の話をさせて下さい。

 

 

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推しグッズと共に。

 

【あらすじ】

岡山県で活動するマイナー地下アイドル【ChamJam】

内気で人見知りな人気最下位メンバー【舞菜】を人生総て捧げて応援する熱狂的ファンがいる。

収入は推しに貢ぐので、自分は高校時代の赤ジャージ。

愛しすぎてライブ中に鼻血ブーする伝説の女【えりぴよ】さん!

舞菜が武道館のステージに立つ日まで・・・・

えりぴよの全身全霊傾けたドルヲタ活動は続くっ!!!!!

 

4巻では・・・【ChamJam】が「岡山アイドルフェス」に出演することに!

広島県香川県の地方アイドルグループも集結。

これが【武道館への第一歩】になるーーー!?

 

【読むべき人】

・地下アイドルを推している人

・地下アイドルじゃなくともアイドル推している人

・アイドルじゃなくても三次元人類推している人

・もしくは地下アイドル・アイドルしている人

・アイドル熱が冷めつつある人 燃やせ!!

 

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【感想】

今回も最高でしたね4巻!!!!!

いやー、3巻の最後で繋がり目的のイケメンでてきたから恋愛でChamJam揉めるのか!?そんなChamJam見たくない!!!「え好きかもー!」と初体験捧げちゃう優佳とか絶対見たくない!!!

ところがどっこい、不安は大きく外れて・・・良かった!!

今回めっちゃ良かった!!!

 

何が良いかって、アイドル側のもやもやが描かれていることが良かった!!

1-3巻にかけてはえりぴよ側、オタクが推しにかける気持ちがメインだったと思うんですよね。新衣装が可愛くなかったり、彼氏騒動でどたばたしたり、接触で失敗したりそれでも推し(舞菜)からいいレスポンスがもらえて興奮したり。

それもそれで十分面白かった・・!特に推し(櫻坂46大園玲さん)が出来てからは共感することも多くて滅茶苦茶面白かった・・・・!

 

でも4巻、本作はアイドル側がメインです。

今までは所詮「ChamJam」の内輪の話だったんですよね。

ところがどっこい、フェスに出る、ということは外部のアイドルが出る。話の規模がここから一つ大きくなっているわけですよ。「ChamJam」界隈から中国・四国地方のアイドル界隈と。

そこで揺れ動くChamJamメンバー達の内情が、もう切なくてね。ただちやほやされたくてステージに立っている訳じゃないんですよね。彼女達も理想があって目標があって何か達したいことがあって考えがあって、ステージに立っているわけです。

それが描写されていて良かった。特に優佳回で。

3巻まで読んでマンネリを感じていた方にこそ読んでもらいたいです。

 

僕はアニメから入ったのですが、本作からアニメ放送「外」のところに突入しましたね。いや、フェスはアニメでも触れていたんですが、限られた話数で収束させるため結構圧縮されていたんだなと・・・今巻読んで知りました。でもそんなこと察せもしなかったからね。てかこれだけの内容全部詰め込んだらやっぱり作品としていまひとつだったと思うしね。アニメ最高。制作陣優秀。えりぴよの声帯にファイルーズアイの声帯を選んでくれてありがとう。

 

ここから僕の知らない「ChamJam」がいる・・・えりぴよがいる・・・。そういった意味でもちょっとドキドキだったのですが・・・、そんなドキドキいらなかった。最高は続いていた。

 

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後ろの文がアイドルアイドルしていてかわいい。

 

以下簡単に各話感想を記していく。

 

第19話:【ChamJam】界隈を盛り上げるべく、えりぴよとくまさは今回のフェスに出る【めいぷる♥どーる】の現場に足を運ぶが・・・!?

優佳「当たり前じゃん!̪シカちゃんかわいいもんね!しかたない!」p.19

めいぷる♥どーる初登場回ですね。よく見ると、センターのメイちゃんのサイド2人も釣り目・たれ目(笑顔がくしゃっとなるタイプ)とはっきり描きわけされているのがいいですね。

本作のざわざわのきっかけとなるエピソードですが・・・。最後のメイちゃんからのラインに曇らせるれおちゃん、アニメだけでなく漫画でも最高なんだ。

でも今回は、偵察に行った文と優佳が結構良かったなと。

まず、文。文の私服と、あとアイドルに詳しい感じ。とてもまぁよく「分かる」。こういう地下アイドルめっちゃいる。結構いる。凄く分かる。リアル。地下アイドルが好きで地下アイドルやってるんだよな。仕方ない。可愛いからね。でもお前も可愛いよ。

そして優佳。p.19の「シカちゃんかわいいもんね!しかたない!」は、これめいぷる♥どーるの現場にいた自分のオタクへ向けた発言なんですよ。最高じゃないですか?「しか」でだじゃれをかけて許してくれる、でもめっちゃ怒っている。自由奔放無邪気と見せかけて、そこはしっかりファン想い。こりゃ優佳好きになる人続出しますよ。

この2人の魅力が再確認出来たという点でも良回。

 

第20話:眞妃が地元香川県のテレビにVTR出演!そのVTRに異様に熱を上げるアイドルがいて・・・?

眞妃「これからは・・・ちゃむでは夏未じゃなくてゆめがさ わたしの横にいるんだよ」p.51

眞妃のいとこ・夏未初登場回ですね。

ただ、あまぁいや~~~~~嫌いです。この女。彼女に出演シーンを与えなかったアニメ制作陣本当優秀過ぎる。ありがとう。こんな女に与える声帯はない。あと顔に性格の悪さがにじみ出てるぞ。

そして、今度は眞妃が顔を曇らせるという・・・。意外だった。アニメというか今までの展開だと全然顔曇らせることなく、ただゆめ莉と百合百合していただけだったから・・・彼女にも劣等感とかこういう部分あるんだと、意外性があって良かった。ただアイドル同士が百合百合するために作られたキャラではないことを知って、良い意味で裏切られた。

でもまぁ夏未も眞妃の「元カノ」枠と考えると、やっぱり眞妃界隈は百合百合ランドということなのかしら。

にしてもなんで夏未はこんなに眞妃のことが好きなんですかね?いとこで年が近いから?そこはやっぱり語られずに終わるのだろうか・・・。

上記のp.51の台詞は夏未がChamJamに嫌がらせギリギリの引っ掻き回しを行った後に、眞妃がゆめ莉に言ったセリフです。いいですね。嫉妬してひっかきまわしに来た元カノに一切目もくれず、こんなこと言われちゃったらもう・・・うむ。

ちなみに、眞妃×ゆめ莉ってあんまり僕の中で「尊い」とはならないんですが、それは僕だけなのでしょうか。えりぴよ×舞菜の方が何百倍も尊く感じる。まぁえりぴよさんちょっとキモいが過ぎるところありますが。

 

第21話:ChamJamがテレビ出演!?一人で見ると嘔吐するかもしれないと、えりぴよはパン工場仲間の美結を誘うが・・・?

美結「めちゃくちゃきもいな!!」p.75

バイト仲間とChamJam出演シーンを見る回ですね。アニメ化これされてるんですよ。タイミングをかなり前にもってきて、単発で半分使ってやったのかな。確か。

まぁオタク界隈から外れて一般人目線で見たえりぴよのキモさ(≒オタクのキモさ)につっこんだ回だったからでしょうね。上記のように「めちゃくちゃきもいな」と今改めてツッコむのは確かに逆に新鮮で面白かったりするし。

にしても、こうして美結に声帯を与えて夏未に声帯与えなかったのは本当制作陣営ありがとうが過ぎる。優秀。超優秀。やっぱり原作ありきの赤尾でこは裏切らねぇな!!

あと、最後無事二次元オタクになってしまった美結がえりぴよに以下のように言うシーンがあります。

美結「おまえは好きな相手が同じ次元にいるだけでありがたいと思え」p.78

 これは本当にそうで。

大園玲さんと同じ次元、同じ世界線に生きていることに僕は常に感謝しております。

というか、僕がそもそも櫻坂・欅坂にハマったのって、結局はそう「同じ次元」を生きるアイドルだったからなんですよね。

高校時代、友達から教えてもらった765プロダクションの曲を毎日飽きるほど聴きながら学校の登下校をしておりました。大学受験と被ったので総ては見られていないのですが、アニメ一話一話に感動した覚えがあります。特にあの時代にあの第一話は衝撃的だった。当時賛否両論でしたが主に僕は「賛」でした。まぁ「くさそう」の扱いが雑なのは否めませんが、概ね良かったと思う。特にマネージャー律子はアニメで覚醒した感がある。

閑話休題

そんな時代を経て大学を卒業し就職して1年が経とうとした時・・・出会ったのが欅坂・けやき坂だった訳であります。その時に丁度リリースされた「不協和音」は初めは台詞が入ってる変な曲!と思いましたが気づけば円盤を買っておりました。そしてのちに公開された収録曲「エキセントリック」のMVで受けた衝撃は今でも忘れられない。大雨の中を歩く姿の勇ましさ。からの、10月仕事をやめ半年のニート一人暮らし鬱★生活が始まるのですが、その時私を支えていたのがけやき坂主演ドラマ「Re:Mind」1話から全力で演技をする12人に一気に引き込まれて、2-3話放送する頃には全メンバーの名前と顔が一致にするに至りました。そして2018年は主にけやき坂オタクとなり年末にはクリスマスライブに行くに至るのですが・・・。

とにかく、二次元ではなく三次元、同じ次元で頑張っているアイドルがいたことに衝撃を受けたのです。同じ国で同じ時間を生き、今僕がこうしてブログを撃っている間もどこか(多分東京)で、推しが息を吸って吐いて生きている。その奇跡・尊さに撃たれて、三次元アイドルにハマりはじめたとこがある。

最後のこの美結のセリフは、何故今私の心にこんなに大園玲という存在が大きくなりつつあるのか。櫻坂・日向坂でこんなに心が占められているのか。その根本を思い出させてくれました。ああ。大園さん尊い。好き。

 

第22話:全然知らなかった人がいきなり優佳のこと好きって言いにきてくれるのチョー楽しいし だから みんなに優佳のこと好きになってほしいしもっともっと好きって言われたい p.82

優佳「優佳がみんなを武道館につれてってあげる」p.104

優佳回です。自由奔放に見えてファン想い。そんな優佳が内心どのような心境でアイドル活動をしているのか。

「ファンが好きって言ってくれるの嬉しいからアイドルをやる。そして彼等が武道館に自分が行くことを望むから武道館を目指してあげる」。概ねこうです。

もう天性のアイドルなんだなと思いました。

この話の随所で優佳がダンスも練習しなくても出来ちゃうことが描かれていますが、もうアイドルになるべくしてなった娘なんだなぁとつくづく思いました。

だって最高にファン想いじゃないですか?ファンからの愛を素直に受け止めファンの夢を叶えるために高みを目指す。

その土台がしっかりしてこその自由奔放なふるまいは・・・そりゃ人気出るわ。好きになるわ。順位もぐいぐい上がるわな。そりゃ。優佳のアイドルとしての、そして人間としての魅力を再確認できた。

一方で、空音の顔が曇ってきたのが気になりますね。結構真面目な子だから、空音推しとしてはちょっと気になるのですが。

 

第23話 「はじめまして五十嵐れおです」キャラがかぶってるp.108

初対面時同じツインテールだった五十嵐れおに直面した横田文の、3年後。

文「わたしがセンターに立てるのはれおがアイドルをやめるときだと思う」p.131

扉絵中身共に文回です。表紙の文可愛過ぎる。こんなんプロマイドじゃん。どこに売ってんだよ。

軸は、文の気持ちの変化で賞しょう。文ははじめグループとしての初対面時にれおに対してコンプレックスを抱いていましたが、今は彼女に対してどう思っているのか。

初期の初期、文がかえるの誕生日プレゼント・栞の誕生日プレゼントを貰うシーンはなんかぐっときました。「あやちゃんの夢がかないますように」p.113アイドルとしての文の原点の一部が読めたのは非常にありがたかったです。

強いて言うならば中盤、文がセンターを諦めたことが決定的になるエピソードが欲しかった。れおが舞菜に語り掛けるシーンがあるんですが、そこは分かりやすく文でもよかったんじゃないかなと思う。その方が文のなかの「夢≠センターになること」に説得力がもたらせられたんじゃないでしょうか。

そしてメイ・夏未再登場。

メイは凄いいいキャラしてると思う。特にp.126

メイ「・・・メイたち武道館ライブ決まったんだあ」p.126

このセリフ、アニメだとただの嫌がらせのようにしか見えなかったんですけど、漫画だとこの前後で何故メイがこの発言に至ったのか描かれているのが良かったです。

要するに、れおがバチバチにならないのが気に食わないんですよね。

れおから闘争本能が感じられないのが苛立つ。

元同じグループのメンバーだった自分がこんなに活躍しているのに、それにずっと目を逸らしてへらへらしている。

違うでしょ。アイドルだったらもっと正面から堂々かかってきてよ。

こういうことでしょう。

確かに、五十嵐れおは優しすぎるところがあるからね。優しいだけじゃアイドルは務まらない。

五十嵐れおの人間としての、アイドルとしての弱さを指摘する凄く良いキャラだと思います。

ただ夏未、てめーはダメだ。船降りろ。

 

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うひょひょ、ChamJamがそろってきたンゴねぇ・・・。

 

第24話 そしてChamJamはいよいよフェスの舞台に・・・!!

舞菜「わたし 自分で思ってた以上に 不安だったんだ」p.138

p.136、ChamJamの7人げステージを見つめるシーンがあるんですが、このシーンが凄く良い。滅茶苦茶良い素晴らしく良い。全身描かれて衣装の細部の違いが分かる。良い。それぞれの体制でどういう気持ちで舞台に挑むのかが分かる。良い。7人同じ方向を向いて1ページ割くことで緊張の一瞬を描いている。良い。尊いこの1ページがとにかく素晴らしい。

からの、舞菜が観客の中にえりぴよを見つけて上記のように安心するんですよねえもうこれ尊くないですか?素晴らしい。素晴らしいが過ぎる。本当に良い。アイドルとファンの理想的一心同体感がメインの2人で再現されているのが最高と思いました。普段れおとくまさがやっていることを、大事なステージでえりぴよと舞菜にさせるのは天才か・・・・?

そして、ステージを終えた後ChamJamが他アイドルのステージを見ているのですが・・・そこで言った舞菜のセリフが印象的。

舞菜「・・・・・・空音ちゃん この中でステージにいる子のことを 一番好きな人ってどれくらいなのかな・・・」p.151

それに対して空音は以下のような答えを出します。

空音「常にいちばんかわいい舞菜を見せるんだよ」p153

この辺完全アイドル側からの物語じゃないですか?今まで僕そんなこと考えにも及ばなかった。

大園玲さん。あなたが一番です。

本人には届かないだろうけれども今ここで断言しておこう。

そして最後のれおのシーン。

ステージが成功したからといって、アイドルはそこで終わらない。最高の、100パーセントの澄んだ気持ちでステージに立てることなんて基本ない。

後、ステージを見てれおが年齢を気にするシーンもあるんですが、そこも含めて凄く切ないなと思いました。

アイドルって常に今しかないんですよね。常に「今」しかない。儚いんです。だからオタクは「今」を推すしかない。

だからこそ、アイドルっていいなと思ったりもするんですけど。

 

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この漫画はどうしても部屋の中で一番「ヴィレヴァン」感のある本棚の前で撮りたくなる。

 

以上である。

今回も最高の一冊だった。

アニメ外の領域に入ってきたのでどうなることかと思ったけれど期待は裏切られませんでした。てかえ?帯見たんですけど実写映像化企画進んでいるんですか?

見るしかないですねえ!!

見るしかないですねえ!!!

 

***

 

LINKS

推し武道のそれまでの巻の感想。

ちなみに日向坂にも「優佳」ちゃんいますね。彼女も今凄い覚悟でアイドルやってると思う。日向の中でも結構上位に来る。でも日向の推しではない。推しは高瀬。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

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櫻坂46「Nobody's fault」(通常盤)-誰のせいでもない。絶望させない、純白。-

 

 

皆さん、櫻坂の1stシングル聴きましたか?買いましたか?

 

え?聴いてない?買って・・・ない?

 

分かりました。

今すぐ聴きましょう。

 

まぁまずは、カップリングの「なぜ恋をしてしまったんだろう?」からでも。

 

 

 

 

櫻坂46「Nobody's fault」(通常盤)の話をさせて下さい。

 

 

 

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櫻坂46「Nobody's fault 」(通常版)

【収録曲】

1.Nobody's fault 

2.なぜ 恋をしてこなかったんだろう?

3.ブルームーンキス

4.Nobody's fault -OFF VOCAL ver.-

5.なぜ 恋をしてこなかったんだろう?-OFF VOCAL ver.-

6.ブルームーンキス-OFF VOCAL ver.-

 

※歌詞カードのグラビア:山崎・小池・上村・大沼・松平・増本

基本全員映りが素晴らしく良いです。「King ghu」のヴィジュアルだかを手掛けたスタッフ陣が関わっているとのことですが、まさかの歌詞カードでのグラビアにその能力が一番発揮されるとは思わないじゃん・・・。

ひとりひとりポストカードにしてほしいくらい素晴らしい。

特にこの冊子では、上村が怖い顔をしていて良い。次点で松平。

 

 

【概要】

我らが推し大園玲さんが所属する櫻坂46が1stシングルを出したー。

だからタイプABCDに加えて、通常盤も9枚買ったよー。

え?

なんで9枚も買ったかって?

うんうん。

それはね、

ミーグリをするためさ!!!!!!

※ミーグリとは:オンライン通話会のこと。ミートアンドグリートの略。コールセンター言われてもええねん。オタクの命はこの一瞬で輝く。この一瞬の為に一生があるといってもいい。 

 

なので、今回は通常盤収録曲3曲と、ミーグリの感想を書きます。

あくまで「通常盤」の記事なので、MVの感想などは記載しません。

そうです。「タイプA-D」の記事に記載します。

 

 

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5つあるジャケット写真の中で一番好きかも。通常。大園さん入ってないけど。



 

【聴くべき人】

・元気づけられたい人(「Nobody'sfault」

・恋をしたかった人(「なぜ恋をして来なかったんだろう?」

ムーンライト伝説みたいな曲調が好きな人(ブルームーンキス」

 

【感想】

出ましたね。1stシングル。

どうでしたか?皆さん。

「Nobody'sfault」。

この曲最初に聞いたとき。

無論僕が最初に聞いたのは、「欅坂ラストライブ」2日目のほんとのほんとのラストだったんですけど、正直。正直ですよ。

「ええ・・・サイマジョ程の衝撃がないやんけ・・・服装と世界観ちぐはぐやんけ・・・」

と思いました。

どうなるんだ櫻坂・・・大園玲さんが選抜に入っている・・・涙・・・でもどうなるんだ櫻坂・・・。

まぁぶっちゃけ正直「う~ん?」でした。

 

MV公開されても、引き続き「う~ん?」でした。

いや、欅からの脱却を図ると言いながらも、各シングル曲を意識したかのような場面構成、振り付け、カモメ諸々・・・。

これじゃあ結局平手センターの欅坂の残影を追い求めているだけなのでは・・・?

 

ところがどっこい、その流れを変えたのがカップリング・藤吉夏鈴センター「なぜ恋をして来なかったんだろう?」のMVを見た時。

これ、衝撃でした。歌詞が。

簡単に言うと、今まで「は?恋愛?きょうみねーし」と強ぶっていた女の子が人生初めての彼氏が出来ちゃってテンションバリ高!!!みたいな曲なんですね。

で、これって絶対平手センターの欅坂ではやるような曲ではない訳ですよ!!

特に後期に限っては!!!

それを、3人の中で一番平手に近いクールなセンター、藤吉が笑顔で歌うんですよね。

ノリノリで。

今までにない浮ついた曲を、あのクールな藤吉が歌っているぞ・・・?

この曲の登場で、僕達オタクの多くは感づいたわけですよ。

「お?櫻坂は欅坂とはやっぱり違うようだぞ・・・?」

 

からの、山﨑天センターの「Buddies」

新宿クローン撮影の映像からの、

壮大なメロディ。

そして繰り返される

「ウィアーバディーズー」「ウィアーバディーズー」・・・・。

ウィアーバディーズ。私達は仲間だ。

からの・・・・「ファンの名称をBuddiesと致します」の公式からの声明はアツかった。

そうか、僕達はバディーズだったのか・・・いや、仲間だったのか。

櫻坂というグループを愛する限り、僕達は仲間でいられるのか。

孤独ではない。

孤独ではないのだ。

センター・山﨑天の笑顔にどれだけ多くのファンの心が救われたことか・・・。

 

とまぁ、こういう次第で出た1stシングルであります。

まぁここまでの流れを見ていただくと分かる通り、

櫻坂の1stシングルとして本作は大成功だったように思います。

曲もそうですが、運営が仕掛けるCDを出すまでの流れもほぼほぼ成功したといっても過言ではないでしょう。

確かにラストライブの最後に表題曲を持ってくるのは賛否両論ありそうでしたが「私達は貴方達をもう絶望させません」というメンバーと運営からのメッセージにすら感じられました。過言でしょうか。

 

 

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全タイプを購入したのでほとんどの曲をもう何度もリピートしているのですが、やっぱり表題曲が一番良い曲だと思います。

あとMVの感想は、今作に収録されていないので概ね割愛。

 

1.Nobody's fault   

作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

スルメ曲でした。

というのも、まぁとにかくこの曲、

歌詞がいい。

まず歌いだしの「この世界を変えようなんて 自惚れてんじゃねえよ」からカッコいい。

からのサビの「勝手に絶望してるのは信念がないからだってもう気づけ!」

いいよね。信念って言葉が出てくるのがいい。

そして2番に入ると、「いつの間に大人になっちまったんだ 言い訳ばかりでうんざり」と続き、ますます語気が強くなっていくわけです。大人になったからって、言い訳ばっかして逃げてんのか?と。

逃げんじゃねえよ、そして2番のBメロで「やるのかやらないのかそれだけだ もう一度生まれ変わるなら」と総ての答えが提示されるわけです。

要するに、

「世界を変えようなんて無理なこと言って、それが出来ない自分に絶望するな。

お前が絶望してるのは、具体的に「どうしたいのか・どうしていきたいのか」信念がないからだ。

それをがないのは大人になってしまったから・・・ではない。

言い訳をするな。

お前がやらないからだ。

もう一度生き方を改めたいのならば(生まれ変わりたいのならば)、

やるかやらないかそれだけだ」

みたいなことだと思うんですけど・・・

 

そしてCメロに入ると

「自分のせいにもするな WOw」ときて、

 

「誰のせいでもねえ 天に唾を吐くな」

 

ここでNobody's fault の意味が出てくるわけです。

 

「お前の絶望は誰のせいでもない。お前のせいでもない。

 

誰かのせいにするのはやめろ、

やるのかやらなのかそれだけなんだよ」

 

凄いいい歌詞じゃないですか?

でもね、いやまぁね、いや、こんなね、こんなね、チラシの裏みたいなブログの文字の羅列では全然伝わらないんですよ。

それが、この曲を繰り返して繰り返して繰り返して聴くことでようやく掴めてくるんです。これは間違いなく康が書いた詞でしょうね。

 

そして曲。

デレク・ターナー、ってこれ所謂覆面のお名前なんです。

誰が作曲したか公に発表していないんですよね。

でもイントロの入り方といい、Aメロの入り方といい、サビのメロディーと言い、クライマックス「天に唾を吐くな」の持って行き方といい、結構格好いいんですよ。

ただあまりアイドルっぽいメロディーラインではないので、

初めは分かりづらいと思うのですが・・・。

まとめサイトの書き込みで「曲自体はアイドル曲から遠いもので、それを編曲家の野中”まさ”雄一さんがアイドルの歌える曲として編集したと思う」というのがあったのですが、まさしく僕もそれだと思います。

間違いなくデレクターナーはアイドル畑の人じゃない。

じゃあ誰なのか。

うーん。誰なんだろ。

今回のシングルのコンセプトのビジュアルに、King ghuを手掛けるヴィジュアルチームが携わっているということで結構話題にはなっていたのですが、作曲自体は常田さんがやっていてもおかしくないのかなぁ・・・と僕は思います。

King ghuの曲ってどれもイントロが格好いいし、あとクライマックスの持って行き方が凄い良い曲が多いので・・・。というのは、浅はかでしょうか?

 

まぁとにかく、結構繰り返して聴くと、

歌詞の意味が浸透してきて、

あと曲自体の格好いい輪郭もはっきりと見えてきて、

凄い神曲だと分かります。

サイレントマジョリティー」程の衝撃はないけれども、

サイレントマジョリティー」より何度も再生できるような曲ではあると思う。

 

 

 

 

2.なぜ 恋をしてこなかったんだろう?

作詞 :秋元康 作曲:Soichiro.K Nozomu.S(Soulife)

これ衝撃でしたね。

詞は聞いた通り「今まで恋愛に距離を置いていた女の子が人生初めて彼氏が出来て浮ついている曲」なんですよ。

でも大事なところは凛とした歌詞で、そこが欅・櫻のクールな雰囲気があっていいですね。

特に、「幸せは・・・」から続く3行。

 

「幸せは敵作らない」

 

「幸せは自慢したいもの」

 

「幸せは参加すること」

 

あと、「見つめ合って抱き合ってキスをしましょう」ていう歌詞が逆にすごいいいよね。「しましょう」ていう上品なところが良い。センスを感じる。

でも一番好きな歌詞は「まるで盛りのついた猫だ」ですね。

 

どうなんでしょうね。

これ康じゃなくてほとんどはゴーストライターが書いたと思うんですよ。

だってさ、想像してよ。60そこそこのおっさんが(恐らく)10代の初めて彼氏が出来て浮ついている女の子の歌詞をベラベラ書くんですよ?

キモくない?

この上記の「幸せは・・・」の3つと、「キスをしましょう」辺りは書いていてもいいけど、他は正直書いてほしくない。

むしろゴーストライターに書いていてほしい。

理想はコンセプトと上記の歌詞を康が渡して、他をゴーストライターが書いている形。

 

曲はこれ、発表された時、早口だから「ナスカか・・・?」(欅坂「エキセントリック」「避雷針」等の作曲家)と言われていましたが、

まさかの「二人セゾン」Soulife(ユニット)でしたね。

でも確かに、メロディーラインとか曲の広がり方とかよく聞くとセゾンっぽいよなと思う。早口の部分も「エキセントリック」と比べてだいぶマイルドだし。

この作曲家ユニットは、King&Prince「シンデレラガール」も手掛けているんですけど、本当サビの持って行き方が綺麗なんですよね。感覚論になるんですけど、「二人セゾン」「キミガイナイ」も凄く綺麗。なんかほんわり広がっていくような・・・。

あと歌いだしから曲が始まるのに定評がありますよね。

今回ガッツリ素晴らしいイントロから曲が始まっていたので、そこで「ナスカか・・・?」のナスカトラップに引っかかった人も結構いるのではないでしょうか。(ナスカさんの作った曲はイントロが良いので。「エキセントリック」のMV見てくれ)

 

 

 

 

3.ブルームーンキス

作詞:秋元康 作曲:野村陽一郎

これ歌詞が、デートしていた女の子がキスしようかしまいか悩んでいて結局しちゃって、気まずくなって後悔するっていう曲なんですよ。

うん。そうですね。

頼む!!!康!!!!!!書いてないでくれ~~~~~!!!!!ゴーストライター仕事してくれ~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!

 

それでも随所に細かいこだわりが見られます。

例えば1番Aメロの歌いだしなんて「今夜は月が綺麗だった」ですからね。センスあるよね。ここでもう恋愛の歌だって聴いてる人に無理矢理わからせるんだから。そして主人公が相手を凄く好いている、っていう恋愛状況も分からせてしまうんだから。

あと歌いだしはブルームーンキス」なんですけど、2番の歌いだしは「フルムーンキス」なんですよね。満月。

1番でキスしちゃってからの、いっぱいいっぱいになっているヒロインの心境を表せているんでしょうね。

でもこれを康が考えていると思うと気持ち悪い。康、仕事しないでくれ。

 

野村陽一郎さん作曲。

この方、日向坂の「キュン」「ドレミソラシド」を続けて作曲した人なんですよね。

この方の曲の特徴として、まず歌いだしが非常に耳に残るんですよね。

「キュン」では「キュンキュンキュンキュンどうして キュンキュンキュンキュンどうして」

「ドレミソラシド」では「ドレミドレミドレミ レミドレミドレミ ドレミドレミドレミソラシド」

そして今作ブルームーンキス」ではブルームーンキス(略)ブルームーンキス(略)」

が凄く印象的で一回しか聞いたことなくても、どういった曲だったかなんとなく思い出せるようなレベル。

実際僕も他のカップリング「半信半疑」「Plasticregret」はどういう曲かすらすぐ思いいだせなかったんですが、この曲だけは「ブルムーン・・・」と歌いだしだけはなんとなく、ほのかに、思い出せました。

日向坂の「キュン」はなんでこんな曲やったんや・・・しかも2ndなんで続投なんや・・・・と当時は思いましたが、今思えば普通に正解で理由は明確、耳に残りやすいからでしょうね。日向坂の存在を認知させるのに絶好の作曲家だったと思います。

一方で、サビは無難なメロディーに抑えて、曲のバランスをとるのもこの方の特徴ですね。日向坂の2作と比べてブルームーンはサビは結構派手目ですが、それは歌いだしに前述した部分が短いからというのもあるのでしょう。

ちなみに僕は日向坂では「キュン」より「ドレミソラシド」のが圧倒的に好きです。

 

あと、この曲のデビューカウントダウンライブのパフォーマンス、見ました!?!?やばくないですか!??ねえ、やばくないですか!!!???

森田ひかると渡邉理佐はじめ、メンバー同士が社交ダンスのようなキスのようないわゆる男女の「まぐわい」ごっこをするわけですよ。

あれ最高だったよなあ!!??

おい!!!

僕はもう映画館で一人興奮していました。息荒くなった。

なんでみんなあんなに平然と見てられるんだ・・・。

しかもあれ2番というね。滅多にない「そこさく」パフォーマンスでもなかなか見られないという・・・。

 

という訳で、パフォーマンスも含めるとこの曲は神です。神。はい。神。

 

以上である。3曲について思うことはすべて述べた。

どの曲も無難に聞けるいい曲だと思う。

特に「なぜ恋?」は歌詞といいメロディーラインといいMVといい華がある。

ただ何度何度も聞くうちに分かるのは、やはり表題曲が一番いい曲ということだ。

 

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裏面まですごくいいんだよね。

 

 

***

 

 

 

 

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推しの大園さんグッズ(の一部)、この前櫻坂カフェのグッズが来た。ちーぞのは一発で自引きした。神様仏様ご先祖様そして何より大園玲様ありがとうございます。

 

というわけで9枚積んで30秒!!!ミーグリのレポート。

結論から言うと、ミーグリってやばいわね。

なんか知らず知らずのうちにあっという間に自宅で推しと数秒時間が共有できる。神かよ。

各部に3枚ずつ、合計9枚分当選いたしました。第一次応募で全部ぶっぱしたので。

なので1回目、2回目、3回目とわけてレポートいたします。

ちなみに参加したのは1月23日。

 

1回目猫耳の大園さんにど緊張して「あー実在するんですね!」とか意味のわからないことを言ってしまった。

でも僕はいまいち本当に生で目で見ないと実在を確信できないので、これはもう心の声なのである。ごめんなさい大園さん。

「ねこさんなんですね!かわいいです!!!」

くまみみかねこみみか、前夜悩んでいた大園さん。(メッセージアプリより。)猫耳でそれでああああ!になりました。

もう色々感極まっちゃって、大園さんと会話できず消えていく大園さん・・・うう。

でも「まぐろどんー」と呼んでくれたその声がいつまでも耳にリフレイン。

大丈夫。まだチャンスは2回ある。てかよかった。3回分とっておいて。

ああー。すき。次までに寝ないようブログ更新しよ。

 

2回目!!!

「おかえりー」

あああああ!!!ありがとうございます!!!覚えていてくれたんですね!かわ!みみついてない人類の大園さんもかわ!

「見てもらいたいものあってー、」

大園様「うん」

アップトゥボーイのチェキを見ていただきました!でもよく考えたら小さくて何のチェキか分かっていただけなかったのではないでしょうか!!

「成人式のー?」

違うんです!!!馬鹿!!去年の初の新二期の初のって言えればあえあああ!!そこまでうまく伝えられる自信ないよあああああ!!!

「ありがとう」

こちらこそ見ていただいたありがとうございます。今年もチェキ当てられるように頑張ります。

かわいかった。

大園さんの10秒を頂いて私は大変幸せでございます。

次の部で最後。

釣ってもらいたい(>_<)(>_<)

二回目はまだ落ち着けた。そして思うのはこれは・・・生でおがみたーい!!!

 

三回目!ラスト!

「おかえりー」

ハーフアップになってるー!!!かわいいー!!!

「最後にお願いがあって 」

(聞き取れなさそうだった)

「ん?」

「お願いがあって、」

「うん」

「つって!」

 

「まぐろどん、わたしのことすきー?」

だいすきー!!

「わたしもまぐろどんだいすきー!」

両頬に人差し指あてながら

 「         」

 

・・・何て言ったか覚えてない、

ありがとうとか言ったと思う。

 

「またレター送るね!!!」

ごめんなさい!大園さま「また」とか言ったけどレター送ったことないです!!!でも、今回ミーグリして送ろうと思ったのは確かなんです!!!

 

わーと口を開いた大園さんがフェードアウトしていく・・・

 

 

 

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ぞのぉぉぉぉ・・・・ぞのぉぉぉぉぉ・・・ぞの・・・・(反響)

 

 

 

はい!!!!かわいいいいいい!!!

 

 

以上。

 

以上である。

 

ああ~~~ミーグリ。最高。

家にいながら推しと通話できる。

推しの数秒間をいただける。

本当に良いサービスだと思います。

 

ただやっぱりこう、通話すると生で会いたい。

やっぱもっと推しとの時間を記憶に克明に残したい。

ってなるんですよね。うむ。

そらかたくなにミーグリ振替券を使わない人がいるのもわかります。

でも、握手会で手首切られたり、発煙筒投げられたり、そういうトラブルもあった訳じゃないですか。結局あの目にあったメンバーって遠からずやめているわけですよね。平手に関しては握手会自体参加しなくなったわけですし。(川栄、平手、柿崎)

ああいったトラブルを防ぐためにも、

しばらくはこのミーグリという媒体で良いような気もします。

会いたいけど・・・握手会とか見る限りもっと安全を確保したうえでやるべきなんじゃないかなぁ・・・。

 

まぁとりあえず・・・

 

通話が出来るイヤホン、買わないと・・・!!!(大園さんも少し聴きづらそうにしていたので)

 

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CD撮影すると僕の影が映ってしまうのほんとアレ。



 

***

【櫻坂と欅坂の違いとは?】

ざっくり言うと、平手友梨奈が抜けてそれに大園玲さんと5人の新メンバーが加わったのが櫻坂。

ざっくり言うと、平手友梨奈センターが欅坂。

改名してそれ以外のメンバーもセンターを務めるようになったのが櫻坂。

という認識から入ろう!!!

***

LINKS

 

欅坂のラストライブの感想。

tunabook03.hatenablog.com

 

 大園玲さんの初ソログラビア掲載雑誌。

tunabook03.hatenablog.com

 

筒井康隆『自選短編集 鍵』-あけるな。-

 

 

まぁ若干SFチックになるのはしゃーない。

あとブラックジョークになるのもしゃーない。

 

筒井康隆『自選短編集 鍵』(角川書店 1994年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

かつての住居で、放置された机から見つかった古い鍵束。

その中に、見覚えはあるが何の鍵だか思い出せないものがある。

しばらく考えいこんだ後、脳裏に甦った寒い思い出……。

鍵に秘められた不可思議な力に導かれ、自らの原体験へと遡る表題作を初め、日常に潜む恐怖を独自の感性と手法で綴る著者初のホラー短編集。

裏表紙より

 

【読むべき人】

筒井康隆が気になっている人

・SF短編、ホラー短編が気軽に読みたい人

星新一が好きな人

NHKの公共放送料金支払っていない人(「公共伏魔殿」)

 

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【感想】

静岡駅前からちょっと歩いたところにある古本屋・太田書店のお外の100円コーナーで買った。

筒井康隆まぁまぁ気になっていたし、100円だし、ホラー好きだし、100円だし、一冊に一つの物語が入っている携帯よりも短編集のが好きだし、100円だし、と買わない理由がなかった。

そしてそれは正解だった。

 

ただまぁ、筒井康隆時をかける少女」「残像に口紅を等の筒井康隆である。SFの三大作家?とやらにも数えられているあの気難しい爺さんである。(他二人は星新一小松左京らしい。成程)

「ホラー」といっても純粋なホラーではない。

ある短編ではブラックジョーク、ある短編ではシュール、ある短編ではSFと、ジャンルが多岐にわたる。世界観も時代も設定もバラバラ。

所謂僕が求めていた「ホラー」なんてものは、表題作の「鍵」「母子像」くらいなものか。

他は期待してたのとなんか違った。インド人が増えたり地下に繰り広げられる未来都市の話だったりNHKの秘密だったり大槻ケン「ジ」ディスであったり、そういうのはまぁうんちょっと違った。

でもまぁそこはさすが筒井康隆。その分「次はどんな話なんだか」と気づけばぐいぐい引き込まれるように読んでいて、気づけばあっという間に読破しておりました候。

 

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2ページ目にはぜいたくにカラーの挿絵ページ。今の文庫本ではまぁまずありえないね。

 

以下簡単に各編の感想を記しておく。

 

 

「鍵」:ルポ・ライターとして成功した主人公はひょんなとこから見つかった鍵に導かれ・・・

一番初めで一番ホラーしていた作品。

後唐突に現れる忌々しきバッドエンドにそう来るかと思った。

にしても「鍵」、というタイトルなのは所謂「閉ざした記憶の鍵」という意味もかけてるんでしょう。

普段全く思い出すことはないけれども、ほんのふと、ほんのふとしたきっかけで思い出す記憶達・・・。思い出したくないこと、認めたくないこと、忘れてしまいたいこと、もう考えるだけで怖気がはしるようなこと・・・。

普段は南京錠よろしく物凄く硬い封がされているけれども、ふとした時に触れて一気にあふれ出し、正気すら保っていられないような記憶群。

それらは黒い直方体の箱・ブラックボックスに入っている。

そしてそれは太い鎖で四方八方縛られていて真ん中に南京錠がぶら下がっている。

それがぷかぷかと無数に浮かぶ空間を、人間なら誰しも持っていると思うのだ。

その「鍵」はどこかにあるはずだけれども、基本的には見つからない「ように」なっている。見つけて開けてしまえばその空間の神・・・所謂人間が正気を保つことが不可能になり全部全部が揺らいでしまうからである。

でもその鍵を、ほんのふと、ほんのふとしたきっかけで、見つけてしまえば・・・その空間はあっという間に闇に呑み込まれあらゆる情報がとびかいあらゆる絶望が飛び交いあらゆる恐怖浸され空間を維持することが出来なくなり脳は永遠にエンドロールエンドロールすることでしょう。

まぁそういった短編である。一番初めの作品で、結局これが一番僕には怖かった。

 

 

 

「佇むひと」:歩きながら私は、ああ、パンでも持ってきてやればよかったな、と思った。公園には、私の好きな犬柱(いぬばしら)が立っているのだ。p.35

冒頭1ページ目にこの記述があった時「お!鬼滅やんけ!」と思ったけれど違った。

詳しく言うとネタバレになってしまうので言えないが、まぁざっくり言うと「柱」とは最終的に「植物」になる生物である。それに合った造語らしからぬ造漢字があるのはちょっと驚いた。

そして「犬柱」があるのだから無論「人柱」も、といった話。「佇むひと」の「ひと」とひらがななのはもうそれが「人」ではないからだろう。

その世界で生きる小説家の話なのだけれども・・・終盤の切なさはたまらない。

いっそのことそれなら、死んでしまった方が楽なのにとすら思うような、痛切な終わり方。

斬新な設定だけでなく、その設定の上に大きいドラマチックを生み出すから、筒井康隆は「筒井康隆」なんだなぁと思った。

もし僕の恋人・夫になろう者(実在するかどうかはともかく)が人柱になろうものなら、きっと毎日抱きしめに行くだろう。そして主人公のように人畜無害となったパートナー、そして柱にならないよう人畜無害ならざるを得ない自分を哂って、やっぱり似たような歌を口ずさみながら帰って寝てそっと枕を涙で濡らすのだろう。

気づけば2020年、今の日本も人柱がたくさん立っている気がする。

僕は人間か?君は人間か?気づけばほら、だんだんと爪先が緑色になってきたりはしていないか?

 

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無限効果:宣伝課長の大森は、自社の社長から精力剤が売れないことについて永遠叱咤されたので・・・。

サブリミナルを使った作品。今でこそ使い古された言葉であるけれども、この作品が発表されたのは1961年(60年前)。さぞかし新しく鋭利で恐ろしい強度を持った言葉なのだろう。

というか60年前の小説でも、こうやって面白く読めるのは凄い気がする。多少の差別用語はあれど全然普通に読めるし、多少の鮮度は落ちようど全然普通に楽しめる。

40年たったらこの作品は100年前の作品になるけれども、それでも全然まだ僕は普通に読めるような気がするのだ。まぁその時僕も68歳なんですけど。

成程。

老人が文豪の作品ばっか読んでいる印象が強いのは、このためか。

 

公共伏魔殿:視聴覚文化を蔑む「おれ」は、受信料を支払うのを拒否していたが・・・。

そしてこの作品が発表されたのは1967年。54年も前の話である。

のに、もうここで受信料未払い問題が発生していて、それを揶揄する作品が誕生していようとは。受信料問題こんなに歴史が長かったのかよ。まずそこで僕は笑顔になった。

そしてそこから繰り広げられるNHKの恐ろしき実態の数々・・・終盤なんてもうおぞましい。NHK、恐ろしやと、僕は満面の笑顔になった。

2020年現在でも鋭い強度を持って刺さるブラックジョーク短編である。

受信料未払いの人にこそ是非読んでほしい。絶対払うものか!!!

 

池猫:小学生の時に子猫を池に捨てていたが・・・

2ページ余りの短編である。最後のシーンは想像するとまぁ恐ろしいと言えば恐ろしい。

けれども「猫ブーム」の昨今、読めばそんなに怖くはない。むしろ可愛い。

ちょっとしたモルカーの猫版でしょ?にゃんにゃーん。

 

死にかた:その日突然、オニが会社にやって来た。 p.100

そしてそのオニが次々と会社勤めの男女を淡々と殺していくというそれだけの話である。ただ皮肉かなそれぞれの死にかたに、それぞれの生きかたが反映されている。その比較を楽しむ作品。

読み終わった後には思わず、「自分だったらどういう死にかたをするだろう」と考えずにはいられない。僕だったら「こんなのファンタジーだ!!!嘘!!!認めない!!!」と最後まで大声で泣いて叫んでいるような気がする。

容赦なき淡々と進むシュールな展開、容赦なきスパッと終わる結末は、結構前に読んだ筒井康隆の中編「走る取的」を思い出した。

 

ながい話:おたね婆さんというとんでもなく話が長いとんでもないババアがいた。

今作が角川ホラー文庫から出ているということは、ババアの長々しい愚痴程恐ろしいものはないという認識で宜しいでござんしょか。

まぁ祖母見てるとそれは一理あると思うのだけれども。

 

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都市盗掘団:埋蔵財貨の盗掘に就職した齋藤は、恋敵と台湾へ盗掘しに行くことになった

今とは全く印象が違う、発展途上むき出しの台湾を舞台にした作品。土臭い雰囲気を楽しむ映画のような。

ただ、椿との関係性をあらわすためか、前半の時さんとの恋愛描写は妙に長く感じられた。後半出てくるのかなと思ったらそうでもないし。なんだろう。何かの元ネタあったりするのだろうか。

 

星一号:彼が知っているのは、彼自身がこの世界にせいぞんしているということと、彼が乗っているのが父親の背中であり、彼の背中に乗っているのはが彼の息子であるということだけである。p.148

この短編読んだ人に僕は聞いてみたい。「彼」をどのような生物で想像したか。僕はガマガエル。

あと「衛星一号」というタイトルの意味に今気がづいた。要するに永遠に血統が回転し続ける存在・・・すると彼達の生命の輪は天地・重力と逆らって築かれていることになる。

非常に絵画的で考える余地があって不思議で素敵な一遍。

 

未来都市:地下交通局に「地下三十二区H7番地の岡村」から電話が繰り返しかかってくる。

筒井康隆より星新一に近い気がした。いや。星新一の作品だったら何かしら最後に救いやどんでん返しがあるものかもしれない。

その期待を裏切って、絶望的終着に直行するのが筒井康隆なのかもしれない。

 

怪段:夜11時を過ぎると、その階段には幽霊が出るという

あっさりとした短編である。結末もまぁでしょうね、としか。

ただ主人公はその日死んだはずであるのに、以前から幽霊のうわさがあるというのはどいういうことなのだろう。それだけ少し気になった。

これだけ正直、何故選ばれたのか分からない。

 

くさり:盲目の少女は、生物学者の父と共に2人で暮らしている。

これも星新一の短編「月光」を思い出した。

美しい娘と、その保護者であるおじさんの閉じられて密接な濃厚な日々・・・。

ただ「月光」が終始耽美に傾倒しているのと違って、「くさり」は後半どんどん「腐り」、生臭くなっていく。そしてその美しい娘が「美しい」娘なのかすらも怪しくなっていく。

けれどもせりふ回しは後半もまるでメロドラマのようにロマンティック。

「パパ。この部屋で、わたしの髪を褒めてはいけないわ。ママが見てるのよ。パパは、ママも愛してたんでしょう。ママが怒るわ」p.189

さて、この短編のタイトルは「くさり」だけれども、一体何の鎖なのだろう。

序盤主人公が猫を繋ぎとめておく「くさり」、パパが恐らくは亡くなったであろうママの残影から逃れられないであろう「くさり」(序盤この男が主人公に猫をあげ続けるのは、生前女が猫が好きだったからだと思う)、最後の主人公がからめとられる「くさり」、それとも主人公を作り上げるのに至ったDNAの螺旋の「くさり」・・・?

様々な解釈が出来る秀逸なタイトルであると思う。

 

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94年初版の帯がついてきた。まず新人賞で今1000万なんて出す会社もうどこにもないし、あとこの頃からもう「美しい拷問」とかそういうのが持て囃されていたのかという驚きな。

 

ふたりの印度人:電車内で目が合った印度人が追いかけて来たぞ!!

作品が発表されたのは1968年。52年も前のことである。多少人種差別的なのは仕方ない。そして当時「印度人」なんて一体何考えているのか分からない存在だったのだろう。

不可逆的シュールギャグな結末にはちょっと哂った。なぜそうなる。

 

魚:若い夫婦とその子供は、興味本位で川の中州に行くことにした。

幼き妻の言動にイライラさせられる一遍。多分絶対女性作家には書けない。若い女とはこういうものである」と女性差別を思わせるくらいの妻の愚かさよ。

ただ終盤、その女を妻として娶った男の幼さ・わがままも描かれているのが良かった。

いや、女だけでなく男も馬鹿っぽく描けや!!とかそういう単純な話ではなく、何か若さの愚かさ・幼さ・我儘そういったものすべてが詰まっているように感じられたのである。

 

母子像:妻と赤ん坊が唐突に行方不明になる。そして時節聞こえる赤ん坊の泣き声。

古い館にて繰り広げられる美しい奇譚とでもいうべきか。

最期の永遠なる美しさ・・・。

多分赤ん坊は「男の子」であるし、今作はキリストとマリアの母子像を想定して描かれたのだと思う。もっとも有名のだとラファエロか。まぁあれ両方とも目見拓いてはいるんですけど。

でも僕が何となく思い出したのはカリエールの母子像。館の雰囲気も相まって、ぴったりじゃない?

 

 

 

 

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ウジェーヌ・カリエール《母子像》(1890年頃)

新国立美術館にて開催されたブダペストの美術館展にて生で見た。

早く東京の美術館にも気軽に行ける環境になってほしい。

 

 

 

 

二度死んだ少年の記録:少年の飛び降り自殺の新聞記事の時間差に疑問を抱いた著者は現地にて調査を行った。

舞台は兵庫県である。

どうやら兵庫というのは今も昔も教育が恐ろしく荒れているらしい。この作品で知ったが、女子高生の頭が校門に挟まって亡くなった事件も兵庫なんだそうな。まじか。昔からダメだったのかよ兵庫の教育。

そして本編の少年が自殺したのも結局は原因が「いじめ」。激辛カレーは残念ながら出てこなかった。

前半は大槻ケン「ジ」の唐突なディスりや、教師と作者の会話劇など結構クスリと笑えるところが多く、なんかスラスラ読んでしまった。

是非2021年筒井康隆大先生には「二度死んだ教師の記録」を兵庫の小学校へ調査しに行って書いてほしいのだけれど、どうだろうか。

冒頭は誰を如何様にディスるだろう。

 

以上である。

結構楽しく読めた。まぁ期待してたホラーとは違うけれどやっぱり名前が知れた作家は違うわね。と思わせるものがあった。

これからも古いからと言って敬遠せず、ぴんときたものは躊躇なく手に取って読んでいきたい。

 

***

 

LINKS

 

このブログで扱った「母子像」の画像はwikipediaの以下のページから拝借した。

ウジェーヌ・カリエール - Wikipedia

 

同時代(1990年代前半)にでた阿刀田さんの自選短編集。

実家にある。これも50年前60年前の作品多かったけど面白かったなぁ・・・。

tunabook03.hatenablog.com

 

他に読んだ筒井康隆の作品。

独特な文体の為嫌いな人もいるだろうけど、でも慣れればスラスラ読めるし、この短編集も、この殺人事件もこの旅行記も総て面白かったのでおススメ。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

tunabook03.hatenablog.com

 

しまおまほ『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』-理想のおもしれー女の若かりし日々-

 

 

 

いつだって僕等は調査隊だ。

 

 

しまおまほしまおまほのひとりオリーブ調査隊』(プチグラパブリッシング 2004年)の話をさせて下さい。

 

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表紙と裏表紙にかけてしまおさんが一体になって寝そべっている今まで見かけそうで見かけなかったデザイン。


 【概要】

オリーブ調査隊、人呼んで”オリ調”ファンだった皆さん、本当にお待たせしました。

そして、はじめてお目にかかるみなさん、あらためましてこんにちは。

しまおまほさんが、あなたの身のまわりでも起こっていそうな、ちょっと可笑しな調査をひとりで引き受けちゃいました。

『オリーブ』(マガジンハウス刊)で1998年にスタートした連載当時の原稿を中心に、

今回新たに行った追加調査も盛り沢山!

これを読んだあなたも今日から(ひとりで)調査開始したくなるはず!

 

帯より

 

【読むべき人】

サブカルクソ女

・特に1990年代に生まれたサブカルクソ女

・オリーブでこのコーナーが大好きだった人

・ヴィレッジヴァンガール(ヴィレヴァンによく行ってしまう女性の意。今考えた造語。でももうこういう概念自体が古い気がする。)

 

【感想】

本書を購入したのは、片浜(ぬまづ)の週末古本屋ハニカム堂である。

インスタグラムで毎日在庫の書籍を掲載されているのだけれども、そのなかに本書があって、DM送ってお取り置きをお願いし、数か月後ようやっと買いに行った次第(長い期間お取り置きしていただきありがてえ・・・)

800円だったかそこら辺のお値段で購入した気がする。

 

何故僕がわざわざインスタでDM送るに至ったか。

それは著者の「しまおまほ」を「調査」したいと思ったからだ。ひとりしまおまほ調査隊。

彼女の名前を初めて見たのは何の雑誌だったか。POPEYEだったかBRUTUSだったか何だったか。そこで「しまおまほの一人調査隊」というカラーページ半ページ分の連載を持っていて、そこで組んでいた特集がこれまたなかなかコアな特集で、「ふうん・・・おもしれー女」といった印象を受けた。

その後しばらくして、彼女を再び見たのは&PREMIUMの本特集の号だった。そこで彼女は何やらディープなおじさん達とおススメの本、好きな本、読書について悠々と述べていたのであった。

いいなあと思った。

僕もこうやってマガジンハウスに癒着して文化人枠の端に居座って月々20万弱くらい貰ってそこそこの暮らしをしたい!!(月いくらいただいてるなんて全く知らんけど)

マガジンハウスとズブズブしてお金を貰いたい!!!!!

というかこのしまおまほ、40そこそことのことだけれども全く見えない!童顔!綺麗!美人・・・!とは言えないけど間違いなく中の上より上!!!こういうサブカルをこじらせたまま身だしなみだけはどうにかこうにかして中の上のルックスはキープし続けることであわよくば「文化人」兼「おもしろ美人」枠をゲットし緩やかに維持し続けて、そこそこの暮らしをしたい!!

要するに、しまおまほ僕の理想の「おもしれー女」な訳だったのである。

 

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じゃあ彼女が何故今も「調査隊」という連載を持ち、且つマガジンハウスと癒着長い付き合いしていることが出来ているのか。

その秘密が恐らくこの書籍に隠されているであろうと、インスタで書影を見たときからピンときて、僕は本書を取り置きお願いしたのである。

 

そして一通り読んだわけだけれども・・・成程。面白い。

本書が刊行されたのは2004年。本書のネタとなる連載自体は1998年と20世紀の産物でるが、内容は全く色褪せていない。

マクドナルドの外観から始まって、最悪な映りの写真、自転車調査、パソコンの周り調査、杏仁豆腐、ココア、バッティングセンターと意外と身近な話題をフォーカスしてああやこうや書いている。

そしてそれらは概ね2020年、現在僕等インドア若者がnote・YOUTUBE・同人誌・ZINE等で積極的にやっていることと大差ない。一方で、1998年・・・20年も前にしまおまほはひとりでこんなことしてたのか。

読んでいて、あまり時差を感じない。

そりゃあこんな時代を先取りするような特集を描ける女の子いたらマガジンハウスも積極的に囲うわな、と思った。

 

あと、時代。

時代が分かって面白かった。

本書の基となる連載が続いていたのは、1998年から2000年。

君達は何をしていましたか。

1993年生まれの27歳の僕は、5歳から7歳になる年で、幼稚園と義務教育を嗜んでおりました。毎日遊び毎日笑い毎日楽しい毎日楽しいをしていた時期でございまして、当時のサブカルクソ女達が何気になっていたか、何が好きだったかなんて全く蚊帳の外の時代だったでございます。スタバのスの字はおろかモスのモの字すら知っていたかどうかあやふやでございます。マクドナルドの「マ」の字をようやく嗜み始めた頃でしょうか。おほほほほ。

何が言いたいのかと言うと、今の20代にとって、2000年前後って結構未知の時代だと思うんですよね。

何のテレビが放映していて何の芸人ネタが流行っていたか。おジャ魔女どれみが放映されていたしモーニング娘。が流行っていたし「だっちゅ~の」が流行っていたし「ゲッツ!」という概念を知った。子供でも感じ取られる範囲は理解しているけれども、でもその「子どもの世界」の外のことは全く無知。闇。な気がする。

例えばその頃どういったファッションが流行っていたかとかどういったサブカルチャーが流行していたのかとかどういったオタク文化が繰り広げられていたのか、とか。

特に僕は自我が芽生え始めた2005年くらいからならなんとなくそういう世間の風潮は肌で感じられたように思う訳なんですが(「ローゼンメイデン」の登場で僕の自我は完全に目覚めた)バブル崩壊後からそれまでって、一体どういう時代だったのか。正直なんかふわっふわしているんですよね。

当時サブカルを愛する女達は如何様なものに関心を持っていたのか。アンテナを張っていたのか。何に注力していたのか。

そのヒントが随所に散りばめられていて、「2000年(前後)文化史」と言った意味でも非常に面白く読めました。

 

ああ、

今は女優の市川実日子は当時はみんな憧れのモデルだった。

マクドナルドは当時の若者からスター的存在であって、そのMのマークから各キャラクターまでもがサブカルの餌食になっていた。

パソコンはデスクトップが当たり前で、それでもその周りに雑貨を置いたりシールを張ったりして机周りを己の好みに整えていた。

当時の若者はアラーキーの名前を知っていて当然であった。

今やテレビで見ると安心感すら覚える芸人・柳沢慎吾は突如登場したお笑い界のニューカマーであった。

お洒落な人が乗っている自転車は、よく分からん外国ブランドのロードバイク等ではなく、まだまだママチャリだった。

仕事が出来るキャリアウーマンはなんだかよく分からない、逆に近未来的なピチピチの洋服を着ていた。

パラッパラッパー」をデザインしたのはロドニーという外国人デザイナーで新進気鋭と世間から注目されていた。

この頃には黒柳徹子は正月に和田アキ子とパチンコ勝負をしておりあのド派手眼鏡を毎回かけてきていた。

みうらじゅんは今より確かにちょっと若いけれども、サングラスにロン毛なのは今も昔も変わらない。

 

各特集ごと読むたびに、新発見があってそれが面白かった。

そういう感じだったんだ、そういう時代だったんだ、そういうのが持て囃されていたんだ、みたいな。

そのなかには無論2020年現在潰れたお店やブランド、今や無名のアーティストも多々いるわけで、それも含めてなんだか当時のサブカルが愛おしく感じられるのであります。

 

 

 

以下簡単に、特に好き好き♥になった記事と簡単な感想を書いておく。

 

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今や「かわいい」を見出すのが難しくなってきた国民的ファストフードの図。

 通学路のマックワールド、にて。p.21

まだマックが「かわいい」の対象になっていた時代なんですね。

今やここで可愛いと持て囃していた方々が40代50代になって家庭の味としても馴染み、すっかり国民食となりました。

そういや昔マックの制服のリカちゃん持っていて、サンバイザーは憧れでした。

2020年現在はもはや空気のような存在になり逆に絶滅危惧種ドムドムバーガー・上んディーズ辺りが「かわいい」の対象になりつつあるような気がします。ドムドムは未だ食べたことがない。

 

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おいしい「杏仁豆腐」徹底調査!pp.58-59

まだまだ当時は「ひし形の牛乳入りカンテン」p.58のイメージが強かったそうで、20年たった今とは全然イメージ違ったんですね。

杏仁豆腐史とかやったら面白そう。まあ僕そんなに杏仁好きじゃないんですけど。

でもまぁ最近カルディで買ったパンダの杏仁豆腐に衝撃を受けました。可愛いうえに結構おいしい。今もまほちゃんは杏仁好きなのかしら。そしてパンダの杏仁は食べたことある?

 

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僕の眼鏡。多分これに似た形が出来てきたのがどうやらこの時期っぽそう。

 みんなのメガネ見せてにゃんまげ!!pp.86-87

20年前のオトナのメガネ事情が分かります。

するとまぁ、正直今と大差ない。確かに今の方が色々種類が出てお洒落なんだけれども、全体的に見てフォルムはそんなに変わってない。

しまお隊長曰く「メガネにどんくささを感じていた物です。それがここ2~3年、ちょっとしたメガネブームではないですか!?」p.86とのこと。なるほど、瓶底・ダサダサが主流の中、今のようなメガネが登場してぐっと身近でお洒落存在になったのはこの頃なのか。

ちなみに僕が近年好きな眼鏡美人は、乃木坂46鈴木絢音相席スタートの山崎ケイちゃん、前髪がある状態の山崎まどか、稲田防衛元大臣です。

にしても稲田防衛大臣の旧姓椿原なんだそうな。もうこれだけでイケる。

 

東京の名物温泉でしみじみする の巻pp.126-127

これっはシンプルに僕が「ひとり銭湯」「ひとり健康倶楽部」をずっとやりたいと思っていたので、実用的に読みました。

ああーやっぱり楽しそう。マッサージチェアとか1時間くらい揺られていたい。

あと手術着のようなクソダサ健康センター室内着のフォルムは20年前から変わらないのね・・・。

 

食玩具に夢中。しまお隊長の雑貨(その後)を大公開!pp.138-139

これは当時の雑誌特集にあやかって2005年のしまおさんがだいすきな雑貨を挙げたコーナーです。髪の毛生えたポニーの置物ってこの頃にはもうあったんだ。

でもマックの帽子とか「スノードームの自作」とかは2021年から見ると絶妙にダサくて、2005年の風を感じ取ることが出来ました。

雑貨と言えばスイマーが最近復活しましたね。シールと小物入れ欲しいなァ・・・。

 

 

糸井重里「ふつうでいられるゆたかさ」pp.150-151

最後にみんな大好き糸井重里があとがきを書いています。今と時代が違うからか、書かれていることは結構難解で分かんないところも多い。

けれども非常に印象的なこの一行で、この記事を終わろうと思います。

 

たのしむ力とは、生み出す力を生み出す力なのである。p.151

 

以上である。なかなか楽しめて読めた一冊であった。

やはり直感で購入する本には当たりが多い気がする。

 

ちなみに本書にかけられたカバーはもともと購入時からついていたのですが、

カバーをめくると

 

 

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めっちゃ直筆サインっぽいのあった。

そりゃ前の持ち主もカバーをつけて大事にするわな、と思った。

 

***

 

LIJNKS

 

僕が久々にしまおさんをお見かけした雑誌。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

佐藤将『本田鹿の子の本棚』-遺伝には、逆らえない。-

 

 

 

 

この父娘、いかんでしょ。

 

 

佐藤将『本田鹿の子の本棚』(リイド社 2017年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

思春期の心を知るため、

父は愛娘の蔵書を手に取る(無断で)。

帯より

 

本田鳩作(きゅうさく)(サラリーマン)には悩みがあった。

愛娘である鹿の子(かのこ)(女子高生)(かわいい)が何を考えているのかさっぱり分からないのである。

分かるのは、歯を磨くとき歩く癖があることと、どうやら本が好きらしいこと。

そこで鳩作(速読術習得済)は、ある日早く会社から帰られた日、鹿の子の部屋に侵入し、本棚から本を抜き出し読むことによって、娘の心理を理解しようとするが・・・!?

 

小学生の時星新一をプレゼントされて目を輝かせていた少女の高校時代の読書なんてもうそりゃ年月とともに醸され熟され以下略

 

パロディ★カオス暗黒文学少女コメディ。

 

【読むべき人】

・本や映画が好きな人

・本や映画に対する造詣が非常に深い(つもりの)人

・上記でなくとも一話完結型の作品が好きな人(一話一冊という異常なスピードで鳩作が読むぞ)

・パロディネタが好きな人

ボボボーボ・ボーボボが好きな人

 

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この本は帯と言い装丁と言い色々工夫されていて面白い。買ってその目で確かめて。稀少本だからさ。

 

【感想】

あーもうひっちゃかめっちゃかだよ。って感じの一冊である。

基本コメディで爆笑することが多いんだけど時々不意に切ない話や悲しい話が出てきて感情の置き所が分からなくなる。高い画力も相まって非常にカオス。

 

そう、この感情は・・・あのアニメを見たときに似ている。

そう・・・あの・・・・

ボボボーボ・ボーボボ

面白いことは分かるが、何が何やらサッパリ理解できない。

面白いことは分かるが、どういう感情で作品を享受したらいいのか分からない。

間違いなく面白い。

間違いなく面白いのだけれども、何で何がどうして面白いのかはもうなんかよく分からないのである。

理解しようとする前に、物語のテンポと勢いにすべて持っていかれる。

つまるところ、

ちょっと画力があって、ちょっと教養があって、

ちょっと薄暗いボボボーボ・ボーボボ

こういう感じなのである。

結局ヒロイン・鹿の子が可愛いということしか分からない。

ボボボーボ・ボーボボもジュディが可愛いということしか分からなかった。

 

あと本書は間違いなく面白いのだけれども、

もっと僕が読書好きで映画好きだったらもっと楽しめたろうと思った。

恐らく鳩作が夢野久作から名前が付けられているように、

分かっていればニヤリとできるネタが随所に散らばっているはずなのである。

僕は概ね2冊目江戸川乱歩「芋虫」×ポケモンのリーリエ(恐らくこれが一番パロの難易度が低い。パロの難易度ってなんだ。)と、

4冊目のバキ風イラストの部分と5冊目のもちもちの木風イラストと、11冊目のなんか火星の映画のポスター、その他伊藤潤二ジョジョ立ちジョーズ異世界諸々くらいしか分からなかった。

でもほかにも難易度高いけどその分面白い高レベルのパロディが絶対隠されているはずなのである。(パロディの霊圧は感じる。パロディの霊圧ってなんだ。)

特に今作に収録されている12冊目「ぼくのデス子 13歳の少女」なんて多分絶対何かのパロディなのである。恐らく元の作品を知っていたら爆笑ゲラゲラ出来るはずの作品なのである。

でも分からん・・・分からんのよ。

わざわざ中小出版社であるリイド社「稀少本」となってしてでも世間に対して発表した買った作品であるからもっと、そりゃあもっと面白いパロがあるはずなのである。

分からん・・・分からんのよ・・・・。

 

それでも面白いことに変わりはない!!

ので、一冊ずつ(一話ずつ)簡単に感想を述べていく。

パロ元(と思われる)作品の言及を含め、少々ネタバレを含む。

各話あらすじを書くと大いなるネタバレに繋がるため、そこは今回は省略しておく。

 

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1冊目 恋田敬『女に火をつける男』

前半は「お?最終兵器彼女か?」と思ったけれどもう後半意味が分からないよ。絶対映画の「エイリアン」要素は言ってると思うんだけど見ていないから分からないけどなんで対戦させる必要があるんだよ!お前の脳内やばいよ!!この娘にしてこの父ありだよ!!!

 

2冊目 帝都正樹『帝都正樹 奇想短編集』

えげつない、ポケモン×江戸川乱歩「芋虫」のパロディ作品である。どういう脳みそしてたらそれとそれを混ぜようとするんだ。ボーボボも驚愕衝撃の一冊。

 

3冊目 男谷一発『目覚まし時計』

これラストの亀頭頭の少年間違いなくパロ元があるはずなんだよな。何ならどっかで見たと思うんだよ。ていうかそもそももそもそ、この「目覚まし時計」にも多分ネタがあるはずなんですよね。まあ絶対こんな下品な時計じゃないでしょうけど。でも目覚まし時計題材の作品ってなんだ。なんだ!!さっぱり分からん。

 

4冊目 男谷一発『男谷一発 無類作品集』

主人公とその妹の、このエアギア風のキャラデザ、絶対パロ元が以下略。途中から明らかにバキになっているのは分かるんですけどね。あと、ここからだんだん鳩作の本棚の寄り方がもうカオスになってきましたね。そこで爆笑をとろうとするな!序盤の言動で読者の心を掴もうとするな!!漫才師かお前は!!

 

5冊目 尼ヶ崎三太夫『スーパー青果大戦』

スーパーロボット大戦」みたいなタイトルからのまさかの本筋桃太郎。序盤のもちもちの木風の絵の無駄なクオリティの高さは感動した。なんか途中からジョジョになってたけど。あと本作まさかのバッドエンド、からの「二次創作」のキャラクターの鹿の子の絶妙なネーミングセンス。桃太郎からここまで引っ張ってこれるかね!?2冊目もとても好きなんですが、この5冊目は鹿の子の可愛い部分も描かれているため、あとタイトル、ただのスーパーのセールやんけのセンス含め、台湾映画への造詣も深くなるというおまけ要素付き諸々、この本が一番好きですね。

 

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芋虫。

 

6冊目 アダム竹中『ネゴシエーターたち』

一番説得力がある物語だった。27歳SHOJOの僕でも「成程な」と思った。修道女や巫女の考え方に引っ張られがちではあるが、決して、解脱をするのにもしくは上の存在になるのに身体が潔癖である必要など全くないんだよな。メリットないよ。人間三大欲求に数えられてるんだからもっと■■■しないと。からのまさかの結末な。どんだけ説得力ある説法聞いてもその瞬間には敵わないよな。個人的に『聖☆お兄さん』と併読したい一冊。

 

7冊目 阿修羅木鉄『賭けごと放浪記』

いきなり社会派。どういう感情で読めばいいんだ。そしてそのメッセージが深い。深いのよ。もうちょっとした純文学なのよ。あとこの作品は主人公といい、中盤出てくるおばさんといい、キャラデザに濃厚なパロディが含まれていると思うのですが、分かりそうで分からない。主人公はデュエルモンスターズだと思うんですが、ババア、お前、誰だ?あとこの回からもう自然と本棚の前にいる父親草。嫌われるぞ。あとあと、暴走族の学ラン「心霊呪殺師」とか書かれてて草。

 

8冊目 迫水力『ブリジット・キャンベルVS異世界の化物』

2冊目は「ポケモン×芋虫」の話だったが、今度はジョーズ×異世界もの」の話である。無駄にタイトル回収・伏線回収が秀逸なのが草。多分この短編は小説としてこの世に出ていても結構評価されると思う。あとパロ元の確認なのだけれども、「異世界」のゼルダの伝説、最後の鳩作はジェイソンということでいいのかしら。鳩作が着用している牡蠣も元ネタありそうなんだけどね・・・。

 

9冊目 望月睦睦『ハード・ジュブナイル

に収録された、「柚木さん」という物語が主題の回である。間違いなく、異世界×ジョーズの後に読む話じゃないのよ。7冊目→9冊目であれば「ああ・・・こういう切ないことも世の中あるよね」ってなるけど、その間に結構巨大なサメが横断するからもう気持ちの持っていき方が分からないのよ。でもそこが良い。

「・・・・・よく優等生が万引きして捕まるみたいな話あるけどなんでそんなバカやるのか理解できなかった 今はすこし わかる気がする」p.117

作中の信号は赤だった「とまれ」、それを無視することを覚えた柚木さんは一体どこに進んでゆくのだろうか。ハードすぎるんだよ。

 

10冊目 奥くくる『蜜壺 シャクティ

に出てくる「糖女房」、汚え、今作最大級に汚い話を何故その髪型でやってしまうのか。あとこの作品も絶対物語の大筋にパロ元が何だ小説か昔の邦画かそれともピンク映画か何だなんんだ何な・・・・鹿の子可愛い!!!!最後の1コマの鹿の子の可愛さで、全部持っていかれる話。

 

11冊目 北小路大門『極限地帯のトークタイム』

9冊目で鹿の子が「暗黒文学少女」(鳩作評)になったことを憂いていたが、その原因は間違いなくお前の遺伝子じゃヴォケ。あと地味に名前だけ聞いたことある競走馬ナンバーワン「オグリキャップ」がどういう馬でなぜ有名なのか分かるのが良かった。

 

12冊目 蠅沢遥『ぼくのデス子 13才の少女』

これパロ元なんでしょうね。絶対面白いと思うし絶対メジャーだと思うんですけど僕がザコのサブカルクソ女なのでさっぱり分からない。芋虫。あと思春期迎えていてもちゃんと16本の蝋燭がたってるホールケーキの前に座ってくれる鹿の子ちゃん可愛い。

あと、「よし かーさんはケーキを買ってくるから 私は鹿の子の本を読んでいよう」p.147。序盤は鹿の子の読書嗜好にツッコんでましたが、気づけば終盤は父・鳩作がゆうにヤバイのヤバイでしょ。もうこれ半分ボーボボだよ。本田ボーボボ

 

 

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ちなみに本書は「奇書が読みたいアライさん」の読書ガイドで知った。

このアライグマが紹介する本に外れなし。今作もそうだったのだけれども、僕より優にこういう系糖の知識が備わっているアライグマだから、きっと僕の2倍3倍いや10倍は面白く読んでいたんだろうなあと思うとちょっと悔しい。

10年20年手元に置いといて、たくさんサブカル摂取して、

スーパーミラクサブカルクソ女になって

また読み直したら、もっと面白くなっているだろうか?

ある意味漬物本。

 

以上である。

若干オカルト寄りのボーボボな一冊だった。1冊当たりの価格まあボーボボ400円に対し、画力と備わる教養の分含んで1000円という次第か。

あとまぁ鹿の子がやっぱり可愛すぎる。

 

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まぐろどんの本棚。分かりづらいが、結構怪談本とかそういうのが詰まっています。

あと人形な

 ちなみに僕は結構オカルトが好きである。実話系とか結構読んじゃう。本棚に並べたくないから滅多に読まないけど。星新一も中学の頃からずっと好き。まとめサイト「哲学ニュース」「不思議ネット」、加えて「キニ速」にオカルトネタが挙がってないか毎日巡回しちゃう。何ならもう小学校のころから好き。こういう怖い話系の本は人気だったから滅多に借りられなかったけれども小学校にあるのは全部読破した。中学高校ではこういうコーナーが設けられていないことに絶望した。

ちなみに妹も思春期はその傾向があった。甲田学人先生のライトノベルを何冊か見かけた。

僕達姉妹がそろって残念な嗜好にほとばしった原因は、100発100中何を隠そう鹿の子同様、父である。

父の本棚には、(今はほとんど読まないが)筒井康隆の本が並んでいる。特に筒井康隆「恐怖」という本が並んでいて表紙がもうあれ既に「恐怖」だったな。てかなんだそのタイトル。そして昔からゾンビ映画好きである。「ゾンビVSエイリアンは良かった」とにちょにちょしているのはちょっと引いた。製作者側の気持ちも鑑賞者の気持ちも分からない。何故対決させたのか。そしてとうとうその映画に行きつくまでゾンビの映画を見たということか。

あと小学生の時、父の実家・北海道のおばあちゃんの家には「世界のオカルト現象」みたいな本があって、それを僕は喜んで持って帰って一通り読んだものだった。

何が言いたいかと言うと、作品こそフィクションであるものの「父の嗜好は娘に遺伝する」はノンフィクションであるということが言いたい。

恐ろしい話である。

 

ちなみに、北海道のおばあちゃんの家にはファミコンの代わりにセガサターンがあった。もうこの地点で僕が27年間SHOJOになってしまったのは、アカシックレコード的に必然だとも思うんですが、どうですかね?

 

***

 

LINKS

大丈夫です。母がかつて「若草物語」やアガサを読破したように、僕にも文学少女的側面があります。小川洋子ちょ~好き。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 アライグマの読書ガイド。かって思ったのは、読書ガイドは紙媒体が一番です。ツイッターだと流れちゃうし、noteでまとめてくれるけどnoteを開くということはスマホを開くということ、そうつまり本を読まなくなるので。

迷っている人は再販の際即座に買いましょう。そして本作も買って本作の寿命を一冊でも伸ばすことに貢献しましょう。鹿の子の白無垢見たいだろ。

tunabook03.hatenablog.com

 

最後に読んだ筒井康隆の本。といってもこれの他にはアンソロジーに収録されている短編以外は、「時をかける少女」しか読んだことない。それも小学校時代。なぜかと言うと父親が好きな作家だったのでずっと敬遠していた。でも最近この作家の本買っちまった。仕方ないね。血は争えないね。

 

 

tunabook03.hatenablog.com

 

M-1グランプリ2020-2020年代の漫才の新しい笑いがみえた。きがする。-

 

 

 

 

今年(去年)は漫才の新しいムーブを露骨に感じる年になりましたね。

 

 

 

 

 

M-1グランプリ2020の話をさせて下さい。

 

 

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あ!!見た目で損してるパンだ!!!

 

【決勝進出者】出番順

インディアンス(敗者復活)

東京ホテイソン

ニューヨーク

見取り図(最終決戦進出)

おいでやすこが(最終決戦進出)

マヂカルラブリー(最終決戦進出・優勝)

オズワルド

アキナ

錦鯉

ウエストランド

 

【見るべきな人】

・オードリー、ぺこぱのようにキャラ芸人漫才が好きな人(インディアンス、マヂカルラブリー、錦鯉、東京ホテイソン

しゃべくり漫才好きな人(見取り図、ニューヨーク、オズワルド)

・音楽が好き(おいでやすこが)

 

 

・芸人になる目的は、復讐だよ・・・?

 

 

 

 

・・・え?復讐だよ?

 

 

 

ウエストランド

 

 

 

・今年の近年稀にみるM-1ド滑り枠(アキナ)

 

 

 

【概要】

年が明けてから見ました。もっと言うと、年が明けて1週間くらいたった時に見ました。なのでもう優勝コンビが分かっている状態で、録画された放送を見た訳ですね。

なので生放送も臨場感もクソもなミソもないわけですがそれでも見たのはやっぱり、面白い漫才が見たいからなんですよね。あとお笑いにも一家言あるサブカル女でいたいから。

今回もしっかり録画したものを見ました。録画したものを。

なんで2回繰り返したかと言うと、昨今動画配信で漫才のみを見ることが可能になったからです。GYAOは前々から結託して力入れている印象でしたが、今年なんてYouTubeで配信してますからね。公式が。時代は変わった。

そんななかわざわざ実家に帰ってリビングのテレビを占領し「うわ・・・今年も点数つけてる(ドン引き)」と母親に言われながらも、なぜ録画したものを見たかと言うと、漫才前後の審査員のコメント、それに対する反応、また上位3社が入室できるあの部屋での振る舞い・・・総てがM-1だと思うからです。

審査員はどこを見ていたのか、そして指摘を漫才師はどのように受け止めているのか。そして他の漫才師がウケた時、高得点叩き出した時どのような表情をしているのか。そこまで含めてM-1なんです。

別に面白い漫才が見たいのであれば、僕は正月の東西漫才決戦でもおもしろ荘でもネタパレでもゴッドタンでも何なら漫才の動画でも十分満足します。

それでもM-1が見たいのは、漫才師達が全身全霊かけたネタ見たいから。漫才師が漫才によって人生を拓いた瞬間を見たいから。なんですよね。

でもそれこそが、多分僕だけじゃなくて、多くのお笑いファンが・お笑いファンでもない人が、M-1は必ず見る理由なんじゃないでしょうか。

「お笑い」いう荒波の世界でもがいてもがいてもがいて、その努力が実って、人生が変わる瞬間を見たい。

かつてAKBの総選挙が高視聴率を叩き出していたのも、ひとりの女の子が「アイドル」という厳しい世界で絶対王者玉座に腰掛ける瞬間を見たかったからではなかったか。

なのでまぁやっぱり、放送してだいぶたっても、優勝がもうどこの誰かと分かりきっていても、見ちゃうわけですよね。

極力全部通して。

 

そういった意味でも、アキナはやっぱりやらかしましたね。

優勝候補にありながら、ネタがどすべりしたのはいいんです。

ただその後、審査員の話を聴く姿勢が一番愚か。「はっずー」と言って一切聞いていなかった。

だからあんなに叩かれてたんではないでしょうか。

 

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GYAOの配信は今月末までだそうな



 あと、今年は如実に漫才の変化を感じました。

ポイントは3つ。

 

1つ目は、伏線回収の廃れ。

2-3年前は伏線回収をする漫才が高評価される傾向にあったように思います。和牛がその最たる例で、スーパーマラドーナ辺りもそうじゃないでしょうか。

序盤にぶちまけておいた話題を終盤で回収する。

ただ、これを行った見取り図(カリブ海)とオズワルド(【ボケ乳首】)はどっちかというと滑り気味だったんですよね。尚、見取り図の1stroundにおける【「無意識にやってしまいました」】の伏線回収はまあまあ成功していたと思いますが。

加えて、その伏線回収を前面に持ってきたアキナが、露骨に物凄く滑りきった。

多分このアキナで、【伏線回収】路線は今年で断絶すると予測。我々観客も無意識に飽きていたのでしょう。

スーパーマラドーナ・和牛の面白さは変わらないのですが、でもこのスタイルの斬新性がなくなったのは確かだと思います。それでも僕はスーパーマラドーナの武智が作る短編小説めいた漫才が大好きなのですが。

やるにしても、錦鯉のように気づかないうちに回収する緩い伏線回収が一般的になるんじゃないでしょうか。【一文無し参上!!→パチンコネタ】のように、初めで提示した何気ない言葉がのちの漫才の展開に繋がっていく。

あと錦鯉はこの緩い伏線回収を意図的にやっているようです。他のネタの動画もちらほら見ましたが、長谷川さんの自己紹介のほとんどに「○○の漫才しますよ」のヒントが隠されています。

 

2つ目はキャラ漫才・個性派漫才の復活。

去年はぺこぱがモロそうでしたが、今年はキャラ漫才・個性派漫才が台頭してきたように思います。

まぁまず優勝のマヂカルラブリーもそうですし、おいでやすこが、オズワルド、錦鯉、インディアンス、東京ホテイソンあとまぁウエストランド、ニューヨーク辺りもそうかもしれません。

どのコンビもそのコンビならではの個性もったネタ、もしくはキャラが立っている片方がいる。典型的な例だと、前者だと東京ホテイソン・おいでやすこが・オズワルド、後者だと錦鯉・インディアンス・マヂカルラブリー

これからは「このコンビだからこそ出来るネタ」に重きが置かれるのかなと思います。一昔で言えばノンスタイルアンタッチャブルのような・・・。

今思えば去年優勝したミルクボーイも、コンビの個性が強く出ていますしね。

そしてその流れに逆行した「しゃべくり漫才」で見取り図には孤軍奮闘し続けていてほしい。

 

3つ目は掴み(つかみ)の大切さ。

マヂカルラブリーが今回優勝できたのって、1stRoundの初っ端の初っ端に「笑わせたい人がいる男です」からの、【フレンチレストランにガラス割って入る】流れがあったからだと思うんですよね。正直終盤の【「こら、デモン!」】のくだりはどっちかというと滑り気味だったと思うんですよ。でも、初っ端の勢いがそこを吹き飛ばした。

順位が躍進したオズワルドも、【「あのさ、俺改名しようと思うんだよね」「とりあえず、伊藤だけ覚えて帰ってください」】掴みが成功したから、今年グッと伸びたと思うんですよ。その後【ザコ寿司】【ボケ乳首】【クソきも通訳】と滑り気味のネタが結構多かったんですけど、それでも観客の心を最後まで離さなかったのはこの掴みがあったからだと思うんですよね。

一方で、ここを一番ミスったのはウエストランドだと思います。登場前に「4歳の娘からお守りを貰った」という紹介があったにも関わらず、初っ端の一言が【「いやぁ、僕結婚したからさぁ、そろそろ不倫しようと思うんだよね」】相性が馬鹿です。お守りのくだりは何があっても取り消すべきだった。多分あの紹介がなかったら、あの掴みは機能していたと思うんですが・・・。

思えば、昨年優勝したミルクボーイも【「ありがとうございますー、×××(絶妙に要らない物)いただきましたー」】という掴みがありましたよね?

多分ここを重視するかしないかで、命運も変わって来るんじゃないでしょうか。見取り図、引き続きお前に言ってるんだぞ。

 

まぁこの3つの傾向に総てあてはまったからといって優勝できるとは限らない。それがM-1の面白いところでもあると思うのですが・・・。

 

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あ!!人妻と出会える車だ!!!

 

 

今年も点数をつけてみたので、以下簡単に各漫才師の感想を述べていく。

ちなみに、書いてある回数は、録画したものを見た後僕がこのネタを見た回数です。(このブログを書くために見た回数は除く)

 

1stRound

 

①インディアンス:75点

結成10年/エントリーNo.3182/0回

まさかのトップバッターが敗者復活枠だとは。衝撃的でしたね。

去年は決勝にストレートで出ていましたよね。でも明らか去年より良くなっていた。

例えば声質。うるさくなくなった。

あと【コンビニの「ウィーン」のハモリ】等、笑うべきポイントが非常に明瞭になった。敗者から復活したのもう預ける。

それでもやっぱ滑舌が悪い部分があるなと思います。あと早口。オール巨人「ききとりやすい」と言ってましたが、いやいや普通の老人聞き取れないて。

あとネタ直前のCMで、アンタッチャブル映ってたんですよね。そう、このコンビが復活してしまったらもうインディアンスは二の舞の劣化版にしか過ぎないわけです。

白黒・向日葵・メガネが看板のようですが、ガラッと衣装替えて、アンタッチャブルとは違いますよ」感を出していってほしいところ。

まぁそれは暴論として、アンタッチャブルが復活してしまった今、「インディアンスらしさ」を模索していくのが彼らの課題なんじゃないでしょうか。

あと、嬉しい感が強いのもちょっとどうかと思った。「敗者復活から出られてうれしーーー!!!」感が凄い感じられたんですよね。

違うよね。

確かにぺこぱ、ゆにばーす、金属バットその他諸々猛者を倒して復活したのは非常に喜ばしいことだけれども、ここで喜んだらそれまでの漫才師だ。

お前たちは優勝しに来たんだろ?

そこはもっと悔しがれよ。

他の漫才師が面白いネタを披露したから笑顔で握手なんてするんじゃないよ。

悔しがれよ。

そこらへんは、スーパーマラドーナの武智を見習ってほしかったですね。

 

 

 

東京ホテイソン:40点

結成5年/エントリーNo.3000/0回

コピー:静ボケ剛ツッコミ

何言ってるかもうちんぷんかんぷんでした正直。「しんかんせん」と「あるぜんちん」の文字を交互に取り出すと云々とやっていたのですが、は?って感じ。は?

と【アンミカドラゴン】のくだりがありましたが、正直「アンミカ」の「ミカ」辺りがどこから来たかもう覚えてないんですよね。え・・・?何そうだったけ???みたいな。

オール巨人「ツッコミというのはお客さんの代弁」と言っていましたが、これは凄く分かります。そもそも「ミカ」がなんだっけ・・・?と多くの観客がついていけていなかったにも関わらず、ツッコミをしていた。それはつまり、「ツッコミがお客さんの代弁として機能していない」ということになり、2人で自己完結自慰型漫才に成り下がっているということなんですよね。しゃぶりあってんのか?

お客さんがそれでも笑ってたのって、【アンミカドラゴン】語感の良さだけで笑ってたと思うんですよ。でもそれって、アンミカさんに凄く失礼じゃないですか?

あとツッコミも歌舞伎じゃないんだからさあ・・・。くどい。

そうですね、他のネタの動画もちらほら見たことあるですが、もともとこのコンビのネタ自体あんまり好きじゃないんですよね。

それでもネタの全体の構成は序破急しっかりしていて良かったと思います。でも、それだけ。

 

 

③ニューヨーク:94点

結成10年/エントリーNo.160/3-4回

コピー:ダークにリベンジ

前の2組と比べて100倍良かったです。前回の歌ネタも嫌いじゃなかったですが、今回はもっと良かったです。

しゃべくりで繰り返される軽犯罪ネタ。【選挙】【倫理観ぐちゃぐちゃなん?】【おでんつんつん】のくだりでは爆笑しました。

ただまぁ、サンドウィッチの富澤が「ニューヨークらしさが出ていた。来年が楽しみ」と言っていたましたが、まぁそれも凄い分かる。

確かに凄い面白かったんですよ。燃焼もしていただろうし己の力も発揮できている感じがあった。僕もここまで右手はペンもってメモしながら漫才見ていたんですが、ニューヨークのネタは初っ端から思わずペンを置きました。

それでも「来年が楽しみ」、つまり優勝には辿り着けないだろうという直感が僕でもはたらいたんですよね。

なんででしょうね。自分たちらしい漫才が出来て爆笑も起こせた。なのになぜ優勝できないのか。将来スーパーマラドーナ武智×2に成り下がってしまうのか・・・?

原因の一つとして、僕はキメの粗さにあると思います。例えば嶋佐の声の大きさ。ああいうキャラなのはすごく分かるんですけれども、初見時(録画したものを見た時)ところどころ聞き取りづらいところがあったんですよね。声が小さすぎるところがある。

屋敷。ツッコミしてる時ずっと横(嶋佐の方)見過ぎな印象を受けた。大抵ツッコミでツッコミながらお客さんの方を見るんですけど(オズワルド伊藤はそこらへんがとてもうまいと思う)屋敷は全然見ないんですよね。

そういうキメの粗さが、2ndステージを阻害しているんだと思います。

ネタの内容ではなく、キメの粗さ。

霜降り明星のように勢いで優勝するにはちょっと年とってしまったし・・・、そこが今年の課題となるのではないでしょうか。

でもやっぱネタはめちゃくちゃ面白かったので何回か見てます。【選挙】のくだりが滅茶苦茶好き。

母も「唯一ニューヨークがマシだった」と言っていました。

あと、二人は意外と山梨・三重出身なんですね。関東じゃないんですね。そこに+2点94点です。

 

 

 

④見取り図(0回):85点

結成13年/エントリーNo.3474/1回

コピー:真理の才能Ⅲ

まぁまず面白いのが良かったです。前回前々回は盛山が露骨に緊張しすぎてたのが分かったのですが、今回はいい意味でちょっと余裕が見えていたのが良かったです。日舞台踏み続けた成果でしょうか。

ただ、一つ一つのボケがなんかハマらないのが今一つでした。ニューヨークの【立ちション】【選挙】【人妻と2ケツ1つ1つのネタに爆笑していたのですが、なんか見取り図の自民党のポスター】【徒歩移動】【鶴瓶に対してやたら雑】のボケがなんかフィットしないんですよね。爆笑までに至らない。なんでや。

母も「見取り図は、好きではない」と言っていました。分かる。

なんでだろう。見取り図のネタがいまいちなのか、それとも単に我らが母娘が品行不正だからだろうか・・・。

【無意識にやっておりました、すみませんでした】で終わるのも悪くはなかったんですが、序盤伏線を張る際にここだけ浮いていて、あんまり面白くなかったんですよね。正直。

確かにしゃべくり漫才で3回決勝進出は凄いし「真理の才能」はあると思うんですが、ニューヨーク抜いて1位はどうなん・・・?と思いました。

王道スタイルが重宝されるがあまりに、過大評価気味のようにも感じます。

ちなみに一緒に初詣行った親友は「見取り図は見た目が好き」と言っていました。なんでや。盛山とかあれロン毛で隠してるけど髪の毛短くしたらなかなか汚いぞ。リリーのサイコパス感がいいんでしょうか。

 

 

 

⑤おいでやすこが:80点

結成1年(ユニット)/エントリーNo.2178/0回

コピー:個性と技のハーモニー

R-1の出場権失った40代2人が織りなすユニットです。

でもR-1の決勝枠で長年戦ってきた2人が組んだコンビです。

それぞれの実力がありすぎるんですよね。

まずツッコミの技量が物凄い。荒げて大きい声出すんですけど、非常に爆発力持っていて且つ聞き取りやすい。同じ系統のツッコミとしてミキの昴生がいると思うんですが、彼より全然うまいと思います。

そしてボケのサイコパス感。大舞台で何も気にせずただ歌い続けるその度量。そして歌の技量。

正直ネタの精度自体はそこまで高くないと思うんですよ。ただそのネタの精度の低さを2人有り余る技量で補っている印象。

「コンビ組めばいいじゃん」と今田や審査員達から言われていましたが、まぁ組んで場数を踏めば優勝は楽勝でしょうね。チャンスはあと10回以上あるわけだし。

M-1アナザーストーリー」ではM-1翌日から「ネタ合わせするぞ」と言っている場面が見られましたが、いや本当にコンビとしての基盤を1年十分に築くことが出来れば次回は優勝も十分見込めると思います。ネクスおぎやはぎ今のおぎやはぎがおぎゃはぎ(静)ならば、おぎやはぎ(動)を狙えるんじゃないでしょうか。

あと2人とも40超えているとのことでしたが、若々しかったですね。なんか。2万円のシャツを着ていたからでしょうか。年齢に関するネタを入れなかったのも、このコンビの場合は正解だったと思います。

あ、あと、R-1出られなくなったこの2人よりも、同じく出られなくなったであろう三浦マイルドのことが僕は心配でたまりません。

 

 

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あ!!とっとこ野田クリスタルだ!!!!

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あ!!伊藤だ!!!!

 

マヂカルラブリー:88点

結成13年/エントリーNo.2617/6-7回

コピー:我流大暴れ

初っ端から面白かったですね。これに尽きると思います。

静→動の掴みが100パーセントでした。もっと言うと、【こら、デモン!】と、静→動→静で体裁よく締めようとするくだりも、ネタの個性だけでなく構成も考えられているんだなと感じました。

あと、オール巨人東京ホテイソンの際に「ツッコミは観客の代弁」と言っていましたが、マヂカルラブリーの場合これがちゃんと機能してるんですよね。

村上の「違うよ!!!違う!!!ちーがーう!!!!!多分違うよ!!!!!」観客の心の叫びであって、これがあるからこそ野田のヤベー奴度がグッと輝くわけです。オール巨人がマヂカルを褒めていたのもよく分かります。

掴みツッコミがきちんと機能していたこと、この2つがマヂカルを優勝させた要因のように思います。

 

ちなみに僕は野田クリスタルは結構好きで、R-1優勝前からツイッターフォローしてました。どこが一番好きかと言うと、「クリスタル」というネーミングセンスです。自分の苗字+クリスタルというそのセンスに僕はやられてずっとフォローしてましたがまさかお前・・・R-1優勝ですら驚いたのによぉ・・・・まさか・・・・こんなことになるとは・・・ハムハム可愛いしてた場合じゃなかったぜ・・・。

あと、性格の良さもいいですね。六ッ川という横浜のクソ下町育ちなのですが、それでも公務員家庭だったのか、育ちの良さからくる性格の良さを感じる。この前の「水曜日のダウンタウン」で、「自分の出したあるあるネタを探せば実在する説」で一切収穫してこなかったコウメ太夫「まぁコウメさん、ここはやっておきましょう・・・」と優しく諭していたところからは露骨に感じました。

M-1アナザーストーリーでは、お笑いの道に進んだが故の、公務員一家とのほつれが描かれていましたが、結局彼が面白いのは、人間の基盤となる人間性がきちんとしているからだと思います。きちんとした家庭で育った野郎が変なことしているからこそ面白いんだと思います。 

 

ちなみに、母親に「ねえ知ってる??あのピンクのベストの人、「村上」言うんだけど、本当の名前は鈴木なんだよ!!」とうっきうきで話したら、「へー」とだけ返ってきました。

へー。

 

 

⑦オズワルド:90点

結成6年/エントリーNo.728/7-8回

コピー:NEO東京スタイル

今年も優勝コンビのすぐ後でしたね。運ないねー・・・。

ただ去年は何のネタだったか覚えてなくても、今年は何のネタやったか覚えている人は多いのでは?

題材・語彙は独特ですが、流れは王道のしゃべくり漫才なので見やすくて良かった。特に終盤の伊藤ブチギレからの【「んままままんまままま」「日本語やめたのか!!!」】【「俺の伊藤を返してくれよ!!」】【「お前ずっと口開いてんな!!!」】の畳みかけは今年のM-1の全部の漫才の中で一番好きかもしれない。

ただ、題材・語彙が個性的な分、一度聞いただけでは分かりづらかったところが随所で見受けられたのが残念だった。【「ザコズシ(ザコい寿司のことかと思われる)」】【「だままままままままままれれまままままひまままままげままままま→「黙れヒゲ」】のくだりは、笑いに至る前に「ザコズシ・・・?ハリウッドザコシショウ・・・?」「な・・・なんて言ってたの?正解聴いてもぴんとこねぇ」と、初見時正直僕はついていけなかった。

ここが減点対象。94点のニューヨークは見ていて意味的に理解できないところはなかったんですよね。倫理的には理解不可能ですが。オズワルドは初見では「?」が浮かぶ部分が見受けられた、それが2点の差です。

でも意味が分かる部分の方が多かったし、特にその部分が序盤に集中していたため、無事観客の心を掴み順位の上昇にもつながったんだと思う。例えば【「逆・・・?」】や、【いなりを生み出す動き】【手が口に入ってんじゃねぇか!!!】ここらへんが連続していたのが良かったんだと思う。掴みも【「とりあえず伊藤だけ覚えて帰ってください」】はオズワルドとして100点級のものだったと思う。

 

審査員で、意見が割れたのも印象的でしたね。

終盤、伊藤がキレて声を荒げるところに対して、松本が「オズワルドはずっと静かに見ていたかった」と否定的な意見を述べたが、オール巨人終盤の激しい展開を支持した。

僕もどっちかというと、オール巨人側です。

今までの畠中の理不尽なサイコパスの蓄積に対して、伊藤のブチギレがあってこそ、一種のカタルシスがあるように思います。まぁそらそうだわ。ブチぎれるわ。オール巨人東京ホテイソン時に言っていた「ツッコミ≒観客の代弁」論が、終盤伊藤がキレないことには成立しなくなってしまう。

 あと、伊藤がキレる展開になると、見ていて明瞭に「起承転結の転に来たな」と分かるんですよね。起承転結の展開が緩やかだと、5分でも見ていてダレますからね。

オズワルドの他では錦鯉・マヂカルラブリー・・・しゃべくりではない「我流大暴れ」な方達ですが、この2組はやっぱり「起承転結」が非常に分かりやすかったからこそ、見やすかったんだと思います。

逆にこの「起承転結」が緩かったのは、ウエストランド、インディアンスあたりでしょうか。フレーズやキャラクターは残るけれども、クライマックス何していたのかいまいち覚えていない。そしてクライマックス何やってたか覚えていないと漫才全体何やってたかいまいちピンとこないまま終わってしまう。

でも松本の意見もわかるんですけどね。要するに、スリムクラブみたいな漫才をオズワルドに求めているということでしょう。オズワルドには確かにその可能性も残されていますが、でも今回M-1の大舞台であんな大声で【「みんなもなんか言ってやってよ!黙ってみてないでさ~!!!」(ダミ声)】ブチギレた以上、その方向へ舵を切るのは非常に難しいと思います。

ちなみに僕はこの漫才、結構再生してます。特に序盤の【「手が思いっきり入ってるじゃんかよお!」】、【「伊藤奪われちゃった!!!!」】と、やはりさっきの【「みんなもなんか言ってやってよ!黙ってみてないでさ~!(ダミ声)】のくだりが好きすぎて。てか伊藤沙莉の兄なんでしょ?ダミ声の遺伝子強すぎる。

一通り見た後に、

「いやー、オズワルド、今回は結構面白かったね」

と母に言ったところ、

「いや見てない」

と返されました。

わかる。

 

 

 

⑧ アキナ:38点

 結成8年/エントリーNo.3006/0回

コピー:覚醒するファンタジスタ

ネタが痛い。痛すぎる。これに尽きる。

というのも、「滋賀県出身の40歳」と「兵庫県出身の37歳」って思いっきり紹介されているわけですよ。そこで、「好きな女の子の前でいいとこ見せたい」って言われると、笑う云々の前に正直ドン引きなんですよね。ええ・・・37と40のおっさんが??ってなる。

審査員の富澤もそこを穏やかに指摘していましたね。おじさんにはそのネタの解釈がちょっと共感できなかったかな」いやいや、ちょっとどころじゃない。キツい。キツすぎる。霜降り明星とかからし蓮根がそういった旨のネタをやるならまだわかるんですけど、ちょっとアキナにはそういうのを求めていたなかった。

あと、そもそも「好きな女の子にいいところを見せたい」という題材自体が、王道すぎるんですよね。多分ほかの漫才師も山程やっているネタなんだろうなという。もっと、若い漫才師達が。四千等身あたりとか絶対やってると思う。

近年優勝しているコンビ・高評価に終わっているコンビってやっぱ題材自体から真新しさがあったんですよね【「コーンフレークは生産者さんの顔が思い浮かばんのや!!」】【否定しないツッコミ】【つり革なしで電車に乗る】【なかじまっくすを作る】等々。もっとインパクトある題材で、練り直すべきだと思います。

ぶっちゃけ、これで去年は「あえて見送った」っていわれてもサボりと変わりないです。

審査員の評価も「うわはっず!!!」を繰り返すだけで碌に聞いてないのも、題材同様人間性も幼稚なんですねとしか思えない。優勝候補からの酷評とはいえ、それでも看過できない愚かな態度。40でしょ?

そりゃあネットで叩かれるのも頷けます。

「あえて」とか言わず毎回出ろ。

漫才場数が勝負なんじゃないのか。

だからよしもと勢が強いと言われるんじゃないのか。

ネタだけではなく人間的な部分においても本当にがっかりしたコンビ。

来年(てか今年)出場しなければ「逃げたコンビ」としての汚名が定着することでしょう。首根っこを掴みたい。逃げるなよ。

 

 

 

⑨錦鯉:85点

結成8年/エントリーNo.3471/∞回

コピー:おっさんずバカ

登場してきたとき、結構貫禄あるおっさん×2だったから「お?しゃべくり系か?」と思ったらまさかの長谷川の【「こーんにっちはー!!!!!!!」→「一文無し参上!!!」】発言。まさかのマヂカルラブリー、ゆにばーす系だったことに衝撃を受ける観客と僕。

でもその後キャラ漫才としてはほとんど満点の展開だったと思います。特に【レーズンパンは!!!見た目で損してる!!】が見たくて僕は一時期毎日2-3回は再生している時期があった。中毒性がやばい。よく見ると「レーズンパンは!」の後にノリノリで胸元叩いているあたりの動きが【ノリノリ雅紀】感あって良い。

あと地味に【「6!8!リーチ!!」】【「7!7!7!!リーチ!!」】も非常に分かりやすくて良かった。

小学生でも理解できる漫才、ってのが強いですね。

今回、しゃべくり系の見た目からのまさかのキャラ漫才というギャップに皆驚愕し、いまいち点数伸び悩んだと思うんですが、今回で長谷川さんのキャラクターを観客にぶち分からせたうえでの来年が楽しみですね。

【「レーズンパンは!!!見た目で損してる!!!」】が好きすぎて若干贔屓目に見ているかもしれん。

あと、【「あ!!コンビニのレジの横にお饅頭がある!!!!」】これも好き。

ただ、唯一欠点を挙げるならば、ボケの数でしょうね。審査員の誰かが「ボケの数が少ない」「笑いどころが少なく設定されている」みたいなことを言っていたのですがそれは一理あると思います。

5分間にして腹8分目なんですよね。ただ、錦鯉の場合は長谷川のあのエネルギッシュの動きと渡辺のいい声ヴォイスでお腹いっぱいになりたい。要するに、制限時間内にもっとおかわりがほしい!(わがまま)

 

 

 

ウエストランド(1回):70点

結成12年/エントリーNo.3473/2回

コピー:小市民怒涛の叫び

ウエストランド最大の敗因は、掴みだと思うんですよね。先ほども書きましたが、コンビ紹介で「4歳の娘からお守りを貰った」のくだりからの、【「結婚したからさ、そろそろ不倫したいと思うんだよね」】馬鹿としか言いようがない。

【「不倫しようと思うんだよね」】単体であれば、掴みとしては成立していたと思うんですが、あの紹介があってからのこれは酷かった。何ならその4歳の娘のお守りの紹介いらなかったのではレヴェル。まさしくこれこそ【「最悪のギャップ」】

あとそのお守りを貰ったボケ側があまりにも、噛みすぎるのよ。噛むな!!!

あとツッコミしながら相方を見て笑うな!!その流れが赦されたのは2-3年前までだぞ!!!

相方のボケを見て笑うツッコミ。博多華丸大吉、千鳥辺りが代表的と思うんですが、僕これ嫌いなんですよね。何いちゃついてんの?っていう。へらへらしてんじゃねえよっていう。そう思っている人がほかにも多数いたからかあんまり最近台頭してきた漫才師では、見かけませんが。

これこそ、お前たちが嫌ってる【「仲良しコント師」】の態度じゃないのか?と思った。それを題材にした以上もっと無表情であれ。

それでも、70点という点数を割り振ったのは、記憶に残るフレーズが非常に多かったからです。

特に【「え・・・復讐だよ?」】のくだりは誰もが爆笑したんじゃないでしょうか。あと【「自我が勝つの!!!」】【「その理論は何故か逆だと成立しないの!!!】辺りも良かった。

近年のお笑い界、そして世間を批判するスタイル。

所属事務所がタイタンとのことですが、大先輩爆笑問題を思わせる攻撃的なその姿勢は貫いてほしい。よしもとには絶対にいないタイプなので。

そして「検索ちゃん」の爆笑問題の漫才よろしく、意図せずなんか、「2020年の総括」感ありましたね。順番が、10番目・おおとりでしたがこれはウエストランドにとってベストの順番だったと思います。

来年(今年)もこの決勝の舞台で1年を総括できるかどうかは、ボケ側の技量と、先述した「起承転結」を意識した緩急ある構成にできるかどうか、次第でしょうね。あと井口が下半身を写真にさらさないか否か。ちいさそう。

あと審査員で「自虐に偏り過ぎる」という意見もありましたが、それも一理あると思います。じゃあどうすればいいかといえば、ウエストランドの場合は世間を批判・揶揄する爆笑問題の漫才にヒントがあるんじゃないでしょうか。もしくは昔のブラックマヨネーズとか?

 

以上ここまでが1stRound進出したコンビの僕の批評になる。

 

ちなみに点数上位3組を挙げると、

1位:ニューヨーク(94点)

2位:オズワルド(90点)

3位:マヂカルラブリー(88点)

になります。マヂカルラブリー食い込んだ。

見取り図はやっぱりネタが微妙と思うのと、

錦鯉は欲を言えばもう1パンチほしかった。

他は論外。おいでやすこがが評価されるのもわかるんだけど。

 

 

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優勝翌日いろんなとこで「つり革」ネタをやったようですが、僕はフレンチの方が好きです。デモンがでてくるので。

 

最終決戦

 

①見取り図:76点

何故関西の地元ネタを決勝のましてや2ndに持ってきた・・・といった印象。

大阪じゃあどっかんどっかんなんでしょうね。多分2020年で一番ウケた漫才をほとんどそのまま持ってきたんでしょう。そっちの方が本領発揮できると思ったんでしょう。

でも観客のほとんどが関東人な訳です。ましてやコロナ禍であれば尚更でしょう。あと審査員もみんな大好きえみちゃん以外基本関東で活躍している芸人さん奈若江なんです。

せめて、そのネタを土台に関東・M-1向けにアレンジしていれば勝機はあったんじゃないでしょうか。

あと伏線はもういらないと思う。流行遅れ。ましてやこの漫才に出てきたカリブ海】。大卒(もっと言ってしまえばMARCH)の僕ですらカリブ海・・・?どこだっけ」てなるんだから、ほとんどの人がカリブ海で笑う訳ないんですよ。早慶上智のエリートクソ野郎しか笑わないネタなんですよ。

錦鯉のようにもっと分かりやすさが必要なのかなぁ・・・。

 

マヂカルラブリー:87点

逆に、しょうもないんですけど分かりやすかったのがマヂカルラブリー

フレンチ程ではありませんでしたが、やっぱり序盤の掴みが強いんですよね。

あと掴みがほとんどのフレンチと比べて、中盤・終盤に面白さが目立つネタというのも配置・チョイス完璧だったんじゃないでしょうか。1stroundの完璧な掴みで自己紹介して、2ndstageで自分達の笑いを観客に叩き込むスタイル。このネタチョイスの戦略性も間違いなく優勝の要因でしょう。

ちなみに僕はこのつり革ネタでは、【サンドイッチ】のくだりが一番好きでした。

あとまさかM-1で、ニューヨーク、マヂカルラブリーと、立ちションが2回見られるとはだれも思わないじゃん・・・。ニューヨークはの立ちション、マヂカるラブリーはの立ちションでしたね。

 

③おいでやすこが:83点

【「小田さんって歌好きですよね~」】の掴みは3組の中で一番良かったと思います。問題はその後。「まさか次に進むとは思いませんでした」感満載のネタのチョイスでしたね。マジで歌うたってるだけやん。

マヂカルラブリーのように2つ舞台があることを前提として、2つ目もしっかり練っていれば優勝したんでしょうがね。

R-1で果たせなかった雪辱を是非M-1で果たすことに尽力してほしい。ツッコミ、ボケ共に実力がありすぎるので。

あと14回もある訳だし

 

Finalroundの批評というか感想は以上である。

M-1はどうも1stroundの方が盛り上がりがち、且つネタも面白いがちなのはどうにかならないものか。昨年優勝者のミルクボーイも1stroundの【コーンフレーク】こそ語られるけれどもFinalroundの【最中】の話をしている人は一人もいないではないか。

マヂカルラブリーがFinalroundにこのネタをしたのは、このような昨今の風潮の問題提起とは言えないか。

 

ちなみにこの3組の合計点数を合わせると、

1位:マヂカルラブリー(175点)

2位:おいでやすこが(163点)

3位:見取り図(161点)

となり、

僕の採点の中でもやっぱり優勝者はマヂカルラブリーということになります。

 なので、漫才じゃない云々言われても、僕はマヂカルラブリーの優勝に賛成です。

ていうか、マヂカるラブリーの漫才が漫才でないのであれば、僕は霜降り明星の漫才も漫才とは言えないと思います。霜降り明星の優勝が認められるのならばマヂカルラブリーだって認められていいでしょ。

 

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毎回メモを取ってたんですが今回から一冊にまとめようと思います。

 

以上である。

今年もM-1、大いに楽しませていただいた。

以前からツイッターでフォローしていたマヂカルラブリーの優勝は非常に喜ばしかった。

去年はついていけなかったオズワルドの漫才が進化してしてよかった。

うろ覚えでなんとなく面白いコンビの認識だった錦鯉がどういうコンビかはっきり見られたのも良かった。

ウエストランドの井口がどういった人間か概ね分かったのも良かった。エロ写メ流出の印象しかなかったので。

強いて言うならば、やはり決勝に進出したのがニューヨークでなかったのが残念だった。見取り図とニューヨーク、拮抗していたと思うんだがなぁ。

 

ミルクボーイを輩出した昨年と比べて、今年はいまいちだったと語られがちであるが、そこまで悪くない年だったように思う。

ぺこぱやミルクボーイ、すえひろがりずのように名前すら聞いたことないようなニューカマーはいなかったけれども、漫才のレベルは前回と拮抗していたのではないか。アキナ以外は。

 

来年(今年)も緩く楽しみにしている。

 

 

 

 

 

 

 

あ、

 

 

 

 

あと、このM-1のコピーを考えてるのって誰なんだろうね。

今年書いてみたけれども結構センスがいいなと思った。

例えば錦鯉の「おっさんずバカ」は「おっさんずラブ」のパロディだし、

ウエストランド「小市民の怒り」は「ウエストランド」という単語から連想される「小市民」という言葉のチョイスが良い。あと、井口の背丈とおにんにんが本当に小さいため、「小市民≒井口」と間接的に指しているところにもセンスを感じる。

見取り図の「真理の才能Ⅲ」も好き。

でも9組まるっと見ると、全体的になんですよね。東京ホテイソン「静ボケ剛ツッコミ」とか。差が凄い。でもそこも逆に良い。

誰が考えてるんだろ。僕もこういう雑なコピー作ってお金貰いたい。2万円くらい。

 

***

 

LINKS

昨年のM-1の記事。なんか知らないけど、閲覧数見る限りすごく読んでいただいたみたいです。ありがたや。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ 3』-推しができるとこの作品も楽しいし、人生も楽しくなります。-

 

 

 

 

 

「推し」が出来たからこそわかるこの感じ。

 

 

 

 

 

 

平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ 3』(徳間書店 2017年)の話をさせて下さい。

 

 

 

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【あらすじ】

岡山県で活動するマイナー地下アイドル【ChamJam】の内気で人見知りな人気最下位メンバー【舞菜】を人生すべて捧げて応援する熱狂的なファンがいる。

収入は推しに貢ぐので、自分は高校時代の赤ジャージ。

愛しすぎてライブ中に鼻血ブーする・・・・・・伝説の女【えりぴよ】さん!

舞菜が舞踏間のステージに立つ日まで・・・・

えりぴよの全身全霊傾けたドルオタ活動は続くっ!!!!!!

 

3巻では・・・【メンバー総選挙】の結果が明らかにッ!

さらにクリスマス、年越し、バレンタインとアイドルイベントは記念日すべてうめつくす♥♥♥♥

 

【読むべき人】

・アイドルオタク

・「推し」がいる人

・かわいい女の子が好きな女

 

【感想】

続きを買って長らく積んでいたがようやく読んだ。

というのも、僕にも「推し」が出来たからである。

 

 

 

それは、

 

 

 

 

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これはファーストシングルで自引きした大園玲さん。

 

櫻坂46大園玲さんっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!

 

はいまず良い所、内面。

彼女はまずファンに対する愛が深い。

「櫻坂46を愛してください みなさんのこと倍愛します」

2020年12月10日のこのブログの名言は、まだ覚えているオタクの数は多いことだろう。

彼女のメッセージアプリも実際かなり充実していて、写メ・動画・着信は毎日送られてくる。その内容も、自撮りはもちろん質疑応答、変な髪型、大園玲クイズ(難易度比較的高め)と様々。ファンを楽しませようとする気概がびしびしと伝わってくる。深い。深いわぁ・・・愛が、深いわぁ・・・。

そして礼儀正しい。

まず基本敬語。ファンに対する敬意の表れが見える。そこからメッセでくる毎日の「おはよう~」や「・・・・と思う!」という口語が程よい距離間でとても良い。好き。いや、ため口のメンバーもそれはそれでいいんですけどね。

そして礼。欅坂のラストライブ、櫻坂のデビューカウントダウンライブでメンバー一人一人が所信表明するところがあったのだけれども、彼女が一番礼が美しかった。まず深い。一番深かった。そして背筋。一番ピンとしていた。そして脚。ひらいてへにょっとしたお辞儀が目立つ中で、ぴったり閉じていた。彼女の礼は圧倒的美しさだった。

あと文章力。ブログを読んでいただければわかるが、彼女の文章は非常に独特である。だがそれがよい。個性的で不器用な一面(実際いじめに遭っていた時期もあったという)をさらけだしながらも、それもファンに伝えたいことがある。

僕も結構「個性的」「不器用」「やばい」「今までの人生で似た人と会ったことがない」と言われてきた側だったので、ここが非常に共感出来てもうヤバい。好き。好きがすぎる。

あとまぁ顔面も好き。僕自身が童顔のもあって、凛とした顔が好きな傾向がある。彼女の凛とした美しさ・・・。

しかしこれはあくまで大園玲という尊い人間から発せられた顔の表情に惹かれているのであって、やっぱり彼女の好きなところは、ファン思いで礼儀正しくちょっぴりエキセントリックな内面なのである。ああ好き。

 

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全部大園さん。

 

ちなみにどれくらい好きかと言うと、いままで日向坂寄りだったのが欅・櫻坂に返り咲くくらい好きになった。日向ももちろん今でも好きですが。ふぃさんすこ。

そして今まで手を出したことのない・・・、生写真沼というものにハマった。自分の手元にない大園玲さんの生写真が、この世に存在することが赦せない。フリマアプリを駆使して彼女の生写真を、そしてグッズを、極力徹底して手に入れるようになった。

あと雑誌。彼女が1ページでも掲載されている雑誌は総て買った。そのため積読ならぬ積み雑誌が山程あるのだが・・・後悔はしていない。むしろ自分よくやった。

あと、通販サイトで彼女のポストカードが特典でついてくるといえば必ずそこを介して買うようになった。ポストカードを手に入れるために、うっかり街の本屋で買ってしまった雑誌を、特典目当てにそのサイトを経由して2冊目買うという偉業も成し遂げた。

そしてミーグリ。ミーグリというのはコロナ禍で握手会の代替として用意された、メンバーとのオンライン通話のことである。メンバーとの接触イベント・・・初めて参加することになった。当選した。ありがとう神様。ありがとう大園玲様。

それに加えてCDも、今まで1タイプ購入して満足していたが、今回は全タイプ購入した。

ああ・・・好き。

多分彼女と出会って10人弱の諭吉が飛んでいると思うのだけれども過去は振り返ってはならない。今を生きる為の必要経費。

同じ次元に生まれてきてくれてありがとう。

同じ世界線に生きてくれてありがとう。

あなたが東京のどこかで頑張っていると思うと僕も頑張らなきゃと背筋が伸びます。ああ好き。

これだけ推した存在がいたことがあろうか?

いやない。

とにもかくにも結構かなりドップリなのである。

 

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えりぴよさん・・・あなたはオタクの鑑。一生その背中ついていきます

そんな存在が出来てから読む、「推しが武道館に行ったら死ぬ」違う。今までとは楽しみ方が違う。

これまでは舞菜のガチオタであるえりぴよの奇行を笑っていたが、今は半分「分かる」よ・・・えりぴよ。分かる。共感する部分も多くなった。

 

踏まえて、感想を述べておく。

なおこの漫画は話のタイトルがない。第●話の横に書いているのは僕が書いたあらすじです。

 

第13話:総選挙の、舞菜の票数稼ぎの為にバイトを根詰めに働くえりぴよは・・・。

分かる。僕も働く理由というのが出来た。

バイトですら辛いことが多いけれども、「やめよう」とは考えなくなった。大園さんの写真、グッズ、これから出るであろうCDが追えなくなると思うとしんどい。

まぐろどんという一個人の基本的組成を支える存在。大園玲さん。

彼女がいなければ僕はもうメンタル病み病みでニートに再びなっていてもおかしくないでしょう。ああ好き。

 

第14話:総選挙の結果が出たぞ!!!

「報われることを期待してしまう」

「真理」p.36

というオタクの複雑な乙女心を代弁する1シーンがあるのだけれども、そう。僕はここだけは気を付けようとしている。

「こんなに××してあげたのに」という一言は、片足ストーカーに突っ込んだ人間の言葉だという。深いと思う。

大園玲という存在に感謝し、見返りは求めず日々労働にいそしむ。

アイドル≒宗教と言われる理由を身に染みて理解する。

 

第15話:クリスマスライブ!!!!

舞菜のサンタ姿に熱狂するえりぴよ。

分かる。私も大園さんが新しい衣装に身を包んだ姿を見ると興奮する血が滾る。そういう「衣装の記録」的な意味でも、生写真は絶対すべて集めなければならない。という衝動に繋がっているのだと思う。そしてそれが高じると、握手会・ミーグリ通い詰めるオタクへと進化していくのだろうな・・・。

こういう単純なサンタ衣装一つでも、身に着けている推しの姿目に焼き付けておきたいもんな・・・分かる。えりぴよ。分かるよぉ・・・。

 

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大園玲さんのアクリルスタンド。カフェの奴も無論予約済。

 第16話:初詣!!!

なんとえりぴよと舞菜が同じ時間に同じ寺社に初詣している。

東京と静岡。まことに残念なことに僕と大園さんの初詣に行く寺社は被りそうにない。大園さん実家鹿児島だし。

ただ、この回で印象に残ったのは、

総選挙3位になった優佳の一言。

「知ってる?センターって奇数じゃないと居ないんだよ?」

「だから7人じゃなきゃね~」p.98

 

櫻坂でもこの間メンバーの卒業が発表された。

そう、好きなグループが今のメンバーで活動し続けて行ってくれるなんて保障何処にもない。もっと言えば、推しが明日もアイドルをし続けてくれているという保障なんてどこにもない。

だから、今、オタクには今しかないのである。

貢ぐなら今!否、想うなら今!否、好きだと自覚するなら今!

アイドルをしている推しを推せるのは今しかない!!!!!

ましてやChamJamのようなマイナーなアイドルだとメンバーの入れ替え激しいから、この優佳の一言は本当に重いんだよな。尊い

 

第17話:舞菜がメイド喫茶でバイト体験していたら、そこにえりぴよが訪れて・・・

後半、風邪をひいたえりぴよが舞菜の待ち受けを見て「推しは・・・友達じゃないから」p.119と思うシーンがある。

アイドル≒宗教論があっても、アイドルは神様ではない。人間なのである。

そう、だから自分が困った時・悩んだ時にもたれかかってはいけない。

救済はあくまで己の中で留めるべし。

 

 

第18話:バレンタインライブのスリーショットチェキ!!

スリーショットチェキというのは所謂、アイドル・オタク・アイドルの形で撮る写真のことである。何それ裏山。

ちなみに櫻坂で僕の二推しは、遠藤光莉ちゃんです。ダンス以外とことんポンコツなのが可愛いんだ。でもダンスは一流で、カウントダウンライブでもメンバーに合わせて自分の位置を微調整したり(カウントダウンライブの曲の最後でメンバーの位置に合わせtぴょこっと横に動いていたのを見逃さなかった)、紅白では真裏センターを一人で任されたり、世界大会ガチ勢なのもありもうバチバチなのである。

ただそれ以外がポンコツでとても可愛い。

大園玲さんと遠藤光莉ちゃんの間に挟まれて写真取れたらもう僕は他には何も望みません。しんでもいい。昇天してもいい。

なんとかもうちょっと収入増やせたら、遠藤さんのミーグリも是非積みたいんですけど・・・でもフリーターだからぁ・・・。まぐろどん、まじゅしいからぁ・・・。

 

おまけページ:あみだくじの結果、推しは「空音」になりました。分かる。僕もChamJamだったら空音が一番好きです。

 

以上である。

ただ面白いだけではなく、共感できることも多々あり、推しが出来てから良漫画が神漫画に昇格いたしました。ぱちぱちぱち。

そしてここからだんだんと、アニメでは放映されていなかった部分に突入しはじめますね・・・。ゴクリ。緊張。

引き続き買って応援しようと思います。ペースも遅くて助かるので。

 

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そういや、この平尾先生、最近行われた武道館のCY8ERのライブで配布された冊子で漫画を描いてたようですね。CY8ERというのは所謂地下アイドルで、この前武道館でライブして解散したんですけど・・・。僕の推しは藤城アンナちゃんでした。

ああ・・・その漫画だけちょっとほしいなぁ・・・。

 

***

 

LINKS

1-2巻の感想。

tunabook03.hatenablog.com

 

 

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そりゃ1-2巻も実家から持ってきましたよ。もちろん。