ああ~~~。
今回も最高でしたね。
平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ 4』(徳間書店 2018年)の話をさせて下さい。
【あらすじ】
岡山県で活動するマイナー地下アイドル【ChamJam】の
内気で人見知りな人気最下位メンバー【舞菜】を人生総て捧げて応援する熱狂的ファンがいる。
収入は推しに貢ぐので、自分は高校時代の赤ジャージ。
愛しすぎてライブ中に鼻血ブーする伝説の女【えりぴよ】さん!
舞菜が武道館のステージに立つ日まで・・・・
えりぴよの全身全霊傾けたドルヲタ活動は続くっ!!!!!
4巻では・・・【ChamJam】が「岡山アイドルフェス」に出演することに!
これが【武道館への第一歩】になるーーー!?
【読むべき人】
・地下アイドルを推している人
・地下アイドルじゃなくともアイドル推している人
・アイドルじゃなくても三次元人類推している人
・もしくは地下アイドル・アイドルしている人
・アイドル熱が冷めつつある人 燃やせ!!
【感想】
今回も最高でしたね4巻!!!!!
いやー、3巻の最後で繋がり目的のイケメンでてきたから恋愛でChamJam揉めるのか!?そんなChamJam見たくない!!!「え好きかもー!」と初体験捧げちゃう優佳とか絶対見たくない!!!
ところがどっこい、不安は大きく外れて・・・良かった!!
今回めっちゃ良かった!!!
何が良いかって、アイドル側のもやもやが描かれていることが良かった!!
1-3巻にかけてはえりぴよ側、オタクが推しにかける気持ちがメインだったと思うんですよね。新衣装が可愛くなかったり、彼氏騒動でどたばたしたり、接触で失敗したりそれでも推し(舞菜)からいいレスポンスがもらえて興奮したり。
それもそれで十分面白かった・・!特に推し(櫻坂46大園玲さん)が出来てからは共感することも多くて滅茶苦茶面白かった・・・・!
でも4巻、本作はアイドル側がメインです。
今までは所詮「ChamJam」の内輪の話だったんですよね。
ところがどっこい、フェスに出る、ということは外部のアイドルが出る。話の規模がここから一つ大きくなっているわけですよ。「ChamJam」界隈から中国・四国地方のアイドル界隈と。
そこで揺れ動くChamJamメンバー達の内情が、もう切なくてね。ただちやほやされたくてステージに立っている訳じゃないんですよね。彼女達も理想があって目標があって何か達したいことがあって考えがあって、ステージに立っているわけです。
それが描写されていて良かった。特に優佳回で。
3巻まで読んでマンネリを感じていた方にこそ読んでもらいたいです。
僕はアニメから入ったのですが、本作からアニメ放送「外」のところに突入しましたね。いや、フェスはアニメでも触れていたんですが、限られた話数で収束させるため結構圧縮されていたんだなと・・・今巻読んで知りました。でもそんなこと察せもしなかったからね。てかこれだけの内容全部詰め込んだらやっぱり作品としていまひとつだったと思うしね。アニメ最高。制作陣優秀。えりぴよの声帯にファイルーズアイの声帯を選んでくれてありがとう。
ここから僕の知らない「ChamJam」がいる・・・えりぴよがいる・・・。そういった意味でもちょっとドキドキだったのですが・・・、そんなドキドキいらなかった。最高は続いていた。
以下簡単に各話感想を記していく。
第19話:【ChamJam】界隈を盛り上げるべく、えりぴよとくまさは今回のフェスに出る【めいぷる♥どーる】の現場に足を運ぶが・・・!?
優佳「当たり前じゃん!̪シカちゃんかわいいもんね!しかたない!」p.19
めいぷる♥どーる初登場回ですね。よく見ると、センターのメイちゃんのサイド2人も釣り目・たれ目(笑顔がくしゃっとなるタイプ)とはっきり描きわけされているのがいいですね。
本作のざわざわのきっかけとなるエピソードですが・・・。最後のメイちゃんからのラインに曇らせるれおちゃん、アニメだけでなく漫画でも最高なんだ。
でも今回は、偵察に行った文と優佳が結構良かったなと。
まず、文。文の私服と、あとアイドルに詳しい感じ。とてもまぁよく「分かる」。こういう地下アイドルめっちゃいる。結構いる。凄く分かる。リアル。地下アイドルが好きで地下アイドルやってるんだよな。仕方ない。可愛いからね。でもお前も可愛いよ。
そして優佳。p.19の「シカちゃんかわいいもんね!しかたない!」は、これめいぷる♥どーるの現場にいた自分のオタクへ向けた発言なんですよ。最高じゃないですか?「しか」でだじゃれをかけて許してくれる、でもめっちゃ怒っている。自由奔放無邪気と見せかけて、そこはしっかりファン想い。こりゃ優佳好きになる人続出しますよ。
この2人の魅力が再確認出来たという点でも良回。
第20話:眞妃が地元香川県のテレビにVTR出演!そのVTRに異様に熱を上げるアイドルがいて・・・?
眞妃「これからは・・・ちゃむでは夏未じゃなくてゆめがさ わたしの横にいるんだよ」p.51
眞妃のいとこ・夏未初登場回ですね。
ただ、あまぁいや~~~~~嫌いです。この女。彼女に出演シーンを与えなかったアニメ制作陣本当優秀過ぎる。ありがとう。こんな女に与える声帯はない。あと顔に性格の悪さがにじみ出てるぞ。
そして、今度は眞妃が顔を曇らせるという・・・。意外だった。アニメというか今までの展開だと全然顔曇らせることなく、ただゆめ莉と百合百合していただけだったから・・・彼女にも劣等感とかこういう部分あるんだと、意外性があって良かった。ただアイドル同士が百合百合するために作られたキャラではないことを知って、良い意味で裏切られた。
でもまぁ夏未も眞妃の「元カノ」枠と考えると、やっぱり眞妃界隈は百合百合ランドということなのかしら。
にしてもなんで夏未はこんなに眞妃のことが好きなんですかね?いとこで年が近いから?そこはやっぱり語られずに終わるのだろうか・・・。
上記のp.51の台詞は夏未がChamJamに嫌がらせギリギリの引っ掻き回しを行った後に、眞妃がゆめ莉に言ったセリフです。いいですね。嫉妬してひっかきまわしに来た元カノに一切目もくれず、こんなこと言われちゃったらもう・・・うむ。
ちなみに、眞妃×ゆめ莉ってあんまり僕の中で「尊い」とはならないんですが、それは僕だけなのでしょうか。えりぴよ×舞菜の方が何百倍も尊く感じる。まぁえりぴよさんちょっとキモいが過ぎるところありますが。
第21話:ChamJamがテレビ出演!?一人で見ると嘔吐するかもしれないと、えりぴよはパン工場仲間の美結を誘うが・・・?
美結「めちゃくちゃきもいな!!」p.75
バイト仲間とChamJam出演シーンを見る回ですね。アニメ化これされてるんですよ。タイミングをかなり前にもってきて、単発で半分使ってやったのかな。確か。
まぁオタク界隈から外れて一般人目線で見たえりぴよのキモさ(≒オタクのキモさ)につっこんだ回だったからでしょうね。上記のように「めちゃくちゃきもいな」と今改めてツッコむのは確かに逆に新鮮で面白かったりするし。
にしても、こうして美結に声帯を与えて夏未に声帯与えなかったのは本当制作陣営ありがとうが過ぎる。優秀。超優秀。やっぱり原作ありきの赤尾でこは裏切らねぇな!!
あと、最後無事二次元オタクになってしまった美結がえりぴよに以下のように言うシーンがあります。
美結「おまえは好きな相手が同じ次元にいるだけでありがたいと思え」p.78
これは本当にそうで。
大園玲さんと同じ次元、同じ世界線に生きていることに僕は常に感謝しております。
というか、僕がそもそも櫻坂・欅坂にハマったのって、結局はそう「同じ次元」を生きるアイドルだったからなんですよね。
高校時代、友達から教えてもらった765プロダクションの曲を毎日飽きるほど聴きながら学校の登下校をしておりました。大学受験と被ったので総ては見られていないのですが、アニメ一話一話に感動した覚えがあります。特にあの時代にあの第一話は衝撃的だった。当時賛否両論でしたが主に僕は「賛」でした。まぁ「くさそう」の扱いが雑なのは否めませんが、概ね良かったと思う。特にマネージャー律子はアニメで覚醒した感がある。
閑話休題。
そんな時代を経て大学を卒業し就職して1年が経とうとした時・・・出会ったのが欅坂・けやき坂だった訳であります。その時に丁度リリースされた「不協和音」は初めは台詞が入ってる変な曲!と思いましたが気づけば円盤を買っておりました。そしてのちに公開された収録曲「エキセントリック」のMVで受けた衝撃は今でも忘れられない。大雨の中を歩く姿の勇ましさ。からの、10月仕事をやめ半年のニート一人暮らし鬱★生活が始まるのですが、その時私を支えていたのがけやき坂主演ドラマ「Re:Mind」。1話から全力で演技をする12人に一気に引き込まれて、2-3話放送する頃には全メンバーの名前と顔が一致にするに至りました。そして2018年は主にけやき坂オタクとなり年末にはクリスマスライブに行くに至るのですが・・・。
とにかく、二次元ではなく三次元、同じ次元で頑張っているアイドルがいたことに衝撃を受けたのです。同じ国で同じ時間を生き、今僕がこうしてブログを撃っている間もどこか(多分東京)で、推しが息を吸って吐いて生きている。その奇跡・尊さに撃たれて、三次元アイドルにハマりはじめたとこがある。
最後のこの美結のセリフは、何故今私の心にこんなに大園玲という存在が大きくなりつつあるのか。櫻坂・日向坂でこんなに心が占められているのか。その根本を思い出させてくれました。ああ。大園さん尊い。好き。
第22話:全然知らなかった人がいきなり優佳のこと好きって言いにきてくれるのチョー楽しいし だから みんなに優佳のこと好きになってほしいしもっともっと好きって言われたい p.82
優佳「優佳がみんなを武道館につれてってあげる」p.104
優佳回です。自由奔放に見えてファン想い。そんな優佳が内心どのような心境でアイドル活動をしているのか。
「ファンが好きって言ってくれるの嬉しいからアイドルをやる。そして彼等が武道館に自分が行くことを望むから武道館を目指してあげる」。概ねこうです。
もう天性のアイドルなんだなと思いました。
この話の随所で優佳がダンスも練習しなくても出来ちゃうことが描かれていますが、もうアイドルになるべくしてなった娘なんだなぁとつくづく思いました。
だって最高にファン想いじゃないですか?ファンからの愛を素直に受け止めファンの夢を叶えるために高みを目指す。
その土台がしっかりしてこその自由奔放なふるまいは・・・そりゃ人気出るわ。好きになるわ。順位もぐいぐい上がるわな。そりゃ。優佳のアイドルとしての、そして人間としての魅力を再確認できた。
一方で、空音の顔が曇ってきたのが気になりますね。結構真面目な子だから、空音推しとしてはちょっと気になるのですが。
第23話 「はじめまして五十嵐れおです」キャラがかぶってるp.108
初対面時同じツインテールだった五十嵐れおに直面した横田文の、3年後。
文「わたしがセンターに立てるのはれおがアイドルをやめるときだと思う」p.131
扉絵中身共に文回です。表紙の文可愛過ぎる。こんなんプロマイドじゃん。どこに売ってんだよ。
軸は、文の気持ちの変化で賞しょう。文ははじめグループとしての初対面時にれおに対してコンプレックスを抱いていましたが、今は彼女に対してどう思っているのか。
初期の初期、文がかえるの誕生日プレゼント・栞の誕生日プレゼントを貰うシーンはなんかぐっときました。「あやちゃんの夢がかないますように」p.113アイドルとしての文の原点の一部が読めたのは非常にありがたかったです。
強いて言うならば中盤、文がセンターを諦めたことが決定的になるエピソードが欲しかった。れおが舞菜に語り掛けるシーンがあるんですが、そこは分かりやすく文でもよかったんじゃないかなと思う。その方が文のなかの「夢≠センターになること」に説得力がもたらせられたんじゃないでしょうか。
そしてメイ・夏未再登場。
メイは凄いいいキャラしてると思う。特にp.126
メイ「・・・メイたち武道館ライブ決まったんだあ」p.126
このセリフ、アニメだとただの嫌がらせのようにしか見えなかったんですけど、漫画だとこの前後で何故メイがこの発言に至ったのか描かれているのが良かったです。
要するに、れおがバチバチにならないのが気に食わないんですよね。
れおから闘争本能が感じられないのが苛立つ。
元同じグループのメンバーだった自分がこんなに活躍しているのに、それにずっと目を逸らしてへらへらしている。
違うでしょ。アイドルだったらもっと正面から堂々かかってきてよ。
こういうことでしょう。
確かに、五十嵐れおは優しすぎるところがあるからね。優しいだけじゃアイドルは務まらない。
五十嵐れおの人間としての、アイドルとしての弱さを指摘する凄く良いキャラだと思います。
ただ夏未、てめーはダメだ。船降りろ。
第24話 そしてChamJamはいよいよフェスの舞台に・・・!!
舞菜「わたし 自分で思ってた以上に 不安だったんだ」p.138
p.136、ChamJamの7人げステージを見つめるシーンがあるんですが、このシーンが凄く良い。滅茶苦茶良い素晴らしく良い。全身描かれて衣装の細部の違いが分かる。良い。それぞれの体制でどういう気持ちで舞台に挑むのかが分かる。良い。7人同じ方向を向いて1ページ割くことで緊張の一瞬を描いている。良い。尊い。この1ページがとにかく素晴らしい。
からの、舞菜が観客の中にえりぴよを見つけて上記のように安心するんですよねえもうこれ尊くないですか?素晴らしい。素晴らしいが過ぎる。本当に良い。アイドルとファンの理想的一心同体感がメインの2人で再現されているのが最高と思いました。普段れおとくまさがやっていることを、大事なステージでえりぴよと舞菜にさせるのは天才か・・・・?
そして、ステージを終えた後ChamJamが他アイドルのステージを見ているのですが・・・そこで言った舞菜のセリフが印象的。
舞菜「・・・・・・空音ちゃん この中でステージにいる子のことを 一番好きな人ってどれくらいなのかな・・・」p.151
それに対して空音は以下のような答えを出します。
空音「常にいちばんかわいい舞菜を見せるんだよ」p153
この辺完全アイドル側からの物語じゃないですか?今まで僕そんなこと考えにも及ばなかった。
大園玲さん。あなたが一番です。
本人には届かないだろうけれども今ここで断言しておこう。
そして最後のれおのシーン。
ステージが成功したからといって、アイドルはそこで終わらない。最高の、100パーセントの澄んだ気持ちでステージに立てることなんて基本ない。
後、ステージを見てれおが年齢を気にするシーンもあるんですが、そこも含めて凄く切ないなと思いました。
アイドルって常に今しかないんですよね。常に「今」しかない。儚いんです。だからオタクは「今」を推すしかない。
だからこそ、アイドルっていいなと思ったりもするんですけど。
以上である。
今回も最高の一冊だった。
アニメ外の領域に入ってきたのでどうなることかと思ったけれど期待は裏切られませんでした。てかえ?帯見たんですけど実写映像化企画進んでいるんですか?
見るしかないですねえ!!
見るしかないですねえ!!!
***
LINKS
推し武道のそれまでの巻の感想。
ちなみに日向坂にも「優佳」ちゃんいますね。彼女も今凄い覚悟でアイドルやってると思う。日向の中でも結構上位に来る。でも日向の推しではない。推しは高瀬。