小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

奇書が読みたいアライさん『奇書が読みたいアライさんの空想図鑑文学ガイド』-奇書いアライグマ、かく語りき、凶暴につき。-

 

 

 

2021年の読書計画。

 

 

奇書が読みたいアライさん『奇書が読みたいアライさんの空想図鑑文学ガイド』(2020年)の話をさせて下さい。

 

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【概要】

 

はじめまして!ふたんはTwitterで変な本を紹介している、奇書が読みたいアライさんなのだ。

今回は「実在しない○○集」を集めてブックガイドを作ってみたのだ。架空の本、架空の生き物、架空の都市・・・・・・とびきり奇妙で、とびきり面白い空想図鑑を厳選27冊収録!

キーワードは「■■性」。メタフィクションの金字塔、ボイス・ルイス・ボルヘス『ハーバード・クエインの作品の検討』から幾星霜、彼の影響を受けて生まれた作品を軸に・・・・

 

P.3

 

2020年、このアライグマがアツい!第1位!!

 

奇妙な話・怖い話・不思議な話に精通する

アライグマ・ツイッタラー「奇書が読みたいアライさん」

その知識量・熱量は総人類顔負け!

 

ある日は新刊の外国人作家の書籍を紹介したかと思えば、

ある日はほとんど手に入らないドマイナーな古本まで!!

国境・時代縦横無尽に様々な本を紹介しているツイッター今やフォロワー1万人超!!!

 

そんな彼女(本屋勤務)(年末年始お休みがなくて目がしょぼしょぼしていた)(なんだか大変そう)(アライグマなのに偉い)がなんとこの度ブックガイドを刊行!

これはもう、買うっきゃない!!!

 

※と、考えている意図がどうやら日本には何万人といたらしく、この同人誌は売り切れとなっております。

 

【読むべきだった人】

・ホラー・オカルト・不思議な話が好きな人

・本好き

・結構、ガチな本好き(書店員とあって、読書の量がもう圧倒的に違うのだ~)(抜粋した「はじめに」にあたるページでぬるっとボルヘスの名前が出ている地点でなんかもう、やべえのだ~)

 

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表紙、裏表紙、背表紙から見るに恐らくボルヘス岩波文庫の著書をパロっていると思われる。

 

【感想】

今僕が最も熱をあげて追いかけているツイッタラーの一匹、

「奇書が読みたいアライさん」。

彼女はアライグマにも関わらず書店に勤務し、人間の言葉で書かれた奇書を日々むさぼっている凄いアライグマである。

その読書量といったらまぁまさに圧巻。僕みたいな「ライトな本好き」ではなく、「ガチの本好き」。

あらゆる時代・国境を越えて、「奇書」・・・奇妙な本・不思議な本・変な本・怖い本を紹介する彼女のツイッターは、1.6万人の熱狂的ファンを擁している。

 

そんな彼女がある日突然発表したのは、紙媒体でのブックガイドの刊行。

普段はTwitterでしているブックガイドを、なんとこの度紙媒体でしてくれるらしい。最高か。

TwitterTwitterで文字数少なくコンパクトでまとまっていて読み易くとても良いのだけれども、今日仕入れた情報を明日にはほとんど忘れていることが多いのも実情。

だからといって、noteは開くのめんどくさいし・・・(紹介した本を月ごとにnoteにまとめてくれているぞ!)

そんな僕にとってこれは、朗報だった。

しかも紙媒体でわざわざ出すことを宣伝するということは多分・・・、ここでしか紹介しない本も多数あるはず・・・・!!!!!

これはもう買うしかない。これはもう、買うしかない!!!

 

という訳で、買った。

同人誌なんてめえっっっったに買わないが、買った。買ってしまった。

 

感想を言えば、まぁ最高だった。

 

「空想図鑑文学ガイド」とあって、本・生物・植物・都市、から始まって、昆虫・作家・カレー(!?)まで、様々な「架空の■■」紹介する本を紹介している。

まず「架空の■■」を紹介する本、というもの自体をなかなか読んだことがなかったから新鮮だった。図鑑、図録、雑誌、歴史書、国・・実在する生物や絵画や町や本や人や歴史を紹介する本を手に取ったことは何度もある。

だがそれが個人の空想上のそれらを紹介する本を読んだことはまぁまずなかった。ボルヘス「幻獣図鑑」等一部を除く)

強いて言うなら、「架空の国」・・・中学の時に齧った時雨沢恵一キノの旅くらい。

だから全く知りもしなかった。

そういった本が、他に、こんなにも・・・少なくとも、27冊以上出ているとは!

己の空想をつらつらと恥ずかしげもなく語り、それを文学にまで昇華するど変態があとがき大好き時雨沢以外にもこんなに実在していたとは!!

同人誌の為薄く小さい「文学ガイド」ではあるものの、僕に与えた衝撃は熱く、大きいものだった。

キノの旅、新アニメがなかなか良かったので20冊以上出ている原作を「いつかは読んでみたいなぁ」と漠然と思ってはいたが、そんな・・・27冊も「いつかは読んでみたいなぁ」が足されると・・・そのん・・・んあ・・・あああぁんっ!!!

このアライグマ、凶暴である。

 

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そのなかでも特に「2021年に読んでみたいなぁ」と思った3冊を、列挙していき、簡単にその本を紹介するページの感想を記しておく。

 

4.佐藤将『本田かの子の本棚』(リイド社)p.9

このアライグマは凶暴なので、漫画にもかなり精通している。実際、彼女が紹介した漫画を僕も購入して読んだことがあるのだけれども(『ご飯は私を裏切らない』)、滅茶苦茶面白かった。2020年のナンバーワン漫画といってもいいくらい。

そんなアライグマがこのブックガイドでも・・・更にツイッターでも改めて紹介する程熱量を込めてプレゼンする漫画なのだから、間違いなく面白いはずなのである。

「思春期の娘鹿の子ちゃんの内面を知りたいお父さんが、部屋に侵入して本棚を物色。しかし並んでいたのは得体のしれない暗黒文学ばかりでーという1話完結コメディ」らしいのだけれども、

まず表紙にもなっている鹿の子ちゃん、絶対可愛い。セーラー服に三白眼、きゅっと結んだ唇そして「思春期」。こんなん嫌いな人おらんでしょ。

そして「1話完結コメディ」そう、結局ムヒョもホリックも1話完結していた頃が一番面白かった。1話完結の地獄少女」「絶叫学級も少女漫画雑誌で長く連載が続いた。アニメにおいても地獄少女は結局1話完結していた一期二期しか現在語り継がれていない。あと蟲師

暴論を唱えると、結局奇妙・ホラー系の二次元作品は、「1話完結」が一番面白いのである。長く続くと初めは傑作でも結局ダレて尻すぼみして終わる作品も多いし。

「続刊が刊行されるか瀬戸際だったりする」らしいので、是非買って読んでみたい一冊である。まだ買ってない。

 

 

 

5.ホルヘ・ルイス・ボルヘス  柳瀬尚己訳『幻獣辞典』(河出書房新社)p.10

まずボルヘスという地点で惹かれた。

最近この名前をよく目にする。耳にする。

どうやらホラー・奇妙な話系の大家であるらしいのだけれども、僕はこの人の本を未だ読んだことがない。というか、どれから読んだらいいかもわからない。

そんな僕にアライさんが紹介したのがこの一冊。

「収録生物は130.バハムートが魚だったり、ノームの名付け親が錬金術パラケルススだったりと、有名な生物の項目を見ていても発見がいっぱい。」とある。

UMA大好きまぐろどん、これは結構惹かれた。130も項目があるのであれば、1項目辺りもかなり短そうだし読み易そうである。

 

ので、

 

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買いました。

というのも、この書籍、新静岡の「丸善ジュンク堂でも表紙を見せて並べられていて、もともとちょっと気になってはいたのである。表紙もかわいいし。

少なくとも1人と1匹の書店員がおススメするのだから面白くないことはないだろうと思い、買いました。

 

余談だが、絶対新静岡の「丸善ジュンク堂」には、「奇書が読みたい■■さん」がいる。

明らかオカルト・ホラーの単行本棚にかける熱量がおかしい。選書もそうだし起き方もそう。エドワード・ゴーリーの絵本を表紙丸見せでどかどか並べるのはさすがにどうかと思う。

ちなみにネタバレになるから言えないが、本書でも紹介されている本で他にも2冊、この棚で表紙見せる形でディスプレイされているのを見たことがある。しかも結構お高めの。

 

 

 

17.■■■■・■■-■■「■■■■大陸の■■■■」(■■社)p.27

ネタバレになるので、名を伏せたが、所謂「架空の作家」を紹介した本である。

「■■■■大陸」「■■■■」の結びつきがいまいち見えない分興味をひかれたけれども、「全員が大なり小なり■■■■■■に関係していて、現実の暗闇にヒヤリとコネクト」するらしい。はえー。

その後にアライさんが例として並べる作家の遍歴も、ド派手でなかなか面白そう。

 

表紙、出版社から見るに恐らく2000円は超えるであろう高級書籍なんだろうが、この本は是非とも2021年中には読みたい。

本書の作家はチリ人とのこと。言われてみれば、「南米文学」って読んだことがない。まぁ僕自体が外国文学にあまり精通していないというのもあるが。

冗談抜きに、「南米」といったらブラジル・サッカー・マラドーナしか浮かばない。南無。あ、あとナスカの地上絵

あの大陸で読まれる文学というのはどのような文学なのだろう。

2021年はゆるやかに「南米」を主題に本を読み進められたらなぁと思う今日この頃、である。

 

 

 

 

100点満点のブックガイド・・・と言いたいところだが、強いて言うならば原著、もしくは書籍自体が刊行された年数を記述してほしかった。「2019年のチリ作家が書いた本」「1980年のチリ作家が書いた本」、年数だけでもかなりイメージが違ってくるので。

いやもしくは、あえて書かなかったのかもしれない。

調べてないが、「1970年のチリ作家」が遺した本と聞いたら、間違いなくそれは「2019年のチリ人作家」の書いた本より、とっつきにくいものにならざるを得ないだろうから。

 

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以上である。

なかなか楽しめた。そしてなかなか役に立った。

同人誌・・・だからこそズバズバ刺さる文学ガイドだった。

 

ちなみに本書は著アライグマの予想以上に求める人が多く、現在売り切れとのこと。

復刊も待たれるが、やはり続刊も待たれる。

一体次はどんな主題でどんな本を紹介してくれるのだろう。

なんて妄想しながら、2021年に出会う本・読む本にワクテカしつつ、

紅白の日向坂・櫻坂の出番をワクテカ待つまぐろどんであった。

 

あ、ちなみにこのアライさんは凶暴なので、アイドルにも精通している。

も・・・・もしかして・・・人間なのか・・・?お前。

い・・・いやまさか!!!!

アライさんだぞ!!!アライグマに決まっているじゃないか!!!!!!

恐ろしい話である。

 

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返し読みをすでに何回かしているので、表紙が結構汚い。

 

***

 

LINK

 

アライさんが紹介してくれた神漫画。

一人暮らし、インドア派には間違いなく刺さるはず。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

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この漫画は壊滅的に朝が似合わない。