小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

M-1グランプリ2020-2020年代の漫才の新しい笑いがみえた。きがする。-

 

 

 

 

今年(去年)は漫才の新しいムーブを露骨に感じる年になりましたね。

 

 

 

 

 

M-1グランプリ2020の話をさせて下さい。

 

 

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あ!!見た目で損してるパンだ!!!

 

【決勝進出者】出番順

インディアンス(敗者復活)

東京ホテイソン

ニューヨーク

見取り図(最終決戦進出)

おいでやすこが(最終決戦進出)

マヂカルラブリー(最終決戦進出・優勝)

オズワルド

アキナ

錦鯉

ウエストランド

 

【見るべきな人】

・オードリー、ぺこぱのようにキャラ芸人漫才が好きな人(インディアンス、マヂカルラブリー、錦鯉、東京ホテイソン

しゃべくり漫才好きな人(見取り図、ニューヨーク、オズワルド)

・音楽が好き(おいでやすこが)

 

 

・芸人になる目的は、復讐だよ・・・?

 

 

 

 

・・・え?復讐だよ?

 

 

 

ウエストランド

 

 

 

・今年の近年稀にみるM-1ド滑り枠(アキナ)

 

 

 

【概要】

年が明けてから見ました。もっと言うと、年が明けて1週間くらいたった時に見ました。なのでもう優勝コンビが分かっている状態で、録画された放送を見た訳ですね。

なので生放送も臨場感もクソもなミソもないわけですがそれでも見たのはやっぱり、面白い漫才が見たいからなんですよね。あとお笑いにも一家言あるサブカル女でいたいから。

今回もしっかり録画したものを見ました。録画したものを。

なんで2回繰り返したかと言うと、昨今動画配信で漫才のみを見ることが可能になったからです。GYAOは前々から結託して力入れている印象でしたが、今年なんてYouTubeで配信してますからね。公式が。時代は変わった。

そんななかわざわざ実家に帰ってリビングのテレビを占領し「うわ・・・今年も点数つけてる(ドン引き)」と母親に言われながらも、なぜ録画したものを見たかと言うと、漫才前後の審査員のコメント、それに対する反応、また上位3社が入室できるあの部屋での振る舞い・・・総てがM-1だと思うからです。

審査員はどこを見ていたのか、そして指摘を漫才師はどのように受け止めているのか。そして他の漫才師がウケた時、高得点叩き出した時どのような表情をしているのか。そこまで含めてM-1なんです。

別に面白い漫才が見たいのであれば、僕は正月の東西漫才決戦でもおもしろ荘でもネタパレでもゴッドタンでも何なら漫才の動画でも十分満足します。

それでもM-1が見たいのは、漫才師達が全身全霊かけたネタ見たいから。漫才師が漫才によって人生を拓いた瞬間を見たいから。なんですよね。

でもそれこそが、多分僕だけじゃなくて、多くのお笑いファンが・お笑いファンでもない人が、M-1は必ず見る理由なんじゃないでしょうか。

「お笑い」いう荒波の世界でもがいてもがいてもがいて、その努力が実って、人生が変わる瞬間を見たい。

かつてAKBの総選挙が高視聴率を叩き出していたのも、ひとりの女の子が「アイドル」という厳しい世界で絶対王者玉座に腰掛ける瞬間を見たかったからではなかったか。

なのでまぁやっぱり、放送してだいぶたっても、優勝がもうどこの誰かと分かりきっていても、見ちゃうわけですよね。

極力全部通して。

 

そういった意味でも、アキナはやっぱりやらかしましたね。

優勝候補にありながら、ネタがどすべりしたのはいいんです。

ただその後、審査員の話を聴く姿勢が一番愚か。「はっずー」と言って一切聞いていなかった。

だからあんなに叩かれてたんではないでしょうか。

 

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GYAOの配信は今月末までだそうな



 あと、今年は如実に漫才の変化を感じました。

ポイントは3つ。

 

1つ目は、伏線回収の廃れ。

2-3年前は伏線回収をする漫才が高評価される傾向にあったように思います。和牛がその最たる例で、スーパーマラドーナ辺りもそうじゃないでしょうか。

序盤にぶちまけておいた話題を終盤で回収する。

ただ、これを行った見取り図(カリブ海)とオズワルド(【ボケ乳首】)はどっちかというと滑り気味だったんですよね。尚、見取り図の1stroundにおける【「無意識にやってしまいました」】の伏線回収はまあまあ成功していたと思いますが。

加えて、その伏線回収を前面に持ってきたアキナが、露骨に物凄く滑りきった。

多分このアキナで、【伏線回収】路線は今年で断絶すると予測。我々観客も無意識に飽きていたのでしょう。

スーパーマラドーナ・和牛の面白さは変わらないのですが、でもこのスタイルの斬新性がなくなったのは確かだと思います。それでも僕はスーパーマラドーナの武智が作る短編小説めいた漫才が大好きなのですが。

やるにしても、錦鯉のように気づかないうちに回収する緩い伏線回収が一般的になるんじゃないでしょうか。【一文無し参上!!→パチンコネタ】のように、初めで提示した何気ない言葉がのちの漫才の展開に繋がっていく。

あと錦鯉はこの緩い伏線回収を意図的にやっているようです。他のネタの動画もちらほら見ましたが、長谷川さんの自己紹介のほとんどに「○○の漫才しますよ」のヒントが隠されています。

 

2つ目はキャラ漫才・個性派漫才の復活。

去年はぺこぱがモロそうでしたが、今年はキャラ漫才・個性派漫才が台頭してきたように思います。

まぁまず優勝のマヂカルラブリーもそうですし、おいでやすこが、オズワルド、錦鯉、インディアンス、東京ホテイソンあとまぁウエストランド、ニューヨーク辺りもそうかもしれません。

どのコンビもそのコンビならではの個性もったネタ、もしくはキャラが立っている片方がいる。典型的な例だと、前者だと東京ホテイソン・おいでやすこが・オズワルド、後者だと錦鯉・インディアンス・マヂカルラブリー

これからは「このコンビだからこそ出来るネタ」に重きが置かれるのかなと思います。一昔で言えばノンスタイルアンタッチャブルのような・・・。

今思えば去年優勝したミルクボーイも、コンビの個性が強く出ていますしね。

そしてその流れに逆行した「しゃべくり漫才」で見取り図には孤軍奮闘し続けていてほしい。

 

3つ目は掴み(つかみ)の大切さ。

マヂカルラブリーが今回優勝できたのって、1stRoundの初っ端の初っ端に「笑わせたい人がいる男です」からの、【フレンチレストランにガラス割って入る】流れがあったからだと思うんですよね。正直終盤の【「こら、デモン!」】のくだりはどっちかというと滑り気味だったと思うんですよ。でも、初っ端の勢いがそこを吹き飛ばした。

順位が躍進したオズワルドも、【「あのさ、俺改名しようと思うんだよね」「とりあえず、伊藤だけ覚えて帰ってください」】掴みが成功したから、今年グッと伸びたと思うんですよ。その後【ザコ寿司】【ボケ乳首】【クソきも通訳】と滑り気味のネタが結構多かったんですけど、それでも観客の心を最後まで離さなかったのはこの掴みがあったからだと思うんですよね。

一方で、ここを一番ミスったのはウエストランドだと思います。登場前に「4歳の娘からお守りを貰った」という紹介があったにも関わらず、初っ端の一言が【「いやぁ、僕結婚したからさぁ、そろそろ不倫しようと思うんだよね」】相性が馬鹿です。お守りのくだりは何があっても取り消すべきだった。多分あの紹介がなかったら、あの掴みは機能していたと思うんですが・・・。

思えば、昨年優勝したミルクボーイも【「ありがとうございますー、×××(絶妙に要らない物)いただきましたー」】という掴みがありましたよね?

多分ここを重視するかしないかで、命運も変わって来るんじゃないでしょうか。見取り図、引き続きお前に言ってるんだぞ。

 

まぁこの3つの傾向に総てあてはまったからといって優勝できるとは限らない。それがM-1の面白いところでもあると思うのですが・・・。

 

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あ!!人妻と出会える車だ!!!

 

 

今年も点数をつけてみたので、以下簡単に各漫才師の感想を述べていく。

ちなみに、書いてある回数は、録画したものを見た後僕がこのネタを見た回数です。(このブログを書くために見た回数は除く)

 

1stRound

 

①インディアンス:75点

結成10年/エントリーNo.3182/0回

まさかのトップバッターが敗者復活枠だとは。衝撃的でしたね。

去年は決勝にストレートで出ていましたよね。でも明らか去年より良くなっていた。

例えば声質。うるさくなくなった。

あと【コンビニの「ウィーン」のハモリ】等、笑うべきポイントが非常に明瞭になった。敗者から復活したのもう預ける。

それでもやっぱ滑舌が悪い部分があるなと思います。あと早口。オール巨人「ききとりやすい」と言ってましたが、いやいや普通の老人聞き取れないて。

あとネタ直前のCMで、アンタッチャブル映ってたんですよね。そう、このコンビが復活してしまったらもうインディアンスは二の舞の劣化版にしか過ぎないわけです。

白黒・向日葵・メガネが看板のようですが、ガラッと衣装替えて、アンタッチャブルとは違いますよ」感を出していってほしいところ。

まぁそれは暴論として、アンタッチャブルが復活してしまった今、「インディアンスらしさ」を模索していくのが彼らの課題なんじゃないでしょうか。

あと、嬉しい感が強いのもちょっとどうかと思った。「敗者復活から出られてうれしーーー!!!」感が凄い感じられたんですよね。

違うよね。

確かにぺこぱ、ゆにばーす、金属バットその他諸々猛者を倒して復活したのは非常に喜ばしいことだけれども、ここで喜んだらそれまでの漫才師だ。

お前たちは優勝しに来たんだろ?

そこはもっと悔しがれよ。

他の漫才師が面白いネタを披露したから笑顔で握手なんてするんじゃないよ。

悔しがれよ。

そこらへんは、スーパーマラドーナの武智を見習ってほしかったですね。

 

 

 

東京ホテイソン:40点

結成5年/エントリーNo.3000/0回

コピー:静ボケ剛ツッコミ

何言ってるかもうちんぷんかんぷんでした正直。「しんかんせん」と「あるぜんちん」の文字を交互に取り出すと云々とやっていたのですが、は?って感じ。は?

と【アンミカドラゴン】のくだりがありましたが、正直「アンミカ」の「ミカ」辺りがどこから来たかもう覚えてないんですよね。え・・・?何そうだったけ???みたいな。

オール巨人「ツッコミというのはお客さんの代弁」と言っていましたが、これは凄く分かります。そもそも「ミカ」がなんだっけ・・・?と多くの観客がついていけていなかったにも関わらず、ツッコミをしていた。それはつまり、「ツッコミがお客さんの代弁として機能していない」ということになり、2人で自己完結自慰型漫才に成り下がっているということなんですよね。しゃぶりあってんのか?

お客さんがそれでも笑ってたのって、【アンミカドラゴン】語感の良さだけで笑ってたと思うんですよ。でもそれって、アンミカさんに凄く失礼じゃないですか?

あとツッコミも歌舞伎じゃないんだからさあ・・・。くどい。

そうですね、他のネタの動画もちらほら見たことあるですが、もともとこのコンビのネタ自体あんまり好きじゃないんですよね。

それでもネタの全体の構成は序破急しっかりしていて良かったと思います。でも、それだけ。

 

 

③ニューヨーク:94点

結成10年/エントリーNo.160/3-4回

コピー:ダークにリベンジ

前の2組と比べて100倍良かったです。前回の歌ネタも嫌いじゃなかったですが、今回はもっと良かったです。

しゃべくりで繰り返される軽犯罪ネタ。【選挙】【倫理観ぐちゃぐちゃなん?】【おでんつんつん】のくだりでは爆笑しました。

ただまぁ、サンドウィッチの富澤が「ニューヨークらしさが出ていた。来年が楽しみ」と言っていたましたが、まぁそれも凄い分かる。

確かに凄い面白かったんですよ。燃焼もしていただろうし己の力も発揮できている感じがあった。僕もここまで右手はペンもってメモしながら漫才見ていたんですが、ニューヨークのネタは初っ端から思わずペンを置きました。

それでも「来年が楽しみ」、つまり優勝には辿り着けないだろうという直感が僕でもはたらいたんですよね。

なんででしょうね。自分たちらしい漫才が出来て爆笑も起こせた。なのになぜ優勝できないのか。将来スーパーマラドーナ武智×2に成り下がってしまうのか・・・?

原因の一つとして、僕はキメの粗さにあると思います。例えば嶋佐の声の大きさ。ああいうキャラなのはすごく分かるんですけれども、初見時(録画したものを見た時)ところどころ聞き取りづらいところがあったんですよね。声が小さすぎるところがある。

屋敷。ツッコミしてる時ずっと横(嶋佐の方)見過ぎな印象を受けた。大抵ツッコミでツッコミながらお客さんの方を見るんですけど(オズワルド伊藤はそこらへんがとてもうまいと思う)屋敷は全然見ないんですよね。

そういうキメの粗さが、2ndステージを阻害しているんだと思います。

ネタの内容ではなく、キメの粗さ。

霜降り明星のように勢いで優勝するにはちょっと年とってしまったし・・・、そこが今年の課題となるのではないでしょうか。

でもやっぱネタはめちゃくちゃ面白かったので何回か見てます。【選挙】のくだりが滅茶苦茶好き。

母も「唯一ニューヨークがマシだった」と言っていました。

あと、二人は意外と山梨・三重出身なんですね。関東じゃないんですね。そこに+2点94点です。

 

 

 

④見取り図(0回):85点

結成13年/エントリーNo.3474/1回

コピー:真理の才能Ⅲ

まぁまず面白いのが良かったです。前回前々回は盛山が露骨に緊張しすぎてたのが分かったのですが、今回はいい意味でちょっと余裕が見えていたのが良かったです。日舞台踏み続けた成果でしょうか。

ただ、一つ一つのボケがなんかハマらないのが今一つでした。ニューヨークの【立ちション】【選挙】【人妻と2ケツ1つ1つのネタに爆笑していたのですが、なんか見取り図の自民党のポスター】【徒歩移動】【鶴瓶に対してやたら雑】のボケがなんかフィットしないんですよね。爆笑までに至らない。なんでや。

母も「見取り図は、好きではない」と言っていました。分かる。

なんでだろう。見取り図のネタがいまいちなのか、それとも単に我らが母娘が品行不正だからだろうか・・・。

【無意識にやっておりました、すみませんでした】で終わるのも悪くはなかったんですが、序盤伏線を張る際にここだけ浮いていて、あんまり面白くなかったんですよね。正直。

確かにしゃべくり漫才で3回決勝進出は凄いし「真理の才能」はあると思うんですが、ニューヨーク抜いて1位はどうなん・・・?と思いました。

王道スタイルが重宝されるがあまりに、過大評価気味のようにも感じます。

ちなみに一緒に初詣行った親友は「見取り図は見た目が好き」と言っていました。なんでや。盛山とかあれロン毛で隠してるけど髪の毛短くしたらなかなか汚いぞ。リリーのサイコパス感がいいんでしょうか。

 

 

 

⑤おいでやすこが:80点

結成1年(ユニット)/エントリーNo.2178/0回

コピー:個性と技のハーモニー

R-1の出場権失った40代2人が織りなすユニットです。

でもR-1の決勝枠で長年戦ってきた2人が組んだコンビです。

それぞれの実力がありすぎるんですよね。

まずツッコミの技量が物凄い。荒げて大きい声出すんですけど、非常に爆発力持っていて且つ聞き取りやすい。同じ系統のツッコミとしてミキの昴生がいると思うんですが、彼より全然うまいと思います。

そしてボケのサイコパス感。大舞台で何も気にせずただ歌い続けるその度量。そして歌の技量。

正直ネタの精度自体はそこまで高くないと思うんですよ。ただそのネタの精度の低さを2人有り余る技量で補っている印象。

「コンビ組めばいいじゃん」と今田や審査員達から言われていましたが、まぁ組んで場数を踏めば優勝は楽勝でしょうね。チャンスはあと10回以上あるわけだし。

M-1アナザーストーリー」ではM-1翌日から「ネタ合わせするぞ」と言っている場面が見られましたが、いや本当にコンビとしての基盤を1年十分に築くことが出来れば次回は優勝も十分見込めると思います。ネクスおぎやはぎ今のおぎやはぎがおぎゃはぎ(静)ならば、おぎやはぎ(動)を狙えるんじゃないでしょうか。

あと2人とも40超えているとのことでしたが、若々しかったですね。なんか。2万円のシャツを着ていたからでしょうか。年齢に関するネタを入れなかったのも、このコンビの場合は正解だったと思います。

あ、あと、R-1出られなくなったこの2人よりも、同じく出られなくなったであろう三浦マイルドのことが僕は心配でたまりません。

 

 

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あ!!とっとこ野田クリスタルだ!!!!

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あ!!伊藤だ!!!!

 

マヂカルラブリー:88点

結成13年/エントリーNo.2617/6-7回

コピー:我流大暴れ

初っ端から面白かったですね。これに尽きると思います。

静→動の掴みが100パーセントでした。もっと言うと、【こら、デモン!】と、静→動→静で体裁よく締めようとするくだりも、ネタの個性だけでなく構成も考えられているんだなと感じました。

あと、オール巨人東京ホテイソンの際に「ツッコミは観客の代弁」と言っていましたが、マヂカルラブリーの場合これがちゃんと機能してるんですよね。

村上の「違うよ!!!違う!!!ちーがーう!!!!!多分違うよ!!!!!」観客の心の叫びであって、これがあるからこそ野田のヤベー奴度がグッと輝くわけです。オール巨人がマヂカルを褒めていたのもよく分かります。

掴みツッコミがきちんと機能していたこと、この2つがマヂカルを優勝させた要因のように思います。

 

ちなみに僕は野田クリスタルは結構好きで、R-1優勝前からツイッターフォローしてました。どこが一番好きかと言うと、「クリスタル」というネーミングセンスです。自分の苗字+クリスタルというそのセンスに僕はやられてずっとフォローしてましたがまさかお前・・・R-1優勝ですら驚いたのによぉ・・・・まさか・・・・こんなことになるとは・・・ハムハム可愛いしてた場合じゃなかったぜ・・・。

あと、性格の良さもいいですね。六ッ川という横浜のクソ下町育ちなのですが、それでも公務員家庭だったのか、育ちの良さからくる性格の良さを感じる。この前の「水曜日のダウンタウン」で、「自分の出したあるあるネタを探せば実在する説」で一切収穫してこなかったコウメ太夫「まぁコウメさん、ここはやっておきましょう・・・」と優しく諭していたところからは露骨に感じました。

M-1アナザーストーリーでは、お笑いの道に進んだが故の、公務員一家とのほつれが描かれていましたが、結局彼が面白いのは、人間の基盤となる人間性がきちんとしているからだと思います。きちんとした家庭で育った野郎が変なことしているからこそ面白いんだと思います。 

 

ちなみに、母親に「ねえ知ってる??あのピンクのベストの人、「村上」言うんだけど、本当の名前は鈴木なんだよ!!」とうっきうきで話したら、「へー」とだけ返ってきました。

へー。

 

 

⑦オズワルド:90点

結成6年/エントリーNo.728/7-8回

コピー:NEO東京スタイル

今年も優勝コンビのすぐ後でしたね。運ないねー・・・。

ただ去年は何のネタだったか覚えてなくても、今年は何のネタやったか覚えている人は多いのでは?

題材・語彙は独特ですが、流れは王道のしゃべくり漫才なので見やすくて良かった。特に終盤の伊藤ブチギレからの【「んままままんまままま」「日本語やめたのか!!!」】【「俺の伊藤を返してくれよ!!」】【「お前ずっと口開いてんな!!!」】の畳みかけは今年のM-1の全部の漫才の中で一番好きかもしれない。

ただ、題材・語彙が個性的な分、一度聞いただけでは分かりづらかったところが随所で見受けられたのが残念だった。【「ザコズシ(ザコい寿司のことかと思われる)」】【「だままままままままままれれまままままひまままままげままままま→「黙れヒゲ」】のくだりは、笑いに至る前に「ザコズシ・・・?ハリウッドザコシショウ・・・?」「な・・・なんて言ってたの?正解聴いてもぴんとこねぇ」と、初見時正直僕はついていけなかった。

ここが減点対象。94点のニューヨークは見ていて意味的に理解できないところはなかったんですよね。倫理的には理解不可能ですが。オズワルドは初見では「?」が浮かぶ部分が見受けられた、それが2点の差です。

でも意味が分かる部分の方が多かったし、特にその部分が序盤に集中していたため、無事観客の心を掴み順位の上昇にもつながったんだと思う。例えば【「逆・・・?」】や、【いなりを生み出す動き】【手が口に入ってんじゃねぇか!!!】ここらへんが連続していたのが良かったんだと思う。掴みも【「とりあえず伊藤だけ覚えて帰ってください」】はオズワルドとして100点級のものだったと思う。

 

審査員で、意見が割れたのも印象的でしたね。

終盤、伊藤がキレて声を荒げるところに対して、松本が「オズワルドはずっと静かに見ていたかった」と否定的な意見を述べたが、オール巨人終盤の激しい展開を支持した。

僕もどっちかというと、オール巨人側です。

今までの畠中の理不尽なサイコパスの蓄積に対して、伊藤のブチギレがあってこそ、一種のカタルシスがあるように思います。まぁそらそうだわ。ブチぎれるわ。オール巨人東京ホテイソン時に言っていた「ツッコミ≒観客の代弁」論が、終盤伊藤がキレないことには成立しなくなってしまう。

 あと、伊藤がキレる展開になると、見ていて明瞭に「起承転結の転に来たな」と分かるんですよね。起承転結の展開が緩やかだと、5分でも見ていてダレますからね。

オズワルドの他では錦鯉・マヂカルラブリー・・・しゃべくりではない「我流大暴れ」な方達ですが、この2組はやっぱり「起承転結」が非常に分かりやすかったからこそ、見やすかったんだと思います。

逆にこの「起承転結」が緩かったのは、ウエストランド、インディアンスあたりでしょうか。フレーズやキャラクターは残るけれども、クライマックス何していたのかいまいち覚えていない。そしてクライマックス何やってたか覚えていないと漫才全体何やってたかいまいちピンとこないまま終わってしまう。

でも松本の意見もわかるんですけどね。要するに、スリムクラブみたいな漫才をオズワルドに求めているということでしょう。オズワルドには確かにその可能性も残されていますが、でも今回M-1の大舞台であんな大声で【「みんなもなんか言ってやってよ!黙ってみてないでさ~!!!」(ダミ声)】ブチギレた以上、その方向へ舵を切るのは非常に難しいと思います。

ちなみに僕はこの漫才、結構再生してます。特に序盤の【「手が思いっきり入ってるじゃんかよお!」】、【「伊藤奪われちゃった!!!!」】と、やはりさっきの【「みんなもなんか言ってやってよ!黙ってみてないでさ~!(ダミ声)】のくだりが好きすぎて。てか伊藤沙莉の兄なんでしょ?ダミ声の遺伝子強すぎる。

一通り見た後に、

「いやー、オズワルド、今回は結構面白かったね」

と母に言ったところ、

「いや見てない」

と返されました。

わかる。

 

 

 

⑧ アキナ:38点

 結成8年/エントリーNo.3006/0回

コピー:覚醒するファンタジスタ

ネタが痛い。痛すぎる。これに尽きる。

というのも、「滋賀県出身の40歳」と「兵庫県出身の37歳」って思いっきり紹介されているわけですよ。そこで、「好きな女の子の前でいいとこ見せたい」って言われると、笑う云々の前に正直ドン引きなんですよね。ええ・・・37と40のおっさんが??ってなる。

審査員の富澤もそこを穏やかに指摘していましたね。おじさんにはそのネタの解釈がちょっと共感できなかったかな」いやいや、ちょっとどころじゃない。キツい。キツすぎる。霜降り明星とかからし蓮根がそういった旨のネタをやるならまだわかるんですけど、ちょっとアキナにはそういうのを求めていたなかった。

あと、そもそも「好きな女の子にいいところを見せたい」という題材自体が、王道すぎるんですよね。多分ほかの漫才師も山程やっているネタなんだろうなという。もっと、若い漫才師達が。四千等身あたりとか絶対やってると思う。

近年優勝しているコンビ・高評価に終わっているコンビってやっぱ題材自体から真新しさがあったんですよね【「コーンフレークは生産者さんの顔が思い浮かばんのや!!」】【否定しないツッコミ】【つり革なしで電車に乗る】【なかじまっくすを作る】等々。もっとインパクトある題材で、練り直すべきだと思います。

ぶっちゃけ、これで去年は「あえて見送った」っていわれてもサボりと変わりないです。

審査員の評価も「うわはっず!!!」を繰り返すだけで碌に聞いてないのも、題材同様人間性も幼稚なんですねとしか思えない。優勝候補からの酷評とはいえ、それでも看過できない愚かな態度。40でしょ?

そりゃあネットで叩かれるのも頷けます。

「あえて」とか言わず毎回出ろ。

漫才場数が勝負なんじゃないのか。

だからよしもと勢が強いと言われるんじゃないのか。

ネタだけではなく人間的な部分においても本当にがっかりしたコンビ。

来年(てか今年)出場しなければ「逃げたコンビ」としての汚名が定着することでしょう。首根っこを掴みたい。逃げるなよ。

 

 

 

⑨錦鯉:85点

結成8年/エントリーNo.3471/∞回

コピー:おっさんずバカ

登場してきたとき、結構貫禄あるおっさん×2だったから「お?しゃべくり系か?」と思ったらまさかの長谷川の【「こーんにっちはー!!!!!!!」→「一文無し参上!!!」】発言。まさかのマヂカルラブリー、ゆにばーす系だったことに衝撃を受ける観客と僕。

でもその後キャラ漫才としてはほとんど満点の展開だったと思います。特に【レーズンパンは!!!見た目で損してる!!】が見たくて僕は一時期毎日2-3回は再生している時期があった。中毒性がやばい。よく見ると「レーズンパンは!」の後にノリノリで胸元叩いているあたりの動きが【ノリノリ雅紀】感あって良い。

あと地味に【「6!8!リーチ!!」】【「7!7!7!!リーチ!!」】も非常に分かりやすくて良かった。

小学生でも理解できる漫才、ってのが強いですね。

今回、しゃべくり系の見た目からのまさかのキャラ漫才というギャップに皆驚愕し、いまいち点数伸び悩んだと思うんですが、今回で長谷川さんのキャラクターを観客にぶち分からせたうえでの来年が楽しみですね。

【「レーズンパンは!!!見た目で損してる!!!」】が好きすぎて若干贔屓目に見ているかもしれん。

あと、【「あ!!コンビニのレジの横にお饅頭がある!!!!」】これも好き。

ただ、唯一欠点を挙げるならば、ボケの数でしょうね。審査員の誰かが「ボケの数が少ない」「笑いどころが少なく設定されている」みたいなことを言っていたのですがそれは一理あると思います。

5分間にして腹8分目なんですよね。ただ、錦鯉の場合は長谷川のあのエネルギッシュの動きと渡辺のいい声ヴォイスでお腹いっぱいになりたい。要するに、制限時間内にもっとおかわりがほしい!(わがまま)

 

 

 

ウエストランド(1回):70点

結成12年/エントリーNo.3473/2回

コピー:小市民怒涛の叫び

ウエストランド最大の敗因は、掴みだと思うんですよね。先ほども書きましたが、コンビ紹介で「4歳の娘からお守りを貰った」のくだりからの、【「結婚したからさ、そろそろ不倫したいと思うんだよね」】馬鹿としか言いようがない。

【「不倫しようと思うんだよね」】単体であれば、掴みとしては成立していたと思うんですが、あの紹介があってからのこれは酷かった。何ならその4歳の娘のお守りの紹介いらなかったのではレヴェル。まさしくこれこそ【「最悪のギャップ」】

あとそのお守りを貰ったボケ側があまりにも、噛みすぎるのよ。噛むな!!!

あとツッコミしながら相方を見て笑うな!!その流れが赦されたのは2-3年前までだぞ!!!

相方のボケを見て笑うツッコミ。博多華丸大吉、千鳥辺りが代表的と思うんですが、僕これ嫌いなんですよね。何いちゃついてんの?っていう。へらへらしてんじゃねえよっていう。そう思っている人がほかにも多数いたからかあんまり最近台頭してきた漫才師では、見かけませんが。

これこそ、お前たちが嫌ってる【「仲良しコント師」】の態度じゃないのか?と思った。それを題材にした以上もっと無表情であれ。

それでも、70点という点数を割り振ったのは、記憶に残るフレーズが非常に多かったからです。

特に【「え・・・復讐だよ?」】のくだりは誰もが爆笑したんじゃないでしょうか。あと【「自我が勝つの!!!」】【「その理論は何故か逆だと成立しないの!!!】辺りも良かった。

近年のお笑い界、そして世間を批判するスタイル。

所属事務所がタイタンとのことですが、大先輩爆笑問題を思わせる攻撃的なその姿勢は貫いてほしい。よしもとには絶対にいないタイプなので。

そして「検索ちゃん」の爆笑問題の漫才よろしく、意図せずなんか、「2020年の総括」感ありましたね。順番が、10番目・おおとりでしたがこれはウエストランドにとってベストの順番だったと思います。

来年(今年)もこの決勝の舞台で1年を総括できるかどうかは、ボケ側の技量と、先述した「起承転結」を意識した緩急ある構成にできるかどうか、次第でしょうね。あと井口が下半身を写真にさらさないか否か。ちいさそう。

あと審査員で「自虐に偏り過ぎる」という意見もありましたが、それも一理あると思います。じゃあどうすればいいかといえば、ウエストランドの場合は世間を批判・揶揄する爆笑問題の漫才にヒントがあるんじゃないでしょうか。もしくは昔のブラックマヨネーズとか?

 

以上ここまでが1stRound進出したコンビの僕の批評になる。

 

ちなみに点数上位3組を挙げると、

1位:ニューヨーク(94点)

2位:オズワルド(90点)

3位:マヂカルラブリー(88点)

になります。マヂカルラブリー食い込んだ。

見取り図はやっぱりネタが微妙と思うのと、

錦鯉は欲を言えばもう1パンチほしかった。

他は論外。おいでやすこがが評価されるのもわかるんだけど。

 

 

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優勝翌日いろんなとこで「つり革」ネタをやったようですが、僕はフレンチの方が好きです。デモンがでてくるので。

 

最終決戦

 

①見取り図:76点

何故関西の地元ネタを決勝のましてや2ndに持ってきた・・・といった印象。

大阪じゃあどっかんどっかんなんでしょうね。多分2020年で一番ウケた漫才をほとんどそのまま持ってきたんでしょう。そっちの方が本領発揮できると思ったんでしょう。

でも観客のほとんどが関東人な訳です。ましてやコロナ禍であれば尚更でしょう。あと審査員もみんな大好きえみちゃん以外基本関東で活躍している芸人さん奈若江なんです。

せめて、そのネタを土台に関東・M-1向けにアレンジしていれば勝機はあったんじゃないでしょうか。

あと伏線はもういらないと思う。流行遅れ。ましてやこの漫才に出てきたカリブ海】。大卒(もっと言ってしまえばMARCH)の僕ですらカリブ海・・・?どこだっけ」てなるんだから、ほとんどの人がカリブ海で笑う訳ないんですよ。早慶上智のエリートクソ野郎しか笑わないネタなんですよ。

錦鯉のようにもっと分かりやすさが必要なのかなぁ・・・。

 

マヂカルラブリー:87点

逆に、しょうもないんですけど分かりやすかったのがマヂカルラブリー

フレンチ程ではありませんでしたが、やっぱり序盤の掴みが強いんですよね。

あと掴みがほとんどのフレンチと比べて、中盤・終盤に面白さが目立つネタというのも配置・チョイス完璧だったんじゃないでしょうか。1stroundの完璧な掴みで自己紹介して、2ndstageで自分達の笑いを観客に叩き込むスタイル。このネタチョイスの戦略性も間違いなく優勝の要因でしょう。

ちなみに僕はこのつり革ネタでは、【サンドイッチ】のくだりが一番好きでした。

あとまさかM-1で、ニューヨーク、マヂカルラブリーと、立ちションが2回見られるとはだれも思わないじゃん・・・。ニューヨークはの立ちション、マヂカるラブリーはの立ちションでしたね。

 

③おいでやすこが:83点

【「小田さんって歌好きですよね~」】の掴みは3組の中で一番良かったと思います。問題はその後。「まさか次に進むとは思いませんでした」感満載のネタのチョイスでしたね。マジで歌うたってるだけやん。

マヂカルラブリーのように2つ舞台があることを前提として、2つ目もしっかり練っていれば優勝したんでしょうがね。

R-1で果たせなかった雪辱を是非M-1で果たすことに尽力してほしい。ツッコミ、ボケ共に実力がありすぎるので。

あと14回もある訳だし

 

Finalroundの批評というか感想は以上である。

M-1はどうも1stroundの方が盛り上がりがち、且つネタも面白いがちなのはどうにかならないものか。昨年優勝者のミルクボーイも1stroundの【コーンフレーク】こそ語られるけれどもFinalroundの【最中】の話をしている人は一人もいないではないか。

マヂカルラブリーがFinalroundにこのネタをしたのは、このような昨今の風潮の問題提起とは言えないか。

 

ちなみにこの3組の合計点数を合わせると、

1位:マヂカルラブリー(175点)

2位:おいでやすこが(163点)

3位:見取り図(161点)

となり、

僕の採点の中でもやっぱり優勝者はマヂカルラブリーということになります。

 なので、漫才じゃない云々言われても、僕はマヂカルラブリーの優勝に賛成です。

ていうか、マヂカるラブリーの漫才が漫才でないのであれば、僕は霜降り明星の漫才も漫才とは言えないと思います。霜降り明星の優勝が認められるのならばマヂカルラブリーだって認められていいでしょ。

 

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毎回メモを取ってたんですが今回から一冊にまとめようと思います。

 

以上である。

今年もM-1、大いに楽しませていただいた。

以前からツイッターでフォローしていたマヂカルラブリーの優勝は非常に喜ばしかった。

去年はついていけなかったオズワルドの漫才が進化してしてよかった。

うろ覚えでなんとなく面白いコンビの認識だった錦鯉がどういうコンビかはっきり見られたのも良かった。

ウエストランドの井口がどういった人間か概ね分かったのも良かった。エロ写メ流出の印象しかなかったので。

強いて言うならば、やはり決勝に進出したのがニューヨークでなかったのが残念だった。見取り図とニューヨーク、拮抗していたと思うんだがなぁ。

 

ミルクボーイを輩出した昨年と比べて、今年はいまいちだったと語られがちであるが、そこまで悪くない年だったように思う。

ぺこぱやミルクボーイ、すえひろがりずのように名前すら聞いたことないようなニューカマーはいなかったけれども、漫才のレベルは前回と拮抗していたのではないか。アキナ以外は。

 

来年(今年)も緩く楽しみにしている。

 

 

 

 

 

 

 

あ、

 

 

 

 

あと、このM-1のコピーを考えてるのって誰なんだろうね。

今年書いてみたけれども結構センスがいいなと思った。

例えば錦鯉の「おっさんずバカ」は「おっさんずラブ」のパロディだし、

ウエストランド「小市民の怒り」は「ウエストランド」という単語から連想される「小市民」という言葉のチョイスが良い。あと、井口の背丈とおにんにんが本当に小さいため、「小市民≒井口」と間接的に指しているところにもセンスを感じる。

見取り図の「真理の才能Ⅲ」も好き。

でも9組まるっと見ると、全体的になんですよね。東京ホテイソン「静ボケ剛ツッコミ」とか。差が凄い。でもそこも逆に良い。

誰が考えてるんだろ。僕もこういう雑なコピー作ってお金貰いたい。2万円くらい。

 

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LINKS

昨年のM-1の記事。なんか知らないけど、閲覧数見る限りすごく読んでいただいたみたいです。ありがたや。

 

tunabook03.hatenablog.com