小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

つくね乱蔵『恐怖箱 厭還』-記憶にない。-

 

 

 

 

表紙、ありとあらゆる実話怪談本の中で一番好きですね。

 

 

 

 

 

 

つくね乱蔵『恐怖箱 厭還』(竹書房 2020年)の話をさせて下さい。

 

 

 

【概要】

平和な日常と家庭を突如襲う理不尽な怪。或いはどす黒い情念の花が咲く因果応報の怪。圧倒的な忌まわしさと絶望感が胸を抉るつくね乱蔵の人気実話怪談〈厭〉シリーズ最新作。

原因不明の頭痛に悩まされる男。友人は、二週間前に行った心霊スポットが原因だというのだが、そんな記憶は・・・「何も分からない」

子宝に恵まれぬ兄嫁を心配した妹は子授け祈願すら受けられぬ自らの一族の秘密を知る・・・長男の嫁」

隣いいえとの境界線に埋められた肉片の詰まったウサギのぬいぐるみ。やがて凶事が・・・「ぬいぐるみの肉」他、

病が闇を呼ぶ怒涛の37話!

 

【読むべき人】

・面白い実話怪談本読みたい人

・後味悪い話が好きな人

【ためらうべき人】

怪談新耳袋のようなあっさり系が好きな人

 

 

 

 

【感想】

僕が本シリーズ、つくね乱蔵氏の単著を手に取り始めたのには圧倒的に表紙。表紙に惹かれたからです。特にこの「厭還」の表紙は本当にグッときて、ここ発端に、日本画風表紙の実話怪談本を複数冊買った次第である。

勘は当たる。

面白い。後味悪い話が多いので読み応えがある。

 

表紙の作家は「厭獄」も本書も同じ画家・芳賀沼さら氏。

検索しても、なんかいまいち出てこないんですよね。2018年に個展を開かれているようなのですが・・・。どうやらホラー系の日本画風の作品を仕上げている様子。

いやぁ、描き続けてほしいですね。こういうホラー系統の日本画系って山程いるんですけど、なんかみんなよくしんないけど「ワンランク上」のところにいるんですよね。

要するに怪談界のライトノベル暴力団刊行の文庫、竹書房会談文庫の表紙に起用するには重い人達が多いんですよ。

だから彼女には頑張ってもらいたい。確かに技術は彼等より劣るかもしれませんが、この表紙然り一度見たら忘れられないような絵が、つくね氏の単著表紙で多く見受けられるので。

ちなみに今、調べたら芳賀沼って「ほうがぬま」ではなく「はがぬま」と読むそうな。はえ~~~。

 

また、前回「厭獄」の時はその後味悪い話ばかり、だったけれども今回はそれプラス、ユーモア・切なさ・感動・・・等々色んなエッセンスが加わって、後味が色とりどりで個人的にはこちらの方が好き。

とか言いながら、まぁ記事の文字数は「厭獄」の方が多いわけですが・・・。

 

 

最高の表紙。
よく見ると、「厭」が赤、「還」が白なのもデザイン性高くてすばらし。

 

以下簡単に感想を書いておく。好きなのは「二十年目の私」「本音と建て前」

 

 

「二十年目の私」pp.12-17:久々に同窓会に顔を出せることになった。そこで話題になったのは二十年前の文化祭のことで・・・

「別人だったりして」p.16

ぞっとした。

実話怪談で度々みるパターンの話ではある。でもそれが起こるのは友人で会って、体験者に起こることは基本ない。創作物では逆に主人公・・・体験者に頻繁に起きている現象ではあるが。じゃあ創作臭するのか、というとそうではなく、れっきとした実話怪談である。

現実の地続きの先にある。

序盤の少女の影の描写がここで活きてくる。

少女の影が時々見切れる。

たわいもない怖くもない描写である。

ここがあったからこそこの話は現実性がぐっと増した。

でも多分ここがなければ、こんなに怖くなかったと思う。

怪異自体は派手であるがそこまで怖くはない。しかしそれを序盤の記述で恐怖を盛り上げる。巧いな、と唸らされた実話怪談。

 

 

「長男の嫁」pp.63-68:詩織さんは、兄嫁の綾乃さんを大事に想っている。だがなかなか子供には恵まれない

うわぁ・・・という話。

「結婚しなくても幸せに生きられる世の中でそれでも私は貴方と結婚したいのです」

ちょっと前に流行ったゼクシィのコピーを思い出す。(不正確だけれども)

それでも結婚したい。一緒にいたい。

と思う、心の純粋さよ。

終盤、兄は自殺する。僕が兄だったらどうするだろう、と考えてみたけどやはり、自殺すると思う。

もしくは初婚は、人生で一番忌々しい女を相手に選んでいたと思うな。

いじめてきた奴とか。

後ろで僕をせせら笑っていた人とか。

■橋■とか、■川■子とか、■■■■子とか。

逆に利用してやるのだ。

この縛りを。

この呪いを。

多分詩織さんの父も祖父もそしてその前の人達もそうしてきたんじゃなかろうか。

 

 

「本音と建て前」pp.91-96:支配人の生霊(下半身丸出し)が暴れまくる!!

萩原支配人は、ホテルマンの鏡ともいうべき実直さと誠実さを極めたような人物であった。p.91

衝撃だった。

生霊の姿と行動が。

姿はもうばらしてしまったが、下半身丸出しである。ビックリである。衝撃である。こんなん来たら笑うしかないじゃん。

そして行動。行動もひっちゃかめっちゃかでぞっとする。

それらを全て全て普段から抑えて抑えて抑えて、「実直さと誠実さを機前多様な人物」を演じる支配人。

優秀なことには間違いないが、優秀過ぎると恐ろしい。

他人って、本当に何考えているのか分からない。

本当に。

 

 

「反撃」pp.97-100:金融系の大手企業で面接をする女子大生。園田という面接相手の男は誠実そうであるが・・・。

「本音と建て前」に連続して生霊実話怪談である。

ええ・・・ってなる。ええ・・・。

多分これが見えたのは、女子大生を守っている何らかが見せてくれた、ということではないのかなぁ。

生霊。生霊かぁ。死霊っぽいものは何回か見たことあるけれども生霊と言うものは見たことがない。飛ばそう飛ばそうと死ぬほど憎んでみたことは何回もあるけれどもどうやらそういう力も僕にはないらしく効果を実感したこともない。

是非障害に一度チラ見、くらいはしてみたいものである。

 

 

「左手」pp.105-109:

女の子は、前を行く青山君に追いつこうとして一生懸命であった。p.109

怪異自体はそんなに怖くない。んだけれども、この一文が本当に本当に可愛い。きゅってなった。ときめいた。うふふふふ。あ、でもついてこなくていいです。

 

 

 

 

「旅の思い出」pp.115-118:

母と一緒に、どこかの崖の上から海を見ていたのが、沙羅さんの原風景である。p.115

その後も一人親の母は娘をあちこちに連れて行く。しかし写真は撮らないという。

その真相が最後に鮮やかにハッキリ分かる。

そのシンプルさ。ゾッとした。

そういうこと、だったんだ。

僕も似たような体験が一度だけある。でも思うんだけど、全国の長女、特に第一子である長女を30人集めれば1人くらいは、似たような経験しているんじゃないかと思う。

母の自殺未遂に巻き込まれること。

多分、結構普通なことなのではないか。

今日も誰かが娘を道づれにして死のうとしているのではないか。

みんなひたむきに隠しているけれども。

流石の僕もペラペラ他人に言えないので。

 

 

「お手本」pp.129-134:

「立ちなさいっ!誰が寝て良いと言った!」

「あんたが良い子じゃないとママが叱られるのよ!それでも良いの?」p.130

その正体にぞっとした。

そしてそれを取り巻く自身の内なる恐ろしさにもゾッとした。

あとまぁ毎日聴いてたら、それはとてもとても良いお手本になったことでしょう。

小池真理子先生に、この実話怪談ベースに怪談書いてほしい。絶対傑作出来ると思う。

 

 

いマニキュア」pp.154-160:

ベランダに、黒服を着た女がいる。

てすりにかけた両手は赤いマニキュアをしていた。p.160

最後の二行に戦慄。

あとこの怪談自体、雰囲気が異質で怖い、怖いはずなんだけれどもどこか物寂しく美しさすら感じる・・・赤いマニキュア。

多分、好きになったのかなぁ。

どうなんだろうか。

だってそもそもその部屋は「本音をいうと彼女ができたときを考えた上の決断」p.154で引っ越しを決めた部屋だし。

 

 

「破格の家賃」pp.161-167:夫に先立たれた妻がひとりぐらしをはじめたアパートには・・・。

「おいお前、いい加減にしろ馬鹿野郎!悪いのは世間だと?世間はお前のことなんか、これっぽっちも知らないんだよ。世間に認められたかったら、それだけの努力をしろっ!いつまでもふわふわしてないで、さっさと成仏して一からやり直せ」p.166

あ、あああ、ぁぁぁぁ~~~~~。

 

 

「ぬいぐるみの肉」pp.186-192:南天の下に飼い猫の死体を埋めようとしたら出てきたのは隣の家の娘が持っているぬいぐるみ(うさぎ)。

話しの展開自体はまぁ普通、印象に残ろう程ではない、んですけれども、このタイトル「ぬいぐるみの肉」が秀逸だと思いました。多分今まで読んだ実話怪談の中で一番印象に残るタイトル、といっても過言では・・・過言か。

あと、途中で穴を掘る場面があるのですがそこの描写が凄く迫真で、そこが結構印象深かったです。とち狂った女のどこにも向かない一生懸命が世界を壊し狂わせる。

 

 

 

 

以上である。

前の「厭獄」と比べれば印象に残る話は少なかったものの、全体を通して読んだ後の読後感・満足感は圧倒的にこちらが良い。

つくね乱蔵単著入門にうってつけ、なのかもしれない。まぁ全部読んだわけじゃないので分かりませんが・・・。

 

 

 

 

 

 

***

 

LINKS

同じくつくね乱蔵氏の実話怪談集の感想です。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

20220712 よく見たらタイトル間違えてたあああ。

「厭獄」の時も間違えててその時はupする前に気付けたんですけど・・・そういうあれなんですかね。違いますね。つくね氏、ほんとに申し訳ありませんでした。

※先生と呼ばないのは作家ではなく実話怪談蒐集家であるためだよ

つくね乱蔵『恐怖箱 厭獄』-石を拾うということは、-

 

 

 

受信料払わせといてその仕打ちはないぜ。

 

 

 

つくね乱蔵『恐怖箱 厭獄』(竹書房 2019年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

【概要】

町の観光名所を探していて辿り着いた山奥の洞窟神社。だが、そこには呪いの絵馬がずらりと・・・「減らない絵馬」

初潮を追えるまで女子は赤いモノを身に着けてはならないーー家のしきたりを破ってしまった長女は・・・「唇と爪先」

廃墟マニアの二人組が忍び込んだ二階建ての家屋。ベッドの上に放置された拘束衣にふざけて袖を通した男は・・・「縛る」

差別を色濃く残した村の秘祭。マツリで鬼役を担っていた若者は村を出て、積年の恨みを晴らすべく復讐を始める・・・「無差別」他、

無間地獄のごとくすくいの無い闇が広がる怪談実話全40話収録!

 

【読むべき人】

「厭」に特化した実話怪談が読みたい人

・良質な実話怪談本を探している人

・表紙買い

 

 

おちゃめなシールがついたままだぞ

【感想】

つくね乱蔵先生の名前は以前から知っていたし、実話怪談は「瞬殺怪談」でいくつか既に読んでおりました。

つくねを乱造する、なんてふざけた名前とは裏腹に、リーマンと二足の草鞋であったり、破綻しない端正な文章であったり、なんかいろいろ結構好感触の作家でございました。

だから、単著実話怪談本の表紙が日本画の女性のこのぐっとくる装丁であると知った時はもうそりゃあ・・・それはそれは喜んですぐにポチッたのでございます。

ブックオフ・オンラインで・・・。

 

「厭」な実話怪談で有名、とのことでしたけれども、まぁうん、確かに厭な話が多いなぁ・・・といった具合。意識しなければ気づきませんが、改めて振り返ると後味の悪い話ばかり。ハッピーエンド、感動エンドが一切ないというのは結構嬉しい読者も多いんじゃないんでしょうか。

 

正直、竹書房文庫は作家によっては結構イマイチな作家も多いわけでございまして。

文章力。接続詞・接続助詞が不自然であったり、不必要な改行があったり。あれ・・・?なんでこここんな日本語使ったんだろう、という部分も見られたりするわけでございます。

構成力。ぶつ切れトンボのようになっていたり、前半状況や登場人物の不必要な情報が多すぎて大事な怪異登場シーンの描写が薄くなっていたり、するわけでございます。

要するに、ぶっちゃけ文章自体が目につくこともあるわけでございます。

竹書房文庫は毎年たくさんの実話怪談作家を輩出しておりますけれども、そのほとんどが結構残念な作家だったりするわけでございます。

そのなかで、竹書房文庫の土壌から出て出世した知名度が高い実話怪談作家はやはり、完成度が一つ二つ三つ頭が抜けているのでございます。トップは黒史郎・黒木あるじ両氏だろうと思いますが・・・そのすぐ下にいる数人の内の一人がそう、つくね氏でございます。

 

・・・。

日本画表紙に合わせて妖しい敬語を使うことでそういう感じをぷんぷんさせたろと思ってたけど、「ございます」「ございます」ばっかでこれじゃあただの怪しい敬語じゃんっ!!!!数多く生まれては消えるっ竹書房実話怪談作家の文章力の稚拙さをつっこむ文章力じゃないよっ!!!!というか日本画→ございます、なーんて小学生の発想力だよっ!!!!!!

 

 

 

みえそうでみえね~

 

以下簡単に特に印象に残った話を記しておく。

一番好きなのは圧倒的に「踊る母」英訳すると「ダンシング・マム」。

 

 

「母は強し」pp.22-26:金岡という普段のふるまいがあまりよろしくない男が、年老いた母と2人で暮らしていたがなんだか最近母、いなくない?

親もしくは子供が、子もしくは親を殺そうとする話はよくきくよね。親子間殺人事件。「今度はおとさないでね」怪談然り。

ただの親子間殺人だったら僕はもう別にあーはいはいで読み過ごしていたことでしょう。

じゃあなんでこの話が僕の心を穿ったかというと、後半の図柄のシュールさですね。母親はガチの100%の本気なんでしょうけど、いやぁ・・・ちょっとこの親子の姿が見えちゃったら最初こそ怖いけれども、僕ならまぁ笑っちゃうね。

ホラーとギャグは紙一重なんていうけれども、ぎりギャグに脚をつっこんでいるシュールレアリズム極まる実話怪談。

 

 

「踊る母」pp.32-35:ある日父は50歳で脱サラしてパン屋をはじめるがうまくいかずないので、母が踊りだす!

母系実話怪談その2。この実話怪談もお母さんがんばっちゃうぞ!!

ホラーとギャグの境界線ふよふよしているのも同様、なんだけれども、こっちはぎりホラーです。

なんの踊りか知った時、ぞっとしました。

また、一家そろってドンドン不幸になっていくのもまさしく「厭」で、後味悪くて良い。

 

 

「出ていかない」pp.41-47:

何分かたった頃、穴のふちに何かが現れた。細い指が四本である。現れたと思った瞬間、指はすぐに引っ込んだ。pp.45-46

意味わかんなくて恐ろしいですね。うわ実話なんだろうなぁどっかにあるんだろうあんぁ厭だなぁ・・・となった一話。結局何もなかった、で終わるのも妙にリアル。

特に上記の、天井の穴から指が出てくるところは怖かった。星指が四本、のところが。親指とかが隠れてて4本に見えたのかもしれない。のだけれども5本あるはずの指が4本、というところに鳥肌が立つ。

あと、病院跡地系・処刑所跡地系・墓地跡地系の実話怪談は山ほどありますが、羅生門跡地系の実話怪談はなかなかないと思う。実際の羅生門跡地かどうかは知りませんが・・・。

 

 

「縛る」p.77-85:やべえ空き家のやべえ拘束衣着てみた!!

その家の描写がおどろおどろしく描かれている。のだけれどもそこは別に怖くなかった。むしろちょっと冗長に感じられたくらい。

だけれども、あー、はいはいクレヨンね「ここからだして」×××Holic由来のあれね、空き家といい相性だよねー・・・・から始まる、終盤が、いきなり怖い。

正直、着た奴が死ぬのは予想がついた。

その後がうわ・・・って感じである。まさしく厭。

改めて読みなおすと「いたって普通の二階建ての家である」p.77、の冒頭の一文がたまらなく「厭」

ここが有名な心霊スポットであったならば、心霊スポットであったならば、また救いようはあった。けれども「いたって普通の一軒家」でさあ・・・こんなこと起きてたら、たまんないよ。

 

 

「果樹園」pp.86-90:山奥に見たこともない果物ばかりが実っている果樹園があるというよ!!どうぶつの森かな!?

ある意味どうぶつの森だった、という実話怪談である。しかもブーケ、ジャック等々いわゆる「当たり」住民多めの猫族多めはサービス精神旺盛と言ったところか。

そりゃあ、あの果物がいっぱいなっている木に囲まれている村は、住みやすいさ。とても住みやすい。

家とか医者の往復の現代社会に埋もれて溺れて生きるより、ああいう村でのびのび暮らしたいよな、分かるよ。

 

 

「由紀恵さんと象」pp.91-96:出てきた幼い頃の自分の絵は、象・・・のようなものばかり描いていた。

「厭」がつくね氏の特徴というのであれば、これはまさしく「厭」に特化した話・・・つくね節炸裂の一話といっても過言ではないでしょうね。

怖い、とか、ちょっとおもろい、とか、気持ち悪い、とか、後味悪い、とかそういう言葉では言い表せない。

適切な言葉が「厭」以外思い当たらない。

そういう話です。

「ゆきえちゃんとぞうさんといった具合に、絵本風味のタイトルからは想像もつかない厭さ。

あとこれもある種、系実話怪談にはいるのかな。なんとなく。男には無縁そうな気もするし。

 

 

「他人様の子」pp.97-101:隣の家の亡くなった3歳の女の子が、娘の所に24時間365日遊びに来る。

怖い、というよりかは非常に興味深い話。

かわいそうだけれどもどうしようもないのである。しょうがないのである。だって、うちの子じゃないし・・・他人様の子だし・・・。

解決するのはお祓いではない。あることをするだけで、女の子は遊びに来なくなる。

うわあ、酷いことするなぁと思うけれども、多分僕も同じ目に遭ったら同じことをすると思う。

実用に特化した終わり方がとても興味深かった。

ちなみに、「縛る」からこの「他人様の子」まで四連続でいい話が続いた。

つくね氏の単著は初体験だったもので、正直前半はうーん・・・?そこまで怖くないかな、と思っていたけれどもこのメドレーで一気に引き込まれた。

 

 

「十五年の影」pp.118-123:妊娠している妻の近くに何やら蚊柱みたいな陰が見えるよ!!

うっわぁ・・・って思った。

この展開と全く同じ話を読んだことがある。

小説で。

山白朝子『私の頭が正常であったなら』に収録されている「子供を沈める」

物語は、それでもなお主人公の女性が希望を見出す形で幕を閉じた。

実話は、どうか。

そりゃ、そうだよな。

現実は、そんな甘くないよな。

小説みたいにうまくいかないよな。

 

 

 

 

野狐禅」pp.132-135:素人だけど禅、はじめてみた!!

なんだか、ヱヴァンゲリヲンのかほりがしました。

♪あーえいあーあーおー、あーえいあいあーおーえー!!!!!!(「残酷な天使のテーゼ」の間奏のアレ)

 

 

「首吊りライン」pp.136-141:寺の警備員として勤務することになった。そこでは半年のうちに3回首吊り自殺があったというよ。

怖い、厭、よりかは興味深い話である。関心がある。

松原タニシ「恐い間取り」で似たような現象を読んだことがある。

確かあの話も、電車に沿った「ライン」の話だったか。

知的探求心がくすぶられる一話。

 

 

「美しい石」pp.163-167:石の収集癖がある息子がある日いきなり引き篭もったよ。

石を持ち帰るな、とあれほど言われているのになぜ人は石を持ち帰ってしまうのか。

石にペイントを施す、とかだったらまだいいものの、石そのものに魅入られたらもうどうしようもない。

僕が思うに、多分これはNHKに責任があると思うんだな。

というのも、NHKが夕方に放映するアニメおじゃる丸、居候先の少年かずまの趣味が石集めである。あれで多くの人は石を蒐集する趣味があることを知ったと思うし、真似する子供も出てきたと思うんですよ。

どうなんだろ。

ちなみに、石を持ち帰るな、っていうのは怖い話好きの間では常識です。僕は小学校の時に買って貰って何度も読み古した怪談本で知りました。皆さんもきをつけてタモ~。

あとやっぱ一家離散エンドは胸に来るものありますね・・・。「踊る母」もとい。これも屈指の「厭」

 

 

「鎧武者」pp.168-170:祖父が質屋を畳む際、一つだけどうにもならないものがあった。

鎧兜である。p.168

ええ・・・になる一話。ええ・・・。代償が大きすぎる。3ページが故の鋭さ。

両親は生きてるんですかね。現象に規則性を見出しているのでしょうか。見出しているのであれば普通寺社に走ってお祓いだのなんだの頼むと思うんだけど・・・。というか既に成人して久しい主人公自身が全国寺社行脚してもおかしくない案件だと思うんだけれども・・・。

無駄とは思いつつ、禁煙し、酒を遠ざけ、血圧に注意する毎日を過ごしている。p.170

で終わっているあたり、ダメそうだ・・・と思ったのは僕だけですかね。

 

 

「豆腐」pp.171-175:

ちなみに得意なのは豆腐ハンバーグとのことだ。p.175

最悪ですね。最悪。

何が最悪かというと後遺症が残ったのも最悪だしエスパー?超能力?が身についたとしてもそれを活かして特にいい方向へ進まなさそうって言うのが最悪。

とにかく最悪。

最悪過ぎるがあまり、最後の上記の一文の、ユニークさにしか救いがない。

 

 

「減らない絵馬」pp.204-210:観光地になりそうな場所を無理くり探していると、絵馬が多くつるされた洞窟を見つけたよ。

いやいやダメでしょってラインを優に超えちゃうのがお役所仕事ということなんでしょうか。怖いというよりかはドン引き。

でも案外多くの人にとって寺社だとか絵馬だとか呪いだとかジンクスだとかこっくりさんだとか三番目のトイレだとか諸々諸々大したことないのかもしれない。石拾っては集め絵馬をもぎ、廃墟にずかずか入り込こんで明らかヤバい拘束衣ばんばん着ちゃえ、が定石なのかもしれない。

だから実話怪談読む、というのは長生きする・自己の救済、にも繋がるんですね。実話怪談は健康にいい。実話怪談一話読めば一日分の野菜半分とれちゃう。実話怪談読めば癌治る。みなさんもっと実話怪談読みましょう。

 

 

爪先」p.218-220:その家には初潮を迎えるまで赤いものを身に着けてはいけないというしきたりがあったよ!!

やぶったよ!!

そしたらひんどいことが起きたよ!!!という話である。

王道ルートともいえる。

話単体ではそんなにおもしろくはない。

でもここに記したのは、鮮やかな赤極まる派手なこの話を最後に持ってくることで、一冊全体がぎゅっと引き締まっている印象を受けたからである。

要するに順番が優秀。

冒頭に持ってきても華があって良いかもしれないが、王道ルートに辟易している怪談ジャンキーの僕等は、恐らくこの一冊に見切りをつけていただろう。

だからラストで正解。最後ならば王道極まる終わり方でも、僕達は不平を漏らさない。

だってこれだけ・・・これだけの厭な話を届けてくれたのだから。

 



 

以上である。

確かに後味が悪いバッドエンド極まる話が多かった。ハッピーエンドの実話怪談を嫌う人や、「新耳袋」等現象に特化したあっさりした話が嫌いな人にはぴったりだと思う。

だからといって、創作臭がすごくする、という訳でもないし。

表紙のセンスもいいし。

優秀な怪談蒐集家だと思う。

 

ただ僕は、つくねより普通にもも。ももが好きです。ふつうに。硬くて食べ応えがあるので。

 

***

 

LINKS

文中に挙げた山白朝子の書籍の感想。山白朝子先生の短編集は2冊読んでるのですが傑作ですね。乙一の「ZOOOOOOOOOO」に並ぶくーらい。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

「世にも奇妙な物語 2022年夏の特別編」-結構バッドエンドに批判的な声が多くて驚いた。-

 

 

 

 

最近春秋と見せかけて季節ずれていることが多々ある。

 

 

 

「夜にも妙な物語 2022年夏の特別編」の話をさせて下さい。

 

 

 

 

「お届けものでぇ~↑す♡♡」

 

 

【概要】

オムニバス4作品と短編で構成される『世にも妙な物語』

斬新で多様なラインナップを揃え、おなじみのストーリーテラータモリと、豪華キャストか「奇妙な世界」へいざなう。

 

【見るべきだった人】

・ウーバーイーツに関わってる人

・乃木坂1期推し(生田絵梨花、あと樋口日奈ちゃんが出てます。バリ主役級で)

基本的人権の尊重

おジャ魔女世代

山本美月さん結婚されて年相応の役をやるようになってからより一層綺麗になられた。そう、多部未華子も同様に。

 

 

【感想】

録画忘れた~!!!!と思っているそこのお前!!!「夜にも妙な物語」は2021年秋からは放送後1週間は動画配信サービスでも配信しているよ!!!

泣いてその場で諦めないように!!!

 

てか、僕も配信されているのを知ってから、また追うようになりました。

リアタイ厳しいし。あと録画を見るって作業、なんだかんだ面倒なんですよね。

Twitterで前評判聞いてから視聴したわけですが、僕は十分楽しめます。お前は知りませんが。

 

 

ギャオで配信していることを確認してうれしいがあまりに撮影したフォトショです。
今はもう公開してないです。

 

 

以下簡単に各話のざっくりした概要、主演、あと感想を書いていく。

順位をつけるとしたら、1位から順に「何だかんだ銀座」「オトドケモノ」【越えられない壁】「電話をしてるふり」【越えられない壁】「メロディーに乗せて」

後半失速感が否めなかったのが残念。

 

「オトドケモノ」

主演:北山宏光Kis-My-Ft2

お姉さん(ひなちま)「おとどけものでぇ↑す♡♡♡」

凄かったですね。

原作がジャンププラスの公募と聞いて、早速ざっくり読んだんですよ。確かに拙いところはあるんですけどでも話としてはまとまっていてとても面白かった。特に最初と最後の語りが皮肉になるところが良かったです。

で、視聴したわけなんですけれども・・・「死んだ母親」「亡くなった妻の形見の時計を大切にしているじじい」等多少の改変はあれど概ね内容は同じ。

でも、結構秀逸で。

まず、テンポ。

ゆかり「100万円頼んでみない?」

タクヤ「ほんっとお前は楽観的だなwwwwwwwwwよしやろう

のところはドラマの方が圧倒的に良かったですね。

ハワイにもびゅんびゅん行ってたり犬が出てきたりコンサート(ミュージカルだったか?)に行ったりと、あれやこれやがぴょんぴょん起きる。

主人公達がアプリにどんどんわくわく夢中になったように、視聴者もどんどんわくわく夢中になっていきました。

テンポよく前半で原作を消化しきると後半時間が余る、のですが、それでもぎゅっと前半詰めてテンポよく展開したのは正解ですね。

こんなに見ててワクワクした「夜にも妙な物語」、久々だよ。

じゃあ、その後半。余った時間をどうするのか。

CM後、オリジナル展開に突入します。

え!?あれだけ綺麗に完結した作品がこれからどうなんの!!???釘付け。

特に最初タクヤが提案した脱出方法にはなるほど!!と思ったのですが、その上を行くゆかりの脱出方法になるほどなるほど!!!でした。

まさか、あの形見の時計じじいエピソードがここに活きてくるとは思わなかった。ここ最高にアツかった。オリジナルならではの無駄なエピソードか?と思ってたら全然そんなことなくてまさか伏線になるとは思わなかったです。

その後の市役所のシーン。

ゆかりの三白眼が最高でしたね。

加えてタクヤも脱出を試みていて・・・どうなるどうなる、どっちが勝つ、タクヤの勝利に終わるのか・・・!???からのさらにその先をゆく展開。

そこが、凄い良かった。

タクヤの敗北か決定した瞬間、

え、どうなんの、え、え、え、ええ?話聞いてないけど?どうなんの、えどうなんだよぉ!!!???になりました。

お姉さん(ひなちま)「ありますよ。出られる方法1つだけ」

からの・・・まさかの転職展開は笑っちゃいました。ちょっとまぁ・・・他の配達員全員ひなちま、というのは確かにビジュアル的には凄くインパクトあるんですけど、そこは別に同じくして出られなくなった人で良かったような気も。

とか思っている隙に、最後の最後ですからね。

ぶつっ・・・・さぁ、この先どうなる?ってところで終わるところがまたにくい。

一方で、後半完全にオリ展開になりつつも、

原作最初の心情、

俺は在宅のウェブディレクター 稼ぎは多くないがやりがいがあり仕事は充実している

を繰り返すのは原作リスペクトが感じられてとても良かったです。

ただまぁ・・・。

1つだけ不満があって。

最後の配達は、ポメラニアンも連れててほしかったですね。

配達するのに犬がいるのは非現実的ですが、でもそうした方がゆかりは切羽詰まると思うので。

 

あとキャスティングも神でしたね。

ジャンプ特有の名前も顔も若い主人公をジャニーズの北山君、普通さを兼ね備えたルックス加えて惜しみなくすっぴんをさらしたゆかり役。メインの2人はどちらもぴったりはまっていたと思います。

でも、この作品で一番輝いていたのは、やっぱひなちまですね。

お姉さん(ひなちま)「おとどけものでぇ↑す♡♡♡」

漫画での「オトドケモノでぇす♡♡♡」をどういう感じで言うのかなと思ったのですが、そういうイントネーションか!!!ってなった。でぇ↑す、がたまらなくいい。

監督(演出)の指示なんですかね?それともひなちまの役作り?

後半だったらもう立派な女優ですよ。でも寂しくなるからまだちょっといてくれ乃木坂に。

あと多分原作を読んだ人は、「あー俺の家にもこんな美少女がすぐ来てくれたらなw」って思うんですよ。そこに2022年現在、「美少女」の代名詞となっている乃木坂のメンバー持ってきたのは大正解だったと思います。露出度的には多分グラドルとかの方が自然、だったとは思うんですけど、でも誰か分からないグラドルあがりだと主演がジャニーズなので負けてしまうんですよね。だからといって、吉岡里帆とか脱げる女優を持ってきても主演のキャスティングを食ってしまいますし・・・。「演技力がある有名過ぎない乃木坂46を持ってくるという絶妙なセンス、脱帽です。

北山君も顔芸を頑張っていましたが、ちょっと中途半端に終わってしまったな感。最後はやっぱり「オトドケモノでぇ↑す♡♡♡」って言うべきだったろ。

・・・というより、まって。

中盤、生のひなちまのお腹に頬っぺた、寄せてましたよね?

許せネェ・・・・・俺・・・・許せネェよ!!!!!!

 

・・・ひなちまっ!!!!!!!!!!!!!

 

 

ぐいぐいくるじゃん。

 

 

「何だかんだ銀座」

主演:有田哲平くりぃむしちゅー

パパ「今の時期のお金持ちたちは、株主総会が近いから警戒心が強いんだ」

一番初っ端のこのパパの台詞が一番面白かった。

株主総会が近いから警戒心強いって何。株主総会出るのがこんなとこでハチミツ嘗めてていいのかっていう・・・。

世界観、謎極まってる。

からの、いかにも初恋の相手っぽいヒロイン、悪ガキ、と色々出てきて、且つひとつひとつキャラがたっていて秀作だったと思います。

主人公の男の子、演技上手かったですね。ていうか最近の子役全員上手い説まであるな・・・。「世にも妙な物語」とかいう秀逸子役発見装置。連ドラと違って一回きりだから今後芸能活動続けない、という選択肢をしても、人生の思い出にもなりそうだしね。

ヒロインの女子高生、もこれまた演技上手かった。んだけど、成城で捕まえた二ホンコガネモチちゃんもなかなか良かったですね。ボルゾイとかスパニエルを思わせる品の良さ。特に落ち込んでいる主人公を励ますヒロインの横で、そっと寄り添っているさまはなんか笑っちゃったよ。こことオオカネモチが恋関係になるのか?って思ったけどならなかったね。

悪ガキ、着ているTシャツがいちいちぎらついていて面白かった。多分演者の子自体は普通は主演やるような子、要するにいじめられるよりいじめられるような役の子、だと思うんですよ。オーディションおちか?でもしっかり演じられていたし、ギラつくライオンのスパンコールのTシャツや、BLASTOFF!!!*1と描かれたTシャツなどバッチリ似合ってましたね。

それにくっついている二ホンアブクゼニも面白かったですね。特に

悪ガキ「おい!!サーフィンはこの前やったろ!!」

のくだりは可愛かったです。

で・・・、

視聴者も世界観にも慣れ、

最後オオカネモチと涙の別れをし、

そして数年後・・・

ようやく・・・

となる訳ですが、

いやぁ、笑っちゃいました。

悪いお金持ちだったか~~~!!!

確かにね、序盤のね、もうねハチミツに群がっているオカネモチ達を見た地点で薄々ね、

「お、人権はく奪しているな~。ゴールデンなのに攻めてるな~。クレームきそうだな~。」

とは思ってたんですよ。有田という芸人のキャスティングにすることで、そういう道徳的問題を見て見ぬふりしている脚本なのかなって思ったんですよね。最近のフジテレビだと。

だから、それを見事に裏切るスパッとした切れ味の結末にはあっぱれでした。

後味の悪さで後をひくのは勿論、やっぱり人が人を操ろうとしちゃあダメだよね。というまさかの深い道徳を突き付けられるとは思わなかった・・・。

特に「人が人を操ろうとする」、の最たる例がやっぱりそう、僕も大嫌いでした。

就活なんですよね。

学生(社員)を人として見ずモノとして見る。

10年後、ではなく12年後に設定し就活で終わったのは凄かったです。

オカネモチを人として見ずモノとして見てきた、主人公の最後・・・。

いやでもさあ、主人公は頑張って世話してたじゃーん!って思っちゃうけど、でもそれも一方的な訴えかけに過ぎず、ブラック企業のやりがい搾取に似たものを感じますね。

色々考えさせられる。

近年の中で一番、深い作品だったんじゃないでしょうか。

ただタイトルがちょっと意味わかんなかったかなぁ・・・。あとなんで「ギャラクシー銀座」といい「銀座」がつく作品はカオス(実は深い)作品が多いのか。

 

どうでもいいこととしては・・・有田髭やめたんですね。あれ似合ってなかったんで良かったです。あと変な茶髪じゃないのも良かった。

あと、成長したゆうすけ、はじめしゃちょーに似すぎだろ。

 

最後に、ぐっときたオオカネモチ+ゆうすけの、ふれあいシーンベスト3をあげて終わります。

1位 ゴルフのシーン:キャバレーゆうすけがめちゃくちゃかわいかった。

2位 乗馬のシーン:「予約なかなかとれなかったんだよ!!」と叫ぶゆうすけがめちゃくちゃかわいかった。

3位 フォアグラのシーン:フォアグラを食べるオオカネモチをにこにこしながらみるゆうすけがめちゃくちゃかわいかった。

 

 

 

 

「メロディーにのせて」

主演:生田絵梨花

ううーん。なんか一番微妙に感じた。

発想自体はいいと思う。「脳内メロディー症候群」。脳内を駆け巡るメロディーに合わせて行動しないと死に至る病

主演は生田絵梨花。乃木坂出身屈指のミュージカル女優である。

そこに「メロディーをのせて」というタイトル・・・。

ラブストーリー、もしくはコメディを期待するでしょ。

そこに、変な伏線回収欲バッドエンド欲が絡んだらうんまぁ・・・こうなるよね。

普通に奇人と付き合って最後までハッピーエンド、で良かったと思うんですよね。

というか、最近の「世にも妙な物語」、バッドエンドなら良い話になるだろう、って思っている節あるよね。やめろ。結構最近バッドエンド率高いぞ滅んで。

「オトドケモノ」のように収束する終わり方だったり、「なんだかんだ銀座」のように問題提起する終わり方であればいいんだけれども、ただ安直にくっつけたバッドエンドはどうなの?と思う。

てかこの話は多分・・・逆算的に、最後に世にものメロディーで終えたいがために書かれた感じもするんだよな。それだったら「なんだかんだ銀座」のようにコメディ一色にして結末との落差をつけるか、「墓友」「鏡子」よろしく不穏な匂いをいっぱいいっぱい漂わせておいて作品としてまとめておかないと。

脚本が最悪でしたね。

で、その基盤がちゃんとしてないからか何もかも全部が中途半端になってしまった印象。

キャスティング。この主題で主演を生田絵梨花にするならば、周囲をミュージカル俳優一色に染め上げないと負けちゃうんですよね。例えば、あのカメラを止めるな!の俳優を医者に持ってきたのはダメでしたね。主演がミュージカル俳優で演技が大きくて存在感出してナンボの世界だから、中途半端な俳優だとまけちゃうんですよね。

テンポ。微妙でしたね。「オトドケモノ」がこの先どうなるの?どうなるの?と分からないままぐいぐい進む感じがたまらなかったのに対して、妙に本作は間延びしてた。そのシーンいる?みたいな部分が多かった印象。例えばランチのシーンとか。「オトドケモノ」はそういったところも殆どを回収していたんですが本作は・・・。

うーん。やっぱ脚本かなぁ。

といっても、本作が今回唯一のオリジナル脚本なんですよね。

がっかりです。

世にも奇妙な物語の隠れた名作「3人死ぬ」へのオマージュを捧げました(笑)

って笑っている脚本家の鼻っ面をぶん殴ってやりたい。お前含めて4人死ぬんだよ!!!!

 

あと思うことがあるとすれば、ディナーのシーン。

奇人の彼氏「運命なんだ」

生田絵梨花に言って手を握り合う場面があります。

く~ぅ。ミュージカル俳優になればCD買わなくてもアイドルと握手できるのかく~ぅっ!!!く~っ!!!!とか思っていたんですが、ふと、

あれ・・・・?これ生田絵梨花がキャスティングされているけど大園玲さんだったらどうなんだ・・・?

え・・・大園玲さんと私が手を握り合って

大園玲さん「世界で3人の奇病なんだって・・・まぐろどん」

とか言って来たらえ!!!???えええええ!!!????ど・・・・どどどどどどどど、どうなんだ!?!!??

え・・・!!????

えええええ・・・・!!!!???

別の意味ですっげぇ興奮しました。

どっちかというと生田絵梨花よりその相手の俳優・稲葉友の方が大園玲さんに似ているんだけどね。顔立ち的には。

生田さんは笑顔が可愛いのも勿論なんですけど、部屋の前で怯えている表情が一番良かったです。何が言いたいかと言うと是非本格邦画ホラー映画のニューヒロインとしてだな・・・。

 

 

「電話をしてるふり」

最後の話ですね。

4話構成、加えて最近4話目が短い傾向にあって寂しいです。

悪くなかったんじゃないでしょうか。

SNS見る限り、原作ある「オトドケモノ」「なんだかんだ銀座」+本作の中で、本作だけが原作に忠実に終わったようですね。

ただ、最後の話がいい話だとなんか物足りないのも事実。

順番が悪かったと思います。僕だったら「メロディーにのせて」→「電話をしてるふり」→「なんだかんだ銀座」→「オトドケモノ」にするかなぁ。

あと、冗長なオリジナル作品見せられるより、これくらいの長さの方が見やすいって言うのもあります。要するに「メロディーに乗せて」クソ脚本の上に長すぎるということです。ただスタッフロール見ると同じ脚本家のようですね。頼む。もうお前は原作ありきで書いてくれって感じ。

演者もまぁあっさりしていて悪くなかったです。強いて言うならば序盤に出てきたナンパ男の演技が、スマホ渡す時に画面を拭いていたり別れ際に敬礼をしたり、結構小技利かせていたなぁ、といった印象。正解ですね。話自体がまとまり・・すぎているところもあるため、序盤これくらいしてくれないとあまりにも起伏が無さ過ぎだったでしょうし。

あと、不満点があるとすれば、多分主人公が結婚したのって、あのツナマヨおにぎりを食べてた同僚だと思うんですよ。あいつと結婚したことを明確に示唆する描写があれば、より綺麗な後味で終われたかなぁ。

 

最後、「2022年秋の特別編」が予告されましたね。やったぜ。

ただ毎回楽しみにしていたあの安っぽいエンディングの映像・・・ぐるぐる灰色が渦巻く中で茶色いドアがぽかんと浮いていて黒い蝶がはためくあの映像・・・がなかったのが残念です。あれを見るために私は「世にも妙な物語」を見ている節があるので。

 

 

届けてくれたのはポメラニアンと、二ホンコガネモチのようです。

以上である。

うーん。まぁ良くもなければ悪くもない。

「なんだかんだ銀座」「オトドケモノ」と、秀作が2作あったため満足度高かったけれども、それでもちょっと後半の失速は否めなかったかなぁと言った印象。

 

オリジナルが書けないのであれば、バンバン今回のように原作ありきでもいいような気がします。

短編小説って、もうほとんどの人が読まない時代になっちゃたじゃないですか。読書が趣味の一つと化し、そのなかで更に「奇妙な短編」となってくると・・・。読んだことある人が日本にどれくらいいるのかっていう話。

良作短編小説を、映像で紹介するブックテラーとして振り切ってもいいと思います。外国の小説だって権利さえ得られればもう日本化して流していいと思う。夏への扉のように映画じゃないんだからこけてもTwitterで貶されて終わりでしょうし、今更駄作になったってこれ以上離れる視聴者もいないでしょう。

そりゃあ昔はオリジナルでも素晴らしい作品がバンバン生まれていましたけれども、原作ありきが前提になったとしても、それは時代に合わせた変化と言えるでしょう。

中途半端な作品を出し続けるよりは。

 

ただ、「恋の記憶とまらないで」、あれをオリジナルで書いた脚本家諸橋隼人さんが、「恋の記憶」同じく2019年秋の特別編で書いた「ソロキャンプ」古き良き世にも妙な台本で結構良かったんですよね。

オリジナルには彼を継続的に起用し、加えて原作ありきの短編。

これならもう5年くらいは比較的質を保ったまま続けられると思うんですけど、どうですかね。

 

***

LINKS

振り返りを観たら2020年「夏」「秋」2021年「春」未視聴であることが判明。

単純に一時期熱下がったというのもあるけれども、鬱っぽかった時期でもあるかも。

2021「秋」は見て感想も書いているのでまたあげます。

 

三浦春馬主演の作品収録されているスペシャルですね。

この作品に結構心掬われたところがあったので尚更つらかった。

tunabook03.hatenablog.com

 

カメラを止めるな!」はおもしろいぞ。

tunabook03.hatenablog.com

 

*1:飛び立つという意味だそうな。飛び立つ!!!

「クイック・ジャパン No.160」-使命感もしくは目標、もしくはヴァニラ・アイスが君を君たらしめるんだ・・・神様、-

 

 

 

 

すごいすき。ちょーすき。

推し・・・ではないけどね。

 

 

 

「クイック・ジャパン No.160」(太田出版 2022年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

 

 

【概要】

第一特集:あの she is'nt fiction

第二特集:練習のかたち

●Special

東山奈央・怪奇!どんぐりRPG 他

 

【読むべき人】

・あのちゃんが好きな人:もっと好きになるよ。

ジャルジャルが好きな人:第二特集にて掲載。面白いよ。

 

【感想】

デリーーーーーート。といえばあのちゃんのインディーズソロデビュー曲で、でもデジタルでしか配信がないから僕はくぅ~と言いながらYouTubeで動画付きの音楽でしか聴くことが赦されないデリーーーート。何十回何百回と聞いてきた視聴してきたデリーーーート。多分まぁぶっちゃけ櫻坂のシングルのMVよりもこの曲に関しては再生めっちゃしていると思うデリーーーート。だってさぁもうさぁ、朝は白んできてる!あと1時間もすれば今日が始まってしまうよ!?一人29時50分に取り残された僕はデリーーーーート。

 

新静岡セノバジュンク堂に行ったのは別に本書を買うためじゃなかった。推し・大園玲さんが掲載されている別のアイドル雑誌を購入するためだ。

でもあの・あのちゃん、あの・タイバニのアニメのエンディングロールを担当するというあの・あのちゃんが、表紙で特集されているのを見てめちゃくちゃとっても悩んだけれども買いました。だってあの・あのちゃんが特集されているのです。それは買うしかないでしょう。

 

ファン、ファンとまでは言えない。好き。すごい好き。インスタもフォローしているし、写真集も持ってる。

YouTubeでいくつか上がっている音楽、「デリート」と、あのちゃんねるの主題歌、「peek a boo」がとても好き。ああでもね、全部好き。気分によって変わる。でもイラストMVの曲は基本ききません、だってあのちゃんが見たいから。好きだから見てたい。本物のあのちゃんくらいさぁ、みせてよねぇ見せて。

でも音源は持っていないし番組も見ていないしTwitterはフォローしていません。だからファン、とまでは名乗れませんがそれでも好き!!と言う自由権日本国憲法基本的人権の一つとして保障されているでしょう?ということについてでは早速、朝まで生テレビ

 

 

 

 

【第一特集:あの】

というわけで、まぁ買って読んだんですけど・・・すっごい良かったです。

写真白い桜をバックに白い肌のあのちゃんを掲載しましょう!!と言った天才はどこの誰ですか?あなたですか?それともあなたですか?え?最高です。お前は神か。神なのか。

凄く、希望って感じ。なんか白くて光。まぶしくて希望。後光。

フラッシュ。

一番印象に残っているショットは、2ページいっぱいの桜のショット。なんと被写体メインのあのちゃんはぼやけているんだけれども、一番その時のあのちゃんを捉えた、一枚だと思います。はい。好き。

後半は、室内スタジオのいつもの感じ。可愛いとも言い切れない、美しいとも言い切れない、綺麗とも言い切れない、のびのびと撮影に応じるあのちゃんがやっぱり好きで、希望。希望です。サー。

 

その生き様を垣間見られるインタビューも圧巻でした。グループを抜けた後のことから、「水曜日のダウンタウン」ほぐした赤LARK事件から。嫌いな季節から近況からあの、と言う名前に込められた芸能界における自分自身の在り方についてから。

近況において、母親が大病やってるというのを言っていて、そしてそれにショックを受けている、というのは僕もまさしく一緒。もっとその後に深いこといいことええっと思うこといっぱい言ってるんだけど、序盤にその共通点を見つけてからもう僕はさらにあのちゃんが好きになりました。

 

「曲がったことと、ちょっと汚いこというかズルいことができないだけじゃなくて、見てるのもしんどいんですよね。そういうのにまみれてるから、それに絶望してます」p.36

 

でも一番心がきゅっ、てなったのは、anonymous・・名無しの意からくる「あの」ちゃんが語る絶望について。

ねぇあのちゃん。僕もまぁどっちかというと社会不適合というかズルいことと言うかそういうのにうまく折り合いをつけられない正規雇用労働者なんだけれども、それを強さとあのちゃんは言ってくれる。定義づけてくれる。それだけで、僕、救われる。

 

「そういうものを自分の音楽活動だったり芸能活動だったり、表現を通して、ぶった倒していければって思います」p.34

 

芯が通っているんだなと思った。

自分の才能や容姿に溺れるのではなく、それらを利用して、何をやっていきたいのか。

実現させるために、その手段として、音楽活動や芸能活動があるから、だからこんなにあのちゃんに僕は惹かれるのだし、みんなは惹かれるのだなと思った。

芯が強い。

芯がしっかりとしている。

ああいう言葉は彼女の為にあって、ああ、だからデリーーーーーーーーーート。彼女の歌声はこんなに僕の心を穿つの。

 

「私もそうなんですけど、ファンの方々はあのちゃんの生き様に釘づけになっているんだと思います」p.54 「あのちゃんねる」プロデューサーの言葉より

 

そうだと思う。本当に。

 

 

 

 

【第二特集 練習のかたち】

ちょっとこの特集も気になっていました。だって「練習の特集」なんて今まで目にしたことなくないですか?

練習、に関して漫画家芸人作家いろんな職業の人にインタビューした記事です。面白かったです。ただ、特殊な職業の人が多かったので、サラリーマンとかコンビニ店員とか諸々、所謂ふつーの職業の人達の話も聞いてみたかったかなぁ。

 

マキヒロチ『スケッチー』-リアルな「練習」の描写に込められた大人が夢中になる瞬間

「自分もやってみたい」と思えるマンガを目指したので、練習して上達していく過程はリアルに描きたかったんです。p.59

成功して喜んでいるのを見ると、やっぱりなにか人の心を揺さぶるものがあるんだって実感します。p.59

スケッチー、序盤は滅茶苦茶面白いですよね。まさしく文中に述べられたスケボーに「夢中になる瞬間」の描写と、練習の描写はめちゃくちゃリアルで凄い好きでした。スクールで子供たちと一緒に練習したり、スケッチー(スケボーをやる女性のこと)の輪の中に入っていくのにためらいがあったり・・・。

またスケボーど・初心者の憧子がスケボーの基本お基本の技を何回も何回も挑戦するところは、あらゆる今までの僕自身がこなしてきた練習・・・ピアノ、逆上がり、ホルン、等々・・・を思い出して、とてもキュンキュンして、何か新しいこと始めてみたい!と思わされました。まぁ何も始めてませんが・・・。

そういった描写にはこだわりがあったみたいで、1ファンとして読み応えのある記事でした。

あと、法的にあかん、誰かの敷地で練習することについての作者の見解も述べられていてそこは面白かったです。あかんことだけど、なんかポジティブに捉えているみたいで。まぁ漫画なので、リアルには目を瞑って、作品のそういったとこっろは作者と同じ気持ちで楽しんで読みたいね。

 

ジャルジャル『夢路空港』-本番中に完成される面白さ

後藤「練習しすぎると当時の感情を忘れちゃうことがあって。「これおもろい」と思ったときの気持ちを忘れんために、あんまやらへんこともあります。」p.63

ネタの鮮度そのままに届けるために、あえてセッション的にネタに取り組むというんですね。成程。そういう考えもあるんだな~と思った。

確かに練習を積み重ねて積み重ねて積み重ねたうえでの集大成的音楽・・・、オーケストラや吹奏楽、も素晴らしいけれども、プロがその場で即興でやるアンサンブルも力強くていいよなぁ、と思う。後者的立場と言う事なのだろう。

ただ、実際同じように練習しているコンビの多くがえへらえへら笑って、てきとーに誤魔化したようなネタばかりになるのは本当にどうにかしてほしい。千鳥とか博多華丸大吉とかオードリーとか。小手先だけでやっているような。

なのでこの理論に肯定か、と言われるとうーんとなる。特にお笑いに関しては。

 

乗代雄介『旅する練習』-積み上げた砂のひと粒を記憶する

最初は「うまく書きたい」という気持ちもありました。ですが、風景描写を続けるうちに目標達成とは違う”なにか”を感じるようになりました。p.65

(サッカーの)なぜレギュラーになれたかが感覚としてわかることはない。実感出来るのは自分のことだけ」p.66

この人もこの作品も存じませんが、とても面白いインタビューだなぁと思いました。

練習の過程に何かを見つける、また、何かを達成した時になぜ成せたのか実感出来ない。しみじみと心にしみわたりました。

更に終盤には「練習を一生続けていく」p.67と述べているんですよね。

一体今僕が練習していることは何。

 

宮田文久ー編集とは途中の極み

特に雑誌的な編集って確たるエビデンスもないままにアタリをつけて、ある方向に走っていきますよね。そして香料が迫る中、なんとか完成度をぎりぎり高めていく・・・p.70

雑誌の編集に限らず、ピアノでもホルンでも小説の風景描写でも漫画でも小説でも、「本番」「締め切り」というものがあって、100%の完成を成すという僕達の夢は永遠にかなうことがない。

要するに世の中の総てが、何らかの未完成品。

 

綿貫大介ー平和でどこへだって行けたあのころを、朝ドラ『カムカムえぶりばでぃ』を観て思い出した

ある地域の人々の複雑な感情・思考を複雑なまま理解するには、言語を習得したり、その国の人が紡いできた文学を読むことが大切だと思う。p.71

ちょっとくらい前から、ロシア・ソ連の文化には物凄く感心があるんですが、キリル文字を読める自信はないし東欧の言語を理解出来る自信もないしそもそも何語を選べばいいのか分かりません。リトアニアラトビアエストニアポーランドベラルーシウクライナジョージア?・・・僕の中で「ソ連文化」とひとくくりにしているせいか、いまいちどこの国の文化が僕の琴線に触れているのか把握していない部分があるのです。

あと文学にしか触れられていませんが、映画、音楽、絵画、彫刻、SNS、動画、テレビ、新聞小説その他諸々全てに触れないと「地域の人々の複雑な感情・思考を複雑なまま理解する」のは難しいのではないか。

なぜなら文学、には必ず作者がいて、その作者個人の考えがその文節に文字に羅列に行間に無意識に組み込まれているものなので。

だから、文学、と限定するにしてもたくさんの作品に触れる必要があると思うし、生の文化を知りたいのであれば他のメディアにも背局的に触れるのが手っ取り早いと僕は思う。

 

「タコピーの原罪」ー罪が導く、正解のない人生

「短編群と照らすと、本作はあえて有機的に画風を汚したことがわかるが、その中で宇宙人だけはバカみたいにシュールで、それが神聖にも映る」p.72

まだ読んでないんですよね。

買ってはいるんですが。

なので軽いネタバレ食らってショックうけてる。

 

「カモン カモン」ー”ちゃんとした子供”になり損ねた大人たちのレッスン

この文章だけ今一つ、タイトルの意味がわからなかった。

タイトルには「子供になり損ねた」とあるが、文中では「あんな感受性を長じて失ってしまうなんて」p.72と書かれている。本文は、読者が子供時代”ちゃんとしだ子供”だったという前提がなされている。のに、このタイトルは如何に?

文全体で見ても、半分以上が作者のボーイスカウトの体験で埋められている。作品についてはちょろっと触れた程度。

駄文。

 

 

 

 

 

 

 

 

デリーーーーーーーーーーーーーート。

 

 

 

怪奇!YesどんぐりRPG大喜利の土手っ腹にギャガーが開けたでっかい風穴」

よく知らないんですが、なんだっけ。キングオブコントで決勝まで残ったユニットで、ピン芸人3人の集まりでしたっけ。

サツマカワRPGは、水曜日のダウンタウンで知っています。トムブラウンのみちおの風呂に永遠に入り続けた方ですよね。

サツマカワRPG「僕は中学のころからお笑い好きで、いろんな人に「敵わないな」って思いにさせられて殺されてきたんですよ。だから僕も笑いで人を殺したいとは常に思ってるので、それは当たってます」p.86

だから、こんなに面白い発想をする人間だとは知らなかった。そりゃ永遠に風呂に入ってるわ。笑いで人を殺す。面白れぇ男・・・。

後半は大喜利スパルタ塾」と、3人の中で唯一大喜利が不得意などんぐりに、残り2人が大喜利を教えるコーナーがあるのですが、文字のやり取りのなかでも3人の関係性が浮き彫りになっていて読んでておもろかったです。

まぁネタも大喜利も見たことないんですが・・・。

 

 

岡本信彦ー未来を見据えて乗り越えて

一方で、次々生まれるトレンドに置いていかれないようにしないと、という焦りも感じています。

あぐらをかいていたら、一瞬で席がなくなってしまいますからね。p.103

声優にしては、意外と地に足がついている人ですよね。結婚していたり(まぁバレ方ださかったですけど。)、プロフィット解体の際にも引き連れて新しい会社を立ち上げたり、なんかいろいろしっかり考えているんだろうなぁと思います。

実際上記の抜粋部分でも分かるように意識もストイックそうだし。

多分、この人が長年生き残れたのってそういう内面の部分がデカいんじゃないかなって思うんですよ。

その片鱗が知れた、と言う意味では面白いインタビューです。

ちなみに歌はびっくりするくらい下手だと聞いたことがあります。

 

大橋彩香ー人との出会いはドキドキするけど、曲とはいい感じに再会出来ました

大橋「レコーディングってエネルギーをたくさん使うのか、すっごくお腹が減るんでしょ!」p.115

わかる~!!!

大橋ちゃんと言えば一時期めっちゃ太ってたけどでもなんか痩せたよね。

僕もめっちゃ食べるの好きなんですよ。

今の彼女みたくうまく身体コントロールしながらやっていきたいわね。

あと大橋さんは篇に尖ってないのがいいよね。愛嬌もあって・・・。

 

富田美憂ー好きなことをして理想を叶える

好きなことを仕事にできるってすごく幸せなはずなのに、なんでこんなにしんどいおもいをしんなきゃいけないんだろう、と。p.117

今の女性声優の中で好きな声ベスト3には入るかもしれないです。キンキン声出せる若手って彼女くらいしかいないんじゃないですか?今。

メイドインアビスのOPは衝撃だったね。今でも聴きます。

ただ人間性としては凄くとんがっていてちょっとドン引きしていた、というのもあるんですけど、今なんかようやっとちょっついて来たって感じかな。

 

小原好美が放つ色

声は聞いたことあるんですよ。キュアミルキー、書記、「あそあそ」の眼鏡・・・。でも顔は知らなかった。

こういう感じの人だったんだ~というのがまぁ普通に感想。

写真集どうなんですかね。売れるんでしょうか。

顔が売れていないと・・・それは多少不細工であろうが美人であろうが・・・、手に取ろうという人は少ないんじゃなかろうか。

でも声演技は圧倒的だしなぁ。ちょっと興味あります。

結果だけ教えて。

 

 

降旗愛のロマンチックが足りてない!?ー第4回インナールード 過去の対談をプレイバック!

降旗「全曲、本間さんがアレンジして下さっているので、どこか自分の楽曲としてとらえることができました」p.120

ポルノグラフィティの本間さんがプロデュースしているのですが・・・そこにレトロが巧い具合に重なって・・・彼女の歌本当に最高です。めっちゃいい。

でもそれは彼女の声、というか、彼女と言う存在(それは例えば顔面が圧倒的可愛い!!じゃなくてもピンク髪が自然に似合ってしまうところ)、昭和レトロな世界観、そして本間さんの天才的な音作り・・・の巧妙な組み合わせがビッグバン!!って感じです。

ファーストアルバムの「CITY」はめちゃくちゃヘビロテしてますが、何回聴いても最高なんだな。

ニューレトロ、というらしいですが、ああいうイラスト界隈の流れが好きな人は彼女の音楽絶対びっちりハマるはずです。

夏にむけてCDを出してんだけど今僕はすごく無駄使いをして金がないので、夏になったら買おうかなぁ・・・。

 

 

東山奈央ー『Now loading...』制作秘話

楽曲制作やライブでも、ぎりぎりまでやることはあるんですが、今回はその限界を軽々と超えて行った感じはあります。p.126

文字の大きさまで本人関わったそうです。凄い。

全部が「楽しい」に塗り替えられちゃうくらい、おかげさまで本当にいい一冊を作ることが出来ました。p.129

うわぁ・・・そこまで一生懸命になれるの本当にすごい。というか僕も何事も全力でやっちゃって疲れちゃうタイプなんですけど、そういうのを経ないと愉しみを得られない、ってことですかね?そういう面では似てんのかな。とか勝手に思ったり。

そこがクレイジーなんだ、真面目も極めれば個性になるんだ、と。p.132

気を遣われたら最後だと思ってるんですよ。p.134

これ凄い響いた。気を遣われたら最後。

本当にストイック、というか真面目と言うか・・・。彼女が何で長年声優界を牽引することが出来たか、がぎっしり詰まっているインタビューです。読み応えがあります。

あのちゃん、岡本信彦のインタビューもそうですが、一流の人って本当にキリキリキリキリ切り詰めて、ストイックなんですよね。本当に凄い。

それが出来るかできないか、で結局別れてしまうのかもしれない。

努力できるのは才能だ、とかいうけれど、彼等のインタビューを読むとちょっとその言葉も正しいんじゃないかとか思えてくる。

僕もがんばろーって思う。

あと、多分彼女は僕よりちょい年上なんで30くらいだと思うんですが・・・どんどん美人になっていくんですよね。顔面の造作、ではなくて彼女の人生で見についたものが彼女をドンドン美しくしてきたんだと思います。

声優、としてではなく生き方の先輩として勉強になった一冊。

 

 

 

裏表紙も表紙

 

 

 

デリーーーーーーーーーーーーーート。

 

 

AKB48 本田仁美&小栗有以ー韓国で得た者、日本に還元できること

本田「でも新しいことに挑戦して、新たに好きになってくれる方もいるはずだと思います」p.105

本田「いちばん強く感じあたのは、下準備の大切さです」p.105

本田「韓国で生活をしていて、物事をはっきりと伝えることの大切さを知りました。」p.106

話題は必然と、帰国後「元カレです」でセンター抜擢された本田ちゃん中心です。その間ずっとAKBのエースとして頑張ていた小栗。チーム8の生き残りの戦友・友情についてインタビューしたかったんでしょうが、まぁ文字数ページ数足りなかったね・・・。小栗さんほとんどしゃべってないやんけ。

AKBは支店、本店完全区別するようになってからは結構気になっています。NGTはアルバムを出すし、STUはトリプルセンターという謎面白制度を起用することで瀧野一強を防ぐ。NMBは総選挙ナンバトルやってましたね。日本から韓国へアイドルを目指しに渡る女の子が多い中で、韓国から日本にNMBを受けに来た「しよみん」はTwitterフォローしているのと、結構気になっています。何が彼女をAKBに惹きつけたのか。

SKEは懲りず最年少をセンターに据え、HKTはまぁうん・・・かわいいよね。宮崎想乃ちゃん。

バチバチにやってほしいですね。

話変わりますが、ヒプノシスマイクも6チーム、AKBも6チーム。

争え・・・もっと争え・・・!!

 

 

lyrical schoolー自分たちににしか歌えない、リリカルらしさって?

「今はお手本が自分自身になってる。5人が5人とも自分を乗り越えて作れたアルバムです」p.109

初めてこの記事で彼女達の存在を知りました。

ユーチューブで軽く聞いてみたんですけど・・・なるほどフィロソフィーのダンス枠でしょうか。

ただちょっとまぁなんか・・・微妙にどっちつかずな印象。声が圧倒的に女の子なんですよ。もっと越えろ。越えていけ。

 

新山詩織ー気づけばいつも音楽の中に

女性歌手はすぐに海外に行くなぁ。どこからその金出ているんだろ。僕にも少し分けてくれ。僕にも少し分けてくれ。

 

 

デリーーーーーーーーーーーーーート。

 

 

深見東州ー武道館に咲かせた桜ふぶき

武道館でライブやってんの草。しかも大盛況らしかったのも草。

そしてライブレポートもこうやってあるのも本当草。

 

 

 

 



 

 

 

デリーーーーーーーーーーーーーート。

 

 

途中のひと第2回ー嵐莉菜

「ほぼ完成に近い状態を保ちながら、常に進化できるような人になりたいです」p.7

彼女の主演作が静岡でも公開されるようで、視に行こうかどうか悩んでいるなう。

 

彼女は絶対に彼女じゃない 第壱話:どこにでもいそうでどこにでもいなさそうなこういうかわいい子になりたいけれども、僕はこんな時間にチョコシュー食べてるし最近腰痛めちゃったしなんかなれそうにもない。せめて痩せよう、と思うけれどもすぐに元気になる方法はチョコレートを食べること。ねぇ、今日はメランコリックだからそれくらいさぁ、赦してよ。

 

馬込将充:空白の街で

僕もこういう写真が撮りたいよ~。

撮って掲載されてお金が欲しいよ~。

実はカメラは持っているのですけれども実際撮影したことは1回きりですのん。

 

僕のマリ「加速し続ける」

僕のマリの母親「でも、女の子じゃん、普通じゃないのが怖かった。どうにか普通の子と同じようにって育てようとして、そうやって守ってあげないとって思ってた」p.175

僕も昔よくクラスメイト・友達と比べられて「どうしてあんたは・・・」とか「普通にしなさい」とか言われ続けてきたんだけど、言ってる側の気持ちってそうだったんだぁと思った。

あと僕のマリって女性だったんだ。

 

ニシダ(ラランド)『邂逅』

美人になるし小説書き始めるし・・・もうこれ令和の山田詠美不可避だろ。

 

小林成彬「音楽家による日々の記録 消息 第18回」

この広い地球で人間として生まれた以上、たとえどんな立場に置かれたとしても、自分の信条に基づいて間違っていることは間違っているとしっかり主張できるようにいなければいけません」p.79

信条、とたやすく音楽家は言うが、これが私の信条ですと言える人などいったい何人この世界にいると思って?

信条。何を信じ何を考え何をするのか信条。信条。

そこを誰かに任せてしまえば、何も考えなくていい。

だから2022年令和になっても無限に教祖は生まれ無限に新興宗教の人口は増え続けていくのだと思う。

無宗教、とまではいかないけれども、いろんな宗教の色んなことを知って都合よくいろんな宗教を嗜んで生きて生きたいと言うのは、我儘ですかね、イエスキリスト?アッラー仏陀

 

TBS田村真子アナウンサーの『ラヴィット!」日誌

「最近ではTBSの局内でも私の知り合いからも「『ラヴィット!』面白いよね」と声をかけてもらうことが多いんです」p.179

よかったね・・・これに尽きます。

最近まで民放視聴率圧倒的下位だったTBS、最近はラヴィットといい、プレバト・モニタリングといい、ターゲットの年齢層が明確な番組が多くて頑張っているなぁ、と思うよ。

水ダウはちなみに毎回見てます。

 

JO1川尻蓮ー歌に対して見える景色が変わった

「バラバラな僕達が本気でやり続ける限り、”JO1らしさ”は生まれ続けるのだと思うんです」p.191

僕も本気でやり続けたいけど、でも結構疲れちゃうんですよね。どうしたらいいんですかね・・・。別に歌もダンスもスポーツも何もやっていないのに。何もやっていないからか?

 

英世の顔もわからない!第1回ー歯が命イズノットデッド

おそらく美肌やデカ目に比べると、母が来全ての人が等しく持っている「資源」とみなされ、モノ申す事にひとつ大義名分が与えられるような気持ちになるのかも知れません。p.123

芸能人の歯の考察なのですが、結構面白かったです。芸人でも最近はちゃんと歯医者に行って治療する・・・一般人がやっているようなことをやっているよね。あと歯並びとかも気にしちゃっているよねという話。

で、そもそも歯がそんなに中億を浴びるのは、上記の一文のように、「皆に平等に与えられたもの」という概念が強く蔓延っているからではないかというお話。

僕もね、最近両奥歯が痛いんですよ。

本当に痛い。

でも歯医者行くと金払って痛い思いをしなくてはいけない。

でも行かないともっと痛い思いをすることになる・・・。

辛い。本当に辛い。

でも、この文章によるとあの鈴木もぐらもきちんと歯医者に行っているらしいので僕も行こうと思いました。

あと最近気になっている芸人の歯は、見取り図盛山の歯です。白すぎるだろ。

 

北出栞「セカイは今、どこにあるのか?ー2020年代セカイ系 第2回」

聞きかじった物語や歴史で何かを理解した気に穴るのではなく、自らの「セカイ」のリアリティに留まるということ。p.145

そんなことよりもナチュラルに「2020年代セカイ系」と言う言葉が使われていることに驚く。2010年代、確かに10年あったはずなんだけれども、いまいち僕は何をしていたのか何があったのかどういう時代だったのかぼんやりしていて掴めない。2010年は高校2年生で部活引退して大学入ってそれでニートしてフリーターして今思えば彷徨っている10年だったような気がするんだけれども2020年を過ぎた今でも彷徨っているねえこれが人生、生きるってことなんですかね。もっとガツガツ明確に輪郭があるように思ていたけれどもどうやらそうじゃないらしいです。

あと進撃の巨人未読なので、普通に難しかった。

 

高島鈴「世界転覆望遠鏡 第2回」

「他者関係とは伝えず揺らぎながら届くメッセージの連なりだ」p.147

終盤の一文である。「人間関係」、作者の定義づけ、がしっかり簡潔になされているのがよかった。

あと好きな漫画・作品をいくつかピックアップして論じるのは並々のことじゃないなと思う。並々のことじゃない。

 

つやちゃん「扇動する生体 chapter2 スピードの美学」

何度も繰り返し練習しながら、それでも漫才を絶った今生まれたての言葉としてしゃべること。p.148

漫才とラップを比較しながら論じていく文章である。

途中でウーマンラッシュアワーの漫才が出てくる。肯定的な意見が述べられていて、僕は嬉しくなる。村本は静岡の片田舎のホールでも全力で早口漫才をやってくれていた。あの熱量は凄かった。多分あれから3-4年たっているんだけれども今でもあの感動は克明に思い出せる。村本の漫才はもっと評価されてもいいと思う。人間性はまぁうん。でも漫才はもっと評価されてもいいと思う、と思っていたので、とてもうなずいてしまった。確かにあのスピード感で自分の思考をまたたくまにしゃべるというスタイルはまんまラップなのかもしれないね。

 

立川吉笑「落語のからだ アナトミア 第1回 その拡張子は間違っています」

コントじゃなくて言葉だけで表現する漫談や漫才は想像の余白が多く、うまく活用すれば観客の脳内保管を促すことが出来る。p.150

若手の落語家さんが真剣に落語の可能性について論じた文章です。面白いといわれれば面白い。特に「拡張子」というが概念を持ち出したのは新鮮だなぁと思った。

ただ、漫才・落語と言葉だけのお笑いをする人の文章を掲載するのであれば、対となるコントを生業とする人の文章も掲載しないとちょっとアンフェアかなぁとも思う。

 

第九回コラムニストユースケ 『ブラックコーヒーの優しい説明』

ブラックコーヒーをただただ美味しいだけ言う人は優しくないしカッコつけてると僕は思ってしまいますp.153

ユースケっていえばごいごいすーの裏で踊ってるお産のイメージが長年遭ったんですが、はえーこんなこと考えてるんだと思った一話。確かに水ダウ見る限り相方よりかなりまともそうだったしなぁ。結構面白いです。

宇垣美里といい、隠れた文豪をあぶりだす雑誌・QJ。宇垣は女モテ意識しすぎて最近変な方向いっちゃてますが。あれ誰かとめて。まじで。

ちなみに僕はコーヒーはブラックも飲みますが、甘いやつを最近はずっと飲んでます。ブレンディのスティックが最強だからと気づいただから。

 

information

一番気になったのは『まるみちゃんとうさぎくん』とまぐろどん。

 

 

 



 

 

 

「いないいないばぁ。」

 

 

以上である。

久々に読んだけど久々に読んでも結構面白かったよの一冊。

読み応えがありますね。やっぱり。

あと特集に「練習」をもってくるあたり雑誌としての熱量、チャレンジ精神も感じられてとても好き。クイックジャパン

 

そういえば、欅坂から櫻坂に改名して一回も特集組んでない。

是非組んでほしい。というか早急に組んでほしい。今すぐ!

 

 

 

 

 

 

***

 

LINKS

「スケッチー」の感想とか、ウーマンラッシュアワーが出ていたライブの感想とか、生でみたあのちゃんの感想とか。アイドル現役時代のあのちゃん、一瞬でも見れて本当に良かったとこれは心から思います。

てか、次の号もクイックジャパン、アルピーが表紙なので買います。

おぎゆか表紙はこれはジャケ買いでした。アイドルとしての彼女はここが最盛期だったね・・・。

 

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中山昌亮『後遺症ラジオ 3-4』-ムチっとバリバリ。-

 

 

 

 

なんだろうなぁ・・・不安の種は一話一話で不安の種だったじゃないですか。

これは6冊まとめてまるごと超絶巨大の不安の種。

って感じかな。

 

 

 

 

 

 

いや、ラジオなんですけど・・・もしもし、きこえますか?

 

 

 

 

 

 

中山昌亮『後遺症ラジオ 3-4』(講談社 2015-2016年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

 

 

【あらすじ】

『不安の種』なら・・・まだ手に負えた。

鼓膜を破ろうが・・・眼球を抉ろうが、

この放送から逃れる術はもはやない!!

3巻帯より

 

日常の罅割に・・・・・・滲み出る

無窮の暗闇を・・・・・・這いまわる

化膿した患部から・・・・・・迸る

眼球の裏側で・・・・・・北叟笑む

ーーー人外の遺物が齎す”何か”を『不安の種』の中山昌亮が描く・・・。

4巻帯より

 

【読むべき人】

・髪フェチ:アクティブな髪の毛(なんと頭部つき!文字通りの出血大サービス!!!)が見られるよ!!!

 

 

3巻(2015年)はバーコード在りますが、4巻(2016年)は消えてます。
講談社がシールバーコードはじめてもう6年たつのか・・・。

 

 

【感想】

どんどん物語があっちこっちで繋がり始めて面白くなってきましたね。確かにこれは時系列順に並べたくなる。並べてコンビニコミックで出版してほしいわ頼むよ講談社

そして当たり前だけど、巻を重ねるごとにどんどんどんどん現象が悪化していく。多発していく。

この2冊から、ピクミンみたいな小さいのがわさわさ出てきます。ピクミンは可愛くて無害だけど、でもこれらはかわいくなくて結構有害だから困る。

 

あと2冊読んで思ったのは、やっぱり中山先生の真髄は顔芸にありますね。いや怪異現象自体も怖いんですよ。当たり前ですよ。ド派手にしかも画力高くバーンバーン結構な頻度でやってくれるんですから。

でもその中でも、一通りぱっと浮かぶのは、不気味な顔のドアップなんですよね。1-2巻の全部髪の毛ブシャーの人形といい。あとつるっぱげの眼球ぎょろぎょろのあの顔といい。

なんだろうなぁ・・・表情が上手いのかなぁ。多分人間単体の画力で言えば、そこまで優れている訳では無いと思うんですが、でも怯える人間の顔も凄い表情が豊かなんですよね。

「恐怖のにらめっこ漫画」て言ってもいいと思います。まぁラジオ、ってタイトルに憑いちゃってるけど。「後遺症ニラメッコ」の方が内容的には合ってると思う。

 

 

この表紙は手描きなの、地味にすごいと思う。画像じゃわかりにくいかもだけど。

 

というわけで、この2冊で好きな顔のドアップランキング、発表します。

 

第一位 3巻p.56の女の顔

こういうぱっちり目、無理。口元も何気にポイント高い。なんでそんなに歯がちいせぇんだよ。鮫か?

第二位 4巻p.158の寝顔

4巻最後に収録されている顔です。入る、んじゃなくて出てくるってもう手遅れじゃん。人間は寝ている間にゴキブリを何匹か食べてるだの食べてないだのって言う話を思い出した。

第三位 4巻p.101の日本人形

まぁこの後へんがお・・・怖い顔になる訳ですが、勿体ない。そのままの君でいいんだよ。

第四位 3巻p.100の村人の顔

顔が血管浮き出て、バッチバチに割れているのが怖かった。引っ張られる系より、割れる系の方が僕は個人的に、すこじゃないですね。すこじゃない、もっとやれ。

第五位 3巻pp.6-7の包帯男の顔

予想外だった。絶対血で汚れてこっち眼球ぐりぐり見てるんだろ~?と思ったら違った。この2ページで一気に引き込まれた。順番びいきも多少入りながらのランクイン。

 

番外編 ちょっとびみょーで冷めた顔

4巻p.18から出てくる笑っている白い顔

これはネットのある有名な怖い画像にそっくりですね。特に口元が。オリジナリティが他の顔と比べて感じられない。ましてや、「不安の種」含めてここまでオリジナリティあふれる怖いの生み出し続けてきた中山先生がこんな・・・こんなネット画像を想起させる顔を作るなんて・・・とちょっとがっくりきた。

確かに、1-2巻で出てきた目ばっちり顔も、立花夕子氏の作品を想起させることもないことはないが、あれはあれでつるっぱげ虚空の目あとつるっぱげという強烈なオリジナリティがあったから良かった。けれどこの顔はちょっと・・・あまりにも似すぎてない?

 

 

 

 

以下簡単に各巻の感想を記しておく。ねたばらすかもしれない。

 

 

 

まさかの裏面群青色なんだっていうね。

3巻。

どうでもいいけど表紙かなりセクシーだと思う。

一番の見どころは、やっぱり、33.95NHzで、坊主3人と神主の話が繋がっていることが判明する部分かなぁ。言われてみればそうなんだけど、あっ!!って思った。まさか1巻で衝撃的に死んだ神主が巻き戻って元気な姿で現れるとは思わなんだ。あと顔全体割れてるお人形とも再会できたのでそれは良かったです。

それと、後半の65.03NHz。これも1巻のそことそこが繋がるぅ~?!ってなった。あと呪いが物騒過ぎてちょっと草。みんな死んでんじゃん。あと、1巻で出てきた飛び降り自殺がどうやっておぐしさまに関連するのかな?とは思っていたのですが、ああそういうことだったのかぁと謎が解けてすっきりした。

 

不安の種のように、一話単体で読める話も結構ありましたね。

一番ぐっときたのは26.92NHz。最後ちょっとぞっとした。これ、彫られてるところって学校ですよね。ということはこのエピソードが時系列の最後の方にくるってことかな。廃村となった村を訪れて・・・ってことですよね。

あと、75.32NHzも実話怪談みたいで良かった。あとゴリラ顔。特にpp.110-111の2ページは圧巻。ただこのエピソード、どうやっておぐしさまと関連するのか皆目見当がつかない。ゴリラとおぐしさまの関係とは!?

あと53.78NHz、これも実話怪談として成立しそうな単体でも楽しめるタイプでしたね。出てくるのが髪の毛どふっさーなことから、まだおぐしさまとの関連性が深そう。最後の一ページが切ないよぉ。

1-2巻と比較すると結構ぐいぐい読めたかな、感。恐らく上記のように単体で楽しめる話が散らばっていたからこそ、読み易かったってのもあると思う。

 

あと1ページ目の片目隠してるねーちゃん美人過ぎ。

 

 

 

やっぱり帯が良い。

4巻

一番表紙がグロテスクですね。地味に右のねじのぶつぶつ感が気持ち悪い。ニキビか?

 

特に気になったのは以下の二部分。

一つ目は、57.48NHz、49.11NHz。中山先生の絵の欠点のひとつに、人物の書き分けが出来てないってのがあるんですよね。3巻に出てきたゴリラのように主要人物を分かりやすく記号化してほしかった。この話に出てきた男が誰か全然分かんないんですよ。そもそも同一人物なの?違う人物なの?すら分からない。多分1巻2巻で彼女ともめていたヤツだとは思うんですが・・・。え?だとしたらヤツは死んだってこと?となると、ちょっと衝撃的。そして登場人物が死んで来るとあれだな・・・一気に邦画ホラー感でてきたな・・・。それと、目と口にゆで卵ツッコんだようなあの顔は、「不安の種1巻」の表紙を思い出しますね・・・ちょっとノスタルジー

二つ目は37.61NHzまさか寺社関連のハゲ二人目と会えるとは思わなかったぜ・・・!そしてハゲってことは多分3巻にも出てきたあの3坊主のうちの一人、ってことかな。それがちょっと気になった。

 

単体でぐっときたエピソードは72.56NHz。お人形が可愛いんよ。でも話の内容もなかなか不気味。ええ・・・どんだけ主人のこと好きやねんとはなったけれども。あとやっぱ、人形が可愛い。

あと46.54NHz。これも怖くないことはなかったけど、なんかめちゃくちゃ汚い夏目友人帳やんってなった。友人でも何でもないけどさ。

 

 

 

ちらっ★

 

 

この漫画には、1-2巻き同様随所随所にポエムがある。本シリーズの根幹となる謎を解き明かしてくれるかもしれない、と言う訳で、今回も律儀にここにメモしておく。

 

3巻

低くそびえ立つ塔を仰ぎ

広く閉じた両の腕で

澄みわたる曇天を泳いで渡る

鉛の窓に広がる光景は

下へ下へと立ちのぼる紫煙に似て

山の浅瀬を寄せては返し

崩れては粗合われる人形を映す

冷たく湯立つ釜の水

黒く爪先を温めて

頭上高く滴り落ち

間近の遠くを照らして

遥かな目先を失わせる

覆い隠して明らかにする月明かり

欠けては満ちるに飽いている

誰ぞ止めてはくれないか

誰ぞ止めてはくれないか

空に隠くるには忍びない

 

4巻

闇夜のカラスを目印に

踵から前へと歩を進め

傷一つ見えない戦地にて

一粒の米に七つの領地を奪い合い

神の意を説いて廻る泥棒達と

降り止まぬ教祖たちが川となり異臭を放つ

呪いの地と毒づきながら、その地に棲みつく赤ん坊

無限に続くおかわりは

イタダキマスもゴチソウサマも響くことなく

穀倉を汚す悦びだけを糧に

怒りの表情で笑っている

剥き出しの汚らしい歯からは

臭い息と偽の正しき行いが吐き出され

他人の家を売る妄執にに飽く日は来ない

 

1-3巻の途中まで、一行で矛盾する言葉が続いていましたが、どうやら3巻の「誰ぞ止めてはくれないか」の反復法を用いた地点でひと段落、といったところでしょうか。

4巻からは新しいポエムが始まっている気がする。矛盾する言葉がないから。でも4巻単体で見てもポエムの意味は今ひとつ分からないですね・・・どうやら農地と赤ん坊が関係してるっぽい?

4巻の後半、黒いページとなっている所謂「過去篇」みたいなのがあるのですが、そこに根付く詩ということでしょうか。

 

ちなみに黒いページ・・・といえヴぁカラスヤサトシ先生の「いんへるの」思い出して懐かしくなっちゃった・・・2巻電子書籍でしか出てないんだってね・・・どうしようかなあ。どうしようかなあ。

 

 

 

 

 

エロい(確信)

メガネかけたら一気にうぜぇ学年主任感でてきたな

 

 

 

 

以上である。

3-4巻はスピーディにしゅるるるるっ!!!って感じで読めた。

意外なところと意外なところが繋がるエピソードが多かったりしてそこも楽しめた。

5巻も楽しみ。なぜならメルカリで1-5巻のセットでしか買ってないので。最終巻の6は未だに手元にない。

 

 

 

 

***

 

LINKS

そういえばこの前ANNのスペシャルウィークがあって、三四郎のANN0はゲストが星野ディスコと四千頭身・都築と聞いて「絶対微妙じゃん~」と思ったらめちゃくちゃ神回で驚きました。逆にマヂカルラブリーのANN0はゲストがZAZYときいてめちゃくちゃ楽しみにしていたのですがめちゃくちゃ微妙で驚きました。そういうラジオ話をしている記事一覧ですね。

 

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中山昌亮『後遺症ラジオ1-2』-この番組は、スカ●プDの提供でお送りしております。-

 

 

 

 

 

 

 

・・・・電波は、良好。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山昌亮『後遺症ラジオ1-2』(講談社 2012年-2014年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

 

【あらすじ】

「不安の種」の中山昌亮が、再び描く”魔”の瞬間!

 

読後ノ後遺症ハ極メテ重篤

後デ”怖イモノ見タサ”ヲ呪ッテモ・・・・・・・・・手遅レデス。

 

1巻帯より

 

【読むべき人】

・邦画ホラーの雰囲気が好きな人

・「不安の種」が好きな人

・髪の毛モノが好きな人

 

 

 

 

【感想】

後遺症ラジオ、とあるがラジオ要素いまのところ皆無のホラー漫画。

後遺症、は「後を引く怖さ」という意味では分かるんだけれども、なんでラジオなんだろ。今のところ「後遺症ラジオ」っつーか、「後遺症ヘアー」って感じなんですけれども。

 

内容は、「不安の種」が好きだったらまぁ、ある程度楽しめると思う。

「不安の種」の違いとしては、数々起きる怪奇現象に恐らく繋がりがあるということ。怪奇現象が8割髪の毛だということ。そして「おぐしさま」と呼ばれる神様?関連の現象を集めた本であるということ。

実話怪談やホラー漫画で髪の毛モノが一番ゾッとするという人は間違いなく合うと思います。逆に「髪の毛モノはワンパターンでつまらない」と思う人は絶対にあわないと思います。おススメしない。定番だからね。

僕はどちらでもない。まぁ可能なら自分の髪の毛がもうちょっと生えてほしいかな・・・この前美容師に「将来は間違いなく禿げるね」とやんわり言われたから・・・おぐしさまぁ・・・・おぐしさまぁ・・・・ってくらいなのでまぁまぁ楽しめた。

 

そのおぐしさま」っていうのがいかにも日本!!って感じの神様。

明治か江戸の農村で「さま」づけで崇められる・・・。一方で時々怪奇げんしょ・・・怪奇髪の毛が襲ってくる・・・・。

邦画ホラーみたいだなと思った。邦画ホラーあんま見たことないけど。

ご本尊が1巻後半に出てくるんですが、ちょっとお姿はがっかりだったかなぁ・・・。こういう不気味な神様はすぐ性器に逃げる。ち●こに逃げるな。ちゃんと1から描け。

一方で、1巻の後半p.82で出てきた顔からびっしり髪の毛人形は不気味だった。これこそ「おぐしさま」のご本尊にふさわしいと思うのですが・・・どうでしょう。

 

あと、話は時系列じゃない。連続していることは分かっているのだけれども、あっちこっち時代も場所も飛んでいく。なので「ああそういや襲われてるコイツいたわ」「なんか見覚えあるね君。スカルプディーのCM出てた?」からはじまることが多い。

恐らく、ダイヤルを回していると適当に電波を拾ってバラバラに聞こえてくるラジオ、を想起させる構成で、あえてと思われる。

そして色んな所でいろんな時代で起きた、

ありとあらゆる事象が、

おぐしさま」に結びついてく。

どこがどう繋がってるのか。

おぐしさまのとは。

一体どうしてこんな現象が起こるのか。

『不安の種』シリーズは一回一回の現象が読み切りだったから何も考えず読んでいればOKだったけれど、『後遺症ラジオ』はそこだけちょっと頭を使って読まないといけない。

ところがどっこいまぐろどん、本格ミステリは別にそんなに興味がない。考察班にも属していない。アマゾンのレビューで最新刊である6巻のところに「時系列で並べなおしたものをまた読んでみたいです!」という言葉があったが、これは僕も、読んでみたいです!

せめてひぐらしのなく頃にみたく「解答編」のように対になる存在がほしいところ。無論「ひぐらし」読んだことも見たこともありませんが。

 

 

 

帯がそれぞれ最高なんですよね。

 

 

あと・・・単行本のとしての工夫も面白いなと思った。

この何を伝えたいのか分からない表紙イラスト、をはじめ中身も不気味さ・怖さを際立たせる工夫がなされている。

例えば1-2巻共に顔のアップが時々入る。一人の顔のアップで、話の合間合間に動きがあって、それが不気味で面白い。特に1巻は連続して見ると「にらめっこ」して変顔しているみたいでちょっと笑った。最後キスしようと迫って来るし・・・。

あと、ページ数が記載されていない。目次に各エピソードのページ数が記載されているが、本書では本編中一切ページの数字が記載されていない。次々と捲りくる怪奇現象への没入感を演出するためだと思われる。気づいたとき凄い、って思った。確かにページをめくる手はとまらなかった。

そもそも目次のページも新聞をパロッたりしていてこれも見ていてなかなか面白い。

一体どっから何処までが作者の仕事で編集者の仕事でデザイナーの仕事なのかあやふやな部分もあるが、色々意匠が凝らされていて面白かった。

 

以下簡単に、各巻の感想を簡単に書いておく。ネタバレあり。

 

 

 

 

 

1巻。

時系列がぐちゃぐちゃの構成にはじめこそ戸惑ったけれどもすぐになれる。一話一話襲ってくる怪異現象と毛量が凄すぎて、そんなことすぐ忘れてしまう。

特に怖かった怪奇現象は・・・「82.39NHz」「33.89NHz」「25.12NHz」。7話目9話目10話目と連続しているが、中盤の盛り上がりが結構良かった。

「82.39NHz」は結構長めの話。ハゲになった元カノがやってくるが・・・と言った具合。彼女の表情の豹変がとても怖かった。髪の毛を総て剃ってもおぐしさまは満足されないというのが怖ろしい。そんだけ毛がほしいねん。でも頭引っ張って無理矢理こそぎぬくより、股間引っ張って陰毛抜いたほうが毛を効率的に集められると思うのだけど・・・そもそもご本尊ち●こなんだしそっちのほうが自然なのでは?。で、髪の毛は無論体毛陰毛お金かけずにつるんってなるっていう・・・。R18の「後遺症ラジオ」の同人誌でありそうですね。

「33.89NHz」は最後の顔から髪の毛ブシャーのお人形が不気味で怖かった。この一ページに勝るエピソード、今のところなし(2巻まで既読現在)。やっぱ令和なんだし人形は髪の毛伸ばしてナンボの時代。

「25.12NHz」は、男子生徒がある日とち狂って・・・という話。その男子生徒の顔が不気味で、辻褄の合わないセリフ回しも厭だった。あとこのエピソードだけいまいちどの時代に当てはまるのか特にわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子生徒「おぐしさまって・・・・・・・・・・何ですか?・・・・・・・・・・・・・・・」p.88

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2巻。

あれ?何だっけ・・・の冒頭から始まって、どんどん物語にのめり込んでいく中盤が一番面白くなってくるのだけれども、前半江戸時代のエピソードで占められていてそこが個人的に残念だった。

恐らく江戸時代のエピソードがこれからも出てくるキーワード的話なんだろうし、ひとつの山場だとは理解していても、それでもちょっとうーん・・・といった印象。江戸時代もの、自体が僕自身あんまり・・・っていうのと、あと怪奇現象自体もちょっと地味かな。もっと派手に起きてほしかった。

それこそ「44.44NHz」のように派手に。

まず、工事中のおっちゃんが物凄く引っ張られて死ぬんだけど、その描写が圧巻。不気味グロ怖い、全部詰まっている。からの、最後の静かな神主の死が、不思議な余韻を残す。

4、「死」で揃っている電波ですが、この話が2巻では一番好きですね。

そして2巻読んで思ったのですが・・・多分本作の主人公は千冬の元カレになるのかな。今のところ探偵役を務められそうなのが彼しかいないのですが・・・。でもこれで3巻の冒頭であっさり死んだらウケるな。

 

 

 

 

 

 

加えて、本作では全編通して随所に顔のアップと、ポエムが描かれている。

おぐしさまの謎を解くヒントにもなりえると思うので、1巻2巻それぞれ蒐集してメモ代わりにここに記しておく。

 

1巻

夜明けの晩に・・・・・・

うしろの正面だあれ・・・・・・

遥か向こうのおとなり様

十の腕と二本の指で

水底深く浮き上がり・・・・・

固く冷たく溶けていく

足並み揃え行軍続けるたった独りの行列は

開かぬ門から出て行った

昨夜生まれた老人は・・・・・・

のこさっれた朝日は四十と九 同じく夕日は百と五

問いと答えを壺に入れ 戸棚の奥で六十余年

理だけが床で朽ちる

さめざめ笑い クスクス泣く 軒下の虫

雲ひとつない雷雨の頃

熟さず落ちない甘苦い実に

群がり集る唯一神

夢中で飽きた季節を繰る

 

2巻

眩いばかりの暗闇を

漆黒の光が包み込み

真白の影が背後を追う頃

瞑った目と目が凝視する

煌めきを増す曇天は

墨のような星間を呑み尽くし

熱く凍てつく息を吐く

生涯を独り身の夫婦に授けられし生命は

生涯を穴倉に暮らす旅人に・・・・・・

祖父は息子に 父は孫に

己の位置を問われたならば

問うものの目は見ぬがよい

 

「かごめかごめ」の歌詞からはじまり、その歌詞同様ほとんどの行が矛盾する表現で満ち溢れている。

はじめはそれぞれの回のタイトルかと思ったら、一部は内容とまったく一致しない回も多くみっれる。おそらくひと繋ぎの詩と思われるが・・・全然意味が分かんね。

 

 

 

メルカリで買ったら購入特典のペーパーもついてきました。
2012年・・・。

以上である。

髪の毛ホラーが好きならまず間違いなく読んで損はない。

「不安の種」とは違って、話の間につながりがあるが、そこを楽しめるかどうか。

 

ちなみに、中山先生のホラー、「後遺症ラジオ」「不安の種」どっちから読めばいいの?って聞かれたら、僕は絶対「不安の種」を勧めます。単純に読み易いので・・・。

「不安の種」が気に入ったら・・・っていう人が手に取るべき作品だと思います。多分初っ端この作品手にとったら意味わかんなくてハゲちゃうんじゃないかな。おぐしさまの仕業だぁ・・・お断ちください・・・。

 

 

 

 

 

 

・・・なんか髪の毛とかハゲとかち●ことかあまりにもラジオ要素に触れてないので、僕が最近聞いているラジオ番組を並べて終えようと思う。

 

 

「アルコアンドピースのD.C.garage」「マヂカルラブリーオールナイトニッポン0」「空気階段の踊り場」「ハライチのターン!」「三四郎オールナイトニッポン0」

 

***

 

LINKS

「不安の種」は読了してる。「+」以降は未読。

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「箪笥」-一生忘れないであろう家族写真(血まみれ)。-

 

 

15年越えのトラウマ克服。とか。

 

 

 

「箪笥」(監督:キム・ジウン 配給:コムストック 主演:イム・スジョン 2003年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

 

【あらすじ】

その扉の向こうには、家族の哀しくも残酷なかこが封印されていた。

それは、絶対に開けてはならない扉だった・・・

 

ソウル郊外にしずかにたたずむいっけんのやしき。到着したkる馬からスミ、ションの美しい姉妹が降り立った。

ふたりをママ八派のウンジュは映画尾で迎えるが、彼女はどこか冷ややかな表情をしていた。

 

ウンジュ「お前は本当の恐怖を知ってる?」

 

パンフレットより

 

【見るべき人】

・ガッチガチのホラーより、雰囲気のあるホラーが好きな人

・洋館モノが好きな人

・映画「おろち」がハマった人

【注意点】

・終盤は確かにグロテスクですが、ヴィジュアル程凄いグロテスクではない。

・ホラーを期待して見ず、映画全体の雰囲気を期待して見ないと肩透かしを食らうかも。

 

 

 

 

【感想】

トラウマだった。

赤黒い色の背景に四人家族の写真。特に前に座っている二人の少女の白い服は血にまみれて陰惨。

顔は四人とも無表情。

「ひょえ・・・絶対怖いやつじゃん!!」

と、そのキービジュアルを見た時思ったのだった。

小学校6年の僕は。

 

当時から怖い話は大好きだったものの、動画はどうも苦手だった。ばーん!!びっくり!!で驚かされるのが苦手だったからである。まぁ今もそうなんだけれども。

だからキービジュアルが凄く鮮烈に残ったけれども、ずっとその作品自体を見ることは考えてこなかった。見ようとも思わなかった。

アマゾンプライムにあることを知るまでは。

 

と言う訳で、時はたち、僕は無事立派な28歳フリーターになりましたので、この際思い切って見てしまおう。

なんつったって僕はもう28ちゃい。アラサー。「ミッドサマー」「おろち」「ハイドアンドシーク-暗闇のかくれんぼ」とホラー映画視聴体験も3つ経験してきたわけだし、韓国映画「パラサイトー半地下の家族」を見てまぁOK、こういう感じねともう把握している。

見るなら今しかない。

それになんつったって、あのキービジュアル。

今でも。

見た時の衝撃忘れられない。

多分一生のうちで一番記憶に残っているキービジュアル。だとも思うし。

見るなら今しかない。

それになんかほら、最近暑いし。

見るなら、今しかない。

 

 

 

 

以下簡単に【ストーリー】【演出】【キャラクター】に分けて簡単に感想を記しておく。ネタバレ注意。

 

【ストーリー】:★★★★★

ストーリー自体はだいぶ前に、何なら中学生の時には明確に把握していた。ブックオフコミカライズをぱらぱら(全部読むのは怖いから)立ち読みして、おおむねの流れを掴んで、よし、そういうことだなという感じで、怖くて見れない自分に踏ん切りをつけていた。

スミ「母も・・・妹も・・・全部・・・私?」

確かコミカライズにはこんな言葉が書かれていたと思う。手元にないので何とも言えないけど。

要するに、母と妹は最初から実在せず主人公の妄想だったというオチは把握していた。十数年前から。

今だとまぁ・・・「信用できない語り手」・・・よくあるホラーオチの一つだなという感じだけれども、当時は衝撃を受けた。

それをもろ覚えの状態で視聴したわけなんだけれども・・・確かに最低限の伏線は張られてた。

スヨンがスミにしか口を利かないこととか。父がスミの名前しか呼ばないこととか。父が妻(をふるまうスミ)に対しては最低限の会話しかしないこととか。スミとスヨンの会話シーンの直後にスミの起床シーンが続くことが多かったりだとか。

ただまぁ・・・「お、これは!!!」となるような凄い伏線があったかというと微妙。シックス・センスを見たことがある人なら尚更陳腐に感じられるかも。1999年の映画だから、2003年に作られた本作から僅か4年前の作品だし。

 

シックス・センスを踏まえたうえでの二重妄想オチ。本作の脚本がやりたかったことってこれなんじゃないかなと思う。

シックス・センスでは精神科医が実在していなかったが、「箪笥」ではスヨンが実在していない、うえで、継母・ウンジュも実在していませんでしたよ。本当は2人実在していなかったんですよ。まさかの、二重シックスセンス驚いたでしょう?

こういうことなんじゃなかろうか。

父親がスミの方しか見ない。スミとスヨンの距離感が姉妹といえど近すぎる。そもそも始まりが病院でのスミの診察のシーンから始まる。恐らく観客は、特に「シックス・センス」を4年前に見た映画好きの観客は、スヨンはスミの想像上の人物と序盤で気づくのではないか。

その後終盤で出てくるのは、地味なパンツスーツに身を包んだもう一人のウンジュ。え!?あの継母も主人公の想像だったの!?

そこであっと言わせたかったんじゃないかなぁ、とも思うし、観客も実際あっと言ってたんじゃないのかなぁ、とも思う。もう20年前の映画なので何とも言えないんだけれども。

非実在の二重構造が本作の肝。

 

ただ当時は斬新だったかもしれないが、2022年現在ではそのオチはもはや特に新鮮味もなく普通よくある終わり方の一つにすぎない。「信用できない語り手」という言葉が存在するように・

全部主人公の妄想オチは、多少面倒だが読者に面白いと思ってもらうには手っ取り早い手段。2022年現在、ミステリー・ホラーではまぁ見る。そこそこ見る。

だから、ネット上での五つ星評価が低くなりがちなんじゃないかなぁ、とも思う。

2003年に美しい風景雰囲気少女のなかで、この構造をやったことが本作の素晴らしい所。でも物語構造自体に新鮮味がなくなった今、ただの雰囲気映画に捉えられてもおかしくない。てかそうなって普通。

物語の構造自体の賞味期限が、結構過ぎて立っている。状態。

 

あと副題だったと思われる、「思春期の少女」をいまいち扱いきれていないのが残念。

生理だったり、新しい継母への嫌悪であったり、妻になりきる時の口紅であったり、股から血を流した亡霊であったり、それっぽいモチーフが散りばめられているのだけれども、散りばめられているだけ、といった印象。

多分、監督は秋元康を呼べば良かったんじゃないかな、と思う。あの人は常日頃から少女のことしか考えていない人だから。「ザンビ」とかいうクソホラーやっている暇あったんなら、「残酷な観客たち」とかいうクソドラマ作っている暇あったんなら、本作を欅坂でリメイクしてほしかった。平手友梨奈がスミでと長濱ねるがスヨン

まぁ、数々並べられたモチーフも深読みしたらもっと凄い大きいのが見られるかもしれないが、秋元康の描く少女像に触れた者としては、ちょっとなぁ・・・うーん・・・考察・・・というかキモさが足りないんじゃない?といった印象。

 

 

 

 

パンフレットの裏表紙は、食卓。

 

 

 

【演出】:★★★★☆

音楽が素晴らしいですね。冒頭から流れるんですけど、THEクラシックで美しい。音楽だけでももっと広く知られてもいいんじゃないかと思う。

テンポもまぁ悪くない。「パラサイト」を見て、韓国映画ってテンポ半端ねぇな!!と衝撃を受けたのだけれども、本作もとんとんと進んでみててストレスがない。まぁ「パラサイト」程速くないですが・・・。Largo。でもクラシックをBGMにしているので、まぁこれくらいのスピードがベストなのかも。

 

館。館最高ですね。韓国の文化と洋風の文化がいろいろ混ざりあってて最高。

館と女三人で思い出したのは「おろち」。僕が見た数少ないホラー映画である。あれもあれで面白かった記憶。あと山本太郎が俳優やってた記憶がある。

韓国の洋館と日本の洋館、比較するのも面白いかもしれない。

 

小道具。

継母・ウンジュのネグリジェ。全然エロくないんですよ。まぁちょっとセクシーかな?くらい。思春期の少女が思い描く大人の下着、って感じがして良かったです。

薬棚。終盤赤十字が描かれた棚が割れるシーンは、スミの心が完全に壊れたことを暗示しているようでなかなか良かった。

 

一番怖かったシーンは、中盤での親戚夫妻の妻の発作ですね。

え、どういう動きしてんの!?え!?まじ!?えまじなの!?大丈夫なのっ!!??生きてるの!!???死なないっ!!!???ってくらい、女優が大暴れして絶叫してヒステリーして痙攣します。

その女性がいかにも素朴そうな感じなのもいいですね。落差。

他はまぁ終盤の箪笥からデロリアンはちょっと怖かったかなぁ。

タイトルにするくらいだから、もうちょっと最後の箪笥のシーン、最もおどろおどろしく恐ろしく怖くしてほしかったなぁ・・・。タイトル「ヒステリー」不可避。

 

あと最後の最後の最後、主人公スミの映像がモノクロになって止まるの、なんであそこだけあんなに陳腐なんだ・・・。

何で最後の最後だけあれ何なん?あれ意図分からずとにかくダサすぎて、なんか怖かったです。逆に。え。なんで最高始まり方しといてこんな最悪な感じ終わるん?え?え?になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく見ると「ウンギュ」が背後霊がごとくがっちりスミの肩を掴んでいたり、スヨンがまるで死体のように力が抜けていたり、手前の二人がスカートの中から同じように血液を流していたり、視聴したあと見るとあらゆる要素がぎゅっと詰まっていることが分かる。

【登場人物】:★★★★★

「パラサイト」を見ても思ったのですが・・・韓国の俳優さんは本当に演技上手いっすね。特に女優は凄く差を感じる。

 

スミ:イム・スジョン

主人公。めっちゃ可愛い。20年前とは思えない可愛さ。

「パラサイト」の妹ちゃんといい、韓国映画のちょっとやさぐれたヒロインは、なんでこうも魅力的なのか。

メイクも薄く、時代性を感じないのがいい。言われてみれば、髪型確かに2000年代かも~!って感じなんだけど、いやはや可愛い。

演技力も無論文句なし。特に冒頭のシーンは魅入っちゃうね。これから何が語られるのか。彼女に何があったのか。あの冒頭のシーンがあったからこそ、本作は良作なんだろうね。

あと、静かながらに常にナイフを携えているかのような感じも絶妙で良かったです。

 

スヨンムン・グニョン

でも一番演技がうまかったのは彼女かなぁ・・・。

凄いんですよ。気弱でちょっと頭が弱くてでも優しくて・・・本当にそういう人物なんだと思ってしまうくらい。スヨンという人物の非実在が信じられない。

いつも困った顔してるんですよね。継母・ウンジュが当たるんですがそれもなんかわかる、どんくささがめちゃくちゃ巧み。

特に、語る部分が・・・スミ同様冒頭にはなってしまうのですが、ほおずきを頬張るシーン、あれはちょっと圧倒されました。あの1シーンでスヨンがどういう人物か一瞬でわからせられた感。

どうやらウィキ見る限り、俳優として一番出世したのが彼女らしいのですが、まぁ、でしょうね。といった具合。もっと彼女の演技見たい。ドラマだと長くなるので、バンバン韓国映画に出てバンバン日本に出荷してくれ。

あと、なんとなく14歳の母の頃の志田未来に似ている。韓国の志田未来ってコト?

 

ウンジュ(継母):ヨム・ジョンア

意地悪い妻、要するに継母役なんですがこれがまた絶妙なんだ。美人で隙が無い。意地悪い。凄いバッチリハマってた。

髪型がいいですね。黒髪ショートなんだけれどもえ?2010年くらいの映画かな?って最初思ったのは彼女の姿を見たからですよね。髪型といい、あとまぁメイクも、20年を超えても色あせない。

スミの思い描いたなんちゃってネグリジェもバッチリセクシー。

加えてサディズム携えてますからね。最高ですよ。

展開が進むにつれてどんどん憔悴してどんどんスヨンへの当たりが強くなり、終盤必死な顔をして袋を引きずっているのも良かったです。みっともなく。

だから後半、パンツスーツで現れた時はえ・・・?え・・・?ってなったよね。

ただ、パンツスーツ以降存在感が薄まったのが少し残念。

本当の妻、スミの妄想ではない本物のウンジュのキャラクターが今一つ作り切れていない印象を受けた。それは俳優だけでなく、脚本・制作側全体として。もともと現実のウンジュがどういう人だったのかしっかり作られていれば、終盤の落差にもっと観客は心奪われたと思うのですが。あと最後の箪笥デロリアンの場面も。

 

ムヒョン:キム・ガプス

まぁ女性が主人公の映画なので、仕方ないのですが今一つ存在感なかったかなぁ・・・。

同じく女三人×洋館ホラー「おろち」において山本太郎はばっちり存在感を示してキラキラ笑っていたのですが、この俳優は女性陣の演技にちょっと負けているかなぁとも思う。

正直この父役は、この俳優さんじゃなくてユースケ・サンタマリアでも西島秀俊でも松重豊でも大杉連でも遠藤憲一でも光石研でも寺島進でも田口トモロヲでも、最悪まぐろどん・パパ・・・僕の父でも誰でも良かったかなぁ。女性3人はこの3人じゃないとダメ!!!って感じがあるのですが・・・・。

そういえば「パラサイト」の主演俳優は凄いスターとのことですが、確かに。あれだけ地味な顔立ちで演技も巧いのにばっちり存在感を支援したうえで映画に100%入り込んでいくあの感じ。本当凄いんだなぁと思った。

 

 

 

 

「ひらいてみても、なにもなかったの」



以上である。

10何年振りに克服、復讐もこめて見た作品だったけれども、まぁ良かった。

想像より全然怖くなくてそこは肩透かし食らったけれども、雰囲気といいヒロインといい音楽といい演出といい素晴らしい。

良作だと思う。

恐らく一生で一番記憶に残るであろう映画のキービジュアル・・・・。それに負けない内容で、そしてそれを確認出来てほんとうによかった。

 

 

 

 

サンキューアマゾンプライム!!!フォーエバアマゾンプライム!!!!

 

 

 

 

パラサイトの「家族写真」も好きですが、箪笥の「家族写真」も好き。

 

***

20220617

この作品からアマゾンプライムで映画を見る、という文化が始まりました。色々見たい映画がありすぎる。数年に一度の映画ブームをもたらしたという点で評価していいんじゃないですかね。

パンフレットは視聴後「おおおお・・・」になってメルカリで買いました。400円とかだったかな。買ってめちゃくちゃ良かったです。

漫画だけでなく小説も出しているみたいで、そっちには本作で改名しきれていない謎について書かれているらしいのでそっちもメルでカリます。

ちなみに当たり前のように「シックス・センス」の名前を出していますが、最後の結婚式のシーンは金曜ロードショーで見た覚えがあるのですが、他は見たことないぽよ。

 

LINKS

フィンランド映画で、最近映画館で観た映画です。女性監督なのですが、こちらは「少女の思春期」を過度に神聖化しておらず好感が持てる。男性監督が少女を描こうとすると初潮を無理矢理いれがちだなと思うのですが、別に初潮を迎えたからってそんなに僕等は変わらない。

 

tunabook03.hatenablog.com