小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

中山昌亮『後遺症ラジオ1-2』-この番組は、スカ●プDの提供でお送りしております。-

 

 

 

 

 

 

 

・・・・電波は、良好。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中山昌亮『後遺症ラジオ1-2』(講談社 2012年-2014年)の話をさせて下さい。

 

 

 

 

 

【あらすじ】

「不安の種」の中山昌亮が、再び描く”魔”の瞬間!

 

読後ノ後遺症ハ極メテ重篤

後デ”怖イモノ見タサ”ヲ呪ッテモ・・・・・・・・・手遅レデス。

 

1巻帯より

 

【読むべき人】

・邦画ホラーの雰囲気が好きな人

・「不安の種」が好きな人

・髪の毛モノが好きな人

 

 

 

 

【感想】

後遺症ラジオ、とあるがラジオ要素いまのところ皆無のホラー漫画。

後遺症、は「後を引く怖さ」という意味では分かるんだけれども、なんでラジオなんだろ。今のところ「後遺症ラジオ」っつーか、「後遺症ヘアー」って感じなんですけれども。

 

内容は、「不安の種」が好きだったらまぁ、ある程度楽しめると思う。

「不安の種」の違いとしては、数々起きる怪奇現象に恐らく繋がりがあるということ。怪奇現象が8割髪の毛だということ。そして「おぐしさま」と呼ばれる神様?関連の現象を集めた本であるということ。

実話怪談やホラー漫画で髪の毛モノが一番ゾッとするという人は間違いなく合うと思います。逆に「髪の毛モノはワンパターンでつまらない」と思う人は絶対にあわないと思います。おススメしない。定番だからね。

僕はどちらでもない。まぁ可能なら自分の髪の毛がもうちょっと生えてほしいかな・・・この前美容師に「将来は間違いなく禿げるね」とやんわり言われたから・・・おぐしさまぁ・・・・おぐしさまぁ・・・・ってくらいなのでまぁまぁ楽しめた。

 

そのおぐしさま」っていうのがいかにも日本!!って感じの神様。

明治か江戸の農村で「さま」づけで崇められる・・・。一方で時々怪奇げんしょ・・・怪奇髪の毛が襲ってくる・・・・。

邦画ホラーみたいだなと思った。邦画ホラーあんま見たことないけど。

ご本尊が1巻後半に出てくるんですが、ちょっとお姿はがっかりだったかなぁ・・・。こういう不気味な神様はすぐ性器に逃げる。ち●こに逃げるな。ちゃんと1から描け。

一方で、1巻の後半p.82で出てきた顔からびっしり髪の毛人形は不気味だった。これこそ「おぐしさま」のご本尊にふさわしいと思うのですが・・・どうでしょう。

 

あと、話は時系列じゃない。連続していることは分かっているのだけれども、あっちこっち時代も場所も飛んでいく。なので「ああそういや襲われてるコイツいたわ」「なんか見覚えあるね君。スカルプディーのCM出てた?」からはじまることが多い。

恐らく、ダイヤルを回していると適当に電波を拾ってバラバラに聞こえてくるラジオ、を想起させる構成で、あえてと思われる。

そして色んな所でいろんな時代で起きた、

ありとあらゆる事象が、

おぐしさま」に結びついてく。

どこがどう繋がってるのか。

おぐしさまのとは。

一体どうしてこんな現象が起こるのか。

『不安の種』シリーズは一回一回の現象が読み切りだったから何も考えず読んでいればOKだったけれど、『後遺症ラジオ』はそこだけちょっと頭を使って読まないといけない。

ところがどっこいまぐろどん、本格ミステリは別にそんなに興味がない。考察班にも属していない。アマゾンのレビューで最新刊である6巻のところに「時系列で並べなおしたものをまた読んでみたいです!」という言葉があったが、これは僕も、読んでみたいです!

せめてひぐらしのなく頃にみたく「解答編」のように対になる存在がほしいところ。無論「ひぐらし」読んだことも見たこともありませんが。

 

 

 

帯がそれぞれ最高なんですよね。

 

 

あと・・・単行本のとしての工夫も面白いなと思った。

この何を伝えたいのか分からない表紙イラスト、をはじめ中身も不気味さ・怖さを際立たせる工夫がなされている。

例えば1-2巻共に顔のアップが時々入る。一人の顔のアップで、話の合間合間に動きがあって、それが不気味で面白い。特に1巻は連続して見ると「にらめっこ」して変顔しているみたいでちょっと笑った。最後キスしようと迫って来るし・・・。

あと、ページ数が記載されていない。目次に各エピソードのページ数が記載されているが、本書では本編中一切ページの数字が記載されていない。次々と捲りくる怪奇現象への没入感を演出するためだと思われる。気づいたとき凄い、って思った。確かにページをめくる手はとまらなかった。

そもそも目次のページも新聞をパロッたりしていてこれも見ていてなかなか面白い。

一体どっから何処までが作者の仕事で編集者の仕事でデザイナーの仕事なのかあやふやな部分もあるが、色々意匠が凝らされていて面白かった。

 

以下簡単に、各巻の感想を簡単に書いておく。ネタバレあり。

 

 

 

 

 

1巻。

時系列がぐちゃぐちゃの構成にはじめこそ戸惑ったけれどもすぐになれる。一話一話襲ってくる怪異現象と毛量が凄すぎて、そんなことすぐ忘れてしまう。

特に怖かった怪奇現象は・・・「82.39NHz」「33.89NHz」「25.12NHz」。7話目9話目10話目と連続しているが、中盤の盛り上がりが結構良かった。

「82.39NHz」は結構長めの話。ハゲになった元カノがやってくるが・・・と言った具合。彼女の表情の豹変がとても怖かった。髪の毛を総て剃ってもおぐしさまは満足されないというのが怖ろしい。そんだけ毛がほしいねん。でも頭引っ張って無理矢理こそぎぬくより、股間引っ張って陰毛抜いたほうが毛を効率的に集められると思うのだけど・・・そもそもご本尊ち●こなんだしそっちのほうが自然なのでは?。で、髪の毛は無論体毛陰毛お金かけずにつるんってなるっていう・・・。R18の「後遺症ラジオ」の同人誌でありそうですね。

「33.89NHz」は最後の顔から髪の毛ブシャーのお人形が不気味で怖かった。この一ページに勝るエピソード、今のところなし(2巻まで既読現在)。やっぱ令和なんだし人形は髪の毛伸ばしてナンボの時代。

「25.12NHz」は、男子生徒がある日とち狂って・・・という話。その男子生徒の顔が不気味で、辻褄の合わないセリフ回しも厭だった。あとこのエピソードだけいまいちどの時代に当てはまるのか特にわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子生徒「おぐしさまって・・・・・・・・・・何ですか?・・・・・・・・・・・・・・・」p.88

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2巻。

あれ?何だっけ・・・の冒頭から始まって、どんどん物語にのめり込んでいく中盤が一番面白くなってくるのだけれども、前半江戸時代のエピソードで占められていてそこが個人的に残念だった。

恐らく江戸時代のエピソードがこれからも出てくるキーワード的話なんだろうし、ひとつの山場だとは理解していても、それでもちょっとうーん・・・といった印象。江戸時代もの、自体が僕自身あんまり・・・っていうのと、あと怪奇現象自体もちょっと地味かな。もっと派手に起きてほしかった。

それこそ「44.44NHz」のように派手に。

まず、工事中のおっちゃんが物凄く引っ張られて死ぬんだけど、その描写が圧巻。不気味グロ怖い、全部詰まっている。からの、最後の静かな神主の死が、不思議な余韻を残す。

4、「死」で揃っている電波ですが、この話が2巻では一番好きですね。

そして2巻読んで思ったのですが・・・多分本作の主人公は千冬の元カレになるのかな。今のところ探偵役を務められそうなのが彼しかいないのですが・・・。でもこれで3巻の冒頭であっさり死んだらウケるな。

 

 

 

 

 

 

加えて、本作では全編通して随所に顔のアップと、ポエムが描かれている。

おぐしさまの謎を解くヒントにもなりえると思うので、1巻2巻それぞれ蒐集してメモ代わりにここに記しておく。

 

1巻

夜明けの晩に・・・・・・

うしろの正面だあれ・・・・・・

遥か向こうのおとなり様

十の腕と二本の指で

水底深く浮き上がり・・・・・

固く冷たく溶けていく

足並み揃え行軍続けるたった独りの行列は

開かぬ門から出て行った

昨夜生まれた老人は・・・・・・

のこさっれた朝日は四十と九 同じく夕日は百と五

問いと答えを壺に入れ 戸棚の奥で六十余年

理だけが床で朽ちる

さめざめ笑い クスクス泣く 軒下の虫

雲ひとつない雷雨の頃

熟さず落ちない甘苦い実に

群がり集る唯一神

夢中で飽きた季節を繰る

 

2巻

眩いばかりの暗闇を

漆黒の光が包み込み

真白の影が背後を追う頃

瞑った目と目が凝視する

煌めきを増す曇天は

墨のような星間を呑み尽くし

熱く凍てつく息を吐く

生涯を独り身の夫婦に授けられし生命は

生涯を穴倉に暮らす旅人に・・・・・・

祖父は息子に 父は孫に

己の位置を問われたならば

問うものの目は見ぬがよい

 

「かごめかごめ」の歌詞からはじまり、その歌詞同様ほとんどの行が矛盾する表現で満ち溢れている。

はじめはそれぞれの回のタイトルかと思ったら、一部は内容とまったく一致しない回も多くみっれる。おそらくひと繋ぎの詩と思われるが・・・全然意味が分かんね。

 

 

 

メルカリで買ったら購入特典のペーパーもついてきました。
2012年・・・。

以上である。

髪の毛ホラーが好きならまず間違いなく読んで損はない。

「不安の種」とは違って、話の間につながりがあるが、そこを楽しめるかどうか。

 

ちなみに、中山先生のホラー、「後遺症ラジオ」「不安の種」どっちから読めばいいの?って聞かれたら、僕は絶対「不安の種」を勧めます。単純に読み易いので・・・。

「不安の種」が気に入ったら・・・っていう人が手に取るべき作品だと思います。多分初っ端この作品手にとったら意味わかんなくてハゲちゃうんじゃないかな。おぐしさまの仕業だぁ・・・お断ちください・・・。

 

 

 

 

 

 

・・・なんか髪の毛とかハゲとかち●ことかあまりにもラジオ要素に触れてないので、僕が最近聞いているラジオ番組を並べて終えようと思う。

 

 

「アルコアンドピースのD.C.garage」「マヂカルラブリーオールナイトニッポン0」「空気階段の踊り場」「ハライチのターン!」「三四郎オールナイトニッポン0」

 

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LINKS

「不安の種」は読了してる。「+」以降は未読。

tunabook03.hatenablog.com