実話。
中山昌亮『後遺症ラジオ5』(講談社 2017年)の話をさせて下さい。
【概要】
日常系ショートホラー漫画である本作を連載中、作者自身及び関係者の身に起きた”命に係わる厄災や不可解な現象を記録し、読者を震え上がらせた番外編【実話版】の収録が、今舞にてついに実現!!実話系怪談に目のない人なら、今巻だけでも必読の恐さです。なお本作は”本当に危ない”禁忌部分は伏せたうえで描かれておりますので、厄災が読者に”感染”する危険は99%ありません、ご安心ください。なお件の”禁忌”部分を開示する、させようとする行為は極めて危険です。現に作者の中山氏はこの単行本の作業中に、
帯より
【読むべき人】
・実話怪談好きな人:作者の「実話」以外も、『不安の種』のように単体で楽しめる話が多めなので、前巻まで買ってなくてもおススメ。
・ハゲ
【感想】
メルでカリった後遺症ラジオもとうとう5巻・・・。1-5巻セットで買ったので、残り一冊残してとりあえずこのシリーズは僕の中ではひと段落。
にしても、6巻・・・まだ買っていない6巻の表紙、あれエロ過ぎでしょ。へたなラブコメ漫画よりエロイと思うんですがあれどうなんですかね。
そしてこの巻の目玉と言えば何といっても作者の実話!!!
内容としては、激安で借りたオフィスに、「家主様のものです」と書かれた神棚があって・・・?といった具合。その後、口のところが血みどろになったり怪談を生業にする人が出てきたりアシスタントが行方不明になったりするんですが・・・どうも妙に実体を伴わない。
さっきも一通り読んだんだけれどもどうも記憶に残らない。
でもなんだか「厄災」・・・物騒な二次災害があるらしいし、恐らく僕の安全が保障されたこと・・・・なんだろう、と信じたい。
実体が伴わない実話。と聞いて、読んでみたい!と思った人は是非この巻だけでも買って読んでみるべきだと思う。
どういう話なのか・・・説明がしづらい、掴めない。独特な、この感覚。
後巻末実話漫画で、一番怖っ!!って思ったシーンは床に穴が開いているシーンです。
ちなみに中山先生は結構前から数あるTwitter垢の一つででフォローしているんですが、そのほとんどが所謂ひゅ~どろどろの原稿の写真で、見ていてとても面白いです。
よくキャラクターの落書き画像を載せる漫画家アカウントがありますが、その感覚でひゅ~どろどろ画像がアップされるのでふふっってなります。
本作に収録された実話とは対極の、癒し系ゆるこわアカウント。おすすめ。
本編も・・・いよいよ佳境って感じですかね。
今回は一話一話単体で読んでもインパクトがあるのが多くて、特に面白かった。実話も面白いんだけれども、本編ももっと読みたかったな・・・ページ数・・・というのも本音。
特に出てくるひゅ~どろどろが今回結構上質なんですよね。和牛。黒毛。
なので、今巻で収録されたひゅ~どろどろベストスリーを発表しますね。
3位 36.16NHz:頭がながーい女
後姿のインパクトが大。100点。素晴らしい。一度見たら忘れられない。
正面はちょっとまぁうーんって感じ。
だいぶ前にLAWSONがゆるキャラの「アキコちゃん」の正面を公募した企画知ってます?あれで誰かがふざけて描いた衝撃のアキコちゃんの正面顔があるんですが・・・あの衝撃は越えられなかったかな。
もうちょっと愛嬌が欲しいですね。と言う訳で、期待値大の後ろ姿に反して順位は低め。
2位:84.53NHzのハゲのおじさん
髪の毛怪異がメインの本作なので、基本的に出てくるのがどふっさーかハゲなのですが、今回はハゲが活躍。
別にハゲだけだったら恐くないのですが、口から出す「カッコッ」という音が生々しくて厭だった。凄い再現度で耳に迫るその音やめろ!!!って言いたい。
見て楽しむハゲではなくて、聞いて楽しむハゲですね。
1位 87.77NHzの黒い女
黒い女の容姿自体はまぁうんって感じなんですよ。怖いね。怖いけど、別にそこまで怖くはない。ルックスは普通。そこはハゲとハゲしく同じ。
ただ最後の1ページはぞっとしましたね。今シリーズで一番ゾッとした。そう来るか。
あとめちゃくちゃ足が速ぇ。是非東京オリンピックに出てほしかったですね。
他も「ピクミン系女子」とか「パックンチョ」とか色々出てきます。
恐らく本作のかなめである神様・おぐしさまの呪いが解けたから街に怪異大集結と言ったところでしょうか。
妖怪大戦争っていう映画がありましたが、本作はただ人間がやられっぱなしだし妖怪みたく可愛くない。そもそも髪の毛だし。あとハゲ率高いし。現実は非情。
あと思うんだけど、「後遺症ラジオ」。「後遺症」は、本書の「実話」で伏線回収、というわけなんだけど、「ラジオ」。今までラジオ要素一切なかったんだけど、そこらへんはあのエロエロ表紙の6巻で明らかになるのかしら。
せめて2位のハゲよろしく音響的にビビらせるような奴等が集合していたら話は変わったのだが、どうもヴィジュアル勝負の奴が多いんですよねぇ・・・。ヴィジュアル系漫画。
最後に、今巻もポエムが収録されている。
本作品の謎の解明に役立つかもしれない!というわけで、ここにメモしておく。
なお実話怪談の合間には収録されていないため今回は短め。
真っ直ぐ延びる螺旋から
肥えた痩せ犬が落ちてきて
瞑った口から唄を出す
少女に摘まみ上げられる大男
谷に登ると泣きじゃくり
昨日こそはと誓い合う
影が踏み合う人の顔
かかとまで垂れたベロを指さして
「ぴたぴたぺたぺた」と陰口を交わし
乾いた蛙を泳がせているのは
茹って凍ったつららの塔
今回また矛盾する記述が増えましたね。ただ正直「少女に摘まみ上げられる」のくだりや「ぴたぴたぺたぺた」のくだりはネタ切れ感を感じないこともない。
だったら、1巻のようにページぜいたくに使った楽しいニラメッコがしたかったな。
以上である。
概ね今巻も楽しめた。
やはり帯にもあるように今巻の目玉は作者の実話。気になる人は絶対に読んで損はないと思う。
6巻・・・は新品で買おうかなぁ。うーむ。
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