小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

吉祥寺武蔵家-家系しか勝たん。豚骨塩しか勝たん。-

 

 

やっぱり、ラーメンの頂上といったら家系なんですよね。

家系しか勝たないんですよね。結局。

 

「吉祥寺武蔵家の話をさせて下さい。

 

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※静岡での催し物店舗です。終了してます

 

【行くべきだった人】

・家系ラーメンが好きな人

・豚骨醤油が好きな人

・豚骨塩が好きな人

 

【感想】

我らがラーメン大好き静岡市民が集って通うイベント、

セノバのフードコートにて行われるラーメン駅伝。

第十四区。今回の走者は武蔵家

 

武蔵家・・・関東の店ではあるが、静岡在住の僕でもこの名前は聞いたことがある。

「美味しいラーメン屋の名前教えて」系のスレッドで必ず上がる名前だからである。

だからいつか食べたいとは思っていた。いつかは・・・。

ところがまぁ東京に行けば予定は大抵過密であり、店舗を探す暇もない。

それがなんとお店から静岡にきてくれるのである・・・夢みてえ。

 

しかもここは豚骨醤油の「家系」である。

家系・・・2年間の横浜在住期間で僕がすっかり虜になったラーメンのジャンルである。ところがどっこい、静岡市では未だに満足する家系に出会ったことがない。

強いて言うならば沼津の「うまいラーメン」の味が近いが、あれはあくまで「豚骨醤油」であって家系ではないのである。ほうれん草の代わりにキャベツが載ったあのラーメンも好きなんだけれども。

だからもう僕は、正直この名前がポスターに掲載された時から胸がときめいていた。

 

「すいません、豚骨醤油と・・・玉子トッピング、あとライスを」

 

横浜に住んでから必ずラーメンにはライスをつけているが、家系とくれば尚更。ライスは必須科目である。

あと、ラーメン駅伝参加するお店全般に言えることなのですが、基本店員さんの対応がいいんですよね。美味しいラーメン屋って、こういうところも含んで「美味しい」と僕達は捉えているのかもしれない。

ちなみに、お金を払う所に金色の豚がいました。なんで。

 

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トッピング三種類あるの凄い。

 

そして届いたのが・・・

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無加工

 

「う・・・・・うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

我らが大好き家系豚骨醤油ラーメンである!!!!!

太麺!!ほうれん草!!!海苔!!!3枚!!!

海苔が3枚あるのはポイント高い。スープに浸してライスにまいて食べるのが、家系ラーメンの正しい食べ方だからである。それがなんと3ターンもできるのである。分かっている。このお店は家系を分かっている。

そして器。金色の文字で「吉祥寺武蔵家と書かれている。店舗から持ってきたのであろう。そこにこだわりを感じる。というのも、ここの駅伝では基本、白い器で出される。セノバが用意した器なのだろう。ところがどっこいここではなんと店舗の器。

 

「静岡の皆さんにも出来るだけ現場に近い僕達の味を食べてもらいたいんで!持ってきちゃいました!!(笑顔)」

という黒Tシャツのお兄さんの声が聞こえてくるようである。

 

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僕フィルタで映ったラーメン

 

では・・・一口・・・ずる・・・・ずずずずずっ・・・・。

「んまっ」

ああーたっまんねええええ!!!!!!

この家系独特の黄色いふっとい麺!!!たまんねええよお!!!!啜れる!!!いくらでも啜れる。ずず・・・ずずずずず・・・・ずずっ!!!!!

噛む。噛み応えがあり、そのたびに麺のうまさとスープのうまさが染みる。

豚骨醤油・・・スープを啜る。

「なるほど」

若干横浜とは作りが違うようだ。

横浜の豚骨醤油は、豚骨:醤油=55:45くらいの比率である。

しかしこちらの武蔵家、「吉祥寺」武蔵家

豚骨:醤油=45:55くらい。

横浜家系好きとしては、若干物足りなさを感じないこともない。

しかし旨いことには変わらない。

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と、ライス

たっぷりにひたした海苔をご飯に巻くと・・・・「・・・・うっま」

たまらない。

醤油・豚骨・海苔・ライス・・・合わないはずがない。

約3年ぶりに再会した、満足する家系のスープの味に、涙すら出てくる。

そして、その濃厚なスープに負けないように作られた厚めのチャーシュー。

麺と一緒に啜るのも乙なモノだが、

僕は大抵家系のチャーシューはご飯と・・・「正解」

スープの味が染みて噛めば噛むほどじゅんじゅわ~・・・・

そして海苔2枚目と卵をご飯によける。そして麺を再び・・・ずずっずっずずずずずずっ!!!!!そう、この太さ。この太さ・弾力がたまらないのだけれど、どうも静岡だといい麺に出会えないんだよなあ・・・。

そして白米に戻り、玉子を割ると・・・

「なるほど」

オレンジ、ちょい固めといったところか。そしてそこに海苔と白米と・・・「ヘキサゴン」

スープも全て飲んだ。全て飲んでも変に脂っこくないのは、さすが名店といったところか。中途半端な家系だとスープを飲むと気持ち悪くなることが多いが、余裕だった。

「・・・・あー・・・・さいっこぅ・・・」

何が最高って、一流の家系が静岡で気軽に食べられることである。

これを求めていた。

ほうれんそうたまごのり濃厚な豚骨そして醤油太麺・・・なぜこの黄金の方程式が静岡では立証されないのか。

最高だった。

 

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完飲★

最高だった

 

 

 

 

 

 

 

最高だったので、

 

 

 

 

 

 

2回目も行った。

 

 

 

 

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無加工。

めっちゃ旨い。

旨いラーメンを食べているときは、「旨い」しか本当に考えられないので最高。メンタルに利く。心療内科の待合室にラーメン屋の屋台を置くべきだと思う。

そして食後は食べてやったぞの満足感に浸れるからなおさら最高。心が豊かになる。

ちなみに豆板醤、あったので初めて食べたけどとても辛かった。初回と同じくショウガにするべきだったなぁ・・・。でもほんのちょっとの量でラーメンがぴり辛になって味が変わるのは面白かった。

 

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接写すると家系ラーメンはエロい。

 

最高だった

 

 

 

 

 

 

 

 

最高だったので、

 

 

 

 

 

 

 

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3回目も行った。

 

3回目だったので、ここではメニューを変えてみた。

ポスター見てほしい。

「女性に人気!」と書いてある。

僕は女性である。

これにしました。

 

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無加工

 

豚骨あごだし塩である・・・。

見た感じは豚骨醤油と変わらず濃厚な感じを受けるが・・・。

味は・・・。

 

「うっめええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

これめっちゃくちゃ美味しかった。

この時丁度「塩ラーメン食べたいなあ~」と考えていたのもあったけどでもこれめっちゃくちゃ美味しい!!!

豚骨の濃厚さに、海鮮しおのあっさりさが利いたスープのバランス感。

無論濃厚なのでライスともよく合う。海苔を巻いてライスを食べると、

「最高!!!」

豚骨醤油同等のうまさ・満足感を得られる。

 

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そしてそこからの、ネギ!!!!!ネギである!!!!

濃厚な塩のところにところどころこのネギが効いて、

そして太麺によく絡んでこの感触味ニュアンスがたまらなかった。

みっくみくらしからぬむっさむさにされた。

しかし、豚骨にはやっぱりほうれん草ですよね。というかのように、ネギだけではなくほうれん草も一緒に載せているところが憎い。そう。豚骨にはホウレンソウなんですよ。よくわかっていらっしゃる・・・あああーーーー!!!!

誰だよ!!!こんなにおいしいラーメン開発したのは!!!誰だよ!!!おい!!!

2回目からこれにすればよかった!!!!最高を超える最高!!!!!

これは女性人気ナンバーワンというのもわかる。

というか横浜舌の僕にとっては、東京の豚骨醤油より圧倒的にこっちのが好きでした。

クソ!!!なんで2回目からこれにしなかったんだ!!!!クソ!!!!!!

 

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でも明日ラストだからね!!!!!仕方ないね!!!!!

 

以上である。

久々の家系にテンション上がって3回も行っちゃった。

 

そしてこのラーメン駅伝どうやらまだまだ続くみたいである。今度は宮城のラーメン屋がくるそうな。宮城のラーメン屋。下手すりゃ一生行くことなさそうだから行くしかない。

途中から本格的参戦したこの駅伝、どうやら最後まで走るしかなさそうだ。

 

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静岡に店構えてくれ・・・そして家系の凄さを我らが地方都市民に見せつけてくれ・・・お願いだぁ・・・。

***

LINKS

過去のラーメン駅伝で出会ったラーメンです。

大阪でした。ここもここで美味しかったなあ。本当にスープが金色だった。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

「欅坂46 THE LASTLIVE 2日目」-ありがとう、欅坂。-

 

 

 

 

人生で絶対にやっておきたいことの一つが実現できたので、

僕はもう今しんでもいい。

 

 

 

 

欅坂46 THE LASTLIVE 2日目』の話をさせて下さい。

 

 

 

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【見るべきだった人】

・欅坂のファン

・小池美波推し

・一期生推し

 

【感想】

けやき坂・日向坂のライブはそれぞれ1回ずつ行ったことがあるものの、

欅坂のライブは行ったことなかった。

しばらく熱が冷めていたというのもあるし、

うん万円かけて行ってもセンターの平手の調子が悪ければ消化不良でその分無駄遣いになる気がして、いまいち行く気になれないのだった。

ただ平手が抜けて、新たなる推し・大園玲ちゃんが入れば話は別。

ラストライブは東京で開催となっても、コロナの逆風に吹かれても絶対行ってやろうと思った。

 

欅坂と出会ったのは、社会人一年目の冬だった。

2016年冬。なんとなく映っていた深夜番組で存在は知っていたけれど、それまで彼女達がどのような歌を歌っていたかは知らなかった。

だからなんとなくサイレントマジョリティー」と検索したその日、衝撃を受けた。

その日から僕は何度も何度もそれを再生し、当時勤めていた塾の長い廊下を、平手のモーセよろしく背筋を伸ばしてカツカツ歩いたものだった。

決定的にファンになったのは、翌年の四月である。なんとなく検索したら「不協和音」のMVが公開されており、初めこそ変なダンス・台詞だなと思ったものの、慣れれば大したことはなかった。

同時期のドラマ「残酷な観客達」、評判がかなり悪い作品ではあるけれども、これで僕はますます沼にハマった。EDの「エキセントリック」のMVは衝撃だった。机の上を闊歩するシーンと、2番のAメロ最後の長濱が真ん中にいてみんなで顔を隠すシーンは、今でもどの欅のMVのなかでも一番好きなシーン。

そして2017年10月、メンタルを病み仕事を辞めた僕を支えてくれたのは、当時リリースされたばかりの「欅のキセキ」、そしてけやき坂ドラマ「Re:Mind」だった。

うすらぼんやりしていたけやき坂の渾身の演技に打ちのめされ、一話視たその日に全員名前を覚えた。けやき坂も追うようになる。

そして2018-2019年は欅の不調もあり、完全にけやき坂日向坂に傾いていた。舞台「あゆみ」で初めてアイドルを生で見て、実在することに泣けた。ストーリーも素晴らしく更に泣けた。特に終盤とエンディングの渡邊美穂の輝きは半端なかった。

「ひらがなくりすます2018」も足を運んだ。人生で初めての武道館に胸が高鳴った。柿崎芽実の可愛さに目が潰れるかと思った。今思えば、人生で最初で最後の生柿崎である。行っといてよかったと心から思う。

2019年9月26日の「3rdシングル記念ワンマンライブ」も行った。26歳の誕生日だった。メンバー達がパレードのように車輪でステージ中を回る演出があったのだけれど、その時のキラキラは本当に綺麗だった。

そして2020年2月、まさかの坂道研修生配属発表SR。ここで大園玲ちゃんが欅坂に加入する。

はじめはそれこそあんまり気になっていなかった。だけど、ブログの文章の個性が強さに僕は穿たれた。なんだこの子は。なんだこの子は!?そして彼女の生写真を買うために「新二期生生写真」も通販で購入し、アップトゥザボーイ・blt等も追い始める。

徐々に欅全体へのも燃えはじめ、「誰があの鐘を鳴らすのか?」、振りのカッコよさも極まって、欅熱が完全に再燃したのである。

そこにきてのラストライブ・・・。

長くなったが、長くなったが、

好きだったグループ「欅坂」「けやき坂日向坂」原点となる欅坂が幕を下ろす。最後の日は絶対にこの目に焼き付けておかねばと思ったのだった。

 

13日、この日はずっとそわそわしていた。

朝から2時間かけてためにためた大園玲ちゃんのメッセージをすべて消化し、ブログを読み、好きであることを再確認したうえで、一人静かに胸を高鳴らせた。

18時。開場時間。

この画面が表示された時はもうそれこそ緊張した。うまく表示されなかったらどうしようどうしようどうしよう・・・が杞憂であることにほっと胸を撫でおろした。

そして18時15分開演15分前。

ここでいきなり画面が切り替わり、過去のメンバーの写真になる。

サイレントマジョリティー」から始まり「黒い羊」、二期生・新二期生・・・。そのひとつひとつがとても尊いもののように思えた。完全美化された思い出であるとは知りつつも、とてもかけがえのないものに思えた。一時期気持ちが離れた時があったことを忘れ、「欅坂を好きでよかった」と思い涙ぐみさえした。シングル・アルバム結局全て追ったのだから、まあ多少の粗相は赦してほしい。

特に、石森虹花が写った写真は僕の涙腺を打った。初めての「推し」だった。きっかけはそれこそ「欅坂で一番不人気のメンバーは誰?」といったクソみたいなものではあったが、それでも彼女のグループを想う優しさやひたむきさ、声の愛らしさや歌のうまさ、夢中だった。「月曜日の朝、スカートを切られた」MV1番Bメロのダンスは何度も再生した。5thのフロントに来た時は心から喜んだ。アンビバレントも3列目にもかかわらずリップシーンが多く、その表情に見入った。「黒い羊」フロントは本当に驚いた。人気、よりかは表現力だけで射止めたフロントという凄さ。足を運ぶことは叶わなかったが、握手会のチケットもとったことがある。

それが今じゃ・・・。うう。

恐らく直前まで参加するはずであって、彼女も途中まで練習に参加していたのではないかと思うと胸が苦しくなる。彼女は、いまどこにいるのだろう。

 

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臨戦態勢。

 

 

 

 

と気づけばあっという間に15分は過ぎ、

音楽が変わる。

 

 

 

 

No.00:Overture

始まるんだ。

始まる。これから欅坂最初で最後のライブが始まる。

欅坂最後の日が始まる。

僕は電気を消した。

 

No.01:危なっかしい計画

タオルを笑顔で振り回す、アンコールの定番曲がまさかの冒頭である。予想外だった。画素数の悪さも予想外で、調整したりしたがこれ以上よくなる気配はなく、まあ慣れれば大したことなかった。慣れれば。

この曲で特にぐっときたのは、佐藤詩織が先頭に立った「汽車ぽっぽ」の振り付けである。そう、佐藤詩織はこのライブを最後に欅坂と共に去る唯一のメンバーである。

そのせいか、ライブ全体を通して抜かれることも多かった。ハーフアップにした黒髪の彼女は終始美しかった。そして時々目に涙が潤むのも、僕達の涙腺をゆするのであった。

タオル、欅坂のタオルは一枚も持っていなかったため、用意していた普通のタオルを回した。声が出せない分、やっぱりオンラインは現場にかなわないなと思った。

この曲は1stアルバム「真っ白なものは汚したくなる」に収録されていて、初めこそ普通に聞き流していたけれど、よく聞くと「委員長系女子が夏にエロくなる」という旨の歌詞でそれが分かってからは延々リピートしていた時期がある。ラップ調のAメロからの解放感あふれるサビへの流れの解放感が気持ちいい。ナスカ先生は櫻坂になっても、是非関わり続けてほしい。

 

No.2 手を繋いで帰ろうか

1stシングル「サイレントマジョリティー」収録の所謂「てつな」である。

菅井「待ってよ!!茜!!」

菅井と守屋の追いかけっこシーンは結構シュールで笑ってしまった。広い会場をおもちゃの車でぷっぷーと走ったり、カフェと思わしき所で2人でカフェオレ前に喧嘩を始めたり、見ていて飽きなかった。途中新二期生が現れたのも思わぬサプライズだった。

セットで「欅坂」と書かれたバス停があったので、もしかして新二期生だけの「乗り遅れたバス」とか聞けるのかなと思ったけどそんなことはなかった。

この曲はサイレントマジョリティーのシングル入手時から聞いてたけれど、当時はどうも欅坂の曲群から浮いていて好きになれなかった。けど今思えば、この系統はけやき坂がしっかり引き継いでいたからこそ、他にこういう曲がなかっただけなんだなと思う。

今も日向坂のシングル表題は恋愛のときめきを歌った曲が多いし。

 

No.3 二人セゾン

小池美波センターの二人セゾンは初めて見る。

以前読んだ雑誌・bitにて「平手のソロダンスが秋冬ならば、私は春夏を表現しようと思って」と言っていたが、彼女の舞は力強くけれど笑顔で、平手と全く違った雰囲気で凄いと思った。

終始ライブにおける彼女のパフォーマンス力は素晴らしく、後半これほどまでに進化した一期生もいないように思う。

「生きるとは 変わること」

歌詞の意味を改めて噛み締める。

あと、佐藤詩織の振りがひとつひとつ素晴らしく映えていた。バレエ経験者の彼女のダンスは指先まで美しかった。もうこのスキルを大衆の前にさらすこともないのかと思うと非常に悔やまれる。

あ、あと何気なく「what did you say now?」の練るポジションを上村莉菜にしたのはGJ。

3rdシングル二人セゾンは秋に入ると必ずリピートしたくなる曲である。早くなった夕暮れの切なさとサビの切なさが相まって、木枯らしと共に涙を流す。ファン投票で「好きな曲」第一位に輝いたらしいけれどもそれもまあ頷ける。

 

No.4 太陽は見上げる人を選ばない

新二期生も参加し全員歌唱である。昔で言う「W-KEYAKIZAKAの歌」に近いものがある。

特に全員で坂道の直角三角形を作ったところはぐっときた。非常に美しい坂道だった。

この曲は1stアルバムにも収録されている曲だけれど、正直飛ばしていることが多かった。

映画のEDがこの曲だったことから、改めて聞いてみるけれど・・・、歌詞の意味を理解しながら聞くとしみる。

タイトルのせいでよく「制服と太陽」と混ざるは私だけか・・・?

 

No.5 制服と太陽

と思ったら、この曲である。個人映像で米谷奈々未がMVを作ろうとしていたのが懐かしい。

大学受験で一時期グループ活動を休止していた原田葵のVTRの後に流すのはエモいと思った。進学するのか、アイドルするのか、それとも両方なのか、休業するのか、卒業するのか。いろいろ選択肢がある中で、「休業して戻ってくる」という選択をとるのは非常に難しいことだったと思う。戻ってきてくれてありがとう。と言いたい。

原田葵、森田ひかる、小池美波の三人が冒頭で向き合いながら歌うのだけれど、じぃん・・ときてしまった。彼女達も僕達の見えないところでこういう選択を迫られてきた先輩でもあるのだろう。

この曲はとてもいい曲なのだけれど、出会うタイミングが遅くてどうも響き切らない。高校時代に出会っていたかった。

前半欅坂自体が「主に10代へ秋元が言いたいこと」を代弁するようなグループである節があったから、ある意味一番欅らしい曲なのかもしれない。

でも、僕達大人の心の中にも「大人」はいて、だからこそ僕達は欅の曲に何度も救われてきてたりするんですけどね。

 

No.6 世界には愛しかない

この曲はやっぱり守屋茜以外考えられない。なんでと言われれば難しいが、やはり守屋なのだと思う。そう、冒頭の歌いだしが一オクターブ高くて笑っちゃったとしてもやはり守屋茜しか考えられない。本人の雰囲気と曲が超絶マッチ。

そしてこの曲をパフォーマンスする時の、幸福感いっぱいな雰囲気がとても好きだ。あと2番Aメロの傘のダンスは欅のダンスの中でも一番好き。松田里奈菅井友香・・・だったっけ?踊っていたのは。

世界には愛しかない。この曲は櫻坂になっても何度も歌ってほしい。非常にシンプルなことだけれども、僕達は見失いがちで、結局欅も外野の言葉に踊らされた感じがあるので。

 

 

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このパンフの表紙が気に入っていてポスター代わりにずっと飾ってる。3-4、5-6、7-8verもメンバー替えてやってほしかった。

 

No.7 コンセントレーション

幻の9thアンダー曲である。人気が高く中毒者が多いとか。僕も何度も聞いた。乃木坂の四期生曲「I see.」に似てると思う。

この曲はまさかのパフォーマンスだった。狭い空間に正方形の光が点滅し、その真ん中でアンダーの5人がくるくる踊る。perfumeのような世界観。

まずの山﨑天の表現力の高さに驚いた。「誰が鐘を鳴らすのか?」の振りを毎回変えているところから推し量ることは出来たが、それでも想像以上だった。表情をしっかりつけながら踊っていて、背も高くスタイルいいから見入る。1-2年前の山﨑天とは大違いである。年齢と共に成長が見えるのは良い。

松平璃子も良かった。彼女は笑顔が下手で、どの歌を歌っているときも病人よろしく顔面蒼白で不人気なのもまあうん、頷けるのだけれど、この曲をはじめライブを通して笑顔がたくさん見られて良かった。ルックスは良いのだから、笑ってパフォーマンスすれば無敵である。頑張ってほしい。

あと齋藤冬優花。もうパフォでは何らいうことない。アンビバレントのMV終盤の表情、本人は気に入ってないみたいだけど僕は大好きです。力強いダンスがいいよね。

尾関梨香サイレントマジョリティー」のMVよろしく初期は「尾関スタイル」と茶化されたものだけれども、今じゃ二期生からの憧れをも集めるパフォ力の持ち主。こういう可愛い曲に彼女がいると安心する。

そう、そしてなんといっても小池美波小池美波センターだったのだけれどもまあパフォ完璧。そもそも声質と曲もマッチしていて、てかこの曲で彼女を目立たせるため一回選抜落としたのか?と思うくらい。特に最後のウインク。2回。2回するとは思わないじゃん!気絶越えて死んじゃうわ!!!

この曲は人数少ないのもあってアンダーよりかはもはやユニット感が強かった。。可愛くて最高だった。MVが見られずお蔵入りしているであろうことが、尚更惜しまれる。

「コンセントレーション♪」

これは口ずさんじゃった。

とっとと運営はこの5人で撮りなおしてMVを世に出せ。

 

No.8 Deadline

まさしく本物のユニット曲。ベストアルバム「永遠より長い一瞬」タイプB収録なので、(僕はタイプAしか買ってない)僕はここで初めて視聴した。

3拍子なのにワルツじゃないのが凄くアツい曲だなと思った。ブルースのような曲調。スクリーンと広い床に展開する映像はカリフォルニアを思わせるような荒野。歌詞もとても格好良かった。渡邉理佐がセンターなのもよく分かる。

そしてその3拍子を維持したままずんずん盛り上がっていくこの曲も、コンセントレーションが「cute」とするならばまさしく「cool」、両方とも非常に良い曲だと思う。

あとこれは是非日向坂齋藤京子にカバーしてもらいたい。

 

No.9 10月のプールに飛び込んだ

幻の9thシングル表題曲。ベストアルバムでフルを聞いたとき、結構いい曲だと思った。「世界には愛しかない」が春夏ならば、この曲は秋冬か。

特に二期生。二期生が中心の曲とは聞いていたが、この曲においての二期生は本当に強かった。二人ずつ抱き合って画面間近を通り過ぎていくところがあるのだけれど、そのどれもがいかにも「青春してます!!」感が凄くて、10月のプールの水しぶきが顔面にかかるかのよう。

特に藤吉夏鈴がこの曲ではよかった。笑っていたからか、何なのか。やっぱり存在感という一点においては、二期生において彼女が一番あると思う。

センターの森田ひかるは、この曲が発売中止になったことをどのような気持ちで受け止めたのだろう。平手の代理とはいえ決まったセンター。発売まで緊張、プレッシャーもあったけれど少なからずとも嬉しかったのもあるのではないか。小林由依菅井友香、田村保乃・・・強いライバルたちを押しのけて射止めたポジション。

多分、悔しかったんじゃないか。

それを考えると、櫻坂1stシングル「I’m fault」センターなのも尚更うなずける。歌詞が所謂べらんめえ口調なのも。悔しさをばねにした頑張り程難しく、けれど強いものはない。

 

No.10 砂塵

この曲はセンター絶対渡邉理佐だと思っていた。ヤクルトのCMでも彼女がセンターを貼っていたし。だけどまさか菅井友香だとは。

そして笑顔満面で歌ってくるとは。歌いだし、皆が座る中で笑顔の菅井が舞うところが一番良かった。なんでそんな笑顔なんだよ。最高だった。何があっても進むんだという強い意志を感じた。

この曲はアルバムで聞いたとき正直非常にいまいちだと思った。サビは耳に残れど地味だし。でも菅井センターのこのパフォーマンスを見て、好きな曲になった。私達は何があっても進んでいく。笑顔で。メッセージを感じる。

 

 

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No.11 風に吹かれても

もうこの曲は小林由依の曲ですよね。境遇も含めてね。小林由依のがもう逆にしっくりくるもん。

彼女が代理センターを務め始めたころは正直「うーん」という感じでしたが、菅井友香同様場数を踏めば踏むほどどんどん磨かれてきていて、顔のパーツの大きい目も相まって、非常に映えますね。凄い好き。

あと後半空飛んだのは笑った。いやまぁ昨日上村莉菜が飛んだっていうから誰か飛ぶだろうとは思ってたけどまあまさか本当に飛ぶとは。

けれど着地する時の振り付けがMVと違ってよかった。MVでは、皆が両手を上げて平手を迎える。その姿勢はある視点から見れば「崇拝」にも見える。けれど、今回は小林由依が着地する時はみんな手をたたいて楽しそうに笑っている。そこに小林由依も溶け込んでいく。手をたたく。

センターとはいえどそこに負担を掛けさせない。たまたまポジションが「真ん中」というだけであって、皆でパフォーマンスするんだ。という・・・否、の新しい方針が見えるかのような振りは素晴らしかった。

この曲自体は発売された時、正直ええ・・・と思った。めでたき当時の推し・石森がフロントの本当めでたき曲なのだけれども、なんか欅と違くない?と思った。でもシングル8枚(10枚)も出ればどんな曲があっても馴染みますね。ちなみにこの曲のMVでコンテナの上で笑顔になる石森虹花の1シーンがとても好きでした。

カラオケで歌うとこの曲だけキーがやたらめったら高いからやたらめったら歌いづらい。

 

No.12 アンビバレント

小池美波がセンターだとは思わないじゃん。1選抜落ちした者とは思えない。やはりあの時に堕落するのではなく頑張り続けたその結果なのだと思う。

「みいビバレント」もとても良かった。特に2番の千手観音の部分、後ろから土生瑞穂が抱きしめていたんですよね。崩れゆく欅のなかで努力を続け、坂道を必死で上ろうとした2人がここで抱き合う姿はぐっと来た。土生の抱擁。上ろう。つらくても。

「ちゃんとしていなくちゃ愛せない ちゃんとしすぎてても愛せない」

僕はこの曲のこの歌詞が非常に好き。

ちゃんとしていなくちゃ(欅坂を)愛せない 

ちゃんとしすぎてても(欅坂を)愛せない

そこの二律背反をうまく渡ったのが、まさしく小池美波土生瑞穂だと思います。

あとMVでは「単細胞」という平手友梨奈のシーン、あれは歴代MVの中でも最高の平手だと思います。

 

No.13 ガラスを割れ!

ここでいきなりなんか黒い怖い人達が出てくるんですよね。

誰やねん君達!!なんやねん君達!!もしかして欅坂のライブをつぶす気か!?と思ったら、彼らに対抗するように歩き始め、上から降ろされるジャケットに袖を通し始めるメンバー達。

ガラスを割れのMVにも出てきている「あの人達」だったとは・・・。

冒頭、この黒い人達と欅坂のメンバーが睨み合って喧嘩するシーンがある。

この黒い人は多分・・・外野の声や批判の声、アンチの声、文春を表していてそこに屈せず戦うぞという印象を受けた。

そして曲の一番のAメロ、ここは今までのパフォーマンスではメンバーVSメンバーで睨みを利かせる者だったと思うのですが、今回はメンバー全員VS黒い人達に変わってましたね。メンバー全員で外野の声を潰していく。一丸となって倒す。

その後のパフォーマンスは言わずもがな。力強く素晴らしかった。ただ小林が一人前に出始めたときは倒れないかと若干ヒヤリともしましたが・・・完全に杞憂でしたね。

あとメンバーの絶叫するような声がちょくちょく入っているのも、渾身!て感じでよかったです。こんしん!!

6thシングルのこの曲は、一時期めっちゃ聞いてました。頑張りたいときに一番利くんですよね。「出来ないと思い込んでいる自分≒ガラス」をぶち割ろうという強いメッセージを感じる。

カラオケでも唯一90点台叩き出せた曲。MVではゆいちゃんずが写るシーンが好きです。

 

No.14 誰がその鐘を鳴らすのか

そしてここでこの曲である。ようやく新二期生も登場。

最近何度もテレビで見た曲だけれども、彼女達にとって最後のパフォーマンスになるのかと思うと切なくなる。「一斉に口を噤んで」のところの山﨑天の振り付けが欅のマークになっていてさらに切なかった。

小林由依のポエトリーは力強い。大抵こういったパフォーマンスのポエトリーって僕的に消化不良なことが多いのだけれども、叫ばずけれど静かに力強く、凄くいいポエトリーの読みだったように思う。

この曲はデジタルシングル・・・はウォークマンの入れ方が面倒なのでベストアルバムから入れて聴いているけれど、最近ほとんど毎日聞いている。大園玲ちゃんもメッセージで言っていたが(確か)、2番のサビの「愛の救世主」の入り方が最高にエモい。

 

No.15 サイレントマジョリティ

そして最後はこの曲である。小林由依がセンター。

曲の節々にすすり泣く声が入っていて、けれど彼女達のダンスは力強く、僕達ファンの心を穿つ。特に小林由依の2番「大統領」の振りが凛としていた。

この曲は衣装を変えて、シングルのあの深緑の衣装にしていた。一期は勿論、二期・新二期も含め、全員にとって欅坂を象徴するこの服は思い入れのある衣装だったに違いない。

私達はこの服を着て「僕達」になり、欅坂46となった。

私達はこの服を着て凛と踊る彼女達に憧れて、オーディションという門扉を叩いた。

「君は君らしく 生きていく自由があるんだ」

この歌詞は櫻坂として活動するメンバー達は勿論、佐藤詩織石森虹花、その他卒業メンバーの生き方全てを肯定する。

 

櫻坂の白は一体どのような白になるのだろう。

彼女達らしい白を。輝く唯一の白を。

 

No.16 Nobody's fault

そしてまさかのここでの櫻坂1stシングル発表である。驚いた。いや、若干こういう可能性も考えないことはなかったけれどもそれでもまあ驚いた。

森田ひかるがセンターなのは想定内。衣装もまあ想定内。めちゃくちゃ可愛いな。

ただ曲調は予想外。もっと上品系かと思っていたら言葉遣い、「ガラスを割れ!」並みの男前さで笑った。

そして何といっても・・・選抜制度導入。

踊っているメンバーの少なさに正直驚いた。日向の全員選抜を櫻も継承すると思っていたから。

けれど、これでいいのかもしれない。

は結局「絆」に縛られすぎて崩れてしまった部分もある。全員選抜という制度も、その「絆」に基づくものであった。そして果たしてその「絆」は本物の絆であったか?

ならば、選抜制度を導入して、仲良しだけのグループからの脱却を図るのは有りなのかもしれない。

と、まで思わせてくれるのはやはりアンダー曲「コンセントレーション」が名曲だったから。アンダーもアンダーで最高のパフォーマンスを見せ、最高の曲へ昇華してくれるだろう。

そして、小池美波・尾関梨香・山﨑天とアンダーから選抜に這い上がってきた3人のように闘志を燃やし、2ndでは是非選抜を勝ち取ってほしい。

恐らくだけど、「10月のプールに飛び込んだ」の選抜から落ちた上村莉菜、井上梨名・関有美子、増本綺良・守屋麗奈辺りは、悔しさをばねに輝けるのではないか。いや・・・他のメンバーもだ。燃やせ、白い炎を。

ちなみに、渡辺梨加が外れたのは予想外だった。なんだかんだ人気で入るものかと思っていたから・・・。

あと、

我らが推し大園玲さん!!!!選抜おめでとう!!!!!

僕は音楽番組での彼女の活躍を見るために、テレビの購入を決意しました。

 

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初めてスキャンのアプリというものを使ってみた。

 

最後、ファンクラブ会員向けに各メンバーが櫻坂の衣装でこれからの抱負を語る場面が設けられた。櫻坂に進む全員が白い衣装をまとっている。

大園玲さんは振る舞いひとつひとつが落ち着いていて、礼もきちんとしていて、姿勢も綺麗で、ますます好きになった。

増本綺良は途中でつっかっかかって、笑ってしまった。あと藤吉夏鈴「ありがとうございました!!」一言で彼女らしいと思った。彼女だけ、サイレントマジョリティー終了後戻るとき、一人だけ凛とした表情で涙も見せてなかった。強いのだと思った。

松平璃子「私は自分を変えようと思ってオーディションを受けました。ただ・・・欅坂では変わりきれなかったので、櫻坂では花を咲かせられるよう、変われるよう頑張りたいです」おおむねこんな感じのことを言っていて、じぃん・・・と来てしまった。そもそも「大天使りこぴ」なのだから、櫻坂でも心機一転頑張ってほしい。今日のパフォーマンスで可能性を見たから、もっともっと、自分を信じて新しい坂を上ってほしい。

 

の終焉の直後にこうやっての始まりを見せるのは、メンバー・運営からのファンへのレスポンスのように僕は思った。

余韻に浸りたかったという言葉も多くネットで見かけたが、

この流れは「もうこれ以上ファンを絶望させない。絶対に」といったようなメッセージにも受け取れた。

信じていいですか

 

小林由依、小池美波、菅井友香、松平璃子、山﨑天、大園玲・・・そしてこうやって頑張っているメンバーが同じ次元の同じ国のどこかにいるからこそ、

僕達も明日を頑張れるのだ。

ここまで再燃した坂熱、そのまま櫻坂に継承し応援を続ける。

1stシングル12月だけど・・・紅白はどうなんでしょうね。落選は当然だと思うし、受かったら受かったでNHK大園玲が見られるのでとても幸せです。

 

以上である。

とても胸がアツくなった、ラストライブだった。

ちなみに終了後僕は力抜けてその場で寝てしまい、翌日もなんだか力が出ない。

メッセージアプリの引継ぎに失敗したからかもしれない。

それくらい、ラストライブが良かったからかもしれない。

いや、それくらい、そもそも僕が好きだったからかもしれない。分からない。

とりあえず、1stシングルの情報を楽しみに待っています。アンダー曲、ユニット曲、MV、知りたいことは山程あるので。

 

欅坂を超えろ 櫻坂46。

 

***

 

LINKS

映画も見た。これ、すげー「分かってる」感が強い最高の作品だった。

欅坂のファンは見といたほうがいい。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

改名発表後の雑誌。小池美波のページがグラビア、インタビュー共に最高。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

 

「僕達の嘘と真実 Documentary of KEYAKIZAKA46」-さよなら、欅坂。-

 

 

 

映画見てきました。

 

 

 

 

「僕達の嘘と真実 Documentary of KEYAKIZAKA46」(監督:高橋栄樹  配給:東宝映像事業部 2020年)の話をさせて下さい。

 

 

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映画館、シネシティザートにて。



 

 

【概要】

欅坂46 初にして究極のドキュメンタリー映画完成。

 

これは、誰も知らない”僕たち”の物語。

駆け抜けた5年間の軌跡を見届けよーーー

 

ちらしの裏より

 

【見るべき人】

・欅坂が好きな人、もしくは好きだった人

・てち推し

・逆に欅は好きだけど平手にフラストレーションをためていた人

【見ないべき人】

・欅坂に関心がない人:完全にファン向け。入門編としてもいまいち。まずはベストアルバム通常盤から入るのが良いと思う。

 

【感想】※ネタバレ有

土田がラジオでも言っていたようですが、完全にファン向けの映画ですね。

映画、というかドキュメンタリーに近い。

なので欅坂が好きじゃない人には全く響かないと思います。

でも欅坂が少しでも好きであれば、凄く響くと思います。

 

そして監督は欅坂あと初共演とのことですが・・・ちょー分かってる。撮り方が全部「これだよ!!これが見たかったんだよ」感。

格好よく編集されていて、全編とおしてMV見ている感じなんですよね。メンバーのインタビュー映像とかもあるんですけど、その背景までもこだわっていて、凄い。たとえるならば「月曜日の朝、スカートを切られた」のMVを延々続く感じ。

てかOPから僕の心はやられました。初っ端の初っ端、メンバーの名前全部出てきてから菅井の全身が映って、タイトル出てくるんですよね。この1分足らずの映像で、「ああ僕達は嘘と真実を見るんだ」と嫌でも覚悟をさせられる。

 

ストーリー展開にも感動。

初っ端絶対「サイマジョ」だろ思ってたら、まさか2018年のツアー「ガラスを割れ!」からくるとは思わないじゃんね。

で、そこで平手がぶっ倒れて、

ステージから落ちて、

2016年のデビュー当時の映像に戻るわけですよ。

そこにはまだあどけない中学生のてちと、同様にあどけないメンバー達がCDショップめぐる映像から始まっていて・・・。

 

 

平手の走馬灯が、始まる。

 

 

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初期の初期はグループがすごくうまくいってる。

平手がセンターに選ばれて、サイレントマジョリティー」のCDジャケ撮影している映像なんて涙出てきますよ。みんな笑顔なんですよね。本当純粋に。てかあれこそ渋谷川だったのか。

ただそのなかでも、

平手が圧倒的に才能が有りすぎた。

 

「世界には愛しかない」のMVで一人踊る平手をメンバーは呆然と見る。一部のメンバーは見せつけられた圧倒的差に涙すら流している。

でも平手はパフォがついていけないメンバーを責めることなく、きゃぴきゃぴしながら全員を引っ張っていくんですよ。明るく笑顔で、きゃぴきゃぴしながら。

グループの真ん中に平手がいた。

みんなが平手を大切にした。

そして平手もみんなのことを大切にしていた。

その思いやりが「センターはてちじゃないと・・・」って言って、ポジションあけたままでパフォーマンスに繋がったのでしょうね。

当時平手のポジションを開けたままパフォーマンスするグループ自体に僕は正直すごく苛ついていたんですが、

当時メンバーが空けたパフォーマンスに固執する理由がわかります。

メンバーにとってかけがえのない存在だった。

平手にとっても、メンバー達はかけがえのない存在だった。

その事実が、空いたポジションを埋めることに不義理を感じたのでしょう。

 

そして「不協和音」からはっきりと、平手に不調の兆候が見える。

誰とも目を合わせず、口もきかなくなる。

けれどそれを誰も触れようとしない。遠くから見守る。

女子同士ってそうじゃないですか。明らか仲間が不調であっても、よほどのことがない限り触れられない。

触れたら、相手を傷つけてしまいそうな気がして。

相手を大切に思うからこそ、触れられない。

それがますます平手を孤立させていく。

 

大切に思うからこそ、気づかないうちに壁が出来ていた。

だからこそ僕達は連呼する。けんきょやさしさ「絆」けんきょやさしさ「絆」「絆」「絆」「絆」絆絆絆絆絆きずなきずなきずなき・・・・・・。

絆を遮る程の壁が出来ていることを認めたくなくて、僕達は何度も連呼する。

僕達の嘘。

 

平手の走馬灯は終わる。

 

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しかし2年3年時がたち場数を踏めば、他のメンバーにも実力がつく。

そして時と共に「空きポジションのままパフォーマンスをすること≠平手との絆」であることに気づく。

一番初めに気づいたのが多分小池美波。

その気づきがあのダンスに繋がる。2018年夏のツアー、センター不在で演じた「二人セゾン」で、ソロダンスの部分だけ、その場で急遽アドリブで踊った。その舞は力強く、欅坂のファンの心を穿った

平手との比較に押しつぶされそうになりながら、再び二人セゾンのセンターに立つ。

「裏側」を映像で見れたのは凄かった。

あと小池が好きになった。

 

そして二期生が加わって、9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」における選抜制の導入。

選抜発表は突如行われ、藤吉夏鈴から名前を呼ばれ言われたポジションに座っていく。

泣かないで!小池!!泣かないで!!写真集も発売してセゾンの代理センターを射止めたのに選抜落ちは僕も当時衝撃だったけど・・・!!

僕はここで結構泣きました。

 

そして、選抜メンバーのみが参加する「10プー」MV撮影。

楽園。今までの欅坂とは違う、可愛いらしい風景。草原の上にはバスケットと、可愛らしい柄のビニールシート。花が咲き、風船が舞う。空は晴れている。メンバーは全員スカートで愛らしい風景の中、朗らかに笑っている。一期生二期生みんな笑顔で、キラキラ眩しい。

これ以上平手に重きを置いた、暗い曲には運営も限界を感じていたのだろう。大幅に路線変更することで、 再起を図ったのは分かる。

ただ、

今まで辛苦を共にしたメンバーが欠けてくなか、

パフォーマンスをするたびに心を削り心身限界目前のなか、

平手にその「楽園」はどのように映ったか。

 

MV撮影中、一つ、ピンクの風船が風に流されて上空に飛んでいくシーンがある。

多分あれは、平手の心。

 

 

 

 

「遠くにすら感じられるあの「楽園」の真ん中で踊るのは、誰?」

 

 

 

10プーが発売延期になった理由が延期となった真実。

 

 

 

東京ドームでの伝説のWアンコール、「不協和音」と平手ソロ「角を曲がる」で物語はいったん幕を下ろす。

突如始まったアンコール「不協和音」大画面で見られたのは興奮した。特に2番の田村の「僕は嫌だ!!!」にはゾクゾクすらした。

それを凌ぐ「角を曲がる」のパフォーマンスは、凄まじかった。

直前まで「もう無理!!・・・だめ、もう無理!!!」と泣いている平手を、スタッフたちは無常にも無理矢理車輪つきの台車に乗せ、ステージに送り込む。

何万にといるドームの中で一筋の光が差せば、

そこで平手は・・・

スカートを翻し指先までが美しく、舞う。歌う。

 

 

 

一人、角を曲がる・・・・。

 

 

 

 

曲が終わり、「ありがとうございました」と平手が頭を下げ、

そして、

サイレントマジョリティーの21人並んだあの映像に戻る。

この作品自体が、欅坂が平手という孤高の天才との別れを告げる物語であることに気づく。

 

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1st,2ndシングル衣装に身を包んだメンバー達。ベストアルバムのタワーレコードのパンフレット表紙。

 

そしてその後は恐らく公開延期に伴い付随したシーンである。

配信ライブで発表した「改名」を踏まえての作品になる。所謂映画の「アンコール」といったところか。

本編では触れられなかったシングル「黒い羊」「風に吹かれても」の映像が入っているのが良かった。特に「風に吹かれても」においては、もはや平手よりかは小林のが凄く合ってる。

配信ライブの裏側も少しみられる。くそ・・・。くそ・・・仕事だったんだよなあ・・・くっそ。まじくっそ。くそ。くそくそくそくそ。円盤化してほしい。

そして「誰があの鐘を鳴らすのか」。新二期生、我らが推し大園玲ちゃんも加わってのパフォーマンス。

一人一人が力強い表情で、新坂道の未来が明るいことすら予感させる。

特にこの曲においては菅井友香のパフォーマンスが僕は好き。不協和音の代理の時もそうだったのだけれど、普段のほんわかぱっぱがどこにったのかってくらい、細い身体全体揺らして踊る感じが見ていて心地よい。特に終盤の両手広げる振りのとことか。

 

1つの圧倒的力でかけ登るのではなく、26の力が結集して登る坂道の上には、

一体何が見えるだろうか。

それは恐らく茨で険しい道だけれども

その行く先を見届けたいと思う。

大園玲ちゃんいるし。あと小池もいるし。

 

別れを告げる。

最後、竣工が終わったPARCOの屋上に立つ菅井と、

アンビバレントのMVで一人立つ平手の映像が流れる。

 

それぞれの道に、

明るい真っ白い未来があることを・・・。

 

素晴らしい作品だった。

 

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パンフ。中のグラビアの写りも良く大満足。

パンフレットは、映画館で案外すんなり買えた。絶対売り切れてると思ったからとても嬉しかった。

監督へのインタビューと、一期生二期生対談と、一期生二期生に30の質問インタビューが収録されている。

 

特に高橋栄樹監督へのインタビューははえー」となる。

平手へのインタビューの申し出は渋い反応だったようだ。そこを踏まえたうえで、これほどまでの傑作を作り上げたというのが凄い。平手の言葉はあえて収録しないものかと思っていたくらい。

ソーシャル・ネットワーク市民ケーン等著名な映画の作りを参考にしたと言っていたのは興味深かった。ドキュメンタリーだったけど確かに「映画的」に感じられるところは多かった。

あと、どのジャンルにも言えることだけれど良質な作品を作るクリエイターは幅広いzy何ルで良作に触れているもんなんだなということを実感した。

 

2人ずつメンバーのインタビューも掲載されている。

一期二期、それぞれ一人ずつでペアで掲載されている。グラビアは打って変わってカラフルでかわいい。

 

菅井×松田

菅井のピンクのワンピースが可愛い。

菅井は良くも悪くも、最初から最後まで欅を象徴する存在になりましたね。OPの初っ端で出てきたのも彼女でしたし。

最近はパフォーマンスが凄く良いと思う。バキバキ踊る笑顔の菅井は平手のパフォより正直好きです。

現キャプ×次期キャプでしょうね。言わずもがな。

小林×森田

センター対談といったところでしょうか。

小林は一期のエースという絶対的不動の地位を確立しましたね。彼女がいる限り、新しい坂道も安泰でしょう。

森田は「黒い羊」の代理パフォ良かった。多分、10プーも彼女がセンターだったのでは。

尾関×武元

ばぶばぶ対談。ここで尾関が「今まで部活に入ったことなかった」と言ってたのが妙に印象に残っている。そうだったのか。

彼女も「絆」崩壊後から立ち上がった一人ですよね。あとやっぱパフォが目に見えて進化してる一人でもある。ダンスはやはり、まぁ巧いメンバーとは言い切れないけれど、それでも欅後期の彼女のパフォには見入るものがあります。頑張ってほしい。

渡邉×田村

二番手対談。田村はこの映画を通して、表情が凄い豊かな人なんだなと思いました。きょろきょろした眼球が良い。二期では一番好きかもしれない。

山崎×原田

最年少対談。この二人はあの、まぁ肌が暗めというのも共通点ですね。でもだからこその美しさがあるので、某広瀬さんみたく無理に白くしないでほしい。

天ちゃんは「誰が鐘を鳴らすのか?」「一斉に口を噤んで」毎回違って、見ちゃうね。2年くらい前は凄い暗い表情していた印象があるけれども、ここ最近はふっきれたのかなんなのか、凄い華があるなと思います。小学六年生の彼女がやりたかった「欅坂」が最近になってやっと実現できた感じがある。それを次の坂道でも活かしてくれ。

 

そしてメンバー一斉に30の質問を浴びせるコーナーがあって終わり。

結構意外な面が見られて面白い。例えば、田村の好きな映画がフォレスト・ガンプであったり、菅井の好きな映画が「ガイジ」シリーズであったり。やっぱ金持ちだから見る観点違ったりすんのかな。今度握手会でオタク達相手にこういう出し物やってトップオタを決める大会でもしようかしら・・・みたいな。

最後に各々コメントを残すところがあります。

だけど、まさかここでの石森の「おつにじです」最後の「おつにじ」になるとは思わなかった。映画でもグループ愛をずっとずっとずっと話していたから・・・。

 

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以上である。

思ったよりかなり良かった。

サブタイトルの「嘘」と「真実」を自分なりに考えてみたけど・・・、

「嘘」は概ね当たっているような気がするが、

「真実」はなんか違うところにあるような気がするなー。

10プーの延期とかそういう浅いところではなく、

もっと深いところにある気がする。

 

10月の初めにCD出るとのことだけど・・・

ううう、「ひなたざか」ともかぶって出費が痛いけど・・・。

絶対!買います。

 

***

 

20201014

 

 

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並べると良い感じ。


買ってます!!!

発売日に買ってる。

タイプAを買った。

「コンセントレーション」がいい曲なんじゃ~。乃木坂の「I.see」を思い出す。

「10プー」はトータルで聞くと、「世界には愛しかない」秋冬版といったところでしょうか。

 

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 無論「ひなたざか」も買いました。こっちはタイプB。

 

***

 

LINKS

過去にブログに書いた欅坂掲載雑誌の一部。この頃まさか石森がこんなことになるなんて思わなかった。

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

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魔神ぐり子『事故物件より愛をこめて』-2020年度まぐろどんギャグマンガアカデミー賞受賞作品-

 

 

死んだ婆さん「セックスしまくったが子供はできなかった

それでも幸せだった」

主人公「いいかた」

p.148

 

 

間違いなく今年読んだ四コマの中でナンバーワンですね。

貸本屋で借りたけど、購入しようかな。

 

魔神ぐり子『事故物件より愛をこめて』(ぶんか社 2020年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

ネットカフェ暮らしの藤井青年が、

ようやく入居できたアパートは、

おっさん幽霊の清水さんが住み着く事故物件だった。

霊と話ができる特殊能力をもつ藤井青年は、

不本意ながらも清水さんとコンビを組み、

この世に未練を残す幽霊たちが成仏する手助けをすることになり・・・!?

裏表紙より

 

敷金・礼金なし 格安1R(おっさんの愛付き)

帯より

 

【読むべき人】

・とにかく何も考えずあっさり読めて笑える四コマお探しの人

・面白い四コマ作品お探しの人

・のくせ、できれば一冊完結で、とか贅沢言っちゃう人

銀魂好きな人

・とにかく面白い四コマ作品お探しの人(二回目)

 

【感想】

貸本屋で借りた。

貸本屋の看板に、本書のタイトルが出ていた。

どれどれ、看板に出ているくらいならきっと面白いだろう。

あと「事故物件」と言ってるし、ちょうどホラーほしいと思ってたんだ。ホラーもあったら超ラッキー。てな感じで借りた。

 

超面白かった。

そら看板に載せるわ。載せるどころか、私だったら10冊くらい買いこんで、近くの家のポストに回覧板替わりにぽいぽいいれちゃうかもしれない。

それくらい面白かった。

 

まず作者。

魔神ぐり子先生は、ポッと出のツイッター上がりの漫画家かなと思っていた。

いや、ショートショートショートさんはじめ、そういうツイッター上がりの漫画でも面白いものは多く満足度高い作品も多々あるし、軽んじているわけではない。ただ名前からしてそうなのかなと思っただけだ。

違うんですね。

いやツイッターにゲンガーの絵を載せてますが。

ウィキ読んだら結構なベテランの方。

ツイッターで本書の宣伝はしていなかったけど、いやいやいやいや!!!!いやいやいやいや!!!ゲンガーなんか載せてる場合じゃないでしょ!!!なんでこんな面白い四コマ漫画あることをツイッタラーに教えないんですか!!漫画家の義務の放棄ですよ!!!義務の放棄!!!

いいですか!!漫画家っていうのは面白くても面白くなくても漫画をツイッターに挙げてばんばか宣伝すべきなんです!!!

ましてやこんな面白い四コマ!!知らずに死ぬツイッタラーがもったいない!!(清水さん風)

 

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清水さん

 

所謂本書は除霊ものである。

フリーターの藤井君が住むワンルームはまあまあの事故物件で、そこに清水さんという独身中年が住んでいた。

温度低め若者藤井君と、熱血中年清水さん。

この凸凹コンビが、成仏したいと願う幽霊のあれこれを叶えて見送っていくというストーリー。

 

なのだけれども、

まあまずキャラが良い。

藤井君。テンプレート化している、いわゆる「テンション低い若者キャラ」ではあるが、非常に面倒見がよく優しい。あと短くズバッと要点を突くツッコみスキルがある。ので、読んでいて苦にならない。

途中で「なぜ漫画でも現実でもよく見るテンション低い若者キャラになったのか」の裏付けエピソードがあるのも良かった。

清水さん。テンプレート化していない、結構熱血テンションのなかなかキモいおじさんである。特に女子高生に関するところはキモかったわー。

でもテンション低い若者藤井君の心に火をつけるのは、毎回決まって熱血清水さんなのである。

凸凹コンビの凸と凹がしっかり嵌っているからこそ、読んでてこんだけおもろいんだろうなぁ・・・。

 

出てくる幽霊もひとりひとり癖が強くて良いのだけれども・・・その幽霊どもがいくら数集まっても勝てない程の強烈な癖を持つのが隣人・高田薫である。

簡単に言えばゴリゴリマッチョのゴリゴリホモなのだけれども、まあ下着の趣味がまあ・・・うん。優しいところもあるんだけれども・・・・まあ、うん。

高田「やだ あたしのことおかしいやつって思わないでね」p.59

 

あとなんといってもワードセンス。

藤井君の鋭いツッコみもそうなのですが、清水さんはじめ幽霊高田諸々作品全般において言葉のチョイスが洗練されているんですよね。

無駄な言葉が一切ない。

藤井「単1って小さいやつでしたっけ・・・?」

高田「大きいやつよ 金玉くらいのやつ」p.102

キレッキレなんですよね。

あと藤井青年につく、ネットのハンドルネームも漫画のペンネームもまあ下品なモノなんですが「どうやったらそんな名前思いつくんだ・・・?」ってほどのキレッキレさ。

魔神ぐり子先生・・・やっぱだてに「魔神」名乗ってるんじゃないんだなと思わされます。

おばさん(息子と付き合ってほしい女の子は)「SNSで結婚報告する時にフィルターがかかった婚姻届(指輪添え)となんの意味があるか分からない青空の写真上げたりするような子がいいの!!」p.124

 

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僕の部屋にも清水さんみたいな面白い人いないかしら

 

いやもうこれ以上語っても、四コマ漫画・・・面白さは分かってもらえないだろう。

し、分かってもらおうと無駄に口を滑らせることで、逆に「面白くないんじゃないんか・・?」と疑念を持たれてもちょっと嫌なので、ここくらいにしておく。

四コマ好きな人は是非読んでほしい。

ギャグ漫画好きな人は是非読んでほしい。

特に銀魂あれが好きな人は本書も絶対好きなはずである。

事故物件と言えば映画が公開されているので、合わせて視て、読む!!来たれ!!事故物件の秋!!てな感じでいいのかもしれない。(てきとう)

 

最後に好きな幽霊ベスト3(「清水さん」抜き)を発表して終わる。

 

3位 美容師目指す青年の幽霊

 

2位 漫画家目指す女子高生の幽霊

 

1位 春日節子(82

 

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以上である。

とにかくめちゃくちゃ面白い。

のでめちゃくちゃ人に読んでほしい。

そんな一冊であった。

てか貸本屋で130円でかりたけど・・・1000円しないなら買おうかな・・・。実家の母親にも読んでほしい。面白いので。

でも今月お金が・・・うううーん。う、うううううーん!!!!!

 

 

・・・。

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

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 買いました。

実家の親にも読ませようと思います。

原作:宮部みゆき 作画:皇なつき『お江戸ふしぎ噺 あやし』-梅の花を見るたび、多分きっと君を思い出す。-

 

 

怖いだけが、怪談じゃないんだよ。

 

 

原作:宮部みゆき 作画:皇なつき『お江戸ふしぎ噺 あやし』(角川書店 2012年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

江戸の町民ったちに降りかかる、恐ろしくて不可思議な出来事・・・器量良しのお千代に、奉公口を撮られねたおえん。神社で引いた「大凶」のおみくじを、梅の枝に結びながらその強運をお千代におっつけるように願うと・・・

第一噺「梅の雨降る」ほか、「時雨鬼」「灰神楽」「女の首」「蜆塚」の計5編の怪異譚を収録。

裏表紙より 

 

【読むべき人】

・江戸時代の怪談が好きな人

・質の高い漫画を1冊であっさり読みたい人

(小説の漫画化ですが、漫画だけで十分楽しめます)

「当て屋の椿」が好きな人

(絵柄も時代も似ているため、多分好きな人は好きなんだと思う。椿あんま読んだことないけど)

 

【感想】

時代小説は苦手だ。

ひとつひとつの用語を紐解かなければならないから。

たとえば「奉公」一言で言ったって、それがどのようにして申し出があるのか、行く先の館の規模は、またそれが奉公しにいく本人にとって良いことなのか悪いことなのか、読むのに妨げになるほど分からないことが多い。

今まで大河ドラマはじめ時代劇の作品にあまり関心をもてなかったから。

中高一貫校で世界史選択してしまったから。高校受験で日本史を勉強する機会はなくそこを誤魔化したまま大人になったから。

主にここらへんが理由だと思うのだけれど・・・。

とにかく時代小説はつまづくところが多くて、あまり読まないのである。

 じゃあ漫画ならどうだろう。

漫画だったら、

「奉公」一言で言ったって、それがどのように申しだされるのか、行く先はいったいどのような場所であるのか、奉公する本人のモチベーションはどうなのか、ありありと分かる。絵の力は凄い。

今回非常に面白く読ませていただいた。

 

そもそもこの作品を知ったのは、貸本屋だった。

「怖い漫画ないですか?」

と聞いたとき店主のおばあちゃんがぞろぞろ出してきてくれた中にあった一冊である。

「小説原作だけどね、おもしろいよ」

はえー」

宮部みゆきは知っている。ミステリーやら江戸の小説やら書いている大御所だ。漫画家の皇さんは知らないが、でもこの女の子の立ち絵のイラスト一つで、どうやら凄い画力の作者であることはなんとなく分かる。

読んで返すだけなのだ。

即決だった。

 

そしてたいてい脳死の時にする選択は、

間違っていない。

良作であった。

前述したように江戸のイメージで戸惑うことなく話の本筋を堪能できたのにくわえて、

さすがは宮部みゆき、その一編一編のストーリーの質の良さたるや。

そこに皇さんの画力が加わるのである。

まさしく帯にもあるように「珠玉の怪異絵巻」なのである。

 

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裏表紙。なんか謎のキャンペーンやってる。

 

以下簡単に各話の感想を書いていく。ネタバレる。

一番好きなのは裏表紙に書かれている「梅の雨降る」

でも「時雨鬼」「蜆塚」も捨てがたいなあ・・・。

 

梅の雨降る

「あたしはみんなに合わせる顔がないんだもの あたしの気が済むまでこうしておいて お願いだから」p.25

※あらすじは上述した【あらすじ】に記載

おえんという、奉公を断られた少女が主人公の物語。

このおえんというキャラクターが非常に良い。顔は良いとは言い切れないものの、活発でエネルギッシュで、一度決めたことは絶対に貫き通す。厚い唇が彼女の意志の強さを表す。

そんな彼女が奉公先を、顔面で決められた時どういった気持ちだったろう。どんなに悔しかったろう。ありあまるエネルギーと意志の強さに身も引き裂かれそうになった日は一日だけでは済まないはずである。

いくら軽率とはいえど、そんな彼女のかけた呪いが、かなわないはずがない。

しかし人を呪わば穴二つ。

その後の彼女はひとり、どんなにか苦しかったことだろう。

いくら辛いとはいえど、あの時はああするしかなかったのである。

後悔もできない。醜悪な自分を、家族にも誰にも恥ずかしくて見せられない。

ひとりでどんなに苦しんだことだろう・・・。

だからこそ、最期の梅の花香る美しさがより映える。

布をとった彼女の顔の美しさは、漫画越しでもはっと息を飲むほどであった。

原作は小説ではあるが、漫画という媒体だからこそ映えるストーリーでもあると思う。この1編が収録されているというだけでも、この一冊は読む価値あり。

 

時雨鬼奉公から逃げ出した主人公は、主人に話を聞いてもらおうと駆けて向かうが、そこにはお内儀を名乗る艶めかしい女が一人いた。

「人間の中にはね自分の欲のためなら親切そうな顔をして平気で他人を騙したり殺したりできるような連中がいるんだよ そういう奴らは人間の顔の下に鬼の本性を隠してるんだ」p.73

小説の方が映える題材ではあるが、最後の主人公の表情で全て採算がとれる作品。

あとこの作品は怪しい女・お内儀さんを堪能する作品でもあるんでしょうね。

立ち姿はなまめかしいが、いまいち何を考えているかが分からない。表情がくるくると変わる。悪い奴ではなさそうだ。だが良い奴でもなさそうだ。そしてその女の口にする言葉は主人公そして読者の心をどうしても、惹く。時雨のなか、タバコをくゆらせる女のどこか色っぽさよ・・・。

1編で終わらすにはもったいないくらいの存在感あるキャラクター。

多分小説だと全然印象違うんじゃないかな。

このお内儀さんの話の道徳と、それでも男を愛することをやめられない主人公の恋する気持ちに重点が置かれた話なのではないか。

要するに、小説では人間の内面に肉薄した作品なのではないか。

漫画だとお内儀さんの「キャラクター漫画」的側面が強いのですが。

 

灰神楽:「身持ちが固い」と評判のいい奉公の娘が、刀傷沙汰を起こしたというが・・・。

「お前は人を殺したことがあるな」p.92

正直インパクトに若干欠けるかな・・・と思った作品。

なんで漫画化にこれを選んだんだ・・・。火鉢にそびえたつ女の幽霊を描きたかったからなんでしょうけど、それでも終わり方が一件落着!感半端なくて、あっさり薄味といった印象。

主人公が所謂町の事件を解決するような立場「親分」という人で、風格のあるマフラー巻いたおじさんなんですよね。本書まるまるこの親分主人公の連作短編集だったら印象は違ったかもしれないけど・・・。

うーん。

やっぱ作品のチョイスがちょっとなあ・・・と思う。原作小説の「あやし」はどうやら9編の短編集らしいんですよね。他にもっといい題材となりうる話あったのでは・・・。

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女の首:口が聞くことができない少年・太郎は、袋屋の「葵屋」に奉公に行くことになるが、そこで恐ろしい形相をした女の首を見てしまう。

「そうだ おっかさんが好きだったかぼちゃの色だ」p.125

少年が主人公のちょっとグロテスクな冒険譚といったところか。冒険してないけど。

まずこの少年・太郎が可愛いんですよね。口がきけないながらも、指先が器用。そして優しさも勇気もある。そら境遇こそ恵まれはしなかったけれど、幸せな生き方をするにふさわしい少年。

加えてこの作品に出てくるかぼちゃの神様が、もっと可愛いんですよね。小さくてあわあわしててかわいい。太郎よりかわいい。こういう存在が目に見えないだけで僕の近くにもいるのかなあ・・・いてくれいてくれ。

逆に、この話のある意味「主人公」である女の首がまあ恐ろしいこと恐ろしいこと。もう形相が半端ない。全然可愛くない。

そしてこの女の言葉だけ、あえて墨で書いたような書体にしているのですが、それが更にまがまがしさを増しているという・・・。本書の中で一番恐ろしい怪異。

あと葵屋を恨むきっかけも、ストーカーと同じ心理なところも地味に嫌ですね。死んで首になってまで恨んでくるとか、どんだけ性質悪いストーカーだよ。

 

蜆塚:世の中には不老不死の存在が一定数いるという

「や お前さん・・・いや 何でもねえ」p.168

漫画映えしますね。特に「影がなくなる」シーンはゾッとしました。見せ方が上手い。

そして不老不死・六郎の何考えているのか分からない、一見人のよさそうな細目の顔も作品の不気味さをより一層際立たせる。大抵こういう不可思議な存在って妙齢の色っぽい女性が多いと思うんですけど、そこにパッとしない感じの男を持ってくるのも良いですね。あと細目は某三番隊隊長よろしく、何考えているか分からない。何考えてるんだよ・・・何考えてるんだよ!!!

不老不死・・・憧れるけど、やっぱりこういう存在って実在してたりすんのかな。と思わせる余韻も見事。

確か似た題材で、高橋留美子さんの作品もありましたよね?あちらはラブロマンス的な感じだったと思うのですが・・・どうだったか。

蜆(しじみ)・・・しばらく食べてない。インスタント味噌汁でもいいから食べたいなあ。

 

以上である。

5編とも結構楽しめた。

「梅の雨降る」胸がきゅっ、となる結末は素晴らしかったし、

「時雨鬼」の最後の主人公の表情には心を射抜かれた。

「女の首」では勇気を出すショタ少年太郎とかぼちゃの神様が可愛かったし、

「蜆塚」のまさかで終わる結末には息をのむ。

強いて言うなら「灰神楽」だけちょっと薄味で残念、といったところか。

 

ちなみにこの皇なつき先生、絵がめっちゃうまいなーと思ってたのですが、

蜜蜂と遠雷の漫画化も担当されてるんですね。

読みたい読みたい思いながら読めてないんですよねー・・・原作。

見たい見たいと思いながら見れてないんですよねー・・・映画。

いっそのこと漫画から入るのもありかしら。

 

あとこの原作となった「あやし」という小説自体も9編の短編集とのこと。

9編!!!!!!!!!

9編!!!!!!!!!

贅沢!!!!!!!!!

ちょっとこりゃまた積ん読少し解消したら読もうかしら。

 

 

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宮部みゆきさんのかれこれ1年半くらい熟成させている積読。まあまずこれ読んでからかなあ・・・。

 

池田さとみ『REVENGE2』-昨日の自分に恥じない生き方出来てますか?僕は出来てません。-

 

 

 

元気が出るか出ないかといったら

まぁ、出ました。元気。

 

 

 

池田さとみ『REVENGE2』(小学館 2004年)の話をさせて下さい。

 

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青い表紙。

 

【あらすじ】

人生はハッピーエンドのプリンセス・ストーリじゃない。

敗北に涙する夕暮れも、

憎しみに身を焦がす夜もある。

でも、後悔に沈んだ年月の跡にこそ、勇気を奮い起こして戦った果てにこそ、

初めて手に入る愛もある。

それこそが辛かった日々への”復讐”、

あなたのハートに深く突き刺さる、

池田さとみの珠玉の短編集!

 

戦うのは今!

・・・明日の私に恥ずかしくないように

 

裏表紙より

 

【読むべき人】

・なんとなく元気が出ない人

・復讐、がいけないこととは分かっていても復讐心に燃えている人

 

【ためらうべき人】

・塾講師

 

【感想】

貸本屋で「怖い漫画読みたいんです!!」と言っていたら、

おばあさんがおまけで無料で貸してくれた一冊。

職場でリスカ騒動起こした帰りで凹んで歩いてた時だったんですけど、

きっとおばあちゃんには僕が元気ないこと分かったんでしょうね。

それで元気を出す何かしらにはなりますように、と

追加でサービスしてくれたんだと思います。

 

巻末にいろいろ雑誌の宣伝が載っているのが懐かしい。昔の漫画で掲載雑誌や推してる別作者の作品を紹介してたりするページが2-3ページはよくあったなぁ・・・。今じゃあ次巻の予告か、その作者の別作品をせいぜい1ページで紹介するのがほとんど。

本作品が掲載されていた雑誌は「Judy」とのこと。ラインナップ見る感じ、大人のレディース漫画雑誌といったところだけれど、今の小学館であるのはせいぜい「flowers」とかそこらへんじゃなかったか?

調べてみると、2008年に廃刊されていた。なんとまあ。

ところがどっこい、今映画公開されている「窮鼠はチーズの夢を見る」が連載されていた雑誌なんだそうな。見よう見ようと思って見れてないな。あの映画。

 

閑話休題

とまぁ、そんなこんなで手にした一冊。簡単に各話感想を書いていく。

ちなみに5編中2編の悪役の職業が塾講師となんか知らんがめちゃくちゃ傾いていたので、塾講師の方には読むのを勧めない。

 

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裏表紙は一編目の犬と飼い主、ゲンキと杏

 

忘れない瞳:愛しの彼からもらった婚約指輪魅せると、愛犬のゲンキは牙をむき・・・

「ちぎれた耳とひきずる足 

不安ばかりの憶病な瞳 

「ゲンキ」という名は私がつけた

強く元気に育ってほしいから」冒頭より p.6

忠犬ハチ公顔負けの忠犬ゲンキの物語。

作品が発表されたのは2003-2004年。確かに、2000年代初頭って、こういう忠犬物の映画や小説が凄く流行っていたような気がする。

内容は主に恋愛の復讐物といったところでしょうか。まさかの展開にはちょっと驚いた。やっぱりウマい話には裏があるものなのですね。すぐ求婚してくるイケメンにはみんな気を付けよう(いましめ)

あと、その男の職業が「サラリーマン」でも良いはずなのにわざわざ「塾講師」となっているところが気にかかるところですね。

でも確かに「塾講師」の方が犯罪者のイメージが直結しやすいのも事実・・・。というか、この頃になってようやく「学習塾講師の犯罪」というのが出てき始めた時代なのかな・・・と思ったり。

 

同窓会:小学生の時、自分がやっていない「上靴隠し」の罪を担任になすりつけられ・・・

「小学校6年生まで考えていた「正しい人間」は「親」と「先生」だった」冒頭より p.42

この話だけ、群を抜いて凄く質が良い作品だと思います。いや、他の作品も良質なんですけど。序盤の子供との喧嘩と、中盤の同窓会の話をうまくつなげたのは見事。

ちゃんと相手と話をすることの大切さを説いた一編。

「大人」「子ども」で線をガリガリ引くのではなく、相手の言葉に耳を傾ける姿勢を見せれば、明るい未来が見えてくる。

でもまぁ相手が耳を貸さない場合もあるので、一辺倒には言えないですが。

「どなた?」p.68

斜陽に照らされる街が美しい。

 

正義~ジャスティス~:痴漢を見過ごせず電車の中で思い切って告発した女性に襲い掛かる復讐の数々・・・!調査所務めの名波は彼女を守ることを決め・・・?

「本当に守るべき大切なものを見失った おまえだ!」p.107

自分が何を守るべきなのか。大半の人は本能的に分かっているはずです。難しい問題ではない。けれど、見失った途端、人間は壊れてしまうのでしょうね。

この話に出てきた犯人のように、

「忘れない瞳」の塾講師のように、

「同窓会」の女教師のように・・・。

この話に出てきた犯人が守るべきだったものは間違いなく「家族」「家庭」でしょうね。忘れて一時の性欲に負けたのが間違い。

「忘れない瞳」に出てきた塾講師が守るべきだったのは「ルール」「モラル」でしょうね。恐らく彼は家族もパートナーも大切に守ることが出来る人だと思います。ただ社会のルールを理解していない。壊れている。

「同窓会」の女教師が守るべきだったのは「正義」「児童」でしょうね。児童の話をよく聞いたうえで、自身の正義にのっとって判断するべきだった。二つ同時に守れなかったからこそ、延々と後悔に苦しむこととなる。

本書に収録されている5編中3編目と所謂「まんなか=中心」にある作品ですが、

本書の自体の「中心」も担っている作品だと思います。

 

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聖・コンバット:いじめられっ子天馬の前に現れたのは謎の女。

「あたしは爆弾を隠し持った女 使い方によっては被害甚大」 冒頭よりp.113

この「謎の女」こと朝日のキャラがいいですね。

いじめられっ子に声を掛ける26歳に僕もなりたかった。今は27歳なのでもう無理無理タンタンメン)でも今声かけたら事案案件なのかなぁ・・・とも思ったり。とほほ。

この作品のメッセージはまあ概ね「明日の自分に恥じないように生きろ!」といったところでしょうか。毎日僕は恥じてます。

まずこの時間(AM2:33)にのんのんとブログを書いているのがいけないね。眠たいね寝たいね!!でも貸本屋さんの期限明日だから寝るわけにはいかないんだ・・・!!

すさんだ家庭環境も結婚も今の僕からはちょっと遠い話だったので、インパクトは薄めだったかなぁ・・・。もう少し違う時期に読んでいたら心の爆発の導火線になっていたのかもしれない。爆発したらどうなるのかは知らないけどさ。

 

冬枯れの記憶:厳しい叔母・幸恵ママに育てられた沙代子は妊娠が発覚し・・・!?

「怖い夢はいつも同じ 雑木林にわたしは目を凝らしている 何が見える?何も見えない 何が見える?」冒頭pp.150-151

謎の夢の真相に迫るちょっぴりスリリングな作品。

恐らくこの幸恵ママは、長い長い年月、想像を絶するほど物凄く苦しんできたと思うんですよね。出来ればママサイドの苦しみももうちょっと描いてほしかったかな・・・。

あと明らかになる真相は意外でしたね。道理で幸恵ママは厳しかった・・というかまあ若干当たってた部分もあるんでしょうね。

ちなみにこの作品、最後のフレーズがいいんですよ。

「だってわたし達は忙しいのよ そう 「未来」っていうやつを生きるために」pp.182-183

恐らく幸恵ママはきっと良い「祖母」になるでしょうし(多分厳しめの)、

そして沙代子はきっと良い「母親」になるでしょう。(多分沙代子ママと揉めながら)

幸せな未来のために運命がもたらした障害を乗り越えていく、母娘の物語といったところでしょうか。

 

一通り読んで気づいたのですが、

あとこの作者さんは話の冒頭のモノローグが素晴らしい作品が多いですね。

5編中4編、冒頭のモノローグから引用しています。

毎号ブログにモノローグを書いている僕としてもこれは貸本屋使ってでも追うべき作家では???と本能が言うとります。

 

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合わせて借りた5冊。

 

以上である。

結構どの話も楽しんで読むことが出来た。

あと刊行時期が2003年だったため、当時をついつい振り返っちゃうような漫画自体の構造も良かったわね。巻末の雑誌の宣伝っていつからなくなったんだろ。最近はカラーパンフレットですよね。

あと、裏表紙のコピーに「戦うのは今!・・・明日の私に恥ずかしくないように」とあるのですが、「リベンジ」というのはある意味昨日の自分に「リベンジ」なのかなあと思ったり。

 

にしてもこれは「リベンジツー」てことは

「ワン!」もある、ということである。

また貸本屋さん行ったときに借りようかな。

 

山岡まゆり『新・霊能者緒方克巳シリーズ13 呪いの招待状』-頭を空っぽにして読めるホラーはっょぃ。-

 

 

 

なんか知らんがめちゃくちゃ面白かった。

 

 

 

山岡まゆり『新・霊能者緒方克巳シリーズ13 呪いの招待状』(実業之日本社 2018年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

招待状を送ったクラス会幹事はすでに存在しなかった・・・!?

妖艶な影に迫る表題作「呪いの招待状」、霊感少年の危機に克巳の霊視が冴える「光と影のオーラ」ほか、闇の底でさまよう霊を光に導く4作を収録した、大学生編完結巻!

裏表紙より

 

【読むべき人】

・頭空っぽにしてホラー読みたい人

・ライトなホラー読みたい人

 

【感想】

貸本屋のおばあちゃんに「ホラーが読みたいんです!!!(迫真)」で迫ったら山本まゆりさんは知ってる?」と勧められた作者さんのうちの1冊。

正直僕はこの時初めてこの作者さんのことを知ったんですが、本棚には確かに色々まがまがしいタイトルが並んでいるんですよね。こんな漫画家さんいたんだー・・・みたいな。

目次を見ると掲載されている雑誌が載ってます。「心霊事件簿DX」「恐怖ファイルDX」・・・なるほど、ここまで食指は伸びてなかったなぁ。

というわけで、さっくり読んだ次第。

 

いや、結構面白かったです!!!

すっごい読みやすいんですよね。

絵もすっきりしているしベテランの漫画家さんだからか、コマも非常に見やすい。あと、この主人公の「緒方克巳」君が心霊にまつわる事件を解決していく・・・というある意味王道な展開なのですが、

基本「解決」してくれるので、後味もさっぱりしていて良い。

あと、ホラーとギャグは紙一重と言いますが、

「うわぁ・・・」って本当に怖くなるよりかは、

ちょっぴりシュールでフフフと笑ってしまう。そこも含めて好き。

楽しく気軽に読めるホラーですね。

 

以下各話の感想を述べます。

好きなシュールポイントも述べます。なのでネタバレ有です。

 

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本書で初登場キャラクター(と思われる)流磨。服のセンスが美川憲一

 

光と影のオーラ:霊能者としてアイドル的人気を誇る波賀が、緒方につっかかるようになり・・・?

「僕を弟子にしてくださいッ!!」p.12

いるいるこういうキャラ!!って感じの美少年こと波賀君。

ちょっとつつくと結構素直でいい子だったりするんですよね。

ただ呪いの根源が土偶とは思わなかったわ。

そして土偶をもとの場所に戻っていく先祖が明らか弥生・縄文時代の格好の人々で、え???そんな昔からの呪いなん???となったけど、

万事解決ハッピーエンドで全てがどうでもよくなるので結果オーライ。

シュールポイント:土偶と思ったより昔の先祖

 

身代わり婿:定期的に若い男を生贄に捧げる風習がある村で・・・?

「さては「神隠し」を恐れて東京へ逃したな」p.78

簡単に言うと、昔婚約者を村の人々に殺された女の悪霊が神社にいて、定期的に「身代わり婿」として若い男を捧げなくてはならなくなった。その悪霊に捧げる婿を村の人々が血相変えて探す話です。

そうです。

一番怖いのは、

定期的に若者とちゅっちゅして殺す悪霊ではなく、

その悪霊に捧げる若い男を探す村の衆達です。

まさしく「生きてる人が一番怖いんやで~」パターン。

特に「村長」とされる禿げた爺がいるのですが、

息子を高校進学から東京へ行かせた家族に向かって、

しれっと上記の台詞を言うんですよ。

「東京へ逃したな」て。

ところがどっこい、この話も見事に緒方君一同が、

万事解決ハッピーエンドに結んでくれるので、

読んでいて非常にスカッと感がある。スカッとジャパン。

村長への復讐もばっちりやっているのがいいですね。

あと最後にちょっとエロスの余韻を残すのもいいですね。

シュールポイント:爺の頭の形

解説:こういう少女漫画だと禿げた爺の頭ってやたらきれいなボウルだったりすることが多いんですが、この爺は男爵イモのようなリアルな形をしていて山岡先生に好感を持ちました。禿を描ける漫画家は信頼できる。

 

呪いの招待状:招待状を送った感じは既にこの世におらず、同級生達に迫るのはその彼の・・・兄!?

「許さない アタシが復讐してあげるからね」p.124

まさかのここでオネエ占い師キャラ、流磨登場!!

表紙にも出ているピンク髪のキャラですね。弟想いのオネエ。

なんぁこれからも登場しそうな感じでしたが・・・緒方とどう絡んでいくのでしょうか。ちょっと気になる新キャラ登場回。

あとさらっと、序盤で全身火傷追っている人が出てきて草なんだ。その後話の本筋に絡んでくるわけでもないしちょっと不憫すぎるやろ。

後半、弥里(ヒロイン)がゲームカセットを借りパクしていたことを思い出すシーンがあるのですが、それはさすがに後付け感が酷かったかな。

話のまとまりがいまひとつだった印象の回。まあ流磨のキャラクター性で採算とれる一話でしたが。

シュールポイント:序盤ないがしろにされる「同級生、全身火傷」という怒涛の展開

 

待つ女:心療内科の医師である彼氏を待つという飯塚愛香(いいづかまなか)は、彼の仕事が終わるまでベンチに座って待っているというが・・・

「そうよ 私はこの時間が一番好き 彼を待つこの時間が至福の時なの」p.201

シュールだシュールだあははあははと読んでいたら、

まさかの最後少しひんやりさせられるとは・・・。

出てくる飯塚さんが凄い可愛いんですよね。

金髪でツインテールでちょっと釣り目。服はピンクハウスよろしく少しフリフリ。そして彼のことを落ちずにずっと想ってる・・・。

だからこそ最後のある種のハッピーエンドが映えるというか何というか・・・。

この話が一番好きかもしれないです。

シュールポイント:「植松メンタルクリニック」の字体がちょっとホラーっぽい

 

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実写ドラマ化したら面白いシリーズだと思う。

 

以上である。結構楽しんで読めた。

13巻とのことだけれども、気にせず全然楽しめて読めた。

大学生編最後の巻とのことだったけど、

この緒方君の高校時代、その後も何なら気になるなあ・・・。

また貸本屋で借りようかしら。