小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

山岡まゆり『新・霊能者緒方克巳シリーズ13 呪いの招待状』-頭を空っぽにして読めるホラーはっょぃ。-

 

 

 

なんか知らんがめちゃくちゃ面白かった。

 

 

 

山岡まゆり『新・霊能者緒方克巳シリーズ13 呪いの招待状』(実業之日本社 2018年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

招待状を送ったクラス会幹事はすでに存在しなかった・・・!?

妖艶な影に迫る表題作「呪いの招待状」、霊感少年の危機に克巳の霊視が冴える「光と影のオーラ」ほか、闇の底でさまよう霊を光に導く4作を収録した、大学生編完結巻!

裏表紙より

 

【読むべき人】

・頭空っぽにしてホラー読みたい人

・ライトなホラー読みたい人

 

【感想】

貸本屋のおばあちゃんに「ホラーが読みたいんです!!!(迫真)」で迫ったら山本まゆりさんは知ってる?」と勧められた作者さんのうちの1冊。

正直僕はこの時初めてこの作者さんのことを知ったんですが、本棚には確かに色々まがまがしいタイトルが並んでいるんですよね。こんな漫画家さんいたんだー・・・みたいな。

目次を見ると掲載されている雑誌が載ってます。「心霊事件簿DX」「恐怖ファイルDX」・・・なるほど、ここまで食指は伸びてなかったなぁ。

というわけで、さっくり読んだ次第。

 

いや、結構面白かったです!!!

すっごい読みやすいんですよね。

絵もすっきりしているしベテランの漫画家さんだからか、コマも非常に見やすい。あと、この主人公の「緒方克巳」君が心霊にまつわる事件を解決していく・・・というある意味王道な展開なのですが、

基本「解決」してくれるので、後味もさっぱりしていて良い。

あと、ホラーとギャグは紙一重と言いますが、

「うわぁ・・・」って本当に怖くなるよりかは、

ちょっぴりシュールでフフフと笑ってしまう。そこも含めて好き。

楽しく気軽に読めるホラーですね。

 

以下各話の感想を述べます。

好きなシュールポイントも述べます。なのでネタバレ有です。

 

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本書で初登場キャラクター(と思われる)流磨。服のセンスが美川憲一

 

光と影のオーラ:霊能者としてアイドル的人気を誇る波賀が、緒方につっかかるようになり・・・?

「僕を弟子にしてくださいッ!!」p.12

いるいるこういうキャラ!!って感じの美少年こと波賀君。

ちょっとつつくと結構素直でいい子だったりするんですよね。

ただ呪いの根源が土偶とは思わなかったわ。

そして土偶をもとの場所に戻っていく先祖が明らか弥生・縄文時代の格好の人々で、え???そんな昔からの呪いなん???となったけど、

万事解決ハッピーエンドで全てがどうでもよくなるので結果オーライ。

シュールポイント:土偶と思ったより昔の先祖

 

身代わり婿:定期的に若い男を生贄に捧げる風習がある村で・・・?

「さては「神隠し」を恐れて東京へ逃したな」p.78

簡単に言うと、昔婚約者を村の人々に殺された女の悪霊が神社にいて、定期的に「身代わり婿」として若い男を捧げなくてはならなくなった。その悪霊に捧げる婿を村の人々が血相変えて探す話です。

そうです。

一番怖いのは、

定期的に若者とちゅっちゅして殺す悪霊ではなく、

その悪霊に捧げる若い男を探す村の衆達です。

まさしく「生きてる人が一番怖いんやで~」パターン。

特に「村長」とされる禿げた爺がいるのですが、

息子を高校進学から東京へ行かせた家族に向かって、

しれっと上記の台詞を言うんですよ。

「東京へ逃したな」て。

ところがどっこい、この話も見事に緒方君一同が、

万事解決ハッピーエンドに結んでくれるので、

読んでいて非常にスカッと感がある。スカッとジャパン。

村長への復讐もばっちりやっているのがいいですね。

あと最後にちょっとエロスの余韻を残すのもいいですね。

シュールポイント:爺の頭の形

解説:こういう少女漫画だと禿げた爺の頭ってやたらきれいなボウルだったりすることが多いんですが、この爺は男爵イモのようなリアルな形をしていて山岡先生に好感を持ちました。禿を描ける漫画家は信頼できる。

 

呪いの招待状:招待状を送った感じは既にこの世におらず、同級生達に迫るのはその彼の・・・兄!?

「許さない アタシが復讐してあげるからね」p.124

まさかのここでオネエ占い師キャラ、流磨登場!!

表紙にも出ているピンク髪のキャラですね。弟想いのオネエ。

なんぁこれからも登場しそうな感じでしたが・・・緒方とどう絡んでいくのでしょうか。ちょっと気になる新キャラ登場回。

あとさらっと、序盤で全身火傷追っている人が出てきて草なんだ。その後話の本筋に絡んでくるわけでもないしちょっと不憫すぎるやろ。

後半、弥里(ヒロイン)がゲームカセットを借りパクしていたことを思い出すシーンがあるのですが、それはさすがに後付け感が酷かったかな。

話のまとまりがいまひとつだった印象の回。まあ流磨のキャラクター性で採算とれる一話でしたが。

シュールポイント:序盤ないがしろにされる「同級生、全身火傷」という怒涛の展開

 

待つ女:心療内科の医師である彼氏を待つという飯塚愛香(いいづかまなか)は、彼の仕事が終わるまでベンチに座って待っているというが・・・

「そうよ 私はこの時間が一番好き 彼を待つこの時間が至福の時なの」p.201

シュールだシュールだあははあははと読んでいたら、

まさかの最後少しひんやりさせられるとは・・・。

出てくる飯塚さんが凄い可愛いんですよね。

金髪でツインテールでちょっと釣り目。服はピンクハウスよろしく少しフリフリ。そして彼のことを落ちずにずっと想ってる・・・。

だからこそ最後のある種のハッピーエンドが映えるというか何というか・・・。

この話が一番好きかもしれないです。

シュールポイント:「植松メンタルクリニック」の字体がちょっとホラーっぽい

 

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実写ドラマ化したら面白いシリーズだと思う。

 

以上である。結構楽しんで読めた。

13巻とのことだけれども、気にせず全然楽しめて読めた。

大学生編最後の巻とのことだったけど、

この緒方君の高校時代、その後も何なら気になるなあ・・・。

また貸本屋で借りようかしら。