人生の5分の1はいやらしいことを考えてきたーーーー。
(まぐろどん 28歳 フリーターの場合)
みうらじゅん『されど人生エロエロ』(文藝春秋 2016年)の話をさせて下さい。
【概要】
人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
からはじまる、漫画家・みうらじゅんんおあれこれのエロエロな妄想・思い出・哲学・物語・漢字諸々・・・。
これを読めば、あなたの中の「エ・ロ」が変わるかもしれない。
【読むべき人】
・いやらしいことが好きな人
・おっぱいが好きな人
・AVが好きな人
・そーいう下ネタが好きな人
・みうらじゅんらー
【感想】
外の木箱の中だった。
鷹匠の古書店・水曜文庫の100円本は、外の木箱に入れて売られている。「100円をおいれください」と書かれた薬箱のようなものがあって、そこのぴょいぴょい100円を入れればもうその本は君のものだ!システムた。
100円きっかりだからブックオフよりも安いし、何より店の中に行かなくても外で気軽に本を見られるのがいい。ブックオフの100円コーナーではまず見つからないような本が、時々あるのも良い。掘り出し物ってやつだ。
そこに、ポロリとあったのが本書というわけである。
「親孝行プレイ」「「ない仕事」の作り方」、後は「はたらきたい。」とか雑誌の随筆とか、「ただ親孝行するだけではつまらないから、いとうせいこうと母親を交換して旅行をした」(母親がいちばんすきなみうらじゅんエピソード。僕も好き)というエピソードでもうみうらじゅんらーになった僕はもう即座に手に取り100円玉をいれた。絶頂しそうだった。
だってあのみうらじゅん尊師が、エロについて語るんですよ!?
こんなん絶対面白くない訳ないじゃないですか!!あー、考えるだけでイキそう。
ニッコニコでトートバッグに本書をいれて、てくてく病院にいったわけである。
結果まぁめちゃくちゃ面白かった。
雑誌の連載の単行本なのだろうか、3ページごとに一つのテーマのエッセイがかかれているのだけれども、まぁ一つ一つがさすが尊師といったところか。
主に前半はしょーも・・・素晴らしい着眼点や妄想を主題とした文章が多い。例えば昔のAVのパッケージのあの謎の筆文字についてとか。寺についてる金属のおっぱいとか。
後半は尊師の若き頃の思い出や哲学・概念の主題が多くなってくる。007とか、死後のこととか「あのプール」についてとか。
最後の、僕達が普段何気なく使っている日本語についてエロ学術的観点から論じる様はもうまさに、ブラボウである。ブラボウ。大学の講義をきいてるかのようだった。
一つ一つのその文章が、僕の心にしみて、全身にゆきとどき、そして大切なことに気付かせてくれる。
そう。
日常は、エロに溢れている。
僕達は、エロのなかにある。
目を閉じれば僕達はいつでも童貞に戻ることができ、いつでも下半身をバッキバキに滾らせることが出来る。
・・・尊師っ!!!!(ぶるるんっ)
あー・・・僕の童貞(メス)、尊師にならぎりあげてもいいかもしれない。
それくらい素晴らしい文章であった。
かつて、ピースの又吉直樹が西加奈子の書籍に「僕達には西加奈子がいる」みたいなコピーを書いていたと思うのだが、「僕達にはみうらじゅんもいる」。この精神を忘れずにいたい。
聖書らしからぬ性書である。
特に僕の心を穿った文章を、ランキング形式で発表しておく。
1位:「『金玉工場』には休みがない」pp.56-58
執筆当時56歳だったという工場長の哀愁が切ない。2021年現在恐らくもう工場長は63歳になられていると思うのだけれど・・・どうなのだろうか。週休2日制はうまくいってるのだろうか。それとも近年のワーク&ライフバランス尊重の煽りをうけて、週休3日4日もうあわよくば5日くらいになっているのだろうか。
ちなみに僕が知っているある工場長の、28歳の工場長に調子はどうだと聞いたところ、
「うーんまぁ、うちはさ、月に2度か3度動けばいいくらいかなぁ・・・」
と言っていた。
「ワークライフバランスだかなんだかいうけど・・・でももうちょっと働きたい感じはあるけどね。今まで輸入輸出とかはやってこなかったから・・・そっちにも手を出して業務拡大したいところではあるんだけどね」
早急な国際化が求められる。
2位:「どんなペットをお捜しですか?」pp.138-140
ペットショップ訪問、とか、首輪考、とかそういうのではなく、恐らく尊師がかけられたであろう一声がタイトルなのが秀逸。
でもその「ペット」は見つからない。
一体何処に行ったのか。
3位:「後ろめたいエロ遠出」pp.168-170
自分の限界っていうを知っておくのも大切だ。
ちなみに僕の「限界」は・・・うーん・・・尊師かなぁ・・・。リリーフェランキーはギリダメ。唐沢寿明はギリ。でも西島秀俊はダメ。綺麗すぎる。
実践に及ばないと分かりませんが・・・。
4位:「ガビってんじゃねーよ!」pp.80-82
CV:菜々緒
5位:「ハロー!絵梨花です」pp108-110
尊師のオフィスには美人でおっぱいがでかい受付嬢がいるとのこと。ニットセーターっていうのがこれまた分かっている。ニット越しのおっぱいが僕も一番エロいと思う。出来ればあのうっすい生地の安物だと尚良し。あの黄色だかベージュだか「アースミュージック&エコロジー」くらいでしか見ないような、よくわっかんねぇ色のニットだとなおよし。まくりあげて見たくなるのが凄く分かる。ノーブラだと尚更そのポッチが見えてとてもエロいよね。いや、ブラの線が浮いている方がエロいかははは。
僕のワンルームにも受付嬢(ニットセーター着用)雇おうかなぁ・・・。
6位:「童貞喪失はいくつなの?」pp.44-46
(僕、黒板の前に立って教壇に両手をつきながら)
はい、一昨年のセンター試験のの現代文の過去問に引用された名エッセイですね。
最後の一行が隠されて「この後に続く文章をA~Dのうち一つ選びなさい」という問題は難問でしたね。引っ掛けと思わせるような選択肢が多かった。
正解はAの「それは僕の童貞を捨てさせてくれた彼女への感謝の気持ちでもあったのだ」p.46でしたが、Aでここまで露骨に設定や気持ちが細かく書かれているとあえての引っ掛けなんじゃないか?て思った人も多かったと思う。
でもよく読むと、Bの選択肢の「ムラムラが抑えられず」、Cの選択肢の「とにかく嘘を誤魔化したい」、ここでみんなには気づいてほしかったかな。
そう、現代文ではとにかく問題の前後を読め、と言ったよね?
今回最後の一文だから後はないわけだけど「いつもより前戯を長くした」p.46とあるわけじゃんか。
だったら、BやCのように必死感の漂う選択肢は、ありえないんだよね。
じゃあ最後にDの「罪悪感」、BとCじゃなくて、ここでみんなに悩んでほしかった。
でもはい、見て。見た?問題の■行目にある「ちらっと彼女の横顔を見たら、ラメ入りの口紅がぽってりした唇にキラキラ輝いていた。あぁこんなつまらない嘘で彼女を失いたくはない。」p.46。はいここ線を引いて。引いた?
顔上げて。ここで主人公は「彼女を失いたくない」って断言している訳だ。ということは、罪悪感、よりかは、彼女を独占したい。彼女を大切にしたい。そういう邪な気持ちがあって然るべきなんだよね。
だからこの問題では、はい問題文もう一回見て。このAの「感謝の気持ち」、が正解になるんだよ。
・・・君達にはまだ、難しかったかな?
7位 「中出し感謝祭」pp.105-107
「中出し感謝祭」とは、「山崎春のパンッ祭り」「夏の金玉麦の皿祭り」に並んで、主に12月末に行われるという日本三大祭りの一つである。
8位 「知らぬは息子ばかりなり」pp.83-86
立派な日本の父親像たるもの・・・の男の肖像画が描かれている。
本書の中で一番絵が好き。
9位 「セックスは国境を超える」pp.50-52
尊師が作られた言葉のひとつ「ゆるキャラ」の真の意味について書かれた一篇である。感銘を受けた。
ただ薄汚い、安っぽい、なんか荒んでいる。それだけでゆるキャラ認定されてしまっては困る。実際に現地で本物に会ってふれあわないと、ゆるキャラかどうなのか分からないものなのである。
10位「イメクラで”社長”になる」pp.31-33
大人が全力で「ごっこ遊び」を出来る場所ってこういう所しかないと思うのだけれどどうだろう。
男ばっかり堂々と参加してズルい。女だってもっと普通に参加したい。
こここそ男女平等叫ばれて然るべしだと思うんだけど。
表紙は星新一のショートショートの単行本のあのイラストレーターかなー?と思ったら違った。表紙も尊師だった。様々な画風を使い分けられていてすごい。
というか文章・絵両方できるの素直にすごい。
僕もいつか尊師に近い存在になりたいな・・・物がいっぱい詰まれた場所で、受付嬢侍らせて、一日中そこで座ってパソコンカタカタして、お金がそこそこ月に50万くらい入る生活をしたい。
そういった意味でも尊師まじ尊師。
ちなみに、一通り読んで冒頭からまたペラペラめくったら・・・
めっちゃサインっぽいブツ出てきた。
しかも判子押されてるし。これどうなんだ・・・?本物なのか・・・?
てかなんだこの再現度が無駄に高い判子・・・ほしい・・・。
以上である。
人生のバイブルにしたい一冊であった。
ところでタイトルは「されど人生エロエロ」。そう、「されど」。ということは、普通に「人生エロエロ」もあるのでは?と思いwikiで調べたらあった。「人生エロエロ」。本書から更に遡って2年前の2014年にだされているとの旨。
てかwiki見たけど普通に随筆の書籍多いな!?
・・・いや、もうここは尊師を尊師として言ってしまったみうらじゅんらーである以上、全部読破したいものですね。
でも、結婚はしたい。ふつーに家庭もちたい。
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他に読んだ尊師の本の感想。意外に1つしかなった。