小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」展-朽ちない花も美しい。-

 

 

 

 

花は美しい。

しかしその美しさは時がくれば朽ちてしまう。

花の絵は美しい。

そしてその美しさは、時を、越える。

 

 

 

 

 

「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」展(静岡市美術館・巡回 2021年4月15日-6月6日)の話をさせて下さい。

 

 

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【概要】

ユネスコ世界遺産にも登録されている英国王立植物園「キューガーデン」は、18世紀半ばの開園以来、世界の植物学研究をリードし続け、植物標本のほか20万点以上のボタニカルアート(植物画)を収蔵していることでも知られています。本展は、18~19世紀に描かれたボタニカルアートのほか、キューガーデンの拡張に寄与した国王ジョージ3世の妃シャーロットが愛したウェッジウッドのクイーンズウェアなど約130点の作品を通して、啓蒙思想を背景とした英国における自然科学の発展やキューガーデンの歴史を紐解きます。
科学的視点で描かれた植物たちは、写真誕生以前、貴重な記録であり研究資料のひとつでしたが、植物学の歴史を培うなかで次第に芸術性を見出されるようになりました。観察に基づいた精緻な描写と美しさが融合するボタニカルアートの世界をどうぞお楽しみください。

 静岡市美術館公式HPより

 

とても簡単に言うと、

イギリスの植物が専門のなんだかすごい歴史ある研究所で、

近世のシャーロット王妃が集めた、

ボタニカルアートを中心に展覧会するやで~。

 

【行くべきだった人】

・庭園が好きな人

・植物が好きな人

ボタニカルアート好きな人

・花が好きな人

・理科の科目の「生物」が好きな人

 

※6月に書いたブログをやっと編集してあげました。ごめんね。

 

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フォトスポットある展覧会も増えてきましたね。

 

【感想】

ボタニカルアート、しかも近世イギリスのものに特化した展覧会という、なかなかフェチズム溢れる展覧会でしたね。いいぞ。

これを静岡でやると聞いた冬、「は?行かなくてはならないのだが?」になっていたのですが、まぁこれまたずるずると行かずだらけて気づけば5月も終わりに入り、「え!!??もうすぐ終わっちゃうじゃん!」と6月2日、慌てて行ってきた次第。

にしてもこう・・・展覧会末期になっても・・・平日というのもありますが・・・結構空いてるというのは・・・地方の美術館の特権ですね。東京だとラスト一週間とかもう死ですからね。死。3密どころじゃないです。壇蜜です。壇蜜

 

感想としては・・・「なかなか、面白かった」。

西洋美術大好きなんだけれども・・・まぁ・・・その思ったより、ボタニカルアートには(心の)チンチ●ピクピクしないんだなということが分かった。西洋美術の油絵とか見ると僕の心のチン●ンはバッキバキどっぴゅどぴゅになるんですが・・・思ったよりときめかなかったかなあ。対象となっている18世紀とか19世紀とかもうギンギンになる時代ではあるんですけれども。

ただ、西洋美術好き、よりかは、西洋文化史好き、としての血が騒ぐ展覧会ではありましたね。

 

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王妃の部屋だかが再現されてた。

例えば「カーティス・ボタニカル・マガジン」。ウィリアム・カーティスによって1787年に創刊された植物についた書かれた雑誌で、富裕層に園芸のブームをもたらした。なお今も現役で刊行され続けているんだそうだ。

そこに掲載された植物の原画が展示されていたのだが、これがなかなか面白い。花を丁寧緻密に描いている点でも面白いんだけれども・・・これはあくまで「実用書」。球根の形であるとか花全体の形であるとか。絵画ではなく図鑑の写真のよう。美術自体、よりかは、植物自体に関心がわく。当時の富裕層の読者のように。

また、今でこそカラー印刷であるが、当時は銅版画でなんと手採色していたらしい。原画と、その版画に彩色したものを並べて展示しているのが面白かった。

やっぱ、原画している人が色付けないとダメだね!職人とはいえど手採色でこんなに違ってくるのかとゲラゲラ笑った。

 

例えば「ウエッジウッド」。陶器に詳しくない僕ですら名前だけ知っている会社ではあるが、なんとその設立は1761年。生産過程を一部機械化することで、シンプルで品質が良い陶器を多くの一般家庭に流通させたらしい。シャーロット王妃も無論気に入り王室御用達にしたんだそうな。

その当時の陶器が来ているんだけれども・・これはなかなか興味深く見せてもらった。今でこそ見るとまぁ使いづらそうなでっかい分厚いただの皿。でもこれが1700年代後半に生産されていた、と思うとなかなか感慨深い。皿・カップ・ポットがもうこの年代にはここまで完成されていたのか。

特に面白かったのは、「ジャパン文様」の平皿・ティーカップ。これが生まれる過程、ついこの間ヘタリア産業革命篇」で見たばっかりだったから興奮した。日本の繊細な模様に感動した英国が、日本からそのプロを連れてきて技術を伝えた・・・んだけれどもどうも日本とデザインが違う??

日本「いや・・・でもこれは・・・素敵です!!(高橋広樹激美ヴォイス)」

と日本が言っていたのでへー見てみたいわーと思っていたがまさかここで見れるとは!!

たしかにめっちゃ美しかった。素敵。日本の技術使って日本の模様を真似しているはずなんですけれども、絶妙に欧州感があって、なかなか味があって、良いんですよねこれがまた。なかなか感動しちゃったよ。

 

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あと一番歴史的関心ビンビンだったのは、「カンパニー・スクール」

ここでいう「カンパニー」というのは東インド会社のこと。英国人がインドの画家たちを集めて描かせたボタニカルアート群のことである。

作品としては確かに、他のボタニカルアートと比べると平均的レベルは低い。ヴィシュヌブラサードという名前が判明している作者以外の作品群は「う~ん?」とちょっと首をかしげるものが多い。

けれどこれを、当時侵略してきた白人のもとインド人画家がいそいそ怯えながらしかし植物に愛着を持ちながら、完成させたのかな~?と思うとたちまちその花々は生々しく、僕に迫ってくる。

凄い興味深い、珍しいものを見せてもらった。お得な気分。

 

でも一番感動したのは、『フローラの神殿ーー輪廻の雌雄蕊分類法新図解』(1799-1807年)の原画群。ロバート・ジョン・ソーントンという医者が、遺産を手に入れたことで一念発起して企画した花を描いた作品群である。商業的には振るわず、この予算によってソーントンは破産し、貧困の内に生涯を閉じているらしい。草。

ただその原画が素晴らしく、最も僕をキュンキュンさせた。というのも、ここに出てくるボタニカルアートは総て背景が描かれている。総じて曇天で陰鬱な・・・。そこで咲く花々の存在感や美しさ。陰鬱な雰囲気と花。そのアンバランスな雰囲気がとてもたまらなかった。心のチンチ●バッキバキだった。

ミュージアムショップでこの「フローラの神殿」グッズないかな~?とワンチャン期待したのですがないみたいですね・・・。草枯れる。

 

最期は女性画家たちの作品で締められる。

18世紀のイギリスの女性達にとって、植物学や水彩画を学ぶことは教養のひとつであったらしい。裕福な家庭では女性の家庭教師から植物学を学び、採集した花々を押し花にして標本を作ったり、絵画教師を雇って絵画の描き方を身に着けたりしたらしい。優雅。

その流れの中で、「教師」「家政婦」とごく限られた女性の職業選択に、一つ「植物画家」が加えられたという。

本展では、王室で教鞭撮ったマーガレット・ミーンの作品が展示されている。他にも女性画家の作品がいくつか展示されていたが・・・やっぱりこの女性画家の作品があ圧倒的にうまかった。

特に赤い百合の色は鮮やかで美しく、200年以上の時を超え今僕の目の前にあることが非常に不思議でならなかった。こんなに美しくて色痣や赤で綺麗なのに描かれたのは200年以上前・・・?どういうことだぁ・・・?心のチンチ●も?の形になっている。

 

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以上である。

ボタニカルアート特化の美術展なんて初めて聞いたから、興味深い気持ちで行ったけれどもなかなか面白かった。

ただ美術的関心、よりかは歴史的関心、の方がビシビシくる展覧会ではあった。

でもこういう、静岡でやる少しでも興味持った展覧会は、どんどん行っておこうと思う。様々な作品を見ることが、美術を見る「目」をやしなうことになると思うから。

 

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図録。なんかしらんけど高かった。

 

***

ちょっと前に東京都庭園美術館に巡回してましたが、もう終わってましたね。

普通に開催中にあげときゃよかったぜ・・。

来年は、フェルメール(また来たんだ)と、あとメトロポリタン美術館展、ボストン美術館展(リベンジ)は絶対行こうと思ってます。

 

最近の静岡市美術館は「グランマ・モーゼス」展行こうと思ってましたが逃しちゃいましたね・・・。クソ。印象派展は絶対行くからな。覚えてろよ。

あと昔ばなしの絵を描く人展覧会は行きました、名前覚えてないけど。

 

LINKS

静岡市美術館で開催された他の美術展の感想。

 

tunabook03.hatenablog.com

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