小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

ギュスターヴ・モロー展-史上最悪の企画展。梅沢冨美男を起用しろ!-


いやー、最悪だったよ。
今まで20近くの展覧会に一人で行って見てきたわけだけど、
今回のが一番最悪だった。
こんなのに5万人も来場したとかもう僕は泣く。泣いちゃうよ!!!

ギュスターヴ・モローサロメと宿命の女達 の話をさせて下さい。
※開催場所:あべのハルカス美術館(大阪)




【行くべき人】
モロー≪出現≫が見たい人
・1時間くらい、せっかくあべのハルカス来たし、てきとうに時間つぶししたい人

【行くべきではない人】
・西洋美術初心者
・お金を無駄に使いたくない人
・西洋美術鑑賞を趣味としていて、モローのためにわざわざ大阪行くことを検討している人

悪いことは言わない、よほどモローに興味がない限り、やめとけ。

【感想】
僕がこの展覧会を知ったのはNHKの日曜美術館だった。
「あ、首ぺかーっの絵、今日本に来てるんだ!」
首ぺかーっの絵、というのは、
このギュスターヴ・モロー≪出現≫(1876年)である。


ギュスターヴ・モロー≪出現≫(1876年)

美術中級者の僕が何回か見たことのある絵で、
まぁ何回か見たことある≒有名なわけで、
それがちょうど旅行計画していた大阪にあると聞いたら
まぁ行くしかなかった。

結果、
ひっどかった。
本当、ひっどかった。


今まで行った展覧会、
一番物足りなかったのは東京都美術館ティツィアーノ展」だったんだけど閑話休題
それをぶっちぎる酷さ。
最悪だよ。最悪。



何が酷かったかを5つにわけて具体的に書いていく。
なお小休憩として3.5、4.5含んで7項目。

1.素描が多すぎる

素描というのは、
作品を描く前に下書き・メモ書きとして描く鉛筆書きの絵のことである。

たとえば、何でもいい。
有名な美術作品をなんでもひとつ思い描いてほしい。
モナリザ最後の審判?夜警?とにかくなんでもだ。
想像してほしい。
作家はその作品を描く際に一発でキャンバスに描くだろうか?

YESorNO

そう、
大体の場合がNOだ。
モデルをスケッチしたラフを、
たくさんの雑紙に鉛筆書きしてから、
キャンバスに向かう。
ポーズや表情を検討し、アイデアをまとめるためだ。


ブグロー(1825-1905)による素描

で、このような「鉛筆書き」ばっかりなのである。今回。

いくら有名な画家といえど、鉛筆書きを延々と見せられてどうしろといいのか。
さらっと「有名な画家」と言ったが、
まぁレオナルドダヴィンチとかそこまでのレベルなら許せるが、
モローはそれが許されるほどの知名度があろうかいやない。

キャンバスにしっかり描かれた作品を数えてみた。

約130作品中、
ざっと40弱。


少ない!!!!!!!!!

しかもその作品の約半分が未完成とかだったりする。
要するに、
モローのカンヴァスに描かれた完成された作品はわずか20弱。

2.モロー以外の画家の作品が一切ない
ただ、
ちょっと展覧会かじった人は思うのかもしれない。
「とか言って、モロー以外の画家のカンヴァスに描かれた作品とかあるんじゃないの?」

確かにこの前上野で開催されたフェルメール等は
フェルメールは8か9で、その他ほとんどは違う画家の作品であった。
ただそれらも厳選されており、
有名なもの、面白いもの、目を見張るものが多かった。

今回、

ない!!!!!!!!!!!!!
モロー以外の作品は一切展示されていない!!!!!!!


要するに、展覧会全体でキャンバスに描かれた作品はわずか40!!!(しかも半分が未完成)

さいあくである。コスパ悪いにもほどがある。

また展覧会の意図として、
他の画家の作品を展示するべきであったと思うのだが、それは3.に回す。

3.意図が伝わらない
そして今回の展示は一章まるごと「サロメに使っていた。
サロメ
ご存じだろうか?

ざっくり簡単に言うと、
「君はすごいんだよ〜」
とイエスに言った男がいた。
名前はヨハネ預言者ヨハネともよく言われたりする。
で、なんやかんやあって、
ヨハネたんの首欲しいわ!!!!!」
と言って使用人に、ヨハネの首をすぱっと切らせた女がサロメ
悪女として名高く、
大半の作品が以下のように描かれている。


ティツィアーノ≪洗礼者ヨハネの首をもつサロメ≫(1515年ごろ)

【男の首が皿に乗っていて、
(悪そうな)笑みを浮かべる女】

サロメと言ったらこれが定番の構図である。

しかしモローの描いたサロメ違う。

どれも正面を向いていない。
横顔であったり後ろ姿であったりする。
先ほど挙げた首ペカー!!の≪出現≫もサロメを描いた作品であるが、
定番の構図と大きく違うのが分かるだろう。

そう、モローはそれだけ想像力自由に描いていたのだ。

他の画家と比較してこそモローのすごさが分かる。

しかし、先述したように今回で他の画家の作品は展示していない。
どころか鉛筆書きばかり。
企画者は馬鹿なのかと思う。

3.5擁護
なぜすべてモローの鉛筆書きで埋め尽くしたのか。

馬鹿な企画者の脳内を察するに、
以下のような声を邪推したのではないか。

「モロー展て聞いてきたのに、モローの作品なかったね」

確かに、上野美術館で開催されたフェルメールにおいては
大半の作品が同時代の画家の作品で、
母も言っていた。
フェルメール展って聞いたけど、フェルメールの作品少なかった」
先述したティツィアーノ展においても、画家自身の作品はあまりなかった。

それでも、
同時期に活躍した無名の画家の秀作は観客の目を楽しませ、
また、他の画家の作品も展示することで、
フェルメールは色鮮やかに空間に余裕持って描いてたんだな」
ティツィアーノだけやっぱ人の表情の描きこみ違うな」

比較してこそ凄さがわかる。

そこを、そこを鉛筆描きで埋めてどうするのか。
フェルメール展って聞いたけど、フェルメールの作品少なかった」
という美術初心者も、
「モロー展て聞いたけど、なんか落書き多かった」
とついポロリしてしまうはずだ。

「モロー展だから全てモローにするぞ」
という考えは浅はかであり、無謀であり、小学生並の知能である。
何故他の画家の作品も集めなかったのか。
ましてやサロメに章を一つ割くなら尚更。

4.イメージの統一が出来ていない。

モロー展である。
もう一度この看板を見てほしい。





・主題:「宿命の女たち」
・主題:「サロメ」(悪女)
・ロゴが洒落ている、エキゾチック
・開催場所はあべのハルカスの上の方、要するにお洒落なビルの高いとこ


このような展覧会におけるガイドにふさわしい人物は誰か。
考えてみてほしい。

・「宿命の女」・・・女優か?
・「サロメ・・・夏木マリかそこらへんか?
・「ロゴが洒落ている」・・・比較的若い俳優・女優・もしくは声優か?
あべのハルカス上部・・・ナウいヤングな雰囲気持つ人、もしくは人気男声優か?神谷浩史とか杉田あたりか?


まぁここらへんだと思う。

正解は、













石坂浩二さんである。





いや石坂さんのナレーションが悪いという訳ではない。

だが、このロゴで石坂浩二は違うだろ!!???

ていうか「美術展覧会だからてきとうに石坂さんに頼んでおけば外れないだろう」

その精神が僕は気に食わない!!!!!!!!!!!!!
しね!!!!!!
なめてんのか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

イメージの統一が出来ていない!!!

例えば

フェルメールでの音声ガイドは石原さとみであった。
上野美術館という広く知れ渡った美術館で
フェルメールという広く知れ渡った画家、
美術初心者も多く来るであろう展覧会において、
大衆好感度抜群の彼女を据えたのは正解であったと思う。

ダリ展では竹中直人であった。
ダリのあの強いまなざしと髭は確かに、
竹中さんに通じるところがあると思うし、
なんとなくしっくりきたのを覚えている。

ルーヴル美術館展では高橋一生さんであった。
彼のパリのルーヴルへ行った番組等も放送されていて、
静かで知的な雰囲気とマッチしていた。
看板作品がグロ≪ナポレオン≫でいわゆるイケメンの肖像画であったから、
なんとなく主要ターゲット層は女性で、
そこで起用するのは女性人気高い高橋さんであることも自然であった。

要するに、
芸能人起用するにしても雰囲気やイメージの統一を図ったうえで
起用するべきである

ところが今回はどうだ。
このロゴで、さらに「悪女」「宿命の女」という主題で、
なぜ石坂浩二を起用したのか。
僕はそこが理解できない!!!

「石坂起用しときゃいいっしょー」その浅はかな考えが本当にムカつく。

芸能人であれば、
先ほどあげた夏木マリ
もしくは元宝塚勢・真矢ミキ天海祐希
もしくは知名度年齢人気などを考慮してより若い女優、
もしくは同年代の俳優にしても元女形梅沢冨美男や不倫は文化男石田純一、もしくは梅沢冨美男

なぜ練らない???!!!!


本当にムカついた。

4.5 声優起用について

もしくは声優を起用するのもありではなかったかと思う。

近年声優の音声ガイド起用が目立つ。

例えば福山潤ピカソ展、諏訪部順一はウィーン展において音声ガイドを務めた。
アニメ、声優に関心のある若い女性の客足が見込めるからだろう。
美しい絵を見ながら、
美しい声で、
耳元で延々と囁いてくれるのだ。

そして彼等はプロであるから、
大半が向うから展覧会のイメージに近い声を出してくれる。

また、僕が以前行ったミュシャ展では無名の声優を使っていたが、
終始ミュシャになりきって話すという工夫が凝らされていて、
とても楽しめた。

恐らくお金も、
石坂浩二石原さとみより間違いなく安く起用できるだろうから、
声優の起用はますますこれから広まっていくんじゃないかと思う。

5.説明が雑

これは本当にイラついた。

音声ガイド内容も酷かった。
作品の横にある説明ボードを言い換えただけのようなガイドが延々続く。
音声ガイドならではの+アルファの情報がない。
BGM用の音楽も収録していない。
こんなのに600円(通常は500-550円が多い)支払ったことにムカついた。石坂浩二ギャランティーか?だから声優を起用しろとあれほど

そして年代がほぼ描かれていない、
馬鹿である。
企画者は馬鹿である。

鉛筆書きにおいても、
例えば「2009年ごろ」「2019年ごろ」と年代を表示してくれれば、
「ああこういう変遷をへていったんだな」
と分かるものだ。

無い。

一部の作品を除いてほとんど無い。

だから作品同士の・・・いわゆる鉛筆書き同士のつじつまを合わせることが出来ない。

大半の展覧会が年数もきちんと表示している中で、
なんでこのクソ展覧会に限って表示してくれないのか。

展覧会の一切合切の楽しみをどうしてこうも僕から奪ってしまうのか。

ありえない。
本当にありえない。

以上である。

こんな展覧会に5万人も訪問したらしい。

立地のチカラだろう。

あべのハルカスの観光客「展望台も行ったし、あとは買い物だけになっちゃうね、せっかくだから美術も行っとくか!!」×40000

積み重ねだと思う。
そこで待ち受けるのが鉛筆書きのパレードと知らず・・・。

そして僕がさらに腹立っていることは、
この展覧会の企画者(キュレーター)の名前を知れないことだ。

知れたら間違いなくそいつが企画する展覧会は二度と足を運ばないだろうに!!!!!
本当に悔しくてたまらない。


泣きながら図録は買った。毎回買ってるので。


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