小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

ルーヴル美術館展 肖像芸術 人は人をどう表現してきたか-憧れの、死体-

どうしても見たかった。

ルーヴル美術館展 肖像芸術 人は人をどう表現してきたか」
の話をさせて下さい。


乃木坂駅のぽすたー

【行くべきだった人】

世界史Bを高校でやって来た人
肖像画が好きな人
古代ギリシアの胸像等に関心がある人
・マジの美術史に関心がある人

【感想】



ジャック・ルイ・ダヴィッド≪マラーの死≫(1794年)
世界で一番有名な死体の絵といっても過言ではないかもしれない。

ここに出てくるマラーというのは、
フランス革命を先導した過激思想派ジャコバン派のトップだったのだが
革命のさなか23歳の美女、シャルロット・コルデーに殺されてしまう。
無論シャルロットは死刑になったわけだが、
彼の死は同胞の革命家たちに伝える必要があった。
出来るだけ、素晴らしく。
出来るだけ、高貴に。

その際に用いられたのがこの作品である。

見てほしい。
よく見ると、マラーは棺桶のような木の箱の中に身を横たえている。
棺ではない、風呂桶である。
療養のための入浴中に彼は殺されたのだ。

療養。
そう、彼は皮膚病だったと言われている。
容姿も醜かったという。
しかしこちらの作品では一瞬女性と見間違うほど美しい肌で描かれている。

また、垂れた手はイエス・キリストの遺体を描くときに用いられる体勢≪ピエタを用いている明らかであるし、
筋肉の付き方は理想的
さらに背景右にかすかに見える光は彼の魂の聖性を強調する。

そう、これがダヴィッドのすごいところ。
「英雄化」。
一端の過激思想家にすぎない醜男を、この絵画一枚で英雄に仕立ててしまった。

彼の「英雄化」が最も顕著に出ているのが、



この≪サン・ベルナール峠を越えるナポレオン≫
実際に峠を越える際はロバを用いており、それはもう過酷な道のりだったという。
しかしダヴィッドはそのロバをたちまち立派な馬に変え、
ナポレオンの身長の低さを隠すと同時に
彼の英雄性を一目でわからせてる構図。
この作品を無論ナポレオンは気に入り、
馬が茶色かったり布の色が違ったり様々なパターンが作られたそうな。


・・・、何故僕がここまで詳しくそらでこの作品について述べられるかというと、
この画家で卒業論文を描いたからである。
その作品の一つが、
来日するというのだ。もうこれは行かずにはいられない。もうこれは行かずにはいられない。

行ってきた。
鈍行に3時間半揺られて、行ってきた。



乃木坂駅直結。

家を出たのは8時でついたのは12時前。
さぁ展示へ・・・と行きたいとこだが、まぁご飯を一口も食べていない。
お腹がすいて鑑賞に集中できないなどもってのほか。



というわけで・・・苦渋の決断。
ロビーでサンドイッチをかって食べました・・・。
これでいくらするとおもう?うん、いうね、800円。
たっか!!!!たっけえええよおおおおおおお!!!!

いーみー、交通費節約の、いーみー!!!
乃木坂・・乃木坂プライス。てか迂闊だった。何も食べないなんて。

ぐぎぎ・・・しながら食べてさぁ、入るぞ!!

さ・・・さんじゅっぷんまちだと?
そう・・・このひは展示期間最後の土曜日だったんですよね。
やっぱ混むんだなー・・・くー。



入り口が・・・遠い・・・。



なんか人多いなと思ったらJOJOもやってた。



チケットです。べべん。
これ、乃木坂駅で買いました。当日券が売ってた。
大学時代は、提携してたから1000円で入れたのになぁ・・・くー。

そして約20分後・・・。

行ってきました。



いやぁ、めっちゃ素晴らしかったです!!!!!!
3つの章に分かれてたので、簡単にレポートを。

1記憶のための肖像
初めは古代ローマギリシア、エジプト肖像画が展示されてるんですけど、

こういう、顔が似たやつのがいっぱいあってめっちゃ良かった。
というのも、当時は血縁を重視していたため
個人の個性よりも似せることに注力したんだそうな。はえ〜。
で、ふんふん像が多いのねーって思ってたら、
突如!!!
と・つ・じょ!!!
≪マラーの死≫が!!!!!!!ばばばばばんっ!!!!!って!!!!!!!
もうね、めっちゃ感動しちゃった。
ああマラーだマラーがいるううううううう。
傷口って、筆跡で表現してたんですね。
そこがもうちゅどん!!!はいちゅどん!!!です。

あと、腐った死体の像が見れたのも感動だったなぁ・・・。
当時ペストが流行っていたこともあって「常に死を忘れない」メメントモリ
を常に胸に興じておくために、
腐った像を作らせてたんですよね、悪趣味〜。

2権力の顔
ナポレオンコーナーがありました。
その中でもナポレオンの像が印象的だったな〜。
古代ローマの権力者真似て月桂樹の冠つけてるんですよ。
その像が、ちょっと、高いところにあって「権力者」たる演出がすごく良かったと思います。


今回来たのは別のパターンで、胸から上のみ。
ポスター、画集の表紙にも起用。

それと今回の展覧会の目玉の一つであるグロ≪アルゴレ橋のボナパルト≫(1796年)
グロってダヴィッドの弟子なんですよ。
でも時代が変わるにつれ己の画風が古臭いと言われてなんか傷ついて自殺しちゃうんですけど。
といっても60とかだから割と全うしてるからジェリコーのように悲劇性もなくあんま知られてないという・・・
そもそも今グロといったら「グロテスク」のイメージだし。

残念グロちゃん。
閑話休題
この絵どうも顔色悪いなと思ってたんですけど、
生で見たら、血が通ってる感じがありましたね。イケメン。


本棚に貼ってる。
ポストカードも買った。
あとグロはもう一作品展示されてました。
ナポレオンの2人目の妻、マリー・テレーズの全身画。
生で見ると色彩が溢れ出ていて溢れ出ていて・・・堂々としていてすごいいい作品でした。

あとは像も、いいのが揃ってましたねぇ!!!
ナポレオン以外も目に留まるものが多々。
血のために近親相姦を繰り返したというクレオパトラ3世の鋭いまなざし、
あと一瞬で握手してしまいそうなの彫り方が素晴らしいティベリウス帝の立像、
肖像画がそのまま立体化したかのようなマリー・アントワネットの胸像、
狡猾な笑みを浮かべるヴォルテールの表情、
服飾のフリルやコートがこまごまと再現され胸を張って立つリシュリューの立像
テルマエ・ロマエで有名なハドリアヌスや、悪名高いカラカラ帝等など。

世界史B学んだ人なら「あ!!あの人は!!!」って人がポンポンそのまま3次元に・・・。

あとやっぱアングルって、絵上手ね。

3コードとモード
要するに、いろんな人の肖像画のコーナー。


ヴェロネーゼ≪美しきナーニ≫

ここで述べるべきはまぁヴェロネーゼ≪美しきナーニ≫(1560年頃)なんでしょうけど、
僕がぐっと来たのはヴィシェ・ル・ヴラン≪エカチェリーナ・ヴェシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像≫
美しくて素晴らしかった。
もう愛らしかったですね。生で見た方が何倍も。

このヴィシェ・ル・ヴランって、女性なんですよ。
しかもかなりの美女だったらしくて。
横に彼女の胸像置いてあったのもすごく・・・よかったでしゅ。
画像?ないよ。感じて。

あと生でレンヴラントの作品見れたの良かったです。思ったより茶色かった。

老若男女、様々な肖像画がありました。
スペインの大家ゴヤによる幼児肖像画
イギリスの画家による怖そうな家庭教師の謎の肖像画
フランス人の画家によるじいさんの謎の肖像画
パンジーにまみれた謎の多い乙女、
ぐうかわショタと猫肖像画無表情の親子、赤い帽子被ったイケメン等々・・・。


≪春≫

そして最後は、
アルチンボルド≪春≫≪秋≫(1573年)で締めるという・・・・。
この画家はこういう作品が有名な画家で去年アルチンボルドとかっていう変態必須の展覧会開いた人で結局行かなかったんですけど、
生で見れて良かったです。
僕も変態だから行けばよかったな。


ロビー。

合計4時間近くいた。変態。
ちなみに帰るときも30分待ち・・・ええ・・・・どんだけ人くんねん。

ちなみに、今回も耳につける案内のやーつをやったんですが・・・
高橋一生さんが今回なんと全部案内していて。
こういうのって、アレなんですよ。
芸能人使うケースは多いんですけど、
ナビゲーター(作品紹介する人)プロのナレーターにまかせて、
芸能人は最後に一言二言つけるケースが多いんでうしょね。
ダリ展の竹中直人とか。
それが悪いこととは思わないし、むしろ表現の一つではあると思うんですけど・・・

今回、
一生さんが低い声でずっと耳元で囁くように、案内してくれるんですよね。

好きになりそうだった。

ちなみにこれは550円って割と高いんですけど、
混雑のストレスがかなり軽減されるので、
一人で行く方は絶対付けた方がいいです。
もう高橋一生とデートしてると大差ないです。




画集も買った。無論。
前回のルーヴル展はすべての作品に解説が付されてなくて「ぷ〜ぅ!まぐろどんプンプン!プンプン!」さとう珠緒だったんですけど、
今回は全部付されてますね。マンモスうれP。


前回の展覧会の画集。ロゴが共通。
フェルメール天文学者が目玉でした。
改めてみると質感がだいぶ違う。

以上です。
すごく楽しい展覧会だった、静岡から来た甲斐があった
行くのやめようかなと思ってた時期合ったけど行ってよかったありがルーヴル!!!

ただ、並んだところで全員が全員楽しめる展覧会かというと、
そこは違うと思うんですよね。
というのも今回のテーマは「肖像」
必然的に世界史で活躍するような人々の肖像画が多くなります。
カラカラ、リシュリューハドリアヌス・・・日本史を学んだ人間、理系の人間の中には正直退屈した人もいるのではないかと。
偉人メインの展覧会だからか真面目、格式高い雰囲気があって、
子供用パンフレットとかもあったけど・・・うーん。
子供にはプラド美術館展とかのがおススメかなぁ。

逆に高校生を連れていきたい。



ロビーにあった扇風機。


ちなみに、
1月14日まで大阪でやってますね。
世界史が好きな人は是非行ってみては?


LINKS
プラド美術館展
中野京子『名画の謎 陰謀の歴史篇』(ジャック・ルイ・ダヴィッドへの愛が溢れ出ちゃった記事)
※絵画の画像はパブリックドメインを使用しています。