小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

清野とおる『東京怪奇酒』-いやぁ、僕はいいっす。-

 

 

 

馬鹿なんだなぁと思った。

 

 

清野とおる『東京怪奇酒』(KADOKAWA 2020年)の話をさせて下さい。

 

 

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【あらすじ】

清野とおるが友人知人他人から直接聞いた

恐るべき「怪談」の数々・・・。

その怪奇現場に実際に足を運んで

「酒」を飲んじゃおうってワケ。

嗚呼、一度でいいから「オバケ」」を見たい。

でも怖い・・・けど見たい・・・怖い怖い・・・

やっぱ見た~~~~~い!!!!!

カバー裏より

 

いや見た~~~~い!じゃねえだろ

 

【読むべき人】

・オカルト好き

・心霊スポット好き

・新しい刺激を求めている酒飲み

・「残穢」好き

・馬鹿

 

【感想】

 

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本書は新静岡セノバ丸善ジュンク堂で見かけてその場で買った。

「書店員がおススメする1冊フェア」という、フェアじゃねぇんだよ年中やれ神イベントだなこんちくしょう、みたいな棚が組まれていた。

この書店に、オカルト好きがいるのは知っている。やたらとオカルト怪談棚が充実していてあと数も異様に多い。ディスプレイもなんかやたらと凝っていて、あの棚(とエッセイ棚)だけなんかもう熱意が違う。むんむんに漂ってくる。岡田将生*1に似てると嬉しい。オカルト大好き岡田将生です。語感もいいし。

閑話休題

なので僕はそのコーナーを見て、探しました。オカルト担当が薦めたであろう一冊を。で、多分これだなと手に取ったのが本書。

東京怪奇酒。

清野とおる

壇蜜の旦那じゃん。マスクの人じゃん。

なんかげっすいエッセイ漫画描いているイメージが先行してるんだけど、実際どんな漫画書くんだろ・・・どれ。

という興味も勝って、1000円もしたけど買いました。1000円もしたけど。だって岡田将生がおススメするからさぁ・・・。

 

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結論、滅茶苦茶面白かったです。やっぱ岡田将生の審美眼に間違いはなかった。

「東京怪奇酒」とタイトルにあるように、本書は心霊スポットに行ってそこで酒を飲むというきち●い行為を描いた作品である。

マジで超怖い・・・生きた心地がしないよ・・・!!

でも・・・刺激的で・・・ちょっとタノシイ・・・かもp.20

オバケに対する恐怖感と飲酒による高揚感をごっちゃにして気持ちよくなろうぜぇ~というのが「東京怪奇酒」というわけです。意味わからん。

そしてそれを東京心霊スポット各所でやった記録のエッセイ漫画が本作という訳である。

 

これがまぁ読んでいて面白い。

まず心霊スポット×酒⇒高揚感に興じる清野さんがバカバカしくて面白い。なんとまぁデビューから20年もたつそうで、その手練れの腕描かれたエッセイ漫画。言い換えれば20年エッセイだけで生き残った漫画家が描くエッセイ漫画。面白くないワケがない。

そして歴史。心霊スポットで、清野さんは酒を飲む・・・だけじゃない。その土地の歴史までちゃんと調べる。場所によっては地図に線引いて霊道の有無すら調べている。ただただ「こわ~いきもちE」で終わるのではなく、しっかり調べているところが読んでいて非常に興味深い。

また、土地の歴史だけではなくその体験した人の他の霊体験のようなものまで掲載されていて(尚これは文章で。でも漫画と文章のバランスがこれまたいいんだ)これまた読んでいて面白い。

あ、あとその時に飲酒した酒についてもしっかり書かれている。秋のプレモルうまいのぐうわかる。

こういったところはちょっとしたリアル「残穢」感ある。多分あれ好きな人はもれなく好きなんじゃないかなと思う。まぁ残穢は酒飲んでないけど。ちなみに僕はそんなにあの小説クソつまんねぇと思いました。

起こる「怪奇」自体は非常に小さくささいなものであることが多いけれども、手練れた漫画家の腕と、非常に丁寧な調査によって、ひとつひとつ非常に読み応えがあるものになっている。

 

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表紙には本編で出てきた怪異たちが!!

 

以下簡単に各スポットの感想を述べておく。

差支えのない程度にネタバレをするので注意。

 

 

「怪奇酒」とは・・・

この世のものではない異形のモノが出没する可能性のある非日常的空間で、

感情を揺さぶらせながら飲酒する行為をいうp.23

 

 

1杯目:恐怖の303号室

怪奇酒きっかけとなるエピソードである。地味にポストのエピソードが一番怖かった。

にしても、4回も飲酒は草生える。どういう神経してたらそんな発想になるんねん。

 

2杯目:東京都K市K町「奇妙な空き地」

心霊スポットの写真がついているのはとても嬉しいです。普通に怖くて草。

場合によっては幽霊は生きてる人間と変わらない状態で見える、というのは聞いたことがありますが、怖いよね~。だってそこらへんの通行人がばけばけばーという可能性もあるってことでしょ?

ってゆーか俺って・・・俺?ちゃんとココに存在してる?p.38

と最後アイデンティティーの危機にまで及ぶ作者ですがそれもぐうわかる。生きてる人間死んでる人間の境すらあやふやになったらそりゃ自己と他者の境界なんてあってないようなものですよ。

 

3杯目:東京都F市M町「雰囲気の悪い公園」

遊具乗り倒す作者に草生える。全力でガッチャンガッチャンじゃねぇんだよ。

霊道の調べ方がこの話の「おこぼれ怪奇情報」に掲載されていてとても勉強になる。やってみようかな。(たぶんやらない)

F市って多分福生(ふっさ)かなぁ。あそこ自衛隊のなんかなかったっけ?

 

4杯目:東京都S区H町「零穴アパート」

みんな大好きチャンス大城さんが住んでいたボロアパートのエピソードです。チャンス大城最近微妙にテレビで見たり見なかったりしますがその「チャンス」をどうやって掴んだかもスピリチュアルに描かれています。

この話は熱意がすごい。不法侵入になるからと、アパートに頭だけのぞかせて必死に怪奇酒するのは草。どんだけ熱意かたむけてんねん。住みたいじゃないんだよ。その努力の甲斐あって、めでたく心霊写真も撮れます。カバーにカラーでも掲載されています。僕はオーブの方が、好きだな。p.75じゃないんだよ。

でもこのアパートが一番怖かったかな。このアパートが、よりはこのアパートの土地に関する逸話の方が。なかなか気味が悪い。怖い。

 

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5杯目:東京都S区O町「幻の大仏」

4杯目とは一転、ちょっと縁起がいい話。いいなぁ僕もこういうの見てみたい。

日常のフリをした非日常が日所の中に一瞬だけ表れそしてナイン事もなかったかのように消えていく・・・p.98

最後の作者によるこの一文は非常に分かる、になった。分かる。

あとこの話を読むと豆乳についてすごく詳しくなれます。最近色んな味出てるなとはずっと思ってたけどそんなことが、あったのか。美味しいよね。あれね。

 

6杯目:東京都M区N町「事故物件夫婦」

事故物件って開運するのか・・・?ええ・・・?本当に・・・?の一話。

この話は随所に小さな「気味悪い」が散りばめられていて結構嫌だなと思った。

3年会ってなかった体験者の変化とか、向かいのアパートに関する話だとか、自殺方法だとか・・・。あとなんかあれですね。引っ越したら離婚しそうで、なんかそれも怖いよね。

そんな気味悪い物件に、作者が持って行った手土産草生える。プリンはまずかったかじゃないんだよ。

 

7杯目:東京都某区A町「入れない部屋」

生首と一緒に飲酒して、本作は締める。

「ばいばい生首~また一緒に飲もうね~」p.134

カバー外すとこの生首が大きく掲載されていていいですね。ここまでくるとちょっと愛嬌すら感じられるな。

これだけちょっと聖地巡礼したいと思った。本当は大仏が一番聖地巡礼したいけどほら・・・現れるかどうか微妙なとこだからさ。

 

特別編:僕にも食わせて!「開運飯」!!

陰陽五行を中心に風水民間伝承栄養学などを研究しつくした芸人の作ったもので、芸人間でも「手料理を食べると売れる」というジンクスがある料理を食べたよ、という話である。

作者と同席した芸人達は・・・チャンス大城さん以外まだ存じない方々ばかりだぁ・・・。

でもこの飯食べて作者は壇蜜と結婚してるわけだから、僕も食べたいなぁ。そして岡田将生と結婚したい。

 

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以上である。

書店員が薦める本に間違いなし、を実感する一冊だった。近年で言うと「本田鹿の子の本棚」以来の当たり本。あれも結局書店員に勧められて買った本な訳だし。

残穢が好きな人は間違いなく好きなんじゃないでしょうか。僕はあの小説あまり好きではありませんが・・・。

 

ちなみに先程wikiで調べたところ・・・なんとこの漫画2巻出ているとのこと!え!?マジかよ!!amazonで見たら、ほんとだ~続編ある~!!!「1」とかナンバリングされてなかったから全然気づかなかった!!こんなん絶対買うしかないじゃん!!こんなん絶対買うしかないじゃん!!!!!

 

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LINKS

残穢」と「鬼談百景」で「百物語」が完成されるように作られているらしいですね。僕は「鬼談百景」の方が圧倒的に好きです。あれ面白いよね。2回読んだ。また今年も読もうかな。

tunabook03.hatenablog.com

 

書店員というか、奇書が読みたいアライさんが薦めていた漫画。連日リンク貼るくらいぐうおもろいのでおススメ。

tunabook03.hatenablog.com

 

*1: 「大豆田とわ子と3人の元夫」というドラマに出ている岡田将生がもうとんでもなくカッコいいんだ。クッソいい。ただのロリコンやろうと思ってたけどやっぱ違うね。顔面が。上手くはないが、華のある演技をするね。あ~岡田将生と結婚してぇ~ロリコンには理解あるから~~コミックLOくらいならいくら集めても許したるから~~~~田~~~~