シュールギャグゆるボーイズラヴ。
和山やま『女の園の星1』(祥伝社 2020年)の話をさせて下さい。
【あらすじ】
ある女子校、2年4組担任・星先生。
生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりに翻弄され、
教室で犬のお世話をし、
漫画か死亡の生徒にアドバイス。
時には同僚と飲みに行く・・・。
裏表紙より
【読むべき人】
・前作が好きな人
・ゆるーいBLが読みたい人
・錦戸亮が好きな人
・三白眼×眼鏡×なんか知らんがネガティブな雰囲気←性癖な人
・表紙の星先生にハートを撃ち抜かれた人
【感想】
前作の「夢中さ、君に」が結構良くて、
その作家の初連載作が世に出るということでめでたい。買った。
この作品を読んで思うのは、
作者の性癖である。
ネガティブで眼鏡で黒髪で、クラスでは絶対目立たない方で、独特の世界観を持っている男子・・・色白・・・。
前作から引き継ぐ性癖の濃さがなかなか良いと思った。
作者が心の底から好きなキャラだから、
読者も心の底からキャラを好きになる。
表紙もよく見ると、チョークでよごれた眼鏡を眼鏡拭きで拭こうとしていることが分かる。こんな妙なこだわり、深い愛がなきゃ描けないよ。
作者の性癖の詰め合わせ星先生をの相方、小林先生もなかなか良い。
まず錦戸亮に似ている顔面が良い。錦戸亮に似ている顔面が出てくる漫画は実はあんまりこの世に存在しない。
あとこの人は普通科と見せかけて結構独特なのも良い。多分独身の30代男性でも休日一日台所で過ごすことはないと思うんだ。さすがアンバサダー。
中村先生も良い。
性癖極まるあまり似た2人出しちゃった感がなかなかキモくて良い。
僕は実は星先生か中村先生か言われたら中村先生のが好きなんだ。
あとこの作者は、男もいいんですが、
女の子が可愛いんですよね。
妙に肉感的な体とか、昭和めいた顔だちとか、
そこから出てくる一つ一つ煌めくような独特な言葉も良い。
以下簡単に、各話について簡単に綴る。
1時間目
カラー2ページ扉絵で、掲載面積そんなに小さいのかよ!!でお馴染みの主人公星先生が日誌の絵しりとりに翻弄される話である。
分かる。こういう生徒日誌、僕も書くのとても楽しみにしていた。
どれだけしょーもないことを書いて、
どれだけ先生に相手されるかワクワクしていた節があった。
絵しりとりまではいかなかったけれども・・・
他のみんなも結構しょーもないことを書いていた気がする。
あの頃に書いた駄文が今のブログという趣味に結実しているのかと思うと、
別に胸は熱く・・・ならない。
僕のブログが出版されるなりなんなり収益化して仕事化するのであれば胸熱熱盛涙ボロボロではあるが趣味は趣味なので。仕事に昇華して涙流してぇ~~~~。
2時間目
クラス犬の話。てか2話目からしてクラス犬出てくるのかよ。すき。
あんな眉毛描かれたらそら誰だって笑うわな。
というか、あれだけ期待感の反対・・・反期待感を煽っといて、
最後にジト目イケメン中村先生登場させるその展開は卑怯でしょ。すき。
絶対くそオヤジかと思うじゃん女子生徒にセクハラまがいをする、
そのイメージを鮮やかに裏切るアル中中村先生、すき。
このアル中がすごい!1位受賞中村先生、すき。
あと56ページの磁石が顔になっているところが非常に芸が細かいなと思った、すき。
ああ~~~僕もこういう注目されないけど僕にだけわかるときめきのツボを容赦なく抑えてくるような異性と眉毛描かれた犬について笑いあいてぇ~~~~。
3時間目
漫画家志望の女の子の話である。
衝撃的な物語を衝撃的な語彙力で翻弄する衝撃的な一話である。最後そうなったか。
ちなみにさらっと衝撃的な星先生の過去も明らかになる。最後どうしてそうなるよ。
この話での小林先生の台詞「動物モノも押さえておきたいよねぇ・・・」p.94がこの一冊の中で一番好き。
あとこの女の子は大学進学して漫画研究会入ったら、
間違いなく机上でだべるアベックの一員になるでしょうね。僕も大学時代漫画研究会だったのでわかります。
誰とも付き合いませんでしたが。
ああ~~~~サークル内で同学年の男子と付き合ってグループ内からアベックの彼女扱いされてぇ~~~~~。大学生リベンジしてぇ~~~~~。リライトしてえええええ~~~~!!!
4時間目
飲み屋回である。
寄ったら星先生どうなっちゃうのか。
もっとも作者の性癖が露呈されている回ともいえる。こうやって酔う男が好きなんだね。分かるよ。
あとあだ名のセンスが煌めいてますね。キラキラ。センスに脱帽。の割に中村先生は「組員」っていう微妙なあだ名。どんだけ慕われてないんだよ。
ちなみに僕もトマトハイ好き。でもレッドアイのがもっと好き。
トマトジュースは別にそこまでなのだけれど。
そういやこの前見た「月曜から夜ふかし」で気ライン食べ物ランキング1位で「トマト」と出ているのを見た。
アダムとイヴとかの伝説で出てくるのは林檎だけれど、
あれが例えば日本の神様の伝説だったら、
林檎は間違いなくトマトだったろうな(洒落ている言い回し)
そんな僕の高校時代のあだ名は「眠り姫」でした。
授業中いつも寝ていたからね。
キスしてくれる王子様はどこにもいなかったけれども(洒落ている言い回しその2)
ああ~~~キスしてぇ~~~~~。
5時間目
この扉絵の星先生がこの一冊の中で最も「女の園の星」。
ストーキングバースデー回である。
終盤星先生の衝撃の事実が明らかになる。まじかよ。えまじかよ。
ぶっちゃけその衝撃度あいがどーん!!で誕生日やらストーキングやら恐らくレギュラーになるであろう新キャラ女生徒とかばちくそどうでもよくなる。吹っ飛ぶ。
ショックだったなぁ・・・。
あと、この5時間目にしてようやく出てくるホラーパロ。
そうだったそうだった、この作者ホラー漫画すこすこ人間だったのだわ。
前作の表紙の彼を思い出しながら、グーの右手を左の掌に、ぽん。
ちなみに僕はこの女生徒よりも女教師の方が好きかもしれない。
うざくない女教師キャラって新鮮じゃない?
ああ~~~私もこの女教師みたく教師という安定した職についてそれを続けることができてそれなりに恋愛経験も積んで30前半くらいでなんとなく結婚して子供産んで幸せな一生築きてぇ~~~~。
順調な人生って無いものですね。
以上である。
1-5時間目、全部堪能させていただきました。
前作が良かった分今作ダメダメだったらどうしようと思ったけど、
まぁそんなことはなかった。
しいて言うなら、前作についていた絶妙なセンスのエッセイ漫画がついていなかったことが不満。
この人の武器は感性だと思う。
普通じゃない感性。
この人が見ると、普通の学校も普通じゃなくなる。
この人が描くと、普通の学校も普通じゃなくなる。
みずみずしい感性。
この人が見ると、冴えない陰気眼鏡教師はときめく存在になる。
この人が描くと、冴えない陰気眼鏡教師は女の園の星になる。
僕等凡庸普通の感性に、
漫画を通して見えないものを見せてくれ。
それがこの作者の漫画家としての使命だと思う。
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LINKS
この前読んだ前作も面白かった。
ので親に貸したけど、なんかどうもいまいちだったっぽい。そうかぁ・・・。
北海道大学獣医学部のシベリアンハスキー犬にときめいた人なら全員面白いと思ってもらえるものだと思ってたけど・・そうかぁ・・・。