小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。4』-僕は常に激情。だから常に考えないと。-

 

激情に生きてた。

 

雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。4』(集英社 2020年)の話をさせて下さい。

 

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【あらすじ】

集団と個人の軋轢ーーー。

”いじめ”を考えるべく「倫理」の授業でディベートが開始される。

各々の主義の違い、人間の抱える善悪、

そして自己を顧みて見えてくることーーー。

教師・高柳が語る”変えるべきもの”とは・・・?

 

倫理を通し”正しさ”を考える教師物語第4巻!!

 

裏表紙より

 

【読むべき人】

・倫理という科目を高校時代とっていた人

・哲学に関心がある人

・報われない気持ちを抱えている人

・教師を志している人

 

【感想】

というかこの漫画は買っても結構未開封のまま部屋に置いてしまう。

怖いのだ。多分。

毎回読んだ後に、何かに殴られたような読後感が、重い読後感が尾を引くから。

体力のある時に読まないと、持っていかれそうな気がする。

畏怖・・・。

 

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簡単に各話の感想を述べる。

 

#16 切っちゃおうかな 後編

3巻でぶつ切りになった、いわゆるリスカ話の後半である。

都幾川と高崎が仲睦まじく会話するシーンは、普通であれば微笑ましく見つめるべきなのだろうけれども、高柳だけでなく保険の先生も複雑な表情を浮かべているところがぐっときました。

そして、対応を批判する保健の先生を、高柳が一方的に切り捨てずに敬意を表した部分も。

「一瞬を揺さぶる”激情”には勝てない。

どんなに人の心の理論を語っても

必要の無い人には聞こえない」p.23

と高柳は言うけれど、

激情に突き動かされる思春期だからこそ、

高等学校に「倫理」という科目は設置されているんじゃないかなぁ。

あ、最後の高柳の顔は史上最高の顔だと思います。

 

#17 マン・イン・ザ・ミラー

ディベート回。クライマックス回といえる。

各々の意見を述べる生徒一人ひとりを見ると「ああこういう話があったな・・・」「ああこんなやついたな・・・」と思い出す。時代とかあと香緒里とか。

「相手を変えたければ 自分も変わらなければならない

何故なら相手も 自分も 不安定なのだから・・・」p.77

ディベート終了後、高柳が生徒に伝えたことは、僕等も大切にしなければならないと思った。

思春期でなくても結構無意識に僕達激情だから。

常に激情。

だから常に考えなければならない。

にしても、授業でマイケルジャクソンの歌の詞を用いるのはカッコ良すぎでしょ。

 

#18 告白

「汚い 大人って汚いよお・・・・・・」p.112

激情、という言葉をさっきから何回も使っているけれど難解だって使おう、激情の1話。

「君のために」という言葉は、僕達には届かない。

だからお前の本音をぶつけてくれ。

最悪僕は砕け散ってもいいから。

 

#19 二人旅

「おかしいよな 人間は何ひとつ変わってねえのに ”正義”だけが変わってく」p.125

過去編といったところか。

ページ黒いし。

#18で明らかになった高柳の衝撃の過去をにおわせつつ、

「恩師」と若き高柳の旅を描いた一話。

普段は諭す側にいる高柳が、諭されているのが面白い。

けれど、僕はこの話あんま好きじゃないな。

ちょっと高柳の色気の押し売りみたいに感じるので。高柳濃度がちょっと高いというか・・・1話で40%くらいで十分なんですよ。ただこれは1話で75%くらい高柳。クーでいいのにトロピカーナ鼻の穴から注入みたいな・・・するとこう・・・なんか暑苦しいというか。

ちなみに、高校で倫理を教えるには「高校公民」という教職の資格が必要。

公民には「政治経済」「情報社会」も入っていて大抵は並行して教えている教師が多いわけだけど・・・高柳が政経教えてるの全く想像つかないな。

 

#20 ネクタイと僕

「・・・ここは 今から倫理ですが」pp.182-183

まさかの新章。

そうくるか新章。

いやうすうす感づいていた。クライマックスを迎えていると。

けれどもまぁ・・・そうくるか。

「倫理という科目を選んだ」地点で、既存の教師漫画のルールを崩した。

加えて、「生徒と共に最終回を迎えない」とくればもうこれは・・・教師漫画の革命では?

でも確かに。生徒主体のフィクションでは省かれがちだけれども教師には教師の人生があって、その前の生ととも思い出があって、その後の生徒とも思い出があって・・・。

展開に結構衝撃を受けた一話。

これは楽しみだ。

ただまた第二代生徒第一人者が初代同様頬赤らめてるのはちょっと・・・。

 

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ちなみに、1-4巻までで僕が一番印象に残っている生徒の話は、

2巻 #9 本当の私

安村さんの話ですね。激情ではなく劇場の回。

「ペルソナ」という、普段ゲームでしか聞かない単語の意味を知れたのが良かったのと、

家族間・学校もしくは職場間・友達間で違う自分のギャップを優しく諭してくれたのと、

ツイッターアカウント6つもつ僕にはSNS回はそりゃもうぐっさぐさですわな・・・。

あと、安村さんがツイッターでは身軽なのに、リアルでは安易に心を開かないところもすごく共感してしまった。

とにかくわかるよ安村。

「安心してください。わかりますよ」

 

はい。

 

次巻は2020年冬頃とのこと。

今年の冬ということは11月、もしくは12月。

結構空く・・・けど多分これはドラマと一緒に発売するからだろうと思われる。

8月ごろに情報が解禁され9月にキャスト公開、そして10月から・・・といったところか。何か意外と全国ネットの夜10時枠でやっちゃいそうな気がする。

高柳は高橋一生、もしくは中村倫也がいいなぁ。生徒役は正直オーディションでマイナーメジャー関係なく決めてほしいと思うけど、でも高崎は富田望生がいい。

 

以上である。

いつもと比べて各話結構あっさり読んだかもしれない。

完結、過去編、新章と今巻の展開が今までと比べて異質だったからかもしれない。

今回結構思春期の激情に奔る人物が多くて気づけばアラサーの僕が勝手に感慨にふけったからかもしれない。

分からない。

分からないけど、時々一話一話読み返しつつ、

ドラマを楽しみに待とうと思う。

 

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