小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

森見登美彦『夜行』-図書館で借りて良かった、そう思える一冊。-


なんだろうなぁ・・・この人の小説は世界観がであって、
そこが揺らぐと駄目だと思うんですよ。

駄作になっちゃうと思うんですよ。

森見登美彦『夜行』(小学館 2016年)の話をさせて下さい。


表紙は、いいんだよなあ。

※酷評記事になります。
本作が好きという方傑作だと思う方は、閲覧しないでください。


【あらすじ】
大学時代、は英会話スクールに通っていた。
そこには私含め6人の生徒がいて、年が近いこともあって懇意にしていた。

しかし突然、
10年前のあの日、
鞍馬の火祭りの日、
生徒の一人、
長谷川さんが姿を消してしまう。

10年後、私達は宿に集まってそれぞれの体験談を話すのだが・・・?
全員同じ画家の版画の連作と出会っていた。

その名は、
岸田道生「夜行」

【読むべき人】
・森見ファン
・中学生

【読まないべき人】
・ある程度読書をしてきた人
表紙に惹かれた人

【感想】
いやいや、駄作だった。
残念だよ。
神みたいな表紙からのこの内容かよ。
ふざけんな。

まず今作で一番に言いたいのは、
世界観が出来てない。
僕が思うに、
森見登美彦この作者というのは、
物語の面白さというよりも世界観で
読者を虜にしてきた作家であるように思う。
例えば夜は短し歩けよ乙女学園祭×林檎アメを持ったあの子、
例えば『四畳半神話体系』4畳間×タイムリープ
例えば『ペンギンハイウェイ』ぺんぎん×おっぱい
そうやって、
斬新で魅力的な世界観を見事に一冊に収めるからこそ
多くのファンがいるんじゃないのか。
多くのアニメ制作者の血を湧き立たせてしまっているんじゃないのか。

だけどこの作品の世界観は、ピンボケしている。
まず表紙を見てほしい。
僕は思ったわけだ。
「ああ女の子と夜行列車に乗って幻想的な冒険すんのかな」
「京都を中心にした幻想ファンタジーかな」
「夜電気がふわふわと灯るなか彼女を探すのかな」


違った。
どれも違った。

まず短篇集。
僕はもうその地点で出鼻をくじかれたんだけれども、
その第一夜がもうアホ。

ホラーなのである。
簡単にあらすじを言ってしまうと
「妻が様子がおかしくなって行方不明になりまちたー、
そしたら変なホテルマンにストーカーされまちたー、
ストーカー殺して様子がおかしくなった妻とやっぱくらちまちゅー」


は?
と思った。
表紙と全然合ってないじゃん。
「夜は短し」「四畳半」はあの乙女の横顔をモチーフにした雑多な表紙、
「ペンギンハイウェイ」はペンギンのシンプルな表紙、
それぞれの表紙が世界観を上手く表現していたから、
読者は期待通りの世界観が読めたわけだから、
満足したわけであって。

この表紙から正直ホラーはいただけない。
編集者はバカか。

てか、そもそもなんで妻はおかしくなったの?
後の話もところどころおかしくなって、
行方不明になる人が出てくるのだが、
理由は書かれていない。
不明。
ふわふわで、察してくださいね。ってか。
ふざけんな。
中学生のポエムかよ。

世界観もストーリーもダメダメで、とにかく救いようがない。



そしてそう結論づけてしまえば、
他の欠点も見える見える。

無駄な設定多い。
「英会話スクール」である必要性は?
(本作で英語を話すシーンは一切ない)
赤いマフラー、赤いコートにする必要性は?
(キツネ要素かと思ったが最終夜読むとどうやら違う)
消えるのが長谷川さんである必要性は?
いらないところに設定を設ける一方で、
大事なところは詰め切れていない印象。

この話を書いて読者に伝えたかったことは?
四畳半はあのひっちゃかめっちゃかの裏に、
「何度タイムリープしても同じ地点にいきつく。
だから今を生きろ」

メッセージ性があったからこそ、
あれだけ支持されたと思うんだけどまぁ本作は、一切ない。

そもそも話の展開が都合が良すぎる。
例えば「第三夜 津軽
出てくる女の子はイマジナリーフレンドでしたというオチ。
なのだけれども、
何故イマジナリーフレンド(と家)がわざわざ津軽に現れる必要があるの?
普通故郷じゃね?
筆者が無理矢理夜行列車で青森を舞台にしたかった、ってだけなのが見え見え。
陳腐。
つまらない。
京大出身とは思えないくらいレベルの低い短編だったと思う。

まぁただ中学生でも読める文章ではあると思う。
指示語がくどいし別にいい文章とは思わないが。

こういう、
細かいところが気にならない、
普段本読まない人、
もしくは感想文に悩む中学生が読むにはちょうど良いのかもしれない。

いやいや、図書館で借りて良かったよ。
こんなのもし新品で購入してたら、
ポプテピピック竹書房爆破よろしく小学館を・・・



以上である。
ちょっとつまらない小説だった。
本屋で平積みされているのを見た時がピークだった。

ちなみに、
夜は短し歩けよ乙女は高校の時に思い切って読んだ覚えがある。
世界観はいいなと思った、
皆がこれを誉めそやす理由もわかった、
だけど
「読みづらいし、つまんな」
滅茶苦茶読むのに日数がかかったのを覚えている。
その後の『新約 走れメロスはまぁまぁ面白かった覚えがあるが・・・。

シンプルに僕がこの作者と合わないだけなのかもしれない。
それでも、まぁ
言わせてもらうと、
僕にとって

駄作は駄作だ。