小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

中沢孝夫『就活のまえに -良い仕事、良い職場とは?-』-職場の専門家がいまの若者につたえたいこと-


就活の前に、大学生に知っておいてほしいこと。

中沢孝夫『就活のまえに -良い仕事、良い職場とは?-』(筑摩書房 2010年)の話をさせて下さい。



【概要】
郵便局に勤めた後、
約20年間労働組合に勤めて、様々な労働に従事する人を見て来た。
現在執筆業の傍ら大学講師を務める筆者が、
「就活のまえに」大学生に知っておいてほしいこととは。

【読むべき人】
・大学生
・働こうとしている人
・中小企業の社長

【躊躇うべき人】
・文章をふだん読まない人

【感想】
所謂「就活本」である。
こういう本を手に取れるようになっただけでも僕はかなり元気になったのだと前向きにとらえることにする。
図書館の「若者向け」コーナーに陳列されていたので、
ホイホイ手に取った次第。

内容は一貫している。
「仕事というのは人ありきであること」
「仕事というのは信頼関係が土台になっていること」


も具体的。
アメリカの自動車会社の倒産や
功績をあげている中小企業とか。

説得力がある本だと思う。

特に内容では、
就活前線への批判が面白い。
筆者曰く、
就活サイトを通しての就活は現状、
【就活生:厚化粧 企業:ショールーム
状態なんだそうな。
ショールームって。
地下アイドルかよ。

また、刺さる言葉が多かった。
列挙。

「良い職場」とは企業規模とは無関係であるp.28

仕事というのは何十年と続く長い闘いであるということ。それゆえ「好きになれない」、あついはもっと積極的に「嫌い」であるにしても、少しでも「マシ」にすることが可能なら、そのための努力をしたほうがよいのです。努力する余地があるならば、そこに全力を投入すると、道が開けると私は思います。p.37

自己実現」というのは、多くの人々との共通する価値観のなかでこそ成立するものなのです。p.57

「職業というものは要するに人のためにするものだということに、どうしても根本義を置かなければなりません。人のためにする結果が己のためになるのだから、元はどうしても他人本位である」(夏目漱石p.153

会社というのは「皆が頑張る仕組みづくり」p,135

「この人物と一緒に仕事をしたい」という気持ちになってもらえる人物に自分を高めることができるかどうかが問われています。p.190


また、個人的に大学生(若者)へ向けて読んでもらいたいや映画を挙げてくれているのが嬉しかった。
「陽のあたる教室」・・・見てみようかなぁ。


スタバに行ったのでカップを見てほしい。

ただ、本書が優れた本かというと、微妙。
「就活のまえに」というタイトルで期待するような、
心づもりや準備等の記述はおおよそ半分。
タイトルから期待する内容が少ない。
アメリカの自動車会社について「就活のまえに」読もうと思うか?
中小企業の成功例を「就活のまえに」読もうと思うか?

小見出しのタイトルも首をかしげるのが多かった。
小見出しと本書自体、
タイトルのつけ方をよく考えるべきであったように思う。
副題と入れ替えて『良い仕事・良い職場とは?-就活の前に-』にすべきだったのではないか。

また文章も割と、読みづらい。
普段筆者が若者向けに書いていないのだろう、
どうも言葉が堅苦しい
漢字も多い。
普段から読書する人でなければ、読破するのは難しいように思う。
特に文体も「〜ものです」「〜なのです」が多いのはムカついた。
作者が美少女だったら許されるが、60こえた(執筆当時)おじさんが使うような言葉ではない。



オレンジジュースも見てほしい。

以上である。
刺さる言葉も多く、様々な事例を挙げていたので読み応えはある。
ただし本書が「就活」備える大学生に向けられた本かというと、
甚だ疑問。

前に読んだ櫻井秀勲『「適職」に出会う5つのルール』のが言葉遣いも内容も簡単である。
また内容がとことん「就活する側」に沿って書かれている分
就活本としてはそっちのが優れているのかもしれない。