小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

沙村広明『幻想ギネコクラシー2』-プレグナ・プレグナ、7年間に及ぶ幻想を。-


この漫画は漫画家も素晴らしいが、
帯を書いた編集者もすばらしいな、くぱぁ。

沙村広明『幻想ギネコクラシー2』の話をさせて下さい。



【概要】
くぱぁ

老若男女問わずお楽しみいただけるワイドで猥雑な作品11本。
沙村広明史上、最も開口部の広い沙村広明です。

収録作品
・軍傳
・道連れ道
イプシロンの死者
・ホモ・ロフィエス≪胎動篇≫
・ホモ・ロフィエス≪祖母回顧篇≫
・ホモ・ロフィエス≪地に満ちよ彼らの命篇≫
・最高!グランマ
・ジャックの買わされしもの
・田園バイレクシア
・彼らのそれから
・ぷれぐなぷれぐな

「子供は宝であり光です。
「幻想ギネコグラシー」第2巻ではおっぱいに代わるものとして、
子作りの場面を多めに描いてみました。」

「あとがき」より抜粋

帯・裏表紙より

1巻の感想はこちら。

【読むべき人】
・1巻にドハマリした人
・子作り好きな人
ショートショート好きな人
・短編が好きな人

【感想】

1巻と変わらない、短編集である。
ただ一話一話ページ数が増えた割に、
インパクトに残る話は1巻の方が多かったよーな。気がする。
若干薄味か。
1巻がコンソメパンチギネコグラシーで、こっちはうすしおギネコグラシーといったところか。

以下簡単に感想を。
好きな話は、「道中道」「ぷれぐなぷれぐな」。
「軍傳」においてはネタバレしているので注意。

■軍傳
姿を消した無敗の剣士について書かれた軍傳には、変な写真が挟まっていた。

うーん。
僕が時代劇あんま興味ないというもあるけど、
なんかよく分からなかった。
あれだよね要するに、
未来からきた美女との子作りよりも、
男の中の男は負けが確定している戦を選んだ、
ということだよね?
にしては前半が冗長すぎて、
話の全体像がピンボケしたような印象を受ける。
1巻の冒頭作品「鳳梨娘」が良かっただけに、
ちょっとこれは残念だった。

■道中道
うどん屋がFXに手を出し失敗し、ガス自殺を図るが・・・。

やべーおばさんやべーおじさんの話である。
沙村先生の高度なギャグセンスがこれでもかと詰まった作品。
うどん屋のキャラがいいと解説でも触れられてますけど、
うん、眼鏡・白肌・むちむち・ヒステリック・うどん。
確かにバランスいいですね。
このうどん屋の、日常物読みたい。

イプシロンの使者
美少女ぞろいの生徒会がわーきゃーするぞ!

沙村版きららといったところか・・・。
ショートカットが二人いて、一瞬見分けつかないのが残念だった。
最後の一言のためにある漫画。
「「ごっつええ」みたいなオチでごめんなさいね」 p.46



■ホモ・ロフィエス≪胎動篇≫
コロボックルに口説かれたぞ!!

「人間の中にコロボックルの女がいる」
すげー発見・・・いや発想だなと思った。
胎動もくそも最後がピシャッ!とあっさり終わってて良かった。
僕もまぁそういう経験ないこともないので、
知らないところで産んでるのかもしれない。

■ホモ・ロフィエス≪祖母回顧篇≫
メスに惚れたオス2人の物語。

最後に最後「お前かよ!」と総ツッコミしたくなる一遍。
ただ「俺の一目惚れした女はモブAの曾孫だったのか・・・」p.62
この一言の意味がよく分からなかった。

■ホモ・ロフィエス≪地に満ちよ彼等の命篇≫
6年後・・・。

まさかの結末すぎる。
ただ最後さらりと、
ホモ・サピエンスの子供も孕む事もできない」p.70と言ってますが、
これ怖いですよね。
不妊治療、6組に1組が悩んでいると言われているなかで、
コロボックル、この日本にどれだけいるんでしょうね。
でもこういう生殖方法では、とっくのとんまに滅亡しているのでは・・・?

■最高!グランマ
祖母が亡くなる直前に話した秘密とは。

沙村版世にも奇妙な物語より「おばあちゃん」と言ったところか。
老人が善人という常識にぶつかるこういう話は確かに「最高!」
解説のとこのタバコがいい味出してますね。

■ジャックの買わされしもの
ジャックは市場で牛を売り、豆を買ってしまうが・・・。

ある意味「幻想ギネコグラシー」といったところか。
しかしまぁなんと結末が・・・。
やっぱり、「最高!グランマ」といいこの話といい、
ネタギレ感は否めないんだよなぁ・・。
まぁ面白いからいいんだけど。

■田園パイレクシア
俊夫の羊・マリが奇病にかかったことを知った透は・・・。

ギネコグラシー、女権政治。
その「女」人間とは限らない、イレギュラーの話である。
そういや表紙の馬はこの話の馬かと。
そこはまぁ・・・羊では?
でも1巻でも、オス犬を頭に背負ってるし、
やっぱり「オス」
人間と獣で雌雄成立させたかったのかな。
ギネコグラシー、ギネコグラシー。

■彼らのそれから
羽を持つ者たちが、地球を襲撃してきた。そこで人類は。

1巻のキャラオールスターズ作品。
まぁ1巻の紆余曲折が全て灰燼に化すのかと思うとちょっと悲しいけれど、
まぁそういう「世界線」ということで。
でも結末はとてもロマンがあって好き。
彼らはどこへ行ったのか、それから。
知るのは猫耳の彼女達のみ。
ギネコグラシー、ギネコグラシー。

■ぷれぐなぷれぐな
女たらしのケンと足癖が悪いカナエは、妊婦ベルトをつけて旅行する。

後味がなかなか爽やかで、最後の解説の「その後」の一枚絵もほほえましい。
まあそれまで紆余曲折あるんだけれども。
妊婦ベルト、大学ノートという不自然な伏線を見事に回収、
ページをめくるまで展開がわからない、
けれど最後、少女の泣きボクロで全てがほぐれていく。
2巻で完結のこのギネコグラシー、
最後がこの話で良かったと思う。

ちなみにこのギネコグラシー、
巻末の「初出一覧」を見ると、
1巻から2巻に至るまでなんと7年もかかっている。
掲載誌自体がそもそも年3回のマイナー誌というのがあるんだけど、
それでも7年である。
最後の

くぱぁ

壮大なギネコグラシー。

以上である。
まぁさらっとまとめて読んだ感想としては、「なかなか面白かったです」。
といったところか。

ふうさてさて、と表紙を見る。
タイトルを見る。
幻想ギネコグラシー・・・おや?
幻想・・・













幻想ギネコクラシー・・・・・・・?

・・。

・・・・・・。





・・・・。



いやいやいや、はッはッはっは!!!!!!!!!!!

ギネコグラシー、ギネコグラシー。





LINKS
沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』
沙村広明『幻想ギネコクラシー』