就職だけが全てじゃない。
「U-29 新しい働き方と暮らし方 いま世の中を沸かせている20代のリアルライフ」(枻出版社 2017年)の話をさせて下さい。
【概要】
いま世の中を沸かせている20代のリアルライフ
働き方が多様化している。
大学に進学して、就職活動をして、企業に就職して・・・・・
そんな流れが、いまや当たり前ではなくなった。
「どこに就職するか」を選ぶ時代から、
「就職をするかどうか」を選ぶ時代になってきている。
「就職≒安泰」ではなくなったいま、
自由な働き方や自分らしい生き方を求める人々が増えており、
世の中もそれを認める風潮にある。
ここで取り上げるのは、既存の枠組みにとらわれて、
成功を収めている若き起業家と、新しい働き方を実践する人々。
「起業家」などというち遠い存在に思えるかもしれないが、
彼等をもっと身近に感じてもらいたい。
そういう思いで、プライベートにも存分に迫った。
いつかは起業したい、独立したい。
漠然とそう思っている人は多いはず。
これは、そんな悩める20代に向けて、
20代編集者が作った一冊。
企業や独立を考える人々、自分らしい働き方を模索する人々の
ヒントやきっかけになることを願う。
pp2-3 本文より
【読むべき人】
・起業を考えている人
・会社に勤める以外の生き方を模索したい人
・は、あえてこの2017年に刊行された本作を読むのはいかがでしょうか。
【感想】
今現在フリーターで月々手取り12万イェン(一人暮らし・家賃月々41000円)で暮らしているがどうも苦しい。
バイトという身の雀の涙ほどの給与も苦しいと言えば苦しいのだけれども、
多分僕、会社勤め自体がなかなか苦しい人間なような気がする。
ADHD・ASD併発気味であるのを言い訳にしたいところだけれども、
今思えば、普通に学校の大多数の行動も苦手な方だった。
出来ないことはない。そこまでひどくない。ただ学校でのつまらない・興味がない授業はとにかく寝て過ごした。中あと高一貫の5年間の昼寝のせいかとしてついたあだ名は「眠り姫」。体育では一人だけ身体の動き方のぎこちなさが悪目立ちした。球技が特に嫌だった。自分の運動不足が連帯関員になる理不尽さ。極端に手先が不器用で、大抵のことは人並み以下にしかできない。家庭科の裁縫はいつもビリだった。小学校の時にミシンの分からないところを何度も優しげな山田先生に効いていたブチギレられたのはトラウマだった。「入学式」「卒業式」で動くのも好きじゃない。当日はまだいい。特に前日の準備においては自分は何をしたらいいのかいまいちわからずぼうっといていた。一方でこの文章力や美術、料理・・・中途半端な才能を発揮する分野があるのも自覚している。ただそういったわずかながらの才能は圧倒的「生きづらさ」の前では全く意味をなさない。心理テストは必ず「芸術家タイプ」。
なんかぎこちなかった。
けれどそれは小学校中学校高校大学学校では赦された。
しかし社会では赦されなかった。
ことを、大学卒業後の5年でしみじみと感じている今ぼんやりと思うのは、「会社勤め以外で食っていきたい」「いっそのこと起業でもしちまいたい」ということ。
大勢の中にいるのが苦手ならいっそのことトップに立ってしまいたい。
その下に人がいようがいまいが、私が指揮をとればその事業が続く以上、私の居場所は保証され、且つマジョリティーの中のマイノリティーであることを逆に活かすことにつながるのではないか。
という計画・・・いや幻想が最近頭から離れない。
何かをしたいから起業するのではなく生きたいから起業をする。
甘いのかもしれない。
ただ時間は確実に刻一刻と過ぎていく。気づけば2021年も6分の1終わろうとしている。
今現在僕は27歳になる。今年28歳になる。
30までにはざっくりとした人生の指針を決めておきたい。
と思っていた矢先。静岡駅前の週末古書店・琵琶舎で目についたのが本書である。
しかもお値段200円。買わない手はない。買うっきゃない。買った。
ムック本である。
中身は手抜きシンプル。本書は20代で起業した人々に、たちあげた事業についてのインタビューとプライベートについてのインタビューをし、それをただひたすらに掲載している。
前半の9割は、25人(24事業)の起業家達について、1人当たり4-6ページ使って書かれている。
事業についてはそれぞれ分かりやすく真面目に掲載されている。事業内容、コンセプト、理念、起業した企業の詳細(名前・資本金・従業員数等々)、起業に至る経緯、事業の過去現在未来(展望)。
プライベートは多種多様。身長・体重・座右の銘、家賃・最寄り駅・給与の使い道、1日のタイムスケジュール、趣味、本、新聞、スマートフォンのOS・入っている音楽と入っているアプリ、多々。
加えて巻末・後半の1割は、22人(+1人)のクリエイター達を、1人当たり0.5-1ページにわたって掲載。
職業(ユーチューバー、カメラマン、MV監督、詩人、ニート株式会社代表等)、経歴、目標等々。
起業家、クリエイター・・・、会社・公共に雇われる以外の己の食い扶持を見つけた20代達を、20代に対して紹介するのが本書の目的のようである。
ましてや編集してる側も20代というから、20代による20代のための20代の雑誌ということになる。*1
そしてこれを一通り読んだわけだけれども・・・「なるほど」
うん、なるほどって思った。
というのもシンプルにインタビュー記事が羅列されているだけだから本当それ以上それ以下でもないんですよね。何も思わないというか何の感想もないというかなんというか。ああそうなんですね、みたいな。
そんな誌面にそれ以上の何の感想を求める?「なるほど」しかないでしょ馬鹿。
それでもまあいくつか気づいたことがあるので、
メモをしておく。
まぐろどんmemo
・OSは絶対アイフォン
・学歴はMARCH以上、ほとんどが私立。
・マイナーな会員制のサイトの運営している会社がほとんど。その大半が今2021年現在もマイナーなサイトであることが多い。しかし「タップル」は除く。
・イケメンは案外少ない。
・基本お洒落な人が多い。女性も。そして男性も。
・読書をする人が多い(そして自己啓発書が多い)
・都内というか23区内に住んでいる人が多い
・大学を中退していてもそのほとんどが「意識高い中退」
・学生時代になんちゃってインターンではなく「ガチのインターン」をやっている。
・留学しがち
・意外とみんな黒髪。男性で茶髪はほとんどいない。
・当挙に住んでいるにもかかわらず意外と早く結婚している人も多い。背負うものが違うのか・・・?
・見た目と事業がマッチしている人が多い。奇抜なお洒落な恰好をしている女性が手掛ける事業は女性下着。シャツとカーディガンが似合う男性はIT。性欲強そうな顔はタップル。二枚目は休日提案型サイト等。
これは恐ろしいこと。なぜなら見た目で何しているか大抵わかるということだから。
・休日も仕事をしている人と、休日はしっかり休みをとっている人は半々。でも勉強時間、読書時間を一日のうちにとっている人は多め
・意外と小太りが多い。多分西麻布と恵比寿で美味しいものをたくさん食べているんだおと思う。そして美味しいもので出来た脂肪には貫禄がつく。
・残念ながら、多分実家が元からお金持ちっぽそうな人も。3分の1くらいは。「起業して成功する」にはDNA・遺伝の力も必要なのかもしれない。
・座右の銘一位:Done is the better than perfect.
ざっくりこんな感じである。
薄い。
薄いとは思うが、特に僕の打つ事業を展開している人もいなかったので、
まあこんなもんかなと思う。
でも何人かの人が挙げていた「Done is th better tha perfect.」これは凄くいい言葉だと思ったので、僕も座右の銘にします。
でもここから面白いのが、これが「2017年刊行された雑誌」ということ。
もっと言うと2017年3月。
じゃあ、2021年2月・・4年後に当たる今、彼等が何をしているのか。現在彼らの会社(作品)はどうなっているのか。
検索すればすぐに分かる。
ああこの会社はコロナ禍でもまだ続いているんだな。コンセプトは変えず細々としかししっかりと続けているんだな。あ、会社の名前変わってるな。講演会の仕事がメインになってきているんだな。同じ事業だけど業界を絞って違う形で提案しているんだな。等々。
ただぱっと見、この3年で成功している事業と微妙な結果になっている事業には一つの共通点があることに気づいた。
「何をしているのか分かりやすく言える事業は強い」。これだ。
この号で「フレンチトースト専門店を手掛ける」女性が出てきている。今現在どうなっているか検索したところ店舗が増えて、テレビにも出演していた。ツイッターに何千と言うフォロワーがついている。
一方で「バズるイベントを企画する」会社の代表2人が出ている。今現在は会社名が替わり、1人が離脱した模様。「works」で挙がっている事業も、本誌に掲載刺されている事業のまま。刊行時以降ここに並べられるような大きい仕事は手掛けていないということだろう。当時は勢いがあったのだろうがその後はいまいち・・・といったところか。
また、「人が集まれる場所を作る」というユニットがクリエイターのページに出ている。今現在は解散し、その場所自体も設立で来たのかどうか・・・までは知らないがとりあえず今は現存しないようである。
「バズる」「イベント」「人が集まる」こういった耳障りがいいけれど、具体性が伝わってこない事業は継続率成功率がそこまで高くない・・・気がする。
あと、やたらと「スポーツ観戦型」「休日提案」「お笑い」「クリエイター」・・・等々登録制のプラットホームサイトを運営している方が多かったけれども、今現在一日に一体どれだけの人がこのサイトを訪れているのだろうか。
曖昧ないい感じの言葉でも誤魔化してもダメだ。
スキマを狙ってサイトを作るだけでもダメだ。
自分が何をしたいのか。社会に対してどう貢献していきたいのか。
その手段のひとつとしてあるのが「起業」なのであって、
「起業」を目的としてはダメなんだと思った。
僕は何をしたいのか。
僕は一体社会に対してどう貢献して・・・生きていきたいのか。
僕の人生の目的は。
とりあえず、「生きる」ために起業はやめておくことにした。
以上である。
なんか雑誌自体、誌面自体は20代編集者によって作られたものだから非常に薄く感じられたけれど、その分いろいろ考えさせられてしまった。
働くって、何なんだろ。
僕はいったい・・・うう。
幼稚園の時一人だけ塗り絵が圧倒的に下手でそれが妙に気になっていた。小学校の時から前なら絵をすれば角度が変だと怒られた。中学の時はピアノの下にもぐっていたらヘンな子と陰口をたたかれ同級生から距離を置かれた。高校時代は授業ずっと寝ていてつまらない先生の授業何故聞く必要があるのか本当に謎だった。大学時代は恋愛も不器用過ぎてうまくいけず女の子同士の友情もスピードが早くてちょっと苦手て就職活動ではいろんな会社があることが分かったけれどどこに入っても私が働いていて働いていないイマジン、そして1年半で会社辞めニートしてフリーターして社員もう一度して、フリーターして・・・「まぐろどんさん、真っ直ぐ立ってる?」「え?」「傾いてるけど」塗り絵を綺麗に塗るのが下手で、動きがぎこちなくて、まっすぐにすらどうやら立てていないらしい僕に、いったいなにができるだろう。
もしかして、起業まではいかなくとも、就職以外に何か道を捜せというのか・・・?
ある意味、生き方を考えさせられる一冊。
*1:なお枻出版社は、この「20代が20代にむけて20代の作る」雑誌をU-29シリーズとして出版していたようです。巻末での宣伝を見ると、他の号の特集は「マナー」とか「休日の過ごし方」とか。POPEYEとBRUTUSでよくね、と思ったのは僕だけではないらしく2021年現在には続いていないシリーズのようですね。そして今検索して知ったんですが、この会社ほとんど潰れてて草・・・生えない。荒野です。枯荒野。