好きな死語:
ちょべりぐ
なうい
げきおこぷんぷんまる
サブカルクソ女。
タカノンノ『ショートショートショートさん』(KADOKAWA 2020年)の話をさせて下さい。
【あらすじ】
20代半ば、事務職
自分で小説は書いているが評判は・・・うん・・・まぁ
彼氏なし
書籍は絶対紙派
映画好き
最近カッコいい女にあこがれてショートにした。
【読むべき人】
・サブカルを齧っている20代半ば女
・彼氏がおらずけれどそれに切実さも伴っていない20代半ば女
・インドア派である20代半ば女
・バーベキューに行かない20代半ば女
・ツイッターを未だにやっている20代半ば女
【感想】
ツイッターで見かけた。
それは主人公のショートさんが、定時に仕事を終わらせた後本屋に直行して紙の本を買い、それが一人暮らしの部屋にいっぱいになってきたから「書庫」・・・とは名ばかりの実家に本を置きに行くものの、実家から持ってくる本の方が多くなってしまうといった旨の漫画で、何千ものリツイートがついていて、僕も実際リツイートした。
すごくわかる。
僕のことだ。
翌日職場に直結している大型書店に直行し、購入した。
冒頭はコンタクトの話から始まる。(「ショートさんとコンタクト」)
凄く分かる。初めて眼科でコンタクトを付ける時、なかなかうまくつけられる四苦八苦した。表か裏かすぐに分からなくなって延々と戦ったものだった。
ますます僕のことだと思った。
以下、特に共感した話。
ショートさんと服:一瞬承認欲求これで満たすこと頭によぎったのは私だけではなかったか。
ショートさんと友達:気まずい組み合わせに限って、テーブルとか同じになるの何なんだろうね。
ショートさんと死:僕も常にこれで死んでいる。フェイスブックとかいう虐殺器官の存在を赦すな
ショートさんと春:僕も毎春これで死んでいる。花粉とかいう虐殺器官の存在を赦すな
ショートさんと性:「個人情報ダメ絶対」で育ったから、マッチングアプリよりもより匿名性の高いチャットに奔る
ショートさんと犬:うちでは70の婆さんを飼っている。
初めて知ったこと。
ショートさんと大人の世界:そんなペットボトル本当にある?
特に刺さった言葉。
ショートさんとロングさん:
「周りの風潮にあわせて「恋人いない」自虐してるだけのタコさん
もしくはホントに欲しいけど自分からは動きたくないどうしようもないタコさん」p.62
ショートさんと平成:
「私たちの時代に決まってんじゃん。
アラサーでもアラフォーでも関係ないよ
今を面白くするのは私
私が私の時代をカッコよくし続ける」p.153
そうだ。僕はこのブログでも自分のことをSHOJOとか無駄にローマ字にして延々わめくことに快感を見出し、それにも結構飽きてるし実はこういうネタは擦り切れつくされていてそんなおもろくないのもうすうす気づいてるけど傷つくのが嫌だから延々とどまり続けている。
平成はもう帰ってこないし社会に出る前の日々はもう帰ってこないけれどもあの時は良かったこの時はよかったと延々脳内リピートするのは過去のことで自分をアップデートできていない。
けどアップデートする気も起きない。
ショートさんの周りには友達がいる。
ロングさんはじめ大学時代の集まり、同級生。彼等と集まってわいわい飲んでいる。数か月に一回であろうがそういうメンバーなのだ。
仕事も大変ではないことに罪悪感を感じている。日々の業務は普通に全うしている。仕事を辞めたいとは思ったことがないらしい。
僕は、
仕事辞めて関東から静岡に来てからめっぽう誘われることもなくなったし、
定時で帰られる仕事に毎日喘いでいる。日頃の業務が覚えられない。物覚えが悪い。物忘れはいい。できる後輩が入ってきたが時々職場に立つと意味もなく涙が流れるのと耳が遠くなる。
車の運転も怖くてできない。
違う。
僕のことだじゃない。違う。
ショートさんに共感を見出しているが僕はもっと矮小な人間だ。
もう何もしたくないし、ぎゅーって体操座りしながら延々空を眺めていたい。
きっとショートさんくらいが、インドア女達の平均的幸福なんだと思う。
けれど僕はそこにすらもいきつけない。
何もしたくないと思う。何もしたくないと思う。
でもそういう日こそロングさんのことを思い出そう。
最後に、この漫画は顔芸が多いので、
各話一番好きな顔芸を上げて終わる。
ショートさんとコンタクト:2コマ目 ショートさんとクール:12コマ目 ショートさんと服:11コマ目 ショートさんとギシアン:4コマ目 ショートさんとバチッ:8コマ目 ショートさんと大人の世界:13コマ目 ショートさんと弟:10コマ目 ショートさんと友達:17コマ目 ショートさんとロングさん:17コマ目 ショートさんと死:割愛 ショートさんとパコパコ:7コマ目 ショートさんと風邪:1コマ目 ショートさんと歴史:13コマ目 ショート弟と師匠:8コマ目 ショートさんと仕事:3コマ目 ショートさんと春:18コマ目 ショートさんと性:14コマ目 佐久間先生と恋愛:16コマ目 佐久間先生と推し:19コマ目 ショートさんと犬:21コマ目 ショートさんと招待:16コマ目 五十嵐と黒田:16コマ目 ショートさんと平成:29コマ目 ショートさんとトイレ:19コマ目 ショートさんと飲み会:17コマ目
以上である。
リアルに近くて響く。共感する部分が多い。震える。震えちゃう。
けどその分微妙に遠いところが結構遠く感じた。ロングさんのような友達が身近にいてほしい。けど多分僕はタコなので動けない。軟体軟体。
多分作者も僕のように似た身分の人物なんだと思う。20代-30手前のサブカルクソ女。サブカルクソ女がサブカルクソ女に向けて描いた漫画という印象。
ハローハロー、サブカルクソ女。聞こえてる?みたいな。
なのでサブカルクソ女は読みませう。多分君に響くリアルがこの漫画にはあるはずだ。
あと多分作者はカラー描けない人で、
それをうまくカバーする表紙もエモくてよい。