小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

山うた『兎が二匹1-2』-四匹。-


うーん。なるほどね。
Amazon★4.5かぁ・・・・。

じゃぁ僕に合わなかった。
それだけだ。




山うた『兎が二匹1-2』(全2巻 新潮社 共に2016年)の話をさせて下さい。

【あらすじ】
自殺を繰り返す不老不死のすずと、
あの児と添い遂げることを望む青年サク

自殺幇助(する・される)を日課にしてた二人だが、
ある日すずは死にたいがあまりに
犯していない罪を自白し死刑判決を受ける。
するとそれを知ったサクは、

そもそも二人はなぜ出会ったのか。
巻き戻し。

歌うように読む漫画。


※酷評気味記事になります。
 本作が好きという方はすぐUターン「戻る」を押してください。


【読むべき人】

「#魔女集会で会いましょう」が好きな人
おねしょたが好きな人
後味悪い愛の物語が許せる人
・個性的な絵柄の漫画を読みたい人

【感想】※ネタバレ含む
僕がこのマンガを読んで思い出したのは、
ちょっと前にツイッターで流行したタグ #魔女集会で会いましょう

#魔女集会で会いましょう、というのは
所謂絵描き・イラストレータの間で一時期めっちゃ流行した、
「魔女集会で会いましょう」をテーマにいろんなイラストを掲載するタグである。
魔女集会に行く様子のイラストや、
魔女の日常を描いたイラストがたくさん投稿された。
魔女。
と一言で言っても多岐にわたる。
おジャ魔女のような可愛い魔女から
中世・近世ヨーロッパのまじの魔女
水中にすむ魔女XXXHOLiCの侑子さんのような魔女人間形態をとらない魔女など
個性豊かな魔女がそろっていてとても素敵なタグだった。
そんな中で特に多かったのは、
1.幼い男の子が不老不死の美しい魔女に拾われる
2.幼い男の子がイケメンに成長し、魔女をリード。
魔女照れる

みたいな。
所謂オネショタからの逆転方式のイラストが頻繁に見受けられた。
今作も、そういった趣旨の作品である。



ただ今作はもうバッドエンドから始まる。
すずが死刑判決を受けたと知ってサクが死ぬのである。
それですずが大後悔。から物語が始まる。
初めからドーン!!なので
後味悪い愛の話、が許せる人でないと受け付けるのは難しいと思われる。

僕は別に後味悪いのは許せる。
抵抗せず読める。
ただ受け付けなかった。

理由一匹。読みづらい。
初単行本の作者である。
当たり前であるかもしれないが、まぁ読みづらい。
テンポが独特すぎてついていけない。
「歌うように読む漫画」と大胆に称したけれど、
まさに「歌う」ように展開が異様に早い。
いらないシーンでコマを割きまくってて、
重要なところでコマが足りていない。
特に作品の根幹となるすずが死刑にいたるまでのシーンが1ページは・・・短すぎでは。
とんとんとん、と死刑になったので、
この後なんか入り込めないというか。
あと、絵柄も雑な印象を受ける。
個性ある力強い線であるんだけれど、
どうも思いついたままをすべて原稿にたたきつけてる感じ。
編集がストッパーとして作用すればいいがまぁストッパーが足りない。
なんだろうなぁ・・・もうちょっとトーンうまく使ってくんないかなぁ・・・。
テンポが速く絵が雑なので、読みづらい。

それでもコマの構図等は才能を感じる。
2巻pp.48-50原爆被爆のシーンとか。
ただ、この世界の片隅にが世に出てしまった以上
広島原爆周囲の描写もどうも取材が足りていないように思える。
薄ぺっらく思える。
まぁこれは運が悪いとしか言いようがない。

理由二匹。
登場人物に感情移入が一切できない。

まぁ、サクの気持ちは分かる。
生まれた時からずっと20前後で変わらないすずがいれば、
恋に落ち一生添い遂げる!!言っててもまぁ不思議じゃない。
ただ、すず。こっちがよく分からん。
なんでずっと自殺したいのか。
そりゃ「辛い、身近な人の死がいっぱいあったから」と言えばそうなんだけど、
彼女のそういった心情を分かりやすく伝えるシーンがないので、
共感しづらい。
変な言い回し、変なコマ回しで伝えてこようとする、
そしてそれがうまく伝わらないので
「はぁ・・・?」となる。
そういうのはベテランがやる業であって新人がやすやす手を付けていい業ではないと思うんだけど・・・。
どうだろう。
共感得づらいまま「自殺したーい」連呼した挙句、
思い付きのように行った「自殺したーい」サクが死んでいるので、
どうも読者からすれば、すずくずにしか思えない。

あとできれば、不老不死の自殺理由が「辛い、身近な人の死がいっぱいあったから」
これも使い古された話であるので、
できればもっと違った理由がほしかったな。

合わない理由二匹回収完了。



三匹。
この漫画はすずが一切成長しないから凡作なのではないか。

結末は初めに持ってくるのではなく、すずとサクがくっつくハッピーエンドが最後。
そこまでは初めは自殺連呼するすずだけれども、
クライマックスで気づいてサクと生きる決意をする
そういったのが見たかったな。
おねしょた→しょたが成長しておねとくっつきはっぴーえんど
まぁこれも使い古されてるかもしれないけれども、
絵とコマの割り方の個性が強いので十分良作になったのでは。

最後四匹。
研究員は必要ない。

終始すずとサクの関係性にフィーチャーしていた方が良かった。
初めから全9話の予定で連載していたらしいけど、
その割に全体的に見通しが甘すぎる。
「女子高生に殺されたい」もとい、
コミック@バンチはどうも編集がへぼな印象が強い。
このままでは延々にハルタの劣化版に甘んじるしかないと思うんだけど。
いいのか。

以上である。
なんかいろいろ惜しい作品だった。
うーん。僕がこの漫画に評価付けるとしたら★2かなぁ・・・。
もっと煮詰める必要があった。
でもこの作者に才能があるのは確か。
ただ、ストーリー・コマ・絵全て漫画の基盤が伴っていない。
個性が先走りしすぎてるというか。
1年間、大御所の漫画家のアシスタントなどをして
基礎を身に着けた方が漫画家人生延命できるのではないかと。

そんな時間が無いというならば、
Twitter漫画家になった方が評価されるように思われる。



ちなみに、
今作はバッドエンドから始まる物語。
で、思い出したのはこれ。
桜庭一樹『私の男』文藝春秋 2010年)
直木賞を受賞している。

桜庭一樹先生もGOSICK』シリーズ砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』等様々な作品を描いたうえで、
この作品を書き上げている。
終わりから始まる、ような変化球ではじまる作品は
やはりある程度のキャリアがないと、
もしくはかなり煮詰めないと
良作になるのは厳しいように思う。