小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

関智一『声優に死す 後悔しない声優の目指し方』


声優業界という名のブラックボックス
ゲス声優、関智一がつまびらかに語る。

関智一『声優に死す 後悔しない声優の目指し方』(KADOKAWA 2017年)の話をさせて下さい。



【概要】
年々志望者数が増え続けていく声優業界。
デビューするのですら、1桁パーセントの世界。
無論生き残るのは至難の業と言われている。

そんな業界で25年間活躍し続けている声優・関智一が、
声優志望者、新人声優に送る「後悔しない声優の目指し方」

【読むべき人】

声優志望者
・新人声優
・声優業界というブラックボックスに関心がある人
・声優以外でも、将来の夢がある人

関智一とは?】
アトミックモンキー所属の声優。
ドラえもんスネ夫
「PSYCO-PASS サイコパス狡噛慎也
妖怪ウォッチウィスパー
「カートキャプターさくら」おにぃちゃん 等
声優界きっての「ゲス声優」としても有名

【感想】
非常に面白かった。
声優業界、っていうのは
日々いろんなところであーやこーや言われて語られて
「ふ〜んそうなんだ」
「え〜そうなの〜」

とうんうん相槌をうつ事が多いけど、
現場の最前線で活躍する人が、
つまびらかに語る本
っていうのは今までなかった。
いや、あったのかもしれないけど僕の耳には入ってこなかった。

そんななか、関智一の本が評判いいと聞いた。
主に南米の川付近で。
でもぶっちゃけ僕は声優志望でもない
1000円はニートにはもう大金だし
ということで、
図書館にあるのを見かけて手に取って読んでみた次第。

章は大きく分けて5つ。

1章では声優志望者として知っておくべきこと。
ギャラ倍率等の実用的なことから、引き寄せの法則等心得的なことまで。様々。
よく聞く言葉、声優の「ランク」についても詳しく書かれている。

2章では養成所について。
専門学校養成所の違いから、
週に何回?クラスは?学費は?誰が教えるの?どういう授業をやるの?等々。
大手事務所中小事務所のメリットデメリットについても。

3章では声優の目指す人への実践的なアドバイス
では実際関さんは、いかにして声優を志しいかにしてデビューしいかにして生き残ったのか。
専門学校や養成所で出会った恩師や学んだことについて語り、
その上での読者へ向けたアドバイス

4章は新人声優界隈の話。
デビュー後のこと。
オーディションに受かるコツや、声優のアイカツについて等等。
特にアイドル活動略してアイカツは、自身の経験を踏まえて書いている。
意外な落とし穴とは・・・?

5章は関さんの今。
突っ走って来た25年間のキャリア、
世代交代、養成所、劇団について今何を思うか。
「声優に死す」。

最後のは袋とじのおまけとして、
人生相談や関さん周辺の方々の座談会等々。
ゲス声優の女体のアーンッ!や、いや〜んなことが見れるのかと思ったけど違った。なんだよ。

養成所、専門学校の門扉をたたこうとしている若者や、
事務所を通してデビューをしている新人声優には必読の書となっている。
菅野美穂菅野美穂菅野美穂菅野美穂
関さんのこれまでのエピソードを踏まえて発せられるアドバイスは、
役立つこと間違いナッシングである。

ただ本書は声優というフィールドに限らず、
夢を追う・野望を追う若者全員に刺さる内容のように思う。
例えば、「願えば叶う」の嘘と効能 pp.30-32については、
いわゆる引き寄せの法則に似た現象について菅野美穂用いて滑らかに語る。
関さんは菅野美穂が好きで、ついつい「好きだ〜」「かわいい〜」と口にしてしまう。
すると菅野美穂情報が自然と集まってくるという。
「「本気で努力する」ということ」pp.95-98では、
努力するとは、具体的にどういうことか。
「本気の努力とは、すべてを捨てて他を顧みることすらなく没頭する状態.
つまり、芝居が「異常に好き」な状態」
p.97

これらのことは、声優以外でも十分当てはまるなと思った。
例えばアイドル
アイドルになりたいと思っている女児がいたとしよう。
別になろうデビューしたいと願ったところで叶うわけではないが、
デビューについての情報は自然と集まったり
ルックスをよくするためダイエットにも励むかもしれない。
寝ても覚めてもアイドルのことばかり考えれば、
自然とダンスの練習、歌の練習をはじめ、
オーディションだって自然と受けるようになり、
デビューすることだって夢じゃない。

極端な例しか挙げられなかったけれど、
イラストレータ俳優作家など専門的な仕事に加えて、
これは営業、SE一般的な仕事にまで全てに言えることだと思う。

このように「引き寄せ」のほかにも
他のフィールドでも通用するような文章が多々あり
評価が高いのも頷ける。

特に印象深かったのはpp.122-125
声優として生き残るには、
「執着する気持ちというか、諦めなさ、しつこさみたいなもの」p.125が必要である。
実際、関さんは新人声優時代毎日事務所に通って、
暇であることやる気があることをアピールし続けたという。
すると「あっ、関くん」その場で決まる仕事もあるのだとか。
マネージャーの迷惑すれすれのところで、
「でもやりたいんです。欲しいんですこれが!」ということが大事であって、
それをしないということは
「恋愛にたとえると、自分以外にも好きな女の子を好きなヤツがいたとして、チャンスは平等なのに、戦わずしてほかのヤツに譲っているようなものです]p.124

ここが一番僕に刺さった。
僕は今雑誌の編集者になりたいと思っているけれど、
落ちてばっかで心折れニートニートしている。
ラブレターも何も送っていない状態。
だめだよな、だめだ。
行動するやつしか夢なんて掴めないのに。
その日のうちに改めてESと向き合ったのは言うまでもない。

以上である。
声優業界についての内容も充実していて面白かった。
ところどころ、声優以外のフィールドでも通用することが多々書かれていて良かった。

まぁ、自己啓発の内容なんて他の本に書かれてるやん!!って思う人がいるかもしれないが、
これほど分かりやすく簡潔に面白く短く、
且ついろんなことが書かれている本は少ないように思う。
声優志望者でなくとも、
声優業界に関心のある若者が読めば満足すること確実
な内容である。