小さなツナの缶詰。齧る。

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フランソワーズ・サガン 河野万里子訳『悲しみよ こんにちは』-20世紀の傑作少女小説-


うーん。
20世紀の傑作。

フランソワーズ・サガン 河野万里子訳『悲しみよ こんにちは』(新潮社 2009年)の話をさせて下さい。



【あらすじ】
もうすぐ18を迎えるセシルは、
プレイボーイ気質の父親とその愛人のエルザ
南仏の海岸へヴァカンスへ出掛ける。
セシルは南仏の青年・シリルとアバンチュール、
父親も赤毛のエルザの美貌を思い思いに楽しむ。
するとそこへ、父親の知人であるアンヌがやってくることになり・・・?

聡明で、美しく、
気高く、正しい、アンヌ。

その存在に圧倒されたセシルは・・・。

※少し酷評気味の記事です。
 本作が好きという方は、注意してお読みください。


【読むべき人】
小池真理子唯川恵・・・そこらへんの女性作家の恋愛小説が好きな人
・南仏の雰囲気が好きな人
20世紀の少女小説を読みたい人
・心の中に少女を飼っている、40代以上の方



【感想】※ネタバレ有
うーん。
なるほど。
なる・・・ほど。

僕がこの本を知ったのは、もう10年位前になると思う。
テレビで、
世界各国の文芸作品を紹介する番組だった。
その中の一つに今作が出ていた。
雨の中、白人美女2人が
最後はなぜか車に乗って海に投身自殺する!!!

シーンが記憶に残っていて、
ずっとずっと気になってはいたんだけれども、
まぁ暑いし、
ニート悲しみなどここ最近感じていないので、
思い切ってちゃちゃっ!と読んでみた次第。

読んだ感想としては・・・。
まさしく、
うーん。
なのだ。

どうも、どうも僕には
セシルがただの男たらしクソ女にしか感じられない。
勉強したくないから人殺しちゃったわ!!
でも私は悪くないわ。
若気の至りだったのよ。うふふ。

「悲しみよ、こんにちは。」p.178
クソやん。
で、父親と同様新たに男とっかえひっかえするし・・・。
え。
クソやん。
てか、勉強しろよ。
将来のためアンヌは口酸っぱく言っとるねんぞ。
正直僕は終始、
セシルへの苛立ちを抑えきれなかった。

そもそも、僕はサガンという作家も気にくわない。
ちょっと前に別のサガンの小説を読んでいる。



フランソワーズ・サガン 吉田加南子訳『サラ・ベルナール 運命を誘惑するひとみ』(河出書房新社 1999年)
20世紀初頭のフランスの国民的女優サラ・ベルナールと、
サガンの往復書簡という体をとった
究極のパペットマペット小説である。
この作品でもよくサガンは、
「私たちくらいの才能がある女性は、
お金を使わないとだめなのよね、うふんふふふふ」

みたいなニュアンスを終始ちりばめていて、
鼻につく女だなと思った。
その鼻につく感じが、
まんま小説に反映されてる感じ。
「お金持ちに美人に生まれた私。
だから何したっても許されるのよ!!うふーんうふふふふ」

みたいな。
この作家、好きじゃない。



でも思うのは、
多分このサガンサガンの小説を、
僕が2018年に20代で生きる人間だからこそ、
嫌いなんだろうな
、と思う。
僕達めでたき、ゆとり世代は、
あんまり恋愛に奔放さを求めないし、
仕事もしなくてはならない。

恋愛だけに金をぶんぶん使って両手掲げて「わ〜い!!」するような感じでもないし、
オープンカーの外車や豪邸にそこまで憧れも抱かない。

だから、
いくつもの恋愛を同時進行というより、
一つ一つの恋愛の機微や、繊細な感情を大切にする。
し、
そういう感じを小説にも求めているようにも思う。
辻村深月西加奈子綿矢りさ・・・エトセトラエトセトラ、
最近の売れている女性作家に、
女性優位の駆け引き恋愛を描く作家は滅多にいない。
どちらかというと、
そういった傾向は20世紀終盤から出て来た
小池真理子林真理子唯川恵山田詠美あたりに見られる気がする。
悪い言い方すれば、一昔前。

だから本作のあとがきにおいて小池真理子先生
サガンの訃報後、
「追悼の意味でも、サガン作品があらためて大々的に並べられるか、と思いきや、思っていたほどでもなく、何とはなしに、時は流れ、」p.196
と述べているが、
そのまま時は流れ続けるのだろう。
フランス文学の名作として本作が並び、
サガンの名前も忘れられることはそうないと思うが、
もう彼女の作品と彼女自体が日本を風靡することは無いように思える。


普通に好きなんだけどね。

それでも、
18にしてこれほどの小説を書いたのは凄いし、
訳者の言うのように、
朝陽をあびるオレンジとコーヒー、クラブに響くクラリネット
「情景や感覚の描き方が、みずみずしくすばらしい」p.181
のは確かである。
それでも現代を生きる僕にとっては、
セシルに終始腹立った。

20世紀の傑作であることには間違いないが、21世紀の傑作とは言えない。
それだけだ。


以上である。

うーん。
この作家のはもういいかな。
2冊読んだし十分。

辻村深月・・・名前上げて思ったけど、
そういや全然読んでへん。
なんか読んでみよっかなぁ。


南仏ってこんな感じなんすかね。
まぁここ下田ですけど。