「洋食」全般と拮抗する
プリン・ア・ラ・モードとは
一体どのようなプリンアラモードなのかしら。
「洋食とプリン・ア・ラ・モードのお店 フランセ」その2の話をさせて下さい。
【行くべき人】
・静岡駅前エリアで、逆にお洒落な古風なプリンアラモード、食べたい人
・喧騒から離れて一服したい人
【感想】
二回目である。
前回は美味しいオムライス(デミグラス、とろとろタイプ、白ワイン入り)を食べた。
とても美味しかった。
チェーン店にはない味の複雑さを感じた。
雰囲気も街の喧騒から離れて静かで、
読書もし易く、良いひと時を過ごさせていただいた。
だが店の名前。よく見てほしい。
「洋食とプリン・ア・ラ・モードのお店 フランセ」。
洋食と、プリン・ア・ラ・モード。
単品で洋食全般と拮抗するのは肩の荷が重いんじゃないかおいおい大丈夫かと心配になる。プリン・ア・ラ・モード、つらい時はいつでも俺に連絡くれよ。飲みにくらいならさ、連れてってやるからさ。
え?辛くない?
むしろこの役割に誇りすら感じる?
日々やりがいをもてている?
じゃあ、お前の仕事ぶり、見てきてやるよ。
てな次第でこの前、大雨の中、でもどうしても気になるからと
食べてきた次第。
「ご注文は?」
「プリンアラモードと・・あ、ドリンクのセットで」
「何にいたしますか」
「アイスティーでお願いします。あ、ミルクをつけて下さい」
広々とした店内。
イタリア人の男性と、赤子と母親の親子が同じテーブルを囲っている。男性の低い異国の言葉が店内全体にやさしく響く。何の組み合わせなんだろう。
窓際の席に座る。外は相変わらず大雨である。雨の中の駅前は、安全圏内から眺める時はなんだか風情がある。雷鳴もまだ度々聞こえる。
雷鳴聴きながら食べるプリンはいったいどういった味なんだろう。
きた。
「す・・・・すごい」
目の前にあるのはまさしくプリン・ア・ラ・モード以外の何物でもない、本気のプリン・ア・ラ・モードである。プリン・マ・ジ・モード。
プリンにはホイップクリームは無論アイスクリームまでのっていて、フルーツものっている。キウイパインブドウ・・・食べやすいように器用に皮まで剥かれている。凄い。
そしてかかったカラメルが下にまで浸透し・・・本物だ。本物がある。
ビックリする。その神々しさに。
絵に描いたようなこんな綺麗なものを僕は食べていいのか。いや、見合うようにそれなりにお洒落してきたつもりだけどさ。
と・・・とりあえず、
雷鳴の中歩いてきたのでのどが渇いた。
ミルクティーを一口。
「・・・・すっご」
アイスティー一つとっても本物の喫茶店てのは違うものなんですね。驚いた。
紅茶本来の香りがミルク越しでもしっかり伝わる。素人の僕でも、その紅茶が恐らく茶葉開くのを待ってきちんと淹れられたものと分かる、香り高さ。
そこにミルクの優しい風味が合わさって、ハーモニーを奏でる。カンタービレ。
美味しい。
家で作るティーバックにミルクを入れた紅茶とは明らかに、明らかに違う味がする。
本当の喫茶店って、こういうセットドリンク一つでも、きちんと用意してくれるものなのですね・・・。少し感動すら覚える。
ガムシロップを幾分か入れ、ストローで啜る。
ベストハーモニーにシロップというヴァイオリンが加わって、ますますカンタービレ。ミルクティーのための協奏曲。
ドンガラガラガッシャーーーーーン!!!!!!!!!!!!
雷鳴が響く。
さて。
本題である。
見据える。
一口を、含む。
「なる・・・・・・ほど!」
思ったよりプリン自体は柔らかかった。
しかし、卵と牛乳とお砂糖と・・・不純なものが一切入っていないとわかるシンプルな味わいがする。
ふわっとした柔らかで、けれど絶妙な硬さのあるプリンの触感がたまらない。そこにほろ苦く甘いカラメルがかかる。
味に締まりを出すのはもちろん、そのカラメル自体も美味で、果物・・・例えば酸味のあるキウイ、パイナップルともよくマッチする。
そしてホイップでいったん小休止を挟む。口のなかいっぱいに広がって、真っ白にするホイップは何でこうも食べたとき幸福感があるんだろう。
そしてアイスクリーム。プリンの優しい味わいに拮抗して少し濃いめのバニラを選択しているのが分かる。プリンが映え、アイスも映える。絶妙な濃淡のバランスだと思う。
再び・・・プリン。
凄いと思う。
大量生産で作られたプリンにも無論満足する僕だけれども、
誰かによって作られたプリンはどうしてこうも繊細な味がするの。
シンプル。だけど繊細。
一口一口を大切に食べたい。
初め見たときに宝石のような可愛らしさに圧倒されたけれども、
一口一口も舌の上できらきらする。
さくらんぼはルビー。
文庫本を開く。
ザァァァァァァアアア!!!!!!!!!!
夕立が酷くなったようだ。
どんなに雨が降ろうともどんなに雷鳴が鳴ろうとも、僕は今、プリンアラモードを食べている、文庫本を開きながら。
純粋に作られたプリンに丁寧に扱われたであろうフルーツ、優しく溶けるホイップに、濃厚バニラ、そして頂上に君臨するサクランボ。
口にしながらも、耽美なる本の世界に没頭するこのひとときを、
「最高の休日」以外になんて呼べばいいのか。
ああよかった。
大雨の中勇気出して外出てきて。
白スニーカーは少し汚れたけれど。
以上である。
いや、やりがいを感じているんで。
看板で交わしたプリン・ア・ラ・モードとの会話にウソ偽りはなかった。
値段も手ごろなのが嬉しい。(セットで1000円いかなかった)
雨が降って、また雷が鳴っていようとも、
「最高の休日」実現に向けて、
再び足を運びたいお店である。
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この時はノーメイクで行って後悔したので今回はきちんとお化粧しました。26の女の子なので。