小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

「多田君は恋をしない」-少女漫画アニメ論。を添えて、-

このクール唯一見てたアニメ。

「多田君は恋をしない」(制作:動画工房 監督:山崎みつえ 主演:中村悠一の話をさせて下さい。



【あらすじ】
写真部2年の多田光良が公園で撮影中であったのは、
金髪の美少女テレサだった。
桜いっぱいに舞う中で微笑む彼女は、実はヨーロッパの小国・ラルセンブルクのお姫様で・・・!?

短期留学中のテレサと、その側近アレク
彼女達の日本での滞在期間は写真部や多田珈琲店の暖かな人々のおかげで
キラキラしたものとなっていく。
特に多田君に惹かれていくテレサ、しかし彼女には婚約者がいて・・・

【見るべき人】
少女漫画モノのアニメが好きな人
・流し見できるような、ほのぼのしたアニメが好きな人
・カプ厨

【感想】
月刊少女野崎くん(以下「野崎くん」が制作したチームがお送りする作品である。
「野崎くん」とは、
少女漫画家椿いづみ先生がガンガンで書いている4コマアニメ化したもので、
2014年の夏クール(えもう4年前!?)に放送されて
かなりの人気を博したアニメである。
声優の小澤亜李を輩出した作品としても有名。
僕も当時視聴していて、滅茶苦茶ハマった。
ギャグとキュンキュンのバランスが絶妙でね・・・名作の1つに数えられるので見てない人は是非視聴を勧める。

そんな「野崎くん」を制作したチームが再結集して制作したのが今作。
「野崎くん」同様少女漫画モノである。
原作がない1から脚本を作り上げるオリジナルアニメである。

少女漫画モノ・・・というのはここ最近1年に1回あるかないかくらいのアニメなんだけれども、
どうもなかなかDVD、ブルーレイ(以下「円盤」)売り上げが悪い。
2期はまぁまずない。
神様はじめました鬼灯の冷徹(冷徹は正確には違うが)くらい。
たいてい数多くの同クールのアニメに気圧されて
薄い存在感の中13話でひっそり終わるのがオチである。
理由はまぁ明白で
漫画オタク・アニメオタク、同じ「オタク」とはいえど
少女漫画の読者層≠アニメのDVDを買う層なのである。
人気作品を支持する女子中学生高校生に円盤買う金あるわけない。
そもそも欲しいとも思わない。
そのため、近年では実写映画化が主流。
ティーン誌のモデルや、イケメン俳優を使った方が、
少女漫画を読む女子中学生高校生その他乙女たちがよく釣れるぜ!という算段。


傑作。

例外もある。
例えば「カードキャプター さくら」
ほんじょそこらの少女漫画とは一線を画す、圧倒的人気がある。
もはや国民的人気といっても過言ではない。
また20年前放送したアニメも未だにヲタク間で語られる。
円盤買う層である男性・アニメオタクからの評価も、非常に高い。
有無を言わさない人気女性だけでなく男性からの熱い支持によって、
前作から20年たっての4クールが実現したと思われる。
また、別の戦略を打ち立てたのは学園ベビーシッターズ
声優で集客を見込んだ。
西山宏太朗梅原裕一郎という仲の良いコンビをW主演に起用。
双方かなりのイケメン+かなりの人気ある声優で、恐らく声優オタクのお姉さま方からの熱い支持が得られていると思われる。特に梅原。
ちゃっかりEDも配役ではなく、役者の名前で出してるところが憎い。
その2人に加えて、
今やレジェンドの小野大輔執事役&主題歌に抜擢。
もう声優で搾取しまくリング大作戦!!!のアニメである。
また作品自体も2009年から続く大長寿作品。
円盤買えるお姉さま方にこそ、馴染みがあるような作品をセレクト。
一話一話も決して高予算ではないが、ある程度「面白い」と思わせる質の高さは維持。
なかなか戦略的な作品であったと思う。
ちなみに、この策が功を奏してか1644枚売上げて
放送されたクールで第8位にランクイン。
少女漫画アニメには
数字が3桁&場合によっては売り上げ枚数が出ないことも多々ある中で、
これだけ売り上げたのはGreat,素晴らしい。
プロデューサーの手腕がもうペッカペカである。


1期2期勿論両方きっちり視聴しました。

ちなみに、こう思う人がいるかもしれない。
「女性用ソシャゲーアニメはめちゃくちゃ売れてるのに少女漫画アニメが売れないのはなぜ?」
確かにアイドリッシュセブンTHE IDOLM@STER sideM」
ソシャゲー発は万単位で売り上げる。
(一方で爆死するソシャゲアニメも多々あるがそれは別の話)
しかしここで声を大きくして言いたいのは、
「ソシャゲーやる層と少女漫画読む層は違うぞ!!!!」
と言いたい。
試しにほんじょそこらのソシャゲー沼にずぶずぶの女子捕まえて聞いてみるがいい。
「少女漫画読んでる?」
断言しよう。8割以上が読んでいない!!!
推測であるが、
「少女漫画」を読む層はときめきを得るために読む人が主流である。
一方で乙女用ソシャゲをやる層もときめきを得るためにやっている人が主流である。
双方ともそれぞれの手段で求める量のときめきが得られるので、
それぞれ少女漫画、ソシャゲーにも足を突っ込む必要がないのかと思われる。
ではなぜソシャゲーアニメは売れるのに少女漫画アニメは売れないのか。
特にソシャゲーにおいては「キャラ推し」が多い。
これはもうもはやアイドルオタクと同類で、
アイドルの××ちゃんに何枚も握手会の券を積み上げるように
ソシャゲー嗜むお姉さま方は
ソシャゲーの××くんに何枚も円盤を積み上げるのである。
作品のためでない。キャラのために円盤を買うのである。
ましてやそれにライブチケットがつくなら尚更買わねばならぬ。
一方で、
少女漫画ヲタクはキャラ推しも多少あれど作品自体が好きという人が多い。
しかも漫画なんて一冊易いもんだから、
君に届け」「アオハライド」「ケーキショートケーキ」全部読んでまーす♡」
といったように何シリーズも重複して買っていて
1つの作品に対する愛はソシャゲーほど深まらない。
1シリーズ、1キャラに円盤買うほどの愛はない。
要するに「少女漫画読む層≠円盤を買う層」ではあるが「ソシャゲーをやる層≒円盤を買う層」ということである。
十把ひとからげに「女性用は売れる」と考えるのは愚鈍なのである。


満月をさがして」「まもって!ロリポップ」等
昔は児童向けの少女漫画アニメはたくさんあったけど、
今は児童向けはたいていオリジナルが多い。

まぁとにかく、そうやって苦戦することが多い少女漫画ものオリジナルを作るということは、
それだけで評価に値することだと思う。
斜陽にもなりつつある少女漫画もので一旗あげたいというその野望自体が素晴らしいものだと思う。
だが、その情熱に今作が追いついていたかというと・・・
微妙である。

ストーリー:★★★☆☆
序盤&中盤は割とよかった。
日常ものである。
初めの方は、多田&テレサ以外の写真部の恋愛が主に描かれる。
1話完結だけど程よくまとまっていて、キュンキュンドタバタするシーンも多々。
カップル見てるのが好きな人は、まぁ割と満足度高く見ていけるんじゃないかな。
ただ終盤はイマイチ。
終わりに近づくにつれて多田君とテレサの恋愛にフォーカスされていく。
のだけど、多田君がテレサを好きになるきっかけが描かれていない。
終盤になっていきなり「好き!!」って感じを出されても、
視聴者はえ・・・ええ・・・いつのまに多田そんなに好きになっとったん?ええー・・・え・・・え・・・そういう感じじゃなかったやんけ・・・え・・・引くわーとなる。
いつのまにそんな熱くなっとるん。
ていうかそれは本当に「好き」なのか!?
最終回の展開もうーんとなってしまう。
そんなぼやぼやした恋心でさー一国のさー・・・。
う〜ん。

また、婚約者・シャルルが途中で出てくるんだけど、
盛り上がらない。まぁ盛り上がらない。
多田君がテレサ好きなのかどうなのか自覚せずずっとぼさぼさしてるし、
シャルルもテレサの幸せが一番だから」というもはやお前キリストか!?レベルの意味わからん聖人のため、
「奪い合おうぜ!!!」みたいな感じが一切ない。なぜ出て来たお前。
何のためにシャルルを出したんだ・・・。
写真部とにこにこしてていいのかお前・・・。
悔しくないのかお前・・・。
いっそのことスト2でいきなり出すのが正解だったんじゃないかなー・・・。

あと周囲の人物がくっつかないのも納得いかない。
いちばん恋心に疎いのは多田君で、
テレサとはずっと平行線状態のまま。
のくせに、
周囲の明らかに「好き!!」という恋心を自覚しているメンバーが
一切くっつかずブツ切りなのはどういうことか。
せめて委員長&部長の恋愛くらいは最後まで描いてくれ。
あと、終盤アレクがシャルルを好き!!というのが明らかになるけどそういう伏線あった!?ないよね!?
どっちかってーと伊集院とくっつくべきだろお前。
存在しない伏線回収しないでくれよ。

全体的に、
「少女漫画×ローマの休日」やろうぜ〜。
終わり。
みたいな、
ぼんやりしたコンセプトで作られた雑なストーリー、という印象。
4年越しに集まった結果がこれかよって感じ。
このまま世に出すんだったらもうちょっと練るべきだった。

僕が思うに、別にテレサちゃんを王女にしなくてよかったと思うんすよ。
外国からの単なる留学生で良かった。
シャルルは母国での幼馴染でよかった。
そうすれば、もっといろいろまとまったと思うんだけどどうだろう。
多田君の両親のエピソードとかも回収しきれたと思うんだけどどうだろう。

演者:★★★★☆
比較的良かったんじゃないかなと思う。
以下各配役。

多田光良:中村悠一
「野崎君」と変わらず引き続き主演。
やっぱり上手い。良かったと思う。
特に伊集院に対する微妙な反応の演技が良かった。

テレサ石見舞菜香
今勢いのある新人の一人。
岡田磨里監督:「さよならの朝に約束の花を飾ろう」の主演が記憶に新しい。
やっぱり上手い。良かったと思う。
棒読み感も一切ないし、テレサにもよく合っていた。
相変わらず「野崎君」チームはヒロインの抜擢が神がかってる。

伊集院薫:宮野真守

宮野さんといえばイケメンキャラなイメージが強い。
まぁ例えば文豪ストレイドッグス太宰さんうたプリ一ノ瀬トキヤとか。
あー・・・うたプリでいえば多田君×伊集院って林檎×トキヤになんのか。すげー。
でもまぁ今作では所謂ギャグキャラでそこが新しかったかな。
ちょっと芝居がかりすぎた感じは多々あったけど。

アレク:下地紫野

気の強い役が多い声優のイメージなんですが、
まぁ今回もそんな感じ。
近年出て来た若手女性声優の中では、声に特徴があっていいと思う。
これから活躍するにはもう少し役幅がほしいところ。
声質声優でいえば佐倉綾音
でも、気が強い役だけでなく「ご注文はうさぎですか?ココア十二大戦庭取宝石の国ボルツ等。
彼女声質だけでなく、なんだかんだ役幅広いから生き残ってる節あるので。

杉本一(部長):梅原裕一郎
なんだかんだ上手いと思う。
前クールのダメプリのヴィーノとはまた全然違った役柄でどちらも自然。
佐倉綾音のように声質+幅の広さで今後も活躍が期待・・・したい・・・けどぉぉぉ・・・
体ゆっくり休めてくださいね・・・。
これだけ破格のイケメン声優はなかなかいないので
是非復活してほしいなぁ。

長谷川日向子(HINA):石上静香
石上静香のメガネ役は最高。
世界の摂理である。
ちなみに3年の2人はどちらもダーリン・イン・ザ・フランキス出てるね。
いやまじ2人にはフランキスしてほしかった。

山下研太郎:下野紘
後輩と言ったら下野、下野といったら後輩、後輩といったら下野、下野といったら後輩、後輩といったら下野、下野と・・・・(ry

多田ゆい:水瀬いのり
いのりんはやっぱ上手いですよ。
声質は正直替えがきくんですよ。
でもこの声質で彼女以上の演技が出来る人はなかなかいない。
演技力でやっぱ勝ち進んでいる感じあるよね。
M・A・O上坂すみれ小倉唯ちゃんもそうだよなぁ・・・。
なんだかんだアイドル女性声優も、基盤作るような演技力がないと厳しいね。
雨宮天どうもいまひとつ上にいけないのはそこが原因だと思う。
内田真礼たそくらいじゃないかな・・・演技イマイチだけど生き残ってるのは。

シャルル:櫻井孝宏
やっぱこういううさんくさい優男は櫻井ですよね。わかる。
最近中村悠一と共演が多いイメージなんだけど。
僕の見るアニメが偏ってるのか・・・。

ニャンコビッグ:小澤亜李大塚明夫
「野崎君」のヒロイン役をやった小澤亜李が出てるのはやっぱ嬉しい。
ネコだけど。
野崎君に出てから、なんだかんだ安定して出続けてるね。
来年再来年あたりぽっとプリキュアあたりやってそうだけど、どうだろう。
あと大塚明夫無駄使いの回・・あれは今思えばいらなかったんじゃないかな。
終盤に1話分回すべきだった。

まぁこんな感じ。
全体的に合っていたように思う。
強いて言うなら伊集院がちょっとミスキャストだったかな・・・。

演出:★★★★☆
音楽が良かった。
音楽担当したのは橋本由香利さん。
近年ではおそ松さんも担当してたり。
彼女の作ったアニメ生徒会の一存」OP「Treasure」はほんと神曲で名曲でなぁ・・・。
話戻す。
この人が音楽担当すると、いい音楽がいいシーンでいい感じで流れてて、
今回も彼女の良さがよく活かされてた。

あとED。
テレサが歌ってるものなんだけど、
多田君が自分の気持ちに気づいた話では、
多田君が歌っててそこの演出はぐっときちゃったな。
うん。まあ・・・こんな感じ。

以上である。
やっぱな。脚本がちょっといまいちだったかな。
少女漫画モノはやっぱ原作あるに限る、ということか。

ちなみに、7月に入ったのでクールが変わるね!!
何見よう!!!
やっぱ美少女もの好きとしては
あそびあそばせ「音楽少女」「レヴュー☆スタァライト「はねバド」見たいなぁ。
「はねバド」早速一話録画逃してるけど。
あとはやっぱ2期まで見ていた「Free!」3期、漫画が気になってた「トネガワ」ハイスコアガールかな。
7本だから、多分終わり頃は3本くらいになっているかと。
そのときはまた感想書こうかな。。