もうすっかり、夏といったらタイムリープになってしまったよね。
映画(アニメ)「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(監督:武内宣之 制作:シャフト 配給;東宝 主演:菅田将暉)の話をさせて下さい。

【あらすじ】
中学生の島田典道(のりみち)は、及川なずなのことが気になっていた。
しかし、夏休みが終わるとなずなは転校してしまうという。
そんななずながプールで提案してきたこととは・・・。
一方、典道含めた安曇祐介、純一、和弘、稔の5人グループは、
打ち上げ花火を横から見ると、
まるか、
それともひらべったいか。
で盛り上がるが・・・。
真夏の、多分たった一回の、僕達のタイムリープ。
【見るべき人】
・シャフトの世界観が好きな人
・夏っぽい映画をさらっと見たい人。さらっと。
【見るのをためらうべき人】
・「君の名は」を見ていない人。
そっち見た方が面白いよ。
【感想】
去年公開されたけど、前評判でいいのを聞かなくてスルーしていた。
米津玄師が手掛けるテーマは何度何度も聞いたことあるんだけど。
でもWOWOWでやっていることを知って、
録画してさらりと、見た次第。
「あー、なるほどな」
思ったより悪くなかった。
だが良くもない。
ストーリー:★★★☆☆
起承転結があやふや。
ただタイムリープ繰り返しているだけという感覚が強い。
特に、転と結。
順調にタイムリープを繰り返すだけだから、
どこが山場かわからない。
そしてわからないまま、尻切れトンボに終わる。
この後半2つの雑さが酷いと思った。
そしてタイムリープ。
「時をかける少女」「君の名は。」
もうすっかり、夏の風物詩になってしまった。
すでに2作名作アニメがあるなかで、
何故このタイミングで・・・しかも「君の名は。」の翌年で、この作品をアニメ映画化したのか。
うーん。
てか、そもそもタイムリープという主題自体には魅力はない。
タイムリープを繰り返さなければならない理由にこそ意味がある。
「君の名は。」では、
彼女を救うという理由があったからこそ、
あれだけ傑作になったわけで・・・。
今作では気になる彼女を引き留めるため!という理由。
弱い。弱すぎる。
しかも彼女が「気になる」理由が書かれていないから、
共感しづらい。
「君の名は。」では、前半の入れ替わるストーリーで親しくなる過程を丁寧に描いてたから納得できるんだけど・・・。
今作では一切書かれてない。
弱い。
劣化版「君の名は。」といっても過言ではない。
「君の名は。」「時をかける少女」流行ったから、
少年少女を、夏にタイムリープものを作ればヒットするだろう。
見当違いだ。
その2作が売れたのはそこが理由ではないと思う。

演出:★★★☆☆
今まで世に出してきた
「物語」シリーズや「魔法少女まどか☆マギカ」等での
独特の世界観。
そこを買ってのシャフトの起用であると思う。
確かに、
後半になるにつれてのどんどん現実離れしていく世界観の表現は、
その魅力が存分に発揮されていた。
色いっぱいの花火や
「瑠璃色の地球」で開くきらきらした世界。
夢のような、夢のような。
まさしく「エモい」って感じ。
ただこれをスクリーンでわざわざ見たいかと言われると・・・うーん。
テレビでいい。
あとやっぱり、
やっぱりキャラデザや背景、モーションなどは深夜アニメの枠を出ない。
アニメにしては動いてる。
風車、螺旋階段、世界観だって悪くない。
だが、
ジブリ、細田守、新海誠・・・・。
それらと比べるとどうしても見劣りする。
京都アニメーションは
深夜アニメであっさり天下を取った後
『劇場版たまこマーケット』『聲の形』『リズと青い鳥』と、
一般向けのスタジオを何年もかけて目指している。
それがシャフトに一発で出来るのか、というと
まぁうまくいかなかったわけだ。
演者:★★★☆☆
「ひるね姫」ほど酷くはないが、良くもない。
島田典道:菅田将暉
普通。
俳優が声当てたらこうなるだろうなーって感じそのまま。
神木君のがうまいかな。経験積んでるというのもあるけど。
及川なずな:広瀬すず
こういう静か系のキャラって、
それっぽくしゃべれば誰でも案外できちゃうんですよね。
だから綾波レイ演じる林原めぐみのように声質を重視するんでしょうけど、
すずちゃんの声にそこまで魅力があるかというと・・・・。
というか、
正直シャフトのゴリゴリのアニメ絵に、
実写で活躍する二人の声が合うかというと・・・合わない。
不自然。
視覚は深夜アニメしてるのに、聴覚はジブリしてるみたいな。
ここは、梅原裕一郎や水瀬いのりなど
演技力あり且つテレビ映えしそうな声優を使った方が良かったのではないか。
別に一般人も菅田君が声やってる!!すずが声やってる!!から見に行く人いないでしょ。
以上である。
どうも、全体として「君の名は。」の下位互換の印象が強い。
シャフトが好きな人には刺さるのかも。
また、
「バケモノの子」「君の名は」「打ち上げ花火」「ペンギン・ハイウェイ」
とここ最近は夏の一般向けアニメ映画の存在が目立つ。
ジブリの後釜を任せられる
世界に発信できるようなアニメ映画を目指して、
夏狙って誰かが撃ち続けている。
よーに思えるけど・・・どうなんだろうね?
LINK:「ひるね姫〜知らないワタシの物語〜」