下ネタクイーン。
輝かしきこの称号を僕が持っていたのも、今は昔・・・。
宮原るり『僕らはみんな河合荘1-9』(少年画報社 2011-2017年)
※以下続刊
の話をさせて下さい。
【あらすじ】
親の転勤により高校入学と同時に夢の一人暮らしをすることになった男子高校生・宇佐。
下宿先の河合荘には読書好きの美少女ショートカット・律先輩
と、
三十路手前独身女・麻弓さん
あざとい💛女子大生・彩花
どM自称作家・シロさん
超絶残念な住民達が住んでいて・・・甘ずっぱい!ときめき青春ライフ💛
【読むべき人】
・下ネタ好きな人
・少女漫画好きな人
・縄で僕を・・・・縛ってください
【感想】
再読。
数ある追っている漫画の中でもかなり上位でお気に入りの作品だけれども、
まとめて一気読みしたことなかったのでニートよろしく一週間くらいかけてずるずるずるずるハァハァハァハァ律ちゃん!!!律ちゃん!!!ああああああああっっっっ・・・・ふぅ、と読み終えた次第。
今作の特長は、
下宿先に憧れの先輩がいて・・・!?んきゃ〜!!!みたいなズァ・少女漫画を土台に、
下ネタや個性的なキャラクターによるギャグパートが両立している点。
少女漫画+ド下ネタ。
まさしくこんな感じ。
「少女漫画」の部分は、素晴らしい。
例えば、「好き」・・・とは言えないけれども、他の異性と仲良くすると物凄く妬ける、とか。
かつては恋敵で、戦終結後も気まずい関係・・・だったけれども今じゃすっかり貶し合い・・・等人間関係だとか
照れる女の子の可愛さであったり・・・とか
恋に落ちるきっかけであるとか
とにかく「少女」の描写が丁寧。
忠実に「少女」漫画。
特に僕は清水さんに関する部分が好き。
律ちゃんとの関係性の変化であるとか、本人にしかわからない恋に落ちる瞬間であるとか。
後半に出てくる椎名さんも。
すごく気になる先輩がいるけど、その先輩を凄く好きな人がいるから「とても気になる」で無意識に線引きしているところとか。
またそんな椎名さんに、「あの子は明るくて愛嬌あるから、宇佐君はわたしより椎名さんを選ぶはず!」で、「好き」から逃げる律ちゃんとか。
うっひゃー。
読んでてにやにやする。にやにや。
特に律ちゃんには、宇佐君と一緒にときめく始末。
あと全員可愛いんだよなー、最高かな?
少女漫画より少女漫画しているので、下ネタに抵抗がない人はまず読んでほしい。めちゃくちゃ良いぞ。
一方で終始「下ネタ・ギャグ」があるのも本作の特長。
液体浴びて「・・・・苦っ」等
思わずあーがあーなってしまう///ようなラッキースケベらしからぬラッキー下ネタがたくさんあるんだな。
特に前半。一つ一つ爆笑必至なので是非読んでほしい。
後半はイベントのエピソードも多め。海・お祭り・実家訪問など濃厚なストーリーが展開。
少女漫画お約束のイベントが多く、その分少女漫画的要素も強くなるけど、
ストーリー中でちりばめられた下ネタも短い分切れ味がどんどん鋭くなっていくのでお勧め。
あと何気に9巻での伏線回収は驚いた。確かに!律ちゃん1巻の表紙で読んでるんだよなぁ・・・。
勢いだけではなくきちんと初めから練られている漫画なんだなと実感。
オタクは複線回収がちゅきだから・・・。
特に表紙がお気に入りの4冊。
ちなみに僕が時に好きな話は、
4巻第五話・・・最後そりゃ僕もきゅんとくるしムカつくよねー。同意。
8巻第三-五話・・・p.93で出てくる新キャラがツボかな。ある人がただのぶりっ子じゃない人間としての厚みを感じられた話。
9巻第五話・・・怖い話とお人形好きなのでぐっときましたね。
あと、
5巻第二話。コンビニが舞台で一番好きな話なんだけれども、これが滅茶苦茶面白い。
そして僕は思い出すね・・・大学3年のあの日。
クリスマスイブ。
彼女を部屋に連れ込んでいる後輩の家のポストに、
コンビニで買ったエロ本を突っ込んだことを・・・。
エロ本ってすごいよね。
選定ってあんなに楽しいんだね。
ネットでエロ画像がはびこる世の中だけど、エロ本の文化はこの先もなくならないでほしい。
エロ本イズフォーエバー。
エロ本は愛。
エロ本は世界を救う。
まぁこの話エロ本全く関係ないけど。
でも単発で読んでも非常に面白いと思うので試し読みする人はぜひ。
いいか、5巻の第二話だ。
かつて僕は毎日下ネタを言っていた。
学校で下ネタを口にすれば、僕等はすぐ意気投合し延々と交わした。
お×××は「おはよう」代わりの挨拶だった。
そして先生同士の結婚のニュースがあれば熱い夜を想像し「でもあの先生はむっつりだから縛りそう」、
筒があれば「つっこんでみれば」「そんな細くないよ。ナメないで」、
食べ物があれば「食べてみる?下のお口で」といったように。
その瞬発力と鋭さで、
若かりし僕はクイーンの名をものにした。(キングも勿論いた)
しかし大学に入ってしまうと自然とそういった機会も減り、
あったとしても女子間で交わす生々しいものへと変化し、
経験もかれぴっぴもいない僕はうすら笑いを浮かべ頷くだけになってしまった。
大学時代の友達も全然好きで飲み会も楽しいし酒も進むけど、
ときどきあの時のことを思うと寂しくなる。
あの頃のように下ネタを口にできない。
玉座からおりた今ではもうただの平民。
いや下ネタキングダムにおいてはスラムの浮浪者にすら近いかもしれない。
そういった寂しさを紛らわせたいときに、
僕はふとこの漫画を手に取るのだ。
そして笑って笑って本を閉じぼんやり思う。
下ネタ言えないけどがんばろう、と。
差す棒ないけどがんばろう、と。
ああ・・冷蔵庫。どうするか考えなければならぬ。
以上である。
元クイーンの寂しさを埋める漫画それこそが本作である。
ちなみに
巻数が進めば進むほど☆が減ることに定評のある
某A●azonのサイトでは、本作の9巻☆5つである。
下ネタに抵抗さえなければ、絶対気に入る作品であると思うので是非読んでもらいたい。
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20200612 加筆修正しました。今でも冷蔵庫は座敷にある。