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・・・。
・・・・S@YURI?
押切蓮介『サユリ①』(幻冬舎 2010年)の話をさせて下さい。
【あらすじ】
この家に住んでた人って・・・どんな人だったの?
夢の一戸建てマイホームへと引っ越した神木家。
しかし、家族7人そろってのありふれた幸せを満喫する間もなく
次々と不幸で不気味な出来事がこの一家にふりかかる・・・。
鬼才・押切蓮介の超絶ホラー、開幕ーーー。
裏表紙より
【読むべき人】
・呪怨好き
・家ホラー好き
・邦画ホラー好き
【感想】
もともと作家の名前は知っていた。押切蓮介。ハイスコアガールが代表作で、アニメ化直前に著作権うんぬんでもめはじめアニメ化の話が帳消しになりでもなんか数年後無事アニメ化したけど意外とそんなに話題にならなかった気がする。
ちなみにハイスコアガール自体は女の子が可愛いからずっと気になってはいるんだけど、何にしろ、僕ゲーム全然詳しくないんですよ。ポケモンくらいしかわかんない。ポケモンも「ポケットモンスター青」で視力を犠牲にした割にはソード・シールド以降追ってないし。だから読んだことないです。
でもその先生がゲームだけでは無くホラーも描いてると知ったのは、ちょっと前の話。なんかの本の解説を、まさかの漫画で描いてたんだよな・・・なんの書籍だったか。思い出せない・・・。
ホラーなら!!!分かる!!!びびりだから!!!読める!!!びびりだけど!!!楽しめる!!!びびりだから!!!
というわけでざっくり調べたところぱぱっと手短に読めそうなのが本作(全2巻)であったため、メルでカリった。
ちなみに「ミスミソウ」、あれはまだ勇気出ない。いじめっ子も殺して主人公も死ぬとかなんか胸糞悪い漫画だと聞いているので・・・ほら僕意外とそういうのはガチ泣きしちゃうから・・・。
ネタバレ覚悟で感想を書いていく。
1ページ当たりの台詞も少ないためスラスラ読める。スラスラ入り込める。スラスラその分まぁ読むのが早くてコスパ以下略なのはご愛敬。
あと登場人物がスラスラ死んでいく。ビックリした。一人目早くねぇ!?
でもその後は死にそうでなかなか死なない。じじぃ・・・こいつなかなか死なねぇな・・・からの終盤のバッタバッタみんな死んでいく様はちょっとカタルシスがあった。ストレスをためてからのバーン!!!みたいな。
タメ、からのギターソロ!!!
溜めて溜めて溜めて・・・・死に死に死に死に!!!!!!!
特に最後、母親が死ぬときは妙に余韻を残すのがいいですね・・・・。
作者はwikiを見る限り、音楽を嗜んでいるとのこと。
成程って思った。
前半は非常に音楽的死に方をしている。
序盤父親の死という圧倒的衝撃的音をかき鳴らすことで聴衆の注意を一気にこっちに向かせたうえで、そのあとは大サビにむかってピアニッシモからずんちゃ・ずんちゃ・ずんちゃ・ずんちゃ・・・・そこにホラーに必須・美少女要素も添えてずっちゃずっちゃずっちゃずっちゃ・・・・からのバーン!!じじい死にます弟死にます姉死にます!!!みんな!!!死にます!!!大サビィ!!!!!・・・・からの
「お母さん・・・・・・もう・・・疲れちゃった・・・。
お父さんが死んじゃって・・・俊までが居なくなっちゃって・・・」
「母さん・・・今はそんな・・・・・・」
「もう一度戻りたい・・・径子が産まれて・・・・・・則雄を産んだ頃に・・・・・・」p.166
母の死で余韻を残して・・・音楽は終わる。
まるである種の交響曲のようだと思ったね。オーケストラやってる人ならわかると思うんですが、だいたいの交響曲の一楽章ってこんな感じじゃないですか?
・・・。
うーん。
うーん・・・・・。
JPOPとかだと・・何だろう・・・。
あれかな。
天海春香「乙女よ大志を抱け!」に近いかもしれない。
サビからはじまる(父死ぬ)、1番A-Bメロ(祖父やばくなる)、1番サビ(祖父狂気クライマックス)、2番Aメロ(謎のババア)Bメロ(美少女登場)サビ(祖父死亡・弟失踪)→Cメロ(則雄と美少女の束の間の学校生活)
天海春香「レベルアープッ!!!!!(アゲアゲ!)」
大サビ(弟の幽霊&姉死亡&大混乱)→
天海春香「言えない言葉がずっとあったの・・・(しんみり)」
Dメロ(母死亡)
みたいな。
分かる人にはわかると思うんですけど・・・。分からない人は是非聞いてみてください。天海春香「乙女よ大志を抱け!!」。アイマスの何千とある曲の中でも屈指の名曲だと思うんで・・・。
それで最後の最後に恐らく「サユリ」ちゃん?が出てくるのですが・・・漫画としてこれはうまいなと思った。様々な怪奇現象が多発&多発して最後の最後にその正体が現れる・・・ラスボス感とこれからどうなってしまうんだ!?感が半端ない。
また本作は全2巻じゃないですか。その中心にようやっとラスボス登場・・・ていうのは作品の構造的にも非常にバランスが良く感じられた。序破急でいうと分かりやすく「破」みたいな。
これからどうなっちゃうんだろー・・・。
サユリ「私!!サユリ!!!プロデューサーさん!!一緒にお仕事頑張りましょうね!!!」
になるのかなー・・・。
則雄&サユリのアイドルマスター始まるのかなぁー・・・。
まぁ実際ねー、サユリという天海春香にくわえて、住田という如月千早&レインコートばばあという高槻やよいはいるんでねー・・・。DSだと確か3人プロデュース選択できればゲームとして成立したわけじゃないですか。
だからワンチャンあると思うんですけどね。後半まさかのアイドル展開。何より作者ゲーマーだし。
あと思ったのは、僕個人が作者の描く女の子めちゃくそ好きってことですね。
ハイスコアガールが結局ずっと気になってたのも表紙の女の子がめちゃくちゃ可愛いからなんですよ。
ジト目。ジト目本当にたまらん!!!
で、本作にも住田&径子というジト目ヒロイン2人出てくるわけですが・・・。
個人的には柄が悪い径子の方が好きかな。メンタルよわよわな感じも良い。
あれ思い出した。映画「パラサイト」のあの妹。
逆に住田はちょっと前の平手友梨奈感めちゃくちゃある。
あと加えて思ったのは、この人のホラー漫画は一番怖いところが変わってますね。
多分代替のホラー漫画って、「幽霊バーン!!!」って出てくるシーンが一番怖いと思うんですよ。もしくは惨劇シーン。だから終盤も、サユリがぬっとあらわれたシーンが一番怖くて然るべきはずなんです。
でもこの作者の漫画って一番怖いのは、「出てこないシーン」なんですよね。
例えば第一話のpp.28-30。
ここは父親がいかにも死ぬぞ死ぬぞ死ぬぞ・・・!!!ってところで何もない、あの町のシーンに切り替わる訳ですよ。
そこにはセリフも何もない。ただの町。ただの日常。ただの風景。
でも、なんかめちゃくちゃ怖い、というか不安になるんですよね。明らかにこれから嫌なことが起きようとしている。
最後のサユリのシーンも、僕は出てきたところより、最後の最後の笑い声だけ描かれている真っ黒いページが怖かった。サユリ自体は描かれていない
最後の最後の、
黒字に白で
「ぎゃはははははは ぎゃはははははは」p.176
と描かれている最後の1ページがめちゃくちゃ怖かった。
いやどんだけ笑うねんて。
こうやって、見えるシーンよりも見えないシーンが怖い、っていうのは非常に邦画ホラー映画的だと思った。出るぞ出るぞしている時が一番怖い、みたいなね。
実際邦画ホラーにも良く出てくる美少女ヒロインも本作出てきている訳ですし。
以上である。
思ったよりアイドルマスターに近かったことと、ヒロインのジト目たまらん、あと普通のホラー漫画と比べて非常に邦画ホラー的なのかなって感じた。
てかよく見ると、写真の奥に・・・
サユリちゃんいるやんけ。うわ。いま気づいたわ。ゾッとした~。
これから彼女プロデュースするのかー・・・。
上手くできるかなぁー・・・・。
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