小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

九井諒子『ひきだしにテラリウム』-ショートショートの漫画-


おちこんだときに、これを一冊。

九井諒子『ひきだしにテラリウム』(イースト・プレス 2013年)の話をさせて下さい。


よく僕は「てのひらにテラリウム」と間違えます。

【あらすじ】
漫画界の新星、九井諒子による漫画ショートショート集。
動物園のゾウが出産したが、アルビノで・・・ 「かわいそうな動物園」
職場の後輩に嫌われてる気がする・・・!開かれるは脳内裁判!!「代理裁判」
人間誰しもが主人公。私は長らく何の主人公かわからなかったけど・・・
どうやらショートショートの主人公だったようです。ショートショートの主人公」

【読むべき人】
漫画をふだん読まない人
星新一が好きな人
・面白い漫画が読みたい人
・短編漫画が好きな人

【感想】
再読である。
初めて読んだのは4年位前かな。
そこから単発で軽く読むことはあっても、
1冊まるまる読んだのはかなり久しぶり。
めっちゃ面白かったでゲス。

今作はショートショート集。
というのも最短のものは2ページ
最長のものでも12ページと、
まじの短い短編集。
さくさく読める。
イラストのクセも強くなく、
且つ画風の幅もありえないくらい広いので、
漫画を読まない人にも自信をもって薦められる一冊である。

ページ数は少ないけれど、
その少ないページの中で想像力が大爆発。
冒頭「すれ違わない」は少女漫画から始まるかと思いきや衝撃。
「未来面接」では夢がある夢のない未来。
「かわいくなりたい」ではまさかの朝準備。
特に・・・「春陽」には驚いた。
どうしたらその発想が出るのか・・・。
すごい。すごすぎる。



僕が好きなのは以下の3編。

●「えぐちみ代このスットコ訪問記 トーワ国編」
所謂漫画家の巻末漫画をパロった作品。
作者の自画像やコマの線、セリフ・言いまわしまでもっちゃかもっちゃか似せていて、
もうそれは尊敬通り越して感動。
対比するかのように、
その国に住んでいる少年の心情が描かれているんだけど、
その対比がなんか、キューンとくるんだな。
キューンと。

●「ショートショートの主人公」
ショートショート好きとしてはもう爆笑の一遍。
わかる、わかるわー。
主人公の家族も個性が強くて凄まじい。
特にp.150の父親の霊圧がやべぇ。

●「こんな山奥に」
伏線が秀逸。
確かに言われてみれば・・・全部全部そうなんだよなぁ。
顔もなんとなく・・・・うむ。
何気にさいご、おつりのお札が×××になっているのもユニーク。



以上である。
掌編・短編にこれでもか!!!というほど想像力を詰め込んだ一冊。

ちなみに表紙は、全編の主人公が掲載されている。
文字でつぶれているところも開くとカラーできゃっきゃ描かれている。
出版社GJ。
・・・てかこれ良く見ると、輪になってるな?

ちなみに今現在は九井先生はダンジョン飯で有名だけど・・・。
こういうショートショート集みたいな一冊、
また出してくれないかなー・・・。