小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

中野京子『中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇』-聖書について知識が身に就く良書-


世界で一番のベストセラー。

中野京子中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇』(文藝春秋 2012年)の話をさせて下さい。



【概要】
「怖い絵」シリーズで知られる中野京子が、
旧約・新約聖書の場面を描いた傑作を取り上げながら、
聖書の物語について叙情的に情熱的に解説。
読み易く、面白い美術書

ちなみにすでに読了したシリーズ。
中野京子『名画の謎 対決篇』
中野京子『名画の謎 陰謀の歴史篇』

【読むべき人】
・西洋美術に関心がある人
「聖書」ってイマイチ何なのかよくわかんない人
・聖書に関心がある人

【躊躇うべき人】
・聖書を穢されるのが許せない人

【感想】
今作は刊行順でいくと第二弾にあたる。
第四弾からさかのぼってよんできている。

前作「陰謀の歴史篇」でガチギレした僕だけれども、
今作は良かった。面白かった。

今作は「旧約・新約聖書篇」と題して、聖書のワンシーンを描いた作品を扱う。
それぞれ作品の背景にある聖書の部分を分かりやすくユニークたっぷりに解説してくれているので、
聖書についてさっぱりぷーの僕達でも楽しんで読める仕様になっている。わーい。
ただ、「ユニークたっぷり」
ブラックジョーク的側面もあるため、聖書穢されるのが許せない人、ザビエル、熱心なクリスチャンには薦められない。

ただ内容は充実。
「旧約」「新約」の言葉の意味から、家系図・人間関係図pp.6-7
「なんでホテルの聖書があるの?」まで聖書のアレコレも扱っているので、
美術に関心が薄くとも、
聖書自体に関心がある人にはおススメ。



ちなみに僕がビビッときたのは3つ。
天までとどけ ブリューゲルバベルの塔≫」pp.47-59
バベルの塔の名前の由来やタロットカードとの関係性、
「バベル」の言葉の意や
取り扱うブリューゲルの作品の素晴らしさ諸々。
今までボスの絵でなんとなくしか知らなかったけど、そういう背景があったのだなぁ。
シンプルに勉強になった。

「大罪は7つだけ? ボス≪七つの大罪と四終≫」pp.109-121
七つの大罪というのは、
「傲慢」「貪欲」「淫乱」「憤怒」「大食」「嫉妬」「怠惰」。
6世紀後半ローマ教グレゴリウス一世により、決められた人間を罪に走らせる悪しき感情、悪しき欲望であるという。
pp.110-111
でもよく見てほしい。
「大食」がなぜ「大罪」の一つなのか。
それほどもまでにおでぶは罪深いのか。
その理由がこの章で明らかに。
ちなみに「怠惰」の意味も今と違って興味深かった。
うーん。
今の僕は中世現在、二重の意味で「怠惰」かなー。
ヨハネ黙示録 デューラー黙示録の四騎士≫」pp.230-242
「黙示録」。と聞くと、
どうしても物騒なイメージがついてまわる。
けどそもそも「黙示録」ってなんやねん。
を解説していて個人的にすっきり。
スッキリス。
あと扱っているデューラー木版画も良かった。
この時代にこれほどまでの「イラスト」が完成されているのかと思うと感慨深い。


デューラー黙示録の四騎士≫(1497-1498年)

ただ、どうしてもある程度の専門書を読むと、
やはり美術解説が物足りなくなってくる。
それでも沢山の画家の傑作を一気に面白く読めるのが、
中野先生の本の良さなんだろう。



以上である。
割と面白かった。
聖書について知らないアレコレが知れたり、
「黙示録」「七つの大罪聞いたことある言葉の知識が身についたり。
案外実用書に近いかもしれぬ。

さて同シリーズも4冊目3冊目2冊目の刊行順で読んできた。
次は待望の・・・1冊目。

LINKS
中野京子『怖い絵』
中野京子『怖い絵2』
中野京子『怖い絵3』
中野京子『新 怖い絵』
中野京子『名画の謎 対決篇』
中野京子『名画の謎 陰謀の歴史篇』
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