小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

古屋兎丸『女子高生に殺されたい』-ネコかわいい。-


表紙とタイトルがずっと気になっていた。
東京の友達の家の本棚にその本があり・・・僕はそっと手に取った。

古屋兎丸『女子高生に殺されたい』(新潮社 2015-2016年 全2巻)の話をさせて下さい。

くらい。

【あらすじ】
生徒からも人気があるさわやかな数学教師・東山春人。
彼には夢があった・・・そう、自らの高校に通う一生徒・佐々木真に殺されたい。
彼女に殺される前代未聞の計画を綿密に練る東山だが・・・。。

【読むべき人】
シュールギャグが好きな人
・漫画力が高い漫画を読みたい人
・短く、だが忘れられない。そんな漫画を読みたい人。

【感想】※ネタバレ有り
うーん・・・・面白かったんだけど、
まずタイトル違くね?
佐々木真帆に殺されたい」が妥当だろ。十分インパクトもあるし。
そこを「女子高生」とがっつり包括的にしてしまったから、
タイトルのイメージと作品内容とのギャップで評価が低くなりがちなんじゃないかな。
2巻がとくにこの美少女女子高生の佐々木真帆の衝撃の過去を暴き、
東山の被殺人動機とも被るので、
本当佐々木真帆」個人に殺されたい、って感じなんだよな。
タイトル直してほしい。。
新潮社が漫画で勢力が今一つなのがよく分かるタイトル。


友達の家のネコ

ストーリー自体は想像するほどサスペンスではないが
でも十分面白いかなー。
特に僕が好きなのは、前半の群像劇風のシーン。
主人公、佐々木真帆、主人公の元カノ、佐々木真帆を好きな男子高校生・・・個人個人の目線で話の序盤が展開するのだけれど
ここの部分が一番面白い。
一コマ一コマその人物の視点や性格が十分反映されていたり、
あと心理描写が巧み。
2巻のスピード感ある展開に読者がついていけるのも、
この前半の丁寧な個人の描写があったからだと思う。

後半で好きなのはやっぱり「キャサリン!!!」連呼シーン。
狂気を感じさせながらも、シュールなギャグをどことなく匂わせるようなシーン。
僕はここで爆笑。
いやまぁ笑えるシーンではない。
東山の狂気爆発するシーンなんですけど、
30代前半のイケメンが「キャサリン!!」連呼するんですよね。
しかもリアル寄りに画力高い中で。
おもしろい。めっちゃおもしろい。
古屋先生だからこそ描けるシーンだったのではないかな。


かわいいな、お前。

あと一番僕が好きなヒロインは佐々木真帆の友人・後藤あおいちゃん。
1巻から出てくるアスペルガー症候群極めたような子なんですが、まぁ良いキャラしてます。
口癖がまず「ぽよー」
しかも無表情でぽよぽよ言うもんだからもぉね。
その不似合いさが逆に愛しいというか。
内面ももちろんいい子。
勘のいい彼女は被殺人計画を練る東山から真帆を守ろうと奔走しまくる。
真帆を何としてでも守るという強い使命感に満ちた、最後のページの表情も良いですね。
あと真帆を守るように、1巻の表紙にも何気に出てきていたり。
唯一無二だし、このキャラのためにこの漫画があるといってもいいんじゃないかな。
勿論他のキャラクターも十分魅力的なんですが。

以上ですね。
前半は群像劇のような漫画力高い構成後半は勢いあるストーリー。
魅力的なキャラクターも多い。
非常に満足度の高い漫画だった。
ただ言うならば、編集の腕を疑う。
タイトルが違う、
あとこの漫画後半は非常に勢いあってまぁ面白いんですけど、
ゆうて「予想外!!」「本格心理!!」ていう感じでもないんですよ。
それらを絡めたい作者の意図は垣間見えるんですが、決してそれがメインなわけではない。
この作品の魅力はそこには宿っていない。
しかし編集側がそこを過度に忖度して煽っているように思う。
だからなんとなくタイトルであるとか煽り文であるとかあらすじであるとかそういったところがちぐはぐになってしまった、そういった印象を受ける。
新潮社が漫画でいまひとつくすぶっているのがよく分かる漫画だなと僕は思った。


映画化の帯。野村周平くんといえばこれですよ。

ちなみに僕が古屋先生で持っているのはこの作品。
ライチ☆光クラブ」(太田出版 2006年)
太田出版・・・漫画でもそんなに大手ではないんだけど、
古屋先生の魅力を十分に理解し引き出せた名作なのではないかなーと思う。
躊躇なくグロテスクに走らせたのが僕的に高評価。
10年後に実写映画化へ導いたのもうなずける出来。
「グロいのがすき」「後味悪いのがすき」って人は読んで損はないと思う。