全国の中高生の学級文庫に本書を置く活動、
コアラ活動、略してコア活しませんか。
僕はしません。コミュ障なので。
中健人『思春期コアラの一日』(朝日新聞出版 2019年)の話をさせて下さい。
【あらすじ】
ある日、木にしがみついているのがだせ~と思ったコアラは、これにしがみついたらカッコいい!!というものを探しに行くよ!!
イカとカモメにも途中で出会ったよ!!!
【読むべき人】
・本作をネットで見ていて好きだった人:話の内容的に、紙の方がしっくりきます
・全国の中高生
・東京へ憧れている人
・上京してもダラダラフリーターしている人
・思春期たちよ!!!
【注意すべき人】
・本作を知らないうえに思春期でもないうえに、東京への憧れもない人:結構絵本っぽい世界観&ストーリーなのでもしかしたら値段の割に「薄い」と思うかもしれない。ネットで無料公開されている部分を読んで、キャラクター・世界感が好きだったら間違いなくGOODだと思います。まぁ無料公開されてるかどうかは知りませんが。
【感想】
メルカリをぼんやり眺めていて、「あ!!!!!!」と思わず声を上げた。
「思春期コアラ!!!!!」
「思春期コアラ!!!!!」
「し・しゅ・ん・き・くぉ・あ・ぅるああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
というのも、当時僕は本作を愛読していた。
完結し、本が出たことも知っていた。買わなきゃな、と思った。
思った。
思った。
思った。
思った、だけだった・・・。
長らく記憶から抹消されていたのである。
僕は速やかにその場で「思春期コアラの一日」と検索し出てきた一冊のなかで一番状態と値段がベストの物を選んで購入した。
なかけんとせんせいへ
こんにちは、まぐろどんです。
わたしは、せんせいのさくひんが、だいすきです。
「いぬのかがやき」のまんがもまいにちこうしんを、たのしみにしています。
すっごいだいすきです。
「ざつなせいかつ」・「とくにあるひび」は、しんぴんでかいました。
「いぬのかがやき」もむろん、そのつもりでいます。
せんせいは、「いぬのかがやき」にっきによると、ぶっくおふといえのおうふくをするきわめてしっそなせいかつをおくられているようですね。
ぼくも、28さいなのですが、つきづき10まんえんで、ひとりぐらしをしています。
なので、だから、
この愚行を・・・・・!!!!!!赦してほしい・・・・・っ!!!!!
じっかのいぬはといぷーどる(13さい)
まぐろどんより
一通り読んだわけだけれども・・・ああ・・・いいね・・・ってなった。
キャラクター漫画ですね。
主人公の思春期コアラ、をはじめ、同じく思春期真っ只中のイカ、斜に構えている(前髪も斜め)のカモメ、キリン、そして舞浜都会に擦れてしまったネズミが好きならば、本作は楽しく読めると思います。
おもしろい、というか愛おしい、って感覚です。
やっぱり一番好きなキャラクターは、コアラですね。圧倒的コアラ。🐨
わっかりやすい反抗期で格好いいものに憧れてて、でも母親の呼びかけには素直に応じちゃうところとかめちゃくちゃ可愛い。愛おしい。特に、剣?ソード?あの修学旅行先の土産屋に必ずある金の剣大好きなところが好感度高いですね。あざとい・・・。思春期で大人ぶっても好きなものは小6から変わんないんか~いっていうね。どうなんですかね。男の子というか成人男性は今もああいうの好きだったりするんでしょうか。ちなみに僕(28歳 女性)は、もう水晶玉を持ったやたら毛がふっさふさしている狐・オコジョにはもう興奮しなくなりました。
あとキリン。🦒
キリンは個人的に一番好きな動物で、何ならあるSNSのアカウントはキリンにしてからもう7年くらいはずっと変えてない。それくらい好きです。全部の動物の中で好き。そういう種族びいきも含めて、このキリンは好きですね。特に思春期を迎えてぐれるコアラ🐨を無理に引き留めようとせず、睫毛長いその優しい目で、見つめてくれる慈悲深さがいいですね。良い。「あ~だり~」とベッドの上から一歩も動こうとしたない休日の僕も、その美しい深い黒き瞳でそっと見つめていてほしい。
キリンはちょっとしんぱいごとがあったが
それ以上特になにも言わなかった
もしその心配事が的中したとしても それもまた
誰しもに訪れるものだからpp.85-86
実写版だったら水嶋ヒロにやってもらいたいですね。
コアラ🐨は鈴木福君、イカ🦑は寺田心君、カモメ🐤は奥平大兼、ネズミ🐀はダイアンの津田。これでいきましょう。
キャラクターが個性強い分、ストーリーは結構シンプル。
シンプルだからこそ分かりやすいのがいいですね。
中盤からコアラ達ゆかいな3人組は、かっこいい場所を目指して都会に向かう訳ですよ。初めはそれこそ観光名所廻るに廻って満喫するんですが、でも途中から居候させてもらっているネズミの家にびったり、浸りっきりになっちゃうんですね。
「ほんとはかっこいい場所なんか探してないんじゃないか」
「地元がダサく思ええてそこから出たかっただけ」
「だから出た時点でほんとはかっこいい場所なんかどうでもいいんだ」
「おまえらみたいあやつが都会に来てもそんなあいまいな目的なんかすぐに見失ってだらだら生活することになる」pp.135-136
ニート三人衆🐨🦑🐤に向かってネズミ🐀が言った言葉なんですが・・・的確過ぎない!?
いやまぁ今の僕にとってはあたり前なんだけれども・・・でも中高生特に思春期の時期って都会に漠然とした憧れをもって、上京したい!!という子が多いと思うんですよ。きっと都会ならやりたいことが見つかる!!!都会に行ってみたい!!!
そこにこの台詞はぶっ刺さると思うんですよね。実際三人衆もショック受けているし。
実際大事なのは、高校卒業後(あるいは中学卒業後)どこへいくかなじゃなく何をしたいのか。じゃないですか。
そのために、どこにいるのか。
いやぁー・・・ちょっとタイムスリップして・・・2009年、16歳の僕に読ませたいですね。結果として大学は東京(多摩)行っててそこに後悔はないんですけど、もっと何をしたいのかそこを突き詰めて考える必要はあったかなと思うので・・・。
オーストラリアなのではないかと言われている
🐨「そもそもかっこいい場所を見つけたとしても家に帰るとしてもけっきょくそこでなにをするかは考えなきゃいけないことだから」
🦑「たしかにそこでなにがしたいかで考えてなかったー」
🐤「せっかく来た事だし都会でできるしたいこと考えるか・・・」pp.142
僕これ気づいたの新卒で入った塾を1年半でやめた後ですね。グリムスパンキーというバンドに「アンスタンドアローン」という曲があって、冬の横浜をニートしていた時代繰り返しこれを聞いてて、そこに以下のような歌詞があるんですよ。
「場所に悩むより先にここで何をするのかが大事だ 君が闘おうとしてるなら」
ここがめっちゃくちゃ好きで、さっむい横浜の深夜3時、これをイヤホンでずっと垂れ流し繰り返し聴きながら、てくてく歩いていた23歳の冬・・・懐かしい・・・。もう28歳の冬が終わろうとしている・・・5年前かぁ・・・。
明日には
これにも飽きてやめてるかも
でも
思春期の行き場のないエネルギーが
少しずつ色んな何かに変わっていくのは 楽しいぜ
pp.161-162
最後、ネタバレしちゃうと、みんなでまぁとりあえずカッコいいからバンドやってみようぜ、って言って楽器をやりに貸しスタジオに行って、そしていっぱいに音を鳴らして終わる、その時に書かれている言葉が上記です。
ちょっとね、ぐっときちゃった。
ぐっときた。
僕思うに、これ別に思春期じゃなくても当てはまるな、と思っていて。
なんかありません?やりたーいと思っていたけど先延ばしにしちゃった、とか、ずっとやりたーいとは思っている、とか。でも実際はベッドの上ごろごろごろごろ、起きれなかったりして。
🦒(誰しもそういう物だから・・・)
キリンの優しいまなざしにも甘えてみちゃったりして。
でも、でもそれ実現しちゃえるならもう、今、しちゃわないか?
僕達はもう確かに思春期ではないかもしれないけれども、エネルギーが0ってコトではないだろう?この余ったエネルギーを、何かに、何かにぶつけてみないか!?
・・・というわけで、バイトから帰ってきて現在午前6時10分僕はこのブログを今現在書いているのであります。
以上である。
キャラクターが愛おしいのと、あと読んだ後何か始めよう!!っていうそういう前向きな気持ちになれる一冊。
面白いかどうかって言われると、まぁぶっちゃけ「雑な生活」あっちのが圧倒的に面白いです。「とくにある日々」もまぁまぁおもろい。
けれど、一番手元に置いておきたいのは、本書、「思春期コアラの一日」ですね。僕は。
そして本書を読んで実際・・・
長年やりたいと思っていた水彩絵の具のセットもこの前買っちゃった。月々10万そこそこだけど3000円もする絵の具を買ってしまった・・・。サクラの絵の具で我慢し解けば、新品で本作が買えたものを・・・ごめんねけん先生。
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LINK
夕日の中で生歌で「アイスタンドアローン」を聞けてよかったよっていうレポート。
グリムスパンキーは最近「ウイスキーがお好きでしょ?」のCMに起用されました。すげえ。
作者の他の作品の感想。雑な生活実家にあるんだけど久々に読み返したいな。