小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

又吉直樹『第2図書係補佐』-起きたら虫とかそれってもうポテチ光秀の世界観では。-

 

 

 

 

ずっと気になってたよ。

 

 

 

 

 

又吉直樹『第2図書係補佐』(幻冬舎 2011年)の話をさせて下さい。

 

 

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【概要】

僕の役割はほんの開設や批評ではありません。(略)じぶんの生活の傍らに常に本と言う存在があることを書こうと思いましたーーー(本書はじめにより)

お笑い界きっての本読み、ピース又吉が尾崎放哉、太宰治江戸川乱歩などの作品紹介を通して自信を綴る。胸を揺さぶられるパーソナル・エッセイ集。

巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談も収録。

裏表紙より

 

【読むべき人】

・エッセイ好き

・次何読もうか悩んでいる人

 

 

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【感想】

主に本の感想を記録するブログを書き書きしている手前、いつかは絶対読みたいなと思っていた本書。最近になってずっと気になっていました。

ヤフオクで別の古書目的のついでに合わせて購入いたしました。

読みました。

ほら~やっぱりめちゃくちゃおもしろいんじゃ~ん!!になった。刊行されたのが2011年・・・ナウ、2022年・・・11年経ても色あせる具合が全くないのはこれ如何に。まぁ純文学とかなら10年100年たっても面白いんだけど、ブックガイドとかってどうしても時代を反映するからちょっと古臭く感じるところがあるじゃないですか。本書、一切ない。扱う作品は多少古いとはいえド。5年前に出た本・3年前に出た本と言われても僕は信じてしまいますね。

 

本書は2006年3月~2009年7月によしもとの劇場で発行していたフリーペーパーに書いたものを本として編纂したものだという。

読書好きに対して又吉先生が発したもの、ではなく、お笑い見に来ている人々に対して又吉先生が発したもの、だから読み易く内容が重くない。10年100年バリの純文学ばかりかと思っていたがそんなことはなく、結構最近の作品も多く広く取り扱っている。

 

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本棚に人形やら置く派



 

から、僕でも何冊か読んだことがあるものがあって「あ~わかる~」ってなったり「え!?そうなの!?」ってなったりした。

 

西加奈子『炎上する君』

まさしく又吉先生の「絶望するな、僕達には西加奈子がいる」という言葉に誘われて、当時からメンがヘラっていた僕はふよふよと手に取って読んだ。西加奈子デビュー。文章の合間に溢れ出るエネルギーのようなものに圧倒され、それからは結構ちょくちょく読んでいたりした。ていうか今気づいた。最近読んでない。ああだから最近僕メンヘラ極まっている状態「メンがヘラって極まれり」なのか。「太陽の上」という短編が好きです。白菜のカレーを試したけれど、水っぽくなってあんま美味しくなかったことも覚えてる。

 

中村文則『何もかも憂鬱な夜に』

自分に一体何の使命があるのか?何のために生まれて来たのか?それらは結局解らず思考は堂々巡りを繰り返すばかりだった。そんな思春期を引きずったままおとなになってしまった人も沢山いるだろう。大人になったふりをしている人も沢山いるだろう。p.55

大学四年の秋に読んで、「おおこれが純文学か!!」って思ったのを覚えてる。そこからちょくちょく(つってもオリンピックペース)中村先生の初期の作品を読んでいて、今も積読に一冊混ざってる。この作家さんは国家ぐるみマクロな話より、個人のより小さな小さなミクロの話の方が好きですね。

 

穂村弘『世界音痴』

最高。ほむほむのエッセイどれも名作傑作なんだけれども僕は本書が一番好き。ぴたり、とくるのと、あと世界をカラフルにあっぴろげに彩る穂村先生の短歌が心地よいので。

 

乾くるみイニシエーション・ラブ

「よくある恋愛」、世界音痴が過ぎるあまりにうまく入れない。恋愛は残酷だ。ひとをどこまでも傷つけることが出来るし、人をどこまでも冷酷にすることが出来る。

 

中島敦山月記

僕も高校のときに教科書でやって意味わかんねぇしねそもそも中島敦って誰やねん一般人みたいな名前しやがってと思っていました。最近では文豪ストレイドッグスの影響もあって、高校生たちが山月記を習うのを楽しみにする現象が起きてるってTwitterで見た!!

 

村上龍コインロッカー・ベイビーズ

本書では上中下がなかなかそろわなかった旨が書かれていますが、僕が読んだ時は既に一冊になっていたので、そのまま一気に読むことが出来ました。

近未来的といってもSF的表現とは異なりリアルで刺激的な世界が描かれている。p.111

コインロッカーを蹴飛ばすと、ガンっ、音だけは威勢良かったけど、へこみすらしなかった。ただ足が痛んだ。僕が28歳だからか静岡と言う地方都市だからか、あの時代のエネルギーも風も一切匂いしないの。無臭。厭になるくらい。

 

太宰治人間失格

「世間と言うのは君じゃないか」

だったか。あの一行だけが永遠の僕の耳にこびりついて離れないし、読んでから数年たつけれど相変わらず人間敗者復活戦から上り詰められる気配もないし、相変わらず無味無臭の地方都市で人間ではない何かである僕は今日もパクパクえら呼吸。「恥の多い人生を送っています・・・」

 

フランツ・カフカ『変身』

よかった、「変身」にシュールギャグを見出そうとしていたのは僕だけじゃなかった。

 

森見登美彦夜は短し歩けよ乙女

映画はとても良かったヨ。京都は基本夏熱くて冬寒いのであんま好きではないヨ。夏めちゃくそ熱くて冬めちゃくそ寒いから。

 

吉本ばなな『キッチン』

そういえば、東京で独り暮らしをはじめてからの方が、より大阪にいる家族の輪郭がはっきりとしてきた。p.198

僕の家庭も、離れていた方が愛情やら何やらの輪郭をハッキリと感じ取ることが出来る。離れて住むことで家族という関係がより確固たるものになるていうのはあると思う。同居していると距離が近すぎてぐずぐず腐るところがあるので。少なくとも僕のまぐろ家では・・・。

 

結構冊数あったな・・・でもこの中で一番ぐっときたのはやっぱり『変身』にギャグを求めていたところですね。分かる、わかるんだよ、今となったらそれは働けなくなった人間の居場所がどんどん失われていく様を暗喩で描いたみたいなことは分かるんだけど、でも起きたら虫になってるはもうこれ高度なギャグでしょ。

感想を書いている書籍は最後にリンクを貼っておく。

 

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月の砂漠をさばさばと、三冠小説集、江戸川乱歩は持ってます。三冠小説集は本書を読んでメルでカリった。月の砂漠も、後日休日古書店琵琶舎で出会って買った。

 

エッセイ読んで、読みたくなったのは以下の本。

 

北村薫 おーなり由子『月の砂漠をさばさばと』

主人公の先チャンきゅさいと母親との温かい物語なのだが、そのぬくもりの周辺には冷たい現実が確かに存在する。p.72

本書を読んだ後行った琵琶舎(静岡駅前の週末古本屋)で見つけて買いました。

女性店主の古本屋なんですが、この本が好きで・・・と言っていたので、

「あ、あの又吉がおススメしていて・・・」

「そうなんですか?」

「ええ、あの、10年くらい前に刊行した「第二図書係なんちゃら」っていう本知ってます?それで紹介していた・・・・」

 

町田康『告白』

高校時代に読んだ湊かなえ『告白』が衝撃的すぎて長らくこちらには関心示さなかったんだけど、え、10人殺しちゃった人の告白なの?そりゃあ分厚くもなるよね。町田先生夫婦茶碗しか読んだことないけど文章もはちゃめちゃ面白いしね。でも分厚いんだよね。でも人10人も殺しちゃったんだからそれは仕方のないことだよね。読んでみようかなぁ。

 

江戸川乱歩江戸川乱歩傑作選』

乱歩の世界に取り込まれると以後ことが良くてなかなか脱出することが出来ないようだ。p.88

シンプルイズ積読~。でもそこまで言うならば読んでみようかなぁ。芋虫と人間椅子くらいはあらすじはだいたい知ってはいるんですけど。あと最近になってポーの名前をもじっていることに僕は気づきました。くわばらくわばら。くろねこくろねこ。

 

青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』

チラシ配りめちゃくちゃ僕好きで、それはもう大学の演奏会前とか塾講師やっていた時とかどんどんどんどん積極的にやってた。他人の生活が透けて見えるのが最高に楽しいんだよね。だからちらし配りのバイトも始めよっかなーとか今思ってるくらい(笑)だからちらし配りの小説って聞いたらさぁそれも読もうかなって思ってる(ちらし撒き散らしながら)

 

笙野頼子笙野頼子三冠小説集』

数年前、毎日何の生産性もない徘徊を繰り返していた時、学生や社会人とすれ違う時に何故か罪悪感に苛まれた。p.167

これはね、読んだあとね、メルでカリました。

上記の気持ち、滅茶苦茶わかる。なんならフリーターの僕は場と先に行く時ですらそういう罪悪感に苛むことある。

 

安部公房「友達」

当時「砂の女」も砂の中で日常生活を営むシュールギャグを求めて読んだ高校生の僕はサッパリプーだったんだけど、今読んだら少しは理解できるのかしら。

 

その他、古川日出男『アラビアの夜の種族』二階堂奥歯を嗜む者として、

吉田豪『人間コク宝』はアイドルオタクとして、

中村文則『銃』は何もかも憂鬱イズ分かる者あと「中村先生初期作品のあの薄くて濃い純文学また出してーな世界とか国とか宗教とかそんなんどうでもよくないけどどうでもええねん僕達の心の礎となるあの薄くて濃い人間文学また出してーな同盟」加盟者として、いつかは読んでおきたいところではある。

 

 

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琵琶舎のブックカバーをめくると・・・。

 

他気になったエッセイは、

近藤篤『サッカーという名の神様』

「又吉はサッカーガチ勢である」という情報の細部が細かく書かれていてとても興味深かった。強豪の運動部ってやっぱ人数も多いんだなぁ規模もやる気も違うんだなぁと思った。静岡学園とか清水東とか、同時に生まれ育った町で同じような異世界が展開され続けている28年間ずっと続いているのかと思うと不思議な気持ちになる。

 

玄侑宗久『中陰の花』

又吉が35歳の時に何かがあると予言した占い師についてのエッセイである。言わずもがな、この『第2図書係補佐』が刊行された後の35歳で又吉は、あの賞をとることとなる。

僕も久々に誰かに手相見てもらいたくなったな。でもだいたい手相見せると言われるのが「長女線。一番上でしょ」。これそうなんですよね。だいたいどこの占い師も一言目にこれ言ってくるんだけどまさしくそうなんですよ。当たってる。手相すげぇ。あと「若い頃は苦労する」若いisいつまで。かもう28歳なんですが、若い頃っていつまで続くの。ある人曰く「30代前半までは大変かもだけどね~」なげぇ~。なげぇよぉ。クソ、安牌な人生後半を過ごすために今僕はこんなに苦しい思いをして模索しているってことなのかな。あー。お金欲しいー。子供欲しいー。

 

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以上である。

なんか手相占いでよく言われること思い出してちょっと憂鬱になったので、ここらで切り上げる。読みたい本がたくさん見つかった、あと「変身」にシュールギャグを求めた、という2点んいおいて間違いなく読んで良かったと思える一冊。

あとシンプルに芥川賞とってるってのもあるけど、文章が読み易くて面白いんですよね。又吉先生の他の著書もばしばし手に取ってみようかなぁと思うこの頃。

こんな文章書けたらなー。

 

 

 

あー。

 

 

お金ほしー。

 

芥川賞ほしー。

 

 

 

 

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LINK

最近読んだ又吉先生とせきしろ先生の共著。これも面白かったので、続刊買いたい。

tunabook03.hatenablog.com

 

本書に出てきた、読んだ本の記事。

tunabook03.hatenablog.com

 

tunabook03.hatenablog.com

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

tunabook03.hatenablog.com

 

tunabook03.hatenablog.com

 

 

ちがう本だけど、途中で「炎上する君」にふれた記事。

tunabook03.hatenablog.com

 

 

☆★ポテチ光秀とは★☆

めっちゃ最先端のギャグを描く漫画家。

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