小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

佐藤将『本田鹿の子の本棚 天馬大戦篇』-悪い夢を見ていた。-

 

この本棚、相変わらず危うし。

 

佐藤将『本田鹿の子の本棚  天魔大戦篇』(リイド社 2018年)の話をさせて下さい。

 

 

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【あらすじ】

もしデスゲームに参加したのがアレっぽい命知らずたちだったら

男のデスゲームで話題沸騰!

 

蔵書目録

アダム竹中『ネゴシエーターたちⅡ』

鈍色空『プロジェクト21××』

角田偽史『黒山羊高校オカルト研究会』

角田偽史『黒山羊高校オカルト研究会(新装版)』

田中丸大砲『どくとるクランケ航海記』

右国虫太郎『シロアリ アントン 風来記』

間翔間『ルナティックトラベラー』

不帰離人『仙境遺文』

佐世保海路『ダークエンジェルス』

松平只輝『さだのぶのあにまるぷらねっと』

宍戸獅子丸『男とはなんぞや』

テロメア未明『赤い人魚館』

 

【読むべき人】

・漫画、小説が好きな人

・女子中学生の父親

・シュールギャグ漫画が好きな人

デスノート調のイラストが好きな人

 

【感想】

奇書が読みたいアライさんの読書ガイドで知ってクリティカルヒットした漫画、本田鹿の子の本棚2巻を買った。無論新品で買った。読んだ。

今回も暗黒極まる文学が勢ぞろいしていて最高だった。

あと鹿の子の栞・イラストもなかなか思春期極まっていて最高だった。

父・鳩作も相変わらず頭おかしさ極まっていて最高だった。お前本当に働いているのか?

 

 

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禁書目録

 

 

以下簡単に各冊感想を書いていく。

 

 

 1冊目 アダム竹中『ネゴシエーターたち』

(恐らく)短編小説集である本作の中の一篇ゴエモンガンタンクが主題である。

この短編では、催眠術の恐ろしさと、人は変われることの素晴らしさが同時に描かれている。そうか、やっぱり自己肯定に必要なのは薄っぺらい自己啓発本なんかではなく催眠術。これですよ。

ネゴシエーター」というのは調べたら「交渉人」という意味らしい。多分本作はやべぇネゴシエーターたちが人類に交渉していく過程を描いた短編集なんだろう。今作においてはガスタンクがネゴシエーター側で、ゴエモンが人類側といったところでしょうか。

でも多くのエンタメが結局「やべぇネゴシエーターたちが他人に交渉していく過程」を描いたモノのような気がする。

例えばぱねぇヒロインが空から降ってきて主人公を振り回すラブコメとか。ラピュタとか。例えば超絶推理が絡み合う頭脳戦とか。デスノートとか。例えばSFとか。正解するカドとか。例えば触手モノとか。よく知らんけど。例えば娘のことが大好きすぎるあまり本棚に毎日へばりつくやべぇ父娘暗黒文学コメディとか。これだよ。

本作の最後で鳩作は「交渉される側」として描かれているけれども、いやいやお前はけなげな人類鹿の子に対するネゴシエーター、「交渉する側」だろと僕は声を大にして言いたい。

 

 

2冊目 鈍色空『プロジェクト21××』

ロボットもの×セクハラジジィ×特殊性癖ものである。

昔から「歳をとったら胸より尻の方に惹かれる」と言われてきたわけだけれども、最近僕もそれがようやくわかるようになってきた。でっかいおしりの曲線美にかなうものなし。

でも僕は最近水着の女の子のグラビアを見ると、後ろよりも前を見ますね。水着ごしに伝わるあのちょっともっこりしたラインって最高にエロいと思う。あと尻ごしに見えるちょっとしたあの曲線もエロいと思う。

あ、あと最後のおまけに収録された超短編が何かと物騒。「斧を泉に落として・・・」こんな短編いつかくんだよ。

 

 

3冊目 角田偽史『黒山羊高校オカルト研究会』

錦戸亮は泣きボクロで

天下とったと思ってる。

あと最後の鹿の子が可愛い。

 

 

4冊目 角田偽史『黒山羊高校オカルト研究会(新装版)』

3冊目で取り上げられた「猿の手」を主題に扱った回の、リメイク版である。3冊目は終わり方がSFだったけどこっちはドラゴンボール

あと多分だけど若干「魔人探偵脳嚙ネウロのオンラインゲームが絡んだ過去編のパロディも絡んでるかもしれない。後半のゲームに土地狂った人々の表情も、ネウロっぽい気がするし。血がどばー!!目玉ぼよよーん!!みたいな。目がイっちゃってるどころか顔面全部イっちゃってるみたいな。まぁネウロ読んだことないけど。

この作品では、綾波レイの系譜を継いだヒロイン・影百合先輩が人気らしいのだけれどもまぁそれは分かる。可愛いわ。やっぱ黒セーラーが最強ですよ、制服は。

あとその他登場人物の、読者人気の設定が意外と丁寧に練られているのは本当草。

 

アニメ化したら影百合先輩演じてほしい声優ランキング

1位 指出毬亜:絶妙にロリくさいウィスパーが合うと思う

2位 上田麗奈:絶妙にリアルくさいウィスパーが合うと思う

3位 林原めぐみ:逆に。

 

 

5冊目 田中丸大砲『どくとるクランケ航海記』

に収録された「じぱんぐ」という回を主題にした話である。

こういう昭和極まるSFは、実は僕は結構苦手で読んでいると気持ち悪くなってくる。今日泊亜蘭とか読んだことあるけど体調崩して挫折した。

でも鳩作にぶっささるのは分かる。男の子(おっさん)ってこーいうの、好きなんでしょ・・・?

僕の父もこういうの好きな人ですね。理解できない。しっしっ。

 

 

6冊目 右国虫太郎『シロアリ アントン 風来記』

「シロアリ飯」が主題となった回である。とんでもない飯である。言葉の暴力。

と見せかけて、シロアリが主人公のなんちゃってほのぼのコメディ(当社比)である。特に冒頭に出てくるシロアリの不動産のシーンとか細かいところまでこだわっていて結構可愛い。

でもまぁ「シロアリファミリー」なんて絶対商品化しないだろうなぁ、シルバニアモグラファミリー、ネズミファミリーと害獣ファミリーは結構いるけど、さすがにそこまでは振り切らないだろうなぁ。誰も買わないだろうし。僕も買わない。

あとまぁちょっと蟲師感もある。てかもうダイレクトに蟲だけど。

 

 

7冊目 間翔間『ルナティックトラベラー』

より、「超能力少年 紀岡」が収録された話である。

この物語が一番プロットがよくまとまっていると思う。展開も意表を突いてきてとても良い。あと「ゲットバッカーズ」じみたとげとげヘアーもとても良い。読んだことないけど。

 

 

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8冊目 不帰離人『仙境遺文』

収録の神隠しのサイコ」収録である。分かんないけど、多分本作(『本田鹿の子の本棚 天馬大戦篇』)に収録された書籍人気投票を行ったら本作が一位になるんじゃないかな。

あとこの作品でも尻いじりの描写があって、作者が明らかに胸ではなく尻党であることが伺われる。分かるよ。でも男子中学生の尻ではなく女子中学生の尻を僕は見たかった。女子中学生に尻つんつんされたいとかそういうお前の願望はいいんだ。つんつんくらいならスパンキングくらいしちまえよという僕は尻触り過激派なのでそこらへんはこの作者に同意ができない。そもそも尻と言うのは弾力が魅力で以下略

伏線回収お見事。ちなみに僕の部屋も今■■■ないけど■■■が来たことは今まで一度もない。なんかそういうのを把握するツールがあるのかしら。

 

 

9冊目 佐世保海路『ダークエンジェルス』

収録の「漫画家 内田拳紫郎 インタビュー」

僕この作品が、本書で一番好きですね。

内田「表現の理由は人それぞれだが嘘をつきたいから描く人も嘘をつきたくないから描く人もいると思う」p.110

 

 

10冊目 松平只輝『さだのぶのあにまるぷらねっと』

さだのぶかわいい。

 

あにめかしたらさだのぶえんじてほしいせいゆうらんきんぐ

1い くぎみやりえ:しょたがさいこう

2い くまいもとこ:しょたがさいこう

3い  まみやくるみ:へけっへけっへけっへけっへけっへけっ・・・・へけっ

 

 

11冊目 宍戸獅子丸『男とはなんぞや』

より「男のデスゲーム」。この作品は帯にも書いてありましたが確かにちょっとネットで話題になりましたね。僕も見た覚えがある。

一鉄「男の人生はいつだって生きるか死ぬかのデスゲームよーーーーーっ!!」p.39

刊行されたのが2018年。3年前というとまさしくこの頭脳を使ったデスゲームモノが最盛期を迎えていた時期だったと思います。トモダチゲームとか今際の国のアリスとか。読んだことないけど。

そこに一石を投じる、というか一隕石を投じるかのような今作の展開は痛快ですね。

2021年現在だったらどんなジャンルに隕石直下させてほしいかなぁ・・・。異世界もの(のなかでも特に姉・母親が出てくるやつ)、ラブコメ(五つ子が出てくると尚よい)、ソロキャンものあたりかなぁ。ソロキャン女子×ターザンとか見たい。

 

 

12冊目 テロメア未明『赤い人魚館』

より「星霜の人」

タイトルのパロ元は明確ですね。小川未明「蝋燭と人魚」。でも中身は全く違いますね。ただの下ネタじゃん。

多分この図柄も著名な漫画家をパロディしたものだと思うんですけど・・・誰だっけ。誰だ。絶妙に思い出せない。

八重「愛だの正義だのマトモに見れなくなってるからね」p.156

テロメアとは、染色体の端の構造のことを言うそうです。未明は言わずもがな夜明けの意味。

不老不死の存在は、染色体の夜明け・・・。

 

 

 

あ 目が覚めた?

「覚めたよ」

? どうしたの?悪い夢でも見てたの?

「最高にいい夢だったよ。

頭がおかしくなるくらいにね」

 

 

 

 

ちなみに本書は1巻も2巻も新静岡セノバにくっついている丸善ジュンク堂で買った。静岡駅駅前随一の大型書店である。

2巻買おうと、本棚に手を伸ばした時既に1巻は補充されていた。そして本作は5巻まで出ているのだけれども、4巻は消えていた。

リイド社のこのマイナー作品がちゃんと書店員の目にとまっていること、そしてこの市内もしくは県内にもう一人はこの作品を読んでいるモノ好きがいることに感動した。

この書店は一般書籍のオカルト・怪談コーナーが気合入っているのだけれども、そこを担当している人は絶対この漫画好きだと思うんだけども、だから漫画コーナーの書棚の一冊だけでなくそこにもしっかり並べてほしいんだけれども、どうかなあ。どうでしょう。

 

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ちなみに表紙の鹿の子がまとっている衣装、朱色(オレンジ)×青は聖母マリアを象徴する色です。この作品自体の聖母、といった意味でのパロなのかな。それともただ神々しいオーラを出したかったからこの色の選択なのでしょうか。前者であってくれ。

 

 

以上である。

やっぱ天使がでてくるダークエンジェルスが僕の中では圧倒的だったかな。聖☆お兄さんですっかりナメてたけど、天使ってやっぱすごいんだな。

今回もめちゃんこ楽しく読ませてもらった。3巻はすでに買ってある。

だってほら・・・読みたいときに万が一ないと困るからさ・・・。

 

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LINKS

1巻の感想。キャタピーの話が一番好き。

tunabook03.hatenablog.com

 

本作を知った読書ガイドの感想。奇書いアライグマ。 

tunabook03.hatenablog.com