小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

川勝徳重編『現代マンガ選集 恐怖と奇想』-昭和初期の漫画って、おもしろ。-

 

昭和初期の漫画ってこんな感じだったんだなぁ。

 

そこが一番面白かったので、他のもちょっとずつ集めようと思います。

 

川勝徳重編『現代マンガ選集 恐怖と奇想』(筑摩書房 2020年)の話をさせて下さい。

 

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【概要】

膨大な〈恐怖と奇想〉を扱ったマンガ作品の中から、

「街頭紙芝居」と「戦後をどうとらえるか」という観点から

新進気鋭の漫画家が精選したアンソロジー

 

収録作品

横尾忠則週刊少年マガジン」表紙

陽気幽平「ぬらり沼」

楠勝平「蛸」

岩波成芳「悪魔っ子」

山川惣治「指輪」

小松崎茂関東大震災

丸尾末広「無抵抗都市」

橋本将次「女を狙え」

凡天太郎「河童」

呪みちる「赤いトランク」

金風呂タロウ「訪問」

新谷成唯「voice/声の存在」

 

裏表紙より

 

【読むべき人】

・漫画好き

・昭和の漫画が読んでみたいが何から読んだらいいのか分からない人

・「恐怖と奇想」←この言葉にキュンとくる人

・創作に対するエネルギッシュさを感じたい人

 

【感想】

本書を知ったのはツイッターだった。

古書ドリスさんかゲンシシャさんのツイートで本書が世に出ることを知った。

もともと本シリーズの存在は本屋で見かけていたから知っていたが、今回のテーマはなんと「恐怖と奇想」

これはもう。これはもう、読むしかない。

実はかなりのオカルト大好きまぐろどん、このサブタイトルを見たときからもう絶対買おう発売日に買おうと心に決めておりました。

恐怖と奇想。素晴らしい。

もうこれざっくり言うとほんとうにあった怖い話世にも奇妙な物語のいいどこどりってことでしょ?最高やんな。

 

特にグッときたのは、昭和初期の漫画の熱さ。

画力だけで言えば、令和の方が圧倒的に優れている。

ただそれは画力「だけで」言えば。

話の主題は今と比べるとかなりシンプルである。先述したようにウナギ、タコ、兵隊、震災・・・タコってなんだよ!!!タコってなんだよ!!!!

だが主題がシンプルな分、作者のイマジネーションが直に伝わってきて、ビシビシする。ビシビシ感じる。

ウナギに全身ぬめりとられたおやじの、絶望しきったようなけれどどこか間の抜けたユニークな表情。

タコの、いちいちいちいちねっとりと読者に訴えかけてくる眼差し。

骨になった兵隊の、異様なほど密な描きこみと、容貌から感じられる恐怖・・・とそれ以上の寂寥。

震災についてただひたすらに描きつくした30ページは当時の恐ろしさをヒリヒリと伝える。画だからこそ伝わる震災の恐ろしさ悲惨さ。

決して画力は高くないけれども1ページ1ページに込められた熱量・強さ・力・・・。

複雑でない分、筆者のメッセージが読者の心を的確に穿つ。

今の漫画の方がそりゃあ絵も綺麗だしストーリーも綿密だしキャラクターも魅力的。

だけど昭和初期の漫画には、今の漫画にはない・・・熱、がある気がするのだ。

その根源がどこから来るのかは分からない。メディアが紙媒体頼りだからかもしれない。今ほど漫画周辺が複雑じゃなかったからかもしれない。出版業界全体が盛り上がっていたからかもしれない。昭和という時代自体が今と違ってエネルギッシュだったからかもしれない。

分からない。

分からないけれども、とにかく、

昭和の漫画には「熱さ」・・・この一点において、現代の漫画と同等程度の魅力・価値があるように感じられるのである。

現代の商業誌よりかは、同人誌に近いのかもしれない。

作者が読者に伝えたいことを最大限の熱量を高めて描く・・・。

そして読者は作品を読み、タコが考える恐ろしい計画に震え、布団の中で眠れない夜を過ごす・・・。

 

ちょっと今まで食わず嫌いしていたけれども、昭和の漫画はもっと読んでみたいと思った。

あと、やっぱ萩尾望都先生って偉大だったんだなぁ・・・って思った。この前「11人いる!」を読んだけど、こういう昭和漫画の世界において突如あんなに緻密な世界観の繊細な漫画を発表し始めたってわけでしょ?

今でこそ「ほおんまぁおもろいやん。両性具有の設定ええやん。男の娘ええやん」で終わるけれども、当時は「うおおおおおおおお!!!なんだこれはあああああ!!!!!両性具有ううう!!????」ってなったんだろうなぁ。

 

以下簡単に各編感想を書いていく。

ちなみに編者は解説において、「恐怖と奇想」を扱った作品は膨大で文庫一冊に扱いきれない・自身もそこまで精通しているとは自負していないとした上で、せれくしょんのとうちうかんをもたせるため2つのテーマを設けたという。

その2つは「街頭紙芝居」「戦後をどう捉えるか」p.340-341。

確かに呪みちる先生と金風呂タロウ先生以外の作品はそのテーマが共通している気がするし、確かに1冊まるまる読んだ直後は「昭和」「戦後初期」という時代を堪能したぞ、といった触感があった。

この企みは基本的に成功と言っていいと思う。

 

ただその縛りにとらわれ過ぎたせいか、最後の作品のセレクトはどうなんだろうと思う。どうなんだろう。

まぁいい。とりあえず順番に感想を。

一番好きなのは梵天太郎先生「河童」。

 

 

横尾忠則週刊少年マガジン表紙」

コラージュである。今じゃ絶対考えられない。

白人の、吸血鬼の男性と逃げる女性の写真がコラージュされているのだけれども・・一通り読んだ後に見直すと成程、この一冊のはじまりにふさわしい一枚だと分かる。

ちなみに僕も最近人生で初めて週刊少年マガジン、買いました。

 

 

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陽気幽平「ぬらり沼」:少年の父親は、沼にいる大鰻を食べてやろうと画策するが・・・。

1961年頃の作品と書かれている。60年前の漫画である。凄い。

まずキャラが凄い。一番初めに「福成幸造」という縁起が良い名前の縁起が悪そうな爺さんが出てくるのだが、その顔面がなんだか凄い。左右対称と見せかけて絶妙にアンバランスなところとかなんともいえない。

他にもにったりとした目元であるとか。あと「幸」と描かれた悪趣味極まりないネックレスであるとか、一言目の初めが「アハ・・・」から始まるところとか。

もう一度見たら忘れられない。なかなかインパクトのある爺なのである。

無論その他のキャラも凄い。まあ特に親父さん。表情はほとんど変わらないのだけれども、その表情にはなんともいえないウザさがあるのである。ギョロ目から感じられる鰻への熱意・・・そんなに鰻食いたいのかお前・・・。

かと思えば、寝顔は間抜けてなんとも愛らしいし、一見落着後のしゅんとした表情・反省した表情には可愛らしさすら感じられる。

あと、効果音も凄い。普通鰻に「ギュー」p.13とつけますかね。春が来たところを「春です」p.13堂々と書いて表現しますかね。そもそもペンネームに「陽気幽平」なんて名前使いますかね。なんだよその名前。

60年前の漫画家だけれども、まぁ非常に個性派寄りの方だったんだろうなぁ・・・。巻末に「連絡先が分からない」と不穏なことが書かれてましたが、まぁ分かる気がする。身内に隠して活動していたんじゃなかろうか。

「俺ア死ぬまで鰻はもう喰わねえ」p.40

 

 

楠勝平「蛸」:水族館で泳ぐ蛸の企みとは・・。

蛸(タコ)が自分の考えているたくらみを、読者に対して延々ねっとり語りかけてくるただそれだけの話である。

ただそのたくらみのなんとまぁ、難しいこと・・・。

だがしかし蛸は本気なのである。目を見りゃ分かる。

蛸は本当に自分の望みが叶うと信じて、日々祈りを捧げてきたのである。最大限の努力も積んできたのである。

からの、なんとまああっけない最後・・・。

そしてその最後の最後、作者から読者へのメッセージが書かれた1ページが印象的。

「人間っていったいなんだ!?」

私の追求はこの問いかけに尽きるのです

読者諸氏と共に考えて行きたいと思うのです p.62

この作者は30歳で早逝したとのことだけれども、その理由も、なんとなくわかる一編。

 

 

 

岩波成芳「悪魔っ子」:宇宙船からの光線で妊娠してできた娘は・・・。

冒頭無駄にエロい。艶めかしい。

あと最後の母子の絆がもたらすハッピーエンドはちょっとうるっ・・とは来ませんでした。

というのも、どうもこの昭和初期のSFの雰囲気が僕は無理なんですよね。

今日泊亜蘭先生の作品集を買って読んでいたことがあったのですが、途中から吐き気を催す・体調がちょっと悪くなる・ダルくなる・・・で、珍しく途中で挫折したんですよ。100ページいくかいかないかで。そしてそのまま売りました。正直持っているだけでも嫌だった。

結構表紙も良くて、短編集で、読み易かろうと思ってたんですが・・・それでもどうやら無理だった。

なんかこう今のSF主流のディストピアものとかはまだ読めるんですが、チキュウに宇宙人がやって来て人間(特に日本人)を攻撃して去っていく、この流れのものがどうも生理的に受け付けない。

なので本作読んでいるときもずっと「ルミ死ね」と思ってました。

でも13ページとは思えないストーリーの壮大さ、最後に1ページ1コマ割くことで表す宇宙、ルミ子の「ぐわし」とでも言いそうな表情等々、本作が今こそ評価されるべき作品なのは分かる。

「ウウウおいしい・・・・・・」p.68

ファミチキ食べながらのルミの一言。

 

 

 

山川惣治「骨ノ兵隊さん 指輪」:拾ったダイヤの指輪をネコババしようとしたら・・・

一期に描きこみが増えて、ようやっと見覚えのある漫画感が出てきた一編。と言いつつも、その前の「悪魔っ子」と1年しか違わないのですが・・・。

本作でまず目を惹くのは骨の兵隊の恐ろしい容貌ですね。一回一回まぁ結構怖く描かれているんですよ。追ってくるし。最後の1コマは切ない姿で描かれていますが・・・。

あとヤクザ。今でこそヤクザってアウトレイジみたいなイメージが強いんですが、ここに出てくるのは普通の青年とおじさん。でもヤクザなんですね。はえ~と思う。多分今と昔じゃあ、組織構造も社会的地位も何もかもが全く違うんでしょうね。

そしてこの「兵隊の幽霊が出てくる」「昭和初期のヤクザ」が描かれている点で、本書の選択基準の一つ「戦後をどうとらえるか」に引っかかって選ばれたということでしょう。

ちなみにコマ割り自体が滅茶苦茶読みづらいので、話が全然頭に入ってこない。なので本書がすぐれている作品とは分かりつつもどれだけ優れているのかはちょっとまぁよく分からなかった部分がある。

でも扉絵の骸骨の恐ろしい容貌は結構インパクトがあって印象に残る。

あとあと、タイトルよく見ると骨ノ兵隊「さん」、ひらがなでさん付けなんですよね。そこから戦後まだ間もない時代の作品だということがなんとなく察せられますね。

ギックシャック

ギックシャック  p.84

兵隊の足音。

 

 

 

 小松崎茂関東大震災大正12年8月1日東京を襲ったのは・・・!!

体験者が「大震災ではこんなことが起るんだぞ!!!」「本当に大変だぞ!!!」をただただ32ページやる漫画である。やっぱ体験者な分だけあって、その分切羽詰まったものがある。

画力は今までの中で一番高い。紙芝居出身の方とのことだけれども、なるほど。絵で勝負してきた人なんだろうなぁと納得がいく。同時に画力が高い割に妙に動きが止まって見えるのにも納得がいく。

内容はそりゃぁただひたすら恐ろしかった。こんなことが起ったらたまらない、

でもこういう、「この時代は大変だったんだぞ!」漫画って、戦時モノはよく見た・覚えがあるけれども、関東大震災モノって初な気がする。

そのレア度に着目して選出されたのかなぁ・・・。

確かに戦争も起こったら怖いけど、震災も起こったら十分怖いものだし。

「これがボクの経験した関東大震災だ!!こわいだろうが、すべて事実なのだ!!今、こんな大地震が東京をおそったら、こんなものじゃすまないぜ!!大地震は明日にも起こるかもしれない!!」p.132

 

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丸尾末広「無抵抗都市」:1946年夫が兵役から帰ってこない女とその息子のもとに現れたのは奇妙な小男で・・・

丸尾末広名前は聞いたことがある。

けれど作品は読んでこなかったので、今作が初となる。

ええ・・・と思った。ええ・・・。

いや、それは悪い意味ではない。

ただ話の後味が悪すぎてええ・・・しか出ないのである。ええ・・・。

一体この小男は何がしたかったのか。醜く小さい自分が、一人の美しい女の人生を破滅させることで、コンプレックスの克服を図っているということなのだろうか。分からん。僕は過度に小さくもないし男でもない。

なんかもうとにかく後味悪い話が、熟練した画力と様々なモチーフを交えて描かれるものだから、その後味の悪さがねっとりと、後を引く感じ。ええ・・・。

後味が悪い作品、を求めている人にはうってつけの一作。

あ、あと「無抵抗都市」→「むていこうとし」→「無抵抗と死」とかかってんのかなぁ。

戦後の僕等は無抵抗だった。耐えるしかなかった。

「あなた!あなた!怒ったってだめよ 私達は負けたのだから」p.203

 

ちなみにこのタイミングでこの作品持ってきた編者は凄いと思う。

今までは昭和初期の10-30ページ程の漫画だった。確かに真新しい感じはしたものの、ストーリーだけで言えばちょっと物足りなかった・満腹まではいかなかったのも事実。

同じく戦後まもなく(描かれたのは1990年代だが)を舞台にしているものの、80ページ弱の刺すような後味の本作を持ってくることで、一気に満腹を超えて胃がもたれるような感覚。

そこから先はまた比較的短いページの作品が続くわけだけれども・・・この作品の後だとどの作品も一気に重みを増して見えてくる。

そして冒頭に戻るとまぁ何と可愛い、「ぬらり沼」おやっさんよ・・・。

とにかく、この絶妙な順番でこの作品を持ってきた編者万歳。編者万歳。そういうことなのである。

 

 

 

北見昭男「女を狙え」:ある日和歌山の奥さんが歩いていると車に乗った男から声を掛けられ・・・

1961年の作品である。編者によると「日本最初期のエロ劇画のひとつではないだろうか」とのこと。p.220

成程。確かにちょっとエロいかもしれない。

でも目に付くのは妙に淡々としたドライな話運び。

女に対して非情なヤクザにドン引きからの、同じく非情な旦那へのドン引き、そしてさらに上を行くやっぱりヤクザはヤクザだった!非常なヤクザにさらにドン引きするという、ドン引き三段活用の話である。

でもまぁ思えば、「ぬらり沼」「蛸」「悪魔っ子」「指輪」らへんは同じく淡々としていた部分はあったし、それが当時のスタンダードだったのかなぁ。

あとひたすらにドン引きすればさくさく読める話ではあるので、「無抵抗都市」のねっとりぬっぷりした後にサクッとこれが来るのは気持ちがいい。でっぷりとしたステーキの脂を赤ワインで流し込むような。

扱っている主題が、男が女を狙って×××して×そうとうするという点では共通しているわけだし。

「やめて よして あれーっ!」p.233

 

 

 

凡天太郎「河童」:ひき逃げにあった河童の死体を男は憐れんで土に埋めたが・・・

男が女を×する話が2つ続けて収録。

すると絶対そこに不満を抱く人々がいるのは当然のことである。ふぇみふぇみ!!ふぇみふぇみ!!

そこにこの作品を持ってくる編者の腕よ。令和だもの、しっかりとふぇみにも対応しておりますよ。

1968年の作品とのことだったけれども・・・この作品が一番僕は好きかもしれない。

まずこの時代にして、女が積極的っていうのがいいよね。

フェミ運動に感化された現代に描かれる積極的な女性と、奥方・奥さん・専業主婦が推奨される当時に描かれる積極的な女性って、根本が違う気がする。

現代でこそ「積極的に動く女≒幸せをつかむ女」みたいな価値観だけれども、当時の「一歩さがって夫を支える女≒幸せな女」みたいな価値観。そのなかで、積極的に活動する女って、凄いなぁと思う。幸せになりたいから積極的になるわけじゃない。自分がそうしたいから積極的に動くのよ、みたいな。

あとこの作品は最後まで結末が全く読めませんでした。僕はね。

そして結末がもたらす輪廻感スパイラル感悲劇はまた繰り返す・・・感含めて、やっぱりこの作品結構好きかなぁ。

「キュウリ下さい」p.259

 

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呪みちる「赤いトランク」:長い海外出張から帰ってきた旦那が持ってきたのは赤いトランク。ところがそれには全く触れさせてもらえない。また、帰宅後夫の様子は豹変し私に冷たくなり・・・。

呪先生の作品は4年前に出た宝島社のアンソロジーで読んだことがあるんですよね。黒いコーラの話だったかな・・・。すっごい良くって、単行本を調べたんだけれども全部売り切れててプレミア値ついてて絶望した記憶。漫画で1000円超すのはなかなか勇気がいりますよね。

そんな方の別作品がこれまた読めるとは眼福眼福。また、この作者の作品をしっかり入れる編者に感服感服。

この人の作品は、ストーリーもいいんですけど、ヒロインがとにかく可愛いんですよね。超かわいい。本当可愛い。ホラー漫画のヒロインは可愛いという鉄則があるんですけどその鉄則を破っても可愛い。本作も然り。

そしてその愛らしさに見とれているうちに突如現れる凄惨たるシーンのギャップよ。その高低差が何とも絶妙。心に残る。

あとこの作品は・・・まぁそうですね、ちょっぴり怖いローゼンメイデンといったところでしょうかな。おあとがよろしいようで。

「おまえは誰だ」p.273

 

 

 

金風呂タロウ「訪問」:ピンポーン・・・ドアを開けても誰もいない日が続いた。が・・・。

2015年デビューされた金風呂タロウ先生の作品である。僕は本書でこの作者の存在を知った。

平成後期-令和にかけて、よく見られる奇想・「謎のものが現れて不幸をもたらす」系の話である。その謎のものに関することは一切触れられず正体も明かさないで終わる。京極夏彦の『厭な小説』とかその典型だよね。本作もそう。

でも分からないと分かりつつも、推測しちゃうのが読者のサダメというものである。

僕は初め・・・、最初に現れた「謎のもの」はメスだと思っていた。だからぷーちゃんも、妻も様子が変わってきたのかと思っていた。二番目に現れた「謎のもの」は明確にオスである。だから今度は主人公の自律神経崩壊かと思っていた。

ただ2回目読むと違った。多分最初のもオスだったのだ。プーちゃんに呼応するブツをもっていたから見えなかっただけで。そして2回目やってきたのもオスで、人間に呼応するブツを持っていたにすぎない。初めに犯されて死んだのはぷーちゃん。だから次に犯されて死ぬのは妻。

といったことなのだろうか。

うーん。分からん。

でもこの作者の作品は、ストーリー・・・よりも独特な絵柄がもたらす独特な雰囲気に魅力があるのだと思う。単行本はまだ出ていないとのことだけれども、出たら是非買いたい。教えてほしい。

「プーちゃんは胎児と共に死にました。」p.293

 

 

 

新谷成唯「voice/声の存在」:ヤンが置いていった娘はある日黒い液体を吐いていた。

うーん。難しい。よく分からん。難しい。

これがいわゆるガロ系というやつなのだろうか。

編者は真珠湾攻撃の写真がモンタージュされたページ以降のカタストロフ」を感じたらしいけれども僕はあんまり感じなかった。p.298

もうこういう、「人がたくさんいるのに僕は孤独だ」みたいな作品は結構見てきた。死ぬほど見てきた。

根底に漂うそこに、斬新さも何も感じることがなかったから、こうも心に響かなかったのかもしれない。まぁ2000年の作品だし、当時は新しかったんでしょうけど。

正直この作品の選抜は、編者の思い出補正の部分も大きいのでは?

 

 

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来月発売のはなんと恩田陸先生が編者とのこと。アツいわね。

 

以上である。

昭和の作品は昭和の作品で当時の感触を生で読むことで楽しめたし、

(陽気幽平、楠勝平、岩浪成芳、山川惣治小松崎茂、橋本将次、梵天太郎)

平成の作品は平成の作品でその作者がもつ圧倒的表現力に舌を巻いた。

丸尾末広呪みちる、金風呂タロウ)

結構満足度が高かった一冊。

強いて言うなら最後にその一編持ってくるかね・・・?て感じかな。だったらもっと著名な作家の、マニアックな短編を持ってきてほしかったなぁ。もしくは女性作者のホラーを一編。

 

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 昔祥伝社文庫から出ていましたが、最近まともな表紙になって講談社かどっかから出ましたね。祥伝社文庫の表紙は本当に「厭」で手に取るのも「厭」でしたが、講談社文庫の奴ならまぁいいかな・・・ってくらい。でも好きなのは祥伝社文庫版の表紙。

 

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