ねえ、アイドルが好きなんだ。
アイドルが好きなんだよ。
「IDOL AND READ 023」(シンコーミュージック・エンタテイメント 2020年)の話をさせて下さい。
【読むべき人】
・日向坂のMVできらっきらの笑顔を浮かべる潮紗理菜さんのことが気になる人
・近年粗相が目立つ欅坂の中でも前を向く齋藤冬優花が気になる人
・活動休止する直前のZOCに流星のごとく入ってきたハロプロ出身巫まろが気になる人
・坂道合同オーディションに落ちた娘が今どんなアイドルしているのか気になる人(神宿 塩見きら)
・ブラジル。ビビッっときて。受信して。
【感想】
今回も買ってしまった、アイドルアンドリード。
近年日向坂欅坂の表紙が多いのでまあついつい買っちゃう、アイドルアンドリード。
佐々木久美の凄さに最も早く気付いたメディア、アイドルアンドリード。
坂道載せれば売れると薄々気づいている、アイドルアンドリード。
ヴィレッジヴァンガードとの癒着が激しい、アイドルアンドリード。
閑話休題、
今回は特にゆる推しの潮紗理菜さんを表紙にしたということで、さっそく買った。滅茶苦茶買った。
多分静岡市内全ての本屋にトータル10冊も入って来てないんじゃないかと思うんだが、発売日に買った。丸善で買った。1冊しかなかったけど即買った。話はそれるが、セノバの丸善ジュンク堂はアイドルグラビアに力を入れているのであれば、うさんくさい同好会が作る坂道本を並べる前にまずこの雑誌を並べてくれ。
以下簡単に各アイドルの感想について、曲について、徒然なるまま自由に述べていく。
今回はメインの二人のインタビューを編集長の方がやられているのですが、
やっぱり一番いいインタビュアーですね。
前号の高瀬愛奈ふぃーに対する違うインタビュアーの質問がずれているように感じてたんですよね。なんかしつこくお弁当のことを聞いていたり。ただ今回はこの2人に対する質問は鋭いです。過去のこと、今のこと、ライブのこと、オタクが聞きたいこと網羅。
この2人推しは絶対入手して損はないと思います。むしろ、この2人推しはこの雑誌抜きにして「推し」を名乗れなくなるのではないか、それくらい結構深く、長く、読み応えあります。
潮紗理菜(日向坂46)
日向坂は基本的に箱推しなのですが、強いて言うならトップ3に入るくらい好きなアイドルです。(他2人は高瀬愛奈、影山優佳)
なんというか、MVやパフォーマンス映像で、一瞬映る彼女の笑顔のキラキラが本当にすごいんですよね。眩しい。かと思えば、2年前のMVですが「期待してない自分」の荒ぶる力強いパフォーマンスに僕は目がね、くぎ付けでした。
そんな彼女のグラビアはやっぱりキラキラです。特に階段の手すりから覗く表情がたまりません。どうしてくれるんですか。たまりません。
そんな彼女の生い立ちから、家族関係、オーディション応募の動機、改名時の感情、「ソンナコトナイヨ」2列目に対する想い、悩み解決方法、不思議な能力?まで津々浦々語ってくれてます。
まず、インドネシアにいたということは知っていたんですが、いつからいつまでというのがはっきり分かって良かったです。向こうではどういった学校に通っていたのか、とか帰国後の転校とかについて初めて聞いた。
後、将来何になりたかったか、とか。そりゃインドネシアに海外単身赴任するような親御さんのもとで生まれた娘が、「アイドルやりたい!」なんて初めから思ってるわけないんですよ。そんな彼女が2020年8月現在アイドルでいてくれるのは、運命。受けてくれて、ありがとう。
そして合格し、デビュー後の苦悩。お披露目後に投げられる誹謗中傷の棘。多分初めて露骨に受けた悪意だと思うんですよね。とてもショックで、傷ついた。その時の苦しい心境を思うと僕も苦しい。
けやき坂の活動についてどう思っているかも語ってくれている。欅坂のアンダー的立ち位置として活動してきた2年間。多分齋藤京子とかだと「悔しい」とかそういう言葉が出てくると思うんですよ。でも彼女は違うんですね。「ありがたい」と言います。
確かに、乃木坂が好きで、友達に勧められて応募して合格してステージに立って・・・という流れだとそう思うのが当然だと思います。「悔しい」という方が、プロとしてアイドルとして正解なのかもしれないけれど、潮さんは常に感謝を忘れないからこそ、こうやってキラキラが出来ている。
終盤では、「聖母」としての立ち位置について、コロナ明けに何をしたいか、潮紗理菜としての夢を語って締めてくれています。「皆と仲良くしたい」と思う反面それじゃダメだと自覚しているところが、いいですね。楽しみです。
ちなみに僕はこの記事読んでメッセージ、取り直しました。ラジオとか聞かないので一時期とってなかったんですが・・・でも、一通り読むと彼女の笑顔が見たくなる。彼女のあのソプラノを、聞きたくなる。
「私はアイドルになるまで親が作ってくれた道の上しか歩いてこなかったんです。それで失敗したことがなかったから安心安全だったんです。(中略)で、初めて自分の意志で決めたことがこれだったんです。そしたら、やっぱり入ったら傷つくこともあって、最初の方は後悔しました。親が作ってくれた道を歩いてたら私はずっと幸せだったのに!と思っていたときもありました」p.22
初めて自分の意志で歩き始めた彼女を、
僕は応援します。
誰よりも高く跳べ。
齋藤さんは、初期は正直あんまりいい印象を抱いていなかったんですよね。クラスに必ずいるでしゃばっちゃう委員長タイプというか。彼女がキャプテンに選ばれなかったのを、安堵していたこともありました。
ただ、欅坂の21人の「絆」が崩れていくにしたがって、彼女に対する評価は変わりました。前を見据え、「絶対に誰も絶望させない」という意志すら感じる。
ただ自分が目立って仕切りたいから、だけではなくて、欅坂を少しでも良い方向に導いていきたい。信念みたいなものを感じたから。
一時期の毎日ブログ更新とか、ブログでの衣装やメンバーの写真とか、そういった考えの現れだったと思うんですよね。
誰よりも欅坂を信じていた。
縁の下の力持ちだと思います。
絶対に誰も絶望させない。
この姿勢のルーツはどこからくるのか。
高校時代について彼女は語る。
「目立つことは嫌いではなかったと思います。だけど「倒しみたい」が大きかったと思います。ぜぶにおいて、絶対人生って自分次第で楽しくなるんで。だから合唱コンクールとか体育祭とか、そういう全部の行事を楽しみたいっていうタイプでした」p.52
実行委員会等に属するタイプだろうとは思っていたけれど、その動機が「楽しみたい」。目立つのは嫌いではないが、「楽しみたい」からイベントごとにも積極的に参加する。
そして最近はじめた、ファンに向けた振り付け動画についても以下のように語る。
「できる限り、なるべく同じ感情とか同じことを共有して、みんなで楽しみたいなって思うんです」p.57
学生時代の「楽しみたい」が、アイドルになって「みんなで楽しみたい」と広がっていく。
そして、その開花した想いが、齋藤冬優花というアイドルの芯となる。
近年引きこもりや大人しめの子が「自分を変えたい」「テレビのアイドルに憧れて」とアイドルになることが多いなかで、クラスの中心メンバー的な子が「みんなで楽しみたい」を基にアイドルになるのは非常に珍しい。
アイドルオタクは、クラスのなかでも所謂陰キャよりの人が多いから、陽キャ側の彼女のアンチが多いのも当然かもしれない。
でも、持ち前のそのがむしゃらさとポジティブさで、アンチを蹴散らして、新しいグループでも縁の下の力持ちとして、活躍してほしい。
「みんなで楽しみたい」。その気持ちは、人数が多い秋元グループにおいて絶対大切なモノだと思うから。
巫まろ(ZOC)
彼女達は無敵だと思った。
「SHINEMASIC」と「ヒアルロンリーガール」のMVを見た感想である。
僕の好みではないし、好きなグループではないけれど、
この2つの映像と歌詞を見たとき、ゾクゾクして、ZOCZOCして、地下アイドル界は彼女達が完全支配するものかと思っていた。
特に元アイドルという鳴り物入りで入った彼女は顔面偏差値圧倒的で目を引いた。
ところがまあどっこい。西井さんの不倫恋愛疑惑、戦慄さんの素行不良により活動休止。
巫さんが新メンバーとして入った直後の出来事である。切ない。
そしてこのインタビュー記事が、活動休止決定前であることが更に切なさに拍車をかける。
なんというか、すごい童顔だから可愛がられて可愛がられて、甘々で順調にハロプロからZOCに来たものかと思っていた。
けれど実際は人生の路頭に迷う紆余曲折があったようだ。
「去年の年末までやってました。出勤した分だけお給料がもらえて、欲しいものがあればシフトを増やせばいいし、休んでお金がなくて困るのは自分だけっていうのがすごく楽で、ずっとこのままでもいいかなと思っていたんですけど」p.72
ハロプロで全力でアイドル道を生き抜き駆け抜けてきた経験と、この人生モラトリアム期間があったからこそ、最強アイドル巫まろが生まれたんだと思った。
ZOC、香椎・藍染・巫の3人でもいいから、絶対に活動再開してくれ。
そして僕達メンヘラに夢と希望と、飴のように甘い絶望を。
山崎夢羽(BEYOOOOONDS)
最近デビューしたハロプロのグループで、なんか変な名前だなーと思っておりました。
歌も聴いたら変な歌ばっかだったんですが、やっぱハロプロ。ダンスのキレや見せ方がうまくて、とにかく元気いっぱい。90年代から日本の王道アイドルを突き抜けるハロプロってやっぱり凄まじいですね。底力が違う。
「同期の横山玲奈ちゃんがモーニング娘。さんに入ったときはこんなにつらいんだと思いました」p.88
そしてやっぱりそこの研修生からデビューするのは大変なようで・・・。やっぱ小学生の時から汗も涙も血も滲む努力悔しさ乗り越えてこそ、デビューがあるんだなと思いました。
ハロプロの研修生の実態が知れる、ある意味一番勉強になったインタビュー。
ちなみに彼女はグラビアで見ると、すごい素朴な感じするんですよね。
ただMV見るともう結構目を惹く。そしてグラビアに目を戻すとめちゃくちゃ可愛く見える。次のハロプロのセンターはこの子やぁぁぁ!!と叫びたくなる。
なんか事務所違うけど昔のAKBのあっちゃんをちょっと思い出す。
モー娘。に入りたかったらしいですが、彼女達次第では、モー娘。も「びよーん」と越えるグループになるんじゃないでしょうか。
2-3年後が楽しみ。
この子やばくないですか?
何もないんですよ。
アイドルになろうと思ったきっかけも、グループに対する想いも、将来の夢も全てふわふわしている。
顔面がいいから誤魔化せているものの、表情はどこか虚ろにも見える。
多分近々卒業するんじゃないかなぁ・・・。
アイドルを続けるとしても、今のままじゃ絶対開花しないでしょうね。こんな子が人気投票で上位に来るのだから、ラストアイドルの人材の薄さが透けて見える。
ラストアイドル・・・始まった時は「すごいのきたな」と思ったんですけど、
グループの構成が複雑すぎてなんかよくわかんないんですよね。
このシュークリームロケッツとやらも2018年のMVしか出てこないし。
なんだ。まず、メンバー固定してくれ。
一人一人が戦って、敗北者が抜ける、みたいなことは実際AKB総選挙・選抜で緩やかに常に行われていることだろう?新鮮味があると思ったら、そんなこたぁなかった感。
26時のマスカレイドといえば最近BLTにも掲載されていて、新メンバーも加わって、マーキーの表紙も飾っていて、地味に勢いあるアイドルというイメージでした。
だがまぁあそこまでいくのに、ハロプロとは違った努力が必要だったみたいですね。
初めは読モからなんとなく入った彼女が、
「明日新メンバー募集の発表をするんだったら、私も『やめます』と言いますから」と言いました。」p.123
と言い切るまで熱くなるのが、これぞアイドルという感じ。
そのきっかけがファンの応援というのもグッとくる。
こういった「エモさ」が所謂地下アイドルの強みなんだと思います。
あと、何もかもを本当に正直に話しているのも好感持てました。
去り際についても触れているのが潔い。
「「これ以上はもうできません!これ以上のものはもう見せられません!」と思えるほど、自身のあるライブができたときにパッとやめたい。」p.125
CY8ERの武道館ライブといい、最近のアイドルはゴールを設けるからこそ全力疾走するんでしょうか。期間があるなかで全力、というのは学校にも似ていてそれこそ「青春」という感じがする。
でも僕はやっぱり第二のperfume目指すくらいのアイドルが見たいのだけれど。
塩見きら(神宿)
そしてそれを目指しているのが神宿、なのでしょうか。
久々にMV見たらびっくりしちゃった。「グリズリーにおそわれちゃう~きゃあ~♥」みたいな歌うたってるイメージだったですけど、なんかいつのまにかリトルグリーモンスター風になっとるやんけ。
年齢に合わせて数年に一回大きく路線変更をすることで、「第一章」「第二章」「第三章」と区切りを分かりやすくして、グループを長続きさせようという魂胆なのでしょうか。でもこれだけガラッと変わるのも珍しい。
あと路線変更が成功しているのも珍しい。僕はグリズリーに脅えてた方が好きでしたが。
塩見きらさんは、坂道合同オーディション、3次審査まで行っていたんですね。
「神宿がすごくいいなと思ったので。メンバーの雰囲気とかが好きだったんですよ」p.139
落ちた子が、他のアイドルの動画を見て、選んで、オーディション受けて、今こうして神宿として活躍してMVばんばか出ている、というのはなんというか、地下アイドルとメジャーアイドル(坂道)の時差を感じる。
理想のアイドル像については以下のように語る。
「アイドルという概念や、アイドルとは?みたいなものを変えていけるようなあいどるになっていきたい」p.141
神宿はアイドルグループにもかかわらず、アニメーションだけのMVがあることに驚いた。英語がサビの夏ソング、リップシーンの映像が長いMV・・・
「あたしのこと・・・あたしのこと・・・」
神宿は、もしかしたらアイドルという概念を緩やかに変えるグループになるのかもしれない。かつてのperfumeやAKB、でんぱ組のように。
あ、あと作詞にほとんど新メンバーである彼女の名前が入っていて気になったんですが、一切触れていないのはインタビュアーが非常にいまいちだと思いました。なんでそこ聞かないの?
桜井美里(ukka)
確か前のアイドルアンドリードにも違うメンバーが掲載されてたと思うんですけど、
改めて曲複数曲聞きました。
「ukka」より「桜エビ~ず」の時の方が結構曲大人っぽいのはなんでなんだ・・・。
閑話休題。
彼女は高校二年生で、芸能関係に関心のある母親のもとに生まれ、幼少期から芸能活動はしていたんだそうな。
一通り読むと結構内気な子なのかなという印象。「殻を割って話す」ことで様々な困難を乗り越えていたのは、女子高生アイドルだ~と思いました。女子高生アイドルだ~。
あと最後、アイドルを「半分、人生かけてること。」p.157と言うんですね。女子高生だからまだいろんな可能性があってそれを捨てきれていない、アイドル一本と断言できない、女子高生アイドルだ~。女子高生アイドルだ~。
女子高生アイドル。
ソシャゲの二次元キャラなんかじゃ普通に有象無象いますけど、リアルで追えるのがスターダストの強みなのかなあと思いました。ハロプロはほら、なんかもうエリート養成学校みたいでちょっと違う感じなので・・・。
僕は坂道と地下アイドルで手一杯で、スターダスト追う気はしないですが・・・。
ukka、26時のマスカレイド辺りは本当今年が勝負だと思うんですけど、これからどうなることなんでしょう。
2025年に彼女達は名前だけだったとしても、存在しているか。
顔が秋元真夏系ですね。なんかこう、顔自体よりかは愛嬌カバーというかなんつうか。
MVをチェックしたんですが、
この号で特集されているグループの中で(坂道除く)、一番刺さりました。
正直、いや正直ですよ、顔面偏差値もそんな高くないし、
MVも全然こう、まあ悪く言うとチープなんですよ。
それでも一生懸命歌って届けようとしている感じがびっしばっし伝わって、凄い好き。
MVも結構数出しているのが好感持てますね。予算上の関係もあるだろうけれどアイドルなんて偶像商売なんですからMV出してナンボですからね。
うわー・・・ちょっとCY8ER解散したら緩やかに追おうかな・・・。
彼女は今23歳とのことで、やっぱりこのアイドルに今人生を賭けてるみたいです。
この春に大学を卒業して「芸能活動はしているけど一般的な考え方も持っていたいので」p.172就職も考えたけれど、アイドルに絞ったとのこと。
こういう、人生を賭けたアイドルって、ただ若いアイドルとは違った、強い輝きがあるんですよね。
多分、最年長の彼女以外にも、先が保証されないアップアップ(2)に賭けている子が多いからこそ、
写りが悪くても、チープな映像でも、
僕達に明日を生きる希望を届けることが出来ると思うんです。
コロナ下に対する彼女の言葉は力強いです。
「今年はいろんなイベントのメインステージに立つっていう気持ちがあったので、それが急にバーンとなくなってしまった。だからいろいろ考えたし、答えは何も出てないんですけど、私は逆にチャンスだと思っていて。いまフェイドアウトされたり解散される英ドルが増えてきている中で、ここで残って色々発信していけば次につながると思うんです。きっとコロナが明けたらチャンスが来るんだろうなと。6年やって来て、なにもしないで終わるのは絶対嫌ですよ。にぎわせていかないと。」p.173
最年長がこう言えるグループは強い。
秋元真夏が大所帯グループのキャプテンであるように、
彼女もアップアップガールズ(2)の最年長として、
グループをより高みへ導いていってほしい。
にぎわせてくれ。
フィロソフィーのダンスは、ボーカロイドのMEIKOのアイドル化みたいな感じですよね。なんかこう、ぴっちぴちの服を着てオトナな歌を歌う、みたいな。
アイドルだけど女性ヴォーカルグループのイメージが強い。
閑話休題。
現役高校生の桜井美里、大学卒業しアイドルに就職した高萩千夏、ときて、多分僕(26)と同年代・アラサーちょい前の佐藤まりあ。
この3つの並びはアイドルの人生を考えさせられる、すごい深い並びだなと思いました。
「人それぞれのスタイルがあっていいし、最終的にファンを惹きつけるのって人間味なんだなと。」p.180
「初期の頃は音楽性やパフォーマンス面ではほかのアイドルグループにくらべると浮いていたんですけど、それに心折れず、貫いてきたから、型にとらわれず、ジャンル分けされてもどこにも属さないフィロのス独自の道を確立できたのかなと思ってます」p.188
長年アイドルやって25超えるとやっぱり「頑張る!」だけじゃなくて、己のグループを客観的に捉える部分も出てくるんだなと思いました。
そういったベテランのアイドルが歌うからこそ、フィロのスのオトナな歌が響くんですよね。
一方で、
「まずは「あんぬちゃん」でエゴサして、さらに「佐藤まりあ」でエゴサして」p.177
「メジャーデビューする日には最高に良い女になって、みなさんに関緒易あモノをお届けしたい」p.189
とファンと再会する日を心待ちにしていたり、
ザ・アイドルらしい一面も。
大人の視点を持ちながら、長い間アイドルとして存在し続けている彼女の、
「アイドル」のフィロソフィー(哲学)を是非聞きたい。
「アイドルの賞味期限は他人が決めるものじゃなくて、自分が決める者」だと思うので」p.189
ブラジル(MIGMA SHELTER)
「MIGMA SHELTERは私の人生の全てですから」p.209
写真に写るは三白眼、笑わない口元は引き締まっていて、真っ直ぐに僕を見抜く。
右腕に入れたのはグループのタトゥー。
突発的に「もう嫌だ」と逃げたくなることは?
「ないですね。」
やめてやると思ったり。
「ないです。」p.204
インタビュアーの質問など鼻にもかけない。
凄まじい。彼女にとってMIGMA SHELTERはアイドルじゃなくて、人生なんだと。もう、迷わない。迷わないからその三白眼は僕を貫くんだね。
其処まで至る過程が、しっかり説得力持って書かれているのが良かった。
お金持ちになりたかったわけじゃない。芸能人になりたかったわけじゃない。
彼女は人生を賭ける価値のあるものをずっと探していたんだ。
「私を救い出してくれたのがMIGMA SHELTERだったし、レイヴだったので」p.205
それがたまたまアイドルだっただけ。
あ、でもシロフォン買ったってのは凄いと思った。吹奏楽やってたってのは凄い親近感感じた。打楽器所持はなかなかのガチ勢。ティンパニとか次買うのかな。
いろんな面がある面白い人間なんだと思う。
じゃあ、ホルンほんわかぱっぱ吹いてた僕自身が人生に賭けるものって、何だ。
20代というのはそういうのを決める期間だと思うのだけれども、
27直前になって僕には、その結論が出しきれていない。
この人も結局、結論が出し切れていないのだと思う。
自身が発端となって作られた「GANG PARADE」を抜け、振付師として活動しているというのだけれど、甘い。
甘いと思った。
「GANG PARADE」を脱退した理由も、結局順調に大きくなっていくWACKに最古参として付いていけるのかという不安、というのも甘い。
いくら客がアイドルが振り付けで一体になっていることに感動したから、といって振付師の道を始めたと言っていたが、それはある意味「逃げ」だと思う。
押しつぶされそうな不安から逃れるために、目の前のものに適当に理由をつけて逃げた。そう感じる。
憧れの振付師として名前を挙げる人も、ダンスに全然詳しくない僕が知っているレベルの有名な人だったし、この先大丈夫なのかとすらちょっと思う。
グラビアは強そうには見せているけれど、さっきのブラジルの三白眼には敵わない。
タバコを吸って坊主頭で濃い口紅塗って外面だけ強くしても多分彼女は脆い。
結局数年で振付もやめてしまうのではないか。
でも、それでいいのだと思う。
彼女も僕も同じだ。
結局人生に賭けられるものを圧倒的不安に押しつぶされそうになっても這いつくばって這いつくばって探しているだけなんだ。
それくらい30という数字に恐れを抱いている。恐れを抱いている。
出来ることなら、彼女が右腕に「振付師」とタトゥーを入れることを願おう。
以上である。
なんか長くなっちゃった。
今回も読みごたえがある非常に充実した内容だったように思う。
僕はアイドルは、ある意味読み物だと思っているので。
多分今年中にもう一冊くらい出るんじゃなかろうか。
大園玲ちゃん、もしくは増本綺良ちゃん表紙で、
中に間宮まにちゃん、白雪姫乃様、苺りなはむのインタビューとか入ってたら嬉しいなあ・・・。
***
LINKS
4冊目。表紙裏表紙両方坂道は013以来の久々ですね。転換期の土生が読める貴重な一冊だと思います。
そういや最近月刊カドカワは欅坂特集やらなくなりましたね。
映画公開とかけてプロモーションで刊行するものかとてっきり思ってましたが・・・。