小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

山田詠美『放課後の音符』-甘酸っぱい恋の瞬間を、聞いた僕等は-

女の子には、
女の子たらしめる理由があるの。

山田詠美『放課後の音符(キイノート)』(新潮社 1995年)の話をさせて下さい。



【あらすじ】
初恋、失恋、セックス、性・・・
ハイヒール、香水、長い髪、シャネルの口紅、ジントニック、ベッドの上で揺れる金色のアンクレット・・・。
かつて雑誌「Olive」に掲載された、
女子高生を主人公にした8つのキイノート。

【読むべき人】
女子高生
・これから女子高生になる人
素敵な女になりたい人

【感想】
再読である。
前に読んだのは、西の魔女が死んだ同様小6の冬。
一通り読んだけれど、
その時にはまだ難しくて、全然良さがわからなかった。
日本の一般書籍を中心に読み、
何冊か山田詠美先生の本も手に取ったことのある
今なら、
どんな感想を抱くだろう。

そんな風に思って、久々に手に取った。



今作には、8作8人違う女の子が出てくる。
彼女達の恋の一番甘酸っぱい瞬間を、
切り取ったような短編集。
なかなか素敵ジャマイカと思った。

そのうち、はじめから7編が、
主人公が主人公じゃないのが今作の特徴。
恋をする女の子が出てくるのだけれども、
その女の子が主人公ではない。
その女の子から話を聞いたり、
その女の子に軽く嫉妬したり、
その女の子に複雑な感情を抱いたりしている、
その女の子の周りにいる子が主人公なのである。

恋をする女の子に抱く、
憧れ、反発、嫉妬、やきもち、呆れ・・・等々
そういった感情に焦点が当てられている。
そうすることで、描かれる恋愛の甘酸っぱさが増してる、気がする。
ぎゅっと、100%、120%。
恋、というものは、時によって
経験したものよりも伝聞したものの方が
胸を締め付けることが多々あるのだから。
噂にありつくことばかり考えている女子高生なら、なおさら。

最後の一編Keynoteは、
そういった周りの女の子に過ぎなかった主人公が、
恋をする女の子へと変わる短編となっている。
なんか、そこがうまいなーと思った。
「素敵な女の子になって、素敵な恋をしましょ」
プロフィールの若かりし山田先生に言われているかのよう。



ちなみに、今作で僕が一番好きなのは、
「Crystal Silence」かなぁ・・・。
マリのした恋がほんっとうに無垢で素敵。
初めて読んだときはジの字もわからなかったジントニックが、
今じゃ味も色も想像できるのが感慨深い。
「ううん、大人だったら、余計そう。遊びじゃない、真剣になって恋に落ちる瞬間が、そんなに沢山はやって来ないこと、よく解ってる」p.93
夏に読みたくなる一遍。

以上である。
超良かった。
素敵な恋をしたくなった。
ニートでいまひきひきしてるので厳しいですが。

ちなみに、
僕が今まで読んだ山田詠美先生の小説はこの2冊。



山田詠美『僕は勉強が出来ない』(新潮社 1998年)
これは去年の9月ごろに読んだはず。
山田先生の代表作かも。
毎年新潮社の「夏に読む100冊」みたいなキャンペーンで上がっている印象。
うん。
なかなか面白かったけど、こんな格好いい男子高校生なんていないのでは。
ちなみに、このタイトルをパロった「僕達は勉強が出来ない」っていうラブコメが少年ジャンプにあるけれど、
一体読者の何割がこの本を読んだことがあるのだろう?




もう一冊。
「タイニー・タイニー・ストーリーズ」(文藝春秋 2013年)
短編集。
ただなんか在日米軍の黒人とセッッッ!!してた記憶しかないな。
ちょっと、うん、まぁ、うーん。だったような気がする。

山田詠美先生の言葉はすごくしなやかで美しくて、時たま摂取したくなる。
また、何か読みたいなぁ。。