小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

タカハシマコ『乙女座・スピカ・真珠星-タカハシマコ短編集-』


透明感あふれる読み切り集。

タカハシマコ『乙女座・スピカ・真珠星-タカハシマコ短編集-』(集英社 2009年)
の話をさせて下さい。



【あらすじ】
星座好きの水香は、ある日、電車内で乙女座の男の子から声を掛けられる。
なんでも、占いで”糸目座のラッキーパーソンは隣にいる"とのこと。
当然、拒絶する水香だけど・・・。表題作ほか、4編のラブストーリーを収録!
裏表紙より

【読むべき人】
・「君に届け」のような澄んだ少女漫画が好きな人
・表紙にぐっと来た人
眠れない夜がある人

【感想】
まず表紙ですよね。
かわいくない!?
かわいくないですか!!??これ。

セントラルスクエアの本屋で平積みされているなかでもうオーラが段違い
当時僕めっちゃ感動して。
虎視眈々と買うタイミングをうかがっていた記憶があります。
再読です。



改めて読むと、帯にあるように確かに5つのアイテムがキーになってますね。

この人のお話は正直本編の流れ自体は王道なんですよ。
もう使い古された王道。
ただ、アイテムの使い方が個性的なんですよね。
例えば1編目の「バームクーヘン*レコード」には認知症のおじいちゃんが出てきたり、
「ビニールハウス・ビニール傘」では主人公の女の子がビニールアレルギーであったり。
他にないじゃないですか、こんな設定の話。
それに加えて透明感あふれるイラスト、澄んだ空気感が加わるんだから・・・
良作に決まってますよね。


小学校の時に買ってもらった星座図鑑。

以下簡単に各編の感想を。
僕がぐっと来たのは「ビニールハウス・ビニール傘」「海猫のスープ」です。

・バームクーヘン*レコード
アイテムはタイムカプセル
タイムカプセルものですね。
ただ姉が当時結婚すると宣言した人と違う人と結ばれることになったり、
主人公が最初から付き合っている状態で始まっていたり、
ちょっと捻った設定が上手いなと思います。
最後にバウムクーヘンも回収しましたしね。
ただ最後の最後のおじいちゃん通して伝えたいメッセージが分かりづらかったかなぁ・・・。

・アンテナ階段
アイテムは携帯電話
この携帯電話、って・・・そうなんですよ。
ガラパゴスなんですよね。
しかも今はもう亡きスライド式の!!
そりゃそうだよなー2009年発売の本だもん。
で、主人公が当たり前のようにブログやってるんですよ。
今なら絶対インスタやTwitterじゃないですか。
「ファー―――」
時代を感じる・・・!
ちなみに僕も高校時代はずっとぱかぱかのガラパゴスでした。
同じ携帯を5年くらい使ってました。健気。

・ビニールハウス・ビニール傘
キーアイテムはビニールハウス
アンテナ階段の友人が主人公なんですけど、
この話、ビニールハウスで恋愛が進むんですよ!!!すごくないですか!!??新しい。
さらにそれだけじゃなくて、
小学校の時から夢見た「理想の王子様」と好きな男の子とのギャップに悩むという・・・
わかる〜。
その理想の王子様もまぁ典型的なオレオレの女の子大好き王子像で・・・。
読んでてわかりみ。わかりみの舞でした。

・海猫のスープ
アイテムはスープ
この話は雰囲気がいいんですよね。
曇天の港町で、海猫にエサをあげるんですよ、男が。
すごく良くないですか。
それに主人公の夢とが重なって・・・ちょっとして邦画のよう。
主人公の黒髪もあいまって、今作で一番いい空気感を出せていると思います。
ただ、相手の男の子が太っていたという設定は・・・別にいらないのでは。

・乙女座・スピカ・真珠星
アイテムは星座
女の子が可愛いですね。
趣味に没頭して恋愛には奥手。
あれ?僕かな??
本当はテンション上ってるのに相手には無理矢理冷静に対応しようと努める。
あれ?僕かな??
思い当たる節が多々・・・。
あと乙女座・・・乙女座かぁ〜〜〜〜〜。
好きだった人乙女座だったなぁ〜〜〜〜〜。



以上です。
各話澄んでいて読後感がいいです。
眠れない夜に読みたい感じ。
でも「乙女座」タイトルに入ってるからね。
しばらくはしまっちゃおうね〜〜〜。