小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

立原透耶『ひとり百物語 怪談実話集 悪夢の連鎖 』-日常に潜むひそやかな不思議-


人から聞いた怪談は、
面白い。

立原透耶『ひとり百物語 怪談実話集 悪夢の連鎖(幽ブックス) 』(メディアファクトリー 2012年)の話をさせて下さい。



【あらすじ】
霊感のある作者・立原が、
知人・学生・作家・親族・そして立原自身の
体験した、
百の実話怪談を収録。

【読むべき人】

・怪談本読みたいけど、怖いのが苦手な人
・創作の怪談より実話怪談の方が好きな人
・日常のふっとした瞬間の怪異に惹かれる人

【躊躇うべき人】
・怖さを重視した怪談を読みたい人

【感想】
地元の図書館で、
怪談おススメコーナーというものを組んでいた。
司書がススめるんだから、外れるはずあるまいよ。
手に取って、読破した。
その1。

実話怪談集である。
作者自身、または作者の知人から聞いてきた怪談を、
100話収録。
シリーズ化しているらしく、本作は第四作目であるとか。

内容は、面白かった。
けれど伝聞、もしくは体験したものを収録しているので、
すごい怖い!!的な作品はない。
作者もあとがきにおいて


「怪談実話は怖くなくてはならない、とよく言われます。けれども私はそうは思っていません。

日常のささやかな出来事、哀しくも切ない想いの出現、そんなものも怪談の一つではないでしょうか?」p.237


と述べている。
そのため、
怖い!!話よりは、印象に残る話が多い。

霊感ある人の日常の延長線と思って読んだ方が、

無駄に肩に力を入れずリラックスして読めるかもしれない。

特に強く印象を残したのは、この2つ。

第十夜 覗く顔
心霊写真の怪異。
写っている霊は何を考えているのだろう。

第三十三夜 ピエロ
ピエロ好きの少女に怒った怪異の顛末。
悪意なく渡したプレゼントが思わぬ方向へ向かっていくのが悲しい。

おわり。
でもおもしろい怪談は多かった。いやまじ・・・いやまじで!!

まぁ文章が良くも悪くも非常に読みやすいから、

いまひとつ引っ掛かりにくいというのもあるかもしれないけれども。

そういう意味でも「怖いのが苦手でも怪談読みたい!!」という稀有な人にお勧め。

また今作は、

コトダマや夢、先祖といったスピリチュアルな話も絡む。
苦手、嫌いという人もたくさんいるだろうけれども、僕は結構嫌いじゃない。

 

ただ陥る恐怖ではなく、ちょっと守ってくれるような・・・。
家の本棚に置いておきたくなるような、
珍しい怪談集。

以上である。
読んだ後ちょっと優しい気持ちになる怪談集。
怪談苦手な人も楽しめるはず。
一方で、
「怖い!!」を期待するのであれば、他を当たった方がいい。

怪談集、という体をとっているが、
霊感強い作者の日常ものといったほうがいいのかもしれない。


 

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20200522 一部加筆修正しました。