小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

三浦しをん『ふむふむ おしえてお仕事!』-はじめはニートじゃなかった。-


三浦しをん『ふむふむ おしえてお仕事!』(新潮社 2011年)の話をさせて下さい。



【あらすじ】
作家・三浦しをんが、
15の職業に就いた16の女性にインタビュー。
仕事に就いたきっかけや楽しみ、やりがい・・・等々、

タイトルの「ふむふむ」は、いろんな職業についてお話をうかがい、「ふむふむ」と興味をもって相槌を打つ。ときには「ふむふむ」と納得する。そんな意をこめてつけた。p.8

【読むべき人】
・高校生、大学生
・生き方に悩む人
・他の人の仕事が気になる人

【感想】
作家の三浦しをん先生がの職業インタビュー集・・・だと?
めでたくなくニートの僕はすかさず手に取った。

様々な職業が今作では登場する。
靴職人、ビール職人、染織家、活版技師、女流義太夫三味線、
漫画アシスタント、フラワーデザイナー、コーディネーター、
動物園飼育係、大学研究員、フィギュア企画開発、現場監督、
ウエイトリフティング選手、お土産屋、編集者
・・・の計15。

その職に就いた経緯や楽しみ、やりがいが、
読み易い軽快な文章で綴られる。
ところどころ出てくるしをん先生の感想や反省文も、
エッセイストなだけあって、ふふっと思わず吹き出す。

職業はもう・・・本当に様々で、
知っている職業漫画アシスタント飼育係等については
「へー、そうなんだ」「面白いのはそこ!?」という新発見があったり、
知らない職業活版技師女流義太夫三味線等については
「そういう職があるんだ」からの意外な苦労が知れたり。
社会人、の3文字に納まらない多様な職種や生き方に、
読んでいて「ふむふむ」頷く。


表紙と裏表紙が繋がるデザイン。
背面には本を開いている女性。

特に僕が印象に残ったのが、
現場監督と、編集者かなぁ・・・。

現場監督・・・というのは、
映画や野球の監督ではない。
工事現場の監督のことである。
前田建設工業株式会社に勤めている女性へのインタビュー。
工事現場のおじさんとのコミュニケーションや、
何時に出勤して・・・(めっちゃ早かった!)や、
ちょっとしたプライベートまで・・・「ふむふむ」。
写真のすらっとした美人からは
想像つかないような土臭い話、読んでいてとても面白かった。

ちなみに、こういった現場監督の仕事も、
今作同時収録されているビール職人も、
会社に勤めていれば全員「OL」もしくは「会社員」

ただ、さまざまなかたにお話しをうかがうにつれ、世の中に「会社員」という職業はないのではないか、という気がしてきた。p.7
「ふむふむしたい まえがきにかえて」で語るしをん先生の言葉が染みる。


あのビルで働く人達にひとりも「会社員」なんていないのだ。

編集者は、徳間書店のベテラン女性編集者の話。
当時の大学卒業後の話であるとか、
徳間書店に就職したきっかけ、
忙しい時期の話など・・・「ふむふむ」。

印象的なのはこの言葉。
私も最初は、べつに編集者じゃなかったと思うんだけど、やっていくうちに、だんだん「編集者になってくる」んですよね。p.246
何の職業にも言える気がする。
もちろん今の僕にも。
私も最初は、べつにニートじゃなかったと思うんだけど、やっていくうちに、だんだん「ニートになってくる」んですよね。
いやー・・・。
こっわ。

え、こっわ!!!!



以上である。
いろんな職業について書かれていて面白かったにゃー。
ちなみに、この本は2011年に刊行されていて、
名前検索すると今現在のその人のことが少しわかったり、わからなかったりする。
ググりながら読むと面白いかもしれない。



ちなみに、他に僕が読んだ三浦しをんさんの本はこちら。
三浦しをん『格闘するものに〇』(新潮社 2005年)
就活時期に読んだ。
しゅーんと読めて、面白かった
なんとなーく前向きになれたような覚えガガガ。
でもどうやらこの本に納得いかなかったらしいってのは、意外。

インタビュー集といえば、他に読んだのはこちら
なんかこちらもすらすら読めて面白かったなぁ・・・と思った。
インタビュー集っていいよね。
人の話聞かずとも、人の話聞けて。
一気にいろんな人から話聞けるし。
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20190902 若干内容修正しました。